福島県立大野病院事件

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1 関係当事者の略称 本報告書では 関係当事者 ( 専門家証人と本件事故調査委員会委員を除く ) を 次の表のとおり略称する 資格 専門 役割 所属など本報告書の略称 (*) 産婦人科医 担当医 執刀医麻酔科医 手術麻酔担当外科医 手術助手看護師 ( オペ責 ) 看護師 ( 機械出し ) 看護師 ( 外回り ) 看護師 ( 外回り ) 助産師助産師看護師 ( 外来 ) 助産師院長 整形外科医外科部長産婦人科医 W 医科大学病院産婦人科助手 担当医の医局の先輩 担当医麻酔医 B 助手 C 医師 N 看護師 O 看護師 P 看護師 Q 看護師 M 助産師 L 助産師 R 助産師 E 院長 D 医師 K 医師 (W 医大 ) 産婦人科医 Z 病院所属 担当医の医局の先輩 A 医師 (Z 病院 ) 患者 ( 本件手術時に死亡 ) 患者の夫患者の父患者の夫の父 本件患者本件患者夫本件患者父本件患者義父 患者の夫の母本件患者義母 * 略称のアルファベットは 原則として 資料 5 医事判例解説 16 巻 (2008 年 10 月号 ) 掲載の判例と統一した ただし R 助産師については 上記掲載判例にアルファベット表記がなかったことから 独自につけた 10

2 第 1 事案の概要 0B1 診療経過の概要 第 1 事案の概要 1 診療経過の概要 診療経過の概要は おおむね 別表 1 及び2 記載のとおりである ただし 事実関係について 関係当事者の供述に相違がある点や 医学的評価を検討する上で特に問題となる点については 本報告書第 3および第 4において後述する (1) 本件病院の診療体制本件病院の診療体制は 次のとおりである 1 病床数 146 床 医師数 12 名 ( 産婦人科 1 人 ) 看護師 90 名前後 2 診療科目 : 内科 外科 整形外科 産婦人科 麻酔科 3 第 2 次救急病院に指定された中核病院 地域医療支援病院 4 輸血用血液の常備なし 50km離れた赤十字血液センターから都度 1 時間かけて搬送 (2) 担当医の経歴担当医は 本件事故当時 臨床経験 8 年 7ヶ月の産婦人科医である ( 判決 21 頁 ) 担当医が本件手術以前に癒着胎盤の帝王切開を経験したことがあるか否かについては 記録からは明らかでない 担当医は 1 平成 16 年 4 月に大野病院に赴任したが 赴任直後の時期に 経腟分娩の例で 児の娩出後 子宮の収縮はいいのに 胎盤剥離後にかなりの出血があるという例を幾つか経験したことから 胎盤を剥離することができても 強出血がある場合は 癒着胎盤と考えられるのではないかと思うようになった旨 ( 検乙 6-4 5) 2 本件患者の前には 前置胎盤の手術を本件手術と同じ年に経験したが その際は輸血はしなかった旨 ( 担当医 11 尋問調書 ) を供述しているのみである (3) 麻酔医 Bの経歴麻酔医 Bの臨床経験年数は 記録からは不明である 2000 年 4 月に麻酔科専門医の認定を受けているので ( 麻酔科専門医は 麻酔に専従して満 5 年以上経過していることが認定のための条件になっている ) 本件事故の 2004 年 12 月までに 少なくとも9 年以上は麻酔に専従しているものと推測される ( 麻酔科 B 尋問調書 1~2 45~48) 本件事故までに 大野病院において帝王切開の麻酔を経験した症例数は 30 例弱である 大野病院に勤務する以前は 国立某病院に勤務していたときに 帝王切開の麻酔に 幾つか 関わった経験はあるが 具体的な症例数は不明である 国立某病院と大野病院のほかに 複数の病院に勤務した経験はあるが それらの病院では 出産や帝王切開の麻酔を経験したことはない ( 同尋問調書 1~2 45~48 項 ) 前置胎盤の帝王切開の経験数は 多くとも5 例程度であり 大野病院ではほとんど初めての経験であった 癒着胎盤の帝王切開の経験はない ( 同尋問調書 45~48 項 ) 11

3 第 1 事案の概要 0B1 診療経過の概要 (4) 助手 C 医師の経歴助手 C 医師は 外科医であり 医師資格を取得してから5 年目の医師である ( 助手 C 医師尋問調書 1~2 項 ) 帝王切開の執刀助手としての経験は 大体 10 例弱である ( 同尋問調書 30 項 ) 前置胎盤について勉強したのは 学生の国家試験対策のときだけである ( 同尋問調書 189~190 項 ) 2 専門家証人の経歴本件専門家証人は 癒着胎盤の病理診断については2 名 ( 杉野隆医師 中山雅弘医師 ) 産婦人科の臨床については3 名 ( 田中憲一医師 岡村州博医師 池ノ上克医師 ) である 以下 各証人の経歴や専門等について述べる (1) 杉野隆医師杉野医師は 福島県立医科大学病理学第二講座研究室に所属し 病理医として当時 23 年の経験を有するが 専門は腫瘍であり 胎盤病理について専門的に研究したことはない ( 杉野尋問調書 58 頁 336 項 ) 癒着胎盤症例の病理診断の経験は3 件あるが 本件は2 件目である 本件前に 癒着胎盤につき鑑定したことはない ( 同尋問調書 61 頁 390 項 ) なお 本件事故の捜査中に 再度の検査にあたり 福島県立医科大学病理部に保存してある過去の癒着胎盤の症例の標本約 10 例を観察した ( 同尋問調書 23 頁 141~142 項 ) こうした経歴から 本判決では 胎盤病理についての専門的な研究の経験はない 癒着胎盤を鑑別する技量が完成されたものであるか否かについては疑問を差し挟む余地がある 子宮筋層と絨毛の客観的な位置関係というレベルでは一応信用性が高いと評価できるが その位置関係のみから癒着胎盤の範囲 程度を導き出せるかは疑問 などと評価されている ( 判決 33~34 頁 ) (2) 中山雅弘医師中山医師は 大阪府立母子保健総合医療センター検査科部長であり 専門科目は周産期病理学 ( 胎盤病理を含む ) 小児病理学 SIDSである 胎盤の診断については約 5 万例の経験がある ( 年間平均 2000 例程度 ) これらのおよそ3 分の1について顕微鏡による病理診断を行った 子宮については子宮体部について280 例 子宮頚部について370 例程度 全摘出した子宮については60 例程度の診断経験がある 癒着胎盤に関する診断経験としては 大阪府立母子保健総合医療センター在職中の2 6 年間で 楔入胎盤 15 例 嵌入胎盤 8 例 穿通胎盤 1 例の経験がある そのうち 胎盤のみで癒着胎盤と診断した例は5 例程度である これらの経験から 本判決では いわば胎盤病理の経験豊富な専門家 鑑定手法の相当性や能力の高さは是認できる と評価している ( 判決 34 頁 ) 12

4 第 1 事案の概要 1B2 専門家証人の経歴 (3) 田中憲一医師田中医師は 現新潟大学教育研究院医歯学系教授 同大学医歯学病院産婦人科長 周産母子センター部長である 所属学会は 日本癌学会正会員 日本産科婦人科学会正会員 日本母性保護産婦人科医会正会員 日本生殖免疫学会正会員 日本妊娠中毒学会正会員 先進医療専門家会議構成員などである 専門分野は 腫瘍学 ( 産科婦人科の専門分野を 周産期 腫瘍学 生殖内分泌 その他の4 分野とした場合 ) である 産科の臨床経験はあるが 現在の臨床の中心は婦人科である 分娩経験数は 約 3000 件強であり 用手剥離は何回も経験しているが 癒着胎盤の経験は助手として1 件だけである ( 昭和 年前後 ) 所属する新潟大学医学部の医局検討会にて 34 例の前置胎盤症例を検討したことがあり 内 3 例は癒着胎盤症例で この3 例については いずれも胎盤剥離を完了している (4) 岡村州博医師岡村医師は 現東北大学大学院医学系研究科発達発生学講座周産期医学分野教授 東北大学病院産科科長 周産母子センター部長である 日本産科婦人科学会常務理事 同学会周産期委員会委員長 ( 専門 : 産科 周産期医学 ) であり 産婦人科医療経験は33 年間である ( ただし一時 細菌学教室に在籍していたことがある ) 分娩経験数は 1 万件以上であり 内 1000~2000 件ほどが帝王切開例である 帝王切開例中 100~200 件が前置胎盤例 前置胎盤例中の半分は用手剥離実施 前置胎盤例中 8~10 件くらいが癒着胎盤例 ( 内 1 例のみが帝王切開時に癒着胎盤例であることが確認できた その余は 臨床的には癒着胎盤と評価された例である ) である (5) 池ノ上克医師池ノ上医師は 平成 3 年 1 月から宮崎大学医学部生殖発達医学講座産婦人科学分野教授であり 平成 8 年 5 月から宮崎大学医学部付属病院周産母子センター部長 平成 19 年 10 月から 宮崎大学医学部長を務めている 日本産科婦人科学会宮崎地方部会会長 日本産科婦人科学会代議員 日本周産期 新生児医学会副理事長 日本母性衛生学会理事である 専門は 産婦人科学全般で 中でも周産期医学 ( とくに 胎児 新生児の管理 ハイリスク妊娠の管理 ) を専門としている 産婦人科医としての経験年数は 36 年である 鹿児島市立病院に勤務していたときには 年間 1000~1800 例の分娩を扱っており 宮崎大学に勤務している16 年間には 約 4720 例の分娩を取り扱っている ( 直接 間接の関与を含む ) そのうち帝王切開は30~40% である 宮崎大学に勤務している間の 前置胎盤の経験数は46 例 癒着胎盤の経験数は12 13

5 第 1 事案の概要 1B2 専門家証人の経歴 例である ( 池ノ上尋問調書 19 25~26 35~37 項 ) 3 死因について本件患者の死因について 刑事事件では 検察官は 出血性ショックによる失血死と主張し 弁護人は 羊水塞栓 産科 DICの可能性を指摘していた 記録にみられる死因に関する記載は 以下のとおりである (1) 死亡診断書死亡診断書記載の死亡原因は 以下のとおりである ( 検甲 3) ( ア ) 直接死因 : 心室細動 (2 時間 30 分 ) ( イ ) ( ア ) の原因 : 出血性ショック (1 時間 30 分 ) ( ウ ) ( イ ) の原因 : 妊娠 36 週癒着胎盤 帝王切開 ( 不明 ) ( エ ) ( ウ ) の原因 : 不明 ( 不明 ) (2) 専門家証人意見について本件では 遺体の解剖は行われていない 各専門家証人は 本件患者の死因について 以下のとおり述べている ア田中意見 大量の出血に起因する心室細動であり 大量出血した原因は子宮全摘術中の出血原因等 一部判断できない点もあるが胎盤剥離面と癒着胎盤の癒着部分をクーパー剪刀で剥離した部分よりの出血による失血死 としている ( 検甲 37 鑑定書 7 頁 ) イ池ノ上意見 資料からは死亡の原因が単なる循環血液量の不足のみなのか あるいはその他の何であるのかを推定することはできないが 循環血液量の不足以外の何らかの致死的な要素が関与していたことも否定はできないと考える としている ( 弁 132 鑑定意見書 4 頁 ) 何らかの致死的な要素 とは具体的に何かについては 鑑定意見書に記載はない 池ノ上医師は 公判廷では 15 時 7,8 分頃には産科 DICを発症していたのではないかと述べている ( 池ノ上尋問調書 263~ ~744 項 ) しかし 他方 循環血液量が大量に失われたことは患者の状態に非常に影響するとも述べており ( 同調書 752~754 項 ) 循環血液量の不足が死因であることを否定する趣旨ではないと思われる 大量出血の原因については 術中に行われた胎盤剥離の途中に癒着胎盤が発見され その癒着部位からの出血と考えるのが順当だと思われる としている ( 同鑑定意見書 3 頁 ) ウ岡村意見 14

6 第 1 事案の概要 2B3 死因について 鑑定書では 死亡原因は述べていないが 大量出血の原因については 前置胎盤の癒着胎盤により 剥離面からの制御不可能な出血があったためである としている ( 弁 131 鑑定意見書 8 頁 ) なお 公判廷では 一般論とは思われるが 癒着胎盤のときに 大量出血によるショック死はあり得ると述べている ( 岡村尋問調書 236 項 ) (3) 小括死亡診断書および田中意見と池ノ上意見は 本件死因を おおむね 癒着胎盤の剥離部からの出血による失血死 ( 循環血液量の不足による死亡 ) であるとしている ただし 池ノ上医師は 何らかの致死的な要素が関与していたことも否定はできない と付言している 専門家意見の中には 死因として 大量出血や出血性ショックによる失血死を否定して 弁護人の主張する羊水塞栓や産科 DICとするものはなかった この点 判決も 死因は 出血性ショックによる失血死 であり 総出血量のうちの大半が胎盤剥離面からの出血であることが認められる と認定しており 死亡診断書や上記専門家意見に沿うものである 判決は 弁護人の主張していた羊水塞栓については 1 気分不快は血圧低下によると解される 2カルテに羊水塞栓の可能性の記載はない 3 他に羊水塞栓をうかがわせる徴候はない 4 田中意見も羊水塞栓の可能性は低いと結論づけている との理由により否定した また 産科 DICについても 仮に本件患者が産科 DICの状態に陥っていたとしても その原因として 癒着胎盤剥離面からの大量出血以外のことは考えられないとしている ( 判決 31~32 頁 ) 15

