本レポートは 米国における環境 クリーンエネルギー産業 市場の現状と今後の全体像を把握することにより JETRO 及び我が国企業の環境関連事業活動の基礎となる情報を収集することを 目的とする このため 世界及び米国市場で競争が繰り広げられている主要分野毎に これらの 主要技術 製品の概要と開発動向

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1 米国における 環境 クリーンエネルギー産業実態調査 2010 年 3 月 JETRO ロサンジェルス / ヒューストン

2 本レポートは 米国における環境 クリーンエネルギー産業 市場の現状と今後の全体像を把握することにより JETRO 及び我が国企業の環境関連事業活動の基礎となる情報を収集することを 目的とする このため 世界及び米国市場で競争が繰り広げられている主要分野毎に これらの 主要技術 製品の概要と開発動向 米国を中心とする主要なプレーヤー 市場規模とその動向をで きるだけ簡潔に纏めたものである 環境 クリーンエネルギー産業 市場については 現時点で確立した定義は無く かつ その範 囲は広いことに加え 特に 住宅 建築等の民生分野と再生可能エネルギー等の産業分野とでは その構造が大きく異なる このため 調査分析に当たっては 産業分野と民生分野を分けて行うこ ととした 特に 民生分野については 既に各種の市場規模調査が多数出されていることから 市場規模の把握等については これら既存データを活用した 他方 産業分野については 未だ十分 なデータの存在が確認できない分野が多いため 本レポート用として新たに試算を行ったものである これら 2 つの分野内では 出来る限り内容の濃淡を統一したものとし 産業分野を第一部 民 生分野を第二部としてとりまとめた 具体的な対象分野はそれぞれに記載しているが 一般に環境 クリーンエネルギー分野として認識されている分野を全て網羅できている訳ではない 当該分野の進展 変化は著しく 本調査レポ ートに記載した内容を含め 今後とも引き続き 充実 拡充を図っていく必要があると考える なお 過去 3 年間における世界的な金融危機は クリーンテクノロジー分野の資金調達にも大きく影響したと言われている Lux 社の評価によれば クリーンテクノロジー分野 ( 本書に掲げた産 業分野に限る ) のベンチャーキャピタルの投資額は 2007 年の $41 億から 2008 年に $53 億へと一旦急上昇した後に $33 億へと下落した 2007 年から 2009 年までの期間を通じて 平均的な取 引の規模 ($2420 万 ) は同等であったことから が大きく落ち込んだことを意味する 一方 M&A 活動を見ると 2007 年から 2009 年の期間で前年比で平均 52% の成長率で拡大しており 金額では $114 億から $256 億へと成長した このような背景には 当分野が成熟度を増していることの表れであるとの指摘も存在する 単に 目を引くだけの革新的な技術開発の段階を超越して その市場にアクセスするための方法を模索する企業が増加し 市場化に必要な規模を備えるために 規模の小さい企業が 市場に関する専門知 識を有し 市場へのチャネルを有する より大規模な企業に組み込まれていく 買収企業にとっても 製品ポートフォリオの多様化 競争優位性の確保や スケールメリットを得る手段となり得る 過去数年間の金融環境が こうした活動を助長し 市場の成熟度を向上させたとするものである 市場の成熟化は これから市場に参入しようとする企業にとっては必ずしも歓迎すべきことではないかもしれないが 環境エネルギー市場の見通しの確実性が高まりつつあるとも言える 本レポ ートが その見通しを得る一助になれば幸いである

3 Fig. 1: Venture Capital In Select Cleantech Areas, $6,000 $5, $5,000 $4,000 合計取引額 ( 単位 : 百万米ドル ) $3,000 $4,100 $3, $2, $1, $ 合計取引額 Source: Lux Research analysis Fig.2 M&A Activity In 15 Select Cleantech Areas Increases, $30,000 $25,000 $20,000 合計取引額 $15,000 ( 単位 : 百万米ドル ) $10,000 $11,422 $20,691 $25, $5, $ 合計取引額 Source: Lux Research analysis

4 本報告書の無断転載を禁ずる 免責事項 ジェトロは 本報告書の記載内容に関して生じた直接的 間接的 派生的 特別の 付随的 ある いは懲罰的損害及び利益の損失については それが契約 不法行為 無過失責任 あるいはその他の原因にもつづき生じたか否かにかかわらず 一切の責任を負いません これは たとえ ジェト ロがかかる損害の可能性をしらされていても同様とします

5 第 1 部産業部門

6 第 1 部 はじめに Ⅰ エネルギー貯蔵 1 電池 2 燃料電池 Ⅱ 再生可能エネルギー 1 太陽エネルギー発電 2 風力発電 3 バイオ燃料 Ⅲ 大気汚染 / 温暖化防止 1 大気汚染防止 2 炭素管理 3 炭素隔離 Ⅳ 水の管理 1 浄水 ( 海水淡水化 ) 2 水使用の効率化 ( エネルギー生産 ) 3 水情報技術 Ⅴ 廃棄物管理 1 有害廃棄物 / 電気電子機器廃棄物 2 一般 / 産業廃棄物処理 3 廃棄物からのエネルギー回収 ( 参考 ) 関連機関等

7 はじめに 第 1 部では 最終消費市場ではなく 主として産業分野のサプライチェーンにおける環境 エネ ルギー分野の クリーンテクノロジー 市場の動向をとりまとめた クリーンテクノロジー とは 天然資源の使用法を最適化し 環境に与える影響を低減することを特に想定した 革新的な技術分 野を表している こうした技術概念の中でも 主要部分となるエネルギー ( 貯蔵と再生可能エネルギー ) 大気 水 及び廃棄物を対象とし これら分野毎に 1 技術分類と主な課題 2 市場化開 発に必要な資金調達や M&A の状況 3 北米市場を中心とする主たる企業等 及び 4 市場規模とその動向を出来る限り簡潔にとりまとめることとした これらの技術や企業の抽出や分析 市場規模やその動向については 米国のシンクタンクである Lux Lesearch Inc. に委託し 専門的観点から検討を加えたものである ここで 主要企業等については 1) 幅広い技術分野にできるだけ対応させること 2) ユニークな技術を有していたり投資家等 の注目が高い企業を優先すること などを踏まえつつ列挙したものである このため 市場シェアの高い企業が全て含まれているとは限らないことに留意が必要である また 当地シンクタンクの 目を通じて選択したものであるため 特別に日系企業を優先して取り上げることもしていない 市場規模については 米国を中心とする市場動向の把握をより分かりやすくするための目安とし て試算したものであるため 金額それ自体の正確性を期すことを目的としていない また 各々の分野毎に市場の条件が大きく異なるため 対象となる製品等の市場の範囲は各分野ごとに異なる 以下に 各々の対象となる市場の対象の概略を示すが 試算方法については 各市場分野におけるの製品の供給サイド ( 供給者の売上 ) 需要サイド ( 製品購入者の費用 ) や 市場シェア割合など から推計するとともに 当該分野の専門家とのインタビューを通じた規模感のチェックを行ったものである 1. エネルギー貯蔵 電池 : 一次電池 二次電池 超コンデンサの製品を対象とし 従来型のアルカリ電池やキャパシタなどの製品 システムへの組み込みコストは除外 燃料電池 : 全ての製品を対象とし システムへの組み込みコストは除外 2. 再生可能エネルギー 太陽エネルギー : 据付費用を含む全ての太陽光 太陽熱発電装置を対象とし メンテナンスやサービスは除外 風力発電 : 据付費用を含む全ての風力発電装置を対象とし 変電所建設 トランスミッショ ンへの接続費用等は除外

8 バイオ燃料 : 全ての原料のバイオ燃料を含み これらの末端市場での小売価格を推計 3. 大気 大気汚染防止 : フィルター スクラバ モニター等の装置を対象とし ソフトウェアは除外 炭素管理 : 原則 全ての装置 システムを対象 炭素隔離 : 市場化が行われていないため試算の対象外 4. 水 浄水 ( 淡水化 ): 原則全ての装置とプラント設備を対象 水使用の効率化 ( エネルギー生産 ): 効率化のために付加された装置を対象とし エネルギ ー生産設備自体は対象外 水情報技術 : 水マッピング 水インフラ モニタリングとスマートメータを対象とし 従来から使用されている管理システムは対象外 5. 廃棄物 有害廃棄物 電気電子廃棄物 : 原則全ての処理方法を対象 一般 産業廃棄物 : 原則全ての固形廃棄物の処理方法を対象とするが 自動車 重設備の再利用 ( 中古市場 ) や廃水処理等は対処外 エネルギー利用 : 利用された廃棄物のエネルギー価値を試算し 設備やプラントは除外

9 Ⅰ-1 エネルギー貯蔵 : 電池 要約 < 分野概要 > エネルギー貯蔵で最も重要な位置を占めるのは電池技術であり 電池の化学技術的なバリエーションはほとんど無限と言っても良く 研究機関やベンチャー企業をはじめ 様々な主体が激しい 競争を繰り広げている また エネルギー密度が極めて高い超コンデンサーは 電池に比べて市場規模は小さいものの 性能向上が著しいことから 今後の市場拡大が見込まれる これらの主な市場は 電力 定置式電源 携帯用電源 小規模電源 家庭用電化製品 輸送の 6 分野が挙げられ 例えば電力分野では 耐久性と信頼性 メンテナンスコストの低減などの課題があり 輸送分野では 安全性やコストに加え 重量や容量 急速再充電機能など様々なニーズ に対応する必要が生じている < 市場の動向 > ベンチャーキャピタルの取引規模が 全体として低調であった 2009 年においても 例外的に拡大するなど 引き続き 新たな要素技術や応用技術の開発が活発 また 昨年の A123 システム ズ社の NASDAC 上場 17 億ドルに及ぶ TDK 社による EPCOS の大規模 M&A など 注目される取引も存在した 本分野は 過去 10 年間で急速に成長し 日系企業に加え 韓国 中国 米国 など北米市場に影響を与えると見られる市場参入者も多様化 米国政府によるハイブリッドや電気自動車などの次世代輸送手段や スマートグリッドなどのインフラ整備に向けた支援は これらの下支えとなる本分野にも大きく影響 電力事業者による再 生可能エネルギーの導入拡大に伴い ピーク調整や電力網の安定化に向けた需要が継続して増加 また 2010 年中でのハイブリッド車向けリチウムイオン電池の本格参入などにより 生産能力が拡大 2014 年頃に リチウムイオン電池のコストが $600/kWh 程度と現在の 1/3 を下回る水準 に達するとの予測もある 超コンデンサについては 携帯用電子機器の機能増加や自動車向け電気部品市場が継続して拡大 2012 年をめどに 家庭用電化製品での利用拡大が見込めるコスト ($1/F 未満 ) にまで低下するとの見通しも存在 こうした状況の下で 北米市場は 全体で 2010 年の約 110 億ドル規模から 2015 年に 180 億ドル 規模に拡大し このうち 二次電池は 85 億ドルから 153 億ドルと 2 倍弱に 超コンデンサは規模が小さいものの 1 億ドルが 4 億ドルと 4 倍程度の規模にまで拡大する可能性がある

10 技術の分類 エネルギー貯蔵で最も重要な位置を占めるのは電池技術であり 再充電可能なものが二次電池 そうでないものが一次電池と呼ばれる 電池の化学技術的なバリエーションはほとんど無限と言っ ても良く 研究機関やベンチャー企業をはじめ 様々な主体が激しい競争を繰り広げている また エネルギー密度が極めて高い超コンデンサーは 電池に比べて市場規模は小さいものの その性能 向上が著しいことから 今後の市場拡大が見込まれるものである 現時点における最も有力な技術の概要 技術革新のポイントを以下に示す 1. 電池 リチウムイオン電池 : リチウムイオン電池は リチウムイオン (Li+) が陽極と陰極の間を移動する広範囲の二次電池を指し 陰極 陽極 および電解質の材質によって リチウム イオン電池の電圧 容量 寿命 および安全性能が大きく左右される ほとんどのリチウムイオン電池は陰極を黒鉛とし 他の構成要素は 使用用途の特性に応じて変化させる なお 一部の電池には 例えばチタン酸リチウム 錫 (Sn) シリコン (Si) ベースの材料を使用しているものもある リチウムイオン電池は陽極の違いによって その特徴が大きく異なることとなり 現時点では コバルト酸リチウム (LiCoO 2 もしくは LCO) の陽極を基本としているものが多い この材料を利用した陽極は 最も高いエネルギー密度 (300Wh/L~550Wh/L) を実現するため コンパクト化が重要な要素となる家庭用電化製品に応用されている これ以外には リ チウムマンガン酸化物 (LMO)/ リチウムマンガンスピネル (LMS) リン酸鉄リチウム (LFP) ニッケル コバルト マンガン およびアルミニウム (NMC/NCA) を含むリチ ウム化混合金属酸化物などが利用されている これらは 比較的高い電力密度と長いサイクル寿命を持つために自動車への応用に適するが LCO ほどの高いエネルギー密度を発揮す る物質は存在しない リチウムイオン電池は 他の二次電池に比較して最も高いエネルギー密度を有し かつ 電荷を長期間に渡って保持させる特徴を持つ ただし 一部のリチウムイオン電池は不安定 な化学構造を有するため 特に 高温環境において 破裂 発火 爆発等の安全上の懸念が存在する 大型電池 : 大型電池とは 大きな電力 ( 数十キロワット ~ 数メガワット ) を供給したり 大きな電力 ( 数メガワット時 ~ 数百メガワット時 ) を蓄えることのできる電池を指し フ ロー電池 溶融塩電池のほかに 1 のリチウムイオン電池などが含まれる フロー電池 : フロー電池は エネルギーを貯蔵するための電解質自体が電池内を流動する ものであり 電力や貯蔵エネルギー容量が それぞれ個別に流速と電解質の量を変更することで調整可能である フロー電池はエネルギーの貯蔵容量が大きいため 稼働時間の長

