青年期の子どもを持つ夫婦による夫婦間葛藤に対する原因帰属と対処行動

Size: px
Start display at page:

Download "青年期の子どもを持つ夫婦による夫婦間葛藤に対する原因帰属と対処行動"

Transcription

1 青年期の子どもを持つ夫婦による夫婦間葛藤に対する原因帰属と対処行動 資料 心理学研究年第巻第川島 伊号藤 菅 原 酒井 菅原 北村 : 夫婦間葛藤認知 365 川島亜紀子お茶の水女子大学伊藤教子明星大学菅原ますみお茶の水女子大学酒井厚山梨大学菅原健介聖心女子大学北村俊則熊本大学 ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) Key words: ( ) これまでの夫婦関係に関する心理学的研究により, 夫婦間葛藤が夫婦や家族の身体的 精神的健康や不適応行動との短期 長期的な関連が示唆されている ( ) 中でも, 夫婦間葛藤帰属は葛藤時の非効果的対処, 否定的感情, 否定的コミュニケーションと関連するとされ, 欧米の夫婦関係研究の中で重要視されている ( ) この測定には一般的に ( ) が作成した夫婦間での否定的出来事 ( ) 本研究は平成 年度お茶の水女子大学 世紀 ( 人間 発達 ) 公募研究助成, および平成 年度科学研究費補助金 ( 課 題番号 :, 基盤研究 ( ), 研究代表, 菅原ますみ ) によ って行われた なお, 本研究の一部は ( 人間発達 ) 公募研 究成果論文集にて公表された 長期にわたる縦断研究にご協力くださっている対象者のご家 族に心より感謝申し上げます に対する帰属を測定する尺度 ( 以下 とする ) が用いられている ( ) は夫婦間で起こり得る仮 想の葛藤状況に対し, その原因と責任について評定さ せる尺度で, 下位次元として二次元が想定されてい る 第一次元の原因の否定的評価 に は,( ) 原因の所在 ( 配偶者自身に原因がある ), ( ) 安定性 ( 理由は変化しそうにない ),( ) 全 体性 ( 理由は結婚生活のほかのことに影響を 与える ), 第二次元の相手の悪意 責任 には,( ) 意図性 ( 故意にした ),( ) 自己中心的動機 ( 自己中心的に考えてし た ),( ) 責任 ( 責められて当然だ ) が含まれ る わが国では川島 ( ) が, ( ) の開発した家族間問題構成尺度に基づく尺度を用い夫 婦間葛藤への否定的帰属と夫婦の愛情評価との関連を 見出しているが, この尺度は具体的な原因内容を評定

2 366 心理学研究年第巻第号 するものであるため ( 原因は, 相手の性格にある), のように原因次元について特定できず, 回答者と研究者とで原因次元の評価 ( 性格 は安定次元か ) が一致しない可能性が残る ( ) 原因次元を特定した欧米と比較可能な尺度であるを使用することにより, 日本の夫婦における葛藤帰属についてもこうした原因次元に沿ってその特徴をより詳細に把握できるものと考えられる 以上から, 本研究では日本語版を作成し, 信頼性と妥当性の検討を行うこととした ( ) は関係評価が原因の否定的認知, 相手の悪意 責任を媒介として相手に対する寛大さにつながるというモデルを提示し, 検証している 本研究では夫婦関係の中で重要な影響力をもつと考えられる愛情評価に焦点を当て, 葛藤帰属と葛藤への対処行動との関連を検討することとした 平山 柏木 ( ) は, わが国の中年期の夫婦で頻繁に見られる否定的コミュニケーションは無視 回避とした 葛藤回避行動は, その場では葛藤の規模を縮小したり感情的摩擦を避けたりすることが可能だが, 長期的には問題解決につながらず適応的とはいいがたい ( ) 以上から, 夫婦の愛情評価は原因の否定的な認知と相手の責任への帰属を媒介して葛藤回避行動に関連するという仮説モデルを検討することとした ( ) 対象者 方 本研究は, 子どもの発達と家族の精神保健に関する発達精神病理学的な縦断研究 ( 菅原, 八木下, 詫摩, 小泉, 瀬地山, 菅原, 北村, ) の追跡調査の一部である ( 詳しい対象者については, 菅原他 ( ) 参照 ) 本研究ではこの年目の追跡調査に応じた名 ( 夫名, 妻名 ) のうち夫婦愛情評価 (, 菅原 詫摩 ( ): 以下とする ), 夫婦間葛藤帰属, および葛藤対処に回 法 答のある名 ( 夫名, 妻名 ) をの基礎統計 ( 分析 ) で使用し, ペアデータがそろった組をペアデータ分析 ( 分析 ) で使用した 調査手続きと内容 対象者には質問紙に個別に回答し, 記入が終わるま でお互い相談しないよう依頼した 全ての対象者は本 研究プロジェクトの目的を理解した上で同意書に署名 した 夫婦間葛藤帰属 ( ) を第一著者が邦訳, バイリンガルの翻訳者によって再 翻訳が行われたものを原著者 ( ) の許可を 得た上で実施した はパートナーによる関係性 に否定的影響を及ぼす行動に対する帰属の自己評定尺 度である 八つの夫婦間で生じる仮想の否定的イベン トを想像し, 原因の否定的認知と相手の悪意 責任に 対するそれぞれ 下位尺度を 全くあてはまらない から 非常にあてはまるの 件法で評定する 項 目の尺度である 得点が高いほど相手の行為を否定的 に捉え, 相手に責任を帰属することを示し, 取り得る 得点の範囲は 点である を日本のサンプルに実施するのは今回が初め てであるため, 本研究の対象者においても で用 いられた刺激イベントが一般的に生起するか検討する ため, これらの項目の頻度に関していつも ( )か ら 全くない ( )の 件法の評定を付加した ( ) 夫婦の愛情評価 の短縮 ( 項目 ) 版 ( 菅原 他, ) を夫婦の愛情関係を測定するものとして使 用した 評定は 全くあてはまらない ( )から 非 常にあてはまる ( )の 件法である 菅原 詫摩 ( ) は本尺度の並存妥当性について確認しており, 本研究のサンプル ( 分析 ) においても十分な内的一 貫性が示されたため ( 夫 a=, 妻 a= ), 項 目の単純加算した得点を 得点とした 夫婦関係満足度 主に欧米の夫婦関係研究で伝統的 に用いられる (, 回避行動に関する改良モデル 注 ) 上段夫, 下段 ( 斜体 ) 妻 = 愛情評価 原因の否定的評価, 相手の悪意 責任はの下位因子 夫の 相手の悪意 責任 回避行動 パス ( < ) 以外 < * <, ** < はパス係数の有意差 c ( )= =, =, =, =

3 川島 伊藤 菅原 酒井 菅原 北村 : 夫婦間葛藤認知 367 Table 1 RAM SD14 ) の総合評価項目 ( 夫婦関係に対する全 体的満足度, 件法 ) を用いた 本調査対象者の平均 値は夫 ( = ), 妻 ( = ) であっ た 夫婦間葛藤に対する対処行動 夫婦間葛藤への対処 行動として, 回避行動を測定すると考えられる項目を 対人ストレスコーピング尺度 ( 加藤, ) を参考に 項目用意した 夫婦間でうまくいかない, 折り合い がつかないとき, どの程度回避行動を選択している か, 全くしない ( )からいつもする( )の 件 法で評定させた 分析 サンプルにおける 項目の信 頼性係数は夫 a=, 妻 a= であった 回避行動 を潜在変数とする夫, 妻の多母集団因子分析を等値制 約を課して実施した結果, 十分な適合度が示された (c ( )= =, =, =, = ) それぞれの項目に対する標準化係数 ( 夫 / 妻 ) は, 時の過ぎるのに任せる ( ), 自 分の気持ちを伝える ( ), 気のすむまで 話す ( ), その場を立ち去る ( ), 相手の言うことを聞き流す ( ), あきらめる ( ) であった 単純加算したものを回避行動得 点として算出し, 夫婦の差を検討したが, 有意差はな かった ( 夫 ( = ), 妻 ( = )) ) 結 果 の基礎的分析および個人内モデルの検討 ( 分析 刺激イベントの妥当性の刺激イベントが, わが国においても実際に生起しているかどうかを検討した ( ) (, ) は刺激イベントの選定にあたり体験頻度について調査し, 対象者の % 以上がこれらを体験し, その頻度は 時々 から しばしば の間であったと報告している 本分析対象では, 平均約 % の人々がこれらを体験していた ( 夫 %, 妻 %) しかし 家事の分担をちゃんとしない( %), 夫婦二人ともに影響を与えるような重要なことをあ なたの意見を聞かずに決める( %) の夫による 体験は半数以下であった 全ての刺激イベントは, 平 均すると 時々 生起する ( 夫 = =, 妻 = = ) と評価されていた 対象者による 刺激イベント体験頻度は ( ) より低かったが, こうし た否定的出来事がわが国の夫婦においても平均 割程 度に生起しており, また日本人サンプルで を用 いる初の試みであることから, 以降についても全尺度 項目を用いた分析を行うこととした 信頼性 下位尺度次元 ( 原因の所在, 安定性, 全 体性, 意図性, 自己中心的動機, 責任 ) それぞれの信 頼性係数 a を算出した ( ) いずれの下位尺度 も信頼性の基準値を上回っていたため, これらの下位 尺度得点の合計得点を算出した ( ) 同様, 高得点ほど相手の否定的行動を強調す るような原因および責任の認知をしていることを示す ようにした 算出した合計得点 ( ) の分布は いずれも低得点への偏りが見られたので, 対数変換し た値を用意した の平均値については短縮版のみが公表されて おり, これらと比較するため本研究サンプルにおいて も短縮版の平均値 ( ) を算出した その結果, 夫 原因の否定的認知, 相手の悪意 責任 順に ( ), ( ), 妻 ( ), ( ) であった (, ) のイ タリア人サンプルでは順に夫 ( ), ( ), 妻 ( ), ( ), (, ) のオランダ人サン プルでは順に夫 ( ), ( ), 妻 ( ), ( ) であった 本研究サンプルの 得点は上記研究の中間の値であった ( ) では得点が高くなるほど責めないような認知を表していたため逆転するよう計算した

4 368 心理学研究年第巻第号 Table 2 RAM1 a a N = 182 N = RAM p < c 2 14= 14.86p =.39GFI =.99AGFI =.97RMSEA =.01 a 848 Table MLS a a MLS = = =p <.01 a 因子的妥当性および並存妥当性 ( ) 同様, が二次元構造 ( ) であるかどうかを検討するため, ( ) を用いた確証型因子分析により一次元構造と二次元構造の適合度比較を行った 夫婦同時分析を行ったところ, 一次元構造よりも二次元構造の方がとの値からより適合度が高いと考えられため ( 一次元構造 c ( )= =, =, =, =, =, 二次元構造 c ( )= =, =, =, =, = ), 多母集団分析についても二次元構造を検討することとした 夫, 妻それぞれのデータを用いて分析を行ったところ, それぞれ十分な適合度が示された ( 夫 c ( )= =, =, =, =, 妻 c ( )= =, =, =, = ) そこで多母集団因子分析を行ったところ, パス係数に等値制約をおかないモデル (c ( )= =, =, =, =, = ) より, 全てのパス係数を等値とした制約モデル (c ( )= =, =, =, =, = ) の方が, とに照らしてあてはまりが良かった 以上から, 夫婦の因子構造は同一であると確認された 並存妥当性を検討するため, 夫婦関係満足度との相 関係数を算出した結果 ( ) や 先行研究同様 ( ), 夫婦間葛藤の帰 属と全般的な夫婦関係満足度との関連が確認された ( ) 個人内モデルの検討 仮説モデル ( ) を検 証するため, ( ) を用いた共分散構造分析を実施する前に, モデルに含 める変数間の相関分析を行った ( ) その結果 全ての変数間に有意な相関が見られたため, 仮説モデ ルに従い分析を行った 分析に際しては単純加算した 得点を観測変数, と葛藤の回避行動を潜在 変数として扱った まず夫婦合わせたデータで 得点から 原因の 否定的認知, および 相手の悪意 責任 を媒介し, 回避行動 につながる直線的なモデルを検討したと ころ, ほぼ満足のいく適合度が示された (c ( )= <, =, =, =, = ) さらにモデルを改善するために 得点と回避行動の関連性について直接のパスを引いた ところ, 改善が見られた (c ( )= =, =, =, =, = ) 以上から, 帰属を媒介するパスと, 帰属を経由せず愛 情評価が直接葛藤対処に関連するパスが同時に存在す る改良モデルが支持された ( ) 次に上記改良モデルに夫婦差があるかどうか検討す るため, 多母集団同時解析を行った 夫, 妻それぞれ で改良モデルの適合度を検討したところ, 夫婦とも良 好な適合度を示した ( 夫 c ( )= =, =, =, =, 妻 c ( )= =, =, =, = ) そこで多母集団同時解析を行い ( ) 潜在変数の構造以 外のパスは異なるとするモデル,( ) 潜在変数の構造, および 検定 ( % 水準 ) によって有意差がなかった 原因の否定的評価, 回避行動 の