7 第 2 癒着胎盤の詳細について 3B1 病理組織学的診断 第 2 癒着胎盤の詳細について 本件が全前置胎盤 ( 前置胎盤のうち 胎盤が内子宮口を完全に覆うもの ) かつ 癒着胎盤であることついては 異論はない しかし 1 前回帝王切開創と胎盤付着部位との位置関係 2 胎盤が癒着していた部位 面積 深さ等 癒着胎盤の詳細については 争いがあった 1 病理組織学的診断 (1) 事実関係ア概略本件で病理の対象となりえたのは子宮と胎盤であったが 胎盤については (3) で後述するように病理検査等されていない 子宮については 以下のとおり 4 回に渡って病理診断されている 平成 16 年 12 月 29 日 : 組織診診断書 ( 証拠としては出ず ): 杉野医師 平成 17 年 6 月 27 日 : 鑑定書 : 杉野医師 平成 18 年 11 月 18 日 : 鑑定書 : 中山医師 平成 19 年 1 月 22 日 : 捜査関係事項照会回答書 : 杉野医師それぞれにつき 検査対象資料がどのように作成され 何が検査されたのか 検査対象資料はどのように保管されていたのか等を検討する イ子宮について ( ア ) 組織診診断書 ( 平成 16 年 12 月 29 日 ) a 病理検査に至るまで子宮は 12 月 17 日 ( 事故日 ) に外科的に摘出された後 大野病院でホルマリン固定 10 日後に 福島県保健衛生協会組織診課に送られたようである ( 検甲 6) 大野病院から 保健衛生協会の組織診課を介して 福島県立医科大学病理学第二講座研究室に依頼があり 同研究室の杉野医師によって本件子宮の病理診断がなされた なお 福島医科大学と保健衛生協会は標本の診断で提携している ( 杉野尋問調書 ( 以下 単に 尋問調書 という )53 頁 333~ 64 頁 429) b 標本等の作成同課で 杉野医師による組織の切り出しがなされ 子宮は縦に 6 分割され その1 部 ( ;4 個 ) は顕微鏡観察用の 4 枚のプレパラートにされた ( 検甲 6 尋問調書 80 頁 585) なお プレパラートに載せる組織片は長さ 2.5~3 センチ 幅 2~2.5 センチほどである ( 尋問調書 81 頁 594) 子宮を肉眼的に見て 後壁から 2 ヶ所 (3 番のブロックからと推定 : 尋問調書 138 頁 1051) 前壁から 1 ヶ所 頸部から 1 ヶ所の合計 4 枚の標本が作成されたことになる ( 尋問調書 56 頁 344) なお 鑑定書に添付された写真 6 はその際に作成された標本である ( 尋問調書 17 頁 106) 16

8 第 2 癒着胎盤の詳細について 3B1 病理組織学的診断 各資料の作成者は以下のとおり 子宮の組織片の切り出しをしたのは 杉野医師 パラフィンブロックを作ったのは 保健衛生協会組織診課 プレパラートを作ったのも 保健衛生協会組織診課( 尋問調書 82 頁 597) c 問題となりうる点こうした分業により 1ブロックからプレパラートが適正に作成されたのか 2プレパラートの中に異物が混入したのでは 3 複雑な作成過程で子宮の組織片が挫滅するのではとの質問が弁護側からなされているが 杉野医師は1 照合は確認した オートメーション化されている 2ゴミが入っていれば顕微鏡で確認できる 3 組織が挫滅しないよう精度管理をしているので確率はかなり低い ( アーチファクトの可能性はかなり低い ) とそれぞれ回答している ( 尋問調書 82 頁 601 ~) d 診断この組織診診断書は証拠として提出されていない もっとも 杉野医師によって 子宮後壁に胎盤の付着を認めます 筋層の浅層まで胎盤が癒着しています との診断がなされたと証言がなされた ( 尋問調書 131 頁 1001~) e その後の子宮組織の取扱病理検査の後 鑑定の依頼があるまでの5ヶ月間 本件の子宮は 保健衛生協会組織診課において ホルマリンに漬かった状態で 他の 20 名くらいの検体と一緒に バケツで 保管されていた ( 尋問調書 79 頁 574) なお 子宮をバケツに入れたのは杉野医師ではない ( 尋問調書 118 頁 894) そして 杉野医師は 病理検査後 鑑定書の依頼がくる 1 から 2 か月前にバケツから子宮を取りだしている ( 尋問調書 119 頁 900) その間 杉野医師の他にバケツから臓器を取り出した人はいない ブロック 34 の下部については復元できなかった ( 尋問調書 140 頁 1064) ( イ ) 鑑定書 ( 平成 17 年 6 月 27 日 ): 杉野医師 a 鑑定に至るまで平成 17 年 5 月 11 日 杉野医師は 富岡警察署の警視渡部から 子宮 ( ホルマリン固定された臓器 ) 及び子宮片 ( パラフィンブロック 4 個 プレパラート標本 4 枚 ) を鑑定するよう渡された b 標本等の作成杉野医師は 6 分割されていた子宮にさらに 2 分割を加えて 8 分割にし それらを更に分割して子宮のブロックを 39 個作成し ( 尋問調書 12 頁 68~) ひとつのブロックからひとつのパラフィンブロックを作って その断面を観察できるようにプレパラートを作った ( 尋問調書 80 頁 584) パラフィンブロックはブロックを水平に 5 ミリの厚さで削いで作る ( 尋問調書 93 頁 697) 検甲 6 写真 7 下の子宮片の左側断面 3~5 ミクロンのところだけがプ 17

9 第 2 癒着胎盤の詳細について 3B1 病理組織学的診断 レパラートになる ( 尋問調書 94 頁 702) そして 癒着が確認されたプレパラートにつき 5,6 枚の写真が撮影された ( 尋問調書 81 頁 592) なお 鑑定書では癒着の程度 ( 楔入 嵌入 ) の分類はなされていない c 問題となりうる点鑑定にあたって 杉野医師に胎盤の写真が示されたかどうかもあいまいであり 胎盤の状態も勘案したうえでの 子宮組織の診断がなされることはなかった 絨毛など胎盤の組織は他の組織よりばらけやすいことから プレパラート作成時にアーチファクトが生じた可能性についても考慮すべきか また 平成 19 年 2 月 19 日に 鑑定書に関する追加説明書が作成されているが 証拠請求されてはいないため ( 尋問調書 96 頁 720) 内容は不明である e その後の子宮組織の取扱子宮は ヒストパックという袋の中にホルマリンをいれて そこの中に子宮の残臓器を漬けて 固定しながら保管された ( 尋問調書 151 頁 1133) ( ウ ) 鑑定書 ( 平成 18 年 11 月 18 日 ): 中山医師中山医師は 弁護人からの依頼を受け 胎盤の写真 ( 胎児面 母体面 ) 子宮の組織片 プレパラート標本を検討し 胎盤癒着を診断した ( エ ) 捜査関係事項照会回答書 ( 平成 19 年 1 月 22 日 ): 杉野医師 a 鑑定に至るまで弁護側中山医師の鑑定書が提出されたことを受け 杉野医師は 検察からの依頼を受け 再度 プレパラート標本を顕微鏡で観察し 検査 診断を行う b 標本等の作成当該診断にあたり 新たに標本が作成されたわけではなく 写真の顕微鏡標本については鑑定書作成時に作成されたものである ( 尋問調書 92 頁 682) c その後の標本の取扱 1 月 22 日付で杉野医師から検察官に返却された ウ胎盤について ( ア ) 病理検査まで胎盤は 事故日翌日である 12 月 18 日の時点では存在し 担当医により写真撮影されている ( 弁 36~40) しかし 胎盤については病理検査にも出されず 胎盤が保健衛生協会組織診課に送られたとの記載 記録はない すると 18 日以降に大野病院で廃棄されたことになりそうである なお 杉野医師の検面調書 ( 検甲 8 平成 18 年 3 月 6 日付 ) において 杉野医師が胎盤を切った旨の供述をしているかのような尋問がなされているが ( 尋問調書 78 頁 562) 同検面調書は 弁護人から不同意にされ撤回されているので その内容は不明である 18

10 第 2 癒着胎盤の詳細について 3B1 病理組織学的診断 ( イ ) 杉野鑑定にあたって杉野医師の鑑定にあたって 胎盤は示されなかったのみならず 胎盤の写真を示されたかの記憶もあいまいであり ( 尋問調書 71 頁 490) 胎盤は廃棄されて もうないと警察から言われたと述べている ( 尋問調書 141 頁 1070) 警察から依頼された鑑定事項の4には 胎盤の付着位置 面積 深度 形状 との記載があるが 胎盤が 付着 している部分のみについての鑑定依頼と杉野医師は認識していたし ( 尋問調書 152 頁 1142) 実際にも 胎盤についての鑑定はなされなかった (2) 医学文献ア癒着胎盤の分類癒着胎盤は 床脱落膜の形成不全および全欠損により 胎盤絨毛が子宮筋層に直接癒着する胎盤異常 のことである 癒着胎盤は 絨毛の嵌入の程度により 以下の3 つに分類されている ( 文献 75: 高木ら 65 頁 1991 年 文献 76: 中山 38 頁 2002 年 ) 1 真正癒着胎盤 絨毛の癒着が筋層に留まる 2 嵌入胎盤 絨毛が筋層内に浸潤を示す 3 穿孔胎盤 絨毛が筋層を越え 子宮漿膜あるいは外膜に達する イ癒着胎盤の組織所見 ( ア ) 文献記載癒着胎盤の組織所見について 文献には 以下 1~4のとおり記載されている 子宮組織の所見 (3) について記載したものもあれば 胎盤組織の所見 (4) について記載したものもある (12は 胎盤組織について述べたものか子宮組織について述べたものか 文献の記述からは不明確である ) 1 絨毛は子宮筋層とはニタブッフ線維素層 Nitabuch's fibrin layered で分離されているか あるいは筋層内に穿通している ( 文献 77: 齋藤訳 53 頁 ) 2 組織学的に真正癒着胎盤では 絨毛は薄いガラス化したフィブリン膜を介して子宮筋層に接している このフィブリン膜内にはわずかに脱落膜細胞が観察されるが 床脱落膜の形態は示していない ( 文献 75: 高木ら 65 頁 ) 3 切除子宮の胎盤付着部の H-E 染色標本において 組織学的に ( 報告者注 : 切除子宮の頚管部に近い内腔面の ) 血腫部に胎盤絨毛が少数残存しており 絨毛が子宮平滑筋層と直接接している 存在すべき脱落膜 が見られない 癒着胎盤の所見である 絨毛と筋層の間に脱落膜を認めない ( 文献 78: 堤 19 頁 ) 4 癒着胎盤が肉眼的に診断されることは極めて稀である 診断には 胎盤の母体面から多数切出し 組織的に子宮筋層が含まれているのを確認する とされている ( 文献 76: 中山 38 頁 ) ただし 穿孔胎盤の症例では 子宮について 肉眼的に筋層および外膜に伸展する妊娠産物と それによる子宮頚管層の離断が認められる という写真も紹介 19

11 第 2 癒着胎盤の詳細について 3B1 病理組織学的診断 されている文献もあるので 肉眼的に診断できる症例がない訳ではないと思われる ( 文献 75: 高木ら 65 頁 ) ( イ ) 文献で発見し得なかったこと刑事事件では 杉野意見と中山意見において 癒着があることについては見解が一致していたが 癒着の範囲と嵌入の深さについて 見解の相違があった しかし 癒着の有無に関する病理診断だけでなく 癒着の範囲 嵌入の深さに関する病理診断の手法について研究 論述した文献は 発見し得なかった また 刑事事件では 癒着の範囲や嵌入の深さが病理診断結果で明確になれば 胎盤剥離の難易度や大量出血に至った医学的機序が明らかになる という前提のもとに 癒着の範囲や嵌入の深さについて 争いになっていたと思われる しかし 癒着胎盤の病理診断結果と臨床所見 予後との相関関係 ( どの程度の癒着の範囲 嵌入の深さがあったときに どのような臨床所見があり どのような予後をたどるとされているのか さらには 癒着の範囲 嵌入の深さに関する病理診断結果から 臨床所見や予後についてどの程度推測できるのか ) について研究 論述した文献も 発見し得なかった ウ文献記載に関するまとめ癒着胎盤の組織では (ⅰ) 存在すべき脱落膜が認められず (ⅱ) 絨毛は ( 薄いフィブリン膜を接して ) 子宮筋層と接している この点に関する医学文献の記載は 一致している 癒着の詳細 ( 癒着の範囲 嵌入の深さ等 ) の病理診断に関して研究 紹介した文献は 発見し得なかった したがって 癒着の範囲や嵌入の深さの診断手法について 広く認められた医学的知見があるのかどうかについては 明らかではなかった また 子宮や胎盤の病理診断の精度 難易度 限界 病理診断結果と臨床所見 予後との相関関係についても 文献からは 明らかではなかった (3) 専門家証人意見ア杉野意見本項では 杉野隆医師の証言内容 ( 第 5 回公判 ) について検討する ( ア ) 検討対象 a 杉野医師は鑑定にあたり 子宮を 8 分割にし それを更に分割して子宮のブロックを 39 個作成し ( 尋問調書 12 頁 68~) ひとつのブロックからひとつのパラフィンブロックを作り その断面をすべて観察できるようにプレパラートを作成し ( 尋問調書 80 頁 584) 顕微鏡で観察している なお 胎盤( 異常胎盤 ) は鑑定の対象とされておらず 杉野医師は 胎盤の写真を見せられたかの記憶もあいまいと証言している b さらに 鑑定がなされた後 ( 鑑定書作成 : 平成 17 年 6 月 27 日 ) 捜査関係事項照会回答書 ( 平成 19 年 1 月 22 日 ) において 再度 癒着胎盤を診断しているが 20

12 第 2 癒着胎盤の詳細について 3B1 病理組織学的診断 その際の検討対象は 鑑定時に作成された子宮片の顕微鏡標本である c また 鑑定に先立つ平成 16 年 12 月 29 日 大野病院から保健衛生協会の組織診課を介する依頼を受け 子宮の病理検査を行っている ホルマリン固定された子宮につき 杉野医師によって組織の切り出しが行われた 子宮は縦に 6 分割され その一部 ( ;4 個 ) は顕微鏡観察用の 4 枚のプレパラートにされた ( 検甲 6 尋問調書 80 頁 585) それらを検討対象として 組織診診断書が作成されたが 証拠としては提出されていない ( 尋問調書 53 頁 333~ 64 頁 429) なお 胎盤については 病理検査の対象とされておらず 胎盤が保健衛生協会組織診課に送られたとの記載 記録もない ( イ ) 癒着胎盤の評価杉野医師は 基本的には 絨毛組織と子宮筋層の間に脱落膜組織が介在しないものを癒着胎盤 と判断している つまり 顕微鏡標本を観察して 絨毛組織と筋層の間に脱落膜組織がないものを癒着胎盤と評価している ( 尋問調書 14 頁 79) この基準をもとに 本件における癒着胎盤の範囲及び程度については 以下のように述べている a 癒着胎盤の範囲杉野医師は 癒着胎盤の範囲につき 子宮後壁では摘出子宮下半分にかけて 子宮前壁では中央から右寄りの子宮下部と中央から右寄りにかけての子宮体部に認められる 癒着の範囲は広範囲に及ぶうえ 前回帝王切開創にあたる部分 ( 標本 27) にも癒着があった (a) 癒着が広範囲に及ぶと推定した理由一般論として 癒着胎盤は局所的にピンポイントで起こるものではなく ある程度面として 筋層に接着するか入り込んで起こるので その点を線で結んで範囲を決定するのは出来る ( 尋問調書 44 頁 274) 本件では 子宮前壁では 標本 が楔入胎盤 標本 が嵌入胎盤 子宮後壁では 標本 が楔入胎盤 標本 が嵌入胎盤であり これらをもとに推定すると 子宮後壁では摘出子宮下半分にかけて 子宮前壁では中央から右寄りの子宮下部と中央から右寄りにかけての子宮体部の広範囲に癒着が及んでいたといえる この点 本判決では 本件胎盤の形や大きさ 本件帝王切開創部分と胎盤との位置関係 臍帯を引いた時の胎盤と子宮の形 本件胎盤の剥離時の状況 妊娠末期の子宮の形や大きさなどをもとに 杉野医師指摘の標本部分全てに癒着胎盤があったかは相当に疑問としている (b) 前回帝王切開創にも胎盤癒着があったと診断した理由標本 27 には 縫合糸と その周囲に膠原繊維が多く見られる瘢跡組織が確認される 組織の損傷があってから時間が経過した古い傷と考えられるので その部分が前回の帝王切開創と判断 そして 標本 27 には前記のように嵌入胎盤 21