11 い電力網におけるエネルギー貯蔵に最適である 最も一般的なフロー電池には 陽極と陰極の両方でバナジウム (V) イオンを利用するバナジウム レドックス電池と 陽極に臭 素を 陰極に酸化亜鉛を使う亜鉛臭素電池がある フロー電池の主な利点は 低い温度で稼働するため 安全性が高く 電力系統全体のコス トと複雑性が抑えられる点にあるが この技術はまだ初期段階にあるためコストが高く 信頼性が低いことが課題 溶融塩電池 : フロー電池の一種とも言える溶融塩電池は 300 C~700 C の溶融塩を電解質として使用するものである 最も一般的な溶融塩電池は 陰極は液体の硫黄 陽極は液化ナ トリウムで構成されており 両者が固体セラミック製のセパレータにより分割されているナトリウム硫黄 (NaS) 電池である その他としては ゼブラバッテリー ( ナトリウムおよび 塩化ニッケル製 ) や 初期のリチウム硫黄電池などがある 溶融塩電池は エネルギー密度や電力密度も良い値を示すが 最大の利点はエネルギー効 率の良さにあり NaS 電池は 89% もの高い効率を発揮する ( 例えば 鉛酸電池の効率は一般的に 80% 程度である ) 他方 溶融塩電池の主な欠点としては 非常に高い温度で作動 するため 温度管理が必要になり 高度な安全管理が必要となる 大型リチウムイオン電池 : リチウムイオン電池のうち 主に電気自動車用に開発されている中規模のものを言う 現在 激しく開発競争が実施されているのは リチウムマンガン 酸化物 / リチウムマンガンスピネル (LMO/LMS) リン酸鉄リチウム (LFP) ニッケルマンガンコバルト / ニッケルコバルトアルミニウム (NMC/NCA) を陽極に持つ こうした電池は 性能向上のためナノテクノロジーを用いた材料などが使用されるためコスト低減が市場化を左右する 現時点での価格帯は $2,000/kWh~$3,000/kWh と言われて おり これは一般的な鉛酸電池 ( 約 $300/kWh) の 5 倍から 10 倍の水準 このため 大型のリチウムイオン電池は 電力網上の周波数や不規則な電圧を均一にするのに優れているが 電力の大量貯蔵への利用は困難となる 薄型電池 : 一般的な厚さが 0.15~0.45mm と薄く 折り曲げ可能であるなど 無線センサーや埋め込み型の医療機器をはじめとする小型のエネルギー源に使用されるもの 現在一般 的に利用されている電池 ( 陰極に亜鉛やリチウムなど 陽極に一フッ化炭素や酸化銅を利用 ) は 大きさや形状を多様に変化させることが困難でその性能が限定的になるケースが 多く こうした課題への対応が市場拡大の鍵となる 薄型一次電池 : 薄型の一次電池は 使い捨て型の電池で 寿命は 2~3 年程度のものをいう 素材は様々で 固体リチウムイオンポリマー 炭素亜鉛 シリカ黒鉛ナノワイヤーな どが挙げられる 薄型一次電池は低コストである場合が多いが 容量が限定的であるためにデューティサイクルの高い応用製品には対応ができない点である スマートカードや 高性能 RFID などへの応用に最も適する 薄型二次電池 : 薄型の二次電池は再充電可能であるため 長期間に渡る使用を可能とする 現在 亜鉛二酸化マンガン 生体材料 ナノワイヤーなど様々な材質のものが開発さ

12 れてきている 最も広範な商業化が期待されているのは オークリッジ国立研究所 (Oak Ridge National Laboratory) が開発した技術で 正極にリチウムコバルト酸化物 負極にリ チウムを使用し 電解質としてリン酸リチウムオキシナイトライド (LiPON) が用いられる 薄型二次電池は 自己放電率が極めて低くサイクル寿命や製品寿命が長いため 埋め 込み型医療機器 センサー コンピュータメモリのチップをはじめとする高い能力が要求される用途に適する なお これらは薄型一次電池よりも高価 ( 電池 1 個につき $2~ $10) であり コスト低減が課題 その他の新たな電池技術 : 上記 3 種類に加えて いくつかの新しい技術が注目されている ジーパワー社 (ZPower) が家庭用電化製品向けに開発した高エネルギー密度の銀亜鉛電池や パワージェニックス社 (PowerGenix Corp.) が携帯用アプリケーション向けに開発した 再充電可能なニッケル亜鉛電池 そして再充電可能なリチウム空気電池および亜鉛空気電池が挙げられる その他 注目に値する電池技術としては ファイヤフライ エナジー社 (Firefly Energy Inc.) のカーボングラファイト微小発泡材ベースの先端鉛酸電池や 超コンデンサと従来の鉛酸電池双方の利点を組み合わせた アクシオンパワー社 (Axion Power Mfg Inc.) のウルトラバッテリーなどが挙げられる 2. 超コンデンサ コンデンサは その構造に応じて 古典的コンデンサ 電解コンデンサと超コンデンサの 3 つに 分類できる 古典的コンデンサと電解コンデンサは 通常金属製の薄い導電性の板 2 枚の間に誘電体の層を挟んだものである ウルトラキャパシター あるいは電気化学二重層コンデンサ (EDLC) と呼ばれることもある超コンデンサは 通常の大容量電解コンデンサの何千倍という並はずれて高いエネルギー密度を持つコンデンサである 超コンデンサには 標準的な誘電体はないが その誘電体の厚さがナノメートルレベルと極めて薄い構造を持つ このため 2 層それぞれが高い伝導性を有する一方で 多孔質素材 ( カーボンエ アロゲル カーボンナノチューブ ナノポーラスカーボンなど ) を分離材として利用することにより 電子流を抑制しつつ荷電イオンを通過させることが可能となる さらに 電極の表面積が極め て大きいために 極めて薄い誘電体にもかかわらず 高容量化を可能にした ( 大規模な商業用超コンデンサは 最大 5,000 ファラッド規模 ) 超コンデンサは 高価格であり かつ開発の初期段 階にあるといわれているが その潜在的可能性は高い 超コンデンサーの性能の 7 割程度が電極に依存し 極めて細かい粒度の耐性を持つ 高品質の炭素粉末が得られることが肝要となる 現在 携帯やデジカメなどの家庭用電化製品市場に加え 風 力タービンや自動車用電気部品などへの応用に向けた開発が行われている

13 主な技術分類 小分類レベル 1 小分類レベル 2 小分類レベル 3 小分類レベル 4 アルカリ電池 一次 ( 再充電できない ) 電池 亜鉛空気電池 リチウム電池 薄膜電池 鉛ベース 電池 ニッケルベース エネルギーの貯蔵 リチウムベース 二次 ( 再充電可能 ) 電池 亜鉛ベース フロー電池 溶融塩電池 金属空気電池 超コンデンサ 適用市場と主な課題 電池や超コンデンサーは これら自体が最終製品になるのではなく部品として様々な製品の中に組み込まれて市場化される 以下では 主な 6 つの市場を取り上げて それぞれ新技術が適用され るために必要となるコストおよび性能面での課題を概括する 1. 電力市場 電力市場において広く使用されるためには まず 数百キロワットから数百メガワットに至るま での大規模な電力容量を有している必要がある これに加え 尐なくとも 15~20 年に及ぶ耐久性を持つ必要があり また 高い信頼性とメンテナンスコストを低く抑えることが必要となる 電力 市場向け用途としては 以下の 2 つがあげられる

14 1) 電力網に対するサポート機能 : 電圧の変動を滑らかにするための周波数調整やピーク調整に用いられるものであり 現在は 既存の鉛酸電池が使用されている 2) 電力の一時貯蔵 : 供給電力の貯蔵 特に 需要と供給のタイミングが一致しない再生可能エネルギーによる生産の適正化には不可欠であり フロー電池や溶融塩電池が使用されている 2. 定置式電源 定置式電源市場は 独立した場所での比較的電力需要が小さいエネルギー需要に対応するもので ある この市場では 既存のディーゼルおよび天然ガス発電機に代替するものであり 低公害かつ高効率のエネルギー貯蔵技術を有している必要がある 有力候補として挙げられるものは ニッカ ド (NiCd) 電池や鉛酸電池などであり その主な用途は主に以下の 3 つが挙げられる 1) 非常用電源 : 非常用電源は 電気通信やデータセンターなどの重要な機能を確保するために 設置されるものであり 信頼性の高い電力が必要となる 現在一般的に利用されている無停電電源装置 (UPS) の高性能化や ディーゼル発電機の代替としての市場化が期待される 2) 分散型発電源 : 遠隔地に設置した太陽電池のような分散型エネルギー源に対し 安定的かつ 継続的に電力を供給するために使用される 3) 熱電併給 (CHP): 廃熱を家庭や小規模な商業施設向けに利用する CHP において オンサイトで電源を供給する際に利用される 3. 携帯用電源 携帯用電源市場は 一般的には 中程度の電力 (50W~5kW) の範囲内の需要に対応し かつ 携帯性を確保するために軽量である必要がある 携帯用電力市場の用途は多様であり 電動自転車 や伝道工具 車両用補助電源装置 ( 空調 照明などの用途 ) 向けには低コストが要求されるが 軍隊向けには 信頼性と持続性 ( 通常 72 時間程度 ) がコストよりも優先される 現在 鉛酸電池が 主流となっているが リチウムイオン電池や NiMH 電池などの市場参入が期待される 4. 小規模電力源 ( マイクロ電力源 ) マイクロ電力源市場には 一般に 1mW から 1W 程度の電力需要に対応し 極めて小さく かつ 柔軟な形状に対応することが必要となる また この分野で求められる属性は用途に応じて様々であり 例えば 埋め込み型の医療機器では製品寿命が長いことが重要になる一方で スマートカー ドでは柔らかさが求められる 現在 亜鉛空気電池やリチウム電池が広く利用されているが 超コンデンサ等も 用途によっては市場拡大が見込まれる 典型的なマイクロ電力の用途としては 埋め込み型の医療機器 リモー トセンサ スマートカード アクティブ型無線 IC タグ (RFID) 集積回路マイクロチップなどが挙げられる 5. 家庭用電化製品

15 家庭用電化製品市場は 携帯電話 デジカメ ノート PC メディアプレイヤーなど広範囲にわたり その多くは携帯用製品でもある この市場においては 1W~100W の電力需要に対応する ことが求められ かつ コスト 重量 サイズ 形状 製品寿命 ( 一般に 2 年以上 ) なども重要視される さらに 熱安定性など安全面での性能向上も不可欠な分野である 現在 リチウムイオン電池 (LiCoO 2 を含むタイプ ) NiMH 電池 NiCd 電池などが流通しているが 今後 銀亜鉛電池や金属空気電池などの参入が期待される分野である 6. 輸送 自動車その他のエンジン駆動型の車両に電源を供給する輸送用途向け電池は 急成長を続けるハ イブリッド車 (HEV) 近々の市場化が期待されるプラグインハイブリッド電気自動車 (PHEV) や電気自動車 (EV) など 市場拡大に向けた期待が最も大きい分野である この市場では 一般 に 50kW~300kW の電力需要に対応することが求められ かつ 安全性とコストが最も重視される このほか 重量や容量 急速再充電機能なども求められ 各種の電池 超コンデンサ技術の中でも 最も激しい競争分野となっている 現在 リチウムイオン電池 NiMH 鉛酸電池 ( 普及型 / 先進型 ) を中心に開発 市場化が進められている 資金調達 /M&A の動向と主要企業等 ベンチャーキャピタルによる投資額の推移を見ると 全体として低調であった 2009 年にお いても 例外的に取引規模の拡大が見られた 引き続き 新たな要素技術や応用技術の開発が活発化していることを示していると言える M&A や IPO の動向については 大きな潮流の変化は無いが 昨年の A123 システムズ社の NASDAC 上場 17 億ドルに及ぶ TDK 社による EPCOS の大規模 M&A など 目立った案件も存在した エネルギー貯蔵分野は 過去 10 年間急速に成長し 当該技術の適用分野も拡大を続けてお り 日系企業に加え 韓国 中国 米国など北米市場に影響を与えると見られる市場参入者も多様化している

16 エネルギー貯蔵分野のベンチャーキャピタル 2007~2009 年 市場規模 ( 単位 : 百万米ドル ) $800 $700 $600 $500 $400 $300 $200 $100 $ 合計取引額 合計取引額 ( 単位 : 百万米ドル ) 平均取引額 合計取引額 ( 単位 : 百万米ドル ) 平均取引額 合計取引額 ( 単位 : 百万米ドル ) 平均取引額 一次電池 二次電池 超コンデンサ 合計 Source: Lux Research analysis

17 エネルギー貯蔵分野における主な M&A の取引 2007~2009 年 会社名 買収会社名 年 取引価格 [ 単位 : 百万米ドル ] 国 EPCOS TDK 社 (TDK Corporation) 2008 年 $1,700 ドイツ エナ テック インターナショナル社 (Enertech International, Inc.) ハイモーション社 (Hymotion) エナー 1 社 (Ener1) 2008 年 $52 韓国 A123 システムズ社 2007 年 $36 カナダ エナーデル社 (EnerDel) エナー 1 社 2008 年 $27 米国 ジーエス ユアサ バッテリー社 (GS Yuasa Battery) 豊田通商 (Toyota Tsusho) 2007 年 $12 日本 エネルギー貯蔵分野における主な IPO 案件 2007~2009 年 会社名 証券コード 年 IPO の価格 [ 単位 : 百 万米ドル ] 国 A123 システムズ社 NASDAQ: AONE 2009 $380 米国 ポリポア インターナショナル社 (Polypore International) NYSE: PPO 2007 $285 米国 主要企業等 企業の種類の欄の公営は上場企業を示し 民間は非上場企業を示す 以下 他章でも同じ 会社名技術国種類コメント A123 システムズ社 リチウムイオン電池 米国 公営 電動工具 HEV および電力網サポートシステ ム向けに ナノ構造のリチウムイオンリン酸電 池を開発 アドバンスト バッテリー テクノロジーズ社 (Advanced Battery Technologies) リチウムイオン電池 米国 公営 アルテア ナノテクノロジーズ社や ZAP 社との 共同事業を通じて トラックや HEV 向けの電池 を製造

