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1 資源エネルギー庁御中 平成 28 年度石油産業体制等調査研究 ( バイオ燃料を中心とした我が国の燃料政策のあり方に関する調査 )( バイオエタノール関連 ) 報告書 2017 年 3 月 31 日 環境 エネルギー事業本部

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3 目次 1. 調査の概要 目的 調査項目 現地調査 委員会の設置 運営 バイオ燃料の今後の導入のあり方検討委員会 ( 検討委員会 ) ライフサイクル評価ワーキンググループ (LCA-WG) 諸外国のバイオ燃料政策の最新動向及び日本における現状比較 米国 バイオ燃料政策及び導入状況 次世代バイオ燃料の開発 導入状況 バイオ燃料の GHG 排出量の評価状況 EU バイオ燃料政策 次世代バイオ燃料の開発 導入状況 バイオ燃料の GHG 排出量の評価状況 ブラジル バイオ燃料政策とバイオ燃料の導入状況 次世代バイオ燃料の開発 導入状況 持続可能性 韓国 バイオ燃料政策 次世代バイオ燃料の開発 導入状況 各国のバイオ燃料の調達状況及び供給可能性 各国の調達状況 各国の供給可能性 バイオ燃料以外の輸送用燃料を使用する自動車の導入状況 燃料電池自動車 (FCV) 電気自動車 (EV) プラグインハイブリッド(PHV) 及びハイブリッド車 (HEV) 天然ガス自動車 (NGV) バイオ燃料へ与える影響について バイオ燃料に係る諸外国の企業動向 調査方法 調査対象企業の選定 各社の動向調査 次世代のバイオ燃料の開発動向と事業化に向けた課題 iii

4 3.2.1 バイオエタノール 炭化水素燃料 年度以降の判断基準のあり方 検討の論点 バイオ燃料導入方針 気候変動対策におけるバイオ燃料の位置付け エネルギー供給構造高度化法におけるバイオ燃料の位置付け バイオ燃料導入方針のあり方 目標の設定方法 目標水準 導入対象 安定供給の確保 持続可能性基準 GHG 排出量 生物多様性 食料競合等 次世代バイオ燃料の導入 EU における次世代バイオ燃料導入促進策 米国における次世代バイオ燃料導入促進策 その他の論点 実績情報の公開 年度以降の判断基準のあり方まとめ 参考資料 化石燃料の GHG 排出量 ( 基準値 ) の計算 バイオエタノールの GHG 排出量の既定値の計算 ( 土地利用変化以外 ) バイオエタノールの GHG 排出量の既定値の計算 ( 直接土地利用変化 ) バイオ燃料の GHG 削減水準の検討 バイオ燃料の持続可能性に関する海外の検討状況 次世代バイオ燃料の参考値設定のスケジュール 手順 事業者による GHG 排出量の独自算定の例 iv

5 図目次 図 1-1 検討委員会の構成... 4 図 2-1 米国における FFV 登録台数の将来予測 図 2-2 米国における E85 給油所数推移 図 2-3 ガソリン ( 左 ) EPA(2010)2022 年トウモロコシ由来エタノール GHG 排出量 ( 中 央 ) USDA レポートでのトウモロコシ由来エタノール GHG 排出量算定結果 ( 右 ) 図 2-4 エタノール生産量の推移 図 2-5 ブラジルと米国の輸出入関係 図 2-6 バイオエタノール生産量 消費量 輸出量の推移 図 2-7 アグロ = エコロジー ゾーニング (ZAE) の区分 図 2-8 ブラジルのサトウキビ面積及び収穫量の推移 図 2-9 サンパウロ州におけるサトウキビの収穫面積と焼畑収穫率 / 機械収穫率の推 移 図 2-10 エタノール消費に占める国産のシェア ( 自給率 ) 図 2-11 開発輸入のイメージ 図 2-12 バイオエタノールの供給の将来見通し 図 2-13 バイオエタノールの需要将来見通し ( 輸出等も含む ) 図 2-14 ブラジルからのバイオエタノール輸出の将来見通し 図 2-15 ブラジルからの輸出見通しの変遷 図 2-16 直近のブラジルにおけるバイオエタノール工場の新設 廃止状況 図 2-17 サトウキビ農地面積の将来見通し 図 2-18 米国のエタノール需要と国内生産能力 図 2-19 米国のエタノール輸出見通し 図 2-20 燃料用エタノールの主要な国際フロー 図 2-21 EU における 2015 年及び 2016 年の新規乗用車登録台数 (ECV, HEV, AFV) 図 2-22 世界の天然ガス自動車保有台数 図 3-1 次世代バイオ燃料開発の概況 ( 製造プロセスと課題を表示 ) 図 4-1 判断基準の今後の方向性 ( 案 ) 図 4-2 米国産トウモロコシ由来エタノールと併産物の製造工程 図 4-3 副産物の扱いのあり方 図 4-4 間接土地利用変化のうち 事業者が把握し得るバイオ燃料原料栽培地近隣で の土地利用変化のパターン 図 4-5 EU における次世代バイオ燃料導入施策 ( イメージ ) 図 4-6 米国における第 1 世代 セルロース系バイオエタノールに対する支援水準 110 図 4-7 ブラジル産サトウキビ由来エタノールの製造工程 図 4-8 ブラジル産サトウキビ由来エタノール製造プロセスのエネルギーフロー 図 4-9 米国産トウモロコシ由来エタノールの製造工程 図 4-10 サトウキビ農地の炭素ストックデータ ( 文献 1) 図 4-11 サトウキビ農地の炭素ストックデータ ( 文献 2) v

6 図 4-12 サトウキビ農地の炭素ストックデータ ( 文献 3) 図 4-13 サトウキビ農地の炭素ストックデータ ( 文献 6) 図 4-14 サンパウロ州における焼畑収穫率の推移 図 4-15 系統電力のライフサイクルでの GHG 排出量の違いによる必要削減率の変化 図 4-16 世界の穀物価格 全てのコモディティーの価格 バイオ燃料生産量 図 4-17 トウモロコシ生産量と窒素肥料使用量 図 4-18 トウモロコシ生産量とメキシコ湾への窒素流出量 図 4-19 トウモロコシ栽培面積及びトウモロコシ生産量 図 4-20 参考値設定の手順 図 4-21 参考値設定に向けたスケジュール 図 4-22 セルロース系エタノールの GHG 排出量評価 ( カリフォルニア州制度における事業者毎値の平均 ) 図 4-23 バイオジェット燃料の GHG 排出量評価 vi

7 表目次 表 1-1 米国現地調査訪問先 ( 米国産トウモロコシ由来バイオエタノール関連 )... 2 表 1-2 バイオ燃料の今後の導入のあり方検討委員会のスケジュール... 4 表 2-1 諸外国における自動車用バイオ燃料の導入 開発動向の概要... 9 表 2-2 RFS2 におけるバイオ燃料の導入目標 ( 単位 : 億ガロン ) 表 2-3 RFS2 におけるセルロース系バイオ燃料の RIN 発行量 表 2-4 米国における藻類由来バイオ燃料の技術開発の取り組み状況 表 2-5 米国における次世代バイオ燃料プラントの稼働状況 (2017 年 2 月現在 ) 表 2-6 EPA と USDA レポートの排出量算定前提の比較 ( 単位 :gco 2 eq/mmbtu) 表 2-7 再生可能エネルギー指令 (RED) の現行指令と改正案との比較 ( 総論 ) 表 2-8 再生可能エネルギー指令 (RED) の現行指令と改正案との比較 (GHG 排出量 算定方法 ) 表 2-9 再生可能エネルギー指令 (RED) の現行指令と改正案との比較 表 2-10 再生可能エネルギー指令 (RED) の現行指令と改正案との比較 表 2-11 欧州各国のバイオ燃料消費量 ( 単位 : 石油換算トン ) 表 2-12 EU における次世代バイオ燃料製造プラント 表 2-13 欧州で認定されている自主的な持続可能性基準 表 2-14 欧州で認定されている持続可能性基準 ( 国家基準 ) 表 2-15 各種車両に対する税率 ( 単位 :%) 表 2-16 従来型バイオエタノールの生産 供給 需要 ( 燃料利用とその他 )( 百万 L) 表 2-17 ブラジルのエタノール輸出入 表 2-18 ブラジルにおけるバイオディーゼルの生産量 使用量 ( 百万 L) 表 2-19 ブラジルのバイオディーゼル輸出実績 表 2-20 セルロース系エタノール生産の現状 表 2-21 韓国 RFS の概要 表 2-22 バイオ燃料の導入目標及び導入実績 表 2-23 コスト削減とエネルギーセキュリティ向上に資する輸入形態の例 表 2-24 欧州各国のバイオ燃料輸入政策の例 表 2-25 日本における支援措置一覧 表 2-26 次世代型自動車の国内保有台数 表 2-27 EU 各国における 2016 年の新規乗用車登録台数 (ECV, HEV, AFV) 表 2-28 ブラジルにおける HEV EV 販売車種 表 2-29 ブラジルにおける車両登録数の推移 表 2-30 国内の天然ガス自動車保有台数 表 3-1 次世代バイオ燃料開発の概況 表 4-1 検討の論点 表 4-2 各燃料種の判断基準上の位置付け 表 4-3 諸外国の制度における副産物の扱い 表 4-4 共通工程における GHG 排出量の按分法の比較 表 4-5 エタノール独自工程 と 副産物独自工程 の分配 vii