13 第 2 癒着胎盤の詳細について 3B1 病理組織学的診断 であるため 前回帝王切開創にも癒着胎盤があった この点 本判決では 標本 27 の部分は用手剥離等によらず剥離できるとする剥離時の状況 及び中山医師は標本 27 には癒着なしと判断していることから 癒着胎盤といえるか疑問としている (c) 鑑定書と捜査関係事項照会回答書での診断が異なった理由杉野医師は 鑑定書では癒着胎盤ではないと判断した複数の部位について 捜査関係事項照会回答書では癒着胎盤であると診断しており その理由につき 以下のように説明している ( 尋問調書 21 頁 134) Ⅰ 鑑定書では 紛らわしいところは絨毛組織と判断しなかったが 捜査関係事項照会回答書では よく見ると 絨毛組織の構造が残り 絨毛を構成する細胞が認められたところがあり 絨毛組織と診断した Ⅱ 栄養膜細胞と脱落膜細胞の区別は困難であり 鑑定書では 判断が難しいところは脱落膜としておいたが その後学習し 捜査関係事項照会回答書では 栄養膜細胞であると判定しえたため 癒着胎盤であると診断を変更した なお 栄養膜細胞と脱落膜細胞の区別の基準については 脱落膜細胞は細胞質が明るく 核が小さく 細胞が密集している一方で 栄養膜細胞は細胞質の色が濃く 核が大型で 細胞が密集していないと述べる ( 尋問調書 22 頁 139) (d) アーチファクトについて杉野医師は アーチファクトについて明示的に判断しているとはいえない 標本作成時の挫滅の可能性については プレパラートを作成するにあたっては組織が挫滅しないよう精度管理をしていることを理由に 挫滅の確率はかなり低いとしている ( 尋問調書 82 頁 601~) また 手術手技による挫滅の可能性については 標本 34 につき挫滅部分があることを認めたうえ 胎盤を剥離した際に挫滅が生じたのだろうとしており 否定しているとはいえない なお 標本 34 の挫滅が標本作成時に挫滅が生じた可能性については 固定した後に標本をつくる間に 細胞の核が引き延ばされたような形になることはあり得ないだろうことを理由に否定している ( 尋問調書 128 頁 984) b 癒着胎盤の程度 (a) 程度楔入胎盤 = 標本 嵌入胎盤 = 標本 筋層の 2 分の 1 程度まで侵入と推定 ( 尋問調書 52 頁 324~ 83 頁 606~) (b) 癒着の程度の判断方法 楔入胎盤: 絨毛組織が筋層に脱落膜を介さずに直接接する状態 嵌入胎盤: 絨毛組織が子宮筋層の中に入りこむ状態 穿通胎盤: 絨毛組織が子宮の外膜にまで達し 穿通する状態 ( 尋問調書 14 22

14 第 2 癒着胎盤の詳細について 3B1 病理組織学的診断 頁 81) 上記のように分類し 絨毛の子宮筋層への侵入の有無 深度によって判断 そして 癒着胎盤で嵌入している場合には子宮の面として筋層が侵食されて薄くなる 胎盤絨毛が子宮筋層の中に入り込むと子宮の筋は消失することを理由として 本件では 癒着胎盤がある部分の子宮壁が それに相応する他の部分 ( 癒着がない同じ高さの部分 ) の 2 分の 1 程度に薄くなっていたため 筋層の 2 分の 1 程度まで侵入と推定している この点 本判決では 癒着がない同じ高さの部分と比較する方法につき 胎盤残存部分は子宮収縮が悪くなることや収縮は区々であること等から誤差が大きいとされ 胎盤絨毛が子宮筋層の中に入り込むと子宮の筋は消失するとの考え方につき 消失の原因が不明であるし広く認知された考えとはいえないとされ 疑問が呈されている イ中山意見本項では 中山雅弘医師の証言内容 ( 第 8 回公判 ) につき検討する ( ア ) 検討対象中山医師が証言にあたり検討した資料は 胎盤の写真 ( 胎児面 母体面 ) 子宮の組織片 プレパラート標本である 杉野医師と異なり 胎盤の現物を直接観察はしていない 胎盤の写真は平成 16 年 12 月 27 日 ( 胎盤が摘出された日 ) の午後 10 時から 11 時頃に撮影されたものである この点 中山医師は このような写真であれば 病理診断による鑑定に十分問題なく使えると述べている ( 尋問調書 20 頁 108) 子宮の組織片は ホルマリンに残っていた組織で 肉眼による観察を行い プレパラート標本は パラフィン包埋された標本で 顕微鏡写真撮影を行ったものである 判決も指摘するところであるが 中山医師が検討した胎盤に関する資料は写真のみであり 現物を見るのと比べ 果たして適切な鑑定を行うことができるのか疑問がある ( 判決では 撮影時の光線の加減等により 胎盤の現物を観察することに比べて鑑定の正確性には自ずと限界がある との指摘がある ( 判決 34 頁 ) ) ( イ ) 胎盤病理鑑定の一般論中山医師は 弁 151 号証 鑑定書 ( 追加 ) において 胎盤病理鑑定の手法や及び留意点について述べている a 病理鑑定の手法癒着胎盤の鑑定手法は 子宮の組織標本を観察し 絨毛が子宮筋層と接し あるいは侵入しているかどうかを観察することにより行う その際 胎盤の大きさ 形状 重さ 母体面の状態なども考慮する 子宮及び胎盤の肉眼的観察も重要であり これらを総合考慮して判断することになる 臨床上の所見も重要であり 可能であれば臨床医が立ち会い 胎盤の付着部位や 23

15 第 2 癒着胎盤の詳細について 3B1 病理組織学的診断 出血部位を確認しながら標本を作製することが適切である b 病理鑑定の留意点 1 顕微鏡観察用の組織標本の作製方法 摘出した臓器をホルマリン水溶液によって固定する ホルマリン固定された子宮の切り出しを行い 切片を作成する 切片をパラフィンで包埋する( パラフィンブロック ) ミクロトームと呼ばれる機械で数ミクロンから十数ミクロンの薄さにスライスする プレパラートにのせる パラフィンブロックのスライスからパラフィンを除去し 染色を加えて完成させる 2アーチファクトについて本件では 用手剥離の後 クーパーによる剥離を行い 子宮が摘出されている したがって 1 手術手技によって観察対象となる絨毛などの組織が破壊されていること 2 絨毛などの組織が本来の場所から移動して摘出時にすでに別の部位の表面に付着している可能性があることを考慮すべきである 胎盤の組織は他の組織よりもばらけやすいことにも留意すべきである 3 問題点判決では 上記 鑑定書 ( 追加 ) 作成の際に改めて子宮片 顕微鏡標本の観察をしていない上 アーチファクトについて当初の鑑定で述べておらず杉野鑑定弾劾目的が過度に強調されている旨指摘されているが ( 判決 35 頁 ) 胎盤の変性等も考慮すれば アーチファクトも無視できない要素と考えられ いかなる基準でアーチファクトか否かを判断するのか検討を要すると思われる ( ウ ) 癒着胎盤の判断中山医師は 基本的には 胎盤側であれ子宮壁面側であれ脱落膜組織の残存が認められるときは癒着胎盤ではない と述べ ( 尋問調書 30 頁 179) 本件における癒着胎盤の範囲及び程度については以下のとおり述べる a 癒着胎盤の範囲 1 子宮前壁について子宮前壁については 肉眼では癒着胎盤は認められないとする ( 弁 151 鑑定書 ( 追加 ) 尋問調書 32 頁 192) その理由としては 標本 23~39の組織の観察 胎盤母体面右側部分に光沢のある脱落膜が観察されること 子宮切片の前壁内側部分はなめらかであることが挙げられている ( 弁 151) また 今回帝王切開創より上の部分( 標本 24-1~3) 標本 28,29,33には陳旧性の壊死絨毛が観察されるため絨毛膜無毛部であり 胎盤が付着していたとは考えられないとする ( 弁 151 尋問調書 30 頁 181) 2 子宮後壁について 24

16 第 2 癒着胎盤の詳細について 3B1 病理組織学的診断 子宮後壁については 癒着胎盤が肉眼的に確認できるとする ( 弁 130) その根拠として 癒着胎盤と考えられる部位は 胎盤母体面全体像において 中央左側部分にあり ( 別紙 2) その他の部分は白く光沢性があり脱落膜が存在していること ( 弁 130,151) 残存子宮片の後壁に対応する部分はざらざらした感じがあって滑らかでないこと ( 前壁の方は滑らかである )( 尋問調書 3 2 頁 190) 胎盤写真と見比べると脱落膜がない部分とほぼ一致し( 尋問調書 33 頁 195) その部分が癒着部分であると指摘する また 癒着部分には 鋭利な器具を使った剥離の痕跡はないと述べる ( 尋問調書 33 頁 197) この点 判決は 胎盤の写真のみによる鑑定の限界に関し 現に 同医師 ( 注 : 中山医師 ) が 脱落膜が欠落している部分として図示した範囲が 鑑定書 ( 弁 130) と公判廷とで一部が異なり 異なっている部分の光沢と一致している部分の光沢に違いを感知できないことからすれば 本件胎盤の写真を根拠として癒着の有無を正確に判断することには困難が伴うと考えざるを得ない ( 判決 34 頁 ) と指摘するが 直接胎盤を観察していないことによる限界をどのように捉えるか また 脱落膜の存在の判断基準は何か 検討を要すると思われる 3 絨毛の残存について組織切片で絨毛が観察される部分は幅広く 後壁の子宮底部周辺や前壁にも認められると指摘する ( 弁 130) 具体的には標本 6,9-1および2, 標本 14-1~3, 標本 24-1~3, 標本 26, 標本 27-1~4, 標本 29, 標本 30,31のプレパラート標本 ( 弁 130,151) そして その観察結果につき以下のとおり指摘する この部分は子宮壁との間に脱落膜が介在し癒着胎盤ではない( 弁 130) 絨毛は脱落膜に接し フィブリンと共に存在し しばしば変性 梗塞を起こしていた 胎盤外膜の組織が子宮底や前壁に広く存在し 膜内に変性絨毛が存在したと推測される ( 弁 130) 標本内のごく一部に絨毛が観察され その量は極めて少ないこと 表面に浮遊する膜状の部分にごく一部が見られることから 他の部位からの移動を含むアーチファクトの可能性を否定できない ( 弁 151) 絨毛があるからその上に胎盤がのっかっていたという推論は無理( 尋問調書 34 頁 203) b 癒着の程度 1 程度楔入胎盤 = 標本 3,4-1~2,7,8-1~2,11,12,13,19-1~2 嵌入胎盤 = 標本 17-1~2,20,21,22-1~3 2 癒着の程度の判断方法 25

17 第 2 癒着胎盤の詳細について 3B1 病理組織学的診断 顕微鏡標本を観察し 絨毛が子宮筋層のどの程度の深さまで侵入しているか ( 浸潤度 ) で判断するのが通常の方法である ( 弁 130,151) 標本 17-1~2,20,21,22-1~3は 筋層全体の5 分の1 程度であり 浅層の嵌入胎盤と判断できる また 嵌入胎盤である後壁の顕微鏡的観察で筋融解の所見は認められない ( 弁 151 尋問調書 40 頁 247) 判決では 杉野鑑定同様 中山鑑定の方法も誤差を含むとされたが 両者とも本件の癒着 胎盤が嵌入胎盤であることは一致しているため 争点の判断に質的な影響を与えないとして 5 分の 1 と認定している ( 判決 38 頁 ) (4) 文献 両専門家証人意見の相違点ア両専門家証人意見の比較 ( ア ) 脱落膜組織の有無杉野医師 中山医師共に 脱落膜組織の有無によって癒着胎盤か否か判断するという点では一致している ( 絨毛組織と筋層との間に脱落膜組織がないものを癒着胎盤と診断する ) が 脱落膜組織の有無の具体的な判断手法が異なっている 杉野医師は 脱落膜細胞の特徴を 細胞質が明るく 核が小さく 細胞が密集している と述べるのに対し 中山医師は 白く光沢性がある と述べる その結果 杉野医師と中山医師が各々診断した癒着胎盤の範囲は 杉野医師の方が癒着を広範囲に認める結果となっている しかしながら 両者の判断基準は抽象的であるため 結論に差異が生じる理由は不明確である ( イ ) アーチファクトの有無絨毛の見られる標本について 中山医師は 標本内のごく一部に絨毛が観察される場合や表面に浮遊する膜状の部分にごく一部が見られる場合などはアーチファクトの可能性も否定できないと指摘し したがって 子宮筋層と絨毛が接している標本であっても癒着胎盤ではないと診断している標本もあるが 杉野医師は 標本作成時の挫滅の可能性はかなり低いとして 明言はしないものの アーチファクトの可能性を極めて低いものと評価していると考えられ その結果 広汎に癒着胎盤と診断するに至っていると考えられる しかし この点についても その判断基準は必ずしも明確ではない イ文献との相違点癒着胎盤の組織では (ⅰ) 存在すべき脱落膜が認められず (ⅱ) 絨毛は ( 薄いフィブリン膜を接して ) 子宮筋層と接しているという点については 両専門家証人意見と文献は一致していると思われる しかし それ以外の点については 癒着の詳細 ( 癒着の範囲 嵌入の深さ等 ) の病理診断手法に関する文献を発見し得なかったので 両専門家証人意見の鑑定手法と文 26