18 アルテア ナノテクノロジーズ社 (Altair Nanotechnologies) リチウムイオン電池 米国 公営 ナノ構造のチタン酸リチウム電極を AES 社や フェニックス モーターカー社 (Phoenix Motorcars) と共に開発 AVX 社 (AVX Corporation) アクシオンパワー社 超コンデンサ 古典的コンデンサ 電解コンデンサ 先進鉛酸電池 超コンデンサ 米国公営北米最大のコンデンサメーカーの 1 社 米国 公営 非対称電極構造を生み出す 強力かつ高エネル ギー密度のハイブリッドシステム ボストンパワー社 (Boston Power) キャップ XX 社 (Cap-XX) コンパクトパワー社 (Compact Power) シムベット社 (Cymbet) エレクトロヴァヤ社 (Electrovaya) リチウムイオン電池 米国 民間 ノート PC や家庭用電化製品向けに急速充電と実 行時間の長い電池を製造 超コンデンサ オーストラリア 公営 電話市場向けに ナノポーラスカーボン電極を 持つ超コンデンサを開発 リチウムイオン電池 韓国 公営 LG ケム社の北米におけるハイブリッド車向け電 池製造部門 ゼネラルモーターズ社の ボルト 向けにハイブリッド車用電池システムを開発 リチウムイオン電池 米国 民間 センサー 集積回路 および医療機器向けの薄 膜電池 リチウムイオン電池 カナダ 公営 高エネルギー密度のリチウムマンガン酸化物や その他のマンガン酸化電極を開発 エナシス社 (EnerSys) リチウムイオン電池 米国 公営 工業用電池の製造 流通 および販売における世界的な大企業 同社がデルファイ社 (Delphi) とエナーデル社と共に立ち上げた合弁会社は チタン酸リチウム電池の材料を開発 エンフューセル社 (Enfucell) イーワン モリエナジー社 (E-One Moli Energy) エクサイド テクノロジーズ社 (Exide Technologies) ファイヤフライ エナジー社 インフィニト パワー ソリューションズ社 (Infinite Power Solutions) コーカム アメリカ社 (Kokam America) マクスウェル テクノロジーズ社 (Maxwell Technologies) 薄型電池 フィンランド 民間 使い捨てタイプの機器類に簡単に組み込むこと のできる 拡張可能な 折り曲げ自在の電池 リチウムイオン電池 台湾 民間 強力なリチウムイオン電池の北米におけるトッ プメーカー 普及型鉛酸 米国 公営 自動車用の鉛酸電池の世界最大にして最も名声 あるメーカー 先進鉛酸 米国 民間 鉛酸電池において 酸化鉛でコーティングした カーボングラファイト微小発泡材のプレートを 利用して 材料を 90% まで積極活用 リチウムイオン電池 米国 民間 極めて高いエネルギー密度を実現する金属箔の 基板を利用した 再充電可能な薄膜電池を開発 リチウムイオン電池 ( リチウムポリマー ) 米国 民間 エネルギー密度の高いリチウムポリマー電池を 開発 超コンデンサ 米国 公営 ジョンソン コントロールズ サフト社 (Johnson Controls-Saft) との共同事業にて HEV 向けのコンデンサの開発に取り組む

19 NEC トーキン アメリカ社 (NEC Tokin America) 電解コンデンサ 古典コンデンサ 超コンデンサ 日本 公営 通常 複数の電解コンデンサとセラミックコンデンサを組み合わせて初めて実現する減結合機能を 単一の機器で実行する プロードライザ を開発 プレイステーション 3 の機器に採用 日本ガイシ (NGK Insulators) 日清紡績 (Nisshinbo Industries) 大型溶融塩電池 日本 公営 世界で唯一の 風力エネルギー貯蔵用のナトリ ウム硫黄電池メーカー 超コンデンサ 日本 公営 同社の製品 N s Cap( エヌズキャップ ) は 液 体電解質を利用した 市場で初めての超コンデ ンサである パナソニック (Panasonic) ポリポア インターナショナル社 NiMH 電池 リチウムイオン電池 アルカリ電池 超コンデンサ リチウムイオン電池 鉛酸電池 日本 公営 HEV 向けの 低容量で冷却作用の大きい 再充 電可能な NiMH 電池 米国 公営 強靭で 化学安定性が高く エネルギー性能の 高い膜電池用分離体 パワー ペーパー社 (Power Paper) 薄型電池 イスラエル 民間 使い捨てタイプの薬用化粧品や医薬品で使用す るための 印刷型電池 プルーデント エナジー社 (Prudent Energy) サフト社 (Saft) 三洋電機 (Sanyo Electric) シオン パワー社 (Sion Power) バナジウムフロー電池 NiCd 電池 NiMH 電池 リチウムイオン電池 NiMH 電池 リチウムイオン電池 リチウムイオン電池 ( リチウム硫黄 ) 中国 民間 低コストの亜鉛臭素を利用した エネルギー貯 蔵およびピークシェービングシステム フランス 公営 工業用の NiCd 電池の世界とぷメーカー ジョンソン コントロールズ社との合弁事業によって メルセデス ベンツ社 (Mercedes-Benz) の HEV 者向けに電池を供給 日本 公営 用途が広範囲に渡る NiMH 電池とリチウムイオ ン電池の 世界最大にして最も名声あるメーカー 米国 民間 リチウムイオン (Li-S) の 高密度の 再充電可能な電池の唯一の商業企業 リチウムイオン電池の倍のエネルギー密度を提供 現在 UAV 分野の用途をターゲットに据えている ソリコア社 (Solicore) リチウムイオン電池 ( リチウムポリマー ) 米国 民間 スマートカード RFID および医療機器四うの 薄型一次電池のトップメーカー ソニー (Sony) ウルトラライフ社 (Ultralife) リチウムイオン電池 NiMH 電池 リチウムイオン電池 鉛酸電池 日本 公営 世界で初めて再充電可能なリチウムイオン電池を販売した会社 同社のデジカメ MP3 プレーヤー ノート PC およびその他の家庭用電化製品向けに電池を開発 米国 公営 定置式電源市場に注力 最近の買収事業によ り 特に通信サービス事業において潜在的成長 力が高まっている見込み バレンス テクノロジー社 ZBB エナジー社 (ZBB Energy) リチウムイオン 米国 公営 ノート PC と HEV 両方において 長い寿命を実 現するリン酸リチウム電池の化学物質の初期の 開発業者の一社 大型フロー電池 米国 公営 PG&E 社 CSIRO 社 および華夏発展社 (China Century Group) との提携により 亜鉛 臭素電池を開発および製造

20 ジーパワー社 銀亜鉛電池 米国 民間 NBPC 向けに パートナー企業であるタイコ エレクトロニクス社 (Tyco Electronics) ととも に銀亜鉛電池を製造 市場規模と今後の動向 米国政府によるハイブリッドや電気自動車などの次世代輸送手段や スマートグリッドなどのインフラ整備に向けた支援により これら市場を対象とする貯蔵技術が下支えされるとと もに 電力事業者による再生可能エネルギーの導入拡大に伴い ピーク調整や電力網の安定化に向けた需要が継続して増加するものと考えられる 特に 2010 年中にハイブリッド車向け市場にリチウムイオン電池が本格参入し プラグインハイブリッドや電気自動車などへの利用にも弾みをつける こうした生産能力の拡大に伴 い 2014 年頃に リチウムイオン電池のコストが $600/kWh 程度と現在の 1/3 を下回る水準に達するとの予測もある 超コンデンサについては 携帯用電子機器の機能増加や自動車向け電気部品市場が継続して 拡大 2012 年をめどに 家庭用電化製品での利用拡大が見込めるコスト ($1/F 未満 ) にまで低下するとの見通しも存在 北米市場は 全体で 2010 年の約 110 億ドル規模から 2015 年に 180 億ドル規模に拡大 この うち 二次電池は 85 億ドルから 153 億ドルと 2 倍弱に 超コンデンサは規模が小さいものの 1 億ドルが 4 億ドルと 4 倍程度の規模にまで拡大 同時に世界市場は 全体が 2010 年の約 375 億ドルから 580 億ドル規模に拡大し このうち 二次電池は約 300 億ドルから 480 億ドル規模に 超コンデンサは 3 億ドルから 11 億ド ル規模にまで拡大

21 世界のエネルギー貯蔵市場の規模とその予測 70,000 60,000 58,011 50,000 市場規模 40,000 ( 単位 : 百万米ドル ) 30,000 20,000 30,119 37,514 47,849 10, ,059 9, , 一次電池二次電池超コンデンサ合計 米国のエネルギー貯蔵市場の規模とその予測 Source: Lux Research analysis 20,000 18,000 16,000 14,000 市場規模 12,000 ( 単位 : 10,000 百万米ドル ) 8,000 6,000 4,000 2, ,312 10,612 8,485 2,023 2, ,953 一次電池二次電池超コンデンサ合計 Source: Lux Research analysis

22 Ⅰ 2 エネルギー貯蔵 ( 燃料電池 ) 要約 < 分野概要 > 燃料電池 (Fuel Cell) は 基本的には水素と酸素の化学反応から生じる電子を直流電流として取り出すもの 化学反応の原料となる酸素は大気中の大気成分の酸素ガスを用いるが 水素の確保が問題 現在 何らかの方法で分離した水素ガスを燃料にする方法や 化石燃料などから得られる水素を燃料とする方法があり この場合には 二酸化炭素も排出する < 市場の動向 > 本分野は 日系企業が先導する自動車や家庭用熱電源 家電などのほか 北米系企業が幅広い産 業分野で開発を争っている状況 ただし バラード社やヒュエルセル エナジー社など北米の中心的企業も採算に乗る事業化は果たせていない 水素供給や貯蔵などのインフラ整備 白金触媒 に代表されるコスト高など様々な課題が存在し 市場全体として以前のような過熱ぶりは無い M&A 及び新規株式上場ともに 2007 年以降は大きな動きは認められないが ベンチャーキャピタル市場については 二次電池市場と同様に取引額が大きく増加し 活性化の兆候も示す 燃料電池は 二次電池等に比べてエネルギー密度が高いことから 軍事用途などの携帯電力や熱電併給システム 産業用機械などの比較的ニッチな市場に集中していく可能性がある こうした ニッチ市場や一部の家電製品用充電器 燃料電池自動車の市場化などを中心に徐々に市場が拡大すると考えられるが 相対的に小規模の市場に止まる見込み 但し 2010 年の 2 億ドル規模から 2015 年で 6 億ドル規模 ( 世界市場では 8 億ドル規模から 24 億ドル規模 ) 程度までは拡大する可能性がある

23 技術の分類と主な開発課題 燃料電池 (Fuel Cell) は 化学反応によって電気を発生させる電池の一種であり 通常の一次電 池や二次電池と異なり 燃料 (Fuel) となる物質を供給し続ければ 電気を発生させ続けることができる 現在開発されているものには多くの種類があるが 基本的には水素と酸素の化学反応から 生じる電子を直流電流として取り出すものである 酸素は大気中の大気成分の酸素ガスを用いるが 原料としての水素の確保が問題となる 現在 何らかの方法で分離した水素ガスを燃料にする方法 や 化石燃料などから得られる水素を燃料とする方法がある なお 燃料電池は その燃料が水素だけであれば 電気以外に放出されるのは水と熱だけであるが 天然ガスなどの化石燃料の場合に は 二酸化炭素も排出する 主な燃料電池の種類には ポリマー電解質膜 (PEM) 固体酸化物形 (SOFC) 直接メタノール型 (DMFC) アルカリ型 (AFC) リン酸型 (PAFC) 金属空気燃料電池 (MAFC) 溶融 炭酸塩型 (MCFC) などがある プロトン交換膜 (PEM) 燃料電池 ( 固体高分子型燃料電池 ): イオン交換膜を挟んで 正極に酸化剤を 負極に還元剤 ( 燃料 ) を供給することにより発電する固体高分子型燃料電 の中で イオン交換膜としてナフィオンなどのプロトン交換膜を用いられる場合に プロトン交換膜 (PEM, Proton Exchange Membrane) 燃料電池と呼ばれる 30~40% 程度の比較 的低い発電効率であり 運転温度は の低い温度域となる 実用化が最も進んでいるが 触媒として使用される白金やパラジウム等の使用量を減らすことと 電解質とし て使用されるフッ素系イオン交換樹脂の耐久性の向上とコストが今後普及の課題となっている 室温動作と小型軽量化が可能であるため 携帯機器 燃料電池自動車などへの応用 が期待されている アルカリ型燃料電池 (AFC): アルカリ電解質形燃料電池 (AFC, Alkaline Fuel Cell) は 水酸化物イオンをイオン伝導体とし アルカリ電解液を電極間のセパレータに含侵させてセルを構成する アルカリ雰囲気での使用であることから ニッケル系の安価な電極触媒 を利用することができること 常温にて液体電解質を用いることからセル構成も単純にできるため 信頼性が高く 宇宙用途などに実用化されている燃料電池である 一方 純度 の高い水素や酸素を用いる必要があるほか 厳しい温度条件が求められることなどが欠点である 現在 研究開発の対象には殆どなっていないが 教材からアポロ計画やスペース シャトルまで広く実用化されている 固体酸化物形燃料電池 (SOFC): 固体酸化物形燃料電池 (SOFC, Solid Oxide Fuel Cell) は 電極材として伝導性セラミックスを用い 動作温度で 800 以上を必要とするので高耐熱性の材料が必要となる 希尐金属触媒が不要であるほか 改質器が不要で天然ガスや石炭 ガスなども燃料として用いることができるという特徴がある 活性化電圧降下が尐ないので発電効率が高く 現時点で 60% 程度の効率を達成している例もあり 長い起動 停止 時間を要するため 火力発電所の代替などの用途が期待されている

24 直接メタノール型燃料電池 (DMFC):DMFC は 液体燃料としてメタノールを用いるものであり 改質器を通さずに直接セル層に供給する直接形燃料電池 (DFC, Direct Fuel Cell) の一つである 燃料のエタノールは炭化水素であるため 反応 ( 発電 ) によって二酸化炭素が生成して排出される 燃料極として用いる白金に反応中間体である一酸化炭素 が強吸着することなどにより 電力 発電効率とも低く かつコスト高の要因ともなるが 小型軽量化が可能であり 数十 mw-10w 程度の小規模小電力発電に適していると言われ る リン酸型燃料電池 (PAFC): リン酸形燃料電池 (PAFC, Phosphoric Acid Fuel Cell) は 電 解質としてリン酸 (H 3 PO 4 ) 水溶液をセパレーターに含浸させたものを用いる 動作温度は 200 程度で 発電効率は約 40% 程度と余り高くない 固体高分子形燃料電池と同様に 白金を触媒としているため 燃料中に一酸化炭素が存在すると触媒の白金が劣化する 工場 ビルなどの需要設備に設置するオンサイト型コジェネレーションシステムとして 100/200kW 級の市場投入がなされ 運転寿命など相応の実績を残している 溶融炭酸塩型燃料電池 (MCFC): 溶融炭酸塩形燃料電池 (MCFC, Molten Carbonate Fuel Cell) は 水素イオンの代わりに炭酸イオンを用い 溶融した炭酸塩 ( 炭酸リチウム 炭酸カリウムなど ) を電解質としてセパレーターに含浸させて用いるため 水素に限らず天 然ガスや石炭ガスを燃料とすることが可能となる 動作温度は 程度 発電効率は約 45% 程度となっており PAFC に競合する 250kW 級のものが市場化されつつある 白金触媒を用いないため PAFC と異なり一酸化炭素による劣化がなく 排熱の利用にも有利であり 火力発電所の代替用途などへの期待もある 資金調達 /M&A の動向と北米市場における主要企業等 M&A 及び新規株式上場ともに 2007 年以降は大きな動きは認められないが ベンチャーキ ャピタル市場については 二次電池市場と同様に取引額が大きく増加し 活性化の兆候も示す 本分野は 日系企業が先導する自動車や家庭用熱電源 家電などのほか バラード社などの北米系企業が幅広い産業分野で開発を争っている状況

25 資金調達 /M&A 燃料電池ベンチャーキャピタル 2007~2009 年 $300 $250 $200 取引総額 ( 単位 : 百万ドル ) $150 $100 $ $ 取引総額 2007 年 2008 年 2009 年 合計取引額 平均取引額 合計取引額 平均取引額 合計取引額 平均取引額 Source: Lux Research analysis 燃料電池に関連する重要な合併および買収取引 2007~2009 年 会社名買収会社名年取引額 [ 百万米ドル ] 国 セレックス パワー プロダクツ (Cellex Power Products) プラグ パワー (Plug Power) 2007 $45 カナダ メソスコピック デバイシズ (Mesoscopic Devices) プロトネクス テクノロジー (Protonex Technology) 2007 $13 米国 ゼネラル ハイドロジェン (General Hydrogen) プラグ パワー 2007 $12 カナダ

26 燃料電池に関する IPO 2007~2009 年 会社名証券コード年 IPO 額 [ 百万米ドル ] 国 SFC スマート フュエルセル (SFC Smart Fuel Cell) XETRA: F3C 2007 $108 ドイツ アイダテック (IdaTech) LSE: IDA 2007 $26 英国 AFC エナジー (AFC Energy) LSE: AFC 2007 $6 英国 主要企業等 会社名技術国名種類解説 アキュメントリクス (Acumentrics) バラードパワーシステムズ (Ballard Power Systems) SOFC 米国 民間 予備電力および熱電力併給の利用を対象として チューブ型 SOFC を開発中 PEM カナダ 公営 1979 年以来 長期間に渡り PEM 燃料電池の開発を継続 なお 燃 料電池システム技術から部品であるスタックに重点を移行 セラミック フュエルセルズ (Ceramic Fuel Cells) SOFC オーストラリア 公営 アノードサポート SOFC を製造する 電化製品メーカーと電力事業会社との三者による提携を行う 昨年 ドイツの大手電力ガス会社エーオン (E.On) と 10 万軒分の住宅用 CHP の計画を発表 フュエルセル エナジー (FuelCell Energy) MCFC 米国 公営 電力規模が 350kW から 50MW に及ぶ固定 MCFC 発電所の主要サプ ライヤーおよび開発者 FCE の発電所は 2 億 6,000 万 kwh 超の 発電電力量を誇る ホンダ PEM 日本 公営 水素駆動の燃料電池自動車を開発中 水素燃料インフラの開発 標 準化グループ ( トヨタ ヒュンダイ (Hyundai) ダイムラー (Daimler) フォード(Ford) GM) の一社 ハイドロジェニクス (Hydrogenics) PEM AFC カナダ 公営 通信 データセンター用の予備電力 都市輸送バス その他の法人 車向けの燃料電池発電システムを提供 水素貯蔵に頼る再生可能エ ネルギーシステムに取り組んでいる アイダテック PEM 米国 公営 有線および無線通信用の予備電力利用のための水素または改質メタ ノール燃料システムを主に開発 ヌヴェラ (Nuvera) PEM 米国 民間 イーストペン マニュファクチャリング (East Penn Manufacturing) と組んで フォークリフト用燃料電池 / バッテリー ハイブリッドシステムを製造 パナソニック DMFC 日本 公営 ノート PC およびその他の家庭用電化製品向けの DMFC システムを 開発中 2009 年 12 月には DMFC プロトタイプを導入 100W 携帯 発電機を商業化も目指す プラグ パワー PEM 米国公営 FC 企業としての歴史は長い 当初 GE の支援を受けていた プロトネクス テ PEM SOFC 米国公営軍事 / 防衛利用向けの PEM および SOFC 発電システムを開発中

27 クノロジー SFC スマート フュエルセル AG パーカー ハネフィン (Parker Hannifin) レイセオン (Raytheon) ノースロップ グラマン (Northrup Grumman) と提携 DMFC ドイツ 公営 RV 携帯型電力 防衛利用の DMFC システムを開発中 米国国防総省による資金提供を受けるプロジェクトにも参加中 また LG と NBPC システムを共同開発 デュポン (Dupon) ジョンソン マッセイ (Johnson Matthey) キャボット(Cabot) と膜および触媒に関して協力関係 サムスン DMFC 韓国 公営 ノート PC 向け DMFC プロトタイプを開発 ダイレクトメタノー ル フュエルセル (Direct Methanol Fuel Cell Corporation) および バイアスペース (Viaspace) と協力する 東芝 DMFC 日本 公営 家庭用電化製品向け DMFC に長期間取り組んでいる 最近 $328 のディナリオ USB 充電システムを導入 3,000 台の販売実績 詰め 替え用メタノールカートリッジの価格は 5 本で約 $30 トヨタ PEM SOFC 日本 公営 プロトタイプ燃料電池自動車を最初に開発した大手自動車企業 ホ ンダおよびその他の自動車メーカーと共に水素燃料インフラの開発 を促進 また 大阪ガス等と CHP 向け SOFC に取り組む ウルトラセル (Ultracell) UTC パワー (UTC Power) RMFC 米国 民間 軍事電力システム用 DMFC システムに関してプロトネクス テク ノロジーと提携 2009 年 12 月 米空軍との契約締結 PEM SOFC 米国 公営 固定リン酸型燃料電池 (PAFC) 市場における主要企業 ユナイテッド テクノロジーズ (United Technologies) の 1 部門 現在 世界で kW 超の発電所が稼働中 米国 DOE による $840 万の資金提供を受けた 市場規模と今後の動向 バラード社やヒュエルセル エナジー社など北米の中心的企業も採算に乗る事業化は果たせ ていない 水素供給や貯蔵などのインフラ整備 白金触媒に代表されるコスト高など様々な課題が存在し 市場全体として以前のような過熱ぶりは無い 他方 二次電池等に比べてエネルギー密度が高いことから 軍事用途などの携帯電力や熱電 併給システム 産業用機械などの比較的ニッチな市場に集中していく可能性がある 上述のニッチ市場での採用や 一部の家電製品用充電器 燃料電池自動車の市場化などを踏まえると 依然として規模は小さい水準に止まるものの 米国における市場は 2010 年の 2 億ドル規模から 2015 年で 6 億ドル規模 ( 世界市場では 8 億ドル規模から 24 億ドル規模 ) と 3 倍程度まで拡大する可能性がある

28 燃料電池市場の規模とその予測 2,500 2,380 2,000 市場規模 ( 単位 : 百万ドル ) 1,500 1, 米国 全体 Source: Lux Research analysis

29 Ⅱ-1 再生可能エネルギー : 太陽エネルギー発電システム 要約 < 分野概要 > 太陽エネルギー発電システムは 太陽光もしくは太陽熱を電気へと変換するもの 太陽光発電 ( 光起電性 (PV)) は 結晶シリコン系が変換効率が比較的高く ( 単結晶で 20% 程度 多結晶 で 10 数 % 程度 ) 市場全体の 7 割程度を占めると言われる また 発電効率が落ちるものの 数ミクロン程度の厚さにできるなど多様な形態に対応できる無機薄膜系の市場拡大の期待も大き い これら以外にも 有機薄膜系やグラッツェル電池などの市場化に向けた開発も盛んであるが 本格的な市場化には遠い状況 太陽熱発電システムは 太陽熱を収集し蒸気タービンを動かして発電するものであり 1980 年 代半ばから電力事業に導入されてきており 今後 特に主に 100MW 級以上の大型発電事業への期待も高まる < 市場の動向 > ベンチャーキャピタルによる投資額は 2008 年に約 25 億ドルにまで拡大したが 2009 年には 1/3 以下の規模まで激減 市場や投資環境の急激な変化により 2009 年には ソレル ソーラー システムス 社 ( イスラエル ) のシーメンス インターナショナル ホールテ ィンク ス社による買収をはじめ比較的規模の大きい M&A が 相次ぐなど 生き残りをかけた業界再編の局面も現れた 太陽光発電分野は激しい競争が続いており 2009 年の太陽光発電セル製造シェアは 米国のファースト ソーラー (1GW) 中国のサンテック パワー (700MW) 日本のシャープ (600MW) 独国の Q セル (540MW) イングリ グリーンエナジー (525MW) の順 太陽光発電設備の世界市場は 2000 年から 2008 年までに年率で 50% 増加する一方 スペインやドイツでの支援策の縮小 世界的な景気悪化などの影響を受けて 2008 年から 2009 年は供給超 過になり 特に ポリシリコン価格の低下により 結晶シリコン系太陽電池の価格下落が大きい このように 供給能力が需要を上回る状態は暫く継続すると予想されるが システム価格の低下 による需要喚起などもあり 今後とも市場拡大が継続すると見られる 分野別では システム価格の低下などにより 引き続き結晶シリコン太陽電池が主流である一方 潜在性の高い薄膜太陽 電池市場についても ファースト ソーラー社に対して シャープ社 カネカ社などの日系メーカーや ボッシュ ソーラー社などの大手薄膜シリコン関連企業がコスト低減を進めることによ り 市場拡大が進むと見られる また 米国と中国の対電力向け市場では ファースト ソーラ

30 ー社と価格競争力をつける結晶シリコン モジュール メーカーとの競争がより激しくなる可能性が高い 上記のような熾烈な市場競争等によるコスト低下や支援制度の継続が前提となるが 北米における太陽光発電システム市場は 2010 年の 25 億ドル規模から 今後 5 年間で 6 倍程度の 150 億ド ル規模にまで拡大する可能性がある

31 技術の分類と主な開発課題 太陽エネルギー発電システムは 太陽光もしくは太陽熱を電気へと変換するものであり 太陽光 発電 ( 光起電性 (PV)) システムは 光が PV セル ( 太陽電池 ) に働きかけて 素材内部の電子が解放されることにより 電流が造り出される 太陽熱システムは 太陽の熱を利用してタービン に動力を与えることにより発電する 太陽エネルギーを利用した発電システムは 将来有望なものを含め 以下の 5 つの主要な技術分野に分類することができる 1. 結晶シリコン太陽電池 : 半導体素材である結晶シリコンは 太陽エネルギーを利用する太陽 電池の素材としても 最も一般的に利用されている 比較的高い変換効率 ( 十数 % から 20% 程度 ) が得られており 太陽光発電市場の 71% 以上を占めるが 一方で 原材料供給の変動にさ らされやすいという課題も有する 結晶シリコン太陽電池は 単結晶シリコンウェハーと多結晶シリコンウェハーの 2 つの技術がセルレベルで競合関係にある なお これら結晶シリコンの原 材料となるポリシリコンの製造においては シーメンス社による製造方法が 比較的純度が低いもののコスト低減が可能と言われている 単結晶シリコン (c-si): 単結晶シリコン太陽電池は 高純度のシリコン単結晶からウェハーを薄く切り取ることで作り出される 単結晶シリコンは 結晶と結晶の間の 粒界 が ないために電子の動きが効率的になることから 14%~20% と多結晶シリコンよりも高い変換効率を実現する 他方 その製造工程の複雑さなどから多結晶シリコン太陽電池より も生産コストが W 当たり数セント程度割高となり 現時点の c-si パネルの平均的価格は $2.10/W 程度である 多結晶シリコン (mc-si): 多結晶シリコン太陽電池は シリコン多結晶体から薄く切り取 ったウェハーでできており 単結晶シリコンに比べ製造コストが安くなるが 平均的な変換効率が 12%~17% 程度と単結晶シリコンに劣る 現時点の mc-si 技術を基本とするパネ ルの平均的価格は $1.84/W 程度である 2. 無機薄膜太陽電池 : 無機薄膜太陽電池には アモルファスシリコン ( 非晶質半導体 ) に加え テルル化カドミウム (CdTe) CIS( 二硫化銅インジウム ) や CIGS( 銅インジウムガリウム二セレン化物 ) などの素材が使用されている これらは 100nm から数ミクロン程度の厚さで屋根 材や壁材などに組み込むことができるため 環境調和型建築物などの市場拡大が期待できる アモルファスシリコン (a-si): 結晶構造を持たないアモルファスシリコン薄膜は 柔軟性が高いことが特徴である 一般には 単層のもので約 6% 程度の効率であるが シャー プ エレクトロニクス社 (Sharp Electronics) は a-si 薄膜の三層構造を持つ製品を開発しており これにより 10% 以上の変換効率が達成されている 非晶質薄膜シリコンを基本と するパネルは 一般的に $1.31/W 程度と言われている