8 表 4-6 GHG 排出量算定式 表 4-7 米国における間接土地利用変化の評価の変化 表 4-8 事業者による間接土地利用変化の国への報告事項と確認方法 ( 案 ) 表 4-9 ブラジル産エタノール製造プラントのエネルギー消費に起因する GHG 排出 量の分解 表 4-10 ブラジル産サトウキビ由来エタノールの熱量按分に関するデータ 表 4-11 ブラジル産サトウキビ由来エタノールの GHG 排出量評価 [gco 2 eq/mj] 表 4-12 米国産トウモロコシ由来エタノール製造プラントのエネルギー消費に起因 する GHG 排出量の分解 ( 暫定値 ) 表 4-13 米国産トウモロコシ由来エタノールの熱量按分に関するデータ 表 4-14 米国産トウモロコシ由来エタノールの GHG 排出量評価 [gco 2 eq/mj]( 暫定値 ) 表 4-15 ブラジル産サトウキビ栽培の土地利用変化における GHG 排出量 ( 按分後 ) (g-co 2 eq/mj) 表 4-16 米国産トウモロコシ栽培の土地利用変化における GHG 排出量 (g-co 2 eq/mj) 表 4-17 参考値を示す対象の燃料の評価対象 ( 候補 ) 表 4-18 独自算定における政府 事業者 第三者機関の役割 表 4-19 独自算定におけるデータの種類 根拠資料 表 4-20 EU 指令で規定された次世代バイオ燃料 表 4-21 SET Plan における次世代バイオ燃料の 2020 年コスト目安 表 4-22 バイオ燃料に対する免税措置 表 4-23 米国におけるバイオ燃料の導入目標量 表 4-24 米国における次世代バイオ燃料に対する税制優遇策 表 4-25 米国 RFS における情報公開の例 表 4-26 英国 RTFO における情報公開状況 表 4-27 英国 RTFO における事業者別情報公開の例 表 年度以降の判断基準のあり方 表 4-29 ガソリンの GHG 排出量試算値 [gco 2 /MJ] 表 4-30 軽油 ジェット燃料の GHG 排出量試算値 [gco 2 /MJ] 表 4-31 ブラジル産サトウキビ由来エタノール製造プラントのエネルギー消費起源 GHG 排出量の分解 表 4-32 米国 ミネソタ州におけるエタノール 副産物製造 (2015 年 ) 表 4-33 米国産トウモロコシ由来エタノール製造プラントの GHG 排出量の分解 表 4-34 米国産トウモロコシ由来エタノール製造プラントの GHG 排出量の分解 表 4-35 ブラジル産サトウキビ由来エタノールの熱量按分に関するデータ 表 4-36 ブラジル産サトウキビ由来エタノールの価格按分に関するデータ 表 4-37 米国産トウモロコシ由来エタノールの熱量按分に関するデータ 表 4-38 米国産トウモロコシ由来エタノールの重量按分に関するデータ 表 4-39 米国産トウモロコシ由来エタノールの価格按分に関するデータ 表 4-40 ブラジル産サトウキビ由来エタノールの GHG 排出量評価 [gco 2 eq/mj] 表 4-41 米国産トウモロコシ由来エタノールの GHG 排出量評価 [gco 2 eq/mj] viii

9 表 4-42 ブラジル産サトウキビ由来エタノールの GHG 排出量の既定値設定のためのバックデータ一覧 表 4-43 米国産トウモロコシ由来エタノールの GHG 排出量の既定値設定のためのバックデータ一覧 表 4-44 計算に用いる単位換算のための係数 表 4-45 SienceDirect における検索の結果抽出された文献及びその概要 表 4-46 サトウキビ農地の炭素ストックデータ ( 文献 4) 表 4-47 サトウキビ農地の炭素ストックデータ ( 文献 5) 表 4-48 ブラジル産サトウキビ栽培可能地とサトウキビ栽培の前提条件 表 4-49 ブラジル産サトウキビ栽培の土地利用変化における GHG 排出量 (gco 2 /MJ) 表 4-50 輪作からトウモロコシ連作に移行した際の土壌炭素ストックの変化 表 4-51 米国産トウモロコシ栽培可能地とトウモロコシ栽培の前提条件 表 4-52 米国産トウモロコシ栽培の土地利用変化における GHG 排出量 (gco 2 /MJ)144 表 4-53 自動車の製造時 廃棄時のライフサイクル評価の文献値 表 4-54 自動車の製造時 廃棄時のライフサイクル評価の換算値 表 4-55 トウモロコシ生産量と肥料使用量 表 4-56 西コーンベルト地帯における土地利用変化 (2006~2011 年 ) 表 4-57 GBEP におけるバイオエネルギー持続可能性指標 ( 環境 ) 表 4-58 GBEP におけるバイオエネルギー持続可能性指標 ( 社会 ) 表 4-59 GBEP におけるバイオエネルギー持続可能性指標 ( 経済 ) 表 4-60 次世代バイオ燃料開発の概況 ( 再掲 ) 表 4-61 セルロース系エタノールの LCA 評価 ( 欧州制度における既定値 ) 表 4-62 高効率かつ CO 2 回収を行っているプラントで生産された米国産トウモロコシ由来エタノールを輸入する場合の算定方法 表 4-63 欧州産小麦由来エタノールの場合の算定方法 ix

10 1. 調査の概要 1.1 目的バイオ燃料の導入については 京都議定書等を契機とし 地球温暖化対策 エネルギー対策の観点から取り組みが進められてきた また 現行のエネルギー基本計画 ( 平成 26 年 4 月閣議決定 ) においても バイオ燃料は温室効果ガスを実質排出しない再生可能エネルギーの 1 つとして位置付けられ 国際的な動向や次世代バイオ燃料の技術開発の動向を踏まえつつ 導入を継続する こととされている これまで 我が国では 平成 15 年に 揮発油等の品質の確保等に関する法律 ( 昭和 51 年法律第 88 号 ) を改正し ガソリンとバイオエタノールとの混合に係る制度整備を行った また 揮発油税の免税制度の措置や エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律 ( 平成 21 年法律第 72 号 以下 エネルギー供給構造高度化法 という ) に基づく 非化石エネルギー源の利用に関する石油精製業者の判断の基準 ( 平成 22 年経済産業省告示第 242 号 以下 判断基準 という ) において 石油精製業者に対するバイオ燃料の導入目標を設定した なお この目標設定にあたり 温室効果ガス (GHG) 削減効果等の持続可能性基準を設け 基準に適合したバイオ燃料のみをカウントすることとした 一方 世界に目を転じると 欧米におけるバイオ燃料の導入施策においては 食料競合を招く可能性がある第 1 世代バイオ燃料の導入を制限し セルロースや藻類等を原料とする次世代バイオ燃料の導入や開発を促進する傾向が見られる 我が国は 現在導入しているバイオ燃料のほとんどをブラジル産のサトウキビを原料とした第 1 世代バイオエタノールの輸入に頼っているが 同時に次世代バイオ燃料の研究も進められており 欧米同様 次世代バイオ燃料の重要性が今後ますます高まっていく可能性がある さらに バイオジェット燃料の導入について ICAO( 国際民間航空機関 ) や IATA( 国際航空運送協会 ) が CO 2 削減目標やバイオジェット燃料等の導入見通しを示すとともに 各国の航空会社がバイオジェット燃料を混合して テストフライトや商用フライトを実施している また 米国では 短中期的な軍用のバイオジェット燃料の導入目標を掲げ 導入促進に努めている このような状況を踏まえ 本事業では各国におけるバイオ燃料を中心とした燃料政策の最新動向を把握 分析し 関係事業者や有識者と共有 議論することを通じて 我が国のバイオ燃料を中心とした燃料政策のあり方を検討することを目的とする 1.2 調査項目 本報告書では 本調査で行った調査項目のうち バイオエタノールに関する調査結果を 示す 1

