小川 る. 今のところ優れた治療薬の開発に結びついてはいないが, 難治性疾患を地道に研究し続けることによって最終的に成果があった事例が幾つかある. たとえば, 慢性骨髄性白血病 (chronic myeloid leukemia; CML) は, 私が研修医であった頃には造血幹細胞移植をしなければ治

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1 214 年度学術発表会特別講演 Tenri Medical Bulletin 215;18(1):1-16 DOI: /tenrikiyo.18-1 骨髄異形成症候群の分子プロファイリング 小川誠司 京都大学大学院医学研究科腫瘍生物学講座 ( これは, 214 年 6 月 5 日天理よろづ相談所学術発表会で, 主として非専門家を対象に行われた小川教授の特別講演を 当医学研究所で編集したものである. ) はじめに私は, 昨年 (213 年 ) 9 月に京都大学に赴任した. 東京に 3 年ほど居たので, 初めて住む京都にはまだなかなか慣れない. しかし, 歴史のある京都の町ではさまざまな文化の香りが漂い, 四季の移り変わりも身近に感じることができる. 私が間借りをしている大徳寺の聚光院は, 狩野松栄 永徳父子が描いた国宝の方丈障壁画で有名な禅寺である. 窓から外を眺めると 4 年前の風情を感じさせる景色で, 空気が外界とは異なり朝晩の心の切り替えが上手くできる. このように落ち着いて研究に専念できる環境を与えていただいた聚光院住職のご支援に感謝している. さて, 本日は, 骨髄異形成症候群 (myelodysplastic syndrome; MDS) の概要と, 近年の知見や今後の展望を概説したい. 骨髄異形成症候群 (MDS) の病態と現状 MDS は, 骨髄中の造血幹細胞の異常が原因で発症する腫瘍性疾患である. 赤血球や白血球, 血小板が減少し, 貧血や感染症, 場合によっては重篤な出血をきたす難治性の疾患である. また,MDS の約 3% が最終的には急性骨髄性白血病 (acute myeloid leukemia; AML) に進行する.MDS の特徴の一つは血球形態の異常であり, この疾患が認識される契機となった ( 図 1). つまり, 骨髄異形成の 異形成 にはさまざまな意味があるが, 骨髄で異形血球がつくられるという意味が含まれている. 年間の MDS 新規患者は, 米国では約 1 万人 ~ 1 万 5 千人, 日本では約 5 千人と推定されている. 患者年齢は 6 歳以上が 9% を超え,MDS の患者数は近年ますます増加傾向にある.MDS は通常の化学療法では根治は難しく, 同種造血幹細胞移植が唯一の根治的治療法である. しかし, 造血幹細胞移植は高齢者には実施することができないので, 高齢者が大半を占める MDS には, 残念ながら根治的治療法がない. 近年, 米国で開発された新薬であるアザシチジンが導入された. この治療薬で余命が少し延長する効果はあるが, これも最終的には根治に至らしめることはできない. 今後わが国の人口が高齢化するに従って,MDS はますます増加していく難病である. 我々の研究の目的の一つは,MDS の発症原因を明らかにして治療成績の向上をめざすことであ saml MDS 図 1. 骨髄異形成症候群 MDS, myelodysplastic syndrome; saml, secondary acute myeloid leukemia 1

2 小川 る. 今のところ優れた治療薬の開発に結びついてはいないが, 難治性疾患を地道に研究し続けることによって最終的に成果があった事例が幾つかある. たとえば, 慢性骨髄性白血病 (chronic myeloid leukemia; CML) は, 私が研修医であった頃には造血幹細胞移植をしなければ治る見込みのない疾患であったが, イマチニブという分子標的薬が開発されたことによって, 今日の若い医師にとっては, かつて CML が不治の病であったことは想像もできないであろう. また, 急性前骨髄球性白血病 (acute promyelocytic leukemia; APL) も以前は死亡することが多かったが, オールトランス型レチノイン酸 (all-trans retinoic acid; ATRA) による分化誘導療法の導入以来, 優れた治療効果が得られ生存率が高くなった. このように治療成績が劇的に改善することがある. それは研究の積み重ねの成果であり, MDS も将来克服できる時が来るかもしれない. 癌の発症 MDS は, 最終的には AML という血液癌に進行する, いわゆる前癌状態ということができる. では, 一般的に癌はどのようにして発症するのか. ヒトの細胞は, 分裂する際に等しく受け継がれる遺伝情報を持つ. 遺伝情報は DNA 分子によって担われる.DNA 上には, アデニン (A), チミン (T), グアニン (G), シトシン (C) という 4 種類の塩基が全部で約 3 億個も並んでいる.3 億個というと, 1 秒間に 1 個ずつ読んでも全遺伝情報を解読するのは何十年もかかるほどの膨大な情報量である. たった 4 種類の塩基でゲノムに含まれる膨大な遺伝情報が書かれ, 細胞が分裂する度にほぼ正確に受け継がれて必要な情報が記載されていく. しかし, 膨大な情報を正確に複製するのは難しく, 時々間違ってはいけない場所, いわゆる癌遺伝子や癌抑制遺伝子などの, 細胞の機能に重要な役割を果たしている遺伝子にエラーが起こる. ゲノム複製時のエラーによって遺伝情報が書き換えられ, 細胞が本来の正確な情報と異なった振る舞いをするようになる. このように理論的には, どのような癌も或る種の幹細胞のような前駆細胞に, 遺伝子 の変異が蓄積して発症すると理解できる. そこで, まず, どのような遺伝子が変異しているのか, そしてそれらの遺伝子変異が病態とどのように関連しているのかを明らかにすることが,MDS を含む癌を理解する上で大変重要となる. MDS における遺伝子変異の同定 ( ~ 1993 年 ) MDS は造血幹細胞に遺伝子の変異が蓄積して発症する. では, どういう遺伝子が変異しているのか.MDS で最初に報告された変異遺伝子は N-ras (NRAS) である. これは, 恩師の平井久丸教授 ( 前東京大学大学院血液 腫瘍内科 ) が,1987 年に世界に先駆けて Nature 誌に報告した. 1 つまり,MDS では NRAS の変異によって或る特定のアミノ酸が変わってしまうことが分かった. 次いで,1993 年に平井教授らのグループは p53 (TP53) がMDS でも変異していることを報告した. 2 TP53 は癌の発生にとっては極めて重要な遺伝子の一つで, ヒトの癌の約半分に変異が認められる.TP53 は癌抑制遺伝子で, ゲノムの変異を防ぐという重要な役割を果たしているが, これが変異すると癌細胞が排除されなくなるという重大な事態が生じる. このように,MDS の変異遺伝子として NRAS と TP53 が同定され, その後, この変異はかなり白血病に近い病態で起こる変異であることも分かったが, 2 年初めになるまで, これ以上の知見がなかなか得られなかった. そして, 残念ながら平井教授は,23 年に 52 歳で急逝された. 平井教授は MDS の研究を自分のライフワークにしたいと常々私たちに伝えていた. 当時の私は,MDS は未知の疾患なのであまり気が進まないと言っていた. しかし, 約 13 年間もの共同研究者でもあった師が亡くなって以来, その志を引継ぎ懸命に研究し続けている. 新規遺伝子変異の同定 ( ~ 21 年 ) 大きな転機は,3 億塩基対の全ゲノムのコピー数を一度に解析できる処理能力の高い方法が開発されたことである. ゲノムのコピー数は, 最初は父親と母親から 1 コピーずつもらうので 2 である. 2 Tenri Medical Bulletin Vol. 18 No. 1 (215)