32 テルル化カドミウム (CdTe): テルル化カドミウム製の薄膜太陽電池は a-si よりも高い効率が実現でき かつ 高温度域でもその効率を維持できることを特徴とする CdTe の研 究室レベルでの変換効率は最高で 16.5% であるが 市販されているものでは 7%~10.4% の範囲となっている このパネルの平均的なコストは約 $0.86/W 程度と他に比べて低いもの となっているが カドミウムや希元素のテルルを使用しているため 廃棄物処理上の問題や健康面 安全面での懸念があり 市場拡大を阻む要因となっている 銅インジウムガリウム二セレン化物および二硫化銅インジウム (CIGS/CIS): これら素材を用いた薄膜太陽電池パネルは 変換効率が 19.9% と研究室レベルで最も高い効率を達成 しており 結晶シリコン系に近い効率を達成する可能性を秘めている CIGS/CIS パネルの商業用のモジュールを一定量以上生産しているメーカーがほとんどないため CIGS/CIS パ ネルの平均価格の把握は困難であるが 当該複合材料の製造は困難な作業を伴うため パネルあたりの平均コストは高くなる傾向がある 3. 多接合型太陽電池による高集中太陽光発電システム (HCPV): 多接合型太陽電池は 利用波 長の異なる太陽電池を複数積み重ねたもので 市販化されている製品でもその効率は 35%~ 37% に達する 技術的には 4 層以上のものを製造することは可能であるが コストの観点から現 実には 2 層又は 3 相の多接合太陽電の市場化が図られている このような多接合太陽電池を組み込んだシステムは高集光太陽発電 (HCPV) システムと呼ばれ 性能面で潜在性が高いが 現時 点ではコスト面と保守面の課題が大きい 多接合型太陽電池 : 現在 HCPV システムで利用されている多接合太陽電池は 3 層型のも のが一般的である その効率は 理論的には 45% 超も可能となるが 市場化されているほとんどの製品は 35%~37% 程度となっている これら太陽電池の素材としては インジ ウムガリウムリン化物 (InGaP) ガリウムヒ素 (GaAs) ゲルマニウム (Ge) が一般的である 量子ドット多重接合型太陽電池 : 量子効果を用いたもので第三世代太陽電池とも呼ばれる 大きさが数 nm~ 数 10nm 程度の極微細構造を規則的に並べたものなどが提案され 単接合の太陽電池であっても 異なる波長の光をそれぞれ効率よく電力に変換することが可能に なり 変換効率の理論限界は 60% 以上にまで増加すると言われている 一般的な半導体プロセスよりもさらに微細な加工プロセスの開発が必要であり 現在 米国を中心に開発が 進められている 例えば クアンタソル社 (QuantaSol) などは こうした技術を活用して 2 層多接合型太陽電池の変換効率を 3 層のものと同程度 (40% 程度 ) にまで高めることに より より信頼性の高い製品開発を進めている 4. 有機薄膜太陽電池と色素増感 ( グレッツェル型 ) 太陽電池 : 光吸収層に有機化合物を用いた 太陽電池で 製法が簡便で生産コストが低くでき 着色性や柔軟性などを持たせられるなどの特長を有する 変換効率や寿命に課題があり市場化にはまだ時間を要する段階であるが 実用化さ

33 れれば市場に大きなインパクトを与える可能性が高いため 活発な開発が行われている分野である 有機薄膜太陽電池は 有機ポリマーの薄膜や有機分子を利用して太陽光を電気へ変換するす るのに対し グレッツェル (Grätzel) 太陽電池は 一般の電池のように電解質を含む電池構造を採用している点で異なる 薄膜積層型 : 半導体 (p 型と n 型 ) を順に真空で蒸着 積層させるものであり その変換効率は 7% 近くにまで達する場合があるが 下記に示すバルクヘテロ型に比べて複雑な工 程となるなどの課題がある バルクヘテロ接合 (BHJ) 型 : 導電性のある高分子と可溶性の半導体 (n 型 ) を溶液中で混合することにより 1 つの膜の中 ( バルク ) で半導体の構造 (p 型と n 型 ) を形成する もので 変換効率は 5% 程度を実現している この製法の出現により 有機薄膜太陽電池の市場化の可能性が高まったと言われるが 高温下でその構造が破壊されるなどの課題が 存在する グラッツェル太陽電池 : シリコン半導体を使わずにヨウ素溶液を介した電気化学的なセル構造 ( 一般の電池のような構造 ) を持つのが特徴で 材料が安価であることと作製に大掛 かりな設備を必要としないことから低コストの太陽電池として期待が高まっている 本電池の構造は非常にシンプルで 透明な導電性ガラス板に二酸化チタン粉末を焼き付け色素 を吸着させた電極と 同じく導電性ガラス板の対極から構成され 現在 10% 以上の変換効率が実現可能となっている 複数の色素をうまく組み合わせれば更なる性能向上が見込ま れるなど性能向上が期待されるが 液漏れなどの安定性に課題がある 5. 太陽熱発電 : 太陽熱発電システムは 太陽の放射熱を収集し 蒸気タービンを動かして発電 するものであり 既に 1980 年代半ばから電力事業に導入されてきており 100MW 以上の大型電力事業への拡大が期待されている トラフ式太陽熱発電 : 曲面鏡を用いて 鏡の前に設置されたパイプに太陽光を集中させ パイプ内を流れる液体 ( オイルなど ) を加熱し その熱で発電する発電方式である パラボリック トラフ方式などとも呼ばれ 下記のタワー式太陽光発電と比較すると 高温の液体 が移動する距離が長くなるため熱損失が大きくなりがちであるが タワーの一点に光を集中させる必要が無く 鏡を単純に並べることが出来るため大規模な施設の建設が容易である 温度は 400 程度であるため 低い温度でも効率的に発電できるタービンの開発などが求められている タワー式太陽熱発電 : 平面鏡を用いて 中央部に設置されたタワーにある集熱器に太陽光を集中させることで集光し その熱で発電する発電方式である 数メートル四方の鏡 数百枚から数千枚を用いて集められた太陽光を一箇所に集中させることが出来るため 1000 程度まで加熱することも可能であるが より多くの光を集めるにはタワーを高くし たり 鏡の設置場所を高い位置にすることが必要となり それにともない設備費も高くなる

34 主な技術分類 小区分レベル 1 小区分レベル 2 小区分レベル 3 小区分レベル 4 小区分レベル 5 太陽エネルギー 太陽光 結晶シリコン太陽電池無機薄膜太陽電池高集中太陽光発電有機ポリマー太陽電池 単結晶シリコン 多結晶シリコン 単結晶 多結晶 薄膜シリコン 単結晶シリコン三重点太陽電池 量子ドット多重接合太陽電池 バルクヘテロ接合有機ポリマー太陽電池 多層小分子有機ポリマー太陽電池 ガリウムヒ素 (GaAs) 銅インジウムガリウム二セレン化物 (CIGS) テルル化カドミウム (CdTe) 二硫化銅インジウム (CIS) アモルファスシリコン (a- Si) ナノ結晶シリコン グラッツェル太陽電池有機色素 / ナノ結晶 TiO 2 太陽熱 トラフ式 タワー式 資金調達 /M&A の動向と主要企業等 2008 年までの太陽電池市場の急激な市場拡大を受け ベンチャーキャピタルによる投資額 も同年に約 25 億ドルとクリーンテクノロジー分野の投資額と半分程度を占めるに至ったが 世界需要の急激な冷え込みなどから 2009 年には 1/3 以下の規模まで激減した 市場や投資環境の急激な変化により 2009 年には ソレル ソーラー システムス 社 ( イスラエル ) のシーメンス イ ンターナショナル ホールテ ィンク ス社による買収をはじめ比較的規模の大きい M&A が相次ぐなど 生き残りをかけた業界再編の局面も現れた 太陽光発電分野は激しい競争が続いており 多くのセル製造業者が凌ぎを削っており 2009 年の太陽光発電セル製造シェアは 米国のファースト ソーラー (1GW) 中国のサンテック パワー (700MW) 日本のシャープ (600MW) 独国の Q セル (540MW) イング リ グリーンエナジー (525MW) の順となっている 注 ) 各社の生産量は GTM Research 社によるもの

35 太陽エネルギー関連のベンチャーキャピタル 2007~2009 年 $3, 市場規模 ( 単位 : 百万米ドル ) $2,500 $2,000 $1,500 1,334 2, $1,000 $500 $ 合計取引額 合計取引額 ( 単位 : 百万米ドル ) 平均取引額 合計取引額 ( 単位 : 百万米ドル ) 平均取引額 合計取引額 ( 単位 : 百万米ドル ) 平均取引額 結晶シリコン (x-si) 無機薄膜太陽電池 集中太陽光発電 有機太陽電池とグラッツェル太陽電池 太陽熱 合計 1, , Source: Lux Research analysis

36 太陽エネルギー関連の主な M&A の取引 2007~2009 年 会社名 買収会社名 年 取引高 [ 単位 : 百万米ドル ] 国 ソレル ソーラー システムズ社 (Solel Solar Systems) サンエディソン社 (SunEdison) スリーエス インダストリーズ社 (3S Industries) アレオ ソーラー社 (Aleo Solar) ソーラー インテグレーティッド社 (Solar Integrated) シーメンス インターナショナル ホールディングス社 (Siemens International Holdings) MEMC エレクトロニック マテリアルズ社 (MEMC Electronic Materials) マイヤー バーガー テクノロジー社 (Meyer Burger Technology) ロバート ボッシュ社 (Robert Bosch) エナジー コンバージョン デバイシズ社 (Energy Conversion Devices) 2009 $418 イスラエル 2009 $200 米国 $294 スイス 2009 $50.13 ドイツ 2009 $16.3 米国 ソーラーエネルギー企業の主要 IPO 案件 2007~2009 年 会社名 証券コード 年 IPO 価格 [ 単位 : 百万米ドル ] 国 GT ソーラー社 (GT Solar) LDK ソーラー社 (LDK Solar) 英利緑色能源控股有限公司 (Yingli Green Energy Holding) 晶澳太陽能有限公司 (JA Solar Holdings) NASDAQ: SOLR 2008 $500 米国 NYSE: LDK 2007 $469 中国 NYSE: YGE 2007 $319 中国 NASDAQ: JASO 2007 $225 中国 STR ホールディングス社 NYSE: STRI 2009 $123 米国 リアルグッズソーラー社 (Real Goods Solar) NASDAQ: RSOL 2008 $55 米国

37 主要企業等 会社名技術国種類コメント アバウンド ソ - ラー (Abound Solar) アモニクス (Amonix) ボッシュ ソーラー (Bosch Solar) カナディアン ソーラー (Canadian Solar) ENN ソーラー エナジー (ENN Solar Energy) ファースト ソーラー (First Solar) CdTe 米国 民間 CdTe スペース開発の大手企業 モジュールの効率ではファ ースト ソーラー社に匹敵 CPV 米国民間年間の製造能力を 10 メガワットから 25 メガワットに拡大 TF-Si ドイツ 公営 a-si モジュールの効率を向上するため 最近ショット ソー ラー社と提携 x-si 加 公営 カナダ最大の結晶シリコン モジュールの垂直統合型メーカ ー TF-Si 中国 民間 a-si ソーラー モジュール用の 60 メガワットの生産ライン を立ち上げた CdTe 米国 公営 2009 年の生産量は世界 1 位 最大の CdTe の供給会社で 2009 年に 1,000 メガワット以上の生産 カネカ (Kaneka) TF-Si 日本 公営 40 メガワットの能力を持つ生産設備を 1 ギガワット規模に拡 大するとの計画も存在 コナルカ テクノロジーズ (Konarka Technologies) OPV 米国民間フレキシブル ソーラーセルのモジュールを製造 京セラ (Kyocera) x-si 日本 子会社 / 専門 2009 年の生産量は世界第 7 位 2012 年に生産量を 650 メガ ワットまで拡大する目標を持つ ミアソレ (Miasolé) CIGS 米国民間無機薄幕 (CIGS) セルの製造 ナノソーラー CIGS 米国 民間 新しい生産ラインが操業を開始し セルの試験では 15% の効 率を達成 プライムスター ソーラー (PrimeStar Solar) Q セルズ (Q- Cells) REC グループ (REC Group) CdTe 米国 GE の子会社実験室のレベルでは 16.5% という高い効率を達成 x-si ドイツ 公営 2009 年の生産量は世界 4 位 結晶シリコンセルの中でも 幅 広薄膜と高純度金属 Si の開発に注力 x-si ノルウェー公営多結晶シリコンの製造からプロジェクト開発まで垂直統合 三洋電機 ( 株 ) x-si 日本 パナソニックの子 会社 2009 年の生産量は世界 13 位ながらも 付加価値の高い製品構成を誇る 子会社化による経営資源の強化ほか 高効率の HIT モジュールを有する