18 第 2 癒着胎盤の詳細について 3B1 病理組織学的診断 献が一致しているかどうかは不明である 2 診療経過を踏まえた検討 (1) カルテ記載ア胎盤付着部位について手術当日付のカルテには 胎盤付着部位をみると 後壁ほとんどが胎盤でおおわれ 一部前置胎盤であった 胎盤付着部位 : 実際は メインは 後壁 ママ と記載されている * 本件事故後に病院が作成し 遺族に交付した 平成 16 年 12 月 26 日 (* 担当医 ) 説明 の文書には 第一回帝切 前置胎盤のリスクはあったが 子宮下部横切開創付近 ( 子宮前壁 ) への胎盤付着は 横半分のみであったこと 胎盤付着のメインは後壁だった と記載されている イ癒着胎盤の部位について胎盤が癒着していた部位については 記載がなく 手術当日付のカルテに 癒着胎盤 (++) とあるだけである 平成 16 年 12 月 22 日付組織診検査依頼票 ( 子宮 ) の 現症経過及び所見 には 子宮後壁 ~ 下部にかけての癒着胎盤認め 依頼趣旨 には 前壁 後壁 子宮下部の癒着胎盤の程度 と記載されている (2) 担当医の供述ア胎盤付着部位について前回帝王切開創と胎盤付着部位の関係について 供述調書では 胎盤の付着位置と帝王切開創の関係は気にしていなかったし 見ても分からなかった と述べている ( 検乙 10-7) 他方 公判廷では 前回の帝王切開の傷あとと思われる部分には胎盤はなかった と述べており ( 担当医 7-315~317,320) 供述にくい違いがみられる イ癒着胎盤の部位について供述調書では 胎盤を手で剥離することができなくなったとき 剥離している場所が後壁だったので 後壁だし まさか癒着胎盤ではないよなと思った ( 検乙 17-3) 胎盤娩出後 子宮の後壁下部から湧き出るように出血していることが分かった時 出血したのは癒着胎盤が原因に違いないだろうと思っていた ( 検乙 16-3,5) と述べており 癒着部位は後壁であるとしている 公判廷でも 後壁に癒着胎盤があったとの供述をしている ( 担当医 9-81) (3) 専門家証人意見田中意見 池ノ上意見 岡村意見は 診療経過を踏まえて後方視的に見た癒着胎盤の 27

19 第 2 癒着胎盤の詳細について 4B2 診療経過を踏まえた検討 詳細 ( 癒着の部位 面積 深さなど ) について検討していない 癒着胎盤の詳細と大量出血の関連についても 検討していない 3 小括以上のとおり 病理組織学的診断と診療経過を総合考慮して 後方視的にみたときに 本件癒着胎盤の詳細はいかなるものだったのかは 判然としなかった 28

20 第 2 癒着胎盤の詳細について 6B1 術前診断 ( 子宮切開前の術中診断を含む ) 第 3 術前の診療経過について 1 術前診断 ( 子宮切開前の術中診断を含む ) (1) 医学文献ア前置胎盤についての診断前置胎盤の確定診断のためには 経腟超音波断層法が最も有用であるとされている ( 文献 頁 2007 年 ) イ癒着胎盤についての診断 ( ア ) 癒着胎盤のリスク因子 発生頻度および診断方法癒着胎盤の病因は 子宮内の炎症や外科手術による子宮壁の瘢痕組織の存在により 脱落膜の発育不全 発育障害が起こり 床脱落膜の欠如が起こった結果 胎盤絨毛が直接子宮筋層に付着ないし侵入するために起こると考えられている ( 文献 頁 ) そのリスク因子としては 子宮内膜炎 過度の子宮内掻爬 前回胎盤用手剥離 前回帝王切開術 筋腫核出術 子宮奇形手術など子宮内膜の炎症や損傷によるものに加え 先天性子宮内膜形成不全 子宮奇形 子宮筋腫 多産などがあるが 特に前置胎盤での癒着胎盤合併頻度が高いとされている ( 文献 頁 ) 癒着胎盤の発生頻度については 前置胎盤の約 5~10% に癒着胎盤が合併し 帝王切開既往回数 1 回の前置胎盤癒着胎盤頻度は 14% であると述べる文献がある ( 文献 32 ガイドライン 2008) 他方では Clark らの報告によれば前置胎盤に癒着胎盤が合併する頻度は5% であるのに対し 1 回帝切既往の前置胎盤では 24% となり 2 回以上では 47% 4 回以上では 67% にもなるとの文献 ( 文献 頁 ) や 全前置胎盤における嵌入 穿通胎盤発症率は 帝王切開既往 0 回の場合 1.12% であるが 1 回では 37.8% 2 回では 46.6% であると報告する文献 ( 文献 頁 ) もある また 特に前回帝切既往の子宮前壁 ( 子宮創部 ) 付着前置胎盤は高頻度で癒着胎盤となるとする文献 ( 文献 頁 ) や 既往帝王切開術 1 回で 35 歳未満の場合 子宮切開創瘢痕部上に胎盤がない場合の癒着胎盤発生頻度は 3.7% 子宮切開創瘢痕部上に胎盤がある場合は 15.9% であるとする文献 ( 弁 9 10) もある この意味で 帝王切開既往の場合 胎盤の位置確認は重要であると考えられる なお 既往帝王切開前置癒着胎盤 26 例の平均出血量は 3,915mlであるとの文献 ( 文献 頁 ) や 子宮摘出を要する癒着胎盤の平均出血量は 3,500ml(900 ~21,000ml) とする文献 ( 文献 頁 ) があるように 癒着胎盤の場合には大量出血により母体の生命に危険が及ぶ可能性があるとされている 穿通胎盤における母体死亡率が7% であるとする文献もある ( 文献 頁 ) 癒着胎盤の診断は 多くの医学文献において 超音波断層法 カラードプラ法 MRI 検査 母体血中 α-プロテインの測定 尿中潜血の測定 術中所見などを組み合わせて行うものとされている 以下 診断方法を個別に述べる 29

21 第 2 癒着胎盤の詳細について 6B1 術前診断 ( 子宮切開前の術中診断を含む ) ( イ ) 画像検査 ~ A 超音波断層法エコー検査により癒着胎盤を示唆する所見は 文献によれば次のとおりである 文献 80 日本産科婦人科学会雑誌 60 巻 1 号 206 頁 2008 年 1irregularly shaped placental lacunae( 胎盤実質内の不規則形をした無エコー領域 ) 2loss of the retroplacental clear space ( 胎盤後方の低エコー域の消失 ) 3thinning of the myometrium overlying the placenta( 胎壁付着部の子宮筋層の菲薄化 ) 4protrusion of the placenta into the bladder( 胎盤の膀胱への突出 ) 5increased vascularity of the uterine serosa-bladder interface( 子宮漿膜と膀胱壁の境界の血管増生 ) 6sponge like echo in low uterine segment and/or cervix( 子宮下節から頸部にかけてのスポンジ様エコー ) 7turbulent blood flow through the lacunae on Doppler ultrasonography ( カラードプラ像での lacunae における乱流の増加 ) 癒着胎盤の病態からこれらの超音波所見の意味を考えてみると 2が最も直接的な所見といえる 文献 21 産婦人科の実際 57 巻 6 号 900 頁 2008 年 1Clear zone の消失子宮筋層と胎盤組織との境界には低超音波域があり clear zone (echoluce nt space) といわれる clear zone は基底脱落膜を示す所見と考えられている 癒着胎盤では基底脱落膜が欠損し 胎盤絨毛と子宮筋層とが直接接触する 従って 基底脱落膜を示す clear zone の消失は 癒着胎盤を直接的に示す所見であり 特に重要と考えられる 2Placental lacuna の出現胎盤内から子宮筋層内に 辺縁不正の 虫食い像のような低輝度の液体貯留像が見られ lacuna と呼ばれる その病態の詳細は不明であるが 癒着胎盤との関連性は高い 診断感度は約 80~90% であり また lacuna が多いほど癒着胎盤の可能性も高いことが知られている Lacuna 内は液体で 乱流を伴う血流を認めることが多い ( なお 同文献には この血流をカラードプラ像により確認した図版が掲載されている ) 3 膀胱境界線の不正子宮頸部と膀胱との間の漿膜は 通常 超音波輝度の高いスムーズな線として描出される 癒着胎盤ではこの線が途切れ途切れとなり また胎盤組織が膀胱側に突出するように見えることがある 30

22 第 2 癒着胎盤の詳細について 6B1 術前診断 ( 子宮切開前の術中診断を含む ) この 2 所見は癒着胎盤に特徴的であるが診断感度は低く すべての癒着胎盤に 認められるわけではない 他方において 文献上は妊娠中の超音波による癒着胎盤の診断は困難とされ ( 検甲 頁 2003 年 ) 特に癒着部位が子宮後壁の場合( 文献 頁 2007 年 ) は胎児の影になって所見がとりにくいとの見解もある ( 弁 137) また 嵌入胎盤や穿通胎盤など侵入程度が高度な場合や広範なものは確診できるが 癒着胎盤 (placenta accrete) や癒着が部分的な場合 疑うことはできても確診は困難であるとする文献もある ( 文献 81 産婦人科の実際 57 巻 12 号 1974 頁 年 ) ( ウ ) 画像検査 ~ Bカラードプラ法カラードプラ法は 超音波を用いて血流の存在や量 速度等を測定する検査方法である この方法の有用性については 文献上 次のような説明がなされている 癒着胎盤では胎盤から子宮筋層内へ さらに筋層外にまで入り込むような血管像の増強を認める場合がある 胎盤と周囲組織との間に あるいは膀胱境界線に豊富な血流乱流を認める場合もある このようなカラードプラ所見が癒着胎盤に特徴的か否か あるいは通常の超音波画像所見以上に癒着胎盤の正診率を上げるか否か 結論には至っていない また 前述のごとく placental lacuna 内にも血流を認めることが多く lacuna か否かの鑑別診断に有用である ( 文献 頁 2008 年 ) 文献によっては 超音波断層検査に比し異常血管像や血流の観察にはより有用で 正診率をあげる ( 検甲 頁 2001 年 ) とか 超音波断層法と併用することで診断の精度が向上すると思われる ( 検甲 頁 2004? 年 ) とするものもある一方で 現在のところ グレースケール断層像での成績を超えるエビデンスは示されていないとの報告もある ( 文献 80 日本産科婦人科学会雑誌 60 巻 1 号 206 頁 年 ) ( エ ) 画像検査 ~ CMRI 検査 MRI 検査については 超音波検査では得られない所見 特に癒着部分の範囲の描出に優れているので 超音波検査に加え MRI 検査を併用することも有用と思われるとする文献 ( 文献 81 産婦人科の実際 57 巻 12 号 1974 頁 2008 年 ) がある その一方で 特に子宮後壁付着の癒着胎盤の診断に有用であるとの報告があるが 超音波断層法やカラードプラ法以上の所見は得られることが少ないとの文献 ( 検甲 頁 2004? 年 ) や 現時点では MRI 画像が超音波画像よりも優れているという明らかな事実は示されておらず 妊娠後半期に入ると子宮筋層が伸展し菲薄化するために 癒着胎盤の診断精度も下がると推測されているとの文献 ( 文献 頁 2008 年 ) もある また MRIを用いた分娩後の癒着胎盤の診断は報告されているが 妊娠中の癒着胎盤の診断は胎児の動きによるアーチファクトの問題や 超音波断層法やカラードプラ検査以上の所見が得られないことから 現在のところすぐれた診断法とはい 31

23 第 2 癒着胎盤の詳細について 6B1 術前診断 ( 子宮切開前の術中診断を含む ) えないが 子宮後壁付着の癒着胎盤では超音波診断は困難で MRI 検査のほうがすぐれているという文献 ( 文献 頁 2000 年 ) もある ( オ ) 母体血中 α-フェトプロテイン胎児に異常の見つからない 妊娠中期の母体血中 α-フェトプロテインの上昇は癒着胎盤の可能性があり 画像診断と組み合わせることにより 正診率を上げられるとされている ( 検甲 頁 2001 年 ) ( カ ) 血尿血尿は膀胱への穿通胎盤の症状であることがあり 前置胎盤前壁付着の血尿例では膀胱鏡が決め手となるとされている ( 検甲 頁 2001 年 ) ( キ ) 子宮切開前の術中所見 ~ 子宮前壁から膀胱周辺の血管怒張など子宮瘢痕創部周囲の血管が無数に怒張しているような場合や ( 弁 143 引用資料 頁 竹田省ほか 1996 年 ) 子宮壁の紫色への変色あるいは胎盤が透けて見える場合には癒着胎盤の可能性が高い ( 検甲 頁 2000 年 ) とされている また 分娩前あるいは帝王切開前に癒着胎盤の診断を確実に付けておくことは困難であり リスク因子や画像診断を用いても 全例を分娩前に診断することは難しく 最終的には開腹所見や胎盤剥離時の臨床所見から診断しなくてはならない 開腹時の子宮前壁 ~ 膀胱周辺部の漿膜に 怒張した血管がないかどうかは非常に重要所見である われわれは 帝王切開の既往がない前置癒着胎盤症例においても同所見を認めたことがあり 本所見を認めた場合は十分に人員を揃えてから児娩出を開始するべきと考える ( 文献 82 臨床婦人科産科 63 巻 1 号 55 頁 2009 年 ) とする文献もある なお 子宮壁の血管怒張については 後記 頁の第 4 2(1) ア ( イ ) 同 (2) も参照されたい ( ク ) 小括以上のとおり 前置胎盤や帝王切開既往は癒着胎盤発症の可能性を高めるリスク因子であり 癒着胎盤の場合には大量出血により母体の生命に重大な危険が及ぶ可能性があるとされている そして 癒着胎盤の術前診断において中心的な方法は画像検査である したがって 帝王切開既往歴のある前置胎盤例であるとの情報を得た場合には 癒着胎盤の可能性を考慮し 術前の画像検査において 胎盤の位置 すなわち前回帝王切開創上に胎盤がかかっているか否かを十分に観察すると共に clear space (clear zone) の消失 placental lacunae の存在 その他の癒着胎盤を示唆する所見についても細心の検査 診断を行うことが求められていると思われる また 補助的な検査方法として母体血中 α-フェトプロテインや尿潜血の検査が参考となりうるほか 開腹時の子宮の所見 ( 特に血管の怒張状況 ) がこれらを補うものとしてあるとされている しかし 他方で 癒着胎盤術前正診率向上に超音波 / カラードプラ検査 MRI 検査等が寄与したとの報告もあるが 前置癒着胎盤を確実に術前診断あるいは否定 32