11 1) 諸外国のバイオ燃料政策の最新動向及び日本における現状比較公表資料等から諸外国のバイオ燃料政策や導入動向について情報を収集した 対象国は バイオ燃料生産の先進国や我が国と同様の立場の国として ブラジル 米国 欧州 (EU 及び英国 ドイツ ) 韓国とした なお 州単位で独自の取り組みがなされているカリフォルニア州の取り組みについても調査した また 昨今 バイオ燃料は自動車 ( バイオエタノール ) だけでなく航空機 ( バイオジェット燃料 ) 等でも導入されていることから 関連するこれらの輸送用燃料の施策動向についても併せて調査した 2) バイオ燃料に係る諸外国の企業動向次世代バイオ燃料を中心として 諸外国における主なバイオ燃料製造企業の事業の現状や研究開発動向等を調査した なお研究開発動向に関しては 原料の調達 ( 生産 ) から燃料の生産までの一連のプロセス全体を俯瞰し 研究開発要素や今後の課題について調査した 3)2018 年度以降の判断基準のあり方の検討 以上の分析等を踏まえ 2018 年度以降のエネルギー供給構造高度化法の判断基準につい て 有識者検討会を開催し 委員の意見を踏まえ検討 整理を行った 1.3 現地調査次期判断基準における バイオエタノールのライフサイクルでの GHG 排出量に関する既定値の設定について検討するため 米国産トウモロコシ由来バイオエタノールの製造状況の実態に関し 米国への現地調査を実施した 以下に調査概要を示す (1) 現地調査訪問先 現地調査の訪問先を下表に示す 表 1-1 米国現地調査訪問先 ( 米国産トウモロコシ由来バイオエタノール関連 ) 日程 2017 年 2 月 8 日 ( 水 ) Badger Ethanol Plant(WI) 2017 年 2 月 9 日 ( 木 ) 2017 年 2 月 10 日 ( 金 ) 注 )WI: ウィスコンシン州 IL: イリノイ州 訪問先 Adkins Energy(IL) Illinois Corn Marketing Board トウモロコシ農場 Marquis(IL) University of Illinois-Chicago (Dr. Steffen Mueller) 2

12 (2) 主な調査結果 1) バイオエタノールのライフサイクルでの GHG 排出量評価を行う際の副産物の扱い米国産トウモロコシ由来バイオエタノールの副産物 (DGS 粗トウモロコシ油 バイオディーゼル CO 2 ) は 畜産 食品市場等における商品価値が高く また一連の製造工程のうち これらの副産物の製造工程におけるエネルギー消費量も大きいことが分かった このため GHG 排出量評価にあたっては バイオエタノール製造工場におけるバイオエタノールの副産物の GHG 排出量も考慮することが適当であると考えられる また バイオエタノールと副産物の GHG 排出量の配分方法を検討するにあたり 各工程におけるエネルギー投入 消費の状況についても調査した その結果 工程間をまたいだ廃熱利用の事例が確認されたことから エネルギー収支を工程ごとに明確に試算するためには 相当詳細なデータが必要となることも明らかとなった また 今回訪問したバイオエタノール製造工場の中には 副産物である CO 2 を回収し 食品会社に販売している工場もあった このような取り組みを行っている工場は 現時点では全米のバイオエタノール製造工場の 1/4 程度 ( 全 203 工場中 48 工場 ) であるが 今後 このような取り組みが増加することも予想され GHG 排出量評価に際しても考慮可能とするオプションが必要となる可能性がある 2) 自主的な持続可能性基準の認証取得の取り組み ISCC のような自主的な持続可能性基準の認証を取得しているバイオエタノール製造工場は トウモロコシ農場からバイオエタノールの出荷に至るまでのトレーサビリティが確保され かつ第三者の確認を経たエネルギー GHG 関連データが整理されており 認証を取得していない工場と比較して 取り組みが一歩進んだ印象があった なお 米国で ISCC を取得したバイオエタノール工場は 2016 年時点で 23 工場存在する 3) トウモロコシ農家における栽培の効率化への取り組みトウモロコシ農家が栽培の効率化に取り組んだ結果 単収の顕著な増加によって GHG 排出量が低下していることが明らかになった 耕起しない保全型農法 (conservation tillage) や 窒素投入量を減らす適切な施肥 (precision management) といった環境配慮型の農法が 政府や業界 環境団体等の推進もあり 広まっていると言える 1.4 委員会の設置 運営 2018 年度以降のバイオ燃料の導入のあり方及びエネルギー供給構造高度化法の判断基準を検討するため バイオ燃料の今後の導入のあり方検討委員会 を設置し 開催した 本検討委員会では 主に自動車用燃料を対象として議論を行った また 検討委員会の下に GHG 排出量評価について集中的に検討するライフサイクル評価ワーキンググループ (LCA-WG) を設置し 開催した LCA-WG は検討委員会委員のうち 3

13 LCA の専門家で構成した 検討委員会 LCA-WG バイオ燃料の導入のあり方全般及び判断基準について検討持続可能性基準のうち GHG 排出量評価について検討 図 1-1 検討委員会の構成 検討委員会は全 4 回 LCA-WG は全 2 回開催した 表 1-2 バイオ燃料の今後の導入のあり方検討委員会のスケジュール検討委員会 LCA-WG 10 月第 1 回 (10/17) - 11 月第 1 回 (11/8) 第 2 回 (11/25) 12 月 - 第 2 回 (12/26) 1 月第 3 回 (1/30) - 2 月第 4 回 (2/27) バイオ燃料の今後の導入のあり方検討委員会 ( 検討委員会 ) 検討委員会は以下の委員構成で開催した 第 2 回 ~ 第 4 回については アメリカ穀物協会がオブザーバとして参加した 各回の開催記録を以下に示す < 委員構成 ( 敬称略 )> 座長 横山伸也公立鳥取環境大学環境学部環境学科教授 有識者メンバー(50 音順 ) 玄地裕国立研究開発法人産業技術総合研究所安全科学研究部門総括研究主幹坂本浩一 JX エネルギー株式会社総合企画部企画 渉外室企画 渉外グループマネージャー白戸康人国立研究開発法人農業 食品産業技術総合研究機構農業環境変動研究 4

14 泊みゆき濱田剛本城薫本藤祐樹松本真太郎宮久秀一 センター気候変動対応研究領域土壌炭素窒素モデリングユニット長特定非営利活動法人バイオマス産業社会ネットワーク理事長三菱商事株式会社汎用化学品第二本部無機原料部長日伯エタノール株式会社研究担当部長横浜国立大学大学院環境情報研究院教授国立研究開発法人新エネルギー 産業技術総合開発機構新エネルギー部長バイオマス燃料供給有限責任事業組合事務局長 (1) 第 1 回検討委員会 < 開催日時 > 平成 28 年 10 月 17 日 ( 月 ) 15:00~17:00 < 議事 > (1) 委員会の趣旨及び検討の進め方について (2) 現行の判断基準について (3) 諸外国のバイオ燃料の調達方法及びバイオ燃料の供給可能性について (4) 検討の論点について (5) その他 (2) 第 2 回検討委員会 < 開催日時 > 平成 28 年 11 月 25 日 ( 金 ) 10:00~12:00 < 議事 > (1) これまでの検討状況の整理 1 第 1 回検討委員会の指摘事項と対応方針 2 第 1 回 LCA-WG 報告 3 これまでの論点の整理 (2) 主要なバイオ燃料の導入可能性 1 ブラジル産サトウキビ由来エタノール 2 米国産トウモロコシ由来エタノール 3 次世代バイオ燃料 4 諸外国の企業動向 (3) その他 5