3 骨髄異形成症候群の分子プロファイリング それが 3 に増えたり, あるいは 1 に減ったり になったりする. 全ゲノム解析は, このようなゲノムの増減が生じている全ての場所を知ることができる技術である. この技術を使って,29 年に我々のグループが,MDS では CBL 遺伝子が変異することを最初に報告した. 3 また, 他のグループが,TET2 遺伝子と EZH2 遺伝子変異を新たに同定した. 4,5 このように全ゲノムを解析する方法によって, どの遺伝子が変異するのかが明らかになってきた. 最初の NRAS から 2 数年間が経過したが,21 年までに 1 数個の変異遺伝子が同定された. 以前から分かっていた染色体異常に加えて数種の新たな遺伝子変異が明らかになったわけだが, ここには一つの問題があった. これらの遺伝子の変異は,AML や真性多血症などの,MDS 以外の骨髄腫瘍でも同様に認められることである.AML では, 特異的な染色体転座によって融合遺伝子を形成することが重要であり, 融合遺伝子の検出は, 現在では AML の日常診療にも使われている. 一方, MDS を特徴づける遺伝子の変異は, まだ知られてなかった. また,MDS 症例 222 例の染色体や遺伝子の変異を調べても,1% ~ 15% の症例には我々が知っている遺伝子の変異は認められず, 3 どうして MDS になっているのかを想像するすべもなかった. 技術の進歩ヒトゲノム全塩基配列の決定大きな変革は, 塩基配列を決定する能力が格段に上昇して 3 億塩基対あるヒトゲノムの全配列の決定が可能になったことである. 私が研究を始めた頃は Maxam-Gilbert 法という方法で,2 から 3 塩基対の配列を決定するのに 2 ~ 3 週間もかかったが, 今日ではその能力は数 1 万倍に増強された. これは, 初期のコンピューターに比べると, 現在のコンピューターではクロック周波数が格段に上昇し, 極めて高速に処理できるのと同様で,DNA の塩基配列決定能力は 3 年前にくらべると劇的に進歩したのである.2 年にはヒトゲノムの概要配列 (draft sequence) が解読され, 6,7 続 いて 23 年には精密配列が決定された. 8 大量並列シークエンスこの遺伝子配列を決定する革命的な技術は, 大量並列シークエンス (massive parallel sequencing) である. まず, 小さなスライドガラスの上に, 塩基配列を決定したい DNA 断片を大量に撒く. すると, 数億個の分子クラスターができるので, それらの上で 1 つずつ塩基を決定していく. 例えば,A という塩基を入れたり B という塩基入れたりして, それらを 1 回ずつ写真に撮る. これを 1 回繰り返すと, 各フラグメントの 1 塩基対が決定する. その 1 塩基対が一度に数億個も決まるので, 全て合わせると膨大な DNA の配列量, 情報量になる. 現在, 平均的な最先端の DNA シークエンサーでは,6 日間で 1 テラバイトが解読でき,3 億塩基対あるヒトゲノムの約 2 ~ 3 人分を決定することができる. 癌はゲノムに変異が起こって発症するので, どこに異常が起こるのかを調べればよい. 昔は想像もできない非現実的な問題であったが, このように革命的に技術が進歩して, 現在は癌の全ゲノムを調べることが可能になった. 癌のゲノム解析ヒトゲノムのリファレンスシークエンスに, 調べた癌のゲノムの断片を 1 個ずつあてはめていくと,1 塩基の置換や欠失, ある領域のホモ欠失 ヘミ欠失や増幅, 染色体転座などを見出すことができる. また,hepatitis virus や human papillomavirus などのヒト以外の塩基配列が入っていれば, ウイルスの存在も明らかになる. このように, 癌のゲノムのほぼすべての情報を網羅的に決定することができるようになった. 9 現在, 世界各国の機関や組織が参画して,1 種類のがんについて少なくとも 5 症例以上を解析してデータ化するという大規模な癌ゲノム研究プロジェクトが進行している. この国際共同プロジェクトは順調に進んでおり, どのような遺伝子異常が原因となっているのか, 数年後にはヒトの主要な癌について癌ゲノムの様相を知ることができるだろう. 天理医学紀要第 18 巻第 1 号 (215) 3

4 小川 Nanopore Sequencing さらに,Nanopore sequencing という技術が開発されつつある. 膜たんぱく質中に形成したナノポア (1 メートルの 1 億分の 1 のサイズの超微細な穴 ) に,DNA の 1 本鎖を通していく. すると, 通過する塩基の種類 (A, T, G,C) によって電気抵抗が少しずつ変わる. その微細な電流の変化をシーモス (CMOS) 半導体チップ上でモニターしていくと, 通過した塩基の種類がわかる. つまり,DNA 分子を 1 塩基ずつ直接見ていく技術で, 一気に 1 万塩基対の配列が決まり, 数分間でヒトゲノムを読むことができる.Oxford Nanopore Technologies 社が, 近々上梓する予定である.USB ぐらいの小さなサイズでコストも割と安く, 将来的にはベッドサイドで塩基配列を調べられるようになる可能性が高い. 数年後には, 癌のゲノムを読むことがより身近になる日が確実に訪れ, 診療の現場でゲノム情報を得ることができるようになる. 癌だけではなく, 遺伝性疾患はもちろんのこと, 糖尿病や高血圧などの疾患も遺伝子レベルで診断できるようになるだろう. MDS のゲノム解読大量並列シークエンス技術を使って, まず, MDS の様々な病型から幅広く 56 例を選択して全エクソンを解析した. 全ゲノムは 3 億塩基対あるが, 実際に遺伝子をコードしている領域は約 3, 万塩基対で, ゲノム全体の約 1% ~ 2% に相当する. その領域だけを集中的に解読した結果, 遺伝情報が決定的に変わってしまうような遺伝子変異が, MDS では 1 症例あたり平均 9.2 個検出された ( 図 2). 肺癌や悪性黒色腫では数百から千個の遺伝子が変わってしまうので, それに比べると非常に少ない. さらに, その 9.2 個の遺伝子の中で MDS 発症に寄与する重要な役割を担う変異, これをドライバー遺伝子変異というが, そのような変異は数個であることも明らかになった.MDS の複数の症例で繰り返し変異が認められた遺伝子の中で, 最も高頻度であった TET2 遺伝子は明らかに MDS の原因遺伝子であると考えられる.TET2 遺伝子の他にも, 既に MDS で変異することが知られている遺伝子も認められたが, 驚いたことに, 高頻度トップ 5 のうち 4 つの遺伝子 (SRSF2, U2AF1, ZRSR2, Missense Frameshift Nonsense Splice site Nonflameshift 9.2 / sample 1 症例当たりの遺伝子変異数 図 2. MDS 症例の全エクソン解析によって検出された遺伝子変異の個数 4 Tenri Medical Bulletin Vol. 18 No. 1 (215)