5 川島 伊藤 菅原 酒井 菅原 北村 : 夫婦間葛藤認知 369 Table MLS a a MLS = = = p <.01, p <.05 a パスを夫婦で等価とするモデル,( ) 全てのパスが夫 婦で等価であるモデル, の モデルの比較を行った その結果, 適合度指標は ( )c ( )= =, =, =, =, =, ( )c ( )= =, =, =, =, =,( ) c ( )= =, =, =, =, = となった いずれも問題のない適合度を示した が, の最も低いモデル ( ) を採用した ( ) 夫と妻とでは原因の否定的評価から相手の悪意 責 任につながるパス, および相手の悪意 責任から回避 行動へつながるパスに統計的に有意な差があった 夫 の方が原因の否定的評価から相手を責めるような認知 の仕方につながりやすく, 妻の方が相手を責めるよう な認知の仕方から回避行動につながりやすかった ペアデータを用いた分析 夫婦ペアのモデルを検討するため, 方法に示した分析データ ( 夫婦組 ) を用いて分析の結果 ( ) を基にモデルの作成および統計的検討を行った ペアデータを用いた相関分析を行ったところ ( ), 夫婦の愛情評価は相手の全ての変数と有意な相関を示した で測定される否定的認知も相互に関連していたが, 回避行動は夫婦間に有意な相関が見られず, 夫の回避行動は妻の否定的認知と有意な関連が見られたが, 妻のそれは夫の否定的認知と関連がなかった 以上から, 個人間モデル作成が妥当だと判断し, ( ) 夫婦の各変数 (, 相手の悪意 責任, 回避行動 ) から, 同時に相手の変数 ( 二因子, 回避行動 ) にパスを引き, 有意なパスを選別, ( ) 選別されたパスを用いたモデル検討, の段階を経て行った 妻からのパスを検討したところ, 夫へ ( ) および ( ) は, 原因の否定的認知が相手の悪意 責任に影響を及ぼすという捉え方をしているため, 本研究でもこれに従った のみが有意であった 夫 からは, 妻 へ有 意な, 原因の否定的認知へ有意傾向のパスが認められ た 妻の相手の悪意 責任からのパスを検討したとこ ろ, 夫 へ有意なパスが認められたが, 夫からは 有意なパスは認められなかった 回避行動からのパス を検討したところ, 妻からは有意なパスは認められな かったが, 夫から妻の原因の否定的認知へ有意なパス が認められた 以上から, 分析 で確認した個人内モデルに上記有 意もしくは有意傾向のパスを加えたモデルを作成し た その結果, 適合度指標は c ( )= =, =, =, =, = となり, 夫婦間では, 夫 から妻, 妻 の相手の悪意 責任から夫 のみが有意となり, 個人内では夫の相手の悪意 責任から回避行動が有意 でなかった 個人間 個人内ともに有意なパスのみを用いたモデ ルを最終的に作成した結果 (c ( )= =, =, =, =, = ), 検討された中で最良モデルであった 夫 ( 妻 ) の標準化係数は, から原因の否定的認知が ( ), 原因の否定的認知から相手の悪意 責 任が ( ), 相手の悪意 責任から回避行動は妻の み ( ), から回避行動は ( ), 夫婦 間では夫 から妻 へは, 妻の相手の悪 意 責任から夫 へは となった 以上から, 妻の愛情は夫の愛情によって直接影響を 受け, 夫の愛情は妻の夫を責めるような認知の仕方に よって影響を受けるというモデルが支持された さら に, 夫の否定的認知から回避行動には直接のパスが引 かれず, 愛情の低さから回避行動へのパスのみが有意 となった 妻から夫へは否定的認知が媒介変数として の役割を果たしていたが, 夫から妻に関してはこのよ うな媒介モデルは支持されなかった 日本語版 考 察 の信頼性および妥当性 本研究の目的は夫婦間葛藤に対する帰属を測定する日本語版の検討であり, 信頼性に関しては十分な内的一貫性を確認することができた 妥当性についても, ( ) の結果と同様, 否定的帰属と夫婦関係満足度の低さとの相関関係が認められた 本研究サンプルの得点は, 低得点に分布の偏りがみられたものの, 平均値としては欧米の研究結果と大きな違いは見られなかった 低得点への分布の偏 得点に関して同値モデルの可能性が残るため, 妻から夫へのパスを用いたモデルの検討を行ったがの値がこれを上回ったため, 本モデルが最良と判断した

6 370 心理学研究年第巻第号 りはわが国の夫婦の大多数にあてはまる尺度ではないことを示しているのかもしれないが, 一方で夫婦関係に問題を抱える人々は欧米と同様にパートナーを責めるような認知をしている可能性も示唆される またの刺激イベントの体験頻度は欧米の先行研究で示されたものよりもやや低率ではあったが, 実際にわが国の夫婦でも体験されていることが明らかになった 刺激イベントに対する帰属と実際の生活場面で生起した葛藤についての帰属は, 相関はあるものの同一のものではないことが ( ) によって示唆されていることから, 本研究では欧米で用いられている尺度を使用し検討を行った 今後 日本版 を洗練化していくためには面接や観察などの実生活に密着した手法を用いた研究が必要であり, その上で夫婦間葛藤に関する文化差を検討していくことも重要であると考えられる の構造に関しては, ( ) の二因子を本研究でも抽出することができた の構造は夫婦間で差がなく, 配偶者に対する否定的帰属は夫婦で同じように測定可能であると考えられる 仮説モデルに基づく妥当性の検証 仮説モデル ( ) にしたがって共分散構造分析を実施したところ, 葛藤の認知が媒介変数としての役割を果たすことも確認されたが, 夫婦の愛情評価から葛藤回避行動への直接の影響も確認された 回避行動の選択には, 葛藤の否定的帰属を媒介する場合と愛情評価から直接影響を受ける場合とが同時に存在するといえるだろう 愛情評価が直接回避行動に関係していたことは, 夫婦関係に不満の高い人は, 葛藤場面で非効果的に対処するパターンが見られるということと関連しているのかもしれない ( ) 多母集団同時解析によって, 夫は妻より原因と責任の帰属の関連が強く, 夫婦間葛藤認知と回避行動との関連が弱いことが示された ( ) したがって, 夫よりも妻のほうが相手のせいだと認知してしまうと, 葛藤時に相手の話を聞き流したり, あきらめたりして回避的に行動するようになる傾向が示されたといえるだろう 東海林 ( ) は妻の譲歩的対処には情緒調整の意味合いがあることを指摘しているが, 本研究サンプルにおいても, 妻は否定的認知によって生じる否定的感情に対して回避行動を用いて調整している可能性があると考えられる あるいは柏木 ( ) が指摘しているように, 妻は従うものという夫婦に関する社会的枠組みから, 妻はあきらめるという対処法を頻繁に使用せざるをえない状態を示しているのかもしれない こうした回避行動の機能や意味合いについて検討していくことも重要である 夫婦間での検討 夫婦の愛情評価と葛藤帰属および回避行動の夫婦ペアでの分析を行った結果, 妻の愛情評価は夫を責めるような認知を媒介して夫の愛情評価に否定的な影響を及ぼすが, 夫の愛情評価は妻の愛情評価に直接影響を及ぼすという非対称な結果が得られた これを解釈すると妻の愛情は夫の愛情によって支えられるが, 夫の愛情は妻の否定的見方 ( 非難 ) によって低下すると考えられる このことから, 夫婦の愛情関係という肯定的側面のみでなく, 夫婦間葛藤認知という否定的側面も個人内のみならずパートナーにも影響を及ぼす可能性が示唆される したがって夫婦の否定的側面を測定する尺度の一つとしてが有用である可能性が示されたといえるだろう 回避行動と相手の愛情評価とは有意な負の相関を示していたが今回のモデルにおいては有意なパスは見られず, 夫のと回避行動との有意なパスは確認されなかった このことは, 回避行動が一概に否定的なものではなくその場では葛藤を回避できるという適応的な側面を含んでいることを示しているのかもしれず ( 東海林, ), 回避以外の葛藤対処についても調べることが重要であると考えられる 今回は認知的な帰属のみを対象とし, 実際の言動を対象としなかったが, 妻の否定的帰属が夫の妻に対する愛情評価に直接影響を及ぼしていたことから, 妻が実際に否定的な帰属内容について言語化している可能性が示唆される 今後, 日本の夫婦の面接をするなどの方法を用い, 日本の夫婦に合う洗練された尺度構成が必要であると考える 引用文献

7 川島 伊藤 菅原 酒井 菅原 北村 : 夫婦間葛藤認知 371 東海林麗香. 夫婦間葛藤への対処における譲 歩の機能 新婚女性によって語られた意味づけ 過程に焦点を当てて 発達心理学研究 平山順子 柏木惠子. 中年期夫婦のコミュニケーション態度夫と妻は異なるのか発達心理学研究,,. 柏木惠子. 家族心理学 社会変動 発達 ジェンダーの視点 東京大学出版会 加藤 司. 大学生用対人ストレスコーピング 尺度の作成 教育心理学研究,,. 菅原ますみ 詫摩紀子. 夫婦間の親密性の評価自記入式夫婦関係尺度について精神科診断学. 菅原ますみ 八木下暁子 詫摩紀子 小泉智恵 瀬地 山葉矢 菅原健介 北村俊則. 夫婦関係 と児童期の子どもの抑うつ傾向との関連 家族 機能および両親の養育態度を媒介として 教 育心理学研究,,. 川島亜紀子. 家庭内問題に対する原因帰属 夫婦の愛情関係からの検討 人間文化論 叢 お茶の水女子大学大学院人間文化研究科 受稿, 受理

Microsoft Word - manuscript_kiire_summary.docx

Microsoft Word - manuscript_kiire_summary.docx 法政大学審査学位論文の要約 パートナーに対する暴力のメカニズム Dark Triad と生活史戦略による個人差に対するアプローチ 喜入暁 恋愛関係は, われわれのライフコースにおける多くの対人関係の中でも, 排他性, 性関係性などを伴う特徴的な関係性である このような関係性で発生する対人葛藤や, それに基づく暴力は, 親密なパートナー間暴力 (intimate partner violence: IPV;

More information

博士論文 考え続ける義務感と反復思考の役割に注目した 診断横断的なメタ認知モデルの構築 ( 要約 ) 平成 30 年 3 月 広島大学大学院総合科学研究科 向井秀文