15 (3) 第 3 回検討委員会 < 開催日時 > 平成 29 年 1 月 30 日 ( 月 ) 15:00~17:00 < 議事 > (1) 検討の方向性について (2) 持続可能性基準について (3) その他 (4) 第 4 回検討委員会 < 開催日時 > 平成 29 年 2 月 27 日 ( 月 ) 15:00~17:00 < 議事 > (1) 前回までの積み残し事項について (2) 検討会とりまとめについて (3) その他 ライフサイクル評価ワーキンググループ (LCA-WG) LCA-WG は以下の委員構成で開催した この他 検討委員会の横山座長及び本城委員と アメリカ穀物協会がオブザーバとして参加した 各回の開催記録を以下に示す < 委員構成 ( 敬称略 )> 玄地裕国立研究開発法人産業技術総合研究所安全科学研究部門総括研究主幹白戸康人国立研究開発法人農業 食品産業技術総合研究機構農業環境変更研究センター気候変動対応研究領域土壌炭素窒素モデリングユニット長本藤祐樹横浜国立大学大学院環境情報研究院教授 (1) 第 1 回 LCA-WG < 開催日時 > 平成 28 年 11 月 8 日 ( 火 ) 10:00~12:00 < 議事 > (1) LCA-WG の検討内容について 6

16 (2) 化石燃料の LCA について (3) 食物由来のバイオ燃料の LCA について (4) 間接的土地利用変化の考慮について (5) 食物由来以外のバイオ燃料の LCA について (2) 第 2 回 LCA-WG < 開催日時 > 平成 28 年 12 月 26 日 ( 月 ) 15:00~17:00 < 議事 > (1) 検討の方向性について (2) 化石燃料の GHG 排出量の基準値について (3) 主要エタノールの LCA について (4) 間接的土地利用変化の考慮について (5) 参考値の設定方法について (6) LCA の独自算定方法について 7

17 2. 諸外国のバイオ燃料政策の最新動向及び日本における現状比較 8

18 国 地域 表 2-1 諸外国における自動車用バイオ燃料の導入 開発動向の概要 バイオ燃料に関する導入量目標 対象 導入形式 導入実績 今後の見通し 持続可能性基準 我が国への供給可能性 次世代バイオ燃料 の位置付け 備考 日本 エネルギー供給構造高度化法目標 :2017 年度に 50 万 kl 対象 : 石油精製業者 ETBE バイオエタノール :38 万原油換算 kl 63 万 kl(2015) バイオエタノール :50 万原油換算 k L 83 万 kl(2017 年度 ) LCA での GHG 削減量がガソリン比 50% 以上 - 導入目標達成に際し セルロース系エタノールは 2 倍カウント 揮発油税の免税措置あり EU 再生可能エネルギー指令 (RED) 目標 :2020 年に輸送用燃料の 10%( バイオ燃料以外の再生可能エネルギーを含む ) 対象 : 加盟国政府を通じて目標を達成 E5/E85/ETBE など国により異なる バイオエタノール :274 万 toe 537 万 kl バイオディーゼル :1,115 万 toe 1,429 万 kl (2015) 輸送用燃料の 10%( バイオ燃料以外の再生可能燃料を含む ) バイオエタノール :370 万 toe 725 万 kl バイオディーゼル :1,746 万 toe 2,238 万 kl (JEC Biofuels Programme, EU renewable energy targets in 2020, 2014 によるシナリオ分析結果 ) 19 の自主的持続可能性基準 及び 1 つの国家基準を適用 輸出余力無し 導入目標達成に際し セルロース系は 2/4 倍カウント (RED 改正案では 航空 船舶向けの燃料について先進型バイオ燃料のエネルギー含有量を 1.2 倍としてカウント ) 各国にて税制優遇措置等あり 英国 再生可能燃料導入義務 (RTFO) 目標 :2013/14 年以降は輸送用燃料の 5% 対象 : 年間 450kL 以上の輸送用燃料供給事業者 E5/B7 バイオエタノール :41 万 toe 79 万 kl バイオディーゼル :52 万 toe 67 万 kl (2015) バイオエタノール :174 万 toe 341 万 kl バイオディーゼル :246 万 toe 315 万 kl (2020) (National Renewable Energy Action Plan) RED で認められた自主的持続可能性基準を適用 輸出余力無し RED に準じる RTFO 開始に伴い 減 税措置は廃止 ドイツ バイオ燃料割当法 (Biofuel Quota Ordinance) 目標 :2020 年までに GHG 排出量削減率 6% 対象 : 石油供給事業者 E5/B7 バイオエタノール :76 万 toe 148 万 kl バイオディーゼル :178 万 toe 228 万 kl (2015) バイオエタノール :139 万 kl バイオディーゼル :227 万 kl (2017) (USDA, EU Biofuels Annual 2016) RED で認められた自主的持続可能性基準を適用 輸出余力無し RED に準じる 現在では代替燃料による削減しか認められていないが 2017 年以降は石油製油所における効率改善も認められる 米国 再生可能燃料使用基準 (RFS2) 目標 :2020 年に輸送燃料の 20% 対象 : 燃料供給事業者 E10 一部 E15 B2/B5/B20 バイオエタノール : 1,153TBtu 体積換算 5,154 万 kl バイオディーゼル :15 億ガロン 566 万 kl (2015) バイオ燃料 :360 億ガロン 1.36 億 kl (2022) ( 全量バイオエタノールとみなした際の換算値 ) EPA が認めるパスウェイを指定 トウモロコシ由来エタノールの輸出可能性あり 導入義務としてセルロース系バイオ燃料枠あり 先進型バイオ燃料や航空用バイオ燃料に対する助成あり ブラジル ガソリン混合率の指定バイオディーゼルに対する混合率目標 :2019 年までに 10% 対象 : 燃料供給事業者 E100 E25 義務混合率の幅の範囲内で需給バランス等を考慮して設定 B7(2014 年 11 月以降の義務 ) バイオエタノール :2,879 万 kl(2015) バイオディーゼル :400 万 kl (2015) 国内エタノール需要 :4,400 万 kl 輸出量 :350 万 kl (2024) アグロエコロジカルゾーニング制度 (ZAE 制度 ) を施行 現在唯一の調達先国 (2015 年に約 62 万 kl) このうち 米国経由で ETBE として輸入しているエタノールの量は約 57 万 kl(etbe 輸入量のうち ETBE に占めるエタノールの分子量の割合で案分した数値 ) バガス利用等のセルロース系エタノール開発を推進 導入促進策として燃料 車両への減税等あり 韓国 新エネルギー及び再生可能エネルギーの開発 利用 普及促進法 (2015) 目標 : 輸送用燃料に占めるバイオディーゼルの混合比率を 2018 年度以降 3.0% 対象 : 石油精製業者又は石油輸出入業者 B2 バイオディーゼル :49 万 kl (2015) バイオディーゼル :B3(~2018) 予定 ( 特段の動きはみられない ) 輸出余力無し 次世代バイオ燃料の開発を推進 - 今後の需給見通しを踏まえて中期的に見た我が国への供給可能性 出所 ) 各種資料を基に作成 9

