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1 第 268 号 目次 酒気帯び運転免責条項 の解釈について 1 睡眠剤中毒による死亡は 外来の事故の有無 12 酒気帯び運転免責条項 の解釈について 東京地判平成 23 年 3 月 16 日 ( 平成 22 年 ( ヮ ) 第 号保険金請求事件 ) 金判 1377 号 49 頁 自保ジャーナル 1851 号 110 頁 [ 事実の概要 ] A( 保険契約者兼被保険者 ) は 平成 21 年 7 月 22 日午後 5 時ころ自宅で夕食をとり 350ミリリットル缶の発泡酒を2 本飲み 睡眠薬であるアモバン錠とハルシオン錠 0.25ミリグラムを1 錠ずつ服用して 午後 6 時ころ就寝した Aは同日午後 10 時ころ目が覚め 本件二輪車を運転して 自宅付近で買物後 自宅に向かった 同日午後 11 時 45 分ころ Aは本件二輪車を運転して 時速 30ないし 40kmで走行中 本件事故現場の丁字路手前の電柱に本件二輪車を接触させて転倒した 本件事故後 警察官が Aに対し飲酒検知を実施し 呼気 1リットルにつき0.05ミリグラムのアルコールを検知し Aが顔面より30cm 離れた位置で酒臭がわずかあり 10mを正常に歩行し 10 秒間直立し 顔色及び目の状態は普通であると見分した Aは 左第 5 指切断等の傷害を負い 左小指屈曲傷害等の後遺障害を負った Aは被告 Y 保険会社 ( 以下 Yという ) との間で 年金払交通傷害保険契約を締結し その普通保険約款 4 条 1(4) は 被保険者が ( 中略 ) 酒に酔った状態 ( アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態をいいます ) で自動 車等を運転している間 または麻薬 大麻 あへん 覚せい剤 シンナー等の影響により 正常な運転ができないおそれがある状態で自動車等を運転している間に生じた事故 により生じた傷害については 保険金を支払わない旨規定していた ( 以下 酒酔い免責条項 という ) AはまたYとの間で 家庭用総合自動車保険契約を締結し その普通保険約款の搭乗者傷害条項 3 条 2(4) 及び自損傷害特約 4 条 2(4) は 被保険者が 道路交通法第 65 条第 1 項に定める酒気帯び運転またはこれに相当する状態でご契約のお車を運転している場合に生じた傷害 については 保険金を支払わない旨規定していた ( 以下 酒気帯び免責条項 という ) Aの破産管財人 原告 Xは 本件自動車保険契約等に基づき Yに対し 保険金 134 万 9000 円の支払を求めた しかし Yは 酒酔い免責条項及び酒気帯び免責条項による免責を主張した [ 判旨 ] 請求一部認容 1 酒気帯び免責条項にいう 道路交通法第 65 条第 1 項に定める酒気帯び とは 社会通念上酒気を帯びているといわれる状態をいい 具体的には 通常の状態で身体に保有する程度以上にア 1

2 2 ルコールを保有していることが 顔色 呼気等により 外観上認知することができるような状態 と解し Aの飲酒や睡眠薬の摂取状況 その後の行動 飲酒検知の結果等の事情を総合して 本件事故直後に通常の状態で身体に保有する程度以上にアルコールを保有していることが 呼気等により外観上認知することができるような状態にあった ことから 本件事故によるAの傷害はA が酒気を帯びた状態で運転している場合に生じた ことを認定し 酒気帯び免責事由が成立すると判示した また 酒気帯び免責条項は 道路交通法第 65 条第 1 項の酒気帯び運転のうち アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態での運転を免責事由とするものと限定的に解すべき とするXの主張について アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態 という文言ははいっていないこと 酒気帯び免責条項は 道路交通法第 65 条第 1 項が酒気帯び運転を禁止していることに対応して 酒気を帯びた状態で自動車を運転してはならないのに運転している場合に生じた事故は自招損害であり 運転者が自己責任を負うべき と免責の趣旨を解し X の主張を退けた さらに 約款が無免許運転や麻薬等の薬物 毒物の影響により正常な運転ができないおそれがある状態を免責事由として挙げることとの整合性から 運転行動にアルコールの影響が現れるおそれがないような場合を含めて 酒気帯び運転を当然に免責とする趣旨とみるのは困難 とするXの主張について 無免許運転には の影響により正常な運転ができないおそれがある状態 という文言は約款上存しないこと この規定は 道路交通法 64 条の無免許運転の禁止に対応して 無免許者が禁止に反して運転する場合に生じた事故は 無免許者の自招事故であり 運転者が自己責任を負うべき と解し また 免責事由の中で の影響により正常な運転ができないおそれがある状態 と規定するのは 麻薬等の影響による場合のみで これは 道路交通法が 麻薬等を服用して自動車を運転すること自体を禁止せず その第 66 条で 何人も 薬物の影響その他の理由により 正常な運転ができないおそれがある状態で車両等を運転してはならない と規定しているのに対応しており 麻薬等の影響により正常な運転ができないおそれがある状態で自動車を運転している場合に生じた傷害に限って免責事 由 とすると解した そして 約款は それぞれの免責事由ごとにふさわしい要件を記述しているので 他の免責事由の規定ぶりから酒気帯び運転免責事由の限定的解釈を正当化 できない 限定的解釈が当事者の合理的意思や消費者契約法 10 条等の趣旨に合致するともいえない と判示した 2 酒酔い免責事由について Aが酒に酔い薬物の影響により正常な運転ができないおそれがある状態で自動車を運転している間に生じた事故である とするYの主張に対して Aの事故前の飲酒やハルシオンの服用による影響は 本件事故時まで約 6 時間が経過したことにより相当緩和されていたことがうかがえ 本件事故が酒に酔い薬物の影響により正常な運転ができないおそれがある状態での事故であることを認めるに足りない 等とし 酒酔いや薬物の影響による免責事由 の成立を否定した [ 関連する判例 ] 飲酒の免責に関する事例を全て挙げることはできないが 比較的最近保険者の免責を認めたものとして 1 岡山地判平成 24 年 5 月 31 日 ( 人身傷害補償条項 ) 自保ジャーナル1877 号 164 頁 2 名古屋地判平成 22 年 9 月 24 日 ( 人身傷害 搭乗者傷害保険 ) 自保ジャーナル1838 号 139 頁 3 大阪地判平成 21 年 5 月 18 日 ( 車両保険 ) 判時 2085 号 152 頁 4 和歌山地判平成 20 年 3 月 19 日 ( ファミリーバイク人身傷害担保特約 )LEX/DB 文献番号 ( 控訴審大阪高判平成 20 年 8 月 29 日 LEX/DB 文献番号 ) 5 名古屋地判平成 20 年 2 月 22 日 ( 車両損害保険金 全損時諸費用保険金 ) 交民 41 巻 1 号 196 頁 6 名古屋高判平成 20 年 2 月 6 日 ( 自損事故傷害保険 ) 自保ジャーナル1725 号 4 頁 7 最決平成 19 年 11 月 6 日 (2 審名古屋高判平成 19 年 7 月 24 日は免責 1 審は下記 13)( 搭乗者傷害保険 自損事故傷害保険 ) 自保ジャーナル1725 号 9 頁 8 大阪地判平成 19 年 7 月 27 日 ( 人身傷害補償保険 ) 交民 40 巻 4 号 991 頁 9 東京地判平成 19 年 2 月 9 日 ( 搭乗者傷害保険 人身傷害補償保険 ) ウエストロージャパン文献番号 2007WLJPCA 水戸地判平成 18 年 11 月 30 日 ( 車両保険 人身傷害補償保険 ) 自保ジャーナル1677 号 2 頁 11 東京高判平成 18 年 3 月 13 日 (1 審千葉地松戸支判平成 17 年 10 月 31 日も免責 )( 車両保険 ) 自保ジャーナル1643 号 2 頁 12 大阪地判平成 18 年 1 月 25 日 ( 自損事故条項 搭乗者傷害条項 車両条項 ) 交民 39 巻 1 号 78 頁 13 東京地判平成 17 年 3 月 16 日 ( 車両保険 )

3 自保ジャーナル1604 号 17 頁等がある 保険者の免責が否定されたものとして 14 名古屋地判平成 18 年 10 月 18 日 ( 搭乗者傷害保険 自損事故傷害保険 ) 交民 39 巻 5 号 1448 頁 ( 上記 7の1 審判決 ) 15 名古屋地判平成 18 年 2 月 15 日 ( 人身傷害補償条項 車両条項 ) 交民 39 巻 1 号 195 頁 16 名古屋地判平成 17 年 9 月 7 日 ( 人身傷害補償保険 搭乗者傷害保険 車両保険 ) 交民 38 巻 5 号 1209 頁 17 名古屋地判平成 17 年 3 月 2 日 ( 車両保険 ) 交民 38 巻 2 号 350 頁等がある 以上のうちで 道路交通法第 65 条第 1 項に定める酒気帯び運転 の文言のある免責条項の解釈が論点となった重要な事例は 134である 1 4は 本判決と同様に 正常な運転ができないおそれがあるか否かを問わず 酒気帯び運転で一律に保険者を免責する立場を採用した 特に1は 本判決後に現れた新しい事例である これに対して3は 酒気帯び免責条項を制限的に解する立場で注目され 道交法 65 条 1 項の 酒気を帯びて を およそ社会通念上酒気を帯びているといわれる状態 とするが 損害との因果関係を要せずに本件免責条項にあたる状態であることで保険者を免責すること 本件免責条項と併記して 無免許運転及び麻薬 覚せい剤やシンナー等の薬物ないし毒物の影響により正常な運転ができないおそれがある状態での運転 という 社会的非難の対象となる理由により正常な運転ができないおそれがある状態での運転として道交法上罰則が定められた場合を免責の対象としていることとの整合性 等を考慮して 本件免責条項が およそ運転行動にアルコールの影響が現れるおそれがないような場合も含めて 酒気を帯びているといわれる状態での運転を当然に免責とする趣旨とみること は困難とし その形式的文言にかかわらず 酒気を帯びた状態での運転のうち アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態での運転を免責事由とする趣旨 と制限的解釈を採用した 因みに 現行の道交法は アルコールの程度よらず 酒気帯び運転 を禁止し (65 条 1 項 ) その中で 酒酔い運転 (117 条の2 第 1 号 ) と政令数値以上の酒気帯び運転 (117 条の2の2 第 1 号 令 44 条の3により血液 1mlつき0.3mg以上 又は呼気 1lにつき0.15mg以上身体にアルコールを保有した状態 ) に罰則を適用している [ 研究 ] 判旨に賛成する 1 本判決の主要な論点は 飲酒運転の免責条 項の解釈である 本件では 傷害保険契約の酒酔い免責条項と自動車保険契約の搭乗者傷害条項等の酒気帯び免責条項について 前者の免責が否定され 後者が肯定された 本稿では特に後者の解釈を主な議論の対象とする それは 前者が主に事実認定の問題であり 従来の酒酔い免責条項の解釈の範囲内で結論が導かれたが 後者の酒気帯び免責条項は 度重なる重大事故に端を発した飲酒運転に対する社会的批判を背景に それまで使用してきた酒酔い免責条項を平成 16 年に改訂した約款だからである 飲酒運転の免責に特化した条項は 生損保で様々な文言が使われているが その典型は 自動車保険契約の搭乗者傷害保険 自損事故保険 車両保険 無保険車傷害保険等に従来規定されていた 酒に酔って正常な運転ができないおそれがある状態で被保険自動車を運転している場合 酒に酔った状態 ( アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態をいいます ) で被保険自動車を運転している場合 等の酒酔い免責文言が 本件の 道交法第 65 条第 1 項に定める酒気帯び運転違反もしくはこれに相当する状態で被保険自動車を運転している場合 を免責とする新しいタイプの文言に改訂されている この保険者免責の要件につき 前述の3 判決は制限的な解釈をし 本判決は文言通りに解して 対立が生じた この2つの判決には共通点がある 1つは 酒気帯び免責条項の 道路交通法第 65 条第 1 項に定める酒気帯び という文言の理解であり それは 酒気を帯びた車両等の運転を全面的に禁止すると解し 酒気を帯びて とは 社会通念上酒気帯びといわれる状態をいうものであり 外観上 ( 顔色 呼気等 ) 認知できる状態にあること とし 酒に酔った状態であることは必要でないし また 運転への影響が外観上認知できることも必要ではない ( 道路交通執務研究会編著 = 野下文生原著 執務資料道路交通法解説 (15-2 訂版 ) 679 頁 ( 東京法令出版 平成 24 年 )) と解する道交法の解釈を引き継ぐ 本判決は この文言に適った解釈を採用するが これによると酒気帯び免責条項の免責範囲が 以前の酒酔い免責条項よりかなり拡張される そこで 3 判決は 酒気を帯びた状態での運転のうち 約款文言にない アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態での運転 を免責事由とする趣旨であると制限的に解釈する もう1つの共通点は 本件酒気帯び免責条項の法的性質の理解である 一般に 3