5 骨髄異形成症候群の分子プロファイリング SF3B1) は, 予測しなかった新たな遺伝子であった. これらは全て, 細胞の遺伝情報の発現にとって基 本的な機能の一つである RNA スプライシング を担う遺伝子であった. MDS における RNA スプライシング遺伝子変異 細胞の遺伝情報は, ゲノム DNA から中間的な メッセンジャー RNA(mRNA) に受け渡される. 次 いで mrna に基づいてたんぱく質が合成され, 様々な細胞の機能が発揮される. その中間段階の mrna の合成に関与する RNA スプライシング遺 伝子の異常が,MDS の病態に深く関わっているこ とが分かった.1 例だけで変異している遺伝子も 含めると,RNA スプライシング遺伝子の変異の頻 度は約 57% であった. さらに,MDS の様々な病型と他の血液腫瘍を 含む合計 582 例の遺伝子変異を解析したところ, MDS では RNA スプライシング遺伝子変異が特に 高い頻度で生じていた. 不応性貧血 (MDS without RS) で約 44%, 慢性骨髄単球性白血病 (CMML) で約 55%, 鉄芽球性貧血 (RARS/RCMD-RS) では 約 85% という極めて高い頻度であった. 1 SF3B1 の変異が,RARS; 64~83%,RCMD-RS; 57~76%, RARS-T; 68~73% という報告もある. 11 一方,AML や骨髄増殖性疾患 (MPN) など他の血液腫瘍では 1 % 以下と低頻度であった. 1 つまり,RNA スプ ライシング遺伝子の変異は,MDS に特異的である. 図 3 は MDS と AML において種々の遺伝子が 変異している割合を示したものである. それぞ れに特徴的な変異が認められる中で,MDS では RNA スプライシング遺伝子の変異の頻度が約 6 割を超え, 圧倒的に突出している.MDS 発症に は RNA スプライシング遺伝子の変異が関与して いることは明らかである. さらに, その遺伝子変 異は,RNA スプライシングの最初の過程である prespliceosome(complex A) の形成 12 に関与する因 子に集積していた. 図 4 に示すように,pre-mRNA の過程で 3' スプライシング部位の認識に関わる主 要な因子が, 遺伝子変異によって異常を来たして いたのである. さらに興味深いことに, これらの Frequency of mutations 7% 6% 5% 4% 3% 2% 1% % MDS 遺伝子変異は重複することなく, 排他的に起こっ ている. 1 つまり,RNA スプライシング因子が 1 個壊れると, 装置全体が根本的に壊れてしまうの である. では,RNA スプライシング装置が壊れる と, どうして MDS の病態となってしまうのか. こ れは世界中で懸命に研究中だが, 残念ながらまだ 解明されていない. AML/MDS 図 3. MDS と AML の遺伝子変異 図 4. RNA スプライシング装置と MDS における遺伝子変異 Yoshida K, et al. Nature 211;478: より改変 新規遺伝子変異の同定 (211 ~ 214 年 ) MDS AML(TCGA) SPLICING JAK2 BCOR CBL EZH2 TET2 COHESIN PHF6 TP53 N/KRAS DNMT3A IDH1/2 PTPN11 KIT CEBPA WT1 FLT3 NPM1 t(15;17) t(8;21) inv(16) AML 全エクソン解析をすることで,MDS に関わって いる主要な遺伝子変異が同定された. おそらく新 しい遺伝子変異, 少なくとも高頻度で現れるよう な遺伝子変異はもう検出されないだろう. 現時点 で我々は,MDS は遺伝子変異が原因であり, ど の遺伝子が変異しているかに関して, ほぼ把握で きるようになった ( 図 5). さらに最近, 友人の牧 島秀樹氏 (Cleveland Clinic, USA) と共に 2 例の MDS の全エクソンを解析した. データをみると数 天理医学紀要第 18 巻第 1 号 (215) 5

6 小川 図 5. MDS に関わっている主要な遺伝子変異 多くの遺伝子が変異していて,1 例 1 例の変異遺伝子は全く異なるパターンをとっていた. つまり, 同じ MDS でも遺伝子変異という観点からすると, それぞれ異なっていて同一ではなく, 随分と多様であることがわかる. 将来的には 1, 例を対象に解析したいと考えている. 技術的な大革新により, 我々は, 変異頻度の高い遺伝子を次々と同定することができた. 全ての遺伝子について説明することはできないので割愛するが, その中で 2 つの遺伝子について概説する. まず SETBP1 遺伝子は, 重い奇形を伴う小児の先天性疾患 Schinzel-Giedion 症候群の原因遺伝子として知られている. この SETBP1 の変異頻度を他の血液腫瘍を含む 727 例で調べた結果, 二次性 AML で 16.8%,CMML で 14.5% と高い頻度で変異が認められた. 一方,de novo AML では.7% と低頻度であった. つまり,SETBP1 遺伝子の変異は, MDS から白血病に進行する段階に関わっている. 13 次に,cohesin は 4 つの分子 (STAG2,RAD21, SMC1A,SMC3) から構成される複合体で, これらの分子をコードする遺伝子は, 同じく先天性疾患である Cornelia de Lange 症候群と Roberts 症候群の原因遺伝子であることがわかっている. さて, DNA は細胞分裂期 (S 期 ) に複製され, 複製後に二つの細胞に分配される (M 期 ) が, 複製 DNA( 姉妹染色体 ) は, 細胞が分裂するまで解離しないようにつなぎとめておかなければならない. この役割を果たす分子が cohesin である.Cohesin の 4 つの分子はリング状に繋がって姉妹染色体をとりまき, アセチルトランスフェラーゼ ESCO が鍵をかけて姉妹染色体の接着が完成する.MDS では, このように染色体を束ねている cohesin に変異が認められるのである. 14 様々な病型の血液腫瘍 61 例を解析した結果,Cohesin 遺伝子の変異は AML の 12.1%(19/157), MDS の 8.%(18/224), CMML の 1.2%(9/88),CML の 6.3%(4/64),MPN の % (1/77) に認められた. 14 この他にも,BCOR/BCORL1 15 などの多くの遺伝子変異が報告され,211 年 ~ 214 年の数年間に, 急速にほぼ全ての重要な遺伝子変異が同定された. MDS の発症に多くの遺伝子が関わっていることを理解することは簡単ではないが, これは癌においてはむしろ一般的なことである. 逆に,CML の場合はシンプルで分かり易い.CML の原因は分子標的治療薬イマチニブの標的であるフィラデルフィア染色体異常, すなわち BCR-ABL 蛋白であるが, 6 Tenri Medical Bulletin Vol. 18 No. 1 (215)