24 第 2 癒着胎盤の詳細について 6B1 術前診断 ( 子宮切開前の術中診断を含む ) する方法は現在のところまだない ( 文献 32 ガイドライン 2008) とされているように 癒着胎盤 ( 特に子宮後壁 ) の術前診断は困難であると指摘されている なお 本件判決は 癒着胎盤のリスク因子 発生頻度および診断方法について次のように述べている 癒着胎盤は床脱落膜の欠損により起こり 2000 から 4000 例に1 例発症するとの報告がある 癒着胎盤を発症しやすいリスク因子としては 前回帝王切開既往 前置胎盤 ( 子宮下部は脱落膜がないか あるいは薄いため ) が挙げられる これらのリスク因子の中でも帝王切開既往が最も多く 20 から 30% が次回妊娠時癒着胎盤となる可能性を持つとの文献もある 特に 前回帝王切開既往の子宮前壁 ( 子宮創部 ) 付着前置胎盤は 高頻度で癒着胎盤となる 前置胎盤で癒着胎盤となる頻度は5% であるが 前回帝王切開の前置胎盤では 2 4% となるとの報告もされている 癒着胎盤であるか否か 及び癒着の程度は 摘出子宮の病理検査により確定的に診断され 顕微鏡的な観察以前に癒着胎盤の3 分類を確定的に診断することは不可能である 妊娠中は 超音波断層法 カラードップラ法 MRI 検査などを用いて診断を行う その他 子宮下部前壁に付着した穿通胎盤で膀胱へ穿通した場合 膀胱鏡により絨毛組織の膀胱壁への侵入が確認されることがある 少なくとも 胎盤組織が子宮筋層に入り込んでいて 子宮の外側から見えるような明らかな穿通胎盤があれば 子宮切開前に子宮を見て 肉眼的にある程度診断可能である ( 判決 37 頁 ) 以上を前提として 術前診断に関する事実関係について検討する (2) 事実関係以下 本項においては 原則として 証拠から分かる事実 と 判決の認定 を対比しつつ述べる ア前置胎盤についての術前診断 証拠から分かる事実 県立大野病院医療事故調査委員会作成の 平成 17 年 3 月 22 日付け報告書 によれば 担当医は 本件患者の妊娠初期より超音波検査で胎盤付着部が後壁であり低置胎盤であると診断し 平成 16 年 8 月 3 日の妊娠第 17 週からは前置胎盤であることも認識していたとされている この点 担当医は 第 7 回公判において 平成 16 年 10 月 22 日の超音波検査で前置胎盤であるという確定診断をしたこと また 前回帝王切開で全前置胎盤であり胎盤が前壁にかかっていると認識していたことを認めている ( 担当医

25 第 2 癒着胎盤の詳細について 6B1 術前診断 ( 子宮切開前の術中診断を含む ) ~567) 判決の認定 担当医は 平成 16 年 6 月 1 日及びそれ以降の複数回の超音波検査において 本件患者の胎盤を子宮の低い位置に確認し 同月 15 日には 胎盤が後壁にあることを確認した 8 月ころからは 本件患者が前置胎盤である可能性について医師記録に記載していたが 10 月 22 日 全前置胎盤であると診断した ( 判決 22 頁 ) イ癒着胎盤についての術前診断 ( ア ) 総論前述のとおり 帝王切開既往歴のある前置胎盤例については 癒着胎盤の可能性を疑い 画像検査により 前回帝王切開創上に胎盤がかかっているか否か 及び癒着胎盤を示唆する所見を十分に観察することのほか 補助的に母体血中 α-フェトプロテインや尿潜血の検査がある そこで 第一に 担当医が前回帝王切開創と胎盤との位置関係 及び癒着胎盤の発生頻度につき どのように認識していたかを検討する ( 後記 ( イ )( ウ )) 第二に 担当医が癒着胎盤を示唆する各所見につきどのような認識を持っていたかを 個別の検査項目ごとに検討する ( 後記 ( エ ) ないし ( ク )) 第三に 本件患者における癒着胎盤の可能性についての担当医の認識を推測する手がかりのために 担当医が本件手術スタッフ 本件患者等及びA 医師に対して説明した内容を検討する ( 後記 ( ケ ) ないし ( サ )) 最後に 小括を述べる ( 後記 ( シ )) ( イ ) 前回帝王切開創と胎盤との位置関係についての認識 証拠から分かる事実 前回帝王切開創と胎盤との位置関係について担当医がどのように認識していたかについては 担当医の供述にくい違いがある a 捜査段階捜査段階において 担当医は 手術前にエコーなどで胎盤の付着位置を確認した結果 胎盤が前回帝王切開創に少しかかっているのではないかと考えていた旨を述べている ( 検乙 10-6) とはいえ 妊娠後期には 前回帝王切開創の位置は分からなくなっており 正確な位置関係が把握できていたわけではなかった 一般的な切開位置から推測した結果 まず子宮を正面から見た場合には 胎盤が前回帝王切開創の左側の部分に一部かかっているのではないか また 子宮を横から見た場合には ちょうど胎盤の端が前回の帝王切開創にかかっている感じではないかと考えていた ( 検乙 11-4~6) b 公判段階公判段階において 担当医は 胎盤が前回帝王切開創に掛かっているという認識があったことを否定した 34

26 第 2 癒着胎盤の詳細について 6B1 術前診断 ( 子宮切開前の術中診断を含む ) すなわち 第 7 回公判においては 胎盤が前回帝王切開創に掛かっているのではないかという疑いは持っていなかった 掛かっていないとは思っていたが ただ医学的には絶対ということはないので 掛かっている可能性を完全には否定できないというレベルでの疑いはちょっとあった旨を述べている ( 担当医 ) さらに 第 11 回公判においては 12 月 6 日の経腹超音波検査で 前回帝王切開創と今回の胎盤の位置関係が重なり合っていないということを確認し 手術をする時点では 前回帝王切開創付近には今回の胎盤が掛かっていないという認識であった旨の供述をしている ( 担当医 ~162) 判決の認定 担当医は 平成 16 年 5 月 6 日の初診時 本件患者に対し 超音波検査を実施した この際 胎児の姿を確認できず 前回帝王切開創を確認した 前回帝王切開創の位置は おおむね通常産科医が切開する場所であったが 胎児の成長に伴い子宮壁が薄く伸びるにつれ 以後の超音波検査では確認することができなくなった ( 判決 22 頁 ) ( ウ ) 癒着胎盤の発生頻度についての認識 証拠から分かる事実 担当医は 福島県立医大で藤森敬也医師から癒着胎盤の発症率について教わったことを基に 前回帝王切開 前置胎盤で胎盤が前回の帝王切開創にかかっている場合の癒着胎盤の確率は 24% 前回帝王切開 前置胎盤で胎盤が前回の帝王切開創にかかっていない場合の癒着胎盤の確率は3~4% であると認識していた ( 検乙 10-4) ただし 癒着胎盤の確率が 24% と高くなるのは 前回の帝王切開創を胎盤がべったりと覆っている場合だと考えていたので 胎盤の端が前回の帝王切開創にかかっている本件患者の場合は そこまで癒着の確率は高くないだろうと考えていた ( 検乙 11-6) また 癒着胎盤が起こるメカニズムについては 胎盤が 前壁にあるか後壁にあるかのほうが 重要であり 前壁にあって 帝切創に載ってるというようであれば その帝王切開創のところに癒着が起こりやすいが 一部とかいう感じの場合はちょっと違うかなというふうには思って いた ( 担当医 ) 判決の認定 担当医は 福島県立医大において 前回帝王切開で前置胎盤のとき 前回帝王切開創に胎盤がかかっている場合の癒着胎盤の発症確率は 24% であり 患者が 35 歳未満で 後壁付着である場合の癒着胎盤の発症確率は3 4% であると学んでおり 本件手術の際にもそのような認識であった ( 判決 23 頁 ) ( エ ) 画像検査 ~ A 超音波断層法 証拠から分かる事実 公判において初めて 担当医は 12 月 3 日の経腟超音波検査をした際には 前 35

27 第 2 癒着胎盤の詳細について 6B1 術前診断 ( 子宮切開前の術中診断を含む ) 壁部分に低輝度子宮筋層部分を確認しており もし同部分が見えなかったら写真で残して所見を書いている旨を述べている ( 担当医 ) なお 前述のとおり 胎盤と子宮筋層間の低輝度領域 すなわち clear space (clear zone) が消失していることは癒着胎盤の最も直接的な または特に重要な所見であるとされる 判決の認定 判決は上記のように 担当医が複数回の超音波検査を実施して胎盤の位置を確認し 全前置胎盤であることを診断したが 前回帝王切開創の位置は次第に確認できなくなったことを認定している しかし 担当医が術前の超音波検査において clear space(clear zone) の消失 その他の癒着胎盤の所見を確認していたか否かについて 判決は 本件手術前の諸検査結果の中に 癒着胎盤を明確に裏付ける結果は残されておらず ( 判決 38 頁 ) とするのみである ( オ ) 画像検査 ~ Bカラードプラ法 ( 超音波所見 ) 証拠から分かる事実 担当医は 12 月 3 日 カラードプラ法により 胎盤の内部でとどまっているような血流を見たが その血流は 量的にはかなり少なく 子宮筋層のほうに向かっていくような血流はなかった ( 担当医 ) この点につき 担当医は 前置胎盤の血流と癒着胎盤の血流とは 血流の豊富さが全く違うので区別が付く旨を述べている ( 担当医 7-650) また 12 月 6 日の経腹超音波検査では 膀胱と子宮が接する辺りに血流を認めた この血流は 尿に接していることから膀胱組織内のものであると考えられ 胎盤と離れて存在していたという ( 検乙 9-6 担当医 ) なお 前述のとおり カラードプラ法により 胎盤から子宮筋層内へ さらに筋層外にまで入り込むような血管像の増強を認める場合や 胎盤と周囲組織との間に あるいは膀胱境界線に豊富な血流乱流を認める場合があるが かかる所見が癒着胎盤の正診率を上げるか否かについては 結論が出ていない 他方 血流が lacuna 内のものであると認められれば 癒着胎盤の可能性が高まるとの報告がある 判決の認定 担当医は 平成 16 年 12 月 3 日 本件患者に対し 経腟超音波検査を行ったところ 血流が豊富であり 尿中潜血がみられた そこで 血流 (+) 尿中潜血 (±) につき 癒着胎盤 又は前置胎盤による出血に注意が必要である旨医師記録に記載した また 12 月 6 日 カラードップラー検査を行ったが 芋虫状の血流が見られたので 医師記録に 膀胱下血流 (+) と記載した ( 判決 22 頁 ) ( カ ) 画像検査 ~ CMRI 検査 証拠から分かる事実 36

28 第 2 癒着胎盤の詳細について 6B1 術前診断 ( 子宮切開前の術中診断を含む ) 担当医は MRI 検査をやらなかった旨を述べている ( 担当医 7-710) その理由としては 超音波検査でしっかり見ていたこと MRI 検査による癒着胎盤の診断の信用性が低かったこと 普通の後壁付着の前置胎盤でMRIを実施すべきだという考えはなかったことなどを挙げている ( 担当医 ) また 術前においてA 医師に応援を依頼したとき 胎盤の位置は子宮後壁がメーンである旨を伝えた後 同医師からMRIをやったのかと聞かれたが なんでだろうと 逆に考えただけであった ( 担当医 ) なお 前述のとおり MRI 検査の有用性については 争いがある 判決の認定 本件手術当日 担当医は A 医師に架電して応援を依頼した際 MRI 検査は実施していない旨を述べた ( 判決 23 頁 ) ( キ ) 母体血中 α-フェトプロテイン 証拠から分かる事実 カルテに記載はなく 担当医も血中 α-フェトプロテインについて言及していないので これを検査していないと思われる 判決の認定 判決は 血中 α-フェトプロテイン検査については特に言及していない ( ク ) 血尿 証拠から分かる事実 担当医は 12 月 3 日の尿検査において 本件患者の尿中に血液成分をごく少量認めた ( 担当医 7-181) そして 医師記録に 尿中潜血(±) につき 穿通胎盤 前置胎盤による出血 注意 という意味の記載をした ( 検乙 9-3 5) この点につき 担当医は 尿潜血の原因は膀胱炎であると考え 穿通胎盤等については念のために記載したにすぎないと述べている ( 検乙 9-5 担当医 ) また 尿潜血が認められたのはこのときだけで 12 月 6 日の尿検査においては潜血が見られなかったことから 担当医は 12 月 3 日の尿潜血を穿通胎盤ではなく膀胱炎によるものと診断した ( 検乙 9-6 担当医 ) 担当医は 公判において 尿中潜血が 12 月 3 日の検査のとき1 回だけだったことを強調している ( 担当医 7-589) しかし 医師記録( 検甲 16) の 12 月 7 日の欄には 尿 ( カテーテルにて ) 潜血 (±)~(+) 毛のう炎(+) ここから出血 previa からの bleedy ではない ( 前置胎盤による出血ではない ) という記載がなされている なお 前述のとおり 前置胎盤前壁付着の血尿例では膀胱鏡が決め手となるとする文献があるが 担当医が膀胱鏡による検査をしたという形跡はない 判決の認定 担当医は 平成 16 年 12 月 3 日 経腟超音波検査で血流が豊富であることを認 37