38 ショット ソーラー (Schott Solar) x-si TF-Si 米国 公営 / 専門 a-si と微構造モジュールの効率を向上するため 最近 ボッ シュ ソーラーと提携 シャープ CPV TF- Si x-si 日本 公営 / 総合 2009 年の生産量は世界 3 位 最高水準の効率を誇る商業ベー スの TF-Si パネルを市場に投入 ソーラーファン パワー ホールディングス (Solarfun Power Holdings) ソーラマー エナジー (Solarmer Energy) ソーラー ワールド (SolarWorld) ソリブロ (Solibro) ソロパワー (SoloPower) x-si 中国公営垂直統合型のモジュール製造会社 OPV 米国 民間 有機太陽電池で 3.9% のモジュール効率を確認 実験室での モジュール効率は 6.77% x-si ドイツ公営結晶シリコン ソーラー大手の垂直統合型メーカー CIGS ドイツ Q セルズの子会社高効率 (10%) のモジュールを持つ 効率の良いモジュール の製造会社で Q セルズの強力な支援を受ける CIGS 米国 民間 ベンチャーキャピタルからの 4,000 万ドルの資金により急成 長 モジュールの効率は 10% ソリンドラ CIGS 米国 民間 十分な資金を調達し 数件の技術提携 据付費用を尐なくと も 29% 削減できる円筒型太陽電池を設計 サンパワー (SunPower) サンテク パワー (Suntech Power) トリナ ソーラー (Trina Solar) ユナイティッド ソーラー オボニック (United Solar Ovonic) イングリ グリーン エナジー (Yingli Green Energy) x-si 米国公営 / 専門 2009 年の生産量は世界 9 位 高効率モジュールなどに注力 x-si 中国 公営 / 専門 2009 年の生産量で世界 2 位 最高品質のモジュールを安価で 供給 x-si 中国 公営 インゴット ウェハー セル モジュールの垂直統合型メー カー 2009 年の生産量で世界 8 位 TF-Si 米国 公営 最大のフレキシブル TF-Si モジュールの製造企業で 2010 年 の生産目標は 150 メガワット x-si 中国 公営 2009 年の生産量で世界 5 位 垂直統合型の企業で シリコン 供給会社 中国政府との間に強力な関係を構築 市場規模と今後の動向 太陽光発電設備の世界市場は 2000 年から 2008 年までに年率で 50% 増加したが 当時最大の需要国であったスペインやドイツでの補助金の削減 世界的な景気悪化などの影響を受け て 2008 年から 2009 年は供給超過による市場の混乱や 価格の急激な低下が続いた 特に ポリシリコン価格の低下により それが最大のコスト割合を占める結晶シリコン系太陽電池 の価格下落が著しい

39 供給能力が需要を上回る状態は暫く継続すると予想されるが システム価格の低下による需要喚起などもあり 今後とも市場拡大が継続すると見られる 分野別では システム価格の 低下などにより 引き続き結晶シリコン太陽電池が主流となる 潜在性の高い薄膜太陽電池市場については 現在 ファースト ソーラー社が抜きん出ている状態であるが シャープ 社 カネカ社などの日系メーカーや ボッシュ ソーラー社などの大手薄膜シリコン関連企業がコスト低減や川下企業との連携強化などを進めることにより 2010 年以降も引き続き 市場拡大が進むと見られる なお 特に米国と中国の対電力向け市場では ファースト ソーラー社と価格競争力をつける結晶シリコン モジュール メーカーとの競争がより激しく なる可能性が高い 当該市場では ワットピーク当たりの資本コストに基づく方法 ($/Wp) から 均等化発電 原価 (LCOE) に基づく方法 ($/kwh) へと変化しつつある 太陽光発電にとっては追い風となるこうした評価方法の変化などにより 太陽光発電の電力は 他の電力に比べて価格競 争力がある状態に近づいていくと予想される 上記のような熾烈な市場競争等によるコスト低下や支援制度が継続されることを前提とすると 北米における太陽光発電システム市場は今後 5 年間で 6 倍程度の 160 億ドル規模 (2010 年で 25 億ドル規模 ) にまで拡大する可能性がある 世界の太陽エネルギーの市場規模とその予測 市場規模 ( 単位 : 百万米ドル ) 100,000 90,000 80,000 70,000 60,000 50,000 40,000 30,000 20,000 10, ,621 9,252 37,849 62,708 21,704 5, ,637 1, ,185 結晶シリコン無機薄膜太陽電池集中太陽光発電有機太陽電池太陽熱合計

40 米国の太陽エネルギーの市場規模とその予測 市場規模 ( 単位 : 百万米ドル ) 18,000 16,000 14,000 12,000 10,000 8,000 6,000 4,000 2, , ,449 9,920 5, ,581 結晶シリコン無機薄膜太陽電池集中太陽光発電有機太陽電池太陽熱合計 Source: Lux Research analysis

41 Ⅱ-2 再生可能エネルギー : 風力発電 要約 < 分野概要 > 風力発電の世界市場は近年 生産能力の向上に伴う生産コストの低下 太陽光発電等に比べた規模の優位性などを背景として年率 20% で拡大しており 他の再生可能エネルギーよりも急速に 成長 2005 年の 59GW から 2009 年には 2 倍以上の 121GW にまで拡大 風力発電は タービンを用い 風のエネルギーを電気エネルギーに転換するものであるため 一 般的な陸上風力タービンの稼働率は 40% 以下に止まる 従来の化石燃料を使う火力発電の実質的な稼働率は 40% から 90% 程度 原子力発電では 90% を超えるなど他の電力源に比べて劣るた め その向上が最も重要な課題となる < 市場動向 > 米国における風力発電市場は急拡大しており 特に 2009 年 1 年で 10GW( 伸び率 39%) が追加 され また 風力発電の新規設置能力が天然ガス発電のそれと並び 両者で全体の 8 割を占めるに至るなど 引き続き 発電能力規模で再生可能エネルギーの中核として市場拡大が進むと考え られる 他方 ベンチャーキャピタルをはじめとする資金調達市場は 景気低迷の影響を大きく受け 前 年に比べ 1/10 の水準にまで低下した 新規株式公開や M&A についても 2009 年は弱い動きを示すが ベンチャーキャピタル市場程の落ち込みはなく 米国市場の拡大を踏まえたヨーロッパ 企業による米国企業の買収も目立った 技術向上や生産効率化により 2005 年時点で風力タービンの製造原価は 1990 年に比べ 1/5 程度まで低下し 2009 年においても 20% 程度低下 こうした傾向はターヒ ンの大型化にも関わらず続い ており また ゴールドウィンド社やシノベルウィンド社などの中国メーカーの台頭も価格低下に拍車をかけている状況 ただし 能力の増大に伴う土地やグリッド等の問題も顕在化しつつあ り 拡大ペースは緩まるとの見方が多い こうした状況を踏まえつつ 支援制度や 信頼性の向上などが継続すれば 既に 2010 年で 160 億ドル規模まで達している風力発電システムの米国市場は 2015 年には 2 倍程度の 300 億ドル 規模にまで拡大すると見込まれる

42 技術の分類と主な開発課題 風力発電は タービンを用い 風のエネルギーを電気エネルギーに転換するものであるため 一般的な陸上風力タービンの稼働率は 40% 以下に止まる 従来の化石燃料を使う火力発電の実質的 な稼働率は 40% から 90% 程度 原子力発電では 90% を超えるなど他の電力源に比べて劣るため その向上が最も重要な課題となる 風力発電では 風力タービンの設計とタービンの設置場所が稼働率を決定する重要な要素となる 例えば 海上の風力タービンの稼働率は一般的には 50% で 陸上に設置されるタイプのものより 10% 高い これは 陸上に比べて風が強いためであるが 風速が倍になるとタービンの発電能力は 8 倍になり また タービンがとらえる風力は回転翼の長さの 2 乗に比例する 従って 回転翼の サイズ ( および高さ ) を大きくするとタービンの稼働率は大きく向上するが 同時に 材料の特性や技術のほか タービンの輸送 設置などに必要なインフラの制約を受ける 1. 基本構造 風力発電システムの主要部品は以下に示すとおり 土台 : 土台は 建設地の地形や地質工学的な条件によって異なり 比較的平らな地面に浅 く広い形状のものを置く場合もあれば 地表の下にまで達する深く狭い形のブロックになる場合もある なお 海上風力タービンの土台は 浅水域用 (30 フィートから 90 フィー ト ) のものに限定され 深海域用は試作段階にある タワー : 一般的には 150 フィートから 300 フィートの鋼鉄チューブでできており ター ビンのコストの 20% 以上を占める. 格子状のタワーは建設費用が安いものの 耐久性で劣るほか 鳥その他の野生生物がタワーに巣を作る可能性があるため問題も多い コンクリ ート製のタワーは 400 フィート以上の高さを実現できると考えられており コストと耐久性の観点からも有望と考えられている ローター : ローターは 風力タービンの中心部にあり 風の直線的な動きを回転エネルギ ーに転換する役割を担っており 商業用風力タービンのほとんどは プロペラ型のローターを備える水平軸風力タービン (HAWT) である 一方の垂直軸風力タービン (VAWT) は 泡立て器や船外スクリューと同じ構造を持つが 水平軸タービンに比べ 稼働効率とコスト効率の両面で劣るためほとんど使われていない ただし 一部の小型風力発電シス テムでは 方位制御システムによって常にタービンを風の方向に向ける必要を避けるための手法として採用しているものもあり 見た目の美しさという点で評価される 回転翼 : ローターの回転翼は 風力タービンの最も高価な部品で コスト全体の約 25% を 占めると言われる 回転翼を倍の長さにすると伝達力は 4 倍になるが 重量が重く動きにくくなり 安定性が損なわれるため発電コストは上昇する 回転翼の材料 デザイン 製

43 造方法の改良により 軽量かつ 180 フィートを超える長さのローター回転翼が製造され始めている 通常 回転翼の中の特に強い力の加わる部分は 現在入手が容易なもっとも強 い軽量建築材料であるグラファイト ファイバー製の複合材料でできており 他の部分は コストの安いファイバー グラスの材料でできている 現在一般となっている 3 枚羽根の 水平軸風力タービンの伝達能力とコスト効率は これまでの 20 年間に格段に向上してきている 動力伝達装置 : 動力伝達装置は 機械的なエネルギーを電気エネルギーに転換する装置の心臓部にあたり 設備コストの約 20% 弱を占める 動力伝達装置には スピードを増幅す るためのギア ボックスにルーターをつなげる低速シャフトが入っている ほとんどのタービンのギア ボックスには 3 段ギアが使われ 約 100 対 1 の比率で回転速度を上げて いる 最も新しいタイプのタービンの場合 動力伝達装置は可変速型であり 風の速度に応じて出力スピードもさまざまに変化することができ その結果 これまで以上に効率の 良いエネルギー転換を実現可能となっている なお 動力伝動装置の中のギア ボックスに不具合が生じるケースが多いため シーメンス社 ダーウィンド社 ケネルシス社などの企業は ギア ボックスを使わない 直接 駆動 システムも開発している ナセル : ナセルとは ローター 動力伝達装置 付属コンポーネントを包むカバーあるいは外郭構造である 付属のコンポーネント : タービンには 上述のほか ブレーキ ローターを風の内側や外側に動かすための方位制御メカニズム 油圧装置 冷却ユニット 風向計 センサー タ ービンが生み出す不安定な直流 (DC) を周波数が安定した交流 (AC) に変換するための電力変換装置などがある 最新の風力タービンの場合 制御装置が常にタービンの状態を モニターするとともに 空気速度を計測し 風速が必要最低速度 ( 通常 時速約 10 マイル ) に達した時にタービンをスタートさせたり システムが耐え得る最高スピート ( 通常 時速約 50 マイル ) を超えたときにタービンを停止させたりする 2. 海上システム 陸上の風力は海上に比べて弱く 安定性も劣る このため 陸上よりも良い条件が整う海上に 風力タービンを建設するケースもある この場合には 上述の一般的なシステムに比べてより厳しい環境に耐え得る土台と電気施設を備え 波がもたらすタービンへの負荷も考慮に入れる必要 が生じる 海上風力発電設備は ヨーロッパ 特に北海とアイリッシュ海の浅水域で急速に開発が進んで おり 現在 ドイツ 英国 デンマーク オランダにおいて数千メガワットの電力を発電することが計画されている なお 米国の場合 陸上での風力発電に適した理想的な環境が数多くある ため 海上に風力発電施設を作る必要性は低い 一般に 海上プロジェクトの場合には 設置と運転の費用が大きくなるというリスクを考慮する必要があり 例えば 海上タービンの修理費用