4 4 この種の酒気帯び免責条項の法的性質は 状態免責と解されている ( 山下友信 保険法 ( 有斐閣 2005 年 )363 頁 ) それは 酒気帯びという状態にある間の運転については 事故発生による損害等との因果関係を必要とせず 一律に免責とするもので 保険事故発生時におけるある客観的な状態に重きが置かれるべきであるから因果関係は不要 とされる ( 桜沢隆哉 判批 法律のひろば2011 年 9 月 70 頁 ) このような飲酒の事実と損害等との因果関係を不要とする理解は 文理解釈および約款の制定趣旨からも肯定される ( 鴻常夫他編 注釈自動車保険約款 ( 上 ) ( 西島梅治筆 )226 頁 ( 有斐閣 1995 年 ) 因果関係不要とする判決は 札幌高判平成 6 年 7 月 13 日文研判例集 7 巻 397 頁 東京地判昭和 63 年 12 月 20 日文研判例集 5 巻 385 頁 大阪地判昭和 60 年 2 月 28 日文研判例集 4 巻 165 頁 札幌高判昭和 57 年 10 月 21 日交民 15 巻 5 号 1163 頁等 それに対し蓋然性の立証を求める石田満 判批 ジュリスト671 号 144 頁 長野地伊那支判平成 4 年 10 月 5 日文研判例集 7 巻 179 頁等がある ) この新しい酒気帯び免責条項をどのように解すべきであるか 本判決は 約款文言に忠実な解釈であり 道交法 65 条 1 項の酒気帯びの状態で運転している場合に生じた傷害であれば アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態か否かにかかわらず 免責事由に該当すると解し ( 市川典経 判批 保険と共済 2011 年 4 月号 33 頁等 ) 3 判決は 約款文言を制限的に解するので 保険者免責の範囲は従来の酒酔い免責と変わらなくなる ( 竹濱修 判批 損害保険研究 73 巻 3 号 251 頁は 限定解釈は 従来の酒酔い運転の処罰範囲に保険者免責を制限することになる という ) また この2つの立場以外に 折衷的な解釈がある 例えば 3 判決の原告が主張する 道交法第 65 条第 1 項に定める酒気帯び を同法施行令 44 条の3にいう酒気帯びの数値基準で判断する立場である ( 土岐孝宏 1 判批 法セミ686 号 125 頁は 契約者の認識や保険保護に対する合理的期待に配慮して 形式的文言にかからず 刑事罰の対象となる酒気帯び運転が免責になると考えるべき という ) これに類似した立場は 政令数値以上の酒気帯び運転は保険者免責になると解すべきであり アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態 つまり従来 酒酔い運転 といわれていた状態にまで達する必要はない とするが この背景には 飲酒運転に対する社会意識や規範意識の変化から政令 数値以上の酒気帯び運転は反社会性が強いという意識 事故発生率にも有意に影響するという判断があり バランス感覚を感じる ( 竹濱 前掲 頁 ) しかし どちらも道交法 65 条 1 項の通常の解釈との整合性に難がある さて 以上のような酒気帯び免責条項の解釈のうちで 本判決の解釈が妥当なものと考えるが いくつかの観点から その理由を考察する 2 文言解釈という観点本判決の解釈が肯定される有力な理由は その文言解釈にある 本件の酒気帯び免責条項では アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態での運転に免責を制限する文言はみられず 前述のように酒気帯びの定義を道交法 65 条 1 項の解釈とリンクさせることで 表現上も意義内容も一義的で明確である 従って これと明確に異なる3 判決の制限的解釈は受け入れ難い これについて 本件約款は 酒気帯び運転という文言を道路交通法 65 条 1 項と同義であると規定しているので 内容が不明確とはいえ ず 作成者不利の原則という解釈手法を採用して 酒気帯び運転の範囲を保険契約者側に有利に解釈することは困難 とする指摘がある ( 山野嘉朗 判批 金判 1386 号 30 頁 ) 3 酒気帯び免責条項の趣旨 沿革の観点酒気帯び免責条項の解釈に関する対立の根底には その趣旨についての理解の相違がある 飲酒免責条項の趣旨として一般的に挙げられるのは 飲酒運転が交通事故を起こす蓋然性の高い行為であること 飲酒運転が法令に反する反社会性の高い行為であること 飲酒運転の場合に保険保護を与えることが飲酒運転をさらに奨励 助長することになり公序良俗に反すること等である 飲酒運転免責条項を状態免責であると解すると 飲酒運転が保険事故を発生させる危険を著しく増加させるものであるため 被保険者がその状態にある間を保険保護の範囲から除外している と解する見解があり これは危険の増加をその趣旨の中心に考えている ( 竹濱修 判批 商事法務 1193 号 頁 ) これに対して 本判決は 道交法 65 条 1 項が酒気帯び運転を禁止しているから 酒気を帯びた状態で自動車を運転してはならないのに運転している場合に生じた事故は自招損害であり 運転者が自己責任を負うべき と述べている 酒気帯び運