29 第 2 癒着胎盤の詳細について 6B1 術前診断 ( 子宮切開前の術中診断を含む ) 識するとともに 尿中潜血を発見した そこで 担当医は 絨毛が膀胱の中に入り込むほどの穿通胎盤になったために尿に血液が混じった可能性 あるいは 前置胎盤による出血のため血液の混じったおりものが尿に混じった可能性を考え 血流(+) 尿中潜血(±) につき 癒着胎盤 又は前置胎盤による出血に注意が必要である旨医師記録に記載した しかし 12 月 6 日には 尿潜血は見られなかった さらに 12 月 7 日にも尿潜血がみられたが 担当医は 前置胎盤からの出血ではなく 毛のう炎による出血であると診断した ( 判決 22 頁 ) ( ケ ) 本件手術スタッフに対する説明 証拠から分かる事実 麻酔医 Bは 担当医から 手術前に 手術中の出血が多くなる可能性があります 前回の帝王切開の子宮の創の部分に胎盤がかかっているので 胎盤が深く食い込んでいるようなら 子宮を全摘します と言われていたこと ( 検甲 22 2) また およその内容として 前回の帝王切開の傷の部分に胎盤の一部が掛かってるかもしれないというようなこと および 手術中に出血が多くなるかもしれないので その場合は子宮を摘出します という趣旨を説明されたこと (B 証人 -3 3) を述べている また 助手 C 医師は 担当医から 手術の1 週間くらい前に 前置胎盤を合併してる女性の方で 帝王切開の予定があるというようなこと や 癒着があるかもしれないということ を説明された旨 (C 証人 -6 8) を述べている 判決の認定 担当医は 12 月 9 日ころ 本件手術の麻酔医である麻酔医 Bに対し 本件患者の前回帝王切開創に胎盤が掛かり 手術中に出血が多くなる可能性があること 子宮を摘出する可能性があること もしもの時はZ 病院のA 医師を呼ぶことになっていること等を伝えた また 担当医は 同日ころ 外科医である助手 C 医師に対し 本件手術の執刀補助を依頼した その際 本件患者が前回帝王切開であったこと 前置胎盤で 癒着があるかもしれないが 手術には差し支えないと思われること Z 病院のA 医師にも応援を依頼していることなどを伝えた ( 判決 22 頁 ) ( コ ) 本件患者等に対する説明 証拠から分かる事実 看護処置記録 ( 検甲 16) の 12 月 14 日午後 7 時の欄には 担当医から本件患者及びその夫に対し 輸血の可能性 子宮摘出の可能性等について説明したほか 子宮は 胎盤の付着していない場所を切るつもり などと説明した旨の記載がある これらの説明の趣旨につき 担当医の供述には次のとおりくい違いがある a 捜査段階 12 月 14 日に担当医が本件患者とその夫に対し手術内容の説明をする際に書 38

30 第 2 癒着胎盤の詳細について 6B1 術前診断 ( 子宮切開前の術中診断を含む ) いた子宮の図には 左下の胎盤が掛かっている位置に > という図形が記入されているところ 担当医は捜査官に対し 同図形は前回帝王切開創を表すものであると供述した上 青ボールペンによる手書きで 前回帝王切開創 と書き入れている ( 検乙 同末尾添付の書面 担当医 ) もっとも 同図に書いてある前置胎盤の図は 一般的な前置胎盤の図として書いたものであり 本件患者の胎盤が前回帝王切開創にかかっていると認識していたわけではないとも述べている ( 検乙 12-4) b 公判段階担当医は公判においては 12 月 14 日に書いた子宮の図は 一般的な子宮の図であり 本件患者の子宮を模写したものではなく 図の左下の方にある 平仮名の く の字を逆にしたようなマークについては 切開して赤ちゃんを取り出す場所として書いたのであり 前回の帝王切開創を示すマークではないと供述している また 同日の説明において 胎盤の付着していない場所を切るつもりだ と言ったかどうかは覚えていないし 言ったとしてもその意味としては 典型例と違っているという意味で話していると思うという ( 担当医 ) 判決の認定 担当医は 12 月 14 日夜 大野病院において 本件患者及びその夫に対し 本件患者が前置胎盤であること 前回帝王切開創に胎盤がかかっている可能性があることの他 輸血の可能性 子宮摘出の可能性 血栓症 抗体等について説明した この際 担当医は 子宮の切開場所について 胎盤の付着していない場所を切るつもりであり U 字型にする考えであることを子宮の図や患者から見て子宮の右よりにU 字型の図形を書き込んだ図を書くなどして説明した さらに 担当医は 何かあったらA 医師に手伝ってもらうつもりであり 既に同医師には話してある旨述べた ( 判決 23 頁 ) ( サ ) A 医師に対する説明 証拠から分かる事実 担当医は 医局の先輩であるW 医大のK 医師から 本件手術の際には応援の産婦人科医を派遣しようかと言われた際 急変時の応援が確保できれば大丈夫だろうと思っていたので Z 病院のA 医師にお願いするから W 医大からの応援はいらないという意味のことを答えた ( 検乙 13-6) そして 実際にA 医師に対して応援依頼の電話をしたときには 前回帝王切開創に胎盤が一部かかっているかもしれないが 大丈夫ですという話をした このような依頼の仕方をした理由について 担当医は A 医師に応援を依頼したのは今回が初めてで 出血が多くなって子宮摘出の判断に迷うようなときに助言を頂こうかというような意味で連絡したものであり 実際は前回帝王切開創に胎盤はかかっていないという認識だったが 初めて依頼するに当たって 何もな 39

31 第 2 癒着胎盤の詳細について 6B1 術前診断 ( 子宮切開前の術中診断を含む ) い症例で呼ぶのはちょっと気が引けたことから あえて事実と違うことを言った旨を供述している ( 担当医 ~ ) また A 医師にすぐには応じてもらえなかったことから 患者さんやスタッフに 応援を頼むという話をしていたので なんとか応援の承諾だけは得ておかなければと思い 少し大げさな表現をするしかないなと思って 胎盤が傷口にかかっているかもしれないと話したとも述べている ( 担当医 ~12) 判決の認定 12 月 17 日 ( 本件手術当日 ) 担当医は A 医師に架電し 1 回目の帝王切開を同医師が担当した患者について 担当医が2 回目の帝王切開をすることになったが 胎盤が後壁に付着している全前置胎盤であり 何かあった際には応援を頼むかもしれないと述べた これに対し A 医師は 担当医に対し MRI 検査を実施したのか否か 前回帝王切開創に胎盤がかかっているのか否かを尋ね 担当医は MRI 検査は実施しておらず 前回帝王切開創に胎盤がかかっている可能性があるが おそらく大丈夫である旨の回答をした ( 判決 23 頁 ) ( シ ) 小括以上から 担当医が本件患者の胎盤の状態について術前に認識していたと思われる内容をまとめると 次のとおりである まず 捜査段階における担当医の供述によれば 担当医は 1 超音波検査で本件患者の胎盤の付着位置を確認した結果 本件患者の胎盤が前回帝王切開創に少しかかっている可能性があると推測していた また 212 月 3 日にみられた微量の尿潜血は3 日後には認められなかったことから 穿通胎盤の可能性は無いだろうと思った そして 3 前回帝王切開で前置胎盤というリスクがあるので本件患者の胎盤が子宮に癒着している可能性は否定できないものの 前回の帝王切開創を胎盤がべったりと覆いつくしている状態ではなかったことから 前壁で癒着している可能性は少なく 胎盤が子宮に癒着している可能性は3~4% だろうと判断していた 他方 公判段階における担当医の供述はやや混乱している感があるが これによると担当医は 1 超音波検査 ( カラードプラ法を含む ) の結果として 12 月 3 日に前壁部分の低輝度子宮筋層部分を確認したこと 2 同日 胎盤の内部でとどまっているような血流が確認できたものの 量的にかなり少なく 子宮筋層の方に向かっていくような血流はなかったことと併せ 312 月 3 日の尿潜血が微量で一過性のものであったことから癒着胎盤の疑いを完全に否定した さらに 4 同月 6 日に見えた血流は胎盤と離れて存在していたし 5 同日の経腹超音波検査の結果 前回帝王切開創付近には今回の胎盤がかかっていないと確認できた なお 本件判決は 本件患者の胎盤の位置および癒着胎盤の具体的可能性についての担当医の認識につき 次のように述べている 被告人は 検察官調書で述べるとおり 本件手術直前には 本件患者から見た場合に 胎盤は左側部分にあり 前回帝王切開創の左側部分に胎盤の端がかかってい 40

32 第 2 癒着胎盤の詳細について 6B1 術前診断 ( 子宮切開前の術中診断を含む ) るか否か微妙な位置にあると想定し 本件患者が帝王切開手術既往の全前置胎盤患者であることを踏まえて 前壁にある前回帝王切開創への癒着胎盤の可能性を排除せずに手術に臨んでいたが 癒着の可能性は低く5% に近い数値であるとの認識を持っていたことが認められる ( 判決 38 頁 ) ウ癒着胎盤についての子宮切開前の術中診断 ( ア ) 総論開腹後であっても子宮を切開する前の段階で 超音波により胎盤の位置や癒着胎盤の所見を確認する検査を行うことは可能であり 実際に担当医は 本件患者の子宮に直接プローベを当てている また 開腹後においては これに加えて 子宮の状況を直接肉眼で確認することもできるのであり 前述のように 癒着胎盤の術前診断は困難であるから 開腹時の子宮の所見 ( 特に血管の怒張状況 ) がこれを補うものとして重要であるとの見解もある そこで 癒着胎盤を見落とさないための最終的な検査として 担当医が直接に子宮の超音波検査を行い胎盤の位置や癒着胎盤の所見を確認したか否かを検討し 次いで 担当医が子宮の肉眼所見としてどのような認識を有していたかを検討する ( イ ) 前回帝王切開創と胎盤との位置関係についての認識 証拠から分かる事実 担当医が直接子宮にプローベを当てて前回帝王切開創と胎盤との位置関係について再確認した際 その認識がどのようなものであったかについては 担当医の供述にくい違いがある a 捜査段階担当医は 本件患者を開腹した後 直接子宮にプローベを当てて胎盤の位置を確認したところ 胎盤が前回の帝王切開創にかかっているような かかっていないような微妙な感じだな と思った旨を供述している ( 検乙 10-7) b 公判段階術中子宮切開前の超音波検査の結果 胎盤は前壁のかなり下のほうに見え 前回帝王切開創と思われる場所には掛かっていなかったと述べている ( 担当医 ) 判決の認定 担当医は 本件患者の腹壁を切開した後 子宮に直接プローベを当てて超音波により胎盤の位置を確認し 胎盤の付着した部分を避けて 本件患者から見て子宮右よりの部分をU 字型に切開した ( 判決 24 頁 ) ( ウ ) 画像検査 ~ A 超音波断層法 証拠から分かる事実 担当医は 捜査段階においては 術中検査の超音波検査の際に癒着胎盤の所見の有無を確認したかどうかについては全く言及していない 41

33 第 2 癒着胎盤の詳細について 6B1 術前診断 ( 子宮切開前の術中診断を含む ) しかし 第 11 回公判において 弁護人や検察官から 術中超音波検査の際に癒着胎盤の所見についても確認したかどうかを質問されたとき 所見については確認しており それは全く見えなかった旨を答えている ( 担当医 ) 判決の認定 担当医が術中超音波検査で胎盤の癒着の有無まで確認したことを認めるに足りる的確な証拠はない 担当医が公判廷で癒着の有無を確認したと述べる部分もあるが 具体性がなく 他では胎盤の辺縁部分を確認するためと述べていることからすると 担当医が胎盤の癒着の有無まで確認したとは認めがたい ( 判決 38 頁 ) ( エ ) 術中所見 ~ 子宮前壁から膀胱周辺の血管怒張など 証拠から分かる事実 開腹後 本件手術のスタッフが認識した子宮の状態は 次のとおりである 麻酔医 Bの供述 麻酔医 Bは 腹部を切開したとき 担当医が 血管 浮いてるよね などというのが聞こえ 通常は タコの頭のようにつるんとしている子宮の表面に怒張した血管が浮いているの が見えた ( 検甲 22-8) 見えた血管の本数は覚えていないが 2 本よりは多かったか と思うし そのような浮いた血管を見たのは初めてだった 赤系統の色だったとは思う が はっきり覚えてない 具体的には みみずのような 男性の手の甲の部分に静脈が浮いてる様子 と似た感じであった旨 (B 証人 -89~92) を述べている 助手 C 医師の供述 助手 C 医師は 子宮表面の一部分 ( どちらかというと本件患者の右側 ) に静脈が走行してるのが見えた 男の人の手の甲の静脈くらいの太さ で数本という感じだった 色は 青紫という感じ で 走行は肉眼ではっきり確認できた 帝王切開の執刀の助手としての経験は大体 10 例弱くらいだったが そのような血管の怒張を見たというのは 記憶では余りなかった (C 証人 -24~32) 盛り上がってるわけではなくて 虚脱してるわけでも なく 普通の状態で走行してるのが見えた ( 同 213) 5ミリよりは細かった ( 同 222) 旨を述べている M 助産師の供述 M 助産師は 子宮に 血管がぼこぼこと隆起して網目状になっているように見え た (M 証人 -48) 男性の ぼこっと浮き出ているような腕の血管くらいの太さだった ( 同 52) それまで5 回から 10 回くらいの帝王切開の手術に立ち会った中で 隆起した血管というのは 初めて見 たし その後も見たことは ない ( 同 56) プローベで子宮の表面をなでた後 その血管はぼこぼこと隆起した網目状のままだったと思う ( 同 ) そこを避けて 血管がない ぼこぼこ隆起していないところに切開を入れていた と思う ( 同 249) 旨を述べている P 看護師の供述 P 看護師は 平成 8 年から十数回 帝王切開を経験していたところ (P 証人 -2 08) 子宮はいつもの帝王切開で見る子宮とは違い 少し表面的にぼこぼこした 42

34 第 2 癒着胎盤の詳細について 6B1 術前診断 ( 子宮切開前の術中診断を含む ) ような感じに見え た 表面が隆起していた感じで 色は 全体的に 暗紫色な感じがした 旨 ( 同 54~57) を述べている 以上に対し 担当医は 開腹後の子宮の状態について 次のとおりであった旨を述べている 担当医の供述 子宮表面の色は 通常の妊娠子宮と同様のピンク色であった ( 担当医 7-258) 前壁下部には 大体 4 5センチ四方の範囲 大体 2 3ミリぐらいの太さで数本の血管隆起が見られた この血管隆起は 術中超音波のときのプローベで触るとすぐに消えた ( 担当医 7-265~ ) かかる所見に基づき 担当医は 癒着胎盤の兆候はみられなかったとしている 特に 血管隆起については 公判において 異常所見を示すものではないと思います 前回帝王切開の症例や前置胎盤の症例では このような細い血管は認めることがあるからです ( 癒着胎盤の場合の兆候として見られる血管隆起とは違いますか との質問に対し ) ええ 明らかに違います と答えている ( 担当医 7-268~270) 判決の認定 担当医が本件患者の腹壁を切開したところ 子宮表面の一部分 本件患者の足下に近い側に男性の手の甲の静脈くらいの幅の静脈が数本 網目状に走行し 怒張していた ( 判決 頁 ) 担当医は これにつき前置胎盤患者によく見られる血管であり 癒着胎盤の兆候としての血管の隆起とは異なると診断している 癒着胎盤の兆候としての血管怒張については 池ノ上医師の証言によれば 胎盤が子宮の壁を突き抜けて子宮の表面に胎盤の裏側が見える現象であり こつごつ ママ した感じの強い構造物で一般に見るような血管とは異なった血管であると認められるから 被告人の診断に不自然なところはない また そもそも 子宮前壁に癒着胎盤の存在は確認されていない ( 判決 38 頁 ) 本件においては 子宮前壁に癒着胎盤があったことを認めるに足りる証拠はなく 癒着胎盤が確実に存在したと認められるのは子宮後壁のみである したがって 子宮前壁について 被告人の癒着胎盤の有無に関する予見や認識を問題とする実益は乏しい ( 判決 37 頁 ) ( オ ) 小括以上のとおり 胎盤の位置についての担当医の認識や 開腹後において超音波所見を確認したか否かの点については 捜査段階と公判段階とで担当医の供述に差異がみられる上に 子宮表面の肉眼所見についても 担当医の供述と他の手術スタッフの供述とで内容にくい違いがある すなわち 捜査段階の供述によれば 担当医は 1 胎盤が前回帝王切開創にかか 43