7 骨髄異形成症候群の分子プロファイリング このような 1 つの遺伝子変異で発症する癌は非常に稀である. 遺伝子変異と予後の関連性 MDS における遺伝子変異が分かったので, この結果を治療に役立てたい. そのためには, ある遺伝子が変異していると予後が良いのか悪いのか, 病態に何か特徴があるのかを知りたい. そのためには関連性を見なければならないので, 多数の症例を調べることが必要である. これはどの臨床試験もみな同様である. そこで我々は, ドイツの共同研究者と, 支持療法だけで経過観察した MDS 症例の 944 例を対象に遺伝子変異を徹底的に調べた. 16 そして, 遺伝子変異に基づいた予後予測モデルを作った. このような研究では, 作ったモデルが, その特定のサンプルセットにだけ成り立つという事態, すなわちオーバーフィッティングがしばしば起こる. そこで, まず training cohort (n = 73) でモデルを作成し, validation cohort (n = 214) でそのモデルが成り立つかどうかを調べる方法で, 二重に検証した. 16 次に, 変異頻度の高い遺伝子含めた 14 個の遺伝子について, 遺伝子をコードしている領域だけを上手く濃縮して, 次世代シークエンサーで塩基配列を調べた. 得られた情報をスーパーコンピュー タで処理すると, 合計 2,764 個の変異が認められた. 16 昔のシークエンス技術では, 何年もかけて延々と続けなければならない作業であるが, 今日では 3 か月程度で完遂できる. さらに, シークエンスしたリード数を勘定して正常と比較すると, リード数が少ない箇所 ( 欠失 ) や多い箇所 ( 増幅 ) も同時に検出可能である. このように約 1, 例の症例について 14 個の遺伝子が徹底的に調べられた癌は, おそらく今までにないであろう.MDS は, 昔は全くわからない疾患であったが, 遺伝子変異の観点からみると, 他の癌と比べても今日では最もよく解析された癌であると言える. 図 6 に 944 例の MDS 症例におけるドライバー遺伝子変異 / 欠失の頻度を示す. 16 少し残念なことに, 変異が見つかったのは 944 例中 864 例 (91.5%) で,8.5% の症例では変異は検出されなかった. 遺伝子 14 個を徹底的に調べても原因が判明するのは約 9 割にとどまり, 残りは分からない. これは MDS がいかに多様な原因によって起こっているかを示唆している. これらを全て調べるには, もっと多くの症例を対象にする必要があるが,1% の MDS 症例に生じている異常を 95% の信頼区間の確率で捉まえようとすると 1 万症例が必要になる. あまり現実的ではなく, ここにまだ大きな限界がある. その限界はさておき, 逆のポジティブな見 Frequency 35% 3% 25% 2% 15% 1% 5% 864/944 cases (91.5%) 5q- RA RCMD RARS RCMD-RS RARS-T RAEB-1 RAEB-2 % TET2 SF3B1 SRSF2 DNMT3A U2AF1 ZRSR2 STAG2 TP53 EZH2 CBL JAK2 BCOR IDH2 NRAS MPL NF1 ATM IDH1 KRAS PHF6 BRCC3 ETV6 LAMB4 NCOR2 SMC3 RAD21 CTCF PTPN11 FLT3 GNAS FBXW7 SMC1A CEBPA NPM1 DCLRE1C KIT FANCL GATA2 GPRC5A U2AF2 IRF1 LUC7L2 GNB1 SF1 PIGA 図 6. MDS 症例におけるドライバー遺伝子変異 / 欠失の頻度 Haferlach T, et al. Leukemia 214;28: より改変 天理医学紀要第 18 巻第 1 号 (215) 7

8 小川 方をすれば, 約 9 割の症例には何らかの変異が見つかる. ただし,1% 以上の患者に認められたドライバー変異は,TET2,SF3B1,,SRSF2, DNMT3A, の 6 つの遺伝子変異であった. その中で頻度の多い TET2 や SF3B1 遺伝子変異でも頻度は 3% ~ 35% 未満であり, その他の遺伝子変異の頻度は高いものではない. 16 やはり MDS は, 遺伝子的には CML のような単純な癌ではなく, 多様な複雑な癌であるといえるだろう. 我々のグループ 16 とイギリスの Sanger Institute の研究結果 17 から, 変異頻度が高い上位 12 の遺伝子を表 1 に記した.1 遺伝子を除いて同じ遺伝子が列挙されているので, 一致率 再現性は非常に高く, この結果は真実を反映していると思われる.MDS は, 少なくともトップ 12 の遺伝子変異に限れば, 均一な疾患であるといえる.RNA スプライシングに関わる遺伝子が最も多く, 次に DNA のメチル化やクロマチンの修飾などのエピジェネティックスに関わる遺伝子, あるいは転写因子やシグナル伝達分子など, さまざまな細胞の機能に関わる遺伝子が変異している. 16 一方,1 症例あたりのドライバー遺伝子変異数の中央値は 3 個であった. 変異数の平均値と MDS の各病型との関連をみると,RA や 5q 症候群などの予後が良い病型では 1.5 個であるのに対して, リスクが高い病型になるに従って値は増加し,RAEB では 4 個であった. つまり, 遺伝子変異数と MDS のリスクが相関している. この結果は,MDS がよりリスクの高い病型に進展するにつれて遺伝子変異が蓄積していることを反映している. 16 次に, それぞれの遺伝子変異が予後に及ぼす影響を調べた. 単変量解析でさまざまなパラメータ間の相互作用を全く無視して 1 個ずつ予後との関連性をみたところ, 唯一の例外である SF3B1 遺伝子を除いて, 大半の遺伝子変異は予後不良に関連しており, なかでも TP53 や EZH2 はとりわけ予後が悪い. 16 つまり, 遺伝子の変異が予後に及ぼす効果には強弱があり, 明らかに患者の予後, 運命を決定している. 表 1. MDS における変異頻度トップ 12 遺伝子 Haferlach T, et al. Leukemia 214;28: TET2 SF3B1 SRSF2 DNMT3A U2AF1 ZRSR2 STAG2 TP53 EZH2 CBL* N = genes tested 予後予測モデルの構築 MDS の臨床現場では, 患者のリスクを評価する ところから診療が始まる. 低リスクの患者は, 輸 血や補助療法で治療する. 一方, 高リスクの患者は, まず造血幹細胞移植の適応がある場合は移植をし, 移植の適応がない場合はアザシチジンなどの治療 を選択する. 低リスクの患者に移植をすると, 移 植関連死のために生命予後が短くなる可能性もあ る. 患者のリスクを評価して適切な治療を選択す ることが重要である. 従って, リスクを評価する 予後予測モデルは, 治療法を決める上で重要な手 段の一つである. Papaemmanuil E, et al. Blood 213;122: SF3B1 TET2 SRSF2 DNMT3A U2AF1 TP53 EZH2 IDH2* STAG2 ZRSR2 N = genes tested (* 不一致 ) そこで我々は, 様々なパラメータを用いて 2 つ のモデルを構築した.Model-1 は, 現在 MDS の予 後予測に用いられている IPSS-R(revised International Prognostic Scoring System) の臨床情報と染色体異 常 (clinical parameter) に遺伝子変異の情報 (genetic parameter) を追加したモデル ( 図 7A),Model-2 は, 遺伝子変異の情報のみで構築したモデルであ る ( 図 7B).Model-1 と Model-2 で選ばれた遺伝子 変異は 1 個を除いて同じである. これらの 2 つの モデルを使って予後予測をしたところ,4 つのグ ループ (low, intermediate, high, very high) に層別化 することが最も効率的であることが分かった ( 図 8). Model-1 によるそれぞれのリスクグループの 8 Tenri Medical Bulletin Vol. 18 No. 1 (215)

9 骨髄異形成症候群の分子プロファイリング (A) clinical and genetic parameters (Model-1) (B) Only genetic parameters (Model-2) log HR HR log HR Gender (Male) Age 1.1 Hb (8-<1) 2.4 CBL Hb (<8) 4.2 ETV6 Plt (5-<1) 1.4 Plt (<5) 2.2 EZH2 Blast score (>2-<5) 1.4 KRAS Blast score (5-1) 1.7 Blast score (>1) LAMB4 Cytogenetics (good) Cytogenetics (intermediate) 1.7 NF1 NPM1 1.7 NRAS CBL ETV6 1.2 PRPF8 LAMB4 1.9 STAG2 TET2 NPM1 1.5 TP53 NRAS 1.1 Variables were selected by LASSO TET2 TP Cytogenetics (poor) EZH2 NCOR2 PRPF Cytogenetics (very poor) KRAS NF 図 7. 予後予測モデル Clinical parameters Genetic parameters HR (Training cohort, N=611) (Validation cohort, N=175) Clinical and genetic parameters (Model-1) Only genetic parameters (Model-2) Conventional model (IPSS-R) A overall survival B overall survival C overall survival 図 8. 各予後予測モデルにおけるリスク群別の生存曲線 high.2 very high (n = 12) (n = 71) P< (m) 1. low (n = 16) intermediate (n = 26) F very low low (n = 8).8.8 very low (n = 65 low (n = 29) (n = 247).6.6 intermediate.4.4 very high (n = 47) high (n = 1) (n = 1) very high.2.2 high (n = 42) intermediate (n = 24) P<.1 (n = 142) P< (m) (m) D overall survival overall survival E overall survival very high (n = 2) P< (m) 1. high (n = 3) low (n = 53) intermediate (n = 72).8.8 low low (n = 23) (n = 7).6.6 high (n = 46) intermediate intermediate.4 (n = 198).4 very high very high (n = 47).2 (n = 65) high.2 (n = 12) (n = 118) P<.1 P< (m) (m) Cases The number of very high risk cases Model-1 Model-2 IPSS-R Haferlach T, et al. Leukemia 214;28: より改変 2 1 天理医学紀要第 18 巻第 1 号 (215) 9

10 小川 3 年生存率は 95.2%, 69.3%, 32.8%, 5.3%,Model-2 で 83.3%, 66.4%, 39.7%, 9.5% であり, これらのリスクグループは validation cohort でもおおよそ再現することができた. 予後不良群についてみると, IPSS-R の very high は 611 例中 42 例であるが, 遺伝子変異の情報を追加した Model-1 では 71 例となり, 予後不良の症例はもっと多いことがわかる ( 図 8). Validation cohort でみると, 低リスク群の再現性はよいとはいえないが,very high risk の再現性は良好で,Model-1, Model-2 とも IPSS-R よりも多くの high-risk 症例を予測することができた. 16 このように統計的にも, 遺伝子変異の情報を追加することによって, 予後予測能力が有意に向上することがわかった. つまり, 従来の IPSS-R モデルよりも優れた予後予測モデルを作ることができるということである. そこで現在, 我々の研究に基づいて, 全世界で数千例を対象にして, 遺伝子変異の情報を加えた新しい IPSS 分類を構築する試みが始まっている. 数年後にはベッドサイドで,MDS 患者の遺伝子変異を調べてリスク分類をすることが日常的になったり, あるいは必須の検査になったりするかもしれない. 米国では,TP53 や, あるいは EZH2 や ETV6 などの 6 つの遺伝子検査については既に保険適応が認められていて, 日本より随分と進んでいる. 実際,TP53 変異がある症例の予後は大変に悪いので, 造血幹細胞移植をしても救命することができないかもしれない. 遺伝子変異の情報を加えた予後予測モデルは, 患者にとっても我々にとっても大変重要になる. 遺伝子変異間の相関多くの遺伝子変異は一見ランダムに生じているようであるが, 実は特定の組み合わせがあることがわかった. 図 9 は, 各遺伝子変異間の相関を示したものである. 16 ある特定の二つの遺伝子の組み合わせが高い確率で生じている一方, 確率の低い組み合わせもある. たとえば, 前述のとおり鉄芽球性貧血と関連が深い SF3B1 遺伝子変異は, 他の遺伝子変異とは排他的に生じ,RNA スプライシングに関わる他の遺伝子変異が生じる確率が低い. SF3B1 変異があると, 概して遺伝子変異の数が少なく予後も良い. 変異は無秩序に起こっているのではなく, 特定の二つの遺伝子間には, ある種の機能的な協調作用, 相互作用がある. つまり, あ SF3B1 SRSF2 U2AF1 ZRSR2 LUC7L2 PRPF8 TET2 IDH1 IDH2 DNMT3A EZH2 ETV6 IRF1 NPM1 PHF6 BCOR TP53 BRCC3 STAG2 MPL JAX2 PTRRT KRAS NRAS CBL NF1 LAMB4 図 9. 遺伝子変異間の相関 SF3B1 SRSF2 U2AF1 ZRSR2 LUC7L2 PRPF8 TET2 IDH1 IDH2 DNMT3A EZH2 ETV6 IRF1 NPM1 PHF6 BCOR TP53 BRCC3 STAG2 MPL JAX2 PTRRT KRAS NRAS CBL NF1 LAMB4 Pathways q<.1 q<.1 q<.1 Correlation coefficient 1. Splicing DNA methylation Chromatin modication Transcription DNA repair Cohesin Receptors/Kinases RAS pathway Others Haferlach T, et al. Leukemia 214;28: より引用 Tenri Medical Bulletin Vol. 18 No. 1 (215)

11 骨髄異形成症候群の分子プロファイリング る遺伝子変異が起こると次に選ばれる変異は決まっている. ある条件のもと, 次にどういう変異があると MDS に進展しやすいかが決まり, 互いに協調しあって MDS を発症する. 我々の結果 16 と別の研究の結果 17 と比較すると, 協調的な遺伝子が驚くほど一致した ( 表 2). 全く別なセットで検証しても再現されるので, この結果の信頼性は高いといえるだろう. 腫瘍内の多様性もう一つ, 癌を理解する上で重要な話をしよう. 癌は, 癌細胞が増大して最後に固体を死に至らしめる病気である. イメージ的には全て同じ癌細胞が塊を作っているようだが, 癌細胞は全部が同じではなく全く異なることが, 最近ますます明らかになってきた. たとえば, 癌細胞が人類全体だとすると, 同じ人間でも日本人やアメリカ人, フランス人など違う集団が存在するように, 癌細胞は単一な集団ではない. つまり, 肺癌や乳癌あるいは白血病などそれぞれの腫瘍内には, 違った性質を持ついくつかの亜集団が存在する. これを 腫瘍内の多様性 と言う. 癌においては, この多様性がほぼ常に認められる. これは, 癌の発症を考える上でもちろん重要だが, 癌の再発や治療抵抗性と深い関係がある. たとえば, ペストが全ヨーロッパを蔓延しても, 何人かの人は耐性を持っているために生き残る. これは細菌でも同様で, 抗生物質で細菌を殺そうとしても, 必ずや耐性菌が現れる. 多様性があるために, ある種の治療をしてもその薬に対して抵抗性を持っている細胞は殺すことができない. 治療に対してもともと抵抗性のあるクローンが発生してくることが, 再発の主要な原因と考えられる. この腫瘍内多様性をみる上で最も簡単でわかりやすい方法は遺伝子変異を調べることである. たとえば図 1 に示すように, 腫瘍細胞全部に A の変異があり,B は全部にはないが二つに共通,C, D,E はそれぞれ固有だとすると, ここから, 表 2. MDS の遺伝子変異における協調的な遺伝子 TET2 ZRSR2 (q<.1), SRSF2, CBL (q<.1) SRSF2, ZRSR2 (q<.1) SF3B1 DNMT3A, JAK2 (q<.1) DNMT3A (q<.1) SRSF2 どういう順番で遺伝子変異が起こったかを推測するこ とができる. 合理的には, 全部にある A が最初に起こり, A から B と C が分岐して, さらに B の集団の中に E と D が分かれてきたという系統樹になる. これは進化論 の絵と同様で, 人類あるいは生物の種が進化するよう に, 癌は時々刻々進化をしている. これが, 癌が治り にくい原因の一つである. このように遺伝子変異を比 較すると, 腫瘍内の多様性が常に生じ, 様々な癌細胞 が生じることが分かる. MDS におけるサブクローン性変異 そこで,MDS 症例 16 例の遺伝子変異を調べたとこ ろ, 主要な集団全てにあるクローン性変異と分岐した サブクローン性変異があり, 腫瘍内多様性が認められ た. 16 STAG2,,, IDH2 (q<.1) TET2 (q<.1), CBL (q<.1) 図 1. 腫瘍内多様性 STAG2, IDH2, CUX1, TET2, (q<.1) U2AF1 (q<.1), PHF6, ETV6 (q<.1) (q<.5) ZRSR2 TET2 (q<.1), PHF6 (q<.1) TET2 (q<.1) STAG2,, SRSF2, NRAS, BCOR (q<.1), IDH2 (q<.1) EZH2 (q<.1) SRSF2, (q<.1) (q<.5) IDH2,EZH2 (q<.1) DNMT3A SF3B1 (q<.1) SF3B1 (q<.1), BCOR (q<.5) EZH2 Haferlach T, et al. Leukemia Papaemmanuil E, et al. Blood N = 944 N = 738 SRSF2,, EZH2, STAG2, BCOR (q<.1) SRSF2, U2AF1, STAG2, IDH2, EZH2,, NRAS (q<.1) CBL (q<.1),, TP53, LAMB4, LUC7L2, NPM1, ETV6 (q<.1) NRAS (q<.1), STAG2 (q<.1) STAG2,, SRSF2 (q<.1) EZH2 (q<.5), NRAS (q<.1) SRSF2, (q<.1) JAK2, U2AF1, STAG2 (q<.5) IDH2, NRAS, CUX1 (q<.1) (q<.5) STAG2 (q<.1) MDS は単一な腫瘍細胞が増大した単純な構造で はなく, 徐々に進化を繰り返しながらバラエティに富 んだ腫瘍クローンがあることが分かってきた. では, なぜサブクローンの同定が重要なのか. サブクローン 天理医学紀要第 18 巻第 1 号 (215) 11

12 小川 は, 腫瘍全部にあるわけではなく, 一部だけにある変異である. しかし, たとえ 1% しかないサブクローン変異でも, 予後にはクローン変異と同じ影響を及ぼす. これは大変重要なことで, たとえば や AXL1, あるいは TP53 の変異は, わずか数 % の集団にあるだけでも予後が悪くなる. 16 したがって, 精密に遺伝子変異を調べることが重要であり, その目的には高速シークエンサーは最適な手段である. このような方法は, 数年後には臨床診断に必ず導入されてくるであろう. さて, このような観点で 944 例をさらに検証すると, 腫瘍のサブクローンが 456 例 (48.3%) に認められた. 16 わずか 14 遺伝子だけを調べても明らかにサブクローン変異があり,MDS が白血病に近づくにつれて, ますます多様なクローンが増えていた. また, クローンとサブクローン内のアレル頻度は, 遺伝子ごとに異なっていた. 16 つまり, 遺伝子の変異が起こる場合, 先述の特定の組み合わせと共に, 変異が生ずる順番もあることが分かった. では,MDS はどういう遺伝子変異がどういう順番で蓄積して起こるのか. 最初に RNA スプライシング遺伝子や DNA のメチル化に関わるような遺伝子, 次に や EZH2 のような転写因子やエピジェネティックスに関わるような遺伝子の変異が次々と蓄積して MDS を発症する. さらに,RAS pathway の遺伝子, 加えて SETBP1 遺伝子が変異して白血病に進展するとういう順番が存在する. 18 完全に正確とまではいえないが, 遺伝子変異の順番がおおよそ分かるようになった. 遺伝子変異の起源遺伝情報を持つ受精卵からヒトが形成される過程で, 細胞は幾度も分裂する. 分裂時に遺伝情報は全ての細胞に等しく分配されるのが生命の基本原理である. それを担っているのが遺伝物質 DNA 分子で,3 億塩基対もある.1 回分裂するたびに 3 億塩基対が間違いなく複製することは大変難しく, 少しは間違える. やはり自然は間違える. もし間違えなければ, 進化は起こらない. 完 全に正確に遺伝子が複製されれば, 種はそのままであり, 猿は猿のまま, 大腸菌は大腸菌のままで進化など起こらない. 少し間違えることが大変重要なわけで, 少なくともアウストラロピテクス (Australopithecus afarensis) から人類になるまでの間においても, 相当な数の間違いが起こって, 進化や多様性がおこった. 最近, 驚くべきことに金髪はたった一つの遺伝子の変異であることが報告された. 19 このように非常にドラスティックな人類の形態でさえ,3 億塩基対あるうちから, たった 1 個の塩基の違いで起こる.1 個であっても, 変異が起こる場所によっては大変重要なインパクトを及ぼすわけである. しかしながら幸か不幸か, たんぱく質をコードしている領域は 1 ~ 2% に過ぎないので, ほとんどの変異は無害である.1 回に起こる変異は数個で, これは細胞の種類によって随分と違う. 生殖細胞を作る primordial germ cell では複製は非常に正確であるが, 体外培養すると 1 倍から 1 倍ぐらいの高い確率で間違いが起こる. 癌の起源はこのようなランダムに起こる変異で,1 つの細胞が分裂してできた 2 つの細胞は決して同じではない. 細胞が 1 回分裂すると, ハプロイドゲノムあたり.2 から 4.5 個の変異が生じると見積もられている. 2 遺伝子変異の蓄積健常人の造血前駆細胞における遺伝子変異の数を調べた報告がある. 21 臍帯血を 1 個ずつバラバラの細胞にして培養した後, それらを全てエクソン解析する. 同様に,2 ~ 7 代の人から骨髄を採取し, 細胞 1 個ずつについて由来するクローンを調べた. その結果, 遺伝子変異の数は臍帯血サンプルが最も少なく, 骨髄サンプルでは年齢にほぼ比例して変異数が増加した.2 代でもいくつかの変異があり, 加齢とともに増え,5 代で平均約 7 個, 7 代ではどのクローンを調べても 1 個前後の遺伝子変異があった. 最近, 世界最高齢に近い 115 歳の女性の血液細胞のゲノムが調べられた. もともとヒトの造血幹細胞は 1 万個 ~ 2 万個あると言われているが, それが白血球や赤血球などをつく 12 Tenri Medical Bulletin Vol. 18 No. 1 (215)