5 転は 法令違反行為であり また その行為は 故意 重過失による事故招致に準じるような行為実態がある これは 酒気帯び免責条項が改訂された背景に 近年の飲酒運転を原因とする重大事故の多発を原因とする社会的な問題意識の高まりと それに対応した刑法 道路交通法等の厳罰化にみられる一般社会の飲酒運転に対する規範意識の変化がある つまり 新しい酒気帯び免責条項は 酒気帯び運転事故に対する保険保護が 飲酒運転を助長することになり公序に反し許されないとすることにその趣旨の重点を移した 反批判として 危険の増加という趣旨を重視する立場から 本件免責条項が危険増加そのものにのみ関する規定ではないとしても 事故発生率に係わり 危険増加とも係わる免責条項である面があり 約款文言の改訂のみで簡単にその免責範囲が酒気帯び運転一般に拡大できるかは 慎重な検討を要する ( 竹濱 前掲損害保険研究 73 巻 3 号 250 頁 ) という指摘があり 従前の酒酔い運転免責条項から被保険者に不利益に免責条項を改訂する理由として 飲酒運転への社会的非難や厳罰化のみを挙げるのでは不十分 であり 刑罰法規は刑罰の威嚇により該当する結果発生の一般予防 特別予防を意図するものであって 危険著増による保険者へのリスク転嫁を防止しようとする本件保険約款の免責条項と ダイレクトに結合するものではない とする見解 ( 原弘明 判批 京都学園法学 2011 年 3 号 78 頁 ) 飲酒免責条項が本来異常危険除外の趣旨を含んでおりそれゆえに正当化される点を見過ごして 安易に 飲酒運転厳罰化に迎合する解釈を支持すべきでない ( 土岐孝宏 2 判批 法セミ670 号 137 頁 ) とする見解がある 本判決を支持する立場から 免責範囲を限定する3 判決を受け入れられない理由として 酒気帯び運転免責条項を制限的に解釈すると 新しく約款を改定した意味がなくなってしまう し 約款作成者が免責範囲を拡大した理由は 飲酒運転の根絶という国民の規範意識に対応して 酒気帯び運転中の事故にまで保険保護を認めることは妥当ではないという判断に基づくものであって 公益や危険の増加と直接結びつくものではなく それ自体は保険法の規律に何ら違背するものではない ( 山野 前掲 30 頁 ) と指摘する このように見解の対立は 酒気帯び免責条項の趣旨の理解の相違に起因するが 酒気帯び免責条項の趣旨を危険の著増と関連して考えると制限説 につながる なぜなら改定前の酒酔い免責条項は 酒に酔って正常な運転ができないおそれがある場合を保険者が引受得ない高いリスクと考えるので 酒気帯び運転のような従来の酒酔い運転よりも低いリスクを免責とすることに抵抗するからである しかし 新しい酒気帯び免責条項は 従来の酒酔い免責条項より事故リスクが低いとしても 酒気帯び運転と事故発生リスクとの蓋然性の関連は認められるし さらに飲酒運転を助長することを避け よって飲酒運転の撲滅に至る公序に関する趣旨が付け加わり それを強調することで 免責範囲の拡大を説明することができる また 酒気帯び免責条項を状態免責と考えると 本判決の考え方につながりやすくなる 逆に 本件免責条項を状態免責と解しながら 約款解釈で制限的解釈をとることは一貫性を欠くといえる ( 桜沢 前掲 70 頁は 3 判決は 本条項を状態免責と解しているのに なぜ約款の解釈について 制限的な解釈をしたのか疑問を感じざるを得ない という ) 状態免責を前提として 飲酒と損害等の間に因果関係を求めずに免責とすることも 制限説への誘導要因になっていると思われるが これは矛盾をはらんだ解釈である 結局は 飲酒運転をそそのかすような解釈を許さないとする趣旨を重視することが重要であり 本件免責条項の趣旨 沿革をそのように解すると 免責範囲をより広範に変更したと考えるのが素直である 酒気帯び免責条項の趣旨について 飲酒運転厳罰化を推進する刑事法に迎合する免責条項の解釈に批判があることは前述した 反社会的な行為に対する抑止は刑事法の分担ではないかという指摘である これについて刑事法のみでは不十分として 公益的な事業である保険事業においても 酒気帯び免責条項を置き 飲酒運転を抑止するために 一律に免責を認めることは合理的根拠を持ち得る とし 様々な方向から 飲酒運転を撲滅することの一環として 酒気帯び免責条項が置かれているとする考え方も十分に妥当性を有する ( 山下典孝 酒気帯び免責条項に関する一考察 保険学雑誌 618 号 12 頁 ) との指摘や 私法の分野でも酒気帯び運転の約款文言を制限的に解釈することが 酒酔い運転でなければ飲酒をしても構わないという弊害を生むので 広く酒気帯び運転という事故発生の蓋然性を高める行為に保険保護を与えないことで モラルハザードの誘発を防止すること 及び個々の契約者間の公平性の保つことが重要 ( 桜沢 前掲 頁 ) との指摘がある 5

6 6 免責条項による飲酒運転の抑制効果は 善良で常識的な運転者には効果が期待できるが 悪質な運転者には懐疑的にならざるを得ない面がある この免責条項の効果は 保険保護を得られない事による経済的な負担を自ら負うことに過ぎないからである また 運転者が 自らの残留飲酒検知量を予想して 飲酒量を調整することはないから 様々な事例における偶然な結果により 悪質な運転者が保険保護を得ることも考えられる しかし これは他の善良な運転者との公平という観点で社会的合意を得られない さらに免責条項の制限的な解釈は 酒気帯びによる事故について 人によっては 保険保護を得られる結果が予想され 酒気帯び運転の防止という面でネガティブに機能する この様な飲酒運転の特性からすれば 法令数値以下の酒気帯びも含めて 一律に免責とすることが 新しい免責条項の趣旨により適う 飲酒の影響は個人差が大きいので 運転者の自覚を促す意味でも 一律免責という厳しい解釈が適当だからである 4 他の免責条項との整合性 規定の体裁という観点本判決に対する批判に 酒気帯び免責条項と他の免責条項との規定上の整合性を問題にするものがある 酒気帯び運転の他に 無免許運転や麻薬等の薬物 毒物の影響下にある運転が免責事由とされ そこでは 薬物等の 影響により正常な運転ができないおそれがある状態 という要件が加えられているからである 3 判決は これをとらえて アルコールの摂取は合法であり 運転行動にアルコールの影響が現れるおそれがない場合を免責と解することは困難であると批判する これに対して 一般人が違法な薬物を入手することは困難であり 薬物の影響による保険事故の発生は極めて少ないこと 合法でかつ入手しやすいアルコールを飲酒し 自動車を運転する可能性 は 薬物の影響を受けて自動車を運転する極めて例外的な場合 と比較にならず 飲酒運転を免責としなければ 警察に見つからなければ大丈夫という安易な気持ちで 飲酒運転を行う確率は極めて高くなる可能性がある と免責の合理性を主張する見解がある ( 山下典孝 前掲 頁 ) また 薬物の場合は所持 使用自体に処罰規定があり 発覚すれば刑事処分となり 保険金を請求すること自体稀であり 請求されても多くは免責扱いで処理されるのが実情 との指摘がある ( 塩 崎勤編 現代裁判法大系 生命保険 損害保険 ( 米塚茂樹筆 )386 頁 ( 新日本法規出版 1998 年 )) 悲惨な事故の多発を契機に飲酒運転撲滅を目指して徹底した施策が次々に実施され この社会的な機運は 現在も継続している このような社会情勢下で 事故発生の可能性が高くかつ社会的非難に値する飲酒運転が突出して強く批判されるようになった 特に薬物等の影響下にある運転との要件上のバランスに難があるとする指摘は 飲酒運転による事故が社会問題化したことに比べ その他の免責事由に関連した事故が注目されなかったため 結果として飲酒免責の約款改訂が先行した面があろう 従って 薬物等の影響下での運転についての約款改訂も検討に値すると考えられ 酒気帯び免責条項と同様に 一律免責という形で社会的合意が得られる可能性もあろう ( 山下典孝 前掲 14 頁 ) 確かにこのような意味で 免責条項の規定の体裁に問題があるといえる 5 立証の困難さという観点 3 判決は 免責条項の文言にない 正常な運転をすることができないおそれがある状態 という要件を読み込み 制限的な解釈を行うが この要件を充足するための事実認定は非常に困難であるといわれてきた ( 平野龍一他編 交通論 (1)( 第二版 )( 注解特別刑法第 1 巻 ) ( 米塚茂樹筆 ) 頁 ( 青林書院 1992 年 ) 同旨 塩崎勤編 交通損害賠償の諸問題 ( 東谷隆夫筆 ) 頁 ( 判例タイムズ社 1999 年 ) 例えば16 判例は 飲酒の事実関係が把握できずに免責が否定された事例である ) つまり 旧飲酒免責条項では 酒に酔った状態 ( アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態 ) であることの判断が困難であり 立証できない場合が多かったことから 免責要件の不明確性を払拭し その明確化を図るとともに その立証方法を定型化することで立証を容易にするため 道交法の 罰則数値基準に満たない少量のアルコールであっても身体に保有した状態での運転も免責事由とすること が本件酒気帯び免責条項改訂の趣旨であった ( 市川 前掲 33 頁 ) との指摘がある アルコールの影響で正常な運転をすることができないおそれのある状態 という要件の判断は 道交法の 酒酔い運転 と同義であると解されるが 呼気検査などの科学的測定のみで判断することは困難であり 飲酒運転者の被保険自動車の運転状況 挙措動作 話しぶりなど具体的な事情 状況を総合して判断する

7 とされ ( 桜沢 前掲 71 頁 ) 運転者自身が正常な運転のできないおそれのある状態であったとの認識は不要で酒気帯び運転で運転していたことを認識していれば足りる とされてきた ( 川井健他編 新版注解交通損害賠償法 3 ( 大森利夫筆 )150 頁 ( 青林書院 1996 年 )) また 酒に酔って正常な運転ができないおそれがある状態 の解釈が このように道交法の酒酔い運転と同じ基準で判断されるとしても 実際の運用ではこれ以下のアルコール保有量でも酒酔い運転が問題にされ アルコール検知がまったく行われず アルコール保有量が証拠上不明の事例にあっても 酒酔い免責が認定されている事例 が多数存在するとの指摘がある ( 島林樹 酒に酔って正常な運転ができないおそれのある状態 の判断基準について 自保ジャーナル1725 号 2 頁 ) 例えば 飲酒の事実はあるがアルコール保有量が不明の場合や微酔の場合に 事故前の飲酒量 飲酒後の経過時間等の確認と併せ 精神生理学上の機能が侵されていることを認めるに足りる明らかな外部的徴候 たとえば言語障害直立不能 運動失調等の身体的微表やジグザグ運転 常軌を逸した走行による事故惹起等の運転方法についての外部的微表 を基準に免責を判断する ( 前掲 新版注解交通損害賠償法 3 ( 吉川真一筆 )86-87 頁 ) ので それぞれの事例で判断される アルコール検知がなされないこともある酒酔いの自損事故等において 飲酒の影響は個人差が大きいこともあり この従来の酒酔い免責の要件は 広い守備範囲で運用されていた可能性が高い これに 低濃度アルコールの運動能力に及ぼす影響等を重視する知見を加味すると ( 島林 前掲 3 頁 ) 通常 酒酔いという文言で観念されるよりも低い飲酒で免責されることも想定される ( 大阪地判平成 8 年 1 月 25 日交民 29 巻 1 号 120 頁は 血中濃度が 道交法の酒酔い運転に満たない数値でも 65 条 1 項を根拠に外観上身体にアルコール保有が認知できれば足り酒酔い免責とされた事例である ) その意味で新しい酒気帯び免責条項への改訂は このような酒酔い免責条項の運用の延長線上で考えることもできる 6 本件酒気帯び免責条項が不当条項か否かという観点旧酒酔い免責条項が 現行の酒気帯び免責条項に改訂されたことが 一方的に消費者に著しく不利益な変更をしたとして 消費者契約法 10 条等に 抵触する可能性があるという批判がある ( 例えば 原 前掲 頁は 3 判決の制限的解釈につき 仮に消費者契約法上の論点を予防する意味も併有していたとすれば 3 判決の積極的な判示に 相応の意義を認めてよいかもしれない と評価する ) それは 本判決の形式的解釈によると 常識的な睡眠時間をとり 本人の認識なく翌朝にアルコールが残ってしまっている場合や祭事等で 社会的儀礼の範囲でアルコールを少量口にした場合でも免責とな り 一般人は 刑事罰の対象になるものを 酒気帯び運転 と考えているので 保険保護に対する契約者の合理的期待を裏切り 保険に加入する意味を大きく減じる事態 をもたらし いかなる場合でも ( 例えば 故意 過失がない場合 違法性の意識の可能性がない場合でも ) 当然に制裁があるという本判決の判断は 刑法理論には採用されない異常に厳格な考え方 と批判する ( 土岐 1 前掲 125 頁 ) これに対して 酒気帯び免責条項は 法令を遵守し 適法な運転を行っている運転手との公平性や 一般社会の認識にも合致した免責条項 であり 不当条項とまではいえない 今日の一般的な契約者の認識として 刑事罰の対象となる酒気帯び運転のみが保険者免責となると考えるのは 飲酒運転撲滅に対する様々な動きと逆行する という見解 ( 山下典孝 前掲 頁 ) 保険約款において 何を免責事由とするかは個々の保険契約の定めに委ねられている こと 社会的非難を受ける酒気帯び運転事故による損害を免責としても 保険の機能や目的 あるいは契約者および被保険者の期待に反する不合理なものとは言えないから 不当条項に当たらないという見解 ( 市川 前掲 頁 ) がある 前述の約款文言 変更された趣旨 沿革 さらに飲酒運転に関する社会情勢 市民意識を勘案すれば 現在の一般的合理的な保険契約者の理解は 道交法の処罰対象である政令数値以上の酒気帯び運転や酒酔い運転でなくとも 酒気をおびた状態での運転が禁止され そのような状態での運転での損害等が本件酒気帯び免責条項により免責されるものと考えられるから 本件酒気帯び免責条項が不当なものとはいえない そして このように理解しないと 酒気を帯びても 酒気帯び運転の罪で処罰され得る程度を越えなければ 事故を引き起こしても 保険金の支払いを受けられることを期待するという不当な結論が導かれる と批判されている ( 山野 前掲 頁 ) 7

8 8 約款の不当性の判断基準として 免責条項が広すぎる等として 一般的な保険契約者が当該保険に加入する意味を大幅に減じてしまうような場合に 契約目的の危殆化という観点 から無効が検討されるという指摘がある ( 山下友信 前掲書 130 頁 ) 確かに本件東京地裁判決によれば 免責範囲が拡大するが それは本件免責条項の趣旨で述べたように 制限的解釈により少量の飲酒による事故であれば保険保護が受けられるということがモラルハザードを誘発し この場合に保険金を支払うことは一般的な保険契約者は抵抗を感じるのが通常であり 現在の社会状況では酒気帯びによる一律免責が一般的に受け入れられる規範意識が形成されていると考えられる 従って 帰責事由のある非難可能性の高い行為者に保険保護を与えないことが妥当であるので 酒気帯び運転による損害等を一律免責としても 当該保険契約に加入する意味を減じるとはいえない しかし 契約目的の危殆化という観点によるとする場合にも 契約締結時における担保条件や免責条項の開示や免責部分の特約による担保の選択可能性の提示などの事情を考慮すべき ( 山下友信 前掲書 131 頁 ) という指摘もあるように このような免責条項を保険者は十分に契約者に周知説明する必要があろう 少なくとも 旧酒酔い免責条項使用時における保険契約者等の酒気帯び運転に対する認識やその際に保険保護が得られると考える期待は 現行の酒気帯び免責条項の下では妥当しない それは 旧来の保険保護に対する合理的な期待は 時として 社会的な儀礼上の政令数値以下の軽微な飲酒であれば自動車の運転を許容するような余地を生み出し 多少の飲酒ならば運転をしても構わないという契約者等の認識を生み出しかねなかったが 道交法は政令数値以下であっても 飲酒による運転を禁止し 社会的儀礼上の飲酒も同様であることは明白で 現在の一般的な契約者は 政令数値以下の軽微な飲酒でも免責に十分であり 旧来の酒酔い免責条項のような運転困難なほどの飲酒と認識しているとはとても思われない なによりも 社会生活上 儀礼上ごく少量のアルコール摂取をする機会は確かにあるが その状態で車両の運転をするということは全く別問題である 7 本件酒気帯び免責条項の課題上述の検討を通して 本件酒気帯び免責条項について 酒気帯び運転に保険保護を与えないとす る文言は明確であり 特に趣旨及び沿革 それを背景にした一般的な保険契約者等の合理的意思は 自ら法律上禁止されている行為を行い生じた損害について 保険保護を与えることは公序に反し社会的な非難を浴びることになるので 免責されると考えている 従って 本判決同様 酒気帯びの程度にかかわらず 通常身体に保有する以上のアルコールを保有し それが外観で分かる状態の酒帯び運転の場合を一律免責と解することが妥当である 旧約款の下でも非難可能性の強い反社会的行為によって生じた損害を保険給付によって填補することは妥当でないと指摘されており それは昭和 47 年より対人 対物賠償保険では無免許 酒酔免責規定が削除されたが 第三者保護の必要のない自損事故条項等に酒酔い免責が残されてきたことにも表れており ( 前掲書 注釈自動車保険約款 ( 上 ) ( 西島梅治筆 ) 頁 ) 今や酒気帯びの場合でも 故意 重過失による事故招致に準じるような実態をもつ帰責事由のある自損行為による損害に保険保護を与えないことが 一般的合理的な保険契約者等の意思となる 4 判決は 酒気帯び運転の場合 たとえ飲酒量が微量であっても認知力 情報処理能力 注意力 判断力が低下し 反応速度が遅くなって交通事故を起こす可能性が著しく高まる として 酒気帯び運転の危険性を指摘するが これによれば酒気帯び運転が事故発生率とも無関係とはいえない その際に酒気帯び免責条項を形式的に適用できない特段の事情が存在する場合がありうることも想定されているが ( 山野 前掲 31 頁 ) だからといって そのような例外的な事例を理由に 3 判決のような制限的な解釈を採用することは出来ないとする指摘は正当である ( 山下典孝 前掲 14 頁 ) 本件酒気帯び免責条項が 旧約款と比べて保険契約者等にとって不利であるという理由で 制限的に解釈する立場は 実質上 本件酒気帯び免責条項の免責範囲を旧酒酔い免責条項と同じ酒酔い運転以上を免責範囲とすることになる 本件のような文言上明らかに免責範囲を拡大したと読める条項を制限的に解釈すると 約款を改訂した意味がなく 保険契約者等にとってもかえって理解が難しくなる 約款の改訂自体が問題であれば 限定解釈せずに むしろ当該条項を無効と考えた方が簡明ではないか 免責条項は一般的合理的な契約者に一義的に理解できる簡明な文言とその趣旨 沿革を斟酌して解釈されるべきであり 本件酒気帯び免責条項は免責範囲を広範に変更したと

9 解すべきである その際留意すべきことは 消費者契約法 3 条 1 項を遵守し 飲酒免責条項の趣旨や 自動車等の運転に飲酒のもたらす影響 問題を契約者等に丹念に説明することで 保険契約が飲酒運転の撲滅に貢献できる余地があるし この約款の有効性を担保する根拠があると考える ここまで検討したいくつかの観点は 裏返すと本件酒気帯び免責条項に対する批判と考えることができる そこで それらの批判を乗り越えて約款上に登場した本件酒気帯び免責条項の課題について 以下に指摘しておく (1) 本稿では本判決のうち 主に自動車保険の酒気帯び免責条項について検討したが 本件では交通傷害保険の酒酔い免責条項についても判断がなされたように 飲酒運転の免責条項は 本件の損害保険だけではなく 生命保険の各種約款においても存在する 飲酒運転の免責条項の典型的なものは 自動車保険契約の搭乗者傷害保険等に従来規定されていた酒酔い免責条項であったことは前述したが 生命保険契約の災害割増特約や傷害特約等の特約中では 被保険者の無免許運転中または飲酒運転中の事故によるとき から 被保険者が法令に定める酒気帯び運転またはこれに相当する運転をしている間に生じた事故 という文言等を飲酒免責条項に使用してきた この 飲酒運転中の事故 の解釈については 酒に酔って正常な運転ができないおそれがある状態で運転されたときと解するのが一般的であり これは道交法上の酒酔い運転に準じる基準により判断された ( 大阪地判昭和 60 年 2 月 28 日文研判例集 4 巻 165 頁 大阪地判昭和 59 年 11 月 8 日文研判例集 4 巻 92 頁 札幌高判昭和 57 年 12 月 9 日文研判例集 3 巻 299 頁 (1 審 釧路地根室支判昭和 56 年 3 月 13 日文研判例集 3 巻 16 頁 ) これに反対し 大阪高判昭和 60 年 10 月 16 日文研判例集 4 巻 267 頁は 酒気帯びの基準とする ) 法令に定める酒気帯び運転 の解釈については 道交法の酒気帯びの政令数値以上の罰則規定を基準とするものが通常で 当該事故と飲酒との因果関係も必要としないとされる ( 札幌高判平成 6 年 7 月 13 日文研判例集 7 巻 397 頁 東京地判昭和 63 年 12 月 20 日文研判例集 5 巻 385 頁 ) このように 従来の解釈では どの免責文言も道交法の罰則規定の適用基準とリンクして解釈運用されてきた これは 前述の自動車保険等の損害保険の免責条項だけではなく 生命保険の各種特約条項でも同様である 従って 飲酒運転に関する免責条項の全体の解釈傾向は 酒気帯びか酒酔い かどちらかの道交法上の罰則規定の基準に該当する事例が 保険約款の飲酒運転免責条項上も免責となると一般的に解されてきた 例えば 前掲 9 判決は 本判決と同じ 道路交通法 65 条 1 項に定める酒気帯び運転もしくはこれに相当する状態で自動車を運転していた場合 という免責条項の適用が問題とされたが 道交法の改正により罰則対象となる酒気帯び運転の基準が厳格化されたため 保険契約締結時の法令と 事故当時の同法令とどちらの罰則を基準とすべきかが争点とされ 後者が基準と判示されたが 新しい免責条項においても道交法の罰則が適用基準とされた事例である 以上のように 飲酒運転の免責条項は 道交法の罰則適用の基準と歩調を合わせて保険者の免責を判断してきたのであるから 本件の新しい酒気帯び運転免責条項と本判決の判断は 従来の免責の判断基準から逸脱して そこから一歩踏み込んだことになる つまり 道交法 65 条 1 項という罰則の適用のない領域で保険者の免責を認めたからである 本判決は 飲酒の検知数値が非常に低い事例といえ 従って傷害保険の酒酔い免責条項については免責が否定されており 本件の酒気帯び免責条項についても 従来の政令数値による酒気帯びの罰則を基準にすると 異なる結論になった可能性があったのではないか そして そのことに本判決の意義がある この理由と趣旨については前述したが 飲酒運転による事故の撲滅という社会的な動向を背景として 裁判所もその合理性を認めた また これまでよりも厳しい基準での酒気帯び運転の免責についても 保険契約者の理解が得られ 社会的な妥当性も高いと考えられる その意味で 本件酒気帯び免責条項は 飲酒運転の免責に特化した特別な条項ということができる しかし その本体ともいえる酒気帯び免責については以上のように考えられるとしても 本件で争点とされていないが むしろ課題になるのは 必ずしも社会情勢の追い風を受けていない同条項の続きの約款文言である これに相当する状態で運転している場合 を免責にするという文言の解釈にあるのかもしれない 酒気帯びに相当する状態として どのような事例を解釈上読み込むかによって 本件免責条項の射程距離が変わり 解釈によっては保険者に有利な免責条項になる可能性があるからである この点に関しては 道交法 66 条の過労運転等がこれに当たるという解釈が主張されており ( 山野 前掲 31 頁 竹濱 前掲損害保険研究 252 頁 ) 妥当な解釈と考えるが この文言 9

10 10 の解釈適用に関する実務動向を注視すべきである ( 本判決は 飲酒と薬物の複合事例と捉えることもできるが 判示内容で問題にされているのは 主に飲酒についてであり 飲酒と薬物の相乗効果が問題になるようなケースもあり得ることを示した ) また 本件酒気帯び免責条項のような約款改訂が 自動車保険で先行した理由は 飲酒運転による交通事故の問題について 損害保険会社がその専門性もあり 迅速に対応したということであろう 今後は 生損保含めて他の飲酒運転に関する免責文言の動向についても注視したい (2) 本判決の解釈による際 酒気帯びの判断基準の問題も検討に値する これまで 酒酔い免責条項の 正常な運転ができないおそれ の判断基準について a 正常な運転能力に支障を惹起する可能性が具体的に相当高度の蓋然性のあるものに限るとする見解 と b 一般的抽象的に正常運転ができないおそれがあると認められる場合 であれば足りるとする見解 があり 本号が単なる酒気帯び運転を免責事由とせず 酒に酔って正常な運転ができないおそれのある状態をもって免責事由と定めていることからすると 具体的に相当程度の蓋然性のある場合でなければならない として前説が妥当とされた ( 塩崎編 前掲 交通損害賠償の諸問題 570 頁 ( 東谷隆夫筆 ) 釧路地判昭和 55 年 3 月 21 日交民 16 巻 5 号 1233 頁 ( 控訴審 札幌高判昭和 58 年 10 月 5 日交民 16 巻 5 号 1231 頁 ) は 酒に酔って正常な運転ができないおそれのある状態について アルコールの影響によって正常な運転の能力に支障を及ぼす抽象的な可能性一般を指称するものではなく その可能性は具体的に相当程度の蓋然性のある場合でなければならない とし そのような状態にあるかどうかは その者の当時の言動 様相などの外部的徴候の観察及びその者の飲酒量 飲酒後の経過時間などの内部的状況 ( 身体のアルコール保有量 ) の両面から推測すべき と判示した ) 例えば 前掲 10 判決は 原告の事故後の呼気中のアルコール濃度が呼気 1lあたり0.05mgであり 本判決と同様な微量飲酒事例であるが アルコールの検出数値の他に 昼間のバッティングセンター ドライブ 深夜の飲食と飲酒による居眠りを認定する等 運転者の普段の酒量と酩酊の程度 運転者の当時の精神的 肉体的状態 運転者の運転状況 事故の態様 事故の原因など外部的徴候も考慮して 飲酒と事故との関係を総合的に検討 して 正常な運転ができないおそれ を認定し保険者を免責 としたが 実質上 飲酒検知のない場合と変わらないほどに様々な事情を斟酌している 本件の新しい免責条項についても同様に 酒気帯びの判断基準は 道交法 65 条 1 項の定める酒気帯び状態を基準にすべきであるが 個別具体的な事情を斟酌して丁寧に免責判断をすべきと考える ( 桜沢 前掲 71 頁は 現行約款につき bのように解すべきか 慎重に検討したい といい 山野 前掲 31 頁の ( 注 19) は 酒気帯びの判定および免責適用は個別具体的かつ慎重になされるべき という ) 飲酒検知等の数値がないときは 諸般の事情で酒気帯び免責を判断することになるが その数値のあるときは 機械的に判断して構わないか疑念が生じる ( 前掲 4 判決について 市川 前掲 33 頁は 飲酒検知において呼気 1リットルにつき0.1ミリグラムのアルコールが検出された以上 道交法 65 条 1 項に定める酒気帯びの状態で運転していたとして 免責事由に該当するという結論が導き出せた と批判をしている ) 道交法での酒気帯びの判断基準は 数値基準によらずに外観上酒気帯びとみられる状態とされているが 酒気帯びの政令数値以上の罰則基準以上はもちろん 罰則基準以下の飲酒の数値基準が判断材料になりうることは道交法 65 条 1 項の立法趣旨に照らしても明らかであろう ( 平野編 前掲 交通論 (1) 頁 ( 米塚茂樹筆 ) は 道交法 65 条改正の趣旨について 昭和 45 年の法改正以前には 身体に政令で定める程度以上のアルコール ( 中略 ) を保有する状態で運転することに限られていた このように 一定程度以上の酒気帯び運転の禁止となっていたため その程度以下の酒気帯び運転は社会的にも許容されているという誤解を生んでいるのではないかとも考えられたので アルコールの程度いかんにかかわらず 酒気帯び運転をすべて禁止することとした という ) この問題は 前述の酒気帯び免責条項を形式的に適用できない特段の事情という例外の判斷の問題にも関連する この特段の事情について 下戸である被保険者から通常以上のアルコールが検知されたものの 同被保険者に飲酒の事実が認められなかった場合にまで 保険者が形式的に酒気帯び運転免責を主張することは不当と思われる ( 山野 前掲 31 頁の ( 注 19)) という具体例が挙げられているが これは人によっては飲酒以外の食品等に含まれる微量のアルコール成分が影響すること等が問題とされることを予見しており 形式的判断に馴染まず 個別具体的な判断の必要なケースが存在する可能性を

11 示唆する これらの酒気帯びの判断につき 最も明確で重要な判断材料が飲酒検知の数値であるが これを重視して酒気帯び状態を判断することは 道交法 65 条 1 項の解釈が飲酒数値にかかわらず総合的に酒気帯びを判断していることとは矛盾しない 通常の事故 つまりほとんど大多数の事例では 具体的な飲酒の数値が有力な酒気帯びの判断材料となるが 自損事故等でそれがない場合もあり あるいはそれ以外の場合にも具体的な事例に応じて丁寧な検証を加えて免責を判断すべきケースがあり また 本件酒気帯び免責条項は 前述のように状態免責と解されるので 飲酒運転と傷害や損害の間に因果関係が必要とされず このような保険者に有利な解釈については批判もあり 事実認定の場面では個別具体的な事情を丁寧に検討する必要がある この点 本判決は 飲酒の検出数値が小さいこともあり それ以外の事情を斟酌して免責判断をしており妥当なものといえる 最後に 道交法上禁止されている酒気帯び運転も含めた飲酒運転は 社会的に強く非難されるべき行為であり 肯定されるべき要素のない有害な行為であるから 社会的にこれを抑止できるように 本件のような保険約款の改訂の他に 例えばアルコール インターロック装置の技術開発や保険料の軽減化等によるその普及の取り組み等 保険者の様々な活動が期待されることを指摘しておく ( 山下友信教授コメント ) 飲酒運転に対する社会的取り組みが進む中で 酒酔い運転よりも保険者免責の範囲を拡大する酒気帯び運転の免責条項について その文言どおりに解釈するか 何らかの制限的解釈をするかは甚だ難しい問題である 酒酔い運転免責であれば 事故発生の危険の高まった状態に着目した状態免責あるいは被保険者の重大な過失に類似する免責として説明ができるが 酒気帯び運転免責となると 道交法に違反する酒気帯び運転のすべてが免責該当とすると酒酔い運転免責と同じ説明はできそうにない もっとも 刑事罰の対象とならない酒気帯び運転も違法であることには変わりはないから その点の被保険者の行為の非難可能性をもって免責の趣旨とすることは考えられるが 同じく被保険者の行為の批判可能性を理由に保険者免責事由とされていることが少なくない被保険者の犯罪行為免責については 犯罪行為により生じた事故が免責事由とされていて, 犯罪行為と事故の 発生との因果関係が必要とされており その上で犯罪行為の態様などから免責の範囲をやや制限的に解釈することが少なくないことと比較すると 因果関係不要な酒気帯び運転免責について制限的な解釈をしないで適用することは いかにも厳格な免責事由のように評価されても仕方がない面はある しかし 飲酒運転をなくそうという社会的な取り組みの中で 保険契約については酒酔い運転でさえなければ保険給付が行われるということも 社会的な批判を招きかねないことも否定しがたく そのことが異例ではあるが 酒気帯び免責条項をその文言どおり適用することをぎりぎりのところで正当化するといえようか しかし そうではあれ 保険給付の全部免責というペナルティを科すことが不可欠かは自明ではなく 部分免責のような効果も考えられないであろうか また 道交法の酒気帯び運転に該当すれば基本的には免責とするとしても 福島教授の示唆されるように酒気帯び運転の態様やそこに至った経緯などから非難可能性がないか またはきわめて小さいような場合があるとすれば 免責とはしないというような解釈の余地も残しておくべきであろう ( 東京 : 平成 25 年 2 月 6 日 ) 報告 : 福島大学行政政策学類教授福島雄一氏座長 : 東京大学教授山下友信氏第 267 号の正誤表 110 頁 ( 山野嘉朗教授コメント ) の8 行目 本件特約の期間中 を 本件特約の保険期間中 に訂正 2 報告者名日本生命保険相互会社契約法務課長中島隆英氏を中島隆秀氏にご訂正をお願いいたします 11

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