博士論文 考え続ける義務感と反復思考の役割に注目した 診断横断的なメタ認知モデルの構築 ( 要約 ) 平成 30 年 3 月 広島大学大学院総合科学研究科 向井秀文 博士論文 考え続ける義務感と反復思考の役割に注目した 診断横断的なメタ認知モデルの構築 ( 要約 ) 平成 30 年 3 月 広島大学大学院総合科学研究科 向井秀文 目次 はじめに第一章診断横断的なメタ認知モデルに関する研究動向 1. 診断横断的な観点から心理的症状のメカニズムを検討する重要性 2 2. 反復思考 (RNT) 研究の歴史的経緯 4 3. RNT の高まりを予測することが期待されるメタ認知モデル

More information

論文内容の要旨

論文内容の要旨 論文の内容の要旨 大腸癌検診における精密検査の受診に関連する要因 指導教員甲斐一郎教授東京大学大学院医学系研究科平成 16 年 4 月進学博士課程健康科学 看護学専攻氏名鄭迎芳 第 Ⅰ 章緒言日本の大腸癌による死亡者数は急増し 年齢調整死亡率は諸外国に比べて上位の水準に達している しかし 日本の大腸癌検診では 一次検診で精密検査 ( 以下 精査と略す ) が必要と判定された者の精査受診率は 60%

More information

論文題目 大学生のお金に対する信念が家計管理と社会参加に果たす役割 氏名 渡辺伸子 論文概要本論文では, お金に対する態度の中でも認知的な面での個人差を お金に対する信念 と呼び, お金に対する信念が家計管理および社会参加の領域でどのような役割を果たしているか明らかにすることを目指した つまり, お

論文題目 大学生のお金に対する信念が家計管理と社会参加に果たす役割 氏名 渡辺伸子 論文概要本論文では, お金に対する態度の中でも認知的な面での個人差を お金に対する信念 と呼び, お金に対する信念が家計管理および社会参加の領域でどのような役割を果たしているか明らかにすることを目指した つまり, お 論文題目 大学生のお金に対する信念が家計管理と社会参加に果たす役割 氏名 渡辺伸子 論文概要本論文では, お金に対する態度の中でも認知的な面での個人差を お金に対する信念 と呼び, お金に対する信念が家計管理および社会参加の領域でどのような役割を果たしているか明らかにすることを目指した つまり, お金に対する信念の構造の把握と関連領域の整理を試みた 第 Ⅰ 部の理論的検討は第 1 章から第 5 章までであった

More information

様式 3 論文内容の要旨 氏名 ( 神﨑光子 ) 論文題名 周産期における家族機能が母親の抑うつ 育児自己効力感 育児関連のストレス反応に及ぼす影響 論文内容の要旨 緒言 女性にとって周産期は 妊娠 分娩 産褥各期の身体的変化だけでなく 心理的 社会的にも変化が著しいため うつ病を中心とした気分障害

様式 3 論文内容の要旨 氏名 ( 神﨑光子 ) 論文題名 周産期における家族機能が母親の抑うつ 育児自己効力感 育児関連のストレス反応に及ぼす影響 論文内容の要旨 緒言 女性にとって周産期は 妊娠 分娩 産褥各期の身体的変化だけでなく 心理的 社会的にも変化が著しいため うつ病を中心とした気分障害 Title Author(s) 周産期における家族機能が母親の抑うつ 育児自己効力感 育児関連のストレス反応に及ぼす影響 神﨑, 光子 Citation Issue Date Text Version none URL http://hdl.handle.net/11094/53903 DOI rights 様式 3 論文内容の要旨 氏名 ( 神﨑光子 ) 論文題名 周産期における家族機能が母親の抑うつ

More information

Microsoft Word 今村三千代(論文要旨).docx

Microsoft Word 今村三千代(論文要旨).docx 父親の育児家事参加と母親の育児不安の検討 - 家庭内ゲートキーパーに着目して - Maternal Gatekeeping ; Father Involvement in Family Work and Mother Anxiety 児童学研究科児童学専攻 2001124012 今村三千代 問題と目的日本の親研究は, 父親の子育て関与が母親の精神的健康や子どもの発達に対して良い影響があることを繰り返し報告してきたが,

More information

九州大学学術情報リポジトリ Kyushu University Institutional Repository 在日中国人留学生における対人的自己効力感が対人ストレスコーピングに及ぼす影響 陳, 香蓮九州大学大学院人間環境学府 Chen, KaoruRen Graduate School of Human-Environment Studies, Kyushu University https://doi.org/10.15017/20083

More information

問題 近年, アスペルガー障害を含む自閉症スペク トラムとアレキシサイミアとの間には概念的な オーバーラップがあることが議論されている Fitzgerld & Bellgrove (2006) 福島 高須 (20) 2

問題 近年, アスペルガー障害を含む自閉症スペク トラムとアレキシサイミアとの間には概念的な オーバーラップがあることが議論されている Fitzgerld & Bellgrove (2006) 福島 高須 (20) 2 一般研究発表 EV06 自閉症スペクトラムが アレキシサイミア傾向に 与える影響 後藤和史 ( 愛知みずほ大学人間科学部 ) キーワード アレキシサイミア自閉症スペクトラム構造方程式モデリング 問題 近年, アスペルガー障害を含む自閉症スペク トラムとアレキシサイミアとの間には概念的な オーバーラップがあることが議論されている Fitzgerld & Bellgrove (2006) 福島 高須 (20)

More information

man2

man2 通勤勤務時間が長いの父親 20 代を除いて の父親の通勤勤務時間の平均はより 1 時間以上長いことがわかった もも 年代が高いほど通勤勤務時間が長い傾向にあるが の父親のほうがその傾向が 顕著である 父親の通勤勤務時間の平均 平均通勤勤務時間 年代 ( ) ( ) 20 代 10.63 9.75 30 代 10.88 9.90 40 代 11.13 9.83 50 代 11.80 9.97 25~29

More information

Exploring the Art of Vocabulary Learning Strategies: A Closer Look at Japanese EFL University Students A Dissertation Submitted t

Exploring the Art of Vocabulary Learning Strategies: A Closer Look at Japanese EFL University Students A Dissertation Submitted t Exploring the Art of Vocabulary Learning Strategies: A Closer Look at Japanese EFL University Students MIZUMOTO, Atsushi Graduate School of Foreign Language Education and Research, Kansai University, Osaka,

More information

<4D F736F F D F4B875488C097A790E690B C78AAE90AC838C837C815B FC92E889FC92E894C5>

<4D F736F F D F4B875488C097A790E690B C78AAE90AC838C837C815B FC92E889FC92E894C5> 演習 Ⅰ A 班 対人関係における同調行動と親の期待に添う行動との関連行動との関連 親 ( 主な養育者 ) に対する自己アピールと主従的関係の影響について キーワード : 同調行動親子関係親的自意識主従的関係 Ⅰ. 問題 目的同調行動とは誰もが少なからず体験したことや 目撃したことのある行動である 藤原 (2006) は同調行動を 自分とは異なる意見 態度 行動 を周囲から求められたとき 迷いながらも周りの意見

More information

教育工学会研究会原稿見本

教育工学会研究会原稿見本 ARCS 動機づけモデルに基づく Course Interest Survey 日本語版尺度の検討 Making an Evaluation of the Japanese Edition of Course Interest Survey Scale Based on ARCS Motivational Model 川上祐子 * 向後千春 ** Yuko Kawakami* Chiharu Kogo**

More information

過去の習慣が現在の習慣に与える影響 インターネットの利用習慣の持ち越し 松岡大暉 ( 東北大学教育学部 ) 1 問題関心本研究の目的は, インターネットの利用の習慣について, 過去のインターネットの利用習慣が現在のインターネットの利用の習慣に影響を与えるかを検証することである. まず, 本研究の中心

過去の習慣が現在の習慣に与える影響 インターネットの利用習慣の持ち越し 松岡大暉 ( 東北大学教育学部 ) 1 問題関心本研究の目的は, インターネットの利用の習慣について, 過去のインターネットの利用習慣が現在のインターネットの利用の習慣に影響を与えるかを検証することである. まず, 本研究の中心 過去の習慣が現在の習慣に与える影響 インターネットの利用習慣の持ち越し 松岡大暉 ( 東北大学教育学部 ) 1 問題関心本研究の目的は, インターネットの利用の習慣について, 過去のインターネットの利用習慣が現在のインターネットの利用の習慣に影響を与えるかを検証することである. まず, 本研究の中心となる社会的背景として, 近年のインターネットの利用人口ならびに, インターネットの利用時間の急激な増加が挙げられる.

More information

Microsoft Word - 博士論文概要.docx

Microsoft Word - 博士論文概要.docx [ 博士論文概要 ] 平成 25 年度 金多賢 筑波大学大学院人間総合科学研究科 感性認知脳科学専攻 1. 背景と目的映像メディアは, 情報伝達における効果的なメディアの一つでありながら, 容易に感情喚起が可能な媒体である. 誰でも簡単に映像を配信できるメディア社会への変化にともない, 見る人の状態が配慮されていない映像が氾濫することで見る人の不快な感情を生起させる問題が生じている. したがって,

More information

Microsoft Word - 209J4009.doc

Microsoft Word - 209J4009.doc 修士論文要旨 2011 年 1 月 キャリア アダプタビリティが大学生の就職活動に与える影響 指導種市康太郎准教授 心理学研究科臨床心理学専攻 209J4009 藤原智佳子 目次 Ⅰ. 問題の背景と所在 3 1. 若年労働者のキャリアに関する問題 3 2. 企業が求める人材 3 2-1. 高度成長期以降に望まれた人材像 3 2-2. 今日望まれている人材像 4 3. 若年労働者へのキャリア支援の変遷

More information

Microsoft Word - 概要3.doc

Microsoft Word - 概要3.doc 装い としてのダイエットと痩身願望 - 印象管理の視点から - 東洋大学大学院社会学研究科鈴木公啓 要旨 本論文は, 痩身願望とダイエットを装いの中に位置づけたうえで, 印象管理の視点からその心理的メカニズムを検討することを目的とした 全体として, 明らかになったのは以下のとおりである まず, 痩身が装いの一つであること, そして, それは独特の位置づけであり, また, 他の装いの前提条件的な位置づけであることが明らかになった

More information

.A...ren

.A...ren 15 6 2 6 1 7 11 2 11 4 3 2 Keywords 1 1 e. g., 2006 6 1 1 6 2 2008 11 28 2007 2007 2008 7 5 e. g., 1998 1995 16 1996 1995 2007 6 2 2 1995 1996 30 e. g., 1989 1988 1983 Shimizu et al., 1986 1996 2 2 6 2

More information

フトを用いて 質問項目間の相関関係に着目し 分析することにした 2 研究目的 全国学力 学習状況調査結果の分析を通して 本県の児童生徒の国語及び算数 数学の学習 に対する関心 意欲の傾向を考察する 3 研究方法平成 25 年度全国学力 学習状況調査の児童生徒質問紙のうち 国語及び算数 数学の学習に対

フトを用いて 質問項目間の相関関係に着目し 分析することにした 2 研究目的 全国学力 学習状況調査結果の分析を通して 本県の児童生徒の国語及び算数 数学の学習 に対する関心 意欲の傾向を考察する 3 研究方法平成 25 年度全国学力 学習状況調査の児童生徒質問紙のうち 国語及び算数 数学の学習に対 学習に対する関心 意欲等についてのデータ分析 平成 25 年度全国学力 学習状況調査質問紙調査から 教科教育部 要旨平成 25 年度 全国学力 学習状況調査 の学習に対する関心 意欲等に関する質問項目に対する本県の児童生徒の回答状況について 統計処理ソフトを用いて 質問項目間の相関関係に着目し分析したところ 国語の学習に対する意識と算数 数学の学習に対する意識に校種間で違いがあることが分かった キーワード