19 2.1 米国 バイオ燃料政策及び導入状況 (1) RFS の概要米国では 2005 年の包括エネルギー法 (Energy Policy Act of 2005) において 再生可能燃料基準 (Renewable Fuel Standard, RFS) が策定され 燃料供給事業者 ( 石油精製事業者 石油製品卸販売者等 ) に対して 一定比率の再生可能燃料の供給が義務付けられている 2007 年には エネルギー自立 安全保障法 (EISA) において RFS を改訂した通称 RFS2 が策定され 2008~2022 年までの再生可能燃料の供給目標量が定められた RFS2 制度の運用は環境保護庁 (EPA) が行っており 毎年のガソリン販売量に鑑みて各燃料供給事業者に対して供給義務率を定めるが EISA で定められた目標量の達成が経済的 環境的に深刻な影響を与える場合には 目標量自体を修正する権限も持っている 導入目標は表 2-2 の通りであり 総量 先進型 セルロース系 バイオディーゼルの4 区分により導入量が定められている 表 2-2 RFS2 におけるバイオ燃料の導入目標 ( 単位 : 億ガロン 1 ) うち先進型バイオ燃料総量先進型計 うちセルロース系バイオ燃料 うちバイオディーゼル (2.5) (5) (10) 12.8 * * (181.5) 26.7(3.75) 0.33 (17.5) 16.3 * (205) 28.8 (55) 1.23 (30) 17.3 * (222.5) 36.1 (72.5) 2.30 (42.5) 19.0 * (240) 42.8 (90) 3.10 (55) 20.0 * (260) (110) (70) 21.0 * (280) (130) (85) (300) (150) (105) (330) (180) (135) (360) (210) (160) 年の EISA における目標量と EPA が決定した義務量が異なる場合は EISA における目標量 を括弧内に併記している * 年 ( バイオディーゼルのみ 2018 年 ) までは 2016 年 12 月に EPA が決定した最新目標 * 年の EISA においては 2013 年以降の目標量は将来的に定められる (10 億ガロン以上と することは決定 ) とされていた 出所 )EPA, Renewable Fuel Standard Program 1 1 ガロン =3.785L 360 億ガロンは約 1.36 億 kl に相当 10

20 (2) 自動車用バイオ燃料導入状況 1) バイオ燃料全体 U.S. Energy Informantion Administration のデータ 2 によると 2015 年における燃料用エタノール ( 工業用と考えられる変性エタノールを除く ) の消費量は 1,153TBtu( 体積換算で 5,153 万 kl) であった また バイオディーゼルの消費量は 15 億ガロン (566 万 kl) であった アメリカ穀物協会のレポート 3 によると 最近では トウモロコシの価格が下落し エタノールの生産量が増加したことから 米国のエタノール生産者は積極的に輸出市場を求めている とのことである 2) セルロース系バイオ燃料 米国 RFS2 におけるセルロース系バイオ燃料の導入状況を表 2-3 に示す バイオ燃料総量 では概ね目標通りの導入が進んでいるものの セルロース系バイオ燃料に関しては当初の 予想よりも 著しく遅れが生じており 毎年 導入目標量の大幅な引き下げを行っている EPA が定めた最新 (2017 年 ) の目標は 3.12 億ガロン (118 万 kl) とされ 2007 年当初の 見込みから 5 年程度 後ろ倒しとなっている ( 当初見込みでは 2012 年目標が 5 億ガロン ) 一方 RIN 発行量の内訳を見ると セルロース系バイオエタノールの導入が増加し始めてい る RIN 発行量 セルロース系エタノール セルロース系バイオディーゼル 表 2-3 RFS2 におけるセルロース系バイオ燃料の RIN 発行量 2010 年 2011 年 2012 年 2013 年 2014 年 2015 年 2016 年 2017 年 万 42 万 3,336 万 1.42 億 1.92 億 (76kl) (1.6 千 kl) (13 千 kl) (538 千 kl) (726 千 kl) 0 0 1,700 (6.4kl) 合計 万 (83kl) 1 億 2.5 億 5 億 (379 千 kl) (946 千 kl) (1.9 百万 kl) セルロース系バイオ燃料当初 (2007 年時点 ) 目標 *1 セルロース系バイオ燃料 *2 確定目標 1 億 (379 千 kl) 660 万 (25 千 kl) 865 万 (33 千 kl) 40 万 (1.5 千 kl) 82 万 (3.1 千 kl) 10 億 (3.8 百万 kl) 600 万 (23 千 kl) 5.9 万 (223kl) 3,342 万 (13 千 kl) 17.5 億 (6.6 百万 kl) 3,300 万 (125 千 kl) 30 万 (1.1 千 kl) 1.42 億 (539 千 kl) 30.0 億 (11 百万 kl) 1.23 億 (470 千 kl) 50 万 (1.9 千 kl) 1.92 億 (728 千 kl) 42.5 億 (16 百万 kl) 2.30 億 (880 千 kl) 55 億 (21 百万 kl) 3.12 億 (1.2 百万 kl) waiver credit 価格 [$/ ガロン ] *3 (42 円 /L) *4 1RIN= エタノール換算 1 ガロン (3.785 リットル ) *1 EISA2007 における目標 *2 最新は 2016 年 12 月決定 *3 免除クレジット (waiver credit) セルロース系バイオ燃料の市場での供給量が十分でない場合に EPA により販売され これを購入することでも事業者は目標達成が可能 *4 $1= 120 換算の場合 出所 )EPA, Renewable Fuel Standard Program, Cellulosic Waiver Credits Purchased Annually 2 U.S. Energy Informantion Administration, data, Biofuels overview 3 U.S. Grains Council, grain news, 2016 年 4 月 11

21 (3) ガソリンへのバイオエタノール混合米国でのバイオエタノール利用は E10( バイオエタノール混合率 10% のガソリン ) での導入が中心であるが 国内で認められているバイオエタノール混合率の上限が 10% であったところ 国内のバイオエタノール導入量が既にガソリン消費量の 10% 弱に達しており 導入量の更なる拡大が難しいという問題 ( ブレンドウォール ) に直面した そこで EPA は 米国エネルギー省 (DOE) による自動車試験結果等を受けて 2011 年に フレックス燃料車 (FFV: ガソリンと含水エタノールの両方が使える車両 ) と 2001 年以降に製造された自動車に対して E15( バイオエタノール混合率 10.5~15% のガソリン ) の使用を承認した また E85( バイオエタノール混合率 51%~83% のガソリン ) を使用できる FFV の導入も進んでいる 図 2-1 に示した通り 米国における FFV の登録台数は 現状では 1,500 万台程度であるが 2020 年代前半には 2,000 万台以上になると予測されている また 図 2-2 に示した通り 2014 年時点で 2,500 か所以上の E85 給油所が設置されており これは米国の給油所全体の約 2% に相当する FI: Fuels Institute による推計値 EIA: EIA Annual Energy Outlook 2014 Early Release における推計値図 2-1 米国における FFV 登録台数の将来予測出所 )Fuels Institute, E85 A Market Performance Analysis and Forecast,

22 AFDC: Alternative Fuels Data Center の報告値 Growth Energy: Growth Energy による報告値 RFA: Renewable Fuels Association の報告値図 2-2 米国における E85 給油所数推移出所 )Fuels Institute, E85 A Market Performance Analysis and Forecast, 次世代バイオ燃料の開発 導入状況上述のように 次世代バイオ燃料の導入については 再生可能燃料基準 (RFS2) において 先進型燃料の内訳が示されており セルロース系エタノールやバイオディーゼルなどの導入が進みつつある また 米国では エネルギー省 (DOE) の Bioenergy Technologies Office を始め 農務省 (USDA) 国防省(DOD) などの各省庁が次世代バイオ燃料の研究開発支援を行っている 特徴的な取り組みを以下に取り上げる (1) DOE Bioenergy Technologies Office における研究開発 DOE の Bioenergy Technologies Office では バイオエネルギー技術研究開発の長期計画 Multi-Year Program Plan (MYPP) 4 を策定し 計画的な研究開発を実施している かつて 本 Office による研究開発はリグノセルロース原料からのエタノール生産に着目していたが セルロース系エタノールがコスト目標を達成したことから 他の先進的なバイオ燃料として バイオマス由来炭化水素燃料 ( ガソリン ディーゼル ジェット燃料等 ) や 藻類からの炭化水素生産に着目しており 藻類を含む原料供給技術 転換技術 インフラ整備 持続可能性評価など 多様な研究開発が行われている 現在 技術開発の全体目標として 以下が掲げられている コストのみでなく 温室効果ガス削減率も技術開発目標に加えられていることが特徴的である この全体目標に沿って 各研究分野での目標へのブレークダウンも行われている 2017 年までに 炭化水素バイオ燃料製造技術を用いたパイロットスケール事業の少なくとも 1 つで $3/gallon( ガソリン等価 ) かつ化石燃料比温室効果ガス削減率 50% 以上を達成できることを確認する 4 DOE Energy Efficiency & Renewable Energy, BIOENERGY TECHNOLOGIES OFFICE, Multi-Year Program Plan, March

