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1 平成 20 年度 特許庁 委託事業 中国商標権冒認出願判例 事例集 2009 年 3 月ジェトロ北京センター知的財産権部

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3 はじめに 従来 中国の知的財産権問題といえば ほとんどがいわゆる 模倣品 海賊版 問題であった もちろん 依然として 模倣品 海賊版 は大きな問題であり続けているが もう1つの大きな問題として最近注目を集めている問題に 商標の冒認出願 問題がある ( ある商標がまだ出願 登録されていないことを奇貨として 第三者が先に当該商標を出願 登録することを 本書では 冒認出願 という 抜け駆け登録 という言い方もある ) 近時 中国では 他者( とくに外国企業等 ) の有する有名なブランド等を 第三者が自己名義で商標冒認出願する事案が増加している 中国の商標法は 日本等多くの国の商標法と同様に 先願主義 登録主義を採用している ( 商標法 第 29 条 第 7 章等 ) 先願主義 登録主義の下では 既に商標を実際に使用している者であっても 第三者が先に当該商標の出願をして登録を受けてしまうと もはや当該商標の登録ができなくなるほか もし登録名義人の許諾を得ずに当該商標を使用すると 商標権侵害を理由に訴えられることになりかねない しかし 他人の商標がいまだ登録出願されていないことを奇貨として先に当該商標の冒認出願をしたような者を保護することは 信義誠実の原則に照らし 明らかに不合理である ジェトロ北京センター知的財産権部としても 従来より 上記の 商標の冒認出願 問題に注目しており 対策の検討の必要性を痛感してきたところである そこで 日本企業等の参考に供するため 2008 年 3 月には 中国商標権冒認出願対策マニュアル を発行した さらに 2009 年 3 月には 地名 地域ブランド 人名 キャラクターの図柄等が冒認出願された場合の対策等についての記述を加えた 中国商標権冒認出願対策マニュアル 2009 年改訂増補版 を発行した 本書 中国商標権冒認出願判例 事例集 では とくに企業等の有する商品 役務のブランドの冒認出願が問題となった事例 ( 全 20 件 ) を対象として とくに主要な争点となった商標法の条文ごとに各事例をグループ分けした上で 事案の概要及び判決の内容等を紹介し 解説を加えた 但し 良品計画の 無印良品 及び MUJI の事例 並びに ニフコの NIfCO 及び TIfCO の事例については 上記マニュアルに掲載しているので 本書からは割愛した また 本書が対象として いる全 20 件の事例の中には ジェトロから毎年発行されている 中国の知的財産権侵害 判例 事 例集 で既に紹介されたものが含まれている 本書が 上記マニュアルとともに 中国での 商標の冒認出願 問題に悩まされている日本企業や関係団体の参考になれば幸いである なお 本書は 森 濱田松本法律事務所 ( 遠藤誠弁護士 ) に委託して作成したものである 2009 年 3 月 ジェトロ北京センター 知的財産権部

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5 < 目次 > 商標法 第 13 条関係 著名商標に基づく係争商標の取消申立が認められなかった紛争事件... 1 商標法 第 15 条関係 年改正 商標法 の施行前に登録された商標について 改正後の 商標法 第 15 条を適用して商標登録の取消を認めた紛争事件 商標法 第 15 条に定める代理人には 商標登録等の手続を行う商標代理人だけでなく 特殊な販売代理関係にある者も含まれるとされた紛争事件 商標法 第 15 条に定める 被代理人の商標 は中国で登録された商標に限らないとされた紛争事件 商標法 第 31 条関係 著作権と登録商標専用権の衝突に係る紛争事件 商標法 第 28 条と第 31 条の適用関係に係る紛争事件 商標法 第 31 条にいう 使用 の主体 時期 方法及び 一定の影響力 についての紛争事件 商標法 第 31 条を適用するための 悪意 の要件についての紛争事件 ロゴマークの著作物性を認め 商標法 第 31 条により係争商標の取消を認めた紛争事件 既存の権利 が 商標権侵害訴訟における 抗弁 として認められた紛争事件 商標法 第 31 条及び第 15 条を根拠として登録商標の取消が認められた紛争事件 商標法 第 31 条の 他人の既存の権利 としての商号権に係る紛争事件 商標法 第 41 条第 1 項関係 商標法 第 31 条及び第 41 条第 1 項の両方により登録商標の 取消が認められた紛争事件 商標法 第 44 条第 4 号関係 ライセンシーが係争商標の使用権を有している証拠がないとして 商標法 第 44 条第 4 号により係争商標が取り消された紛争事件 年間不使用という取消理由が一部の指定商品のみに及ぶ場合における取消の範囲に係る紛争事件 中国商標権冒認出願判例 事例集 Ⅰ

6 44-3. 商標法 第 44 条第 4 号の 使用 の証拠に係る紛争事件 商標法 第 44 条第 4 号の 使用 といえるためには 商標登録 者が他人と商標使用許諾契約を締結しただけでは足りないとされた紛争事件 その他 O-1. RITS 麗池及び図 標章を使用した行為は THE RITZ HOTEL, LIMITED の RITZ 商標権の侵害を構成するとされた紛争事件 O-2. 登録商標維持 の裁定に不服がある場合にも 商標法 第 49 条により商標評審委員会に再審査の申立を提出することができるとされた紛争事件 O-3. 外国企業の有名ブランドにフリーライドしようとする虚偽宣伝行為に係る不正競争紛争事件 Ⅱ 中国商標権冒認出願判例 事例集

7 商標法 第 13 条関係 著名商標に基づく係争商標の取消申立が認められなかった紛争事件 1. 事件の性質 商標行政紛争事件 2. 事件名 争点 事件名 :P&G が商標評審委員会を訴えた事件 争点 : 著名商標 ( 中国語では 馳名商標 ) が他分類においても保護を受けるための要件 3. 書誌的事項 第一審 : 北京市第一中級人民法院 (2006) 一中行初字第 851 号原告 : 宝潔公司 (THE PROCTER & GAMBLE COMPANY)( 以下 P&G という) 被告 : 国家工商行政管理総局商標評審委員会 ( 以下 商標評審委員会 という ) 判決日 :2006 年 10 月 20 日 ( 確定 ) 関連条文 : 商標法 第 13 条第 2 項 第 28 条 出典 : 北京法院網 4. 事件の概要 (1) 事実関係ドイツの Hugo Boss 商標管理有限公司は 中国の商標局に登録した以下の 3 つの商標を所有しており 米国の P&G は同社から商標ライセンスを受けている 第 号商標 ( 以下 引用商標 1 という 下図参照): 標章は BOSS の文字 指定商品は第 25 類の衣類 レインコート等 なお BOSS は 2004 年には既に中国において ドイツの Hugo Boss 社の著名商標であることが認められている ( 中国商標網 asp?id=118&bm=sbyw) 中国商標権冒認出願判例 事例集 1

8 第 G 号商標 ( 以下 引用商標 2 という 下図参照 ): 標章は BOSS HUGO BOSS の文字 指定商品は第 3 類の洗濯用漂白剤及びその他材料 せっけん 化粧品 歯磨き粉等 第 G604811A 号商標 ( 以下 引用商標 3 という 下図参照): 標章は HUGO HUGO BOSS の文字 その組み合わせ方法は HUGO と HUGO BOSS を二列で縦に配列し HUGO の字体が HUGO BOSS の字体より遥かに大きい 指定商品は第 3 類の洗濯用漂白剤及びその他材料 せっけん 化粧品 歯磨き粉等 山東博世磨具実業有限公司は 中国の商標局に登録した次の商標を所有している 第 号商標 ( 以下 係争商標 という 下図参照 ): 標章は BOSS と図 の文字と図形を上下に組み合わせたものであり 指定商品は第 3 類のサンドクロス サンドペーパー 研磨材料 専用期限は 2001 年 9 月 21 日から 2011 年 9 月 20 日まで P&G は 係争商標について登録異議申立てを提出したが 商標評審委員会は 2006 年 2 月 22 日 係争商標を維持するとの裁定を下した ( 商評字 (2006) 第 0351 号 ) P&G は 上記裁定の取消しを求めて 北京市第一中級人民法院に提訴した 2 中国商標権冒認出願判例 事例集

9 (2) 判決第一審人民法院は 以下のとおり判示した ( ア ) 引用商標 1 について 商標法 第 13 条第 2 項によると 著名商標と係争商標の登録商品の分類が異なる場合 公衆を誤解させる ことが要件とされている 引用商標 1 と係争商標は 異なる商品分類において登録されているが 公衆を誤解させる という要件が証明されていない ( イ ) 引用商標 2 について引用商標 2 と係争商標の指定商品は 商標登録用の商品及び役務国際分類表 に基づくと同じ分類の第 3 類の商品であるが 類似商品及び役務区分表 に基づくと類似商品には属さない すなわち 引用商標 2 は 洗濯用漂白剤及びその他材料 石鹸等が指定商品とされているが これらは民間用品に属する これに対し 係争商標は サンドクロス サンドペーパー 研磨材料が指定商品とされているが これらは工業用品に属する このように 明らかに 両者は機能 用途 生産部門 販売ルート 消費対象等が異なり 関連公衆にも通常は 混同を生じさせないと思われる ( ウ ) 引用商標 3 について引用商標 3 と係争商標を比較すると 二つの商標の特徴は同じではない 引用商標 3 は 1 行目の HUGO の文字が飛び出していて目を引くが 2 行目の HUGO BOSS は非常に細く小さく 顕著に区別する特徴は HUGO の文字にある 一方 係争商標を顕著に区別する特徴は BOSS の文字であるため 二つの商標は類似ではない これらの理由により 第一審人民法院は 第 号 BOSS と図 商標異議に関する被告商標評審委員会商評字 (2006) 第 0351 号再審査裁定を維持する との判決を下した 5. 解説 著名商標が本来使用されているのとは異なる商品 役務を指定して冒認出願されることがよくある そのような場合 著名商標であることを根拠として冒認出願を取り消すことができるのかが問題となる 著名商標は 商標登録した指定商品以外の分類においても保護されるという利点があるが この場合の保護は無条件ではない 中国の 商標法 第 13 条第 2 項の規定に基づくと 著名商標の他分類における保護は 以下の 3 つの条件を満たさなければならない 1 係争対象となっている商標は 他人が既に中国で登録した著名商標の複製 模倣又は翻訳であること 2 係争対象となっている商標は 著名商標と同一でない又は類似しない商品に使用されていること 3 係争対象となっている商標の使用により 公衆を誤解させ 著名商標の登録者の利益に損害を与えるおそれがあること 中国商標権冒認出願判例 事例集 3

10 本件事案では 引用商標 1 が著名商標であるとして 異なる商品分類における保護が問題となったが 公衆を誤解させる という上記 3の要件が証明されていないとの理由で 著名商標の保護が認められず 係争商標の取消は認められなかった 近時 中国における著名商標の認定を受けた日本企業が少しずつ増えてきているが 中国において著名商標の保護を主張する場合に 公衆を誤解させ 著名商標の登録者の利益に損害を与えるおそれがあること という要件を見逃しやすいので 留意が必要である 4 中国商標権冒認出願判例 事例集

11 商標法 第 15 条関係 年改正 商標法 の施行前に登録された商標について 改正後の 商標法 第 15 条を適用して商標登録の取消を認めた紛争事件 1. 事件の性質 商標行政紛争事件 2. 事件名 争点 事件名 : 皇朝工程有限公司が国家工商行政管理総局商標評審委員会を訴えた事件争点 : 1 係争商標の登録出願について 皇朝公司はオローナ社の授権を受けていたか 2 皇朝公司とオローナ社の間に代理関係が存在したか 年改正後の 商標法 と改正前の 商標法 のいずれを適用すべきか 3. 書誌的事項 第一審 : 北京市第一中級人民法院 (2005) 一中行初字第 764 号原告 : 皇朝工程有限公司 ( 以下 皇朝公司 という ) 被告 : 商標評審委員会第三者 :( スペイン ) 奥安達電梯有限公司 (ORONA,S.COOP)( 以下 オローナ社 という ) 判決日 :2005 年 12 月 20 日 第二審 : 北京市高級人民法院 (2006) 高行終字第 91 号上訴人 : 皇朝公司被上訴人 : 商標評審委員会 オローナ社判決日 2006 年 6 月 20 日 関連条文 : 商標法 第 15 条 商標事件の審理における管轄及び法律適用範囲の問題に関する解 釈 第 5 条 出典 : 北大法意 中国商標権冒認出願判例 事例集 5

12 4. 事件の概要 (1) 事実関係皇朝公司とオローナ社は 1995 年 10 月よりエレベーター製品の業務取引を開始した 1996 年 9 月 皇朝公司は 2 度 オローナ社にエレベーター製品の発注確認書を発送した 1996 年 10 月 17 日 皇朝公司とオローナ社は 共同で合作声明書を締結し 皇朝公司をオローナ社のエレベーター製品の中国における代理店とすることを確認した 声明書の有効期間は 1998 年 2 月 28 日までであった 1997 年 1 月 8 日 皇朝公司は 中国の国家工商行政管理局商標局に ORONA 及び図形 の商標を出願した 当該商標出願は 1998 年 3 月 21 日に登録が認められた ( 下図参照 ) 使用商品は第 7 類エレベーター 商標登録番号は であった 双方は 協議により 当該商標をオローナ社に譲渡した 1997 年 1 月 8 日 皇朝公司は さらに 第 号 奥安達 ORONA 及び図形 の商標 ( 以下 係 争商標 という ) を出願した 当該商標出願は 1998 年 1 月 7 日に登録が認められた ( 下図参照 ) 使用範囲は第 37 類エレベーターの取付及び修理等の役務であった 1999 年 7 月 皇朝公司とオローナ社は スペインにおいて議事録に署名し 係争商標の帰属の問題について協議を行ったが 明確な成果は得られなかった 2000 年 11 月 22 日 オローナ社は 商標評審委員会に係争商標の取消を申し立てた 商標評審委員会は 2005 年 6 月 13 日に [2005] 第 1550 号裁定 ( 以下 第 1550 号裁定 という ) を下し 第 号商標を取り消した 皇朝公司は 当該裁定を不服とし 第 1550 号裁定の取消しを求めて 北京市第一中級人民法院に行政訴訟を提起した (2) 第一審判決第一審人民法院は 次のとおり判示した 皇朝公司とオローナ社の合作声明書は 皇朝公司がオローナ社の代理店としてオローナ社製のエレベーターを販売することを確認しており 皇朝公司とオローナ社の間には実際の業務取引が存在していた よって 皇朝公司はオローナ社の中国における代理店であると認定することができる 皇朝公司による係争商標の登録出願は 1997 年 即ち 2001 年の改正 商標法 の施行日 (2001 年 12 6 中国商標権冒認出願判例 事例集