13 骨髄異形成症候群の分子プロファイリング り, 一生の間造血を担う. ところが,115 歳までに様々な変異が起きて多くの造血幹細胞が消失し, たった 2 個しか残っていなかったと報告された. 22 加齢とともに我々の細胞は変化する. その大きな変化の一つは, ゲノムが正確に複製されずに少しずつ変わってしまうことである. ここで興味深いのは,MDS の平均発症年齢が 65 歳前後で高齢者に多い疾患であることだ. 先に述べたように,MDS の遺伝子変異の数は平均 9.2 個であるが, ほとんどはどの細胞にも生じるランダムな変異で,MDS 発症に直接関与する遺伝子変異は 2,3 個である.2 万個の造血幹細胞が 1 年間に 4 回分裂すると仮定すると,7 代になるまでに 28 回分裂していることになる. その間に少しずつ遺伝子変異が蓄積して, 場合によってはその中に非常に都合の悪い変異が起こることがある. ニューヨークにいる私の友人 Ross Levine のグループの報告では, 健常な 8 歳以上の女性の 1 ~ 2% に, 白血病や MDS で変異する頻度の高い TET2 遺伝子の変異が骨髄に認められた. 23 ヒトは加齢とともに, このような都合の悪い変異を起こしているかもしれない. MDS は突然に起こるわけではなく, 非常に長い年月をかけて遺伝子変異が蓄積し, 偶発的に発症 するのではないかと類推される. 現在は一人のゲノムをシークエンスするのに約千ドルもかかり, それでもこれほど詳しく調べられない. しかし, 近い将来, シークエンスが簡便にできるようになると, 一般検診で TET2 変異あるいは他の遺伝子変異が既にある人が見つかり, その人は精密にモニターするようになるかもしれない. 数年後には, 検診の仕方も大きく変わってくるだろう. 再生不良性貧血と MDS 再生不良性貧血は, 自己免疫が働いて造血幹細胞が激減し, 血液中の白血球, 赤血球, 血小板の全てが減少する疾患である. そのために貧血症状や感染による発熱, あるいは出血などをきたす. 約 7 ~ 8 割の患者は免疫抑制療法で改善するが, ときに MDS や AML に移行する. 再生不良性貧血の患者は, 他の人達よりも MDS や AML を発症する確率が高い. そこで, アメリカ国立衛生研究所 (NIH) と日本の二つのコホートで, 再生不良性貧血症例を対象に造血器腫瘍関連の 16 遺伝子を調べたところ, 両コホートともに約 3 割に遺伝子変異が認められた. その中でも発症頻度が特に高かった遺伝子は,PIGA, BCOR /BCORL1, DNMT3A, であった ( 図 11). Variant allele frequencies 14.% 12.% 1.% 8.% 6.% 4.% 2.% Clonality cannot be explained only by bottleneck effects! Darwinian selection plays a role. Common targets in both cohorts included 4 genes, i.e., PIGA, DNMT3A, BCOR,. others splicing frameshift nonsense missense multiple.% PIGA BCOR/BCORL1 DNMT3A COHESIN Splicing TET2 GNAS PRC2 TP53 LAMB4 PRPF8 CBL TERF1/TERT CSMD1 JAKs IDH2 CUX1 RBBP4 ATRX PHF6 SETBP1 ATM KRAS MPL NF1 POT1 RAP1A WT1 PEG3 STAT3 CDAN1 DIS3 GATA1 SH2B3 図 11. 再生不良性貧血における造血器腫瘍関連遺伝子の変異頻度 天理医学紀要第 18 巻第 1 号 (215) 13

14 小川 1 例を紹介する. 患者は 75 歳男性で,12 年前に再生不良性貧血と診断された.NIH の Neal Young 先生が保存されていた初診時から 12 年間の検体を, 全てのポイントで全エクソン解析をして詳細に調べた. その結果, 図 12 に示すように, 初診時から既に数種の遺伝子変異が認められる. 初診から約 1 年後には免疫抑制療法が奏効して TET2, BCOR 変異クローンは消失したが, 他のクローンが増えている. その後, あるクローンが大半を占めたり SETBP1 変異が現れたりと,12 年間にいろいろな変化が起こっていることが解る. 一方, ヘモグロビン, 白血球, 血小板の値には大きな変化はない. 血小板値はずっと μl 前後で低いままなので, 再生不良性貧血の寛解はむずかしいと思われていた. 初診 9 年後ぐらいから血小板値は 1 ~ μl になり非常に悪い状況になったので, サイクロスポリンを増量するが全く効かない. 詳細にみると, 様々な遺伝子変異が認められクローン進化が起こっていて,MDS に関わる遺伝子変異パターンを形成している. このような症例は, 臨床的には, 再生不良性貧血なのか MDS なのか鑑別が難しい. 現在は, 再生不良性貧血患者の塩基配列の解析は行っていないが,MDS を発症する前のこのような経緯も考えなければならない. 前例で言えば, 初診から約 4 ~ 5 年後にシークエンスをすれば, クローン性造血や 1 個の造血幹細胞からクローンが再構築されていることがわかったであろう. 精密なモニターが必要であることが早期にわかり, 血小板が激減する前に対応することが充分可能となる. このように遺伝子を調べることによって, 我々の疾患に対する考え方も随分と変わってくるだろう. おわりに近年,DNA のシークエンス技術が革命的に進化し, 我々は, ゲノムの病気としての癌を正確に調べることができるようになった. そして,MDS 発症に関わっている主要な遺伝子をほぼ全て同定するに至った. さらに,MDS には腫瘍内多様性があることがわかり, 遺伝子変異にはヒエラルキーがあることもわかった. また, 遺伝子変異の情報を加えたモデルは,IPSS モデルよりも正確に予後を予測することができる. たとえば,monosomy 7 と WBC (1 2 /ul) WBC Hb SETBP1 * * 6m 1y 2y 3y 4y 5y 6y 7y 8y 9y 1y 11y 12y BCOR Hb (g/dl) Plt (1 4/ ul) IST hatg CSA 図 12. 重症再生不良性貧血 (severe aplastic anemia; SAA) の 1 症例 14 Tenri Medical Bulletin Vol. 18 No. 1 (215)

15 骨髄異形成症候群の分子プロファイリング 表 3. 共同研究者 ( 敬称略 ) Cleveland Clinic Taussig Cancer Institute Chang Gung Memorial Hospital, Chang Gung University Tokyo Metropolitan Ohtsuka Hospital Tsukuba University Showa University University of Tokyo Cancer Genomics Project Human Genome Center Center for Stem Cell Biology and Regenerative Medicine Department of Pathology Cedars-Sinai Medical Center Uniformed Services University of the Health Sciences MLL Laboratory University Hospital Mannheim Deapartment of Pediatrics Nagoya University Hideki Makishima, Kwok Peng Ng, Mikael A. Seaker, Jaroslow P. Maciejewsk Lee-Yung Shih Ken Ishiyama, Shuichi Miyawaki Mamiko Sakata-Yanagimoto,Shigeru Chiba Hiraku Mori Kenichi Yoshida, Yasunobu Nagata, Ayana Kon, Masashi Sanada, Yusuke Sato, Aiko Matsubara, Yusuke Okuno Yuichi Shiraishi, Satoru Miyano Ryo Yamamoto, Makoto Otsu, Hiromitsu Nakauchi Aiko Nishimoto, Shunpei Ishikawa H Phillip Koeffler Yang Du, Nhu Nguyen Alexander Kolemann, Vera Grossman, Torsten Haferlach, Claudia Haferlach Wolf-Karsten Hofmann, Florian Nolte, Daniel Nowak Hitoshi Sakaguchi, Hideki Muramatsu, Seiji Kojima 5q, 17p, 12p があり TP53 変異を持っているハイ リスク症例は, 現在の医療では救命することは不 可能であろう. こういう場合に造血幹細胞移植の ような強い治療を実施すると, かえって副作用の ために, 患者の QOL を大きく低下させる可能性も ある. 遺伝子変異の情報で今より正確な予後予測 ができるので, 我々はより早期に治療方針を決定 することができる. 遺伝子情報を加えた新しい予 後予測モデルは, 近い将来, 多大な応用用途があ ると考える. 本日お話した研究は, 多くの共同研究者 ( 表 3 ) による成果である. たとえば, 研究に必要な検体 を集めるために同意書をとる人, あるいは採血を する人, 毎日のデータのチャート作成をする人な ど様々な医療従事者が関わっている. また,DNA のシークエンス解析には膨大なデータを扱う. 東 京大学医科学研究所の宮野悟先生や白石友一先生 は数学分野の研究者である.MDS の克服は, 共同 研究者をはじめ MDS の診療に関わる全ての人々の 大きな希望, 目標であり, 重要な課題の一つである. 参考文献 1. Hirai H, Kobayashi Y, Mano H, et al. A point mutation at codon 13 of the N-ras oncogene in myelodysplastic syndrome. Nature 1987;327: Sugimoto K, Hirano N, Toyoshima H, et al. Mutations of the p53 gene in myelodysplastic syndrome (MDS) and MDS-derived leukemia. Blood 1993;81: Sanada M, Suzuki T, Shih LY, et al. Gain-of-function of mutated C-CBL tumour suppressor in myeloid neoplasms. Nature 29;46: Delhommeau F, Dupont S, Della Valle V, et al. Mutation in TET2 in myeloid cancers. N Engl J Med 29; 36: Nikoloski G, Langemeijer SM, Kuiper RP, et al. Somatic mutations of the histone methyltransferase gene EZH2 in myelodysplastic syndromes. Nat Genet 21;42: International Human Genome Sequencing C. Initial sequencing and analysis of the human genome. Nature 21;49: Venter JC, Adams MD, Myers EW, et al. The sequence of the human genome. Science 21;291: International Human Genome Sequencing C. Finishing the euchromatic sequence of the human genome. Nature 24;431: Meyerson M, Gabriel S, Getz G. Advances in understanding cancer genomes through second-generation sequencing. Nat Rev Genet 21;11: Yoshida K, Sanada M, Shiraishi Y, et al. Frequent pathway mutations of splicing machinery in myelodysplasia. Nature 211;478: Malcovati L, Papaemmanuil E, Bowen DT, et al. Clinical significance of SF3B1 mutations in myelodysplastic syndromes and myelodysplastic/myeloproliferative neoplasms. Blood 211;118: Wahl MC, Will CL, Luhrmann R. The spliceosome: design principles of a dynamic RNP machine. Cell 29;136: Makishima H, Yoshida K, Nguyen N, et al. Somatic SETBP1 mutations in myeloid malignancies. Nat Genet 213;45: Kon A, Shih LY, Minamino M, et al. Recurrent mutations in multiple components of the cohesin complex in myeloid neoplasms. Nat Genet 213;45: Damm F, Chesnais V, Nagata Y, et al. BCOR and BCORL1 mutations in myelodysplastic syndromes and related disorders. Blood 213;122: Haferlach T, Nagata Y, Grossmann V, et al. Landscape of genetic lesions in 944 patients with myelodysplastic 天理医学紀要第 18 巻第 1 号 (215) 15

16 小川 syndromes. Leukemia 214;28: Papaemmanuil E, Gerstung M, Malcovati L, et al. Clinical and biological implications of driver mutations in myelodysplastic syndromes. Blood 213;122: ; quiz Walter MJ, Shen D, Ding L, et al. Clonal architecture of secondary acute myeloid leukemia. N Engl J Med 212;366: Guenther CA, Tasic B, Luo L, et al. A molecular basis for classic blond hair color in Europeans. Nat Genet 214;46: Gundry M, Vijg J. Direct mutation analysis by high-throughput sequencing: from germline to low-abundant, somatic variants. Mutat Res 212;729: Welch JS, Ley TJ, Link DC, et al. The origin and evolution of mutations in acute myeloid leukemia. Cell 212;15: Holstege H, Pfeiffer W, Sie D, et al. Somatic mutations found in the healthy blood compartment of a 115-yr-old woman demonstrate oligoclonal hematopoiesis. Genome Res 214;24: Busque L, Patel JP, Figueroa ME, et al. Recurrent somatic TET2 mutations in normal elderly individuals with clonal hematopoiesis. Nat Genet 212;44: 小川誠司教授 (Ogawa Seishii, MD, PhD) 略歴 1988 年東京大学医学部卒業 1993 年東京大学医学部附属病院第三内科非常勤医員 1996 年日本学術振興会特別研究員 1997 年東京大学医学部附属病院第三内科助手 22 年東京大学大学院医学系研究科造血再生医療寄付講座客員助教授 26 年東京大学 21 世紀 COE プログラム特任准教授 28 年東京大学 大規模ゲノムミクスによるオーダーメイドがん診療技術の開発 特任准教授 213 年 9 月 ~ 京都大学大学院医学研究科腫瘍生物学講座教授 16 Tenri Medical Bulletin Vol. 18 No. 1 (215)

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Microsoft Word - tohokuuniv-press _02.docx 報道機関各位 報道機関各位 2016 年 11 月 18 日 東北大学大学院医学系研究科理化学研究所 世界初 : 一遺伝子変異の遺伝的リスクと父の加齢との関係性を説明 発達障害を理解するための遺伝子 環境因子相互作用の可能性について 研究の概要 自閉症スペクトラム障害や注意欠陥 多動性障害等の発達障害では その症状が多様であることから多数の遺伝子および遺伝子 環境相互作用が絡み合う複雑な病因が想定されています

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