23 上記に加えて 2022 年までに さらに 2 つの製造技術について パイロットスケー ル又は実証スケール ( 日産 1 トン以上 ) 事業で 上記の達成を確認する これまで バイオ燃料製造施設の商用化に関する目標は生産能力に重点を置いていたが パイロットプロジェクトにおける能力規模は小さく 生産能力の見通しを過小評価している懸念があるため 2016 年における目標の更新では プロジェクト数での評価を取り入れることとしている 具体的には 以下の通りである Cycle 1:2022 年までに パイロットスケールで バイオ燃料又はバイオ製品の製造プロジェクトを 2 件成功させる Cycle 2:2025 年までに 実証スケールで 炭化水素バイオ燃料製造技術を利用したバイオ燃料又はバイオ製品の製造プロジェクトを 1 件成功させる Cycle 3:2030 年までに 実証スケールで 上記とは異なる製造技術を用いたバイオ燃料又はバイオ製品の製造プロジェクトを 1 件成功させる (2) 藻類由来バイオ燃料の技術開発 DOE の Bioenergy Technologies Office によると 藻類由来バイオ燃料の技術開発の取り組 み状況は表 2-4 の通りである 表 2-4 米国における藻類由来バイオ燃料の技術開発の取り組み状況分野取り組み状況 原料となる藻類 栽培 収穫 脱水 藻類の遺伝子学的な情報等のデータベースを確立する 栽培において実験室スケールから大規模な開発スケールへの変換 技術を向上する 藻類バイオマス生産に必要な水や肥料等の資源を持続可能かつコ スト効率的に管理する 収穫 脱水工程を工業的に適切なスケールで開発し実証する等 燃料転換 抽出技術について 既存のものと新しいものとを比較調査する 工業的に適切なスケールで高い変換率を達成し 燃料回収プロセ スを最適化する等 インフラ 様々な輸送シナリオで藻類由来バイオ燃料の特徴を把握する 藻類バイオマス生産に関するモデル化の取り組みを統合する 藻類バイオマス生産によって炭素の固定にどの程度影響を与える かを調査する等 出所 )U.S. Department of Energy (DOE) Bioenergy Technologies Office, 2016 National Algal Biofuels Technology Review, 2016 を基に作成 (3) 次世代バイオ燃料プラントの稼働状況 Ethanol Producer Magazine によると 米国で稼働しているセルロース系エタノールプラン 14

24 トは以下の通りである 表 2-5 米国における次世代バイオ燃料プラントの稼働状況 (2017 年 2 月現在 ) プラント名 原料 生産能力 ( 百万 t/ 年 ) American Process Inc. - Thomaston Sugarcane Bagasse/ 0.3 Biorefinery Woody Biomass American Process, Inc. - - DuPont Cellulosic Ethanol LLC - Nevada Corn Stover 30 Fiberight Demonstration Plant MSW 0.5 Fiberight of Blairstown LLC MSW 6 ICM Inc. Pilot Integrated Cellulosic Corn Fiber/Energy 0.32 Biorefinery Sorghum/Switchgrass Mascoma Corp. Demo Plant Mixed Hardwood 0.2 Poet-DSM Advanced Biofuels LLC - Corn Cobs/Corn Stover 20 Project Liberty Quad County Cellulosic Ethanol Plant Corn Fiber 2 ZeaChem Inc. - Demonstration Plant Poplar/Straw/Stover は情報無し 出所 )Ethanol Producer Magazine, U.S. Ethanol Plants, バイオ燃料の GHG 排出量の評価状況 (1) RFS における評価米国では 再生可能燃料基準 (RFS) において ライフサイクルでの GHG 削減量がガソリン比 20% 以上のもののみを再生可能燃料として認めている ここでのライフサイクル評価においては 直接土地利用変化を含まないが 国内外への間接的な土地利用変化の影響 ( ただし 欧州における間接土地利用変化とは定義が異なる 5 ) を含んでいる また GHG 削減量や原料によって 先進型バイオ燃料 セルロース系バイオ燃料などの区分もあり この分類別の導入目標を定めることで より持続可能性の高いバイオ燃料が導入されることを担保している 5 欧州では バイオ燃料生産による生産地の移転による影響を評価しているが 米国では バイオ燃料の 需要増に伴う作物価格上昇による国際的な生産拡大への影響を評価している ( 国立研究開発法人新エネルギー 産業技術総合開発機構 戦略的次世代バイオマスエネルギー利用技術開発事業 / バイオ燃料の持続可能性基準に関する動向調査 (2016 年 ) より ) 15

25 (2) EPA における検討動向 2016 年の EPA の報告 6 によると 年にバイオ燃料が環境等に与える影響について議会へ報告書を提出して以降 3 年ごとに提出するという要件を満たしていないこと 年に実施した LCA 評価の結果を受けて決定した RFS の GHG 削減量の水準値を更新していくとしていたものの まだ進捗していないこと の 2 点について EPA の監査室から勧告を受け EPA はそれぞれの実施計画を示したところである (3) 農務省における検討動向米国農務省 (USDA) は 2017 年 1 月に発表したレポート A Life-Cycle Analysis of the Greenhouse Gas Emissions of Corn-Based Ethanol ( コンサルタント会社 ICF への委託報告書 ) において 米国産トウモロコシ由来エタノールについて ライフサイクルでの GHG 排出量評価を行った その目的は 現在 米国 RFS2 で使われているデフォルト値が 2010 年に策定されたのに対し 米国でのトウモロコシ由来エタノールの生産量が 2010 年以降も増加し 生産状況が効率化されてきたことから 算定の見直しを提案することである RFS2 のデフォルト値と同一の算定方法に基づき インプットする値の更新や参照するモデルの変更が行われている RFS2 では2022 年にガソリン比 21% 減 (79,180gCO 2 eq/mmbtu) と算定されていたが 本試算により 2014 年時点でガソリン比 43% 減 ( 55,731gCO 2 eq/mmbtu) に達しているという結果が得られた ( 図 2-3) 図 2-3 ガソリン ( 左 ) EPA(2010)2022 年トウモロコシ由来エタノール GHG 排出量 ( 中央 ) USDA レポートでのトウモロコシ由来エタノール GHG 排出量算定結果 ( 右 ) 出所 )USDA(2017) A Life-Cycle Analysis of the Greenhouse Gas Emissions of Corn-Based Ethanol 6 EPA, EPA Has Not Met Certain Statutory Requirements to Identify Environmental Impacts of Renewable Fuel Standard,