13 月 1 日 ) よりも前であり 商標評審委員会が 審査により 皇朝公司による係争商標の登録出願行為は 2001 年の改正 商標法 第 15 条に定める事由に該当すると認定し 商標案件の審理における管轄及び法律適用範囲の問題に関する解釈 ( 法釈 [2002]1 号 )( 以下 [2002] 第 1 号司法解釈 という ) 第 5 条及び 商標評審規則 (2002 年 10 月 17 日実施 2005 年 10 月 26 日廃止 ) 第 99 条の規定を適用したことは妥当である 皇朝公司とオローナ社の議事録中の 双方は 内部文書に署名することにより 第 号商標を共有することができる との記載については 皇朝公司とオローナ社による係争商標の共有についての意向的な内容に過ぎず 双方がこの問題について合意したか否か 又は双方の間に具体的な約定が存在したか否かについて 双方はいずれも証拠を提出していない 以上の理由により 次のとおり判決する 商標評審委員会の第 1550 号裁定を支持する (3) 第二審判決皇朝公司は 上訴を提起し 次のとおり主張した 係争商標は 1998 年 1 月 7 日に登録が認められ 改正 商標法 の施行時にはすでに満 1 年が経過していた 従って [2002] 第 1 号司法解釈第 6 条の規定に従い 改正前の 商標法 第 27 条第 2 項に定める 1 年の申立期限を適用して処理すべきである 皇朝公司とオローナ社が締結した議事録は客観的に真実であるから 証拠として採用すべきである 第二審人民法院は 次のとおり判示した [2002] 第 1 号司法解釈第 5 条によると 本解釈に別段の定めがある場合を除き 改正 商標法 の施行前に発生し かつ改正後の 商標法 第 15 条に掲げる状況に該当し 商標評審委員会が改正 商標法 の施行後に裁定を出して 当事者がこれを不服として人民法院に訴訟を提起した行政事件は 改正後の 商標法 の相応の規定を適用して審査を行うことが定められている 商標評審委員会は 2005 年 6 月 13 日に第 1550 号裁定を出しているため 本件には改正後の 商標法 の関連規定を適用すべきである 皇朝公司とオローナ社の間の議事録は 双方が係争商標の帰属問題について協議を行う意向を表明したものに過ぎず これによってオローナ社が皇朝公司による係争商標の無断出願行為を追認したものと推定することはできない 以上の理由により 次のとおり判決する 上訴棄却 原判決維持 5. 解説 2001 年改正 商標法 の第 15 条は 権利を授けられていない代理人又は代表者が自らの名義で 被代理人又は被代表者の商標を出願し 被代理人又は被代表者が異議を申し立てた場合は それを 登録せず かつその使用を禁止する と規定している 本条の主旨は 代理人又は代表者の悪意に 中国商標権冒認出願判例 事例集 7

14 よる抜け駆け登録行為を禁じることにある 冒認出願が行われた時期が 2001 年改正 商標法 の施行日 (2001 年 12 月 1 日 ) よりも前であるような場合は 2001 年改正 商標法 と旧 商標法 のいずれが適用されるのかにつき 慎重に判断する必要がある ( 商標法実施条例 と旧 商標法実施細則 のいずれが適用されるのかについても同様 ) この点については 本件事案でもそうであったように 商標案件の審理における管轄及び法律適用範囲の問題に関する解釈 ( 法釈 [2002]1 号 ) の規定の解釈の問題となる 8 中国商標権冒認出願判例 事例集

15 15-2. 商標法 第 15 条に定める代理人には 商標登録等の手続を行う 商標代理人だけでなく 特殊な販売代理関係にある者も含まれると された紛争事件 1. 事件の性質 商標行政紛争事件 2. 事件名 争点 事件名 : 四川華蜀動物薬業有限公司が商標評審委員会を訴えた事件 争点 : 1 代理又は代表関係の存否 2 代理人の使用行為は薬品名称の帰属を変更するものであ るか 3. 書誌的事項 第一審 : 北京市第一中級人民法院 (2005) 一中行初字第 437 号原告 : 四川華蜀動物薬業有限公司 ( 以下 華蜀公司 という ) 被告 : 商標評審委員会第三者 : 重慶正通薬業有限公司 ( 以下 正通公司 という ) 判決日 :2005 年 12 月 8 日 第二審 : 北京市高級人民法院 (2006) 高行終字第 93 号上訴人 : 華蜀公司被上訴人 : 商標評審委員会 正通公司判決日 :2006 年 4 月 3 日 再審 : 最高人民法院 (2007) 行提字第 2 号申立人 : 商標評審委員会 正通公司被申立人 : 華蜀公司判決日 :2007 年 8 月 31 日 関連条文 : 商標法 第 10 条 第 11 条第 1 項第 1 号 第 15 条 第 31 条 第 41 条第 2 項 第 43 条 出典 : 北大法意 中国商標権冒認出願判例 事例集 9

16 4. 事件の概要 (1) 事実関係 2002 年 4 月 30 日 正通公司は 重慶市農業局に 注射用複方ペニシリンカリウム (Ⅰ 型 ) 獣医薬品に関する出願書を提出した 当該出願書に記載された商品名称は 头孢西林粉針 製造者は正通公司 製造許可番号は渝獣薬生証字第 041 号であった 出願表に添付されたラベル書式の商品名称 头孢西林 には 特殊なフォントと屋号が使用され ラベルの目立つ位置に配置されていた 2002 年 5 月 28 日 重慶市農業局は 重獣薬審批字 (2002) 第 533 号審査認可証書によって 正通公司が通用名称 注射用複方ペニシリンカリウム (Ⅰ 型 ) 商品名称 头孢西林粉針 の獣医薬品を生産 販売することを認可した 獣医薬品認可文書番号は渝獣薬字 (2002)X であり 認可文書の有効期限は 2005 年 5 月 28 日までであった 2002 年 7 月 27 日 正通公司 ( 甲 ) と華蜀公司 ( 乙 ) は 头孢西林粉針 製品の専売に関する協議書 ( 以下 専売協議書 という ) を締結した 専売協議書には 1 正通公司は 头孢西林 粉針製品の全国における独占販売権を華蜀公司に付与し 当該製品を販売してはならず 販売した場合には契約違反とみなすこと 2 包装は華蜀公司が設計し 正通公司が印刷製造し 包装上には華蜀公司の 華蜀 商標を使用し 華蜀公司の協力開発 正通公司の製造という形式で印刷製造すること 3 協議書の期間が満了し 又は協議書が繰上終了された場合 正通公司が当該製品を生産 販売し 華蜀公司の独占販売権を取り消すものとし 華蜀 商標を継続して使用してはならないこと 4 头孢西林 が商標として第三者に登録され 又はその他知的財産権に関する問題が生じた場合は 華蜀公司が対処し 正通公司が商品名称の変更を改めて申請することが定められていた 2002 年 9 月 12 日 華蜀公司は 商標局に 係争商標である 头包西灵 Toubaoxilin ( 以下 係争商標 という ) の登録を出願した 当該商標は 2004 年 2 月 7 日に登録が認められ 商標専用権者は華蜀公司 商標登録番号は 指定商品は第 5 類の獣医用製剤 獣医用薬品 獣医用生物製剤等であり 専用期間は 2004 年 2 月 7 日から 2014 年 2 月 6 日までであった 2004 年 3 月 31 日 正通公司は 係争商標の登録は 商標法 第 10 条 第 11 条第 1 項第 1 号 第 15 条及び第 31 条に違反するとして 商標評審委員会に係争商標の取消を申し立てた 2005 年 3 月 4 日 商標評審委員会は 正通公司から申し立てられた商標紛争について審査を行い 商標法 第 15 条 第 41 条第 2 項及び第 43 条の規定に基づき 華蜀公司が第 5 類獣医用薬品等の指定商品について登録した係争商標を取り消す旨の商評字 [2005] 第 289 号裁定を下した 10 中国商標権冒認出願判例 事例集

17 (2) 第一審判決第一審人民法院は 次のとおり判示した 头孢西林 は 正通公司が実際に使用する未登録の商標である 係争商標である 头包西灵 Toubaoxilin の顕著な部分は 头包西灵 の文字であり 当該文字と正通公司の 头孢西林 の文字はその構成及び発音が類似しており かつ 2 つの文字は何ら意味を有しない 華蜀公司は係争商標と 头孢西林 の類似性について異議を提起していないことから 当人民法院は 2 つの文字は類似する との商標評審委員会の認定を支持する 正通公司と華蜀公司の間には販売代理の法律関係が形成されており 当該法律関係において 製造者兼被代理人である正通公司は 授権により 販売者である華蜀公司に代理人の地位を取得させている 以上の理由により 次のとおり判決する 商標評審委員会の商評字 [2005] 第 289 号裁定を支持する (3) 第二審判決第二審人民法院は 次のとおり判示した 専売協議書 の約定及び実際の履行状況によると 獣医薬品の外包装上には商品の名称 華蜀公司の商標 宣伝コピーが明記されており 華蜀公司が宣伝計画を担当していた よって 头孢西林 は 華蜀公司が実際に使用する未登録の商標である 商標法 第 15 条に定める代理人とは商標代理人を指し 即ち 商標登録出願者又は商標登録人の委任を受けて 委任された権限の範囲内において その委任者を代理して商標登録出願 権利侵害事件の調査処分請求の手続を行う者又はその他商標事務を行う者を指す 代表者とは 商標代表者を指し 即ち 企業を代表して商標登録手続を行う者又はその他商標事務に従事する者を指す 本件の華蜀公司と正通公司が 専売協議書 に基づき形成した関係は生産販売協力関係であるため 一審の 両者の間には代理人と被代理人の関係が形成されていた との認定は明らかに誤りである 華蜀公司が 头孢西林 の商品名称を自ら使用し かつ当該商品名称を商標化して 头包西灵 Toubaoxilin 商標を出願した行為は 商標法 第 15 条に定める事由に該当しない よって 商標評審委員会及び一審判決が 華蜀公司による 头包西灵 Toubaoxilin 商標の出願行為は 商標法 第 15 条の規定に違反する と認定したことは誤りであり これは是正されなければならない 以上の理由により 次のとおり判決する 原審判決を棄却し 商標評審委員会の裁定を取り消す (4) 再審判決最高人民法院は 次のとおり判示した 特殊な取次販売関係により他人の商標を使用し又は知る販売代理人又は代表者が信義誠実の原則に違反し 他人の登録商標を抜け駆けして登録する行為を防止するため 商標法 第 15 条に定める代理人は広く解釈すべきである 同条の代理人は 商標登録出願者又は商標登録人の委任を受け 中国商標権冒認出願判例 事例集 11

18 委任権限の範囲内において 商標登録等の手続を行う商標代理人又は代表者に限られず 取次販売元請人 ( 独占取次販売者 ) 総代理人 ( 独占代理人 ) 等の特殊な販売代理関係の解釈上の代理人又は代表者をも含むべきである 華蜀公司は 正通公司の独占販売資格を取得していたことから 商標法 第 15 条に定める解釈上の販売代理人に該当すると認定することができる 華蜀公司の約定に基づく使用行為は本質的に正通公司の特殊な使用行為とみなすことができ これにより形成された事実状態は当該紛争商品の名称の権利の帰属を当然に変更するものではない 即ち 華蜀公司の契約に基づく当該商標の実際の使用行為はその権利帰属を変更する法律事実に該当しない 以上の理由により 次のとおり判決する 二審判決を取り消し 一審判決を維持する 5. 解説 本件事案では 商標法 第 15 条の解釈について 商標評審委員会裁定 第一審判決及び再審判決が同じ見解に立脚していたのに対し 北京市高級人民法院の第二審判決だけが 他とは異なる独特の見解に立脚して反対の結論を導いた 本件事案で最高人民法院が判示したとおり 商標法 第 15 条に定める代理人は広く解釈すべきであり 同条の代理人は 1 商標登録出願者又は商標登録人の委任を受け 委任権限の範囲内において 商標登録等の手続を行う商標代理人又は代表者に限られず 2 取次販売元請人 ( 独占取次販売者 ) 総代理人 ( 独占代理人 ) 等の特殊な販売代理関係の解釈上の代理人又は代表者をも含む と解釈するのが現在における一般的傾向である ちなみに 2005 年 12 月に公表された 商標審理基準 ( 中国語では 商標審理標準 ) 1 の 二 3 は 1 商標法 第 15 条における代理人には 民法通則 契約法 に定める代理人のほかに 商取引に基づき被代理人の商標を知り得る販売者が含まれること 2 代理関係終了後に代理人が被代理人の商標の登録を出願し 被代理人又は利害関係者の利益が損なわれる可能性をもたらしたときは 商標法 第 15 条を適用し これを登録せず 又は係争商標を取り消す判定を行うことができること等を規定している また 商標審理基準 の 二 5 によれば 代理人又は代表者の名義で被代理人又は被代表者の商標の登録を出願したわけではないが 登録出願者と代理人又は代表者との間に共謀する行為があるときは 商標法 第 15 条を適用し 登録を認めず 又は係争商標を取り消す判定を行うべきであるとされている 本件事案における最高人民法院判決は 取次販売元請人 ( 独占取次販売者 ) 総代理人( 独占代理人 ) 等の特殊な販売代理関係の解釈上の代理人又は代表者をも含むべき と判示した この点に関し 非 年 12 月に公表された 商標審査基準 ( 中国語では 商標審査標準 ) も存在するが 異なるものであるので 留意されたい 12 中国商標権冒認出願判例 事例集