More information

(Microsoft Word \227F\210\344\226\203\227R\216q\227v\216|9\214\216\221\262.doc)

(Microsoft Word \227F\210\344\226\203\227R\216q\227v\216|9\214\216\221\262.doc) 幼児期 児童期児童期におけるにおける親と教師教師の身体接触身体接触が思春期思春期の心理的側面心理的側面に及ぼすぼす影響 The Effects of Physical Touch by Teachers or Parents in Childhood on the Psychological Aspects in Adolesence. 児童学研究科児童学専攻 04-0621 友井麻由子 Ⅰ. 問題と目的身体接触に関する研究の中で

More information

タイトル 著者 引用 手術室看護師のストレスとモチベーションの関連 : 国立大学病院と公立大学病院の比較須藤, 絢子 ; Sudo, Ayako 北海学園大学大学院経営学研究科研究論集 (14): 29-40 発行日 2016-03 手術室看護師のストレスとモチベーションの関連 須藤) 表 2-2 属 性 性別 項 35 立大学病院の手術室看護師における属性 11項目と尺度との比較 目

More information

( 続紙 1) 京都大学博士 ( 教育学 ) 氏名小山内秀和 論文題目 物語世界への没入体験 - 測定ツールの開発と読解における役割 - ( 論文内容の要旨 ) 本論文は, 読者が物語世界に没入する体験を明らかにする測定ツールを開発し, 読解における役割を実証的に解明した認知心理学的研究である 8

( 続紙 1) 京都大学博士 ( 教育学 ) 氏名小山内秀和 論文題目 物語世界への没入体験 - 測定ツールの開発と読解における役割 - ( 論文内容の要旨 ) 本論文は, 読者が物語世界に没入する体験を明らかにする測定ツールを開発し, 読解における役割を実証的に解明した認知心理学的研究である 8 Title 物語世界への没入体験 - 測定ツールの開発と読解における役割 -( Abstract_ 要旨 ) Author(s) 小山内, 秀和 Citation Kyoto University ( 京都大学 ) Issue Date 2014-03-24 URL https://doi.org/10.14989/doctor.k18 Right 許諾条件により本文は 2015-03-01 に公開

More information

研究報告用MS-Wordテンプレートファイル

研究報告用MS-Wordテンプレートファイル SNS の使用状況と性格特性との間の関係 斉藤祐成 野村竜也 mixi や Facebook,Twitter などの SNS 使用者の性格特性にどのような共通点や関係性が存在するかについて明らかにするために, 大学生を対象とした質問紙調査を行った. 第 1 回調査においては,SNS の使用と外向性との間に関連性が見出された. 本稿では, さらに第 2 回調査の結果として, 社会への信頼感や友人関係との関連性について報告する.

More information

Microsoft PowerPoint - データ解析発表2用パワポ

Microsoft PowerPoint - データ解析発表2用パワポ 7/3 教育学研究科 M1 藤田弥世 SEM とは structural equation model の略 ; 構造方程式モデル ( 別名. 共分散構造分析 ) 多変量解析の色々な手法を統合したモデル 相関行列や共分散行列を利用して 多くの変数間の関係を総合的に分析する手法 共分散 ( 相関係数 ) の観点から 相関係数で関連の大小を評価することができるデータすべてに適用可能 パス解析との違い 前回の授業の修正点

More information

Microsoft Word - 210J4061.docx

Microsoft Word - 210J4061.docx 修士論文 ( 要旨 ) 2014 年 1 月 ネットワーク社会における大学生のコミュニケーションの現状 オンライン コンテンツの利用形態と友人ネットワークおよび心理的影響との関連性 指導石川利江教授 心理学研究科健康心理学専攻 210J4061 山本健太郎 目次 はじめに 1 研究史 1 目的 1 方法 1 調査協力者調査機関場所手続き質問項目 まとめ 2 引用文献 3 はじめに 現在, インターネットは日常生活や職場などにおいて広く用いられており,

More information

230/個人研究/金山.indd

230/個人研究/金山.indd 立正大学心理学研究所紀要金山第 12 : 号嫌悪対象者に対する嫌悪者自身の感情や行動の評価 (2014) 45-53 嫌悪対象者に対する嫌悪者自身の感情や行動の評価 金山富貴子 ( 田園調布学園大学 ) A Study on the Evaluation of People s Feelings and Behavior towards Disliked Members of Their Social

More information

中カテゴリー 77 小カテゴリーが抽出された この6 大カテゴリーを 地域包括支援センター保健師のコンピテンシーの構成概念とした Ⅲ. 地域包括支援センター保健師のコンピテンシーリストの開発 ( 研究 2) 1. 研究目的研究 1の構成概念をもとに 地域包括支援センター保健師のコンピテンシーリストを

中カテゴリー 77 小カテゴリーが抽出された この6 大カテゴリーを 地域包括支援センター保健師のコンピテンシーの構成概念とした Ⅲ. 地域包括支援センター保健師のコンピテンシーリストの開発 ( 研究 2) 1. 研究目的研究 1の構成概念をもとに 地域包括支援センター保健師のコンピテンシーリストを 博士後期内規様式 10 氏名 : 宮本美穂学位の種類 : 博士 ( 看護学 ) 学位記番号 : 甲第 58 号学位授与年月日 : 平成 30 年 3 月 21 日学位授与の要件 : 学位規則第 15 条第 1 項該当論文題目 : 地域包括支援センター保健師のコンピテンシーリストの開発と決定因子学位審査委員 : 主査柳澤理子副査岡本和士副査片岡純副査戸田由美子副査深田順子 論文内容の要旨 Ⅰ. 研究の背景地域包括支援センターは

More information

Excelによる統計分析検定_知識編_小塚明_5_9章.indd

Excelによる統計分析検定_知識編_小塚明_5_9章.indd 第7章57766 検定と推定 サンプリングによって得られた標本から, 母集団の統計的性質に対して推測を行うことを統計的推測といいます 本章では, 推測統計の根幹をなす仮説検定と推定の基本的な考え方について説明します 前章までの知識を用いて, 具体的な分析を行います 本章以降の知識は操作編での操作に直接関連していますので, 少し聞きなれない言葉ですが, 帰無仮説 有意水準 棄却域 などの意味を理解して,

More information

コーチング心理学におけるメソッド開発の試み 東北大学大学院 徳吉陽河

コーチング心理学におけるメソッド開発の試み 東北大学大学院 徳吉陽河 コーチング心理学における メソッド開発の試み シナリオ ( 質問票 G FAQ) のツール作成と検証を通して 東北心理学会 2010/09/12 発表 東北大学大学院徳吉陽河 的 コーチング心理学 ( 主に認知行動コーチング ) の 標準化された質問票 (G FAQ) の作成し, コーチング心理学へのメソッドとして活用することを目的 認知行動科学, 学習理論など学術に基づいたシナリオ 手順書を作成する必要がある

More information

第4章妊娠期から育児期の父親の子育て 45

第4章妊娠期から育児期の父親の子育て 45 第 4 章 妊娠期から育児期の父親の子育て 酒井彩子 女性が妊娠 出産 子育てを体験する中で 母親として また妻として変化していく過程の一方で 男性は これらの体験を通じて 父親として また 夫として どのように変わっていくのだろうか 本章では 第 1 子を持つことによる父親の発達的変化を 父親の年齢 妊娠期の準備性 さらに就業時間との関わりなどから検討していきたいと思う 年齢グループ別による父親の比較父親となる年齢の違いは

More information

PowerPoint プレゼンテーション

PowerPoint プレゼンテーション 卒研発表会 個人の性格によって変化するパーソナルスペースの形状比較 大阪工業大学情報科学部情報メディア学科ヒューマンインタフェース研究室 2012 年 2 月 16 日 C07-102 村田誠弥 C08-099 森原海里 はじめに パーソナルスペースとは 個人の身体を取り巻く目に見えない空間領域 携帯用の縄張り パーソナルスペースの役割 コミュニケーション相手と適切な距離を取ることによって, やり取りを円滑に行う

More information

中学生における「スクールカースト」とコミュニケーション・スキル及び学校適応感の関係 : 教室内における個人の地位と集団の地位という視点から

中学生における「スクールカースト」とコミュニケーション・スキル及び学校適応感の関係 : 教室内における個人の地位と集団の地位という視点から Title 中学生における とコミュニケーション スキル及び学校適応感の関係 : 教室内における個人の地位と集団の地位という視点から Author(s) 水野, 君平 ; 加藤, 弘通 ; 川田, 学 Citation 子ども発達臨床研究, 7: 13-22 Issue Date 2015-03-25 DOI 10.14943/rcccd.7.13 Doc URL http://hdl.handle.net/2115/58515

More information

DV問題と向き合う被害女性の心理:彼女たちはなぜ暴力的環境に留まってしまうのか

DV問題と向き合う被害女性の心理:彼女たちはなぜ暴力的環境に留まってしまうのか Nara Women's University Digital I Title Author(s) Citation DV 問題と向き合う被害女性の心理 : 彼女たちはなぜ暴力的環境に留まってしまうのか 宇治, 和子 奈良女子大学博士論文, 博士 ( 学術 ), 博課甲第 577 号, 平成 27 24 日学位授与 Issue Date 2015-03-24 Description URL http://hdl.handle.net/10935/4013

More information

(4) 在日米国人心理学者による逆翻訳 (5) 在米米国人心理学者による内容の検査と確認 (6) 予備調査 本調査の対象東京都 千葉県の小児科クリニック 市役所 子育て支援事業に来所した 12~35 か月 30 日齢の健康な乳幼児とその養育者 537 組を対象とした 本調査の内容本調査の質問紙には

(4) 在日米国人心理学者による逆翻訳 (5) 在米米国人心理学者による内容の検査と確認 (6) 予備調査 本調査の対象東京都 千葉県の小児科クリニック 市役所 子育て支援事業に来所した 12~35 か月 30 日齢の健康な乳幼児とその養育者 537 組を対象とした 本調査の内容本調査の質問紙には 学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 河村秋 論文審査担当者 主査丸光惠副査廣瀬たい子 森田久美子 論文題目 乳幼児の社会 情緒的問題の評価尺度 ~ 日本語版 ITSEA の開発と信頼性妥当性の検討 ~ ( 論文内容の要旨 ) < 緒言 > 近年 わが国では子どもの発達障害への関心が高まりを見せている 後に発達障害と診断された親の 80% 前後が うちの子はどこか気がかりであるという心配を抱いているが

More information

( 別刷 ) 中年期女性のジェネラティヴィティと達成動機 相良順子伊藤裕子 生涯学習研究 聖徳大学生涯学習研究所紀要 第 16 号別冊 2018 年 3 月

( 別刷 ) 中年期女性のジェネラティヴィティと達成動機 相良順子伊藤裕子 生涯学習研究 聖徳大学生涯学習研究所紀要 第 16 号別冊 2018 年 3 月 ( 別刷 ) 相良順子伊藤裕子 生涯学習研究 聖徳大学生涯学習研究所紀要 第 16 号別冊 2018 年 3 月 就業形態による差異 要旨 本研究は,40 代と 50 代の中年期の女性を対象として, 就業形態によるジェネラティヴィティにおける差異および達成動機との関連における差異を検討した ジェネラティヴィティを構成する世代性意識と社会貢献の意志の 2 つの下位尺度についてフルタイム, パート, 無職の3つの就業形態別の差を検討したところ,