26 EPA が RFS2 策定のために 2010 年に想定した排出量の前提と 本レポートで 2014 年時点 として更新した排出量の前提を比較すると 表 2-6 の通りである 表 2-6 EPA と USDA レポートの排出量算定前提の比較 ( 単位 :gco 2 eq/mmbtu) EPA(2010) 2022 年想定 ICF(2017) 2014 年想定 1 米国内農業インプット 肥料 N2O ( 米国で農業全般に使用される化学物質 ( 肥料 除草剤 殺虫剤 ) 10,313 9,065 エネルギー等に由来する排出量 ) 2 米国内土地利用変化 ( 米国内のエタノール用途トウモロコシ栽培に由来する土地利 -4,000-2,038 用変化による排出量 ) 3 米国内稲作由来メタン ( 米国内のトウモロコシ栽培により影響を受ける稲作由来のメ ,034 タン排出量 ) 4 米国内畜産 ( 米国内において トウモロコシ由来肥料の活用等による家畜数 -3,746-2,463 変化により生じるメタン排出量 ) 5 国際畜産 ( 米国外において 家畜数変化により生じるメタン排出量 ) 3,458 3,894 6 国際的土地利用変化 ( 米国のエタノール用途トウモロコシ栽培に由来する米国外の 31,790 9,083 土地利用変化による排出量 ) 7 国際的農業インプット 肥料 N2O ( 米国外で農業全般に使用される化学物質 ( 肥料 除草剤 殺虫 5,720 2,217 剤 ) エネルギー等に由来する排出量) 8 国際的稲作由来メタン ( 米国内のトウモロコシ栽培により影響を受ける米国外の稲作 3,000 1,480 由来のメタン排出量 ) 9バイオエタノール及び原料の輸送 4,265 3,432 10バイオエタノール製造 30,000 34,518 11バイオエタノール燃焼時の CH4,N2O 排出 出所 )USDA(2017) A Life-Cycle Analysis of the Greenhouse Gas Emissions of Corn-Based Ethanol 最も大きな差ができたのは 国際的土地利用変化 である これは米国でのバイオエタ ノールの需要拡大により トウモロコシへの需要が拡大することが 世界の土地利用にど のような影響を与え GHG の排出を引き起こしているかを算定した項目である 従来の EPA による算定では FAPRI-CARD モデル 7 を用いており モデル分析の結果 特にブラジル 7 米 Food and Agricultural Policy Research Institute(FAPRI) がアイオワ州立大学の Center for Agricultural and Rural Development(CARD) と共同で開発したモデルで 米国内外におけるエタノール原料 / 燃料製造 貿易等を算定するもの 17

27 ついでアジア アフリカ 中近東等でトウモロコシの生産が追加的に増加し アマゾン地域での森林伐採等が生じ GHG の排出を引き起こすとされていたことから 31,790 gco 2 eq/mmtbu という結果となった 一方 USDA レポートにおいては これまで米国のトウモロコシ増産によるブラジルの森林伐採は認められないとし 新たに GTAP モデル 8 を中心とした 7 通りのインプット 算定式により算定をし その結果を平均することで 9,083gCO 2 eq/mmtbu という結果を得ている 本レポートではさらに 2022 年の GHG 排出量が BAU シナリオでガソリン比 48% 削減 (50,553gCO 2 eq/mmtbu) 省エネシナリオでガソリン比 76% 削減 (23,817gCO 2 eq/mmbtu) となることが示された なお BAU シナリオとは これまでと同じペースで トウモロコシ単収増 天然ガスへの燃料転換 輸送効率化等の省エネに対する取り組みが進むケースを想定している 一方 省エネシナリオでは 保全耕起 バイオエタノール収率増等の更なる対策が導入されたケースを想定している 8 Purdue University が中心となり開発したモデルで ここでは米国トウモロコシ栽培が世界の土地利用に与 える影響を算定している 18

28 2.2 EU バイオ燃料政策 (1) 再生可能エネルギー指令 (RED) EU では 2014 年に採択された 2030 climate & energy framework において パリ協定に基づく GHG 排出量削減目標を 2030 年に 1990 年比 40% 削減 としている また 同枠組みでは エネルギー消費量に占める再生可能エネルギー比率を 27% 以上に高めること を目標としている これを受けて 2016 年 11 月に欧州委員会は 2030 年目標に向けた再生可能エネルギー指令 (RED) の改正提案 9 を発表した 以下に提案の背景及び概要を示す 提案の背景 再生可能エネルギー指令 (Directive 2009/28/EC) における再生可能エネルギー比率の目標 (2020 年までに 20%) に対して 2007 年の実績が 10.4% 2015 年の実績が 17% と順調に進捗しているところである 2014 年 10 月 欧州理事会で 2030 climate & energy framework に合意し 2030 年までに EU 内の再生可能エネルギー比率を少なくとも 27% にすることを目標としている また GHG 排出量を 1990 年比で 40% 削減することを目標としている しかし EU の予測によると 新しい政策が実施されなかった場合 2030 年で再生可能エネルギー比率は 24.3% と推定されており 2030 climate & energy framework における目標値である 27% を達成できない状況である そこでこの提案は 電力 熱 / 冷熱供給 輸送の 3 つの部門で 再生可能エネルギー比率 27% を達成するための道筋を与えることを目的としている 輸送部門のエネルギーについては 次世代バイオ燃料の GHG 排出量削減効果を向上させ 2020 年以降に食物由来バイオ燃料が果たす役割を改めて整理するという目的意識を持つものとする 提案の概要 改正案で提示された項目について 現行指令と比較整理したものを 表 2-7 から 表 2-10 に示す 9 European Comission, Proposal for a DIRECTIVE OF THE EUROPEAN PARLIAMENT AND OF THE COUNCIL on the promotion of the use of energy from renewable sources (recast),

29 表 2-7 再生可能エネルギー指令 (RED) の現行指令と改正案との比較 ( 総論 ) 現行指令の項目 現行指令 指令改正案 再生可能エネルギー導入目標 (Article 3) 2020 年までに エネルギー消費全体で再生可能エネルギー比率を 20% とする 2020 年までに 輸送用燃料の再生可能エネルギー 2030 年までに エネルギー消費全体で再生可能エネルギー比率を 27% とする 輸送用燃料等の部門別の目標値は設定しない ( バイオ燃料以外も含む ) 比率を 10% とする 再生可能エネルギー全 再生可能電力については 電気自動車への導入は 5 再生可能電力の優遇措置を廃止 体の優遇措置 (Article 3) 倍 鉄道への導入は 2.5 倍として導入量をカウント セルロース系バイオ燃料については 2 倍として導入量をカウント セルロース系バイオ燃料の一律優遇措置は廃止 特定分野での優遇措置は Article 25 を参照 食物由来バイオ燃料 (Article 5) 先進型バイオ燃料 (Article 3, Annex IX) 2020 年における輸送用燃料の再生可能エネルギー比率 10% の目標のうち 穀物 でん粉が豊富な作物 糖類 油糧作物由来 及び農業用地 ( ) で主にエネルギー用として栽培される食物由来のバイオ燃料の導入上限を 7% とする 荒廃地であった土地等の条件を満たす用地は除外可能 2020 年における輸送用燃料の再生可能エネルギー比率 10% の目標のうち 先進型バイオ燃料を 2020 年までに 0.5% 導入する目標を設定 2021 年以降段階的に 食物由来バイオ燃料の導入上限を引き下げ 2030 年で 3.8% とする 2021 年以降段階的に 先進型バイオ燃料の導入目標を引き上げ 2030 年で 6.8% とする目標を設定 先進型バイオ燃料のうち セルロース系バイオ燃料について 2021 年以降段階的に導入目標を引き上げ 2030 年で 3.6% とする目標を設定 バイオ燃料の GHG 削減効果 ( 新設 ) 土地利用変化 ( 変更無し ) (Annex VIII) GHG 排出量算定方法 ( 表 2-8 参照 ) (Annex V) 既定値 (Annex V) ( 表 2-9 表 2-10 参照 ) 廃食油 動物性油脂由来バイオ燃料については 先進型バイオ燃料としてカウントできる上限を 輸送用燃料のうちの 1.7% とする 航空 船舶向けの燃料であれば 先進型バイオ燃料のエネルギー含有量を 1.2 倍としてカウントする 2015 年 10 月 5 日以前から稼働している施設で製造される場合は 50% 以上 それ以降の場合は 60% 以上の GHG 削減効果を要求 2021 年 1 月 1 日以降に稼働を開始する施設で製造される場合は 70% 以上の GHG 削減効果を要求 20