35 第 2 癒着胎盤の詳細について 6B1 術前診断 ( 子宮切開前の術中診断を含む ) っているような かかっていないような微妙な感じだと認識し 2 超音波所見を確認したかどうかについては特にふれていない これに対し 公判段階の供述によれば 担当医は 1 胎盤は前回帝王切開創と思われる場所にはかかっていないと認識し 2 胎盤の位置確認の際 癒着胎盤の所見についても確認したが見えなかった旨を述べている また 子宮表面の肉眼所見については 担当医以外の手術スタッフはそれが経験上あまり見たことのない状態だったことを述べているのに対し 担当医は 異常所見ではなく 癒着胎盤の兆候とは明らかに違う旨を述べている なお 本件判決は 癒着胎盤の具体的可能性についての 開腹後における担当医の認識につき 次のように認定している 医師記録の記載等からは 被告人は 術前からU 字切開する予定であったことが認められ 現実に U 字切開をしているのであるから 前述のとおりの術前の癒着の可能性に対する認識がここで変化したと見ることもできず 本件手術前の被告人の予見 認識がこの段階まで維持されていたという意味しかないと言うべきである ( 判決 頁 ) (3) 専門家証人意見ア田中意見 * 検甲 37 ( ア ) 本件術前検査の結果と診断について 12 月 3 日の経腟超音波検査結果によれば 子宮前壁は後壁よりやや薄く 子宮後壁と胎盤の間に認められる低輝度子宮筋層部分が認められない また 子宮に接する胎盤内部に虫食い状に黒く記録される部分が認められ これをカラードプラー法で解析すると血流の存在が示されたことより この部分は胎盤内の静脈叢 (sponge like echo) と判断される 子宮壁内の間隙 (lacunae) の存在あるいは上記血流は胎盤内から子宮壁へ向かう血流であることが疑われるが 2 枚の超音波記録写真だけで判断はできない 12 月 6 日の経腹超音波検査結果によれば カラードプラー法により 芋虫状の血流が写っているが この血流は胎盤 子宮筋層接合部近辺の静脈叢あるいは胎盤内の血流の可能性が考えられる一方で 児頭横にある臍帯と考えることも可能と思われる 担当医は診察時この血流を膀胱下部に存在する血流と診断していたことが伺われる 担当医が手術当日の 12 月 17 日午前中にA 医師にかけた電話の中で 前回の帝王切開の傷跡に胎盤がかかっています と述べていることより 本件患者においては癒着胎盤の可能性は高いと判断される 杉野鑑定結果より 癒着胎盤が子宮前壁にあったことは明らかである 前回帝王切開既往の全前置胎盤症例であること 12 月 3 日および6 日の検査で胎盤子宮筋層付近の静脈叢あるいは膀胱下方の血流のような診断結果が得られたこと 44

36 第 2 癒着胎盤の詳細について 6B1 術前診断 ( 子宮切開前の術中診断を含む ) 12 月 6 日の検査で子宮前壁へ胎盤がかかっていることと子宮胎盤付着部位に豊富な血流が認められることが観察されたこと 担当医が手術当日にA 医師に対して述べたように前回の帝王切開創に胎盤がかかっている所見があることからすれば 癒着胎盤を疑い MRIなどの更なる検査を行うことが必要だった また 12 月 17 日の直前に再度 経腟超音波検査を行い前置胎盤の位置の確認 胎盤の性状等につき確認を行った方が良かった ( イ ) 手術中の検査および子宮表面の血管怒張について帝王切開時 担当医は清潔なエコーのプローブを子宮前壁に当て 胎盤の位置を確認しているが 同時に肉眼による視診あるいは触診にて胎盤付着部位の精査を行うと同時にエコーで胎盤および筋層間の血流の状態 筋層の菲薄化 消失等の検査を行う必要があった 担当医が子宮外壁の血管怒張をどのように判断していたか あるいはこの怒張した血管が静脈であるか動脈であるかについても 記載が少ないため判断できない 基本的に妊娠末期においては 胎盤付着部位の子宮は胎盤とのガス交換を行うために血流が豊富なことより 前置胎盤の症例で胎盤付着部位の子宮前壁の怒張した血管を認めることはそれほどまれではない 通常の鬱滞による血管怒張であれば 胎児娩出に伴う子宮収縮で血管の怒張は消失すると考えられる イ岡村意見 * 弁 岡村証人-112~ ~ ~320 等 ( ア ) 術前検査による診断可能性について現在の診断技術にて分娩前に癒着胎盤を正確に診断することはできない Lam らの報告によると超音波断層法により癒着胎盤を診断できる感度 ( 癒着胎盤であったものを正しく診断できる制度 ) は 33% である Oyelese らの review によると 超音波断層法による癒着胎盤を疑う超音波所見のうち 胎盤がスイスチーズ様 (lacuna) になっている所見に対して診断感度 79% 診断陽性率は 92% であるが 最も一般的に癒着胎盤を疑う所見とされている胎盤後壁の clear space の消失についてはその診断感度は高々 57% であり 疑陽性率は 48.4% である 特にこれらの多くは胎盤が前壁にある事例に関しての結果である 超音波ドプラ所見が癒着胎盤の診断を改善することに関しては肯定するものと懐疑的な論文がある MRIについては 超音波断層法にて診断が難しい後壁付着の前置胎盤についての適応になるが 超音波断層法を上回る診断精度を生じることはないであろうとされている ( イ ) 本件術前検査の結果と診断について 平成 16 年 11 月 19 日 ( 妊娠 32 週 6 日 ) の超音波検査 45

37 第 2 癒着胎盤の詳細について 6B1 術前診断 ( 子宮切開前の術中診断を含む ) 同年 10 月 22 日の検査と同じく 子宮後壁と胎盤の間には clear space が明確 に観察されるため 子宮後壁に癒着胎盤を示唆する所見はない 同年 12 月 3 日 ( 妊娠 34 週 6 日 ) の経腟超音波断層検査 経腟カラードプラー検査 および尿検査 写真によれば 胎盤は後壁にあり 胎盤が前回帝王切開の瘢痕部にかかっていると懸念を持ったとしても強いものではなかったと考えられる 担当医は 頻回に超音波検査を行い 胎盤の位置を慎重に観察していた 胎盤と筋層の間に見られる空隙が若干薄くなっているが プローブを強めに押し当てたためと考えられる 血流(+) との記載があるが 子宮前壁のエコーフリースペースは 前置胎盤にしばしば認められる血流を示す所見である その周辺に血流を示す所見が認められるが 癒着胎盤を疑うほど豊富な血流ではなく これをもって 癒着胎盤と診断することはできない 血流 (+) は胎盤の辺縁 内子宮口に近い部分ではないかと見られるが レトロスペクティブにみても この部分は病理的に癒着がないのだから この血流を癒着胎盤に由来する血流と考えることはできない 子宮後壁の写真によれば 子宮後壁と胎盤の間には clear space が明確に観察され また 胎盤の画像も均一でスイスチーズ様の所見がないため 癒着胎盤の疑いを持つことはできない 尿中潜血がわずかにあることをもって 癒着胎盤を疑うことは過剰診断である なお 上記血流に関連して 鑑定意見書 ( 弁 131) には 次のような趣旨の記載がある 穿通胎盤の場合には子宮表面からも血管が多く 血流が胎盤近くで豊富になっている しかし 単に前置胎盤においても 胎盤とその周辺の子宮の血管は怒張し 多くの血流が胎盤へ行っていることを観察することがある すなわち 胎盤付着周辺では多くの血流を認めるのは当然である 本事例では胎盤の一部が内子宮口から前壁にかかっているような超音波断層法の所見である 同年 12 月 6 日 ( 妊娠 35 週 2 日 ) の経腹カラードプラー検査および尿検査 胎盤周辺である膀胱近くに血流が検出されても それが癒着胎盤を診断する根拠とはならない 胎盤と子宮筋層の接合部分に芋虫状の豊富な血流が観察されることは臨床上よくあることである 担当医は 膀胱への浸潤を危惧して尿検査をしており 連続した潜血がみられなかった 以上からすれば 前壁部分についての癒着胎盤の懸念は過剰診断と言わざるをえず これまでの超音波検査の画像写真を検討しても 癒着胎盤であることを示す所見は見られない また 子宮後壁についても 再三にわたる超音波検査の結果から癒着胎盤を予 46

38 第 2 癒着胎盤の詳細について 6B1 術前診断 ( 子宮切開前の術中診断を含む ) 見できなかったと考えられる ( ウ ) MRIを実施しなかったことについて担当医が使用した超音波検査装置は 持田シーメンスメディカルシステム株式会社製のソノビスタ ColorFD モデルであり 癒着胎盤の有無を判断するには MRI を上回る診断能力を有していたと考えられる 担当医は 頻回に超音波検査を実施しており 癒着胎盤でないと判断していたのであるから 重ねてMRIによる検査をする必要はない MRI 検査の癒着胎盤の診断精度は 必ずしも高いとはいえず 穿通胎盤や嵌入胎盤でなければ診断できないのであり 本件のように部分的で程度の弱い嵌入胎盤について MRI 検査を実施しても癒着胎盤であることが判明したとは考えにくい ( エ ) 癒着胎盤の具体的可能性に対する判断について超音波検査から 胎盤は後壁下部に付着していることが分かる 後壁に付着している場合 前壁側の前回帝王切開創に胎盤がかかっている可能性は低くなる その場合の癒着胎盤の発生の危険性は 帝王切開創に胎盤がかかっている場合に比べて低い したがって 胎盤が前回帝王切開創にかかり癒着を生ずるリスクは低いと判断したのは合理的判断である ウ池ノ上意見 * 弁 池ノ上証人-53~55 頁 81 頁 ( ア ) 術前検査による診断可能性について癒着胎盤を疑うのは 1 帝王切開の既往歴があり 2 今回の妊娠で前置胎盤であることが診断され その胎盤が前回の子宮頸部の切開創を覆う場合である このようなときに詳細な検査が行われることになる 前置胎盤の診断には超音波検査を用いるのが一般的である MRI 検査が超音波検査を凌駕する診断精度を有するかどうかについては 一定の見解はない 超音波検査所見として 1clear zone の消失 2placental lacunae の存在 3b ladder line の途絶の3つがすべてそろった場合のみ 術前に癒着胎盤の診断が可能であり その他は診断を確定することはできない このように本疾患の術前診断は偽陽性率が高く 非常に困難である 12 月 3 日の超音波写真から 癒着胎盤の診断をすることは難しい ( イ ) 手術開始時点と術中の超音波検査について 12 月 17 日の医師記録によれば 担当医は 14 時 26 分の手術開始時点で 超音波にて 胎盤の位置 を確認しており 術中超音波検査を実施していることが分かる この検査によって癒着胎盤の所見が確認されなければ 胎盤剥離開始前に 癒着胎盤の診断をすることはできない 47

39 第 2 癒着胎盤の詳細について 6B1 術前診断 ( 子宮切開前の術中診断を含む ) 担当医は 開腹後に子宮に直接プローベを当てて超音波検査をしているが カル テに目的の記載はなく 胎盤の場所 胎盤と前回帝王切開創の位置関係を調べるためと想像される ( ウ ) 子宮表面の血管怒張について一般に 前置胎盤では子宮下部に血流が豊富になるため 腹壁を切開し子宮を露出すると 子宮表面に血管の怒張が見られることは少なくない (4) 文献 三専門家証人意見の相違点多くの文献は 術前における癒着胎盤の診断の困難性を示唆し 岡村意見 池ノ上意見もこれに同調する さらに 岡村意見は 超音波検査により分かる胎盤の位置からみて 胎盤が前回帝王切開創に掛かっている可能性は低いと判断したのは妥当であり その他の所見からも癒着胎盤であることは分からないとする 他方 田中意見は 前回帝王切開既往の全前置胎盤症例であり 前回の帝王切開の創跡に胎盤が掛かっている所見があったとした上で 術前の超音波検査 カラードプラ法検査の結果から見て 癒着胎盤の可能性を前提として MRIほかの検査を継続 追加すべきであったし 術中のエコー検査においても 胎盤の位置確認のみならず 癒着胎盤の所見の有無を確認するとともに 視診 触診により精査を行うべきであったとする また 術中所見における子宮外壁の血管怒張については 田中意見 池ノ上意見とも 妊娠末期に時折見受けられるとか 前置胎盤の場合には少なくないものとして さほど重視していない 岡村意見も これについては同旨であると思われる この点 最近の文献において 血管怒張の所見を重視しているものがあることと対照的である 文献および三専門家証人意見は いずれも恐らく 術前に癒着胎盤を診断することは困難とする点では共通している しかし だから本件において検査は十分に行われており癒着胎盤であることが分からなくてもやむを得なかったとするのか それでもなお周到な検査を継続 追加すべきであったとするのかという点で 岡村意見 池ノ上意見と田中意見とは立場を異にする このような違いが生じているのは 第 1に 術前の検査で胎盤が前回帝王切開創にかかっている所見があったとみるか否か 第 2に 事後的な診断として胎盤が子宮前壁で癒着していたとみるか否か 第 3に 帝王切開既往の前置胎盤例では癒着胎盤の発症率が比較的高くなるという事実を 癒着胎盤による大量出血のもたらす結果の重篤性に照らし 術前においてどのくらい重視すべきだと考えるかによるものと思われる 2 術前の準備 (1) 事実関係術前の準備に関しては 裁判では 担当医がいかなる認識で準備をしたり 準備にあたっての発言をしたか 本件患者の状態をどのように捉えていたのか等という点について 他の問題と関わることから 争われた 48