More information

統計的データ解析

統計的データ解析 統計的データ解析 011 011.11.9 林田清 ( 大阪大学大学院理学研究科 ) 連続確率分布の平均値 分散 比較のため P(c ) c 分布 自由度 の ( カイ c 平均値 0, 標準偏差 1の正規分布 に従う変数 xの自乗和 c x =1 が従う分布を自由度 の分布と呼ぶ 一般に自由度の分布は f /1 c / / ( c ) {( c ) e }/ ( / ) 期待値 二乗 ) 分布 c

More information

ポイント 〇等価尺度法を用いた日本の子育て費用の計測〇 1993 年 年までの期間から 2003 年 年までの期間にかけて,2 歳以下の子育て費用が大幅に上昇していることを発見〇就学前の子供を持つ世帯に対する手当てを優先的に拡充するべきであるという政策的含意 研究背景 日本に

ポイント 〇等価尺度法を用いた日本の子育て費用の計測〇 1993 年 年までの期間から 2003 年 年までの期間にかけて,2 歳以下の子育て費用が大幅に上昇していることを発見〇就学前の子供を持つ世帯に対する手当てを優先的に拡充するべきであるという政策的含意 研究背景 日本に 子育て費用の時間を通じた変化 日本のパネルデータを用いた等価尺度の計測 名古屋大学大学院経済学研究科 ( 研究科長 : 野口晃弘 ) の荒渡良 ( あらわたりりょう ) 准教授は名城大学都市情報学部の宮本由紀 ( みやもとゆき ) 准教授との共同により,1993 年以降の日本において,2 歳以下の子供の子育て費用が大幅に増加していることを実証的に明らかにしました 研究グループは 1993 年において

More information

修士論文 ( 要旨 ) 2017 年 1 月 攻撃行動に対する表出形態を考慮した心理的ストレッサーと攻撃性の関連 指導小関俊祐先生 心理学研究科臨床心理学専攻 215J4010 立花美紀

修士論文 ( 要旨 ) 2017 年 1 月 攻撃行動に対する表出形態を考慮した心理的ストレッサーと攻撃性の関連 指導小関俊祐先生 心理学研究科臨床心理学専攻 215J4010 立花美紀 修士論文 ( 要旨 ) 2017 年 1 月 攻撃行動に対する表出形態を考慮した心理的ストレッサーと攻撃性の関連 指導小関俊祐先生 心理学研究科臨床心理学専攻 215J4010 立花美紀 Master s Thesis (Abstract) January 2017 The Relationship between Psychological Stressors and Aggression, with

More information

3. 家族とのコミュニケーションを増やしたい さらに 家庭で使いやすい IT ツールがあれば使ってみたい と思う オンライン家族 予備軍は 41.2% 家族とのコミュニケーションに IT ツールを 2~3 日に 1 回以下 の頻度で使っている人の中には 今よりも 家族とのコミュニケーションを増やした

3. 家族とのコミュニケーションを増やしたい さらに 家庭で使いやすい IT ツールがあれば使ってみたい と思う オンライン家族 予備軍は 41.2% 家族とのコミュニケーションに IT ツールを 2~3 日に 1 回以下 の頻度で使っている人の中には 今よりも 家族とのコミュニケーションを増やした 家族コミュニケーションに関する意識調査家族とのコミュニケーションに IT ツールを毎日活用する オンライン家族 が登場!? コミュニケーション満足度は 74 点と高水準 マーケティングリサーチを行う株式会社メディアインタラクティブ ( 所在地 : 東京都渋谷区 ) では 世の中の動向をいち早く把握するために 独自で調査を行っております 今回 2012 年 1 月 26 日 ~27 日の 2 日間に

More information

(2) 国語科 国語 A 国語 A においては 平均正答率が平均を上回っている 国語 A の正答数の分布では 平均に比べ 中位層が薄く 上位層 下位層が厚い傾向が見られる 漢字を読む 漢字を書く 設問において 平均正答率が平均を下回っている 国語 B 国語 B においては 平均正答率が平均を上回って

(2) 国語科 国語 A 国語 A においては 平均正答率が平均を上回っている 国語 A の正答数の分布では 平均に比べ 中位層が薄く 上位層 下位層が厚い傾向が見られる 漢字を読む 漢字を書く 設問において 平均正答率が平均を下回っている 国語 B 国語 B においては 平均正答率が平均を上回って 小学校 6 年生児童の保護者の皆様 平成 26 年 10 月 3 日 立明野小学校長岡部吉則 平成 26 年度学力 学習状況調査の調査結果について 秋冷の候 保護者の皆様におかれましては ますます御清栄のことと拝察申し上げます また 日頃からの教育活動に対しまして 御理解と御協力をいただき感謝申し上げます さて 本年 4 月 22 日 ( 火 ) に実施しました学力 学習状況調査の結果が本年 8 月末に北海道教育委員会から公表され

More information

「いい夫婦の日」アンケート結果 2014

「いい夫婦の日」アンケート結果 2014 いい夫婦の日 夫婦に関するアンケート調査調査報告書 2015 年 10 月 26 日 いい夫婦の日 をすすめる会 Copyright (C) 2015 Asahi Advertising inc. All Rights Reserved 0 調査概要 調査目的 対象者に対し 夫婦としての現状の 気持ち 暮らし コミュニケーション などの実態とともに いい夫婦の日 の認知などについて把握することを目的とする

More information

4.2 リスクリテラシーの修得 と受容との関 ( ) リスクリテラシーと 当該の科学技術に対する基礎知識と共に 科学技術のリスクやベネフィット あるいは受容の判断を適切に行う上で基本的に必要な思考方法を獲得している程度のこと GMOのリスクリテラシーは GMOの技術に関する基礎知識およびGMOのリス

4.2 リスクリテラシーの修得 と受容との関 ( ) リスクリテラシーと 当該の科学技術に対する基礎知識と共に 科学技術のリスクやベネフィット あるいは受容の判断を適切に行う上で基本的に必要な思考方法を獲得している程度のこと GMOのリスクリテラシーは GMOの技術に関する基礎知識およびGMOのリス 4. 的 か の 受容の 4.1 に る の態度の に る態度 に る態度東京都内在住の成人男女 600 人を無作為抽出し 社会調査を実施した 3 ( 有効回収率 :67.5%) その結果 一般市民はGMOに対し 従来型の品種改良農作物と比較して かなり否定的な態度を持っていることが示された 品種改良農作物に対しては 約 7 割の者が 安心 と回答し 一方 GMOに対しては 8 割近くの者が 不安

More information

ビジネス統計 統計基礎とエクセル分析 正誤表

ビジネス統計 統計基礎とエクセル分析 正誤表 ビジネス統計統計基礎とエクセル分析 ビジネス統計スペシャリスト エクセル分析スペシャリスト 公式テキスト正誤表と学習用データ更新履歴 平成 30 年 5 月 14 日現在 公式テキスト正誤表 頁場所誤正修正 6 知識編第 章 -3-3 最頻値の解説内容 たとえば, 表.1 のデータであれば, 最頻値は 167.5cm というたとえば, 表.1 のデータであれば, 最頻値は 165.0cm ということになります

More information

スライド 1

スライド 1 データ解析特論重回帰分析編 2017 年 7 月 10 日 ( 月 )~ 情報エレクトロニクスコース横田孝義 1 ( 単 ) 回帰分析 単回帰分析では一つの従属変数 ( 目的変数 ) を 一つの独立変数 ( 説明変数 ) で予測する事を考える 具体的には y = a + bx という回帰直線 ( モデル ) でデータを代表させる このためにデータからこの回帰直線の切片 (a) と傾き (b) を最小

More information

表紙.indd

表紙.indd 教育実践学研究 23,2018 1 Studies of Educational Psychology for Children (Adults) with Intellectual Disabilities * 鳥海順子 TORIUMI Junko 要約 : 本研究では, の動向を把握するために, 日本特殊教育学会における過去 25 年間の学会発表論文について分析を行った 具体的には, 日本特殊教育学会の1982

More information

3 調査結果 1 平成 30 年度大分県学力定着状況調査 学年 小学校 5 年生 教科 国語 算数 理科 項目 知識 活用 知識 活用 知識 活用 大分県平均正答率 大分県偏差値

3 調査結果 1 平成 30 年度大分県学力定着状況調査 学年 小学校 5 年生 教科 国語 算数 理科 項目 知識 活用 知識 活用 知識 活用 大分県平均正答率 大分県偏差値 平成 30 年度 大分県学力定着状況調査 全国学力 学習状況調査 別府市の結果 別府市教育委員会 1 調査結果公表の目的平成 30 年度 大分県学力定着状況調査 及び 全国学力 学習状況調査 の調査結果 及び別府市全体の課題と課題解決の方策を公表することにより 別府市児童生徒の学力向上に向けて 学校 家庭 地域がそれぞれの果たすべき役割を認識し 一体となって取組を推進する機運を高めることを目的としています

More information

2 調査結果 (1) 教科に関する調査結果 全体の平均正答率では, 小 5, 中 2の全ての教科で 全国的期待値 ( 参考値 ) ( 以下 全国値 という ) との5ポイント以上の有意差は見られなかった 基礎 基本 については,5ポイント以上の有意差は見られなかったものの, 小 5 中 2ともに,

2 調査結果 (1) 教科に関する調査結果 全体の平均正答率では, 小 5, 中 2の全ての教科で 全国的期待値 ( 参考値 ) ( 以下 全国値 という ) との5ポイント以上の有意差は見られなかった 基礎 基本 については,5ポイント以上の有意差は見られなかったものの, 小 5 中 2ともに, 平成 26 年度宮城県学力 学習状況調査結果について ( 速報 ) 宮城県教育委員会 1 実施状況 (1) 調査の目的 1 宮城県の児童生徒の学力や学習状況及び学校の学習に係る取組, 意識等を調査することにより, 児童生徒の一層の学力向上に向け, 学習指導の改善と家庭学習の充実を図るとともに, 今後の教育施策の企画 立案に活用する 2 本調査の結果と全国学力 学習状況調査の結果を関連付けて分析することにより,

More information

<4D F736F F F696E74202D B835E89F090CD89898F4B81408F6489F18B4195AA90CD A E707074>

<4D F736F F F696E74202D B835E89F090CD89898F4B81408F6489F18B4195AA90CD A E707074> 重回帰分析 (2) データ解析演習 6.9 M1 荻原祐二 1 発表の流れ 1. 復習 2. ダミー変数を用いた重回帰分析 3. 交互作用項を用いた重回帰分析 4. 実際のデータで演習 2 復習 他の独立変数の影響を取り除いた時に ある独立変数が従属変数をどれくらい予測できるか 変数 X1 変数 X2 β= 変数 Y 想定したモデルが全体としてどの程度当てはまるのか R²= 3 偏相関係数と標準化偏回帰係数の違い

More information

学生による授業評価のCS分析

学生による授業評価のCS分析 平成 14-15 年度医学部医学科入学者の入学後成績に関する分析 酒見隆信 佐賀大学医学部附属地域医療科学教育研究センター 地域包括医療教育部門 1. 目的 平成 12-13 年度医学部医学科入学者の入学後の成績追跡調査を実施し 入学選抜方法 ( 推薦 前期 後期 ) による入学後の成績 特に卒業時の成績 ( 卒業試験 ) に差を認めない結果を平成 19 年 5 月に報告した 1) 平成 14 年度より

More information

産学共同研究 報告書

産学共同研究 報告書 口コミマーケティングメディアとしての 地域ブログの可能性 を探る研究 しずおかオンライン 静岡県立大学経営情報学部岩崎邦彦 Ⅰ 研究の目的と背景 今日 新たなコミュニケーションツールとして インターネットのブログ ( 日記的な Web サイト ) が注目されている 平成 18 年版情報通信白書によると 2005 年 3 月末時点で 335 万人であったブログ登録者数は 2006 年 3 月末には 868