44 は 陸上タービンの場合の 100 倍以上である 現在 ヨーロッパには 約 2,500 メガワットの海上風力発電設備があり 2020 年には 20 ギガワットから 80 ギガワットまで拡大することを目標 にしている 海上システムの発電コストは 現時点で陸上の場合に比べ約 3 倍で メガワット当たり 240 万ドルから 260 万ドルと言われている 3. 小型風力発電システム 小型風力発電システム ( 通常 発電能力が 300 ワットから 50 キロワット ) は 外見上大型のものと変わらないが 例えば 自動制御システムの代わりとして風向計が用いられるなど 使用 材料や構造等の面でより単純な技術が用いられている 一般的な小型風力発電システムの市場は 農場主 牧場経営者 事業主 自宅所有者などで 電気の支払いを減らしたり 電力供給を安定 させたり 環境保護に興味を持っている人々などが対象である 小型風力発電システムのマーケットは小さく 世界全体の販売数は年間 2 万基に過ぎない 1 キロワットのタービンの販売価格は 現在 2,800 ドル程度と安価なものが多く 10 年程度でタービンの購入費用を回収できるケースもあるが いずれにせよ 現状はニッチなマーケットに止ま っている 4. 空中発電システム 一部の企業は 地上数百または数千フィート上空での風力タービンを開発中である ケーブル で地上につながれ タービンが発電した電力は そのケーブルによって地上へ送電される ピーク時の発電能力に基づいて計算した稼働率が 70% から 90% と極めて高い目標設定となり この 場合の発電コストは 1 キロワットアワー (kwh) 当たり 0.02 ドル以下と 石炭火力発電の約半分になる また ある風洞実験によれば 空中発電機 (EFGs) を 600 基結合すれば 米国 で最も生産性の高い原子力発電所の 3 倍の電力を発電することができるとされている このように 空中発電システムの潜在性は魅力的ではあるが 現在のところ まだ試作の域を出ていない 空中発電システムは タービンのほか 次のようなコンポーネントで構成される : キャリア クラフト : ヘリウムガスを詰めた飛行船型あるいは回転木馬型の気球や ジャイロコプターに似たプロペラ駆動の凧のようなものがあり いずれも 空中の高い位置に 浮かぶよう設計されている 気球型は地上 400 フィートから 1,000 フィートの位置で静止するが プロペラ駆動の凧型は 15,000 フィートから 35,000 フィート上空にあるジェット気 流をうまく利用することを目指している ローター :FEG のローターは 軽量のヘリコプター プロペラに似ており 長さは 35 フィ ート程度の羽根の作用によって発電を行い 船を制御する 気球型のデザインは 空気より軽い密封型の構造で これが水平軸を中心に回転する ケーブル : 空中発電用の船はケーブルにつながれ このケーブルが碇となって船を固定すると同時に タービンが発電した電流を地上の設備に送電する

45 主な技術分類 サブ セグメント レベル 1 サブ セグメント レベル 2 サブ セグメント レベル 3 陸地 大規模 小型 風力 海上 浅水域 / 固定 深海 / 浮遊 気球 空中 プロペラ駆動 凧 資金調達 /M&A の動向と北米市場の主要企業等 2009 年の北米における風力発電の設置能力は 引き続き単年度ベースで過去最高を更新するなど好調を維持したが ベンチャーキャピタルをはじめとする資金調達市場は 景気低迷 の影響を大きく受け 前年に比べ 1/10 の水準にまで低下した 新規株式公開や M&A についても 2009 年は弱い動き ただ ベンチャーキャピタル市場程の落ち込みはなく 米国市場の拡大を踏まえたヨーロッパ企業による米国企業の買収も目 立った 風力発電に投入されたベンチャーキャピタル 2007~2009 年 取引総額 ( 単位 : 百万ドル ) $300 $250 $200 $150 $100 $50 $ 取引総額

46 2007 年 2008 年 2009 年 合計取引額 平均取引額 合計取引額 平均取引額 合計取引額 平均取引額 陸上 海上 空中 合計 Source: Lux Research analysis 主な風力発電関連の M&A 2007~2009 年 会社名 買収会社名 年 取引金額 ( 百万米ド ル ) 国 ホライゾン ウィンド エナジー (Horizon Wind Energy) グレーター ガバード オフショア ウィンド (Greater Gabbard Offshore Wind) エバーパワー ウィンド ホールディングス (Everpower Wind Holdings) エネルジアス ド ポルトガル (Energias de Portugal) RWE エヌパワー リニューアブルズ (RWE Npower Renewables) テラ フィルマ キャピタル パートナーズ (Terra Firma Capital Partners) 2007 $2,150 米国 2008 $498 英国 2009 $350 米国 AMEC ウィンド エナジー (AMEC Wind Energy) バッテンフォル (Vattenfall) 2008 $222 英国 エア エナジー (Air Energy) ベンシス エナジー (Vensys Energy) エネコ ホールディング (Eneco Holding) 新疆ゴールドウィング サイエンス テクノロジー (Xinjiang GoldWind Science & Technology) 2008 $169 ベルギー 2008 $61 ドイツ 主な風力発電の新規株式公開 2007~2009 年 会社名 証券コード 年 新規株式公開の金額 国 イベルドローラ レノバブルズ (IberdrolaRenovables) MCE: IBR 2007 $5,985 スペイン

47 中国龍源電力集団 (China Longyuan Power Group) HKG: $2,256 中国 主要企業等 会社名技術国種類コメント エーイーエス (AES) 電力事業 米国 公営 / 総合 世界規模の電力会社で 風力発電では米国で第 6 位であるが 特に 新興市場において 化石燃料を使った発電から代替技術を使った発 電への転換を推進している バーギー ウィンドパワー (Bergey/ Windpower Co.) ドングエナジー (DONG Energy) 小型風力タービン 電力事業と開発事業 米国 民間 / 専門 1 キロワットから 10 キロワットの小型風力タービンの大手メーカ ーで タービン技術では 1970 年代 1980 年代からの蓄積がある デンマーク 公営 / 総合 北欧の電力会社で 風力発電の電力を配電網に統合する分野で 世 界で最も多くの経験と蓄積を有する エネルコン (Enercon) EPOD インターナショナル (EPOD International ) 風力タービンドイツ 民間 / 専門 世界第 3 位の風力タービン メーカーで 定格出力ベースで最大級 の風力タービンを製造している 積極的な世界市場への進出を行っ ており 既にインドでは確固たる地位を築いている 電力貯蔵 カナダ 公営 / 総合 商業ベースで電力を貯蔵する EMT と呼ばれる独自のシステムを積 極的に開発中 ガメサ (Gamesa) 風力タービンスペイン 公営 / 専門 主に 米国の地方市場に事業の焦点を置きつつ 風力発電システム の製造と販売で最大手の一つ また 世界市場での事業の拡大にも 積極的 GE エナジー (GE Energy) 風力タービン米国 / ドイツ 公営 / 総合 風力タービンのメーカーで 北米の風力発電市場を支配 ジェネラル コンプレッション (General Compression) ゴールドウィンド (Goldwind) マッゲンパワー (Magenn Power) 三菱パワーシステムズ (Mitsubishi Power Systems) 電力貯蔵 米国 民間 / 専門 圧縮機メーカーであるメカノロジー社 (Mechanology) から早い時 期にスピンオフして設立された企業で 地下のパイプ網に圧搾空気 を貯める方法で風力エネルギーを貯蔵することを目指している 風力タービン中国 民間 / 専門 中国の風力タービンの大手企業で 現在 600 キロワットから 1.5 メガワットの範囲の製品を販売し 3 メガワットの大型についても 試作品をテスト中 空中風力発電カナダ 民間 / 専門 マッゲンパワー エアーローター システム (MARS) として知られる空気より軽い繋留デバイスを開発 MARS は 密封型の気球構造をしており 400 フィートから 1,000 フィートの空中に浮かぶようデザインされている 4 キロワット用の MARS の製造コストは 1 万ドル程度の水準にまで達している 風力タービン日本 公営 / 総合 日本最大の風力タービン メーカーであり かつ 日本で最大の風 力タービンを製造 主として新興アジア市場での事業拡大に焦点を 置きつつ 米国での市場拡大にも注力

48 RE パワー (REpower) 風力タービンドイツ公営 / 専門世界最大級の定格出力を持つ風力タービンのメーカー シーメンス ウィンド パワー (Siemens Wind Power) 風力タービンドイツ / デンマーク 公営 / 総合 欧州における風力タービンの最大手企業の一つで この分野の研究開発を 25 年以上続けている 特に ボヌス株式会社 (Bonus AG) の買収以降 風力発電事業を急速に拡大してきた スカイ ウィンドパワー (Sky WindPower) サウスウェスト ウィンドパワー (Southwest Windpower) 空中風力発電米国 民間 / 専門 空中発電機 (FEG) の技術では最大で 現在 機能的試作品のためのデモンストレーション機器を開発中 当社の予測では FEG の発電コストが 1 キロワットアワー当たり 0.02 ドル以下になると見込む 風力タービン米国 民間 / 専門 小型風力発電技術の分野で十分な品揃えと大量生産を図っている数尐ない企業の一つ 当社の住宅用風力タービンの一つ スカイ ストリーム 3 7 は 平均家庭電力の最大 80% を賄うことができるとし 年間販売額を過去 2 年間に 50% 増加させている スズロン エナジー (Suzlon Energy) 風力タービンインド 公営 / 定評がある 南東アジア地域の風力発電システムの製造販売では リーダー的存在 丈夫なタービン デザインであるため 厳しい気象条件にも十分に適応できるとされている ベスタス (Vestas) 風力タービンデンマーク 公営 / 専門 陸上 海上の両方で世界最大のタービン メーカー 北米市場で は GE に次いで 2 位である 市場規模と今後の動向 技術向上や生産効率化により 2005 年時点で風力タービンの製造原価は 1990 年に比べ 1/5 程度まで低下し 2009 年においても 20% 程度低下 こうした傾向はターヒ ンの大型化にも関わ らず続いており また ゴールドウィンド社やシノベルウィンド社などの中国メーカーの台頭も価格低下に拍車をかけている状況 こうした製造原価の低下と欧州の固定価格買取制度 米国の生産税額控除などにより 新設の石炭やガス発電プラントと比較しても価格競争力を有するまでになっている こうした中で 米国における風力発電市場は 2009 年までの急拡大しており 特に 2009 年 1 年で 10GW( 伸び率 39%) が追加され また 風力発電の新規設置能力が天然ガス発電のそれと並び 両者で全体の 8 割を占めるに至るなど 引き続き 発電能力規模で再生可能エネ ルギーの中核として市場拡大が進むと考えられる ただし 能力の増大に伴う土地やグリッド等の問題も顕在化しつつあり 拡大ペースは緩まるとの見方が多い こうした状況を踏まえつつ 支援制度や 信頼性の向上などが継続すれば 既に 2010 年で 160 億ドル規模まで達している風力発電システムの米国市場は 2015 年には 2 倍程度の 300 億ドル規模にまで拡大 また 世界市場においても 2010 年に 440 億ドル 2015 年に 1000 億ドル規模に拡大すると見込まれる

49 世界の風力発電市場の規模とその予測 120,000 市場規模 ( 単位 : 百万ドル ) 100,000 80,000 60,000 40,000 41,017 44,000 86,241 98,547 20, ,306 2, 陸上海上空中合計 米国の風力発電の市場規模とその予測 35,000 30,000 25,000 29,242 29,564 市場規模 20,000 ( 単位 : 百万ドル ) 15,000 10,000 5, ,360 16, 陸上海上空中合計 Source: Lux Research analysis

50 Ⅱ 3 再生可能エネルギー : バイオ燃料 要約 < 分野概要 > 食料の不足や温暖化防止促進の観点から 現在 改良作物や藻 合成有機物などのセルロース系の原料 ( 植物および植物屑 ) を使った次世代バイオ燃料の開発が盛んに行われている これらは その燃料製造プロセスから得られる工業用化成品 肥料 医薬品 化粧品などの副産物からの収益も期待可能 エタノールを多く含んだ燃料は ホースやガスケットを腐食させるほか 通常のガソリンより燃 焼温度が高いため 当該燃料の更なる普及には 自動車や給油所の設備対応も必要となることが課題 < 市場動向 > バイオ燃料のベンチャーキャピタル市場規模は 太陽エネルギーに次いて大きいのの 景気低迷 やセルロース系エタノールの商業化の遅れなどを反映して 取引額ともに近年は縮小傾向 M&A や企業提携については エクソンモービルとジンセティック ジオミクスとの 6 億ドルの パートナーシップなど 石油企業の進出が活発化していることが注目される バイオ燃料市場は 米国石油製品市場の 3% 世界市場では 1% に満たない水準で また いわ ゆる 混合燃料の壁 という限界にぶつかっている 現在 その混合割合を当面 15% まで引き上げるべく検討が行われているほか 再生燃料基準として 2022 年までに現在の 3 倍以上のバ イオ燃料の導入目標が定められている 電気自動車やハイブリッド車の普及など 長期的な不透明さが残るものの 制度面での対応や技術革新に加え 化石燃料価格の上昇などを想定すると 当面市場拡大は継続し 米国のバイオ燃 料の市場規模は 2010 年の 180 億ドル規模から 2 倍以上に拡大する可能性がある

51 技術の分類と主な開発課題 第一世代のバイオ燃料は トウモロコシやサトウキビを原料としたエタノール バイオディーゼルなどである これらは 食用農産物を原料としており これら食料の不足や温暖化防止促進の観 点から 現在 改良作物や藻 合成有機物などのセルロース系の原料 ( 植物および植物屑 ) を使った次世代バイオ燃料の開発が盛んに行われている 次世代バイオ燃料の利点として その燃料製造プロセスにおいて 工業用化成品 肥料 医薬品 化粧品などの副産物を得ることができるほか 発電プラントから出る CO 2 廃棄物の吸収源として も活用できる点が挙げられる 次世代バイオ燃料については 現在 製造コスト削減による商業化に向けた取組みが活発に行われているところである なお エタノールを多く含んだ燃料は ホースやガスケットを腐食させるほか 通常のガソリン より燃焼温度が高いため 当該燃料の更なる普及には 自動車や給油所の設備対応も必要となることが課題となっている セルロース系のバイオ燃料 ( 第二世代 ): 第一世代のバイオ燃料では 例えば トウモロ コシ原料の 10% しか利用できないなど 原料になる植物のほんのわずかな部分しか活用できないという大きな課題が存在した このため 食用作物の茎や葉 非耕作地の植物 バ イオ廃棄物などの活用を可能とするセルロースの発酵技術は 原料の選択肢を大きく広げ バイオ燃料の生産量を何十倍あるいは何百倍に増やす可能性を有する ただし これらの 発酵技術や生産方法は 現在すでに確立されているトウモロコシやサトウキビを原料とするものと直接の競合関係にある 遺伝子組み換え植物と藻 ( 第三世代 ): 天然の藻を利用し 光バイオリアクターによって原料を製造するなど セルロース系バイオ燃料技術を更に発展させる開発が実施されてい る これは 遺伝子操作を用いて有機組織を改良することで エネルギー効率が良く パフォーマンスが高く コストの安い原料を生む出そうとするものである 例示した光バイ オリアクターは費用がかかる手法であるが 管理がしやすいために高い利益率が見込まれるが 開発は初期段階に止まり 商業化にはまだ時間がかかる 合成生物学 ( 第四世代 ): 第四世代のバイオ燃料は CO 2 を十分に吸収しながらバイオ燃料その他の有益な産物を作り出すもの ブタノール プロパノールなど エタノールより も価値の高い類似物質を作り出すための研究が実施されているが 基礎研究段階にある 資金調達 /M&A の動向と北米市場の主要企業等 バイオ燃料のベンチャーキャピタル市場は 太陽エネルギーシステムに次ぐ規模で絶対額としては大きいが 景気低迷やセルロース系エタノールの商業化の遅れなどを反映して 取引 件数 取引額ともに近年は縮小傾向にある