19 独占的 な販売代理契約の場合は 商標法 第 15 条に定める代理人に含まれるのか 代理権を一切 付与しない形での単なる販売契約の買主の場合は 商標法 第 15 条に定める代理人に含まれるのか 等の点も問題となる 今後の課題といえよう 中国商標権冒認出願判例 事例集 13

20 15-3. 商標法 第 15 条に定める 被代理人の商標 は中国で登録 された商標に限らないとされた紛争事件 1. 事件の性質 商標行政紛争事件 2. 事件名 争点 事件名 : 上海東獅実業有限公司が商標評審委員会を訴えた事件争点 : 1 係争商標は VESBO 及び図 商標と類似しているか また 両者の指定商品は類似商品であるか 2 係争商標の出願は 商標法 第 15 条に定める無権限の代理人による冒認出願行為にあたるか 3. 書誌的事項 第一審 : 北京市第一中級人民法院 (2006) 一中行初字第 597 号原告 : 上海東獅実業有限公司 ( 以下 上海東獅 という ) 被告 : 商標評審委員会第三者 :( トルコ )NOVAPLAST PLASTİK SANAYİ VE TİCARET ANONİM ŞİRKETİ( 以下 NOVAPLAST 株式会社 という ) 判決日 :2007 年 7 月 18 日 第二審 : 北京市高級人民法院 (2007) 高行終字第 548 号上訴人 : 上海東獅被上訴人 : 商標評審委員会第三者 :NOVAPLAST 株式会社判決日 :2008 年 10 月 28 日 関連条文 : 商標法 第 15 条 出典 : 北京法院網 14 中国商標権冒認出願判例 事例集

21 4. 事件の概要 (1) 事実関係 1994 年 5 月 5 日 NOVAPLAST 有限会社 (NOVAPLAST 株式会社の旧称 ) は トルコで VESBO 商標を登録した 指定商品はプラスチック管 管ジョイント等のスチーム暖房管材である 1995 年 11 月 1 日 NOVAPLAST 有限会社は CINTO TRADING PTE LTD に 1995 年 11 月 1 日からアジア太平洋地域において VESBO 商品について販売促進 販売店の任命 VESBO 商標の登録を行う権限を与えた その後 CINTO TRADING PTE LTD は シンガポール等の 3 か国で VESBO 及び図 商標を登録した 指定商品は いずれも管 管パーツ等のスチーム暖房管材である 1998 年 10 月 14 日 CINTO TRADING PTE LTD は 中遠貿易 ( 新加坡 ) 有限公司 (COSCO TRADING (SINGAPORE) PTE LTD 以下 中遠公司 という) と販売契約を締結した 同契約の表紙には VESBO 及び図 商標が際立つように使用されており VESBO の右上に登録記号 が付されている 当該契約は CINTO TRADING PTE LTD は 中遠公司に中国上海において VESBO ブランド管及びそのパーツ製品の独占販売店となる権限を与える 本契約の内容は CINTO TRADING PTE LTD と中遠公司との間にいかなる意味でのパートナーシップ関係が存在することも意味せず 中遠公司が CINTO TRADING PTE LTD の代理人となることをも意味しない と定めている 1998 年 11 月 30 日 中遠公司は 商標局に第 号 衛水宝 VESBO 及び図 商標 ( 以下 係争商標 という ) の商標登録を出願し 2000 年 4 月 21 日に審査確認を経て登録された 指定商品は第 19 類の非金属水道管である 中国商標権冒認出願判例 事例集 15

22 2001 年 4 月 14 日 係争商標は審査確認を経て上海東獅に譲渡された 2001 年 8 月 24 日 NOVAPLAST 有限会社は 2001 年改正前の 商標法 第 27 条及びこれに相応する 商標法実施細則 第 25 条の規定に基づき 商標評審委員会に係争商標の登録取消を申し立てた 2003 年 7 月 NOVAPLAST 有限会社は名称を NOVAPLAST 株式会社に変更した 2006 年 1 月 4 日 商標評審委員会は商標字 2005 第 4697 号裁定書 ( 以下 第 4697 号裁定 という ) を出し 係争商標を取り消した (2) 第一審判決第一審人民法院は 次のとおり判示した 2003 年 7 月に NOVAPLAST 有限会社は名称を NOVAPLAST 株式会社に変更したのであるから NOVAPLAST 株式会社は本件訴訟の適格な第三者である 係争商標の VESBO 及び図 の部分と NOVAPLAST 株式会社が 1991 年にトルコ等の国で出願して登録を受けた VESBO 及び図 シリーズ商標の関連部分とは 図案から VESBO のアルファベット及び配列順序に至るまで完全に同一であり 係争商標の漢字の部分である 衛水宝 も VESBO と発音が似ており VESBO の音訳であると解されやすい 商標評審委員会が係争商標が NOVAPLAST 株式会社の VESBO 及び図 と類似していると認定したのは不当ではない 係争商標の指定商品である非金属水道管商品と NOVAPLAST 株式会社の VESBO 及び図 商標が使用されている管 ( スチーム暖房装置 ) 等の商品とを比較し 生産 販売ルート 販売対象 機能 用途等の実際の状況を勘案すれば 商標評審委員会が両者の使用商品が類似であると認定したのは不当ではない 商標法 第 15 条の立法の目的は代理人による信義誠実原則に反する悪意の抜け駆け登録行為を制止することにあるのであるから 業務取引上知り得た相手方の商標の登録及び使用状況を利用して授権を経ずに抜け駆け登録する行為があったか否かを認定のポイントとすべきである 上述の認定のポイントに合致する代理店又は販売店も 商標法 第 15 条に定める代理人にあたる 商標評審委員会が中遠公司を NOVAPLAST 有限会社の代理店と認定したのは不当ではない 以上の理由により 次のとおり判決する 商標評審査委員会の第 4697 号裁定を維持する (3) 第二審判決上海東獅は上訴して次のように主張した NOVAPLAST 有限会社と NOVAPLAST 株式会社は 本件において複数の外国語名称を使用しており 両者が同一の主体であることを証明することができない NOVAPLAST 有限会社は VESBO 及び図 に対して如何なる権利も有しておらず 本件商標紛争を提起することはできない 衛水宝 が VESBO の音訳であるとする第一審の認定には根拠がない 係争商標の指定商品である非金属水道管と NOVAPLAST 有限会社が実際に使用しているスチーム暖房管材等の商品とは 別の分類に属している CINTO TRADING PTE LTD と中遠公司との販売契約には 両者間に代理関係が存在しないことが明確に定められており 商標法 第 中国商標権冒認出願判例 事例集

23 条を適用することはできず 中遠公司及び東獅公司は抜け駆け登録を構成しない 第二審人民法院は 次のとおり判示した 本件で使用されているトルコ語の企業名称について NOVAPLAST 有限会社の名称及び登録住所は 中国での第 号 VESBO 及び図 商標登録証上の商標登録者の名称及び住所と一致しており NOVAPLAST 有限会社と NOVAPLAST 株式会社は同一の主体であり VESBO VESBO 及び図 商標の先使用者であることが証明される NOVAPLAST 株式会社 CINTO TRADING PTE LTD がそれぞれ VESBO 商標 VESBO 及び図 商標を登録し NOVAPLAST 株式会社が CINTO TRADING PTE LTD に授権し CINTO TRADING PTE LTD が中遠公司と締結した販売契約に当該商標を使用している等の事実によって NOVAPLAST 株式会社が VESBO VESBO 及び図 商標の実際の権利者であることが証明される 係争商標の VESBO 及び図 の部分は NOVAPLAST 株式会社の VESBO 及び図 商標と完全に同一であり 係争商標の VESBO 及び図 の下方に添えられている 衛水宝 の漢字は中国語の常用句ではなく VESBO と発音が似ており しかも VESBO と一緒に使用されていることから VESBO の音訳であると認定することができる 両者の指定商品の機能 用途は基本的に同じであり 生産部門 販売ルート及び販売対象にも大きな違いはなく 類似商品と認定すべきである 特殊な取次ぎ販売関係により他人の商標を知り又は使用する販売代理人が信義誠実原則に反し 他人の商標を抜け駆け登録する行為を制止するため 商標法 第 15 条に定める 代理人 には特約代理店 ( 独占取次ぎ販売 ) 総代理店 ( 独占代理 ) 等の特殊な販売代理関係における代理人が含まれ 被代理人の商標 は中国で登録された商標に限らないと解するべきである CINTO TRADING PTE LTD が中遠公司と締結した販売契約からは 次のことがわかる 1998 年 10 月 14 日に CINTO TRADING PTE LTD は中遠公司に中国上海地区において VESBO ブランド製品の独占販売店となる権限を与えているので 中遠公司は 商標法 第 15 条に定める代理人に該当する NOVAPLAST 株式会社がトルコ等の国で登録 使用している VESBO VESBO 及び図 商標は すでに販売協議の締結によりその独占取次販売店となった中遠公司の知るところとなっているため 同条に定める 被代理人の商標 に該当する 販売契約における 中遠公司と CINTO TRADING PTE LTD との間に代理関係は存在しない とする約定は 中遠公司が CINTO TRADING PTE LTD と販売契約を締結することを通じて VESBO 及び VESBO 及び図 商標を知ったという事実に影響を与えない 中遠公司は NOVAPLAST 株式会社の代理人としてその VESBO 及び VESBO 及び図 商標を知った後に 類似商品についてこれと類似の係争商標の登録を出願したのであり 商標法 第 15 条の規定に違反する 以上の理由により 次のとおり判決する 上訴棄却 原判決維持 中国商標権冒認出願判例 事例集 17

24 5. 解説 本件の第二審判決が 商標法 第 15 条に定める 代理人 には 特約代理店 ( 独占取次ぎ販売 ) 総代理店 ( 独占代理 ) 等の特殊な販売代理関係における代理人が含まれるとした点は 近時の人民法院の 商標法 第 15 条に関する解釈の傾向に沿うものである 本件の第二審判決が 商標法 第 15 条に定める 被代理人の商標 は中国で登録された商標に限らない すなわち 外国における登録商標も含まれる旨を示した点は 日本企業にとって極めて重要である 18 中国商標権冒認出願判例 事例集

25 商標法 第 31 条関係 著作権と登録商標専用権の衝突に係る紛争事件 1. 事件の性質 商標行政紛争事件 2. 事件名 争点 事件名 : 陳文敏等が上海上島珈琲食品有限公司の登録商標取消を求めた紛争事件 争点 : 著作権と登録商標専用権の衝突 3. 書誌的事項 (1) 第 1 次訴訟上海市第二中級人民法院 (2003) 滬二中民五 ( 知 ) 初字第 192 号第二審中に訴え取り下げ原告 : 陳文敏 杭州上島珈琲食品有限公司 ( 以下 杭州上島公司 という ) 被告 : 上海上島珈琲食品有限公司 ( 以下 上海上島公司 という ) (2) 第 2 次訴訟第一審 : 北京市第一中級人民法院 (2004) 一中行初字第 686 号原告 : 上海上島珈琲食品有限公司被告 : 商標評審委員会第三人 : 陳文敏 杭州上島珈琲食品有限公司 第二審 : 北京市高級人民法院 (2005) 高行終字第 111 号上訴人 : 商標評審委員会上訴人 : 陳文敏 杭州上島珈琲食品有限公司被上訴人 : 上海上島珈琲食品有限公司判决日 :2005 年 7 月 22 日 関連条文 : 商標法 第 31 条 出典 : 上海市第二中級法院網 北京法院網 中国商標権冒認出願判例 事例集 19

26 4. 事件の概要 (1) 事実関係人民法院の判決の認定によれば 事実関係の概要は 以下のとおりである 台湾の実業家である陳文敏は 1985 年に台湾において 上島デザイン の図形作品を創作した その後 陳文敏は中国大陸への投資と事業経営を開始した まず ある不動産会社と上島コーヒー店の合作経営を協議し その後 当該不動産会社が内地の会社との合弁により海南上島農業開発公司 ( 以下 海南上農公司 という ) を設立し 陳文敏は 2000 年まで当該会社の総経理を務めた 1997 年 天津広泰工貿有限公司 ( 以下 天津広泰公司 という ) は 上島デザイン を 上島の文字と図形 の組合せの商品商標として登録出願し 翌年 登録を受けた 1999 年 天津広泰公司は 当該商標を海南上農公司に譲渡した 1998 年 海南上農公司は 上島デザイン を 上島の文字と図形 の組合せの役務商標として登録出願し 2000 年に登録を受けた 2002 年 海南上農公司は 上記の 2 つの商標を 被告である上海上島公司に譲渡した 2003 年 3 月 陳文敏は杭州上島公司とライセンス契約を締結し 杭州上島公司に 上島デザイン の図形作品の使用を許諾した 2003 年 9 月 19 日 陳文敏及び杭州上島公司は 上海市第二中級人民法院に訴訟を提起し 続いて 国家工商行政管理総局商標評審委員会 ( 以下 商標評審委員会 という ) に 上島の文字と図形の組合せ の商標登録の取消を申し立てた (2) 判決等 ( ア ) 上海市第二中級人民法院 (2003) 沪二中民五 ( 知 ) 初字第 192 号陳文敏は当該デザインに対し著作権を有する 2 つの 上島の文字と図形 の組合せ商標はいずれも商標局の審査確認を経て登録され 上海上島公司は適法な譲渡手続によって取得しており 2 つの登録商標の適法な所有者である 証拠によっても 上海上島公司が経営活動において 2 つの登録商標及び 上島デザイン の図形作品を使用して陳文敏の著作権及び杭州上島公司の使用権を侵害したと認めることはできない よって 原告の訴訟請求を棄却する 第一審判決後 原告らは上訴したが 第二審において 訴えを取り下げた 上海市高級人民法院は (2004) 沪高民三 ( 知 ) 終字第 59 号民事裁定により 取り下げを認めた ( イ ) 商標評審委員会商標字 [2004] 第 3135 号陳文敏が先に創作 使用していた 上島の文字と図形 標章のデザイン設計には一定の独創性があり 我が国の著作権法の保護を受ける作品とみなされるため 陳文敏が当該作品につき有する著作権は我が国の著作権法の保護を受ける 著作権法第 24 条 第 26 条及び 著作権法実施条例 ( 以下 著作権法実施条例 という ) 第 23 条の規定によると 著作権の使用許諾は要式の法律行為であるため 他人の作品を使用するには著作権者の明確な許諾を受けなければならず 著作権者と使用許諾契約を締結しなければならない 上海上島公司は 陳文敏が本件係争商標の登録 20 中国商標権冒認出願判例 事例集

27 過程を知っていたと主張するが 上島の文字と図形 の組合せ商標の原始登録者である天津広泰公司と著作権者である陳文敏が締結した著作権使用許諾契約 天津広泰公司による陳文敏の 上島の文字と図形 作品の商標登録出願を明確に許諾する陳文敏の書面による授権文書 又は陳文敏が登録を授権したことを証明するその他の証拠を提出していない 陳文敏が天津広泰公司に対し陳文敏が著作権を有する 上島の文字と図形 という図形作品の商標登録出願を許諾したことを証明する証拠がない状況に鑑みると 天津広泰公司が授権を受けずに無断で陳文敏が先に著作権を有した 上島の文字と図形 の標章デザインを商標登録出願した行為は 陳文敏の既存の権利を侵害したと認定することができる よって 陳文敏と杭州上島公司による上海上島公司の第 号 上島の文字と図形 の組合せ商標に対する異議申立には理由があるため 係争商標は取り消すものとする 上海上島公司はこれを不服とし 北京市第一中級人民法院に行政訴訟を提起した (3) 北京市第一中級人民法院 (2004) 一中行初字第 686 号北京市第一中級人民法院は 判決において 1 国家工商行政管理総局商標評審委員会の商評字 2004 第 3135 号 第 号 上島の文字と図形 の組合せ商標紛争裁定書 を取り消す 2 第 号 上島の文字と図形 商標は継続して有効とするとの判決を下した これに対し 商標評審委員会及び杭州上島公司 陳文敏は 北京市高級人民法院に上訴した (4) 北京市高級人民法院 (2005) 高行終字第 111 号北京市高級人民法院は 判決において 以下のとおり判示した 本件紛争の争点は 天津広泰公司が 1997 年 7 月の係争商標の登録出願時に事前に陳文敏の許諾を受けていたか否かである しかし 天津広泰公司は 事前に陳文敏本人の明確な授権を得た上で 上島の文字と図形 の組合せ商標の登録出願を行ったか否かについて証明をしておらず 証明できたことは いずれも 上島の文字と図形 の商標登録後における陳文敏の当該商標の譲渡と使用に対する意思表示である 2000 年 7 月 29 日 陳文敏は海南上島公司の株主総会において当該登録商標を無条件で上海上島公司に譲渡することに同意しており このことは陳文敏が事後にその作品が商標として登録されていることを知っていながら 反対を表示しなかったと推定することができるが このことから天津広泰公司が係争商標の登録出願時に事前に陳文敏の許諾を得ていたと認めることはできない 天津広泰公司は 係争商標の登録出願時に陳文敏の許諾を得ておらず これは陳文敏の著作権を侵害しており その行為には違法性がある 2000 年 7 月 29 日 陳文敏はその作品が商標に登録出願されていることを知りながら反対意思を表示していないが かかる意思表示は陳文敏に対し法律上の拘束力を及ぼすものではない その後 双方に紛争が生じ 陳文敏は法定の訴訟可能期間内の 2003 年 4 月 22 日に係争商標の取消を申請し 商標評審委員会は審議を経て係争商標を取り消したが 商標評審委員会のかかる行為には不当性はない 上海市第二中級人民法院が受理した民事権利侵害事件と商標評審委員会が受理した商標評審事件 中国商標権冒認出願判例 事例集 21

28 の争議の内容が異なるため 二つの事件の性質 審理範囲 適用法律と審理結果は異なるものと判断する ゆえに 商標評審委員会は 商標の登録行為と登録商標の譲渡 使用行為を性質の異なる行為として区別し 本件係争商標を取り消すべきか否かの審査において 上海市第二中級人民法院の第 196 号民事判決で認定された事実と判決結果を根拠とせず 陳文敏が事後に係争商標の譲渡に同意 参与しかつ他人に使用を許諾した行為によって 陳文敏が 上島の文字と図形 商標の権利帰属につき異議を有しないものとみなすことはできないと認定したが かかる認定に不当性はない よって 北京市高級人民法院は 以下のとおり終審判決を下す 一 北京市第一中級人民法院 (2004) 一中行初字第 686 号行政判決を取り消す 二 国家工商行政管理総局商標評審委員会の商評字 [2004] 第 3135 号 第 号 上島の文字と図形 の組合せ商標紛争裁定書 を維持する 5. 解説 人民法院の判決の認定によれば 陳文敏は 1985 年に台湾において 上島デザイン の図形作品を創作した その後 陳文敏は 2000 年まで 海南上農公司の総経理を務めた 天津広泰公司が 1998 年に 上島デザイン を 上島の文字と図形の組合せ の商品商標として登録を受け 1999 年に 当該商標を海南上農公司に譲渡した また 海南上農公司は 2000 年に 上島デザイン を 上島の文字と図形の組合せ の役務商標として登録を受けた 2002 年 海南上農公司は 上記の 2 つの商標を 上海上島公司に譲渡した 以上のことからすると 上海上島公司は 上記の 2 つの登録商標を海南上農公司から譲り受けており 上海上島公司が登録商標専用権を有することについては何ら問題がないように見える しかし 本件の商標評審委員会裁決及び北京市高級人民法院判決では 当該商標の登録時において 陳文敏が著作権を有する 上島デザイン を侵害してしまっており 当該登録商標は取り消されるべきであると判示された なお 商標登録にあたって他人の適法な既存の権利を侵害してはならないことは 現行 商標法 第 31 条 旧 商標法 第 27 条及び旧 商標法実施細則 第 25 条 1 項 4 号に規定されている 2000 年 7 月 29 日 陳文敏は海南上島公司の株主総会において当該登録商標を無条件で上海上島公司に譲渡することに同意していることからすると 事後的に瑕疵が治癒されたと考える可能性もあるように思われるが 本件の北京市高級人民法院判決は あくまで 当該商標の登録時における著作権者たる陳文敏の同意の証拠を求めたものである しかしながら 本判決は 訴訟当事者間の紛争を最終的に解決するものではないように思われる すなわち 本件訴訟で最終的に敗訴し登録商標を取り消された上海上島公司と 当該登録商標の譲渡人である海南上農公司 ( 及びその総経理であった陳文敏 ) との間の法律関係の問題が残されているように思われる 本件事例から得られる教訓として まず 商標登録に際しては 他人の著作権等の既存の権利を 22 中国商標権冒認出願判例 事例集

29 侵害しないように留意することが必要である 他者から商標ライセンスや譲渡を受ける場合においても 可能な限り 当該商標に問題がないかどうかについて十分に調査し 商標権の有効性につき商標権者に保証させるべきである また 本件では 事案が非常に複雑なこともあり 商標評審委員会の裁決及び人民法院の判決の結論が二転三転している 日本企業が当事者となる紛争事案においても 不利な裁決 判決が出てもあきらめず さらなる立証準備及び法律構成の再検討等に注力すべきである 中国商標権冒認出願判例 事例集 23

30 31-2. 商標法 第 28 条と第 31 条の適用関係に係る紛争事件 1. 事件の性質 商標行政紛争事件 2. 事件名 争点 事件名 : 新疆錫伯特酒廠が商標評審委員会を訴えた事件争点 : 1 引用商標と係争商標は同種商品における類似商標の使用にあたるか 2 引用商標は 商標法 第 31 条の 他人がすでに使用している一定の影響力を有する商標 に該当するか 3. 書誌的事項 第一審 : 北京市第一中級人民法院 (2007) 一中行初字第 995 号原告 : 新疆錫伯特酒廠 ( 以下 錫伯特廠 という ) 被告 : 商標評審委員会第三者 : 塔城市剣城春酒業有限責任公司 ( 以下 剣城春公司 という ) 判決日 : 不明 第二審 : 北京市高級人民法院 (2008) 高行終字第 291 号上訴人 : 錫伯特廠被上訴人 : 商標評審委員会第三者 : 剣城春公司判決日 :2008 年 6 月 17 日 関連条文 : 商標法 第 28 条 第 31 条 出典 : 北京人民法院網 24 中国商標権冒認出願判例 事例集

31 4. 事件の概要 (1) 事実関係 2001 年 3 月 20 日 錫伯特廠は 第 33 類の酒 ( 飲料 ) 果実酒 ( アルコール含有 ) 等の商品において 老風口 LAOFENGKOU 及び図 商標 ( 申請番号第 号 ) を登録出願した ( 下図参照 ) ちなみに 老風口は 新疆ウイグル自治区タルバガタイ地区の地名の 1 つで チェチョク盆地東部にあり トリ県とドルビルジン県の間に位置している その後 剣城春公司が 上記商標について 商標異議申立を行った 商標局は 被異議申立人が被異議申立商標を登録出願したのは 異議申立人が先に使用しており 一定の影響力を有する商標を不正な手段によって抜け駆け登録する行為にあたる と認定し 当該商標の登録を認めなかった 錫伯特廠は 法定の期間内に商標評審委員会に再審査を申し立てなかった 2001 年 12 月 11 日 剣城春公司は 第 33 類の蒸留酒 ( 原文は 白酒 ) 等の商品において商標局に 塔原老風口 TAYUANLAOFENGKOU の図形と文字の組合せ商標を登録出願した 2003 年 1 月 7 日 当該商標 ( 以下 引用商標 という ) は登録を認められた ( 下図参照 ) 登録番号は 指定商品は第 33 類の蒸留酒 果実酒 ( アルコール含有 ) アルコール含有液体 ぶどう酒 酒 ( 飲料 ) 醸造酒 ( 原文は 黄酒 ) ミント酒である 2004 年 5 月 18 日 錫伯特廠は 第 33 類商品において 老風口 文字商標を登録出願した 2006 年 6 月 14 日 当該商標 ( 以下 係争商標 という ) は登録を認められた 登録番号は 指定商品は第 33 類の果実酒 ( アルコール含有 ) 焼酎 ぶどう酒 酒( 飲料 ) ブランデー ウイスキー アルコール飲料 ( ビールを除く ) ウォッカ( 酒 ) 食用アルコールである 中国商標権冒認出願判例 事例集 25

32 2006 年 9 月 14 日 剣城春公司は 係争商標の取消を申し立てた 2007 年 4 月 11 日 商標評審委員会は 第 号 老風口 商標紛争に関する第 1120 号裁定書 ( 以下 第 1120 号裁定書 という ) を出したが 後に何らかの都合によりこれを回収した 当該裁定書には 剣城春公司が証拠を補充提出したことが記載されているが 錫伯特廠による証拠の補充提出については記載がない 2007 年 6 月 7 日 商標評審委員会は ウェブサイト 中国商標網 上で係争商標は無効であるとの情報を公表した 2007 年 6 月 18 日 商標評審委員会は あらためて第 1120 号裁定書を出し 次のように判示した 剣城春公司と錫伯特廠は工場が同一地域にあるだけでなく同一の業種に属し 錫伯特廠は 剣城春公司による 老風口 商標の使用を知ることができた 従って 錫伯特廠が係争商標を登録した行為は 他人が先に使用しており一定の影響力を有する商標を不正な手段によって抜け駆け登録する行為にあたり 商標法 第 31 条の規定に違反しており 係争商標の登録は これを取り消すべきである つまり 剣城春公司が提出した証拠と結び付ければ その酒類商品に使用する 老風口 商標は 剣城春公司が係争商標登録出願前にすでに使用しており一定の影響力を有していたと認定することができるとした なお 当該裁定書には 錫伯特廠が証拠を補充提出したことが記載されている (2) 第一審判決北京市第一中級人民法院は 次のように判示した 係争商標と引用商標の指定商品は同一である 引用商標は図形と文字の組合せ商標であり これに含まれている中国語の文字 塔原老風口 は消費者が覚えやすく しかも商標の中央部分にあって 主な識別の役割を果たしており 商標の主要部分にあたる 係争商標は文字商標であり その 老風口 の文字を引用商標の主要部分である 塔原老風口 と比較すると 塔原 の二文字がないが 両者の差異は顕著ではなく 係争商標と引用商標は類似商標にあたる 錫伯特廠がかつて出願した第 号 老風口 LAOFENGKOU 及び図 商標は 後に剣城春公司が異議を申し立てたために登録を認めない旨の裁定がなされた その理由は 当該商標の登録は 剣城春公司が先に使用しており 一定の影響力を有する商標を不正な手段によって抜け駆け登録する行為にあたるというものであった 両者は同一地域にあり 錫伯特廠は 剣城春公司が先に使用していた 老風口 文字商標が一定の影響力を有することを知ることができた 錫伯特廠が係争商標を登録した行為は 剣城春公司が先に使用しており 一定の影響力を有する商標を不正な手段によって抜け駆け登録する行為にあたり 係争商標の登録は 商標法 第 31 条の規定に合致せず 法により取り消すべきである 以上の理由により 次のとおり判決する 商標評審委員会の裁定を維持する 26 中国商標権冒認出願判例 事例集

33 (3) 第二審判決錫伯特廠は 第一審判決を不服として上訴した 主な上訴理由は次のとおりである 1 商標評審委員会が公式ウェブサイト 中国商標網 上で係争商標無効の情報を公表した行為は錫伯特廠の権益を侵害しないとした第一審判決の認定には誤りがある 2 係争商標の登録は 商標法 第 31 条に違反し 取り消すべきであるとした第一審判決の認定には誤りがある 3 商標法 第 28 条を適用した第一審判決の法律適用には誤りがある これに対し 第二審判決は次のとおり判示した 被上訴人 ( 商標評審委員会 ) は 2007 年 4 月 11 日に第 1120 号裁定書を出して対象者に送達したが その後 前述の裁定書の原本を遅滞なく回収し 上訴人が提出した補充証拠を審理した後 同年 6 月 18 日にあらためて裁定を行ったことから 被上訴人は上訴人の権益を侵害してはおらず この点に関する第一審判決の認定は正確である 調査の結果 次のとおり認定する 中国商標網 は商標局の公式ウェブサイトであり これに掲載された係争商標無効の情報は被上訴人 ( 商標評審委員会 ) が公表したものではないことから 本件審理の範囲に含まれず 当該ウェブサイトで公表された係争商標無効の情報が上訴人の権益を侵害したか否かについては 当人民法院は審理しない 第一審判決がこの点について審理を行ったことは妥当でなく 当人民法院はこれを是正する 第一審判決は 剣城春公司が先に使用していた 老風口 の文字標章は一定の影響力を有し かつ上訴人はかかる影響を知ることができたと認定した 本件第二審において 上訴人は 自らが 2001 年 3 月に 老風口 LAOFENGKOU 及び図 商標を登録したことのほかには 係争商標を自らが先に使用していたことを証明する証拠はないと述べていることから 上訴人は 商標法 第 31 条の規定に違反するとした第一審判決は正確である 本件において 係争商標と引用商標の指定商品はいずれも第 33 類の酒類商品であり 両者の指定商品は同一である しかも 両者の差異は顕著でなく 関連公衆に係争商標と引用商標との間にある種の関連性があるとの誤認を生じさせやすく 類似商標にあたる 引用商標は登録商標であることから 係争商標の登録は 商標法 第 28 条の規定に合致しないとした第一審判決の認定は正確である 以上の理由により 次のとおり判決する 上訴棄却 原判決維持 中国商標権冒認出願判例 事例集 27

34 5. 解説 商標法 第 28 条は 登録出願された商標が 本法律の関連規定に合致しない場合 又は他人がすでに同一商品又は類似商品で登録している場合 又は初期査定がなされた商標と同一もしくは類似する場合は 商標局は 出願を拒絶し これを公告しない と規定している また 商標法 第 31 条は 商標の登録出願は 他人の既存の権利を侵害してはならない 他人がすでに使用しており一定の影響力を有する商標を不正な手段によって抜け駆けして登録してはならない と規定している 本件事案における第一審判決及び第二審判決は 商標法 第 28 条と 商標法 第 31 条の両方を適用した 本来 引用商標が係争商標と同一又は類似商品で登録されており 引用商標と係争商標が同一又は類似であれば 第 28 条により 登録は拒絶されるはずであり そうだとすると さらに第 31 条を適用する必要は必ずしも無かったと思われる 28 中国商標権冒認出願判例 事例集

35 31-3. 商標法 第 31 条にいう 使用 の主体 時期 方法及び 一定の影響力 についての紛争事件 1. 事件の性質 商標行政紛争事件 2. 事件名 争点 事件名 : 山西杏花村汾酒廠股份有限公司が商標評審委員会を訴えた事件 争点 : 商標法 第 31 条の 使用 及び 一定の影響力 の各要件の該当性 3. 書誌的事項 第一審 : 北京市第一中級人民法院 (2004) 一中行初字第 588 号原告 : 山西省方山県老伝統食品有限公司 ( 以下 老伝統公司 という ) 被告 : 商標評審委員会第三者 : 山西杏花村汾酒廠股份有限公司 ( 以下 杏花村公司 という ) 判決日 : 2004 年 12 月 27 日 第二審 : 北京市高級人民法院 (2005) 高行終字第 71 号上訴人 ( 一審原告 ): 老伝統公司被上訴人 ( 一審被告 ): 商標評審委員会被上訴人 ( 一審第三者 ): 杏花村公司判決日 :2005 年 5 月 8 日 関連条文 : 商標法 第 31 条 第 41 条第 2 項 商標法実施条例 第 3 条 出典 : 北京法院網 中国商標権冒認出願判例 事例集 29

36 4. 事件の概要 (1) 家家 商標の登録老伝統公司は 1999 年 10 月 第 33 類酒 ( 飲料 ) 商品について 家家 商標を登録し 2001 年 2 月 21 日付けで商標登録が認められた ( 登録番号 ) 当該商標は中国語の 家家 という 2 文字により構成され 字体はコンピュータフォントの中の一般的な隷書体であった 2002 年 8 月 杏花村公司は 商標評審委員会に対し 商標法 31 条を根拠に 紛争商標の取消申立を提出した (2) 商標取消審判 ( ア ) 杏花村公司の家家商標がすでに使用されていて かつ一定の影響力があるか否かについて商標評審委員会は まず 使用 の要件につき 以下の理由により 杏花村公司が提供した販売契約 広告契約等の証拠は 老伝統公司の商標登録出願前に 杏花村公司が家家商標をすでに使用していたことを表しているとした 1 使用の 主体 の点について商標の使用は 商標所有者による自己使用には限られない 商標所有者 商標所有者の関連企業 被許諾者の使用及び商標を使用する商品又は役務の代理店 販売店が行う広告宣伝等も いずれも商標の使用である 2 使用の 時期 方法 の点について紛争商標の登録出願よりも前から 杏花村公司及びその関連企業はすでに生産を開始し かつ当該商標を使用した商品の広告宣伝を行っていたのであり 杏花村公司は当該商標をすでに使用していたといえる 次に 商標評審委員会は 一定の影響力 の要件につき 杏花村公司は 1999 年 12 月 29 日に衛生許可証を取得する前は当該商標を使用した商品を正式には販売していなかったが 広告のはたらきによって 杏花村公司の家家商標は広告宣伝の行き渡った範囲内での商品の消費者及び競業者の知るところとなっており その影響力は一定の程度に達していたことを認めた ( イ ) 老伝統公司の紛争商標の登録出願が不正手段による抜け駆け登録であるか否かについて商標評審委員会は 家家商標を杏花村公司が先行使用し かつ一定の影響を有する商標であることを 老伝統公司が明らかに知っていたことを証明する十分な証拠はないが 以下の事実から 老伝統公司は 家家 が杏花村公司の先行使用商標であったことを知っていたはずであるとした 老伝統公司と杏花村公司とがかつて業務提携関係にあったこと 両者が同じ地域にあり 同一の業種で 双方の商品は同一の販売ルート及び販売地域であったこと 杏花村公司の商標はすでに広告宣伝により一定範囲内の消費者及び競業者の知るところとなっていたこと 30 中国商標権冒認出願判例 事例集

37 紛争商標は杏花村公司の先行使用商標と文字構成 字体が基本的に同一であること ( ウ ) 結論以上の理由により 商標評審委員会は 杏花村公司の提起した紛争の裁定の理由は成立するため 老伝統公司の紛争商標を取り消すものとした (3) 第一審判決及び第二審判決老伝統公司が上記裁定を不服として行政訴訟を提起したが 北京市第一中級人民法院は 商標評審委員会の裁定を妥当とし 訴えを棄却した 老伝統公司は上訴したが 北京市高級人民法院も 原審判決を妥当とし 上訴を棄却した 紛争商標出願日の 3 ヵ月から 4 ヵ月前に 杏花村公司及びその関連企業が 家家酒製品の流通販売のために 外部に対し家家酒製品の包装全般のデザインを委託し 家家酒のみに使用する容器 箱 商標ラベル 偽物防止キャップ等を 4 社にそれぞれ発注したこと ( 注文本数が家家酒 40 万本分にもなる ) 紛争商標出願日の数日前に その生産した家家酒を山西省衛生防疫站に提出し検査 測定を受けていることを含め 大量の準備作業を行っていたことが十分に証明されている また 関連の証拠により 紛争商標の出願日前に 家家酒が公共メディアを通じて関連の消費者に知られていたことも証明されている 老伝統公司と杏花村公司との間には過去に酒製品の製造について業務提携関係があり また 両者は同じ山西省呂梁地区に所在する酒製品製造企業であり このような前提条件のもとで 老伝統公司が杏花村公司の使用する 家家 商標と文字の構成 字体が基本的に同一の紛争商標の登録を出願したその行為は 主観的に悪意が存在すると確信するに足るものである 従って 老伝統公司が紛争商標を登録出願した行為は信義誠実の原則に違反し 商標法 31 条の規定に違反するものである 5. 解説 本件の裁定及び判決では 商標法 第 31 条の 使用 の主体 時期 方法及び 一定の影響力 について ある程度 緩やかに適用されている すなわち 1 使用 の主体については 商標所有者による自己使用には限られないこと 2 使用 の時期 方法については 紛争商標の登録出願より前から 商品の生産を開始し広告宣伝を行っていたのであれば足りること 3 一定の影響力 については 当該商標が広告宣伝の行き渡った範囲内での商品の消費者及び競業者の知るところとなっていれば足りることが示されている 中国商標権冒認出願判例 事例集 31

38 31-4. 商標法 第 31 条を適用するための 悪意 の要件についての 紛争事件 1. 事件の性質 商標行政紛争事件 2. 事件名 争点 事件名 : 栄華餅家有限公司が商標評審委員会を訴えた事件 争点 : 商標法 第 31 条を適用するための 悪意 の要件の該当性 3. 書誌的事項 第一審 : 北京市第一中級人民法院 (2007) 一中行初字第 号原告 : 栄華餅家有限公司 ( 以下 栄華餅家 という ) 被告 : 商標評審委員会第三者 : 仏山市順徳区勒流鎮蘇氏栄華食品廠 ( 以下 栄華食品廠 という ) 判決日 : 不明 第二審 : 北京市高級人民法院 (2008) 高行終字第 107 号上訴人 : 栄華餅家被上訴人 : 商標評審委員会第三者 : 栄華食品廠判決日 :2008 年 5 月 13 日 関連条文 : 商標法 第 31 条 第 41 条第 1 項 出典 : 中国知的財産権判決文書網 32 中国商標権冒認出願判例 事例集

39 4. 事件の性質 (1) 事実関係 1997 年 10 月 17 日付で 順徳市勒流鎮栄華面包廠は 商標局に 栄華月 商標 ( 以下 係争商標 という ) の登録を出願し 1999 年 3 月 14 日付けで登録を受けた ( 下図参照 ) 商標登録証番号は 号であり 指定商品は第 30 類の 飴菓子 食用ローヤルゼリー ( 非医療用 ) 蒸し菓子 パン 月餅 等であった 2007 年 4 月 25 日付で 順徳市勒流鎮栄華面包廠は順徳区勒流鎮蘇氏栄華食品廠に名称を変更し 係争商標の登録者は栄華食品廠に変更された 第 号 栄華 商標 ( 下図参照 ) は沂水県永楽糖果廠が 1989 年 11 月 14 日付で登録を出願し 1990 年 11 月 10 日付で登録を受けたものである 指定商品は第 30 類の 飴菓子 蒸し菓子 であった 2007 年 4 月 25 日付で 当該商標は栄華食品廠に譲渡され 有効期間は更新を経て 2010 年 11 月 9 日まで延長された 2000 年 5 月 31 日付で 栄華餅家は 係争商標の登録が改正前の 商標法 第 27 条 商標法実施細則 第 25 条 民法通則 第 4 条 不正競争防止法 第 2 条 第 5 条の規定に違反していることを理由として 商標評審委員会に係争商標の取消を申し立てた 2007 年 7 月 16 日付で 商標評審委員会は商評字 2007 第 4131 号の裁定を出し 係争商標を維持すると裁定した 栄華餅家は 上記裁定の取消しを求めて 北京市第一中級人民法院に提訴した (2) 第一審判決北京市第一中級人民法院は 次のように判示した 栄華食品廠は 80 年代より 栄華 を商号の一部とし 経営範囲には蒸し菓子 ケーキ ビスケット類が含まれていた 第 号の 栄華 商標は 1990 年 11 月 10 日付で登録を受け その後譲渡され栄華食品廠の所有となり 商標紛争段階では栄華食品廠が 栄華 商標の既存の権利を保有しており 係争商標の登録出願と第 号の 栄華 商標の譲受 取得には 権利の連続性 中国商標権冒認出願判例 事例集 33

40 が形成されている 栄華 という 1 つの言葉の独創性はやや弱いものである ゆえに栄華餅家が挙げた証拠は 栄華月餅 製品が 1991 年より大陸地区で販売を開始したことを証明することができるが 栄華食品廠が係争商標を登録したことに主観的悪意があったと認定することはできない 従って 係争商標の登録が 他人がすでに使用している一定の影響力を有する商標を不正な手段によって抜け駆けして登録した状況を構成すると認定することはできない 以上の理由により 次のとおり判決する 商標評審委員会第 4131 号裁定を維持する (3) 第二審判決栄華餅家は上訴し 次のとおり主張した 栄華食品廠の行為は他人がすでに使用している一定の影響力を有する商標を不正な手段によって抜け駆けして登録した状況を構成しており 原審法院がその行為に悪意があると認定しなかったことは誤りである 栄華食品廠の行為に主観的悪意がある状況下において 商標法 第 31 条又は第 41 条の規定に基づき その出願した係争商標はいずれも取り消さなければならない 北京市高級級人民法院は 次のように判示した 商標法 第 31 条の規定の適用は 商標出願人に主観的悪意があることを前提としなければならない 栄華食品廠は 80 年代より 栄華 を商号の一部とし 経営範囲には蒸し菓子 ケーキ ビスケット類 ( 原文は 餅食 ) が含まれていた 次に 第 号の 栄華 商標は 1990 年 11 月 10 日付で登録を受け 1997 年 12 月に譲渡されて栄華食品廠の前身である順徳市勒流鎮栄華面包廠の所有となったのであって 栄華食品廠は 栄華 商標の既存の権利を保有しており 係争商標の登録申請と第 号の 栄華 商標の譲受 取得には 権利の連続性が形成されている 栄華 という 1 つの言葉の独創性はやや弱いものである 栄華餅家の挙げた証拠は 栄華食品廠による係争商標の登録出願に主観的悪意があると認定するに充分であるとは言えない 従って 本件に関して現在ある証拠に基づくと 係争商標の登録が 他人がすでに使用している一定の影響力を有する商標を不正な手段によって抜け駆けして登録した状況を構成すると認定することはできない 商標法 第 41 条第 1 項における欺罔的手段又はその他の不正な手段により登録を受ける行為には 不正競争を実行し 不法な利益を獲得する目的により悪意で出願行為を行うことが含まれる 現在ある証拠では 栄華食品廠の係争商標登録出願に悪意があったと証明することができず ゆえに栄華餅家の主張は成立せず 本院はこれを支持しない 以上の理由により 次のとおり判決する 上訴棄却 原判決維持 34 中国商標権冒認出願判例 事例集

41 5. 解説 商標法 第 31 条にいう 不正な手段 とは 商標を登録出願するために信義誠実の原則に反する方法を使用することをいう その本質は 行為者が 他人の商標を剽窃しようとする主観的な悪意を持っていることである すなわち 不正な手段 であるといえるためには 悪意 があると認められることが必要である そこで 具体的な事案において 悪意 をどのように認定するかが 重要な問題として浮かび上がってくる 悪意 は主観的要素であるため ケースによっては立証が困難となることも予想されるが 立証は決して不可能ではない 筆者の経験に照らすと 中国において商標冒認出願を行う者が 1 外国における真の商標保有者に対し 多額の金銭の要求を書面で行ってくるケース 2 中国の一社又は一個人の名義で 世界中の様々なブランド 商標の出願 登録をしているケース 3その登録している商標のデザインが外国における真の商標保有者のブランドのデザインとほぼ同一であり 偶然の一致ではあり得ないケース等が実際に存在した これらのケースにおいては 冒認出願の主観的悪意が認定される可能性が比較的高いと思われる 中国商標権冒認出願判例 事例集 35

42 31-5. ロゴマークの著作物性を認め 商標法 第 31 条により係争商標の 取消を認めた紛争事件 1. 事件の性質 商標行政紛争事件 2. 事件名 争点 事件名 : 晋江均日機器有限公司が商標評審委員会を訴えた事件争点 : 申立人が係争商標の取消申立時に 商標法 第 31 条を取消理由としたが 係争商標が既存の著作権を侵害したことを明確に指摘しなかった場合であっても 商標評審委員会は既存の著作権の侵害を理由として係争商標を取り消すことができるか 3. 書誌的事項 第一審 : 北京市第一中級人民法院 (2007) 一中行初字第 1160 号原告 : 晋江均日機器有限公司 ( 以下 晋江均日公司 という ) 被告 : 商標評審委員会第三者 :( 日本 ) ボッシュ株式会社判決日 : 不明 第二審 : 北京市高級人民法院 (2008) 高民終字第 121 号上訴人 : 晋江均日機器有限公司被上訴人 : 商標評審委員会判決日 :2008 年 5 月 28 日 関連条文 : 商標法 第 31 条 出典 : 北京法院網 36 中国商標権冒認出願判例 事例集

43 4. 事件の概要 (1) 事実関係 1992 年 12 月 22 日 ボッシュ株式会社は Z の図形商標( 以下 対照商標 という ) を登録出願した ( 下図参照 ) 1993 年 12 月 7 日 商標局は 対照商標を初期査定して公告した 1994 年 3 月 7 日 対照商標は第 7 類のガソリンエンジン ディーゼルエンジン等を指定商品として登録され 登録番号は であった 更新後 専用権の期限は 2014 年 3 月 6 日となっている 晋江均日公司は 1997 年 9 月 1 日に第 号 Z の図形商標 ( 以下 係争商標 という ) を登録出願した ( 下図参照 ) 1998 年 11 月 7 日 商標局は使用商品をバルブ ( ディーゼルエンジン 部品 ) ピストンリング ( ディーゼルエンジン部品 ) 等として登録した 2002 年 2 月 9 日 ボッシュ株式会社は 係争商標につき商標評審委員会に 不当商標登録取消申立書 を提出した 申立理由は 対照商標はその旧企業名称の商号 ZEXEL を図案化したものであり 係争商標は明らかに対照商標を複製して登録されたものであって その合法的権益を侵害するというものであった 2007 年 7 月 25 日 商標評審委員会は 係争商標の図形はボッシュ株式会社の既存の著作権の侵害にあたると認定し 係争商標の取消を裁定した すなわち 1 係争商標は対照商標と模様が完全に同じで 両者の全体的視覚効果はほとんど差異がなく 公衆の一般的な注意力によって区別することは難しく 同一商標にあたる 2 係争商標と対照商標とは類似商品における同一商標にあたり 対照商標は 出願及び登録が先であったので既存の商標権を有する と認定した 晋江均日公司は 商標評審委員会が下した係争商標の取消裁定を不服とし 次のように主張して 北京市第一中級人民法院に訴訟を提起した ボッシュ株式会社は著作権を主張しておらず 商標法 第 31 条の 既存の権利 を引用するときに該当する既存の権利が著作権を指すことを明示していない 係争商標がボッシュ株式会社の既存の著作権に対する侵害にあたるとした商標評審委員会の認定は ボッシュ株式会社が求めた申立の範囲を超えるものであるため誤りである 中国商標権冒認出願判例 事例集 37

44 (2) 第一審判決第一審人民法院は 次のとおり判示した ボッシュ株式会社は係争商標取消裁定手続において 商標法 第 31 条に定める事由を係争商標の取消理由としており これに著作権を係争商標の取消理由とすることが含まれていることを各当事者は承知していた ボッシュ株式会社は 不当商標登録取消申立書 及び陳述の中で商標の創意 創作プロセス 理念及びインスピレーションを明確に述べており 晋江均日公司もボッシュ株式会社が Z 図形 商標の著作権を有することに異議を表明していない 係争商標はボッシュ株式会社が対照商標を登録した後で 係争商法の模様が対照商標を剽窃複製したものであることは明らかで しかも普江均日公司はその係争商標のデザインの由来について合理的な解釈を示していない よって その係争商標の登録がボッシュ株式会社の既存の著作権に対する侵害であることは明らかで その登録した係争商標は 商標法 の関連規定に合致しないのであるから取り消すべきである 従って 商標評審委員会の裁定を維持すべきであると判決する (3) 第二審判決第二審人民法院は 次のとおり判示した ボッシュ株式会社は 不当商標登録取消申立書 の中で 商標法 第 31 条に定める事由を係争商標の取消理由とすることを明示したうえ 対照商標の創意の由来 創作プロセス 理念及びインスピレーションを明確に述べており 著作権 の 3 文字は掲げていないものの 商標法 第 31 条に定める既存の権利には著作権が含まれるため 商標評審委員会がボッシュ株式会社の 不当商標登録取消申立書 の記述に基づきボッシュ株式会社の主張する既存の権利に著作権が含まれると判断して審査を行ったことに問題はない 係争商標の登録時期は対照商標の権利付与の後であったうえ 係争商標の模様が対照商標を剽窃複製したものであることは明らかであり また 訴訟中に晋江均日公司はボッシュ株式会社が著作権を有することについては異議がないと表明している 第 4365 号裁定はボッシュ株式会社の提示した取消理由について審査を行ったものであってボッシュ株式会社の請求の範囲を超えていないとする第一審判決の認定は正確であり 晋江均日公司の実体権利を侵害していない 従って 次のとおり判決する 上訴棄却 原判決維持 38 中国商標権冒認出願判例 事例集

45 5. 解説 本件において ボッシュ株式会社が商標取消を申し立てる際に主張した法律根拠は 商標法 第 31 条である 同条は 商標の登録出願は 他人の既存の権利を侵害してはならない 他人がすでに使用しており一定の影響力を有する商標を不正な手段によって抜け駆けして登録してはならない と定めている ボッシュ株式会社は係争商標によって侵害される 既存の権利 が 著作権 であることを明示していなかったが 陳述の過程でその創作プロセス 理念及びインスピレーションを強調し ボッシュ株式会社が対照商標を創作したことを暗示していた この点を考慮に入れ 商標評審委員会がボッシュ株式会社の 不当商標登録取消申立書 の記述に基づきボッシュ株式会社の主張する既存の権利に著作権が含まれると判断して審査を行ったことに問題はないと判示された 中国における商標の冒認出願に係る紛争事件において 商標法 第 31 条は 取消理由の根拠規定として主張されることが多い とくに 既存の権利 としての 著作権 が係争商標によって侵害されたことを主張することは 係争商標の取消しを申立てる場合の有力な手段の一つである 本件における Z 図形のようなロゴマークにも著作物性が認められたことは 商標法 第 31 条を主張して冒認出願 ( 抜け駆け登録 ) 商標の取消を求めていこうとする企業にとって 大いに参考となろう 中国商標権冒認出願判例 事例集 39

46 31-6. 既存の権利 が 商標権侵害訴訟における 抗弁 として認め られた紛争事件 1. 事件の性質 商標権侵害紛争事件 2. 事件名 争点 事件名 : 福州維他龍営養食品有限公司と厦門恵尓康食品有限公司 羅茂賢との商標権侵害紛争事件 争点 : 1 維他龍公司の第 号商標の譲受は有効か 2 厦門恵尓康公司は 恵尓康 に対す る 既存の権利 を有するか 3 書誌的事項 第一審 : 長沙市中級人民法院 (2003) 長中民三初字第 449 号原告 : 福州維他龍営養食品有限公司 ( 以下 維他龍公司 という ) 被告 : 厦門恵尓康食品有限公司 ( 以下 厦門恵尓康公司 という ) 羅茂賢判決日 :2005 年 5 月 10 日 第二審 : 湖南省高級人民法院 (2005) 湘高法民三終字第 49 号上訴人 : 維他龍公司被上訴人 : 厦門恵尓康公司 羅茂賢判決日 :2006 年 1 月 14 日 関連条文 : 商標法 第 31 条 第 39 条 商標法実施条例 第 26 条 出典 : 北大法意 40 中国商標権冒認出願判例 事例集

47 4 事件の概要 (1) 事実関係 1994 年 8 月 14 日 天津市恵尓康科技有限公司 ( 以下 天津恵尓康公司 という ) が出願した第 号 恵尓康 HEK 商標の登録が認められた ( 下図参照 ) 指定商品は第 30 類 豆乳 である ( 号 ) 1996 年 4 月 30 日 天津恵尓康公司は登記抹消され その企業従業員及び債務等は 主管単位である中国医学科学院放射医学研究所 ( 以下 医学研究所 という ) に承継された 1997 年 6 月 6 日 医学研究所が第 号登録商標を維他龍公司に譲渡した 登録商標の譲渡申請書には 譲渡人は天津恵尓康公司であると明記され かつ当該会社の公印が押捺されている 1997 年 11 月 28 日 商標局は当該譲渡行為を審査確認の上 認めた 1999 年 4 月 21 日 維他龍公司は さらに第 恵尓康 商標( 下図参照 ) の登録を受けた 指定商品は第 32 類のソーダ ジュース 豆乳 野菜ジュース ( 飲料 ) 粉末ジュース ミネラルウォーター ( 非医療用 ) 水( 飲料 ) 等であった ( 号 ) 厦門恵尓康公司は 中国と香港の合弁企業である 恵尓康 は 1991 年 12 月 3 日に合弁前の同安県恵尓康食品廠が設立された時から 製品標章として製品パッケージに使用されている 1992 年より ヨーグルト 八宝粥等の製品にも使用するようになった 厦門恵尓康公司及びその 恵尓康 ブランド飲料等の商品は 関連部門から幾度も賞及び栄誉称号を授与されている 当該会社の全ての登録商標は 2000 年 2001 年にそれぞれ福建省周知商標及び厦門市周知商標に認定され 非常に高い知名度を有している 2002 年 12 月 13 日 厦門恵尓康公司は 第 号 恵尓康 HEK 商標について 継続して 3 年間使用していないことを理由に商標評審委員会に取消請求を提出した 2003 年 8 月 25 日 商標局は 撤 号 第 号 恵尓康 +HEK 商標の取消に関する決定 ( 以下 撤 号決定 という ) を出し 第 号 恵尓康 HEK 商標を取り消した また 2002 年 12 月 25 日 厦門恵尓康公司は 第 号商標についても 商標取消申立を提出した 中国商標権冒認出願判例 事例集 41

48 2003 年 10 月 16 日 維他龍公司は 第 号登録商標専用権及び第 号登録商標専用権が厦門恵尓康公司に侵害されたとの理由により 長沙市中級人民法院に対して 商標権侵害訴訟を提起した 維他龍公司の訴訟請求は 下記のとおりである 1 厦門恵尓康公司と羅茂賢は商標権侵害行為を停止すること 2 厦門恵尓康公司と羅茂賢は 人民日報 福建日報 湖南日報 に謝罪声明を掲載すること 3 厦門恵尓康公司は維他龍公司に対して 2800 万元の損害賠償金を支払うこと ところで 2004 年 7 月 2 日 商標評審委員会は 商評字 (2004) 第 3239 号 第 号 恵尓康 商標紛争に関する裁定書 ( 以下 商評字 (2004) 第 3239 号裁定 という ) を出し 第 号登録商標を取り消した 維他龍公司は 当該裁定を不服として 裁定取消訴訟を提起した 北京市高級人民法院 (2005) 高行終字第 31 号行政判決書は 厦門恵尓康公司の飲料製品における未登録の 恵尓康 商標は著名商標であることを支持及び確認し 同時に 維他龍公司による登録対象を拡大した第 号商標の出願行為には明らかに主観において悪意があると認め 商評字 (2004) 第 3239 号裁定を維持し 第 号商標を取り消した 本件商標権侵害訴訟の第一審手続は上記の行政訴訟手続と並行して進められ 2005 年 5 月 10 日 以下のとおり 本件商標権侵害訴訟の第一審判決が下された (2) 第一審判決本件商標権侵害訴訟につき 長沙市中級人民法院は 次のように判示した 1 維他龍公司は 合法的に第 号登録商標専用権を有していない 1) 商標専用権の譲渡行為は 要式行為である 本件において 天津恵尓康公司は 1996 年 4 月 30 日に取り消され 医学研究所がその権利義務 ( 第 号登録商標専用権を含む ) を承継した 医学研究所が法に従い適切に登録商標専用権の譲渡手続を行っていない以上 その名義によって当該商標に対し処分権を行使することはできない 2) 天津恵尓康公司は 1996 年 4 月 30 日より法人としての民事主体資格が消滅し 民事行為能力を失った 従って 医学研究所が商標譲渡契約において天津恵尓康公司の公印を押捺する行為は無効な民事行為にあたる 3) 維他龍公司が第 号登録商標を譲受する行為には 重大な法律上の瑕疵が存在し その天津恵尓康公司との間における商標譲渡行為は無効である 4) 商標局は すでに 継続して 3 年間使用していない ことを理由に第 号商標を取り消す旨の決定を出している 2 厦門恵尓康公司が商品に使用した 恵尓康 は 不正競争防止法 にいう知名商品特有の名称 包装 装飾であり かつ既存の権利を構成する 1) 知名商品とは 市場において一定の知名度を有し 関連する公衆に知られている商品であると定義することができる 厦門恵尓康公司が生産する 恵尓康 シリーズ製品は知名商品で 42 中国商標権冒認出願判例 事例集