More information

自己愛人格目録は 以下 7 因子が抽出された 誇大感 (α=.877) 自己愛憤怒 (α=.867) 他者支配欲求 (α=.768) 賞賛欲求 (α=.702) 他者回避 (α=.789) 他者評価への恐れ (α=.843) 対人過敏 (α=.782) 情動的共感性は 以下 5 因子が抽出された 感

自己愛人格目録は 以下 7 因子が抽出された 誇大感 (α=.877) 自己愛憤怒 (α=.867) 他者支配欲求 (α=.768) 賞賛欲求 (α=.702) 他者回避 (α=.789) 他者評価への恐れ (α=.843) 対人過敏 (α=.782) 情動的共感性は 以下 5 因子が抽出された 感 自己愛と攻撃性との関連 情動的共感性の視点から 心理教育実践専修 2510007 木村沙央 Ⅰ. 問題と目的現代人は自己愛的になってきているという見方がある 狩野 (2007) は 自己愛が強過ぎる場合 理想の自己イメージばかり膨らみ現実の自己とのギャップに苦しみ さまざまな心的疾患を抱える場合が多い と述べた 自己愛は青年期をピークに高まるとされる Gabbard(1987) は 自己愛人格特性に

More information

どのような生活を送る人が インターネット通販を高頻度で利用しているか? 2013 年 7 月 公益財団法人流通経済研究所主任研究員鈴木雄高 はじめにもはやそれなしでの生活は考えられない このように インターネット通販を生活に不可欠な存在と位置付ける人も多いであろう 実際 リアル店舗で買えて ネットで

どのような生活を送る人が インターネット通販を高頻度で利用しているか? 2013 年 7 月 公益財団法人流通経済研究所主任研究員鈴木雄高 はじめにもはやそれなしでの生活は考えられない このように インターネット通販を生活に不可欠な存在と位置付ける人も多いであろう 実際 リアル店舗で買えて ネットで どのような生活を送る人が インターネット通販を高頻度で利用しているか? 2013 年 7 月 公益財団法人流通経済研究所主任研究員鈴木雄高 はじめにもはやそれなしでの生活は考えられない このように インターネット通販を生活に不可欠な存在と位置付ける人も多いであろう 実際 リアル店舗で買えて ネットでは買えないものは年々減ってきている印象がある 例えば Amazon.co.jp では 2000 年 11

More information

KONNO PRINT

KONNO PRINT 東北大学大学院教育学研究科研究年報第 66 集 第 2 号 (2018 年 ) 児童期 青年期における仲間関係の排他性, 対人受容性, 仲間集団の閉鎖性の関係性に関する研究 * 松本恵美 本研究は, 児童期および青年期における 仲間関係の排他性 に影響を及ぼす要因について明らかにすることを第一の目的とし, 要因として個人要因である 対人受容性 と環境要因である 仲間集団の閉鎖性 を取り上げ検討した

More information

発達研究第 25 巻 問題と目的 一般に, 授業の中でよく手を挙げるなどの授業に積極的に参加している児童は授業への動機づけが高いと考えられている ( 江村 大久保,2011) したがって, 教師は授業に積極的に参加している児童の行動を児童の関心 意欲の現われと考えるのである 授業場面における児童の積

発達研究第 25 巻 問題と目的 一般に, 授業の中でよく手を挙げるなどの授業に積極的に参加している児童は授業への動機づけが高いと考えられている ( 江村 大久保,2011) したがって, 教師は授業に積極的に参加している児童の行動を児童の関心 意欲の現われと考えるのである 授業場面における児童の積 Human Developmental Research 2011.Vol.25,173-178 授業に積極的に参加している児童は動機づけが高いのか? 授業雰囲気による学級別の検討 ( 中間報告 ) 香川大学 神戸市立北須磨小学校 大久保智生 江村早紀 Were school pupils who were positively participating in the class high motivated?

More information

件法 (1: 中学卒業 ~5: 大学院卒業 ) で 収入については 父親 母親それぞれについて 12 件法 (0: わからない 収入なし~ 11:1200 万以上 ) でたずねた 本稿では 3 時点目の両親の収入を分析に用いた 表出語彙種類数幼児期の言語的発達の状態を測定するために 3 時点目でマッ

件法 (1: 中学卒業 ~5: 大学院卒業 ) で 収入については 父親 母親それぞれについて 12 件法 (0: わからない 収入なし~ 11:1200 万以上 ) でたずねた 本稿では 3 時点目の両親の収入を分析に用いた 表出語彙種類数幼児期の言語的発達の状態を測定するために 3 時点目でマッ メディア接触と国語 算数の学力との関連 : 重回帰分析による検討 近江玲 田島祥 向田久美子 坂元章 1. 目的テレビ放映が開始された当初から テレビが子どもの学力に与える悪影響について懸念されてきた これまでに 多くの研究でテレビ視聴が学力や知的能力に与える影響が検討され テレビ視聴によって読解力や数学の成績が低下するというネガティブな影響が散見されている ( 近江, 2011) しかし日本においては

More information

Microsoft Word - youshi1113

Microsoft Word - youshi1113 異文化能力の概念化と応用 : 批判的再考 ケンパー マティアス 08VT008S 要旨 本研究の目的は1) 既存の異文化能力論の批判的再考 2) 文化的差異の共有 を中心とする異文化能力の概念化及び3) 提唱された異文化能力モデルの応用についての考察である 本稿は4 章の構造からなる 第 1 章において異文化コミュニケーション能力の概念化に必要な理論的条件と概論としての問題点を考察し 続く第 2 章において既存の異文化コミュニケーション能力の諸定義とモデルの批判的再考を行った

More information

因子分析

因子分析 因子分析 心理データ解析演習 M1 枡田恵 2013.6.5. 1 因子分析とは 因子分析とは ある観測された変数 ( 質問項目への回答など ) が どのような潜在的な変数 ( 観測されない 仮定された変数 ) から影響を受けているかを探る手法 多変量解析の手法の一つ 複数の変数の関係性をもとにした構造を探る際によく用いられる 2 因子分析とは 探索的因子分析 - 多くの観測変数間に見られる複雑な相関関係が

More information

平成 27 年度 (2015 年度 ) 課程博士学位論文 夫婦間顕在的葛藤が青年期の子どもの 精神的健康に及ぼす影響に関する研究 日本と中国の比較を通して 張新荷

平成 27 年度 (2015 年度 ) 課程博士学位論文 夫婦間顕在的葛藤が青年期の子どもの 精神的健康に及ぼす影響に関する研究 日本と中国の比較を通して 張新荷 平成 27 年度 (2015 年度 ) 課程博士学位論文 夫婦間顕在的葛藤が青年期の子どもの 精神的健康に及ぼす影響に関する研究 日本と中国の比較を通して 張新荷 要旨 夫婦間顕在的葛藤が青年期の子どもの精神的健康に及ぼす影響 に関する研究 日本と中国の比較を通して 本研究の目的は, 日本と中国において夫婦間顕在的葛藤が青年期の子どもの精神的健康に及ぼす影響を明らかにすることであった 子どもの精神的健康に影響を与えるプロセスについて,

More information

サーバに関するヘドニック回帰式(再推計結果)

サーバに関するヘドニック回帰式(再推計結果) 2012 年 3 月 日本銀行調査統計局 企業物価指数 サーバ に関するヘドニック回帰式 ( 再推計結果 ) 企業物価指数 サーバ の品質調整に適用するヘドニック回帰式について 1 最新のデータを用いて再推計しましたので その結果をお知らせします 1. サーバのヘドニック推計に関する基本方針 留意事項推計頻度 年 1 回 (2 月 ) 適用範囲 国内品 輸出品 輸入品に対し 同一の推計式を適用 2

More information

1. 多変量解析の基本的な概念 1. 多変量解析の基本的な概念 1.1 多変量解析の目的 人間のデータは多変量データが多いので多変量解析が有用 特性概括評価特性概括評価 症 例 主 治 医 の 主 観 症 例 主 治 医 の 主 観 単変量解析 客観的規準のある要約多変量解析 要約値 客観的規準のな

1. 多変量解析の基本的な概念 1. 多変量解析の基本的な概念 1.1 多変量解析の目的 人間のデータは多変量データが多いので多変量解析が有用 特性概括評価特性概括評価 症 例 主 治 医 の 主 観 症 例 主 治 医 の 主 観 単変量解析 客観的規準のある要約多変量解析 要約値 客観的規準のな 1.1 多変量解析の目的 人間のデータは多変量データが多いので多変量解析が有用 特性概括評価特性概括評価 症 例 治 医 の 観 症 例 治 医 の 観 単変量解析 客観的規準のある要約多変量解析 要約値 客観的規準のない要約知識 直感 知識 直感 総合的評価 考察 総合的評価 考察 単変量解析の場合 多変量解析の場合 < 表 1.1 脂質異常症患者の TC と TG と重症度 > 症例 No. TC

More information

(1) 神戸大学大学院人間発達環境学研究科研究紀要第 5 巻第 1 号 2011 Bulletin of Graduate School of Human Development and Environment Kobe University, Vol5 No 研究論文 新たな親密性

(1) 神戸大学大学院人間発達環境学研究科研究紀要第 5 巻第 1 号 2011 Bulletin of Graduate School of Human Development and Environment Kobe University, Vol5 No 研究論文 新たな親密性 Title Author(s) Kobe University Repository : Kernel 新たな親密性尺度の作成 (Development of the New Intimacy Scale) 谷, 冬彦 / 原田, 新 Citation 神戸大学大学院人間発達環境学研究科研究紀要,5(1):17 Issue date 201109 Resource Type Resource Version

More information

0_____目次.indd

0_____目次.indd 2 研究内容別傾向 ① BPSD ① - 1 他の研究内容との重複 BPSD に関連する研究64件のうち重複している研究内容は 家族 に関連する研究が15件 23.4% と 最も多く 次いで 評価法 に関連する研究が11件 17.2% となっている さらに 介護職員 に関 連する研究が10件 15.6% ストレス 負担感 に関する研究が 9 件 14.1% となっている 表① -1 他の研究内容との重複件数

More information

『いい夫婦の日』夫婦に関するアンケート調査 【プレゼント編】調査報告書

『いい夫婦の日』夫婦に関するアンケート調査 【プレゼント編】調査報告書 いい夫婦の日 夫婦に関するアンケート調査 プレゼント編 調査報告書 2015 年 10 月 26 日 いい夫婦の日 をすすめる会 Copyright (C) 2015 Asahi Advertising inc. All Rights Reserved 0 調査概要 いい夫婦の日 をすすめる会と 日本最大級のプレゼント検索サイト ベストプレゼント を運営する LUCHE HOLDINGS PTE.

More information

研究成果報告書

研究成果報告書 様式 C-19 科学研究費補助金研究成果報告書 平成 21 年 5 月 18 日現在 研究種目 : 基盤研究 (C) 研究期間 :2006~2008 課題番号 :18592347 研究課題名 ( 和文 ) 出産準備教育の効果に関する縦断的研究 研究課題名 ( 英文 ) A longitudinal study on effects of childbirth education for pregnant

More information

スライド 1

スライド 1 データ解析特論第 10 回 ( 全 15 回 ) 2012 年 12 月 11 日 ( 火 ) 情報エレクトロニクス専攻横田孝義 1 終了 11/13 11/20 重回帰分析をしばらくやります 12/4 12/11 12/18 2 前回から回帰分析について学習しています 3 ( 単 ) 回帰分析 単回帰分析では一つの従属変数 ( 目的変数 ) を 一つの独立変数 ( 説明変数 ) で予測する事を考える

More information

15 第1章妊娠出産子育てをめぐる妻の年齢要因

15 第1章妊娠出産子育てをめぐる妻の年齢要因 第 1 章 妊娠出産子育てをめぐる妻の年齢要因 滝沢美津子 本調査の対象となった妻の年齢は 妊娠期の調査時で20 歳から41 歳であり ( 平均 30.2 歳 ) およそ 2 世代が含まれるような広い分布となっている 本章では妻の年齢によって妊娠 出産の理由や分娩様式 育児期のサポートに特徴があるかどうかを 妊娠期の調査時の4つの年齢グループ (24 歳以下 25 29 歳 30 34 歳 35 歳以上

More information

調査の目的この報告書は, 第 1 に,2011 年から 2012 年にかけての 4 回の調査の結果をもとに, サポーツ京田辺の生徒の皆さんの学習意欲の状態を複数の側面から把握した結果を報告することを目的としています また第 2 に, 生徒の皆さんの勉強の仕方に関する考え方や実際の勉強の仕方を知り,

調査の目的この報告書は, 第 1 に,2011 年から 2012 年にかけての 4 回の調査の結果をもとに, サポーツ京田辺の生徒の皆さんの学習意欲の状態を複数の側面から把握した結果を報告することを目的としています また第 2 に, 生徒の皆さんの勉強の仕方に関する考え方や実際の勉強の仕方を知り, 2013 年 1 月 サポーツ京田辺やる気 UP アンケート 勉強の仕方に関するアンケート調査第三回報告書 ver.2 同志社大学心理学部心理学科准教授田中あゆみ 1 調査の目的この報告書は, 第 1 に,2011 年から 2012 年にかけての 4 回の調査の結果をもとに, サポーツ京田辺の生徒の皆さんの学習意欲の状態を複数の側面から把握した結果を報告することを目的としています また第 2 に,

More information

 

  6 貧困 低所得とメンタルヘルス及びその世代的再生産 首都大学東京人文科学研究科教授稲葉昭英 1 はじめにここでは 様々な所得指標とメンタルヘルスの関連 及びその世代的な再生産の有無を検討する なお 以下の分析は保護者調査票の回答者が父親又は母親である場合 ( それぞれ義理の父母を含める ) に限定している 2 メンタルヘルス指標の作成メンタルヘルス指標は さまざまな概念と対応するが 本調査では心理的な不快な状態である抑うつ

More information

原田知佳 坂井 誠 己主張 自己抑制の主効果がみられた つまり 自己 ともに得点が減少していることを報告している 中学 主張が低い人は高い人よりも 自己抑制が低い人は高 生のみを対象にした本研究では 学年差は見られなか い人よりも ストレス反応を生じやすいと言えた った これは 中学生という3年間の生活の中では 自己制御機能に関する変化はそれはどないということ IV 考 察 を示している 小学生 中学生

More information

C-60-鈴木-四校.indd

C-60-鈴木-四校.indd 特性承認欲求の安定性の確認 および 状態承認欲求の行動規定因としての性質についての予備的検討 社会学研究科社会学専攻博士後期課程修了 鈴木 公啓 社会学研究科社会学専攻博士後期課程満期退学 本田 * ** 周二 これまで 承認欲求は特性として扱われてきた しかし 状態としての承認欲求が存在し 個々の場面における行動と関連している可能性も考えられる そこで 本論文では 特性承認欲求の安定性を確認したうえで

More information

無料低額宿泊所等を利用する被保護者等に対する知的障害及び適応行動等に関する調査研究

無料低額宿泊所等を利用する被保護者等に対する知的障害及び適応行動等に関する調査研究 第 7 回社会福祉住居施設及び生活保護受給者の日常生活支援の在り方に関する検討会資料 無料低額宿泊所等において日常生活上の支援を受ける必要がある利用者の支援ニーズ評定に関する調査研究事業 ( 平成 29 年度及び 年度社会福祉推進事業より ) 中京大学辻井正次 本日のご報告 1 研究事業の実施概要 2 無料低額宿泊所入居者の障害の程度 ( 救護施設との比較 ) (H29 年度 ) 3 適応行動尺度の概要及び無料低額宿泊所入所者の状況

More information

Water Sunshine

Water Sunshine 全国英語教育学会 2016 年 8 月 20 日 ( 土 ) 第 42 回埼玉大会 獨協大学 中高生の英語学習に関する実態調査 2014 学習実態と学習への意識の関係性などを探る 工藤洋路 ( 玉川大学 ) 大規模調査 調査の背景 2008 年 中学校英語に関する基本調査 ( 教員調査 ) 2009 年 中学校英語に関する基本調査 ( 生徒調査 ) ヒアリング調査 2013 年 中高生に対する聞き取り調査

More information

_旅行年報2015.indd

_旅行年報2015.indd -1 概 況 1 者 数 実 施 率 国 内 宿 泊 62.7% 国 内 帰 り 47.3% 海 外 8.7% 62.7% 国 内 帰 り 全 体 では47.3% 海 外 全 体 では 8. 7 %であった ( 以 下 観 光 ) 帰 省 知 訪 問 等 ( 以 下 帰 省 ) ( 以 下 出 張 ) 内 訳 につ いては 図 -1-1 左 参 照 を 国 内 宿 泊 国 内 帰 り 海 外 3 つに

More information

発達教育10_087_古池.indd

発達教育10_087_古池.indd 古池若葉 ( 児童学科准教授 ) はじめに数概念 数理解の発達については,Piaget による数の保存性を中心とする研究以来, subitizing, 数唱, 計数, 基数性, 序数性, 計算などに関して, 主に乳児から児童を対象に多くの研究が行われてきた しかしながら, 数表記に関する研究は少なく, また, 数表記の理解 産出が数概念とどのように関連しているのかについても検討がされていない 両者の関係については,

More information

夫婦の家事分担に関する調査

夫婦の家事分担に関する調査 130-8644 東京都墨田区本所 1-3-7 発表資料 2016 年 10 月 6 日 夫婦の家事分担に関する意識 実態調査 夫は家事を3 割担っているつもりでも 妻は認めていなかった! 原因は 家事のやり方 やりがいの違いにあり夫婦の 家事ギャップ は 長時間労働 に次ぐ第 2のハードル?! 一億総活躍社会 の実現に向けて 働き方改革 がスタートしました 長時間労働の是正により 男性が家事 育児に取り組む時間が増え

More information

課題研究の進め方 これは,10 年経験者研修講座の各教科の課題研究の研修で使っている資料をまとめたものです 課題研究の進め方 と 課題研究報告書の書き方 について, 教科を限定せずに一般的に紹介してありますので, 校内研修などにご活用ください

課題研究の進め方 これは,10 年経験者研修講座の各教科の課題研究の研修で使っている資料をまとめたものです 課題研究の進め方 と 課題研究報告書の書き方 について, 教科を限定せずに一般的に紹介してありますので, 校内研修などにご活用ください 課題研究の進め方 これは,10 年経験者研修講座の各教科の課題研究の研修で使っている資料をまとめたものです 課題研究の進め方 と 課題研究報告書の書き方 について, 教科を限定せずに一般的に紹介してありますので, 校内研修などにご活用ください 課題研究の進め方 Ⅰ 課題研究の進め方 1 課題研究 のねらい日頃の教育実践を通して研究すべき課題を設定し, その究明を図ることにより, 教員としての資質の向上を図る

More information

<4D F736F F F696E74202D ED089EF959F8E838A7789EF C835B BB82CC A332090DD92758EE591CC8F4390B38CE3205

<4D F736F F F696E74202D ED089EF959F8E838A7789EF C835B BB82CC A332090DD92758EE591CC8F4390B38CE3205 地域包括支援センターに関する全国調査結果の概要 ( その ) - 関係機関等との連携状況に焦点を当てて - 吉田麻衣 ( 長崎純心大学医療 福祉連携センター ) 潮谷有二 ( 長崎純心大学医療 福祉連携センター ) 宮野澄男 ( 長崎純心大学医療 福祉連携センター ) 奥村あすか ( 長崎純心大学医療 福祉連携センター ) http://www.n-junshin.ac.jp/cmw/ Ⅰ. 研究目的

More information

Microsoft PowerPoint - 05 資料5 白井委員

Microsoft PowerPoint - 05 資料5 白井委員 資料 5 消費者の価格判断について 白井美由里横浜国立大学 1 内容 価格判断に関連する理論 プロスペクト理論 順応水準理論 同化 - 対比理論内的参照価格とは 種類と水準価格変更に対する消費者の公平性評価 二重権利の原理メッセージの消費者への伝わり方 精緻化見込みモデル 2 消費者の価格判断 ( 価格の知覚 ) とは 価格についての消費者の解釈 高い 安い 妥当である 普通であるといった主観的評価実際には不正確であっても

More information

人生100年時代の結婚に関する意識と実態

人生100年時代の結婚に関する意識と実態 2018 年 10 月 25 日 人生 100 年時代の結婚に関する意識と実態 株式会社明治安田生活福祉研究所 ( 社長木島正博 ) は 2018 年 6 月に全国の 40~64 歳の男女 12,000 人を対象として 人生 100 年時代に向けた意識調査 を実施しました 人生 100 年時代 を目前に控えた今日 家族や夫婦のあり方 結婚に対する意識も変化し 多様化しています 本リリースでは 結婚やパートナーに求める意識と実態について最新の状況をご紹介します

More information

Microsoft Word - 12_田中知恵.doc

Microsoft Word - 12_田中知恵.doc シニアマーケットにおける広告戦略について ~ 幸福感をもたらす広告メッセージ ~ 代表研究者田中知恵昭和女子大学人間社会学部専任講師共同研究者村田光二一橋大学大学院社会学研究科教授道家瑠見子 一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程 1. 問題平成 18 年度版の高齢社会白書によれば 高齢化率は 2015 年に 26.0% 2050 年には 35.7% に達し 国民の約 3 人に 1 人が 65 歳以上という極めて高齢化の進んだ社会の到来が見込まれている

More information

小学生の英語学習に関する調査

小学生の英語学習に関する調査 2015 年 11 月 5 日 株式会社ベネッセホールディングス 代表取締役会長兼社長原田泳幸 小学生の英語学習に関する調査小 5 6 生の 6 割が 教室の外で英語を使ってみたい と回答 しかし 保護者の約 6 割は 外国語活動 に 満足していない 株式会社ベネッセホールディングス ( 本社 : 岡山市 以下ベネッセ ) の社内シンクタンク ベネッセ教育総合研究所 では 2015 年 3 月に 全国の小学

More information

発達 教 育学 部 紀 要 こ れ ら7尺 度 間 の 構 造 をみ る た め に,さ ら に2 け 因, 誘 導 と 妥 協 に 共 通 す る 誘 次 因 分 析 を行 っ た と こ ろ, 拒 否 と 統 制 導 妥 協 因 の3因 が 見 出 され た しか し, と 行 儀 に 共 通 す る 厳 しい 言 葉 か け 因, 2次 因 は 必 ず し も単 純 構 造 を 示 さ な か

More information

TOYOK-01_24704.pdf

TOYOK-01_24704.pdf 観光学研究 第 7 号 2008年 3 月 58 ②論文とりまとめの指導方法 一連の論文のとりまとめ作業を その内容のまとまりに留意しながら 表 1 に示したとおり 本 調査研究の意義や目的の理解 舎の色彩のバリエーションの検討 舎の色彩を評価する形容詞 対の検討 順位法及び SD 法によるアンケート調査票の様式の検討 刺激となる 舎の複数の色彩写 真の作成 学生等を被験者としたアンケート調査の実施

More information

<30348FE391EB93D58E F648BB482CC82BC82DD2E696E6464>

<30348FE391EB93D58E F648BB482CC82BC82DD2E696E6464> 演習場面における大学生の理想自己 現実自己の差と発言行動との関連 評価懸念という視点を取り入れて 上瀧惇子 1 重橋のぞみ The Relationship between Students Utterance Activity and the Differences in their Ideal-Self and the Real-Self during the Seminars at College

More information

国際数学・理科教育動向調査(TIMSS2015)のポイント

国際数学・理科教育動向調査(TIMSS2015)のポイント ティムズ国際数学 理科教育動向調査 (TIMSS2015) のポイント 調査概要 国際教育到達度評価学会 (IEA) が 児童生徒の算数 数学 理科の到達度を国際的な尺度によって測定し 児童生徒の学習環境等との関係を明らかにするために実施した 小学校は 50 か ( 約 27 万人 ) 中学校は 40 か ( 約 25 万人 ) が参加した 一部の国で 調査対象と異なる学年が調査を受けているため それらの国については含めていない

More information

「夫婦関係調査2017」発表

「夫婦関係調査2017」発表 2017 年 7 月 19 日 既婚者の約 7 割は夫婦関係に満足 一方で 30 代妻の満足している割合は大幅に減少 特に 妻といない妻では満足者の減少幅に違い 妻は家事負担比率の理想と現実のギャップが大きく 夫婦間のバランス 時間的ゆとり 精神的ゆとり が減少 一方で 20 代 30 代の夫の 家事負担をする 意識は高まりつつある 株式会社リクルートマーケティングパートナーズ ( 本社 : 東京都中央区代表取締役社長山口文洋

More information

Microsoft PowerPoint - R-stat-intro_12.ppt [互換モード]

Microsoft PowerPoint - R-stat-intro_12.ppt [互換モード] R で統計解析入門 (12) 生存時間解析 中篇 準備 : データ DEP の読み込み 1. データ DEP を以下からダウンロードする http://www.cwk.zaq.ne.jp/fkhud708/files/dep.csv /fkh /d 2. ダウンロードした場所を把握する ここでは c:/temp とする 3. R を起動し,2. 2 の場所に移動し, データを読み込む 4. データ

More information

第 3 章各調査の結果 35

第 3 章各調査の結果 35 第 3 章各調査の結果 35 36 3-1 WEB 調査結果 1. 調査概要 (1) 調査の回答者のプロフィール図表 3-1-1-1 居住地の人口規模別 ( 男女共通 ) 図 3-1-1-2 居住地の都道府県別 ( 男女別 ) 町村 20.0% (n=3,000) 大都市 ( 東京 23 区 政令指定都市 ) 30 0% 男性 (n=3,000) 4.4 6.4 女性 (n=3,000) 6.8 5.8

More information

厚生労働科学研究費補助金(循環器疾患等生活習慣病対策総合研究事業)

厚生労働科学研究費補助金(循環器疾患等生活習慣病対策総合研究事業) 厚生労働科学研究費補助金 ( 循環器疾患 糖尿病等生活習慣病対策総合研究事業 ) 分担研究報告書 健康寿命の全国推移の算定 評価に関する研究 評価方法の作成と適用の試み 研究分担者橋本修二藤田保健衛生大学医学部衛生学講座 教授 研究要旨健康寿命の推移について 平均寿命の増加分を上回る健康寿命の増加 ( 健康日本 21( 第二次 ) の目標 ) の達成状況の評価方法を開発 提案することを目的とした 本年度は

More information

EBNと疫学

EBNと疫学 推定と検定 57 ( 復習 ) 記述統計と推測統計 統計解析は大きく 2 つに分けられる 記述統計 推測統計 記述統計 観察集団の特性を示すもの 代表値 ( 平均値や中央値 ) や ばらつきの指標 ( 標準偏差など ) 図表を効果的に使う 推測統計 観察集団のデータから母集団の特性を 推定 する 平均 / 分散 / 係数値などの推定 ( 点推定 ) 点推定値のばらつきを調べる ( 区間推定 ) 検定統計量を用いた検定

More information

横浜市環境科学研究所

横浜市環境科学研究所 周期時系列の統計解析 単回帰分析 io 8 年 3 日 周期時系列に季節調整を行わないで単回帰分析を適用すると, 回帰係数には周期成分の影響が加わる. ここでは, 周期時系列をコサイン関数モデルで近似し単回帰分析によりモデルの回帰係数を求め, 周期成分の影響を検討した. また, その結果を気温時系列に当てはめ, 課題等について考察した. 気温時系列とコサイン関数モデル第 報の結果を利用するので, その一部を再掲する.

More information

(2) 学習指導要領の領域別の平均正答率 1 小学校国語 A (%) 学習指導要領の領域 領 域 話すこと 聞くこと 66.6(69.2) 77.0(79.2) 書くこと 61.8(60.6) 69.3(72.8) 読むこと 69.9(70.2) 77.4(78.5) 伝統的な言語文化等 78.3(

(2) 学習指導要領の領域別の平均正答率 1 小学校国語 A (%) 学習指導要領の領域 領 域 話すこと 聞くこと 66.6(69.2) 77.0(79.2) 書くこと 61.8(60.6) 69.3(72.8) 読むこと 69.9(70.2) 77.4(78.5) 伝統的な言語文化等 78.3( テレビ ラジオ インターネット新聞 平成 29 年 8 月 28 日 ( 月 )17:00 解禁平成 29 年 8 月 29 日 ( 火 ) 朝刊解禁 平成 29 年度全国学力 学習状況調査の結果の概要について 栃木県教育委員会事務局学校教育課 1 調査の目的 義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から 全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握 分析し 教育施策の成果と課題を検証し その改善を図る

More information

Microsoft PowerPoint - 統計科学研究所_R_重回帰分析_変数選択_2.ppt

Microsoft PowerPoint - 統計科学研究所_R_重回帰分析_変数選択_2.ppt 重回帰分析 残差分析 変数選択 1 内容 重回帰分析 残差分析 歯の咬耗度データの分析 R で変数選択 ~ step 関数 ~ 2 重回帰分析と単回帰分析 体重を予測する問題 分析 1 身長 のみから体重を予測 分析 2 身長 と ウエスト の両方を用いて体重を予測 分析 1 と比べて大きな改善 体重 に関する推測では 身長 だけでは不十分 重回帰分析における問題 ~ モデルの構築 ~ 適切なモデルで分析しているか?

More information

(Microsoft Word

(Microsoft Word 中学生におけるにおける勤労観勤労観と進路選択進路選択に対するする自己効力自己効力とのとの関連 職場体験職場体験 を中心中心に The Relationship between Working Consciousness and Career Decision-Making Self-Efficacy in Junior High School Students Focus on Work Experience

More information

Microsoft Word - mstattext02.docx

Microsoft Word - mstattext02.docx 章重回帰分析 複数の変数で 1つの変数を予測するような手法を 重回帰分析 といいます 前の巻でところで述べた回帰分析は 1つの説明変数で目的変数を予測 ( 説明 ) する手法でしたが この説明変数が複数個になったと考えればよいでしょう 重回帰分析はこの予測式を与える分析手法です 以下の例を見て下さい 例 以下のデータ (Samples 重回帰分析 1.txt) をもとに体重を身長と胸囲の1 次関数で

More information

切片 ( 定数項 ) ダミー 以下の単回帰モデルを考えよう これは賃金と就業年数の関係を分析している : ( 賃金関数 ) ここで Y i = α + β X i + u i, i =1,, n, u i ~ i.i.d. N(0, σ 2 ) Y i : 賃金の対数値, X i : 就業年数. (

切片 ( 定数項 ) ダミー 以下の単回帰モデルを考えよう これは賃金と就業年数の関係を分析している : ( 賃金関数 ) ここで Y i = α + β X i + u i, i =1,, n, u i ~ i.i.d. N(0, σ 2 ) Y i : 賃金の対数値, X i : 就業年数. ( 統計学ダミー変数による分析 担当 : 長倉大輔 ( ながくらだいすけ ) 1 切片 ( 定数項 ) ダミー 以下の単回帰モデルを考えよう これは賃金と就業年数の関係を分析している : ( 賃金関数 ) ここで Y i = α + β X i + u i, i =1,, n, u i ~ i.i.d. N(0, σ 2 ) Y i : 賃金の対数値, X i : 就業年数. ( 実際は賃金を就業年数だけで説明するのは現実的はない

More information

回数テーマ学習内容学びのポイント 2 過去に行われた自閉症児の教育 2 感覚統合法によるアプローチ 認知発達を重視したアプローチ 感覚統合法における指導段階について学ぶ 自閉症児に対する感覚統合法の実際を学ぶ 感覚統合法の問題点について学ぶ 言語 認知障害説について学ぶ 自閉症児における認知障害につ

回数テーマ学習内容学びのポイント 2 過去に行われた自閉症児の教育 2 感覚統合法によるアプローチ 認知発達を重視したアプローチ 感覚統合法における指導段階について学ぶ 自閉症児に対する感覚統合法の実際を学ぶ 感覚統合法の問題点について学ぶ 言語 認知障害説について学ぶ 自閉症児における認知障害につ 心理 生理 病理 科目の内容指導法自閉症教育総論 単位数履修方法配当年次 2 R or SR 3 年以上 科目コード EG4735 担当教員 青木真澄 わが国で, 自閉性障害のある児童生徒に学校教育が行われてから約 30 年の年月が経過している 彼らの 障害の程度に応じて, 通常の学級や通級指導教室, 特別支援学級, あるいは特別支援学校で多様な教育が 行われてきた しかし, 未だなお, 彼らに効果的であると実証された指導方法は確立されていない

More information

QOL) を向上させる支援に目を向けることが必要になると考えられる それには統合失調症患者の生活の質に対する思いや考えを理解し, その意向を汲みながら, 具体的な支援を考えなければならない また, そのような背景のもと, 精神医療や精神保健福祉の領域において統合失調症患者の QOL 向上を目的とした

QOL) を向上させる支援に目を向けることが必要になると考えられる それには統合失調症患者の生活の質に対する思いや考えを理解し, その意向を汲みながら, 具体的な支援を考えなければならない また, そのような背景のもと, 精神医療や精神保健福祉の領域において統合失調症患者の QOL 向上を目的とした 学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 中村博文 論文審査担当者 主査西川徹副査田上美千佳 高瀬浩造 論文題目 Structural equation model of factors related to quality of life for community-dwelling schizophrenic patients in Japan ( 論文内容の要旨 ) < 要旨 > 本研究の目的は,

More information

Microsoft Word - 目次・奥付.doc

Microsoft Word - 目次・奥付.doc 第 3 章 LD ADHD 高機自閉症等の指導内容と自立活動 第 3 章 LD ADHD 高機能自閉症等の指導内容と自立活動 1. 文献からみる LD ADHD 高機能自閉症等の指導の整理 はじめに LD ADHD 高機能自閉症等の子どもたちに対しては 通常の学級 通級指導教室等の様々な機会を捉えて 様々な場で指導が展開されている しかし 現行の学習指導要領では このような子どもたちの指導内容や教育課程については明確に示されていない

More information

早稲田大学大学院日本語教育研究科 修士論文概要書 論文題目 ネパール人日本語学習者による日本語のリズム生成 大熊伊宗 2018 年 3 月

早稲田大学大学院日本語教育研究科 修士論文概要書 論文題目 ネパール人日本語学習者による日本語のリズム生成 大熊伊宗 2018 年 3 月 早稲田大学大学院日本語教育研究科 修士論文概要書 論文題目 ネパール人日本語学習者による日本語のリズム生成 大熊伊宗 2018 年 3 月 本研究は ネパール人日本語学習者 ( 以下 NPLS) のリズム生成の特徴を明らかにし NPLS に対する発音学習支援 リズム習得研究に示唆を与えるものである 以下 本論文 の流れに沿って 概要を記述する 第一章序論 第一章では 本研究の問題意識 意義 目的 本論文の構成を記した

More information