52 エクソンモービルとジンセティック ジオミクスとの 6 億ドル規模のパートナーシップ協定 ( エクソン社による資金提供 ) など 石油企業の進出が活発化していることは注目に値する が 電気自動車をはじめとする新技術の台頭が 当該市場の長期的な見通しを不透明にしている面が存在 バイオ燃料に投入されたベンチャーキャピタル 2007~2009 年 取引総額 ( 単位 : 百万ドル ) $1,400 $1,200 $1,000 $800 $600 $400 1,238 1, $ $ 取引総額 2007 年 2008 年 2009 年 合計取引額 平均取引額 合計取引額 平均取引額 合計取引額 平均取引額 1, , Source: Lux Research analysis 主なバイオ燃料の M&A 取引 2007~2009 年 会社名 買収会社名 年 取引金額 国 US バイオエナジー (US BioEnergy) ベラサン エナジー (VeraSun Energy) 2008 $680 米国 セルノール (Celunol) ディバーサ (Diversa) 2007 $182 米国 バイオフューエル インダストリー グループ グリーンシフト (Greenshift) 2008 $3 米国

53 (Biofuel Industries Group) 主なバイオ燃料の新規株式公開 2007~2009 年 会社名 証券コード 年 新規株式公開の金額 国 杭州環境エナジー (Gushan Environmental Energy) 中国インテグレーティッド エナジー (China Integrated Energy) NYSE: GU 2007 $173 中国 NASDAQ: CBEH 2009 $27 中国 主要企業等 会社名技術国タイプコメント アルゲノール バイオフューエル (Algenol Biofuels) アミリス バイオテクノロジーズ (Amyris Biotechnologies) アルカディア バイオサイエンス (Arcadia Biosciences) 藻 米国. 民間 戦略的な経営を行っており ダウケミカル ソノラ フィ ールズ リンデ グループ等と提携し 光合成藻類を原料 とした燃料用エタノールを開発している 合成生物学 米国. 民間 デモンストレーション施設を有し ブラジルにおけるエタ ノール精製設備の改良計画も持つ 遺伝子組み換え作物 米国. 民間 従来より尐ない水と肥料で足りる遺伝子組み換え原料の実 施許諾技術を持つ この技術では モンダント社やデュポ ン社などの農業関連のトップ企業を凌ぐと言われている ジーボ (Gevo) 合成生物学 米国. 民間 デモンストレーション施設を持ち 米国にあるエタノール 精製設備の改良計画を有する イソブタノールおよび関連 特殊化学品を生産 アイオジェン (Iogen) セルロース系バイオ燃料 カナダ 民間 過去 6 年にわたりデモンストレーション施設を運転してき たことで 操業経験に強みを持つ セルロース系のバイオ マスを工業用化成品や燃料に転換 エルエスナイン (LS9) 合成生物学 米国. 民間 微生物を合成処理し バイオディーゼルを生産 2009 年に プロクター & ギャンブル社と提携し 消費者向け製品の原 料となる化成品を開発 マスコーマ (Mascoma) セルロース系バイオ燃料 米国. 民間 効率の高いパイロット設備を開発し 今後の成長が期待さ れる 資金面では 投資家の強力な支援がある フィカール (Phycal) ソラジューム (Solazyme) 藻の遺伝子組み換え 米国. 民間 米国再生エネルギー企業ロゴスエナジー社 (Logos Energy) の子会社で パイロット設備における燃料の生産 効率を最高水準にまで高めている 合成生物学 米国. 民間 バイオ原油 バイオディーゼルその他の燃料のほか 食 品 医薬品 個人医療などに使われる多くの化成品や添加 物を同時に生産可能なプロセス改良に取組中

54 シンセティック ジオミクス (Synthetic Genomics) 遺伝子組み換え作物 米国. 民間 農作物の収穫量を増やすための効率の良い遺伝子を選別こ とに強み エクソンモービル社と 6 億ドルのパートナーシ ップを組成 市場規模と今後の動向 バイオ燃料は 米国石油製品市場の 3% 世界市場では 1% に満たない水準にあり また エタノール需要は いわゆる 混合燃料の壁 という限界にぶつかっている 現在 米国で は ガソリン燃料の 10% までのエタノール混入が認められており これを当面 15% まで引き上げるべく検討が行われている また 現在の米国の再生燃料基準では 2022 年までに 現在の 3 倍以上のバイオ燃料の導入水準が定められている 電気自動車やハイブリッド車の普及など 長期的には不透明な部分を残すが 制度面での対応や技術革新に加え 中国 インドなどの需要増による化石燃料価格の上昇などを前提とし て考えると 当面市場拡大は継続し 米国及び世界のバイオ燃料の 2015 年の市場規模は 2 倍以上に拡大し 米国で 400 億ドル規模 (2010 年で約 180 億ドル規模 ) 世界で 960 億ド ル規模 (2010 年で約 400 億ドル規模 ) にまで達する可能性がある バイオ燃料市場の規模とその予測 120, ,000 95,564 80,000 市場規模 ( 単位 : 百万ドル ) 60,000 40,000 41,772 47,782 20,000 17, 米国 世界全体 Source: Lux Research analysis

55 Ⅲ 1 大気汚染 / 温暖化防止対策 : 大気汚染防止 要約 < 分野概要 > 大気汚染の原因物質には 窒素および硫黄酸化物 (NO x および SO x ) 揮発性有機化合物 (VOC) 粒子状物質 重金属などの従来の汚染化学物質に加え 近年 特にその管理が求め られるようになりつつある温室効果ガス (GHG) などがある ( 二酸化炭素については Ⅲ-2 参照 ) これら汚染化学物質を排出空気から除去する標準的な方法には フィルター 吸着剤 ( 化学物質 を吸収または吸着する材料 ) 集塵装置 化学的還元 酸化反応を活用するものなどがあり 生物濾過のように排出物をより効率的に処理可能な新技術にも期待が集まる < 市場動向 > 当該分野は古くから安定して拡大してきた分野であり ベンチャーキャピタル市場や企業買収な どは 規模は大きくないものの 景気変動に大きくは影響されずにその規模を維持 2007 年には ドイツ触媒式排ガス浄化装置メーカーのアルジロン (Argillon) を英国化学メーカーのジョン ソン マッセイ社が 315 百万ドルで買収する比較的大きな企業買収があった 当該市場では専門メーカーが多く また 化学系企業の子会社や非上場企業も多い 当該市場は 高分子材料やナノ材料 バイオテクノロジーなどの技術進展により 濾過や触媒 バイオリアクターなどによる浄化装置の開発が引き続き推進されていくが コスト負担が大きいため環境規制の強化など政策面の動向に大きく左右される 米国において影響の大きな制度改正は当面想定されないが 環境意識は継続して高まってきてい ることから 米国市場は安定的に拡大し 2010 年に 11 億ドル 2015 年に 18 億ドル規模に拡大する可能性がある

56 技術の分類と主な開発課題 大気汚染は 一般には 発電所や工場での燃料燃焼プロセスや 様々な製品製造プロセスから排 出される有害な汚染化学物質によって引き起こされる 具体的には 窒素および硫黄酸化物 (NO x および SO x ) 揮発性有機化合物 (VOC) 粒子状物質 重金属などの従来の汚染化学物質に加え 近年 特にその管理が求められるようになりつつある温室効果ガス (GHG) などがある これら汚染化学物質を排出空気から除去する標準的な方法には フィルター 吸着剤 ( 化学物質を吸収ま たは吸着する材料 ) 集塵装置 化学的還元 酸化反応を活用するものなどがあり 生物濾過のように排出物をより効率的に処理可能な新技術にも期待が集まる 大気汚染防止分野では 特に政府による規制の程度や内容が大きく影響し こうした規制への対 応を確実にするため 多くの発電所および工場では プラントから放出される汚染化学物質の密度 温度 気圧 構成の特性を監視しつつ 汚染化学物質を除去するための対策が講じられている こ うした対策技術には 排出ガスの濃度等を監視するための各種モニター技術とともに 以下のような除去技術が存在する 繊維フィルター : 布 繊維 金属 セラミック 高分子膜など様々な材料で作成されたフィルターに排ガスを通過させ 排ガス中の汚染化学物質を吸着するもので 古くから利用 されている技術である 多数の汚染化学物質を同時に捕捉するために触媒や活性炭を被覆 含有させたフィルター 湿性粒子状物質の吸着性能を向上させるための PTFE( テフ ロン ) による非粘着膜など 合成膜の開発が行われている 静電集塵装置 (ESP): 中央の電極と収集面との間に電場を作り出すことによって 粒子状物質を除去するものであり 乾式 または 湿式 のいずれかに分類される 乾式 ESP( 水蒸気がない ) は 非常に高い効率性で 1 ミクロンから 10 ミクロンの大きさの粒子状物質を除去するもので 有毒ガスや蒸気を除去することができない 一方の湿式 ESP は 水飽和ガス流を使って 0.01 ミクロンの大きさの液滴 ( 酸性エアロゾル 金属 微細な粒子状物質 酸化水銀等 ) を効率的に除去する 一般に高価なシステムとなるが 材料に合 成樹脂繊維を使用する湿潤膜を用いるものなどが開発され コスト低下や効率向上が図られつつある スクラバー : 液体を使用して不必要な汚染化学物質を排気ガス流から こすり取る よう に除去するものが一般的で 湿式スクラバーは 液体を排ガス流に噴霧し 廃棄ガス流とその液体を混ぜ合わせて汚染化学物質を吸収する 乾式スクラバーは 石灰スラリーのよ うな吸着剤を使用して 乾性粒子状物質を吸収するとともに 水の蒸発熱などを利用して酸性ガスを除去する 還元装置 (SCR): 窒素酸化物 (NO x ) を除去するものとして 大規模燃焼プラントで最も広く使用されている方式の一つである 二酸化チタン 酸化バナジウム 酸化鉄等の金 属酸化物を触媒として NO x を還元し 無害の N 2 や O 2 に分解する 通常の反応温度は

57 170 C から 510 C 程度であるが 尿素またはアンモニアを伴う場合に窒素酸化物だけを選択的に還元する選択的非接触還元 (SNCR) 法では SCR よりも高温環境が必要となる 酸化装置 :VOC などの汚染化学物質を酸化反応により分解処理するものである 加熱して酸素を添加する方法と 触媒を通して塩素や過酸化物などを添加する方法があり 後者は 前者に比べて低い温度でも処理が可能となる 生物濾過と生物スクラバー : ガス流量が多く汚染濃度が低い排出源に有用な方法である バクテリアや菌類を塗布した多層膜フィルターを用い これら微生物が VOC や水素硫化物 を分解する 凝集装置 : 繊維フィルターや ESP, 酸化 還元装置から漏れる可能性がある微小粒子を処理する場合に 微細粒子を凝集させより大きな粒子を形成させるための前処理を行う 水銀 蒸気やサブミクロンダストを含有する排ガスに対応する 光触媒反応器 : 紫外線を触媒に照射することにより有機系汚染化学物質を分解する 主と して水の浄化に利用されてきたものであるが 排気ガス浄化用にも応用されている 二酸化チタン (TiO 2 ) が最も一般的に使用されている光触媒であるが これにクロムやバナジ ウムを添加することによって より一層反応性を高めることができる 吸着剤 : 表面積が広く大部分が非晶質炭素である活性炭が最も一般的に用いられ これを排気流に当てることによって 水銀のような汚染化学物質を除去する 現在では 活性炭 より吸着能力が高い様々なポリマー材料が開発されており 例えば ゼオライト ( 多数の微細な小孔を持つ珪酸水晶 ) は 高温での安定性が高く 内部表面積が大きいために吸着 力も大きい 凝縮装置 : 冷水などを利用し排ガス成分を凝縮させることにより高濃度の VOC を処理するもので ジクロロメタンなどの溶媒放出を管理するために使用される 資金調達 /M&A の動向と北米市場の主要企業等 環境エネルギー分野では古くから安定して拡大してきた分野であり ベンチャーキャピタル 市場についても それ程大きな規模ではないが 景気変動に大きくは影響されずにその規模を維持している 2007 年にドイツの触媒式排ガス浄化装置メーカーのアルジロン (Argillon) を英国の化学メー カーのジョンソン マッセイ社が 315 百万ドルで買収する比較的大きな企業買収があった 北米市場の主要企業としては専門メーカーが多く 化学系企業の子会社や非上場企業が多い

資料1:地球温暖化対策基本法案(環境大臣案の概要)

資料1:地球温暖化対策基本法案(環境大臣案の概要) 地球温暖化対策基本法案 ( 環境大臣案の概要 ) 平成 22 年 2 月 環境省において検討途上の案の概要であり 各方面の意見を受け 今後 変更があり得る 1 目的この法律は 気候系に対して危険な人為的干渉を及ぼすこととならない水準において大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させ地球温暖化を防止すること及び地球温暖化に適応することが人類共通の課題であり すべての主要国が参加する公平なかつ実効性が確保された地球温暖化の防止のための国際的な枠組みの下に地球温暖化の防止に取り組むことが重要であることにかんがみ

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