49 ある 2) このほか 厦門恵尓康公司がそのシリーズの製品に 恵尓康 を使用した時期は 天津恵尓康公司が第 号登録商標専用権を取得した時期よりも早く また維他龍公司が 号登録商標専用権を取得した時期よりも早い 3 厦門恵尓康公司が使用する 恵尓康 商標は 未登録の 比較的高い知名度を有する商標に該当し 既存の権利を構成する 1) 中国の法律は 商標登録者による専用権の取得を確認すると同時に 当該商標を最初に使用し かつ登録手続を行っていない者が当該商標を継続して使用することも認めている 但し 当該商標の使用範囲は 従来の取引活動範囲に限定される 厦門恵尓康公司は 1992 年 1993 年にはすでに 恵尓康 商標の使用を開始している よって 厦門恵尓康公司が第 号 第 号商標が登録された後に 従来の範囲内で引続き使用することには法的根拠がある 2) 本件において 厦門恵尓康公司が使用する 恵尓康 商標は 商標法 第 31 条の すでに使用し かつ一定の影響力を有する商標 に該当する 3) 未登録商標である 恵尓康 も同じく原告が権利を主張する両係争商標に対し既存の権利を構成する 4 恵尓康 の 3 文字は 厦門恵尓康公司がすでに使用し 一定の知名度を有する屋号を構成する 1) 屋号は 企業名称の中で最も顕著性の高い部分であり 一定の知名度を有し かつすでに使用されていた屋号は 登録商標の既存の権利を構成することができる 2) 混同をもたらさないことを条件に 企業名称は適切に簡略化して使用することができる 本件において 恵尓康 ブランドの知名度は高く 関連する公衆の中で 恵尓康 と言えばすぐに厦門恵尓康公司が連想され 関連する公衆に混同をもたらすことはない 厦門恵尓康公司が企業名称を適切に簡略化して 恵尓康 とすることに何ら不適切な点はなく 企業名称の合理的 規範的使用の法律的範囲を逸脱していない 5 厦門恵尓康公司が一連の既存の権利を有し その飲料等の商品に 恵尓康 を使用することは 維他龍公司の商標に対する権利の侵害及び不正競争を構成するものではない 羅茂賢が販売する提訴された権利侵害製品は商標権の侵害を構成しない よって 羅茂賢もまた民事責任を負う必要はない 以上をまとめ 次のとおり判決する 維他龍公司の訴訟請求を棄却する (3) 第二審判決維他龍公司は 第一審判決を不服として 湖南省高級人民法院に上訴を提起した 湖南省高級人民法院は 次のように判示した 1 維他龍公司と医学研究所との間で発生した第 号商標の譲渡行為は 無効である 中国商標権冒認出願判例 事例集 43

50 1) 天津恵尓康公司は 1996 年 4 月 30 日よりすでに業務を行っておらず 一切の経営活動を停止しており その公印もすでに取り消されている 今日に至るまで 工商部門にはいかなる経営再開の登記もされておらず また企業の清算に関するいかなる資料もない 天津恵尓康公司は法人終了の状態にあり その民事主体資格はすでに存在しない 医学研究所が自己の名義をもってすでに法により廃業が認められた企業の公印を押捺して譲渡を申請した行為は 合法性を有しない 医学研究所の行為は工商局の同意を得ているという維他龍公司の主張は 証拠による裏付けに欠ける 2) 天津市第一中級人民法院 (2004) 一中民三重字第 5 号及び天津市高級人民法院 (2005) 津高民三終字第 51 号民事判決書 ( 厦門恵尓康公司が医学研究所 維他龍公司を提訴 ) は 医学研究所と維他龍公司との間の第 号商標の譲渡行為が無効であることを確認している そのうえ 商標局は 継続して 3 年間使用していない ことを理由に第 号商標の取消決定を出している 2 厦門恵尓康公司が 恵尓康 未登録商標を以前より使用していた行為は すでに法律によって保護されるべき既存の権利を構成しており 維他龍公司による第 号商標の譲受行為 及び登録対象を拡大した第 号商標の出願行為には 明らかに抜け駆け登録の悪意があり 不正競争行為に該当する 1) 厦門恵尓康公司が 恵尓康 標章を使用していた商品は 一定の知名度を有しており 知名商品である 2) 同じく 恵尓康 の 3 文字も 厦門恵尓康公司がすでに使用し 一定の知名度を有する屋号を構成する 3) 商評字 (2004) 第 3239 号裁定は 厦門恵尓康公司が飲料等の商品に使用する 恵尓康 商標は著名商標であると認定し 上記事実は北京市高級人民法院 (2005) 高行終字第 31 号行政判決書によって維持され かつ効力を生じている 以上をまとめ 次のとおり判決する 上訴棄却 原判決維持 44 中国商標権冒認出願判例 事例集

51 5 解説 本件商標権侵害訴訟において 被告の行為は商標権侵害を構成しないとされた根拠を整理すると 以下のとおりである 1 原告と医学研究所との間の第 号商標の譲渡は無効である 医学研究所の譲渡行為には瑕疵がある 第 号商標は既に 3 年間不使用の理由により商標局により取り消されている 2 第 号商標と第 号商標について 被告は未登録商標 恵尓康 につき 既存の権利 を有している 既存の権利 の内容は 以下のとおりである 被告の 恵尓康 商品は 知名である 被告の 恵尓康 屋号は 知名である 被告の 恵尓康 未登録商標は 著名商標である 本来 既存の権利 は 商標法 第 31 条に基づき 冒認出願の取消の根拠として使われること が多いが 本件事案では 商標権侵害で訴えられた被告の抗弁として主張され 人民法院によりそ の抗弁が認められた点に特色がある 中国商標権冒認出願判例 事例集 45

52 31-7. 商標法 第 31 条及び第 15 条を根拠として登録商標の取消が認め られた紛争事件 1. 事件の性質 商標行政紛争事件 2. 事件名 争点 事件名 : 王子製紙株式会社が国家工商行政管理総局商標評審委員会を訴えた事件 争点 : 係争登録商標は 商標法 第 31 条及び第 15 条により取り消されるべきか 3. 書誌的事項 第一審 : 北京市第一中級人民法院 (2007) 一中行初字第 1016 号 (2007) 一中行初字第 1040 号 (2007) 一中行初字第 1015 号 (2007) 一中行初字第 1039 号原告 : 王子製紙株式会社被告 : 商標評審委員会第三者 : アモイ鑫盛捷企業有限公司判決日 : 不明 第二審 : 北京市高級人民法院 (2008) 高行終字第 104 号 (2008) 高行終字第 106 号 (2008) 高行終字第 116 号 (2008) 高行終字第 118 号上訴人 : アモイ鑫盛捷企業有限公司被上訴人 : 商標評審委員会 王子製紙株式会社判決日 :2008 年 6 月 19 日 関連条文 : 商標法 第 13 条 第 15 条 第 31 条 第 41 条 最高人民法院による商標事件の審 理における管轄及び法律適用範囲の問題に関する解釈 第 5 条 出典 : 北京法院網 46 中国商標権冒認出願判例 事例集

53 4. 事件の概要 (1) 事実関係 1994 年 6 月 28 日付で 合星公司は第 号 王子 OJI 及び図形 商標 ( 以下 基礎商標 という 下図参照 ) の登録出願をし かつ 1996 年 5 月 21 日付で登録を受けた 指定商品は第 1 類のファクシミリ用紙であった 更新を経て 基礎商標の専用期限は 2016 年 5 月 20 日まで延長された 基礎商標は 商標局から審査確認を経て 1996 年 11 月 28 日付でアモイ安妮企業有限公司 ( 以下 安妮企業公司 という) に譲渡された また 当該商標は 審査確認を経て 1999 年 12 月 28 日付でアモイ安妮紙業公司 ( 以下 安妮紙業公司 という ) に譲渡された 1996 年 9 月 27 日付で 安妮企業公司は第 号 王子 Prince ANNE PAPER 及び図形 商標の登録を出願し かつ 1997 年 11 月 21 日付で登録が認められた ( 下図参照 ) 指定商品は第 16 類のコピー用紙等であった 1999 年 9 月 28 日付で商標局から審査確認を経て 当該商標は安妮紙業公司に譲渡された 1996 年 12 月 2 日付で 安妮企業公司は第 号 王子 商標の登録を出願し かつ 1998 年 1 月 21 日付で登録が認められた ( 下図参照 ) 指定商品は第 1 類のファクシミリ用紙 感熱紙等で あった 1999 年 12 月 28 日付で審査確認を経て 当該商標は安妮紙業公司に譲渡された 2002 年 9 月 3 日付で 安妮紙業公司は第 号 王子運動 商標の登録を出願し かつ 2004 年 2 月 7 日付で登録が認められた ( 下図参照 ) 指定商品は第 1 類のコピー用紙等であった 中国商標権冒認出願判例 事例集 47

54 上記 4 つの商標は いずれも審査確認を経て 2007 年 6 月 5 日付で鑫盛捷公司に譲渡された ( 以下 係争商標 とは 上記 4 つの商標から基礎商標を除いた各商標をいう ) 王子製紙株式会社は 1937 年 12 月 20 日付で日本において第 号の 王子製紙株式会社及び紙テープが地球に巻きついている図形 の商標登録を認められた 指定商品はパルプ 紙 動植物繊維 アスベスト バガス 木屑等の材料からなる合成の板状物等であった また 1953 年 12 月 19 日付で第 号の OJI PAPER CO., LTD. 及び紙テープが地球に巻きついている図形 の商標登録が認められた 指定商品は紙及びその他の類別に当てはまらない紙製品であった 1962 年 10 月 4 日付で第 号の 王子製紙株式会社及び紙テープが地球に巻きついている図形 の商標登録が認められた 指定商品は紙類 文具類であった さらに 1983 年 2 月 25 日付で第 号の OJI の商標登録が認められた 指定商品は紙類 文具類であった 王子製紙株式会社の日本において登録された上記商標を総称して 引用商標 という 1970 年版 日本有名商標集 に王子製紙株式会社の OJI PAPER CO. LTD. 及び紙テープが地球に巻きついている図形 シリーズの商標が収録された 日本の経済産業省は 2003 年 3 月 26 日付で次のように証明した 王子製紙株式会社は日本で最初の製紙企業であり 日本製紙産業のリーダー企業であって 2001 年の生産量は世界第 8 位であった 王子製紙 は日本においてだけでなく 海外においても広く知られており 非常に有名な企業名称であって その 号商標は 1993 年の前に既に著名商標として日本及び海外で有名であった 日中経済協会は 2003 年 3 月 13 日付の商標局宛の証明書の中で 王子製紙株式会社第 号の商標は 著名商標として日本国内外で広く知られている と述べている 日本製紙連合会は 2003 年 3 月 12 日付の商標局宛の証明書の中で 王子製紙株式会社は 日本の製紙業界だけでなく 世界においても著名な企業である と述べている 1993 年から基礎商標の登録出願をするまで 王子製紙株式会社は大永紙通商株式会社 丸紅株式会社を代理店として 中国に向けてその製品を販売していたが しかしその提出された納品書兼決済書では中国における販売のルート及び具体的地域範囲を示すことはできなかった 1994 年 5 月 25 日から 29 日にかけて 全国造紙協会等単位の主催する 第一回中国紙 紙製品及び印刷器材博覧会 が北京の中国国際展覧センターにおいて開催された 新王子製紙株式会社は招待を受けて当該博覧会に参加し その展示場所の目立つ位置に NEW OJI PAPER 及び 日本新王子製紙株式会社 NEW OJI PAPER CO. LTD. という表示をしたが 展示場所の写真には登録商標の標識を明示しなかった 中国紙パルプ輸出入公司 中国軽工集団公司 中基国際貿易有限公司 中国青年国際人材交流中心 金城造紙 ( 集団 ) 有限責任公司等の単位は 2003 年に王子製紙株式会社 48 中国商標権冒認出願判例 事例集