40 第 3 術前の診療経過について 7B2 術前の準備 しかし 客観的に何を行ったかという点については ほぼ争いがない ア当該病院の医療提供体制 ( 判決 21 頁第 1 2) 輸血用の血液を常時置くことはせず 必要なときに準備する 不足した場合は 約 50km 離れた福島県いわき赤十字血液センターから 約 1 時間かけて自動車による搬送を受けていた ( 判決 21 頁第 1 1) 産科は一人医長 ( 担当医のみ ) イ患者の状態把握 ( 胎盤の状態など ) ( 月日のみの記載は, 平成 16 年を指す ) 平成 13 年 7 月 ( 判決 21 頁第 1 3) 帝王切開手術にて第 1 子を出産 10 月 22 日 ( 判決 22 頁第 1 4 本件手術に至るまでの経過 (2)) 全前置胎盤の診断 12 月 3 日 ( 判決 22 頁第 1 4 本件手術に至るまでの経過 (5)) 経腟超音波検査 血流豊富 尿潜血(±) 癒着胎盤 又は前置胎盤による出血に注意が必要である旨 医師記録に記載 12 月 6 日 ( 判決 22 頁第 1 4 本件手術に至るまでの経過 (6)) カラードップラー検査 芋虫状の血流 膀胱下血流(+) と医師記録に記載 尿潜血 (-) 12 月 7 日 ( 判決 22 頁第 1 4 本件手術に至るまでの経過 (7)) 尿潜血 (±)~(+) 毛のう炎(+)-ここからの出血 と医師記録に記載 12 月 13 日 ( 判決 23 頁第 1 4 本件手術に至るまでの経過 (10)) 医師記録に 胎盤が左寄りである旨 右寄り部分にU 字型切開案を記載 ウ手術体制 12 月 9 日ころ ( 判決 22 頁第 1 4 本件手術に至るまでの経過 (8)) C 医師 ( 外科医 ) に 執刀補助を依頼 ( 判決 23 頁第 1 4 本件手術 (1)) 手術は次の体制で行われた 執刀医担当医 49

41 第 3 術前の診療経過について 7B2 術前の準備 麻酔医 麻酔医 B 助手 C 医師 助産師 L 助産師 M 助産師 看護師 オペ責 N 看護師 器械出し O 看護師 外回り P 看護師 Q 看護師 エ本件における具体的な術前準備 12 月 6 日 ( 判決 22 頁第 1 4 本件手術に至るまでの経過 (6)) 術中エコー検査のためプローベの準備 MAP( 濃厚赤血球 1 単位 200ml) を5 単位用意することを決めた 場合によっては単純子宮全摘出術を行うことを前提に その準備を指示 オ不測の事態が生じた場合に備えた事前の応援依頼 12 月 9 日ころ ( 判決 22 頁第 1 4 本件手術に至るまでの経過 (8)) 麻酔医 Bに 次のことを伝えた 前回帝王切開創に胎盤が掛かり 手術中に出血が多くなる可能性があること 子宮を摘出する可能性があること もしもの時はZ 病院のA 医師を呼ぶことになっていること等 助手 C 医師に Z 病院のA 医師にも応援を依頼していることを伝えた 12 月 11 日 ( 判決 22 頁第 1 4 本件手術に至るまでの経過 (9)) 担当医の医局の先輩であるK 医師が 大野病院に派遣された際 人手が欲しい場合は 医局に相談して良いのではないかなどと勧めた これに対し 担当医は A 医師を呼ぶ旨答えた 12 月 17 日 ( 手術当日 )( 判決 23 頁第 1 4 本件手術に至るまでの経過 (12)) 担当医よりA 医師に電話 次のやりとりがあった < 担当医からA 医師への説明 > A 医師が1 回目の帝王切開を担当した患者について 担当医が2 回目の帝王切開をすることになった 胎盤が後壁に付着している全前置胎盤であり 何かあった際には応援を頼むかもしれない <A 医師の質問 > MRI 検査を実施したのか否か 前回帝王切開創に胎盤がかかっているのか否か 50

42 第 3 術前の診療経過について 7B2 術前の準備 <A 医師の質問に対する担当医の回答 > MRI 検査は実施していない 前回帝王切開創に胎盤がかかっている可能性があるが おそらく大丈夫である ( ) 担当医がA 医師に応援を依頼するのは このときが初めてであった 手術前 担当医はA 医師に対し の発言をしていたが 公判廷では 実際は前回帝王切開創に胎盤が掛かっていないと考えていた ( 担当医 ~880) と供述している では なぜ との説明をしたのか その理由につき 担当医は 公判廷で次のとおり供述している ( 公判廷供述担当医 ~ ~12) 初めて依頼するに当たって 何もない症例で呼ぶのはちょっと気が引けた 出血が多くなって子宮摘出の判断に迷うようなときに助言を頂こうかという意味で連絡した 電話の最中 A 医師が渋っているような様子もあったので 少し大げさにあえて事実と違うことを言った カ転医の判断 ( 判決 23 頁第 1 4 本件手術に至るまでの経過 (13)) 本件患者の入院後 大野病院勤務の助産師 看護師達の間で W 医大で前回帝王切開の前置胎盤患者の帝王切開で大量出血となった症例が話題になった その中で W 医大には産婦人科医が何人かいて 輸血も届きやすい場所にあるのに対し 産婦人科医が担当医 1 名しかおらず 輸血を追加注文しても届くまでに時間がかかる大野病院で対応できるのだろうかという話が出た この点に関し R 助産師が 担当医に対し 本件患者の転院を進言したが 担当医は 大丈夫である旨答えた R 助産師の進言に対して担当医が大丈夫と判断した理由について 担当医の検面調書 公判廷供述は次のとおりである ( 検面調書乙 13-4) この時点では 子宮前壁に胎盤が癒着している危険性は低いと考えていた ( 公判廷供述担当医 7-898~901) 何でも大げさに言ってくる助産師で いつものことだというような感じで聞いていた 51

43 第 3 術前の診療経過について 7B2 術前の準備 (2) 医学文献ア出血の可能性について文献によると 癒着胎盤症例において 子宮摘出が必要となる癒着胎盤症例の出血量は 平均 3,500ml(900~21,000ml) との報告や 母体死亡率は 25% であるとの報告もあるため 輸血は早めに準備する などとされ 癒着胎盤か否かにかかわらず 前置胎盤の場合で 前置胎盤 145 例のうち 出血量 2,000ml 以上 12 例 などの記載がある 通常の胎盤剥離 通常の帝王切開術 前置嵌入胎盤 既往帝王切開前置癒着胎盤 前置胎盤 前置癒着胎盤の各場合における術中出血量等の文献の記載は 次のとおりである 通常の胎盤剥離 : 約 250ml 約 250ml の剥離出血を伴う ( 武谷雄二編, 新女性医学大系 25 正常分娩,p221,19 98 年, 弁 6) 通常の帝王切開術の術中出血 :632±357ml 通常の帝王切開術の術中出血 632±357ml 輸血施行率 2.3% に対し前置胎盤で 1,1 54±924ml 15% である ( 大屋敦子, 実際産科出血をとめる-その予知, 予防と対処法 - 前置胎盤, 産婦人科の実際 vol56no2,p166,2007 年, 文献 17) 帝王切開分娩 349 例における分娩時大量出血 (3,000g 以上 ) は 23 例 うち前置胎盤 3 例 1 例は帝切後に出血が止まらず 子宮全摘となり 12,000g もの出血となった ( 鈴木佳克ら, 分娩時大量出血の原因と対策. 東海産科婦人科学会雑誌 37 巻.p 年, 文献 85) 前置胎盤 145 例のうち 出血量 2,000ml 以上 12 例 4,000ml 以上 6 例 6,000ml 以上 2 例 13000ml が 1 例 前置胎盤の出血量に関する記載をまとめると 概要次のとおり 前置胎盤 145 例のうち 出血量が 2,000ml 以上と記録されている症例 出血量が 2000ml 未満であっても輸血を施行した症例は 14 例 この 14 例の出血量はそれぞれ ml 半数の 7 例は全前置胎盤であった 14 例のうち 子宮摘出を行ったものは 6 例 ( 上記 ml の症例 )( 別宮史朗ら, 大阪府立母子保健総合医療センターにおける産科出血の検討, 産婦人科の進歩 48 巻 3 号,p ,1996 年, 文献 86) 前置嵌入胎盤の術中出血 : g( 平均 ±SD=3888±2209g) 術中出血量は前置穿通胎盤では g( 平均 ±SD=12140±8343g) であり 前置嵌入胎盤での g( 平均 ±SD=3888±2209g) と比較して優位に多かった ( 日本周産期 新生児医学会雑誌 vol41-no2,p324,2005 年, 検甲 56) 既往帝王切開前置癒着胎盤の平均出血量 :3,915ml 既往帝王切開前置癒着胎盤 26 例の平均出血量 3,915ml ( 福島明宗ら, 既往帝切前置癒着胎盤および既往帝切前置胎盤症例の検討. 日本産婦人科学会誌 Vol59 No2,p5 52

44 第 3 術前の診療経過について 7B2 術前の準備 03,2006 年, 文献 87) 子宮摘出が必要となる癒着胎盤症例の出血量 : 平均 3,500ml(900~21,000ml) 子宮摘出が必要となる癒着胎盤症例の出血量は 平均 3,500ml(900~21,000ml) との報告や 母体死亡率は 25% であるとの報告もあるため 輸血は早めに準備する ( 望月眞人監, 標準産科婦人科学第 2 版,p430,2001 年, 検甲 12) 子宮摘出を要する癒着胎盤の平均出血量は 3,500ml(900~21,000ml) ( 大屋敦子, 実際産科出血をとめる-その予知, 予防と対処法 - 前置胎盤, 産婦人科の実際 vol56no 2,p166,2007 年, 文献 17) 前置癒着胎盤について 出血が 2,000ml を超えたのは 41 例 (66%) であり 5,000m l を超えたのは9 例 (15%) 10,000ml を超えたのは4 例 (6.5%) そして 20,000ml を超えたのは2 例 (21%) 前置癒着胎盤について 出血が 2,000ml を超えたのは 41 例 (66%) であり 5,00 0ml を超えたのは9 例 (15%) 10,000ml を超えたのは4 例 (6.5%) そして 20,000ml を超えたのは2 例 (21%) であった そして 32 例 (55%) の女性が輸血を必要とした (David A. Miller ら,American Journal of OBSTETRICS AND GYNECOLOGY,1997 年, 弁 9) イ準備の内容について文献によれば 癒着胎盤の可能性がある前置胎盤では 4000ml 以上の輸血準備と人手を集めることが必要であるなどとされ 無理な剥離を行わないといったことを指摘するものもある 既往帝王切開で胎盤が子宮前壁付着の場合は 10 単位の準備では十分量ではないとされている 超音波断層法等の方法を用いて 癒着胎盤が疑われれば 大量出血に備えて輸液路の確保 輸血の確保 人員の召集 及び術前準備をしたうえで 試験的胎盤用手剥離術を行う 無理に剥離しようとすると大量出血 外傷性子宮破裂 子宮内反症などを引き起こすことがあるため 大量出血を認めた場合は直ちに中止し開腹術に切り替えるべきである ( 岡井崇編, 産科臨床ベストプラクティス,p260, 検甲 9)( ただし 編者から 主に経腟分娩の場合を前提としたものであるとの回答がある ( 弁 137)) 前回帝王切開既往で癒着胎盤の可能性のある前置胎盤は 上級病院で管理するか さらに 4,000ml 以上の輸血を確保して人手を集め 十分に対策をたてて管理することが重要である ( 須野敏章ら, 分娩 産褥時期に母体究明のため子宮摘出を行った症例の検討, 臨婦産 Vol50 No6,p845,1996 年, 文献 31) 諸家の報告では 前置癒着嵌入胎盤の帝王切開の際には 十分な術前準備をして手術に望んだ場合でも 術中出血量は 4,000ml あるいはそれ以上の症例が多数あるため この量を目安として輸血準備をしておく ( 岡村州博編, 帝王切開術既往妊婦の前置胎盤を診たら前置癒着嵌入胎盤を疑え周産期救急のコツと落とし穴,p28,2004 年, 文献 53

45 第 3 術前の診療経過について 7B2 術前の準備 13) 既往帝王切開で胎盤が子宮前壁付着の場合は 自己血貯血を含め十分な保存血を確保する 10 単位の準備では十分量ではないと著者は考えている ( 佐久本薫ら, 癒着胎盤, 産婦人科治療 vol84 増刊,p815,2002 年, 文献 88) 前置胎盤は帝王切開術のなかでも出血量が多く明らかに自己血貯血が有効とされる代表的な疾患である 約 1000ml は確保しておきたい 前回帝王切開で前壁付着の前置胎盤の場合は 自己血の他にさらに保存血 1000ml を準備しておいても少ないくらいである ( 酒井正利ら, 全前置胎盤の帝王切開, 産婦人科の実際 vol53no3,p316,200 4 年, 文献 89) 癒着のない前置胎盤の帝王切開術で濃厚赤血球を最低 800ml 産褥子宮摘出術予定の場合 2,000ml 以上準備する ( 大屋敦子, 産科出血をとめる-その予知 予防と対処法 - 前置胎盤, 産婦人科の実際 Vol56 No2.p 年, 文献 17) (3) 専門家証人意見ア田中意見 輸血製剤 (5 単位 ) の準備内容について癒着胎盤の存在が疑われる場合には 大出血あるいは子宮摘出術に対応できるように大量の血液の準備が必要であり 5 単位では少ない 手術体制 ( 産婦人科医 1 名 外科医 1 名 麻酔医 1 名 看護師 4 名 助産技師 2 名 ) について緊急事態が発生した場合 他施設の産婦人科医あるいは大野病院の他科の医師が直ちに応援可能な体制であれば 癒着胎盤合併前置胎盤症例の帝王切開術の体制として 最初はこの体制でスタートしても問題ない 大野病院において手術を実施したことについて大野病院において緊急事態発生時 対応可能な準備態勢がとられていたと推察されることから 手術を行ったことについては問題ない イ岡村意見 輸血製剤 (5 単位 ) の準備内容について 東北大で前置胎盤の帝王切開例に際して準備する輸血等の量は5 単位 癒着胎盤例のみだと出血平均 4320ml 分娩時出血量平均 1630ml との報告もあり ( 日本産科婦人科学会東北連合地方部会 ) 帝王切開前には癒着胎盤を強く示唆する所見がないことから 当該準備量は妥当 癒着胎盤ということが分かっていれば 当然 輸血( 準備 ) 量は多いにこしたことはない なお 岡村証人の 前置胎盤 癒着胎盤 ( 産婦人科の実際 Vol.56No.11,2007 年, 文献 90) によると 特に既往帝王切開前置胎盤症例に関しては癒着胎盤の合併率が 1 54

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