30 算定式 表 2-8 再生可能エネルギー指令 (RED) の現行指令と改正案との比較 (GHG 排出量算定方法 ) 現行指令の項目現行指令指令改正案 (AnnexV C.1) e ec 原料栽培 ( 農業慣行の改 善 ) に係る排出 ( 新設 ) e l 土地利用変化 ( 荒廃地ボー ナス ) に係る排出 (AnnexV C.9) e p 燃料製造 ( 乾燥工程 ) に係 る排出 (AnnexV C.11) E= e ec + e l + e p + e td + e u e sca e ccs e ccr e ee e ec : 原料栽培に係る排出 e l : 土地利用変化に係る排出 e p : 燃料製造に係る排出 e td : 輸送に係る排出 e u : 燃料使用に係る排出 e sca : 農業慣行の改善による土壌炭素蓄積に係る排出削減 e ccs :CCS による排出削減 e ccr : 炭素回収代替による排出削減 e ee : コジェネからの余剰電力による削減 21 E= e ec + e l + e p + e td + e u e sca e ccs e ccr ( コジェネからの余剰電力による削減効果を除外 ) ( 無し ) 農業慣行の改善 ( 減 / 不耕起 輪作改善 被覆作物導入 穀 以下に該当する土地をバイオ燃料の原料栽培用の農地に転 換した場合であって 転換後 10 年間炭素ストック量の増加 等が認められれば ボーナス (29 gco 2 eq/mj) を付与する 1 顕著に劣化した土地 ( 従前農地であったものを含む ) 2 著しく汚染された土地 物管理改善 コンポスト等の有機土壌の利用等 ) が 土壌中 の炭素ストックの増加をもたらすと確固たるかつ検証可能 な証拠が示された場合 又は農薬 除草剤の使用量増加によ り GHG の排出が増えることを加味した上でもなお原料栽培 期間中に土壌中の炭素ストックが増加すると考えることが 妥当である場合に限り これを算定に含める 以下に該当する土地をバイオ燃料の原料栽培用の農地に転 換した場合 転換後 20 年間炭素ストックの増加等が認めら れれば ボーナス (29 gco 2 eq/mj) を付与する 1 顕著に劣化した土地 ( 従前農地であったものを含む ) ( 無し ) 燃料製造による排出には 原料 中間物 製品の乾燥プロセ スからの排出を含める

31 現行指令の項目現行指令指令改正案 e ee コジェネ利用 (AnnexV C.16) 副産物の取り扱い (AnnexV C.17,18) 穀物残渣をコジェネの燃料とする場合に限り コジェネか らの余剰電力による GHG 排出の削減効果を考慮する コジ ェネのサイズはバイオ燃料を製造するのに必要な熱を供給 するために最低限必要な規模とする GHG 削減量は コジ ェネで使用されているのと同じ種類の燃料を発電所で使用 して同量の電力を発生させたと仮定した場合の排出量をベ ースラインとする バイオ燃料の製造工程において副産物が製造される場合に は GHG 排出量はバイオ燃料 ( 又はその中間物 ) と副産物 との間でエネルギー含有量 ( 電力以外の副産物については 低位発熱量ベース ) の割合に基づき 配分される バイオ燃料製造のために電力 / 熱を供給しているコジェネ から余剰電力 / 余剰有用熱が生じている場合 GHG 排出量 は 有用熱の量をカルノー効率 (C h )( 理論的に最も高い効 率の考え方 ) を用いて電力価値等価になるよう換算した上 で 熱量按分で配分する C h = T h T o T h T h : 有用熱発生源における熱の温度 ( 絶対温度 K) T 0 : 周囲温度 273K(0 ) T h <150 (423K) の場合 C h = とする 算定に際しては 実際の効率を 力学的エネルギー ( 発生電 力 熱量 ) を年間エネルギー投入量で除すことで求める バイオ燃料の製造工程において副産物が製造される場合に は GHG 排出量はバイオ燃料 ( 又はその中間物 ) と副産物 との間でエネルギー含有量 ( 電力以外の副産物については低 位発熱量ベース及び熱 ) の割合に基づき 配分される 化石燃料のライフサイクルでの GHG 排出量 (AnnexV C.19) 地球温暖化係数の見直し (AnnexV C.5) 算定時には 副産物が製造される段階までの e ec + e l + 該当部分の e p, e td, e ee を考慮 輸送用化石燃料 : 83.8 gco 2 eq/mj N2O:296 CH4:23 算定時には 副産物が製造される段階までの e ec + e l + e sca + 該当部分の e p, e td, e ccs,e ccr を考慮 (e ccs (CCS による排出削減 ) と e ccr ( 炭素回収代替による 排出削減 ) とを追加 ) 輸送用化石燃料 : 94 gco 2 eq/mj N2O:298 CH4:25 22

32 表 2-9 再生可能エネルギー指令 (RED) の現行指令と改正案との比較 (GHG 排出量削減率既定値 ( 土地利用変化の考慮無し )) 製造工程 現行指令 改正案 sugar beet ethanol 52 % 変更 59 % sugar beet ethanol (with biogas from slop, natural gas as process fuel in conventional boiler) - 新規 73 % sugar beet, ethanol (no biogas from slop, natural gas as process fuel in CHP plant*) - 新規 68 % sugar beet ethanol (with biogas from slop, natural gas as process fuel in CHP plant*) - 新規 76 % sugar beet ethanol (no biogas from slop, lignite as process fuel in CHP plant *) - 新規 46 % sugar beet ethanol (with biogas from slop, lignite as process fuel in CHP plant*) - 新規 64 % wheat ethanol (process fuel not specified) 16 % 削除 - wheat ethanol (lignite as process fuel in CHP plant) 16 % 削除 - wheat ethanol (natural gas as process fuel in conventional boiler) 34 % 削除 - wheat ethanol (natural gas as process fuel in CHP plant) 47 % 削除 - wheat ethanol (straw as process fuel in CHP plant) 69 % 削除 - corn (maize) ethanol (natural gas as process fuel in conventional boiler) - 新規 40 % corn (maize) ethanol, Community produced (natural gas as process fuel in CHP plant) corn (maize) ethanol, (natural gas as process fuel in CHP 49 % 変更 48 % plant*) corn (maize) ethanol (lignite as process fuel in CHP plant*) - 新規 28 % corn (maize) ethanol (forest residues as process fuel in CHP plant*) - 新規 68 % other cereals excluding maize ethanol (natural gas as process fuel in conventional boiler) - 新規 38 % other cereals excluding maize ethanol (natural gas as process fuel in CHP plant*) - 新規 46 % other cereals excluding maize ethanol (lignite as process fuel in CHP plant *) - 新規 24 % other cereals excluding maize ethanol (forest residues as process fuel in CHP plant*) - 新規 67 % sugar cane ethanol - 新規 70 % the part from renewable sources of ethyl- tertio-butyl-ether (ETBE) ( 変更無し )ETBE は エタノールと同様に評価する the part from renewable sources of tertiary- amyl-ethyl-ether (TAEE) ( 変更無し )TAEE は エタノールと同様に評価する rape seed biodiesel 38 % 変更 47 % sunflower biodiesel 51 % 変更 52 % soybean biodiesel 31 % 変更 50 % palm oil biodiesel (process not specified) palm oil biodiesel (open effluent pond) 19 % 変更 25 % palm oil biodiesel (process with methane capture at oil mill) 56 % 変更 51 % waste vegetable or animal oil biodiesel waste cooking oil biodiesel 83 % 変更 77 % animal fats from rendering biodiesel - 新規 72 % hydrotreated vegetable oil from rape seed 47% - 47% hydrotreated vegetable oil from sunflower 62 % 変更 54 % hydrotreated vegetable oil from soybean - 新規 51 % 23

33 製造工程 現行指令 改正案 hydrotreated vegetable oil from palm oil (process not specified) hydrotreated vegetable oil from palm oil (open effluent pond) 26 % 変更 28 % hydrotreated vegetable oil from palm oil (process with methane capture at oil mill) 65 % 変更 55 % hydrotreated vegetable oil from waste cooking oil - 新規 87% hydrotreated vegetable oil from animal fats from rendering - 新規 83 % pure vegetable oil from rape seed - 新規 57% pure vegetable oil from sunflower - 新規 64% pure vegetable oil from soybean - 新規 61% pure vegetable oil from palm oil (open effluent pond) - 新規 36 % pure vegetable oil from palm oil (process with methane capture at oil mill) - 新規 63 % pure vegetable oil from waste cooking oil - 新規 98 % biogas from municipal organic waste as compressed natural gas 73 % 削除 - biