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きゅうたしげい
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1 979 三菱重工業株神戸造船所 1 はじめに造られている巨大な船体が海に向幅が約 43m 高さ約 25m であるかって滑走する様子は迫力があり一たとえていうと高さは 6 階建ての見の価値があるビル並み長さは東京タワーの高さと今回の取材では船台で船を建造すほぼ同じである戦艦大和よりも長く今日私たちの周りには海外で生産る神戸造船所ならではの迫力ある進幅広である近づくとその大きさがよされたものがあふれており海外との水式と造船工程を見学させていただくわかる貿易なしには生活は成り立たない貿きそれを踏まえて設計にかかわるエ会場へ到着するとそこは大勢の人易の輸送手段として海上輸送は欠かンジニアの皆様にインタビューさせてでにぎわっており音楽隊の演奏するすことができないが将来さらにグいただいた音楽が流れ晴れやかな雰囲気が漂っローバル化が進めば効率的に輸送できる大型船が世界中から求められよう日本は世界有数の造船国でありとくに大型船ではトップクラスのシェ 3 ていた船は海へ向かって後ろ向きで船台の上に乗っていた船尾には舵や進水式見学スクリュープロペラなどといった精密機器がある進水時に船体が浮かびアを誇っている今回は大型船を建神戸造船所のある和田岬駅をおりるかけて不安定なときにそれらの機器造している三菱重工業株神戸造船とすぐ命名進水式会場という看を船台表面に当てないために後ろ向所図 1 を訪問させていただいた板があった進水式は一般の人でも応きで進水させる船には台車のような募をすれば見学できるが和田岬駅を台座がワイヤで固定されておりそのおりると見学者の列ができていた台座が進水台の上に乗っていた船とさっそく受付を済ませ船のある船台地面との間にはところどころに盤木へ向かう進水式の会場へ近づくとと呼ばれる荷重受けのようなものがはだんだんと船の全貌が見えてくるやさんであり船はそれらによって地はりでかい面の上で支えられていた外からは見 2 三菱重工業株神戸造船所の概要神戸造船所の歴史は古く今から約 100 年前の 1905 年 8 月 8 日に船舶の修理を主要業務として発足し今回見学した船は大型コンテナ船えなかったがこのほかに船底に行きた当時国内産業の主力になりつつで船の大きさは全長が約 300m 止めの支柱が溶接してあり船を滑らあった造船業の発展を支え続け今日でも日本の主要な造船所の一つである現在では船舶海洋製品のほか原子力原動機宇宙機器など幅広い事業を展開している船舶部門ではコンテナ船自動車運搬船潜水艦深海潜水艇などを建造し原動機部門では船の原動力である舶用ディーゼルエンジンを製作している神戸造船所の大きな特徴は船の建造をドックではなく神戸港に面した船台で行うことである船台には進水台と呼ばれる滑り台がある船台で組み上げられた船は船体の完成後に進水台の上を滑って海へ進水するこのためこの進水台は重力で滑るため 2.5 度の傾斜を持ち船体が斜面から海面へと勢いよく進水するように図1 41 三菱重工業株神戸造船所の正門

2 980 図2 図4 今回進水する船図3 船の名前の部分は幕で覆われ船首にはくす玉が日本酒瓶が割れると同時に進水開始ないように支えている図 2, 3 図5 みとなる無事に進水した船レーンで引き揚げ次船の建造のためまた船にはこの晴れ晴れしい進そして進水の命令とともに進水水式のためにさまざまな装飾が施さ式スポンサ女性が日本酒を支えてれていたまず船首にはくす玉が取いる支網を斧で切断すると日本酒が進水式が終わると船の乗っていた船り付けられており船体の名前が書い船体にたたきつけられて割れるそれ台が見学者に開放され船の下にあってある部分は幕で覆われていたさらと同時にトリガが引かれついに船がた進水台を見学できた船台の進水台に船首の横の部分には日本酒の瓶が動き出すゴーという音とともに上には手のひら大の鋼球がたくさんつ取り付けてあったますます繁盛とい徐々に速度を増しながら船は船台といておりこの鋼球がころの役割をしう意味を込めて 2 升半の日本酒を進ともに進水台の上を走っていくそれて船が滑ってゆく 2.5 度の傾斜を水のときに割るまで目の前にそびえ立っていたビルの持っている船台はその上に立つだけように巨大な物体が滑走する姿は迫力でも傾きを体感でき傾いた船台でのに進水式が始まった進水式はま満点動き出すと同時にくす玉が割れ組み立て作業の難しさがうかがえたず船の命名から始まる命名とともに紙テープをなびかせ船は無事に海上記念撮影もそこそこに済ませ造船工船体の名前が書いてある部分に取り付へと進んで行った図 4, 5 程の見学へと足を運んだそうこうして船を観察しているうちおのに整備される以上で進水式は終了であるけられていた幕が取り払われ船の名最後に海の上で台座を船に固定前が現れる次に進水の準備が始ましていた数十本のワイヤを切り離す作り船を支えていた盤木や支柱が取り業に入るワイヤの切り離しは火薬で払われるこれで船を支えるものは一度に行い切り離された台座はその船体中央付近の進水台にあるトリガまま海の中へ落ちたちなみにこの神戸造船所では船の建造のためにと呼ばれる滑り止めの油圧ジャッキの台座は進水式のあとその日のうちにクブロック組立工法という手法をとっ 42 4 造船所見学

3 981 ているこれは船を幾つものブロッ繰り返すそうして求める曲面が創出ひとつのブロックがとてつもなく大きクに分けて製作しそのブロックを組されるまさに職人技と呼ぶにふさわくなるため船台の周りには数多くのみ合わせて船の形を造る建造手法でしい技術であるクレーンが設置されるある作業をおおまかに分けると部材またこの三次元曲げの工程は生小さな部材から船の形になるまですの切り出し曲げ加工組立に分けら産設計者にとって部材をどのようにべて溶接で組み立てるため溶接線のれる図 6 切り出せばよいのかという点が難し総延長は 570km にも及ぶこれだいつまり部材を切り出すためにはけ溶接箇所が多いと溶接不良が心配に鋼板から部材を切り出す工程を見学しその三次元形状を二次元の鋼板に展開なるが当然のことながら対策がしったわれわれが訪れたときは工場でしなければならずどのように展開すかりとられていた溶接をした全箇所は大型コンテナ船を建造していたればよいのかという点が難しい問題でについて目視でチェックはもちろん造っていた船のサイズは重量が約 2 ある船の美しい曲線には職人の技術 X 線透過検査や超音波探傷検査などの万 t 材料は鋼材が約枚と設計者の知恵がぎっしり詰まってい内部健全性確認さらにタンク構造でフレーム材が約 2 万本これら膨大ることが伝わってきたは気密試験を行っているこうして溶まずは鋼板を研掃塗装しそのな材料から部品が切り出されてゆくそして最後に組立工程を見学した接箇所の品質を保証しているそうだスケールの大きい船だけに部品数も曲げ工程で三次元形状まで造るとこ造船所で見学した工程はここまでだ多いこの船の部品数は構造部材だけこから溶接でブロックを組み立てて形がこの先は次のような工程を踏むで 10 万点にものぼるを造るブロック内の外板どうし溶接まず船体の組立が済むと最初に部品の切り出しを行う前にまず鉄はサブマージアーク溶接法という自動われわれが見学したような進水式がの酸化膜である黒皮のついた鋼板を溶接法が使われているサブマージ行われ船は海上へ移動するしかしショットブラストによって研掃しそアーク溶接では砂状のフラックスで溶このときまだ船体内部は完成していの後防錆剤を塗布する船は塩分が接部分を覆いその中でアークを発生ないそこで進水した船を岸壁によ含まれる海水にさらされるため鉄にさせて溶接するそのため溶接部分せて最後の仕上げで船を内装工事とってかなり過酷な環境といえるそを見ることはできないが溶接の品質艤装するその艤装が済むと海こで錆の発生を防ぐために構造用途がよく厚い板でも溶接できるぎ上で船を試運転し性能を検査するここから先は溶接を繰り返しブ検査が無事に終わると晴れて船が完何回にも分けて船体に塗っていく塗ロックを大きくする工程である工場成となる鋼板の加工開始から船体ブ装が済むと次に切り出しの工程に移で 100t 弱くらいまでのブロックにロックを準備するまでに 3 カ月船る切り出しはプラズマ切断機によっ組み立て船台でさらに大きなブロッ台で船体を組み立てるのに 3 カ月て行われる厚さ 40 mm までの鋼クに組み立てて最終的に船の形とな艤装が終わり試運転引渡しまで 3 板であれば 100cm / 分以上の速度る船台で組み立てるときには一つ 4 カ月かかり全体では約 1 年弱に合わせた塗装を工程の途中途中でで切り出せる切り出しされた材料は曲げ工程へと運ばれる造船工場では鋼板を曲げる加工法とぎょうてつして撓鉄焼き曲げという手法が使われている撓鉄とは鋼板をバーナで焼き周りに水をかけて冷やしてたわ鋼板を撓ませ曲げる手法である熱膨張した鉄は周りで止められて圧縮して塑性変形される普通板の曲げというとプレス加工が思い浮かぶが船の外板にもなると大きすぎて型も大きくなってしまいプレス加工には不利であるそこで撓鉄という手法を用いているしかし撓鉄でどの程度曲がるかということは定量的にはわかりにくく技術はノウハウによって継承されている熱しては冷やしを繰り返しそのつど木で作った型を当てて凹に撓んだ曲がり具合を見てという作業を図6 工場で組み立てられたブロックとても大きい 43

4 982 Vol. 112 No.1093 で完成するそうだ. 船はスケールが大きく, 部品点数も多いため, 設計が大変そうだと感じた. また, 船の製造工程では, 撓鉄や溶接など, 経験やノウハウを必要とする工程が数多くあった. それらはすべて人の手によって行われており, そういった点にも造船の難しさを感じた. そこで, われわれは次に, そういった造船の難しさや造船の将来について, 船の設計者の方にインタビューした. 5 設計者へのインタビュー神戸造船所で船の設計を行っている森英男氏と植西清人氏にお話を伺えた. 以下に学生からの質問と, それに対する両氏の回答をまとめた. メカライフ学生委員 ( 以下, 委員 ) 大型船の建造では, どのような技術課題があるのですか. A 大型化すると, まず船体の強度が問題になります. 大きくなればなるほど, 波から受ける力は大きくなり, それに見合うだけの強度をもたせなければなりません. 使う材料も, 強度が高いものを使い, 強度的な技術課題を満足させます. 委員船の性能はどのような進化をしているのですか? A まず一つは船体の形状が進化しています. 船の形は水の抵抗に直接関係するので, 船体の形状が改善されると推進力が上がります. ほかには, 強度の高い鋼材を開発して, より軽い船を造るよう努めています. 委員船体形状は研究所で検討するのですか. A 事業所と研究所が共同で行います. というのも, 船は受注生産が基本なので, あらかじめ船を造っておいて, 後で顧客に選んでもらう, ということができません. また, お客様の要望も毎回少しずつ変わるので, あらかじめ開発しておくこともできません. 委員受注するときに, 要求されたスペックを満たせるかどうか, どのように判断しているのですか? A 契約時に保証項目を決めておき, 万一満足できなかったときはペナルティーを課す, という契約をしています. そのため, 受注時に見誤ってしまうと大変です. 委員一般的な船の形状というものはありますか? A ありません. そうしてしまうと, お客様ごとに要求が変わるので, どうしても最適ではない形状を造ってしまいます. われわれの使命は, お客様の要求に対して, その時点で考え得るベストな船を提供することです. ただし, 海外の大規模な造船所では同じデザインの船をたくさん作ることで安くしているようです. 造船所の規模と船を買う顧客との組み合わせで, 生産形態も変わってきます. しかし, 設計では, 部分部分の標準化を目指す活動をやっています. 受注生産では毎回違うものを造っているように見えますが, 実際はよく似ている部品も造っています. そこまで全く違う設計にすると非効率的ですから, できる限り標準化します. つまり, モジュラデザインへ移行しようと取り組んでいます. エンジンにも, モジュールデザインがあります. 要求されるスペックによって当然バリエーションの違いが生まれますが, そのときでも, 変わらない部分と, 変える部分とが必ずあるのです. 変わらない部分をコアとして, そこは基本的には固定し, 変わる部分だけを変えられるように設計します. 委員船は一品物で, ロングスパンでつくるため, 生産技術の改良もスパンが長くなってしまうと思いますが, いかがですか. A 基本的に設計の時点で, 生産技術の担当者と一緒に協議するので, 生産技術的な仕様も設計と同時に決まります. とはいうものの, 船は大きく複雑な構造物なので, 造る最中にああしたほうがよかった, こうしたほうがよかった, といったことが後になって出てきます. そういう情報は設計にフィードバックされて, 次の設計時には最初から織り込みます. 生産技術の改善は, 船を造るスパンごとに行うので,3 カ月ごとということになりますね. 委員製造現場を見てみると, 撓鉄や溶接などでノウハウが必要になると感じました. そうすると作業者によって違いが出てくると思うのですが, どのような対策を行っているのですか. A 基本的には基準を設けています. たとえば, 材料の種類板厚によって溶接条件や溶接材料を指定します. 昔の人が経験して蓄積してきたノウハウは, 生産技術として残しています. ただ, 料理と一緒で, そのとおりにやったからといってうまくいくとも限りません. やはり現場ではなによりも経験が重要です. マニュアルでは教えきれないノウハウは, 熟練者と若手とを共同させて, 組織として意識して次の世代へ引き継げる体制を敷いています. 委員一般的に, 船の点検周期, 耐用年数はどれくらいなのですか. A 船の寿命は, 一般に 20 年です. ですので,20 年を超えて動いている船を見るとがんばっているなといういとおしむ気持ちが出てきます. もちろん, その 20 年間何もしないというわけではなくて,3 年から 5 年ごとに造船所のドックへ入って, 完全に水から揚げてチェックを行います. 塗装を塗り替えたり, 構造健全性をチェックしたり, 腐食具合を調べたり, 中に入っているさまざまなパイプ類をチェックします. でも,20 年というのは一つの目安です. 豪華客船では, 30 年や 40 年もの長い間, 修理して使っている船が少なくありません. 委員造船業界で最近のトレンドはありますか. A 大型化の傾向はあります. やはり, 荷物は一度にたくさん運んだほうが効率が良いので, 経済効果を求めて大型化するのです. ほかには, 最近は環境に優しい, というキーワードがあり, お客様からも要望されています. 委員環境に優しい船にするために具体的にどのようなことをしていますか. A NOx や SOx といった有害物質を排出しないように, 燃費を良くします. 船体では, 形状を工夫して, なる 44

5 べく軽くしますまた推進性向上のためのプロペラの効率を高くしたりプロペラ周りの水の流れをきれいにしますについてのみ掲載したおわりに最後になりましたが今回の取材にて三菱重工業株神戸造船所の皆様にはお世話になり深く御礼申し上げます図 7 エンジンサイドでは NOx 規制に今回の取材でいちばん印象に残った対応できるように機関性能のチューのはなんといっても進水式であるニングや燃焼室内への水噴射またその迫力には圧倒された東京タワー塚田匡秋元健太郎兼平さゆりさらなる対策として脱硝装置を別に付並みの大きさのものが目の前で動く模田中文益子雄太郎けることも実用に向けて研究しており様は圧巻でその迫力は言葉では表現ますまたエンジンはより多くのしきれない神戸造船所では約三カ月荷物を積むために高出力でありながに一度進水式を行っており一般応らコンパクトに設計しています募で見学を受け付けている興味を委員世界の造船業は韓国が, 一番大きいと思うのですが日本の造船会持った方はぜひ自分の目で進水式の様子をご覧いただきたい社とどのような違いがあるのですかまた工場では途方もなく大きいいちばんの違いは韓国の会社船が一つひとつの部品から形になっは規模が大きいということですねていく様子とりわけ経験豊富な作現代ヒュンダイ重工業株は年業者によって撓鉄や溶接で造られる様間 50 隻くらい生産している大工場を子を見学できたことは有意義であった A 持っておりコスト面で強いはずですまた設計ご担当の森氏植西氏そのような中で日本の造船エンジンご担当の那須敏行氏生産ご会社はどこで勝負しているのですか担当の辻井浩氏には貴重な時間を割委員われわれは技術力でお客様にいてインタビューさせていただきとっての価値を高めるよう努めていまエンジニアの生の声を聞かせていただすいた残念ながら紙面の都合上設計 A 図7 メカライフ学生編修委員三菱重工業株神戸造船所の方々とメカライフ学生委員 45

３造船所船を実際に建造するのは造船所です中部地方は歴史的に海運が盛んであったことや気候や地理的条件に恵まれたため大小多くの造船所があり基盤産業として地域を支えています１隻の船を建造するためには鉄工木工機関工事電気工事などあらゆる技術が必要です清水港周辺には造船所のほか

３造船所船を実際に建造するのは造船所です中部地方は歴史的に海運が盛んであったことや気候や地理的条件に恵まれたため大小多くの造船所があり基盤産業として地域を支えています１隻の船を建造するためには鉄工木工機関工事電気工事などあらゆる技術が必要です清水港周辺には造船所のほか１船の種類船は大きく分類すると客船貨物船及び漁船に分類されます客船は人を運ぶための船舶で人命を預かることからより高い安全基準への適合が求められます貨物船は何でも運ぶ一般貨物船と特定の貨物を運ぶために専用の装置や構造を備えている専用船とがあります特に油タンカーやケミカル化学薬品タンカーは衝突座礁などの海難事故の場合に大きな被害をもたらすことから特殊な構造となっています