55 及びその 王子 商標について中国においてとても高い知名度があったと証言し その中の一部の会社は 20 世紀 70 ~ 80 年代から王子製紙株式会社の各種紙製品の輸入を開始したことを証明した 新王子製紙株式会社及び王子製紙株式会社は同一の会社である 1994 年 7 月 8 月に 中技海峡公司と伊藤忠株式会社は王子製紙株式会社の商品を購入する契約を締結した これに先立ち 6 月 26 日に 王子製紙株式会社の従業員であるKが中国のアモイ星聯貿易有限公司及び星華実業集団 ( アモイ ) を訪問した Kは 出張報告書の中で アモイ星聯貿易有限公司の総経理と伊藤忠株式会社の面前で知り合いとなり その創立当初の 1 つのコンテナは 購入された王子製紙株式会社の商品であった と記述していた 1995 年 12 月 14 日に 王子製紙株式会社の従業員であるYが 中国の合星公司を訪問し 当該会社総経理の張傑と面会して名刺を受け取ったが その名刺によれば 張傑は中技海峡公司の輸出入六部の経理であり アモイ星聯貿易有限公司の総経理であり 中国星華実業集団本社と北京天星実業本社の董事であった 張傑が法定代表者を務めるアモイ象屿星華万事利輸出入有限公司の登記資料の中にある張傑の履歴書によれば 同人は 1992 年から 1994 年まで中国星華集団公司に在籍していた また 合星公司の登記資料の中にある張傑の履歴書によれば 1990 年 1 月から 1992 年 12 月まで北京星華実業集団公司で三部マネージャーを務め 1993 年 1 月からは北京天星実業本社で合星公司マネージャーを務めている 張傑が法定代表者を務める合星公司は 安妮企業公司の発起人の 1 人であり 張傑は安妮企業公司及び安妮紙業公司の董事である また 張傑は鑫盛捷公司の株主でもある 2003 年に張傑は 安妮が登録した 王子 商標について 王子製紙株式会社と交渉を行ったことがある 当時 王子製紙は 安妮公司の王子登録商標の件について というファクシミリを受信しており アモイ安妮公司 の署名押印があり かつ 張傑 というサインもあり 宛名部分には 伊藤忠商事株式会社御中 CC: 伊藤忠 ( 中国 ) 集団有限公司 伊藤忠紙パルプ株式会社 と明記されていた 当該ファクシミリには 10 年前に 安妮公司は王子製紙公司等サプライヤーから感熱紙の大巻きされた原紙を買い付けて加工 販売を開始し 安妮公司は王子ブランド商標を 1,000 万人民元の価格で譲渡し かつ全権限をしかるべく譲渡することを提案し かつ伊藤忠が王子製紙との相談窓口となり 関連問題を解決してもらいたい と書かれていた なお 伊藤忠株式会社の総部長代理兼輸出部長のMは 証明書を作成し 当該ファクシミリがアモイ安妮公司集団総裁の張傑から 2003 年 10 月 8 日付でファクシミリの手段で北京の伊藤忠 ( 中国 ) 集団有限公司に送信され さらに翌日に当該公司からファクシミリの手段で伊藤忠株式会社に転送された文書の証明付きの写しであることを証明した 当該証明書は公証認証を経ている 王子製紙株式会社による基礎商標の取消を求める申立について 商標評審委員会は商評字 (2007) 第 2861 号裁定を出し 基礎商標の登録を維持するとした その理由は次のとおりであった 1 現在ある証拠により具体的に示された宣伝 使用の継続期間 地域範囲 販売数量及び金額等の要素は 基礎商標の登録出願前に 王子製紙株式会社の引用商標が既に使用を通じて一定の影響を形成し 又はその商号が中国の関連公衆の中で一定の知名度を有していたと認定するには不足であり よって基礎商標登録が 商標法 第 31 条に違反するという取消理由は成立しない 2 現在ある証拠は 中国商標権冒認出願判例 事例集 49

56 王子製紙株式会社の引用商標を著名商標であると認定するには不足である よって 王子製紙株式会社の考える基礎商標登録が 商標法 第 13 条に違反するという取消理由は成立しない 3 基礎商標の登録出願時に 王子製紙株式会社と合星公司との間に直接の又は間接の代理関係 取次販売関係又はその他の商取引関係があったことは証明できない よって 基礎商標の登録が 商標法 第 15 条に違反するという取消理由は成立しない 4 王子製紙株式会社は 係争商標の登録出願前において その登録者が製品販売 王子製紙株式会社の社員との面談又はその他特別なルートを通じて 王子 OJI 及び紙テープが地球に巻きついている図形が王子製紙株式会社の引用商標又はその商標の特徴的部分であることを知りうべきであり 又は明らかに知っていたことを証明することができない よって 王子製紙株式会社の考える合星公司が信義誠実の原則に違反し 他人の商標を不正に自分のものとし 商標法 第 41 条第 1 項に違反するという取消理由は成立しない 王子製紙株式会社による 3 つの係争商標取消を求める申立について 商標評審委員会はそれぞれ商評字 2007 第 3329 号 商評字 2007 第 2862 号及び商評字 2007 第 3332 号において 次のとおり裁定した 3 つの係争商標の登録者が 基礎商標の登録取得後において 基礎商標の漢字及び図形部分を基礎とし 漢字に対応する英語等の要素を付し 又は基礎商標の漢字を単独で登録出願したことには合理性があり よって 3 つの係争商標の登録を維持する 基礎商標及び 3 つの係争商標について 王子製紙株式会社は 商標評審委員会の裁定を不服とし 北京市第一中級人民法院に訴訟を提起した (2) 第一審判決基礎商標について 第一審人民法院は 以下の理由により 商標評審委員会の裁定を取り消し 商標評審委員会に改めて裁定するよう命じる判決をした 1 王子製紙株式会社が中国に向けて製品を販売し 中国の展示会に参加したこと 並びに日本の経済産業省等が提出した証明書及び企業国際ランキング等の関連証拠で 中国における実際の使用状況及び知名度を直接証明することはできない 王子製紙株式会社は その引用商標が係争商標の申請日の前に 既に中国で関連公衆から広く知られる程度に達していたことを証明できず よって その引用商標が係争商標の申請日の前に既に著名であったと認定することはできない 従って 基礎商標の登録は 商標法 第 13 条の著名商標に対する保護に違反しない 2 王子製紙株式会社による その合星公司と直接又は間接の代理関係が存在したという主張には事実的根拠がない 従って 基礎商標の登録は 商標法 第 15 条に違反しない 3 現在ある証拠は 王子製紙株式会社の 王子 及び OJI 商号が係争商標の出願日の前に既に中国において使用されており かつ一定の知名度を有していたと証明するには不十分であり よって基礎商標の登録は 王子製紙の先行商号権を侵害しておらず 商標法 第 31 条に違反しない 4 係争商標の登録者である合星公司は 係争商標の出願日の前に 王子製紙株式会社の商標を知 50 中国商標権冒認出願判例 事例集

57 っており 王子 OJI 及び紙テープが地球に巻きついている図形が王子製紙株式会社の商標であり 又はその商標の特徴的部分であることを知っていた 商標法 第 41 条第 1 項の規定によれば すでに登録した商標が他人が先行使用する商標であると商標登録者が明らかに知り 又は知り得べきでありながら 悪意で自発的に登録出願した場合 当該行為は信義誠実の原則に反し 先行使用者の合法的権益を侵害し 公平な競争の市場秩序を害する よって 商標評審委員会の裁定を取り消し かつ同委員会に改めて裁定を行うことを求める判決をする 3 つの係争商標については 第一審人民法院は 以下のとおり 商標評審委員会の出した 3 つの係争商標についての裁定を取り消し かつ改めて裁定を行うよう判決をした 商標評審委員会がそれぞれ出した商評字 2007 第 3329 号 商評字 2007 第 2862 号及び商評字 2007 第 3332 号の裁定は 3 つの係争商標の登録者が 基礎商標の登録取得後において 基礎商標の漢字及び図形部分を基礎とし 漢字に対応する英語等の要素を付し 又は基礎商標の漢字を単独で登録出願したことには合理性があるという理由で 3 つの係争商標の登録を維持した しかし 基礎商標の登録は 商標法 第 41 条第 1 項の規定に違反しており 取り消さなければならないので 商標評審委員会が係争商標の登録を維持する根拠はもはや存在しない そして 上記 3 つの裁定は 王子製紙株式会社が評価審査段階で提出した係争商標の登録が 商標法 第 13 条 第 15 条 第 31 条及び第 41 条等の規定に違反したという取消理由について論じていない よって 上記 3 つの裁定を取り消し 商標評審委員会が上記取消理由に対して改めて議論を行いかつ紛争に裁定を出すよう判決する (3) 第二審判決第一審判決後 アモイ鑫盛捷企業有限公司は 北京市高級人民法院に上訴を提起した 第二審人民法院は 以下のとおり判示した 1 王子製紙株式会社の引用商標は 係争商標の出願前に既に中国において使用されかつ一定の影響力を生じており かつ当該影響は 係争商標の登録者である合星公司に及んでおり よって合星公司による係争商標の登録出願は 商標法 第 31 条の規定に違反していた また 両会社間に貿易取引関係が存在したことにより 合星公司が係争商標の登録出願をしたことは 実際に 商標法 第 15 条の規定にも違反しており よって係争商標の登録は取り消さなければならない (a) 王子 OJI 及び紙テープが地球に巻きついている図形は 王子製紙株式会社の引用商標の構成部分であり 独創性を持っている (b) 王子製紙株式会社の製品は 中国に輸入され かつ中国における業界の展示会にも参加しており その商標の中国における使用を認定することができる (c) 基礎商標の登録前において 張傑が法定代表者 マネージャー 董事を務め 又は張傑を株主とする系列会社と王子製紙株式会社との間には貿易取引関係があり 既に王子製紙株式会社及びその商標を理解し この状況下で 基礎商標の出願人 中国商標権冒認出願判例 事例集 51

58 には明らかに悪意があった (d) 係争商標と王子製紙株式会社の商標は 商標の文字 構図及びデザイン等の面でいずれも極めて似ており 同一又は類似の商品に使用される類似商標であると認定すべきである 2 一審判決及び商標評審委員会第 2861 号裁定における 係争商標の登録が 商標法 第 31 条及び第 15 条の規定に違反しないという認定は誤りであり また 原審判決及び商標評審委員会第 2861 号裁定の 商標法 第 41 条第 1 項の規定を適用した本件の審理又は審査の方法には 法律適用上の誤りがあるため これらは全て是正する 基礎商標の登録は 商標法 第 31 条及び第 15 条の規定に違反しており 取り消さなければならない そのため 商標評審委員会は 係争商標の登録を維持する根拠がもはや存在せず 王子製紙株式会社の提出した係争商標が第 13 条 第 15 条 第 31 条及び第 41 条等の規定に違反するという取消理由についても論じていない 従って 上記 3 つの係争商標に対して出された 3 つの裁定を取り消し 商標評審委員会が上記取消理由について改めて論じ かつ紛争を裁定しなければならない 5. 解説 本件事案の第二審判決における一つの特徴は 商標法 第 31 条及び第 15 条の両方を登録商標の取消理由としていることである 本件事案において 4 つの商標の登録 譲渡等の行為は 数社の異なる会社によって行われたものであったが これらの会社はみな張傑と関係があった 従って 張傑が基礎商標 ( 登録時期が最も早い ) の登録前において 貿易取引を通じて王子製紙株式会社及びその商標を理解しかつ知っていたことが本件のポイントとなった 本件事案では 王子製紙株式会社が 張傑の在籍した会社登録資料の照会を通じて 上記会社と張傑との間に関係があることを実証した また 1993 年 1995 年等の当時の張傑の名刺を保管していたことが 張傑及びその在籍した会社が王子製紙株式会社及びその商標を知っていたことの有力な証拠となった 52 中国商標権冒認出願判例 事例集

59 31-8. 商標法 第 31 条の 他人の既存の権利 としての商号権に係る 紛争事件 1. 事件の性質 商標行政紛争事件 2. 事件名 争点 事件名 : 煙台亨達利眼鏡有限公司が商標評審委員会を訴えた事件争点 : 1 引用商標は 既に使用され一定の影響力を有する商標と言えるか否か 2 引用商標の知名度が時計と眼鏡の 2 つの業種に及んでいるか否か 3 商標評審委員会の再審査過程における法令違反の有無 3. 書誌的事項 第一審 : 北京市第一中級人民法院 (2007) 一中行初字第 990 号原告 : 煙台亨達利眼鏡有限公司 ( 以下 亨達利公司 という ) 被告 : 商標評審委員会第三者 : 中国商業企業協会 亨得利 亨達利 分会 ( 以下 両亨分会 という ) 判決日 : 不明 第二審 : 北京市高級人民法院 (2008) 高行終字第 351 号上訴人 : 亨達利公司被上訴人 : 商標評審委員会第三者 : 両亨分会判決日 :2008 年 7 月 15 日 関連条文 : 商標法 第 10 条第 1 項第 8 号 第 31 条 出典 : 北京法院網 中国商標権冒認出願判例 事例集 53

60 4. 事件の性質 (1) 事実関係 1998 年 10 月 23 日に 亨達利公司は 第 42 類の眼鏡業務役務において 亨達利 の図形と文字を組み合わせた商標の登録を出願した 2000 年 4 月 7 日付で 当該商標 ( 以下 係争商標 という ) は登録を受け 登録番号は第 号であった ( 下図参照 ) 係争商標の専用期間は 2000 年 4 月 7 日から 2010 年 4 月 6 日までである 2003 年 11 月 14 日付で 商標評審委員会は 亨達利公司が登録した係争商標について両亨分会が申し立てた取消請求に対して 第 号 亨達利 商標登録不当出願の取消に関する商評字 2001 第 3282 号終局裁定書 ( 以下 2001 第 3282 号裁定 という ) に基づき 商評字 2003 第 2028 号の 第 号 亨達利 商標紛争に関する裁定書 ( 以下 2003 第 2028 号裁定 という ) を出し 係争商標を取り消した 北京市第一中級人民法院は 2004 年 9 月 3 日付の判決で 商標評審委員会が 2001 第 3282 号裁定の結論のみを根拠として直接 2003 第 2028 号裁定を出したことは 証拠及び法的根拠を欠いており 2003 第 2028 号裁定を取り消すべきであると判示した 商標評審委員会は 上記判決に基づき 別途合議体を組織して当該事件について改めて審理を行った そして 2007 年 6 月 11 日付で 商標評審委員会は商評字 2003 第 2028 号重審第 21 号 第 号 亨達利 商標紛争に関する裁定書 ( 以下 2003 重審第 21 号裁定 という ) を出し 係争商標の登録を取り消した 商標評審委員会は 再審査過程において 亨達利公司に改めて答弁するよう通知をしなかった 亨達利公司は 答弁の機会を与える通知をしなかったことは法令違反にあたると主張して 2003 重審第 21 号裁定の取消しを求めて 北京市第一中級人民法院に提訴した (2) 第一審判決北京市第一中級人民法院は 次のように判示した 商標評審委員会は 北京市第一中級人民法院の 2004 年 9 月 3 日付判決に従い 改めて 2003 重審第 21 号裁定を出した 当該裁定は 2003 第 2028 号裁定と結論は同じであるが 根拠とした事実が異なる 従って 当該裁定は 同一の事実及び理由によりなされた 元の具体的行政行為と基本的に同一の具体的行政行為の状況には該当しない 54 中国商標権冒認出願判例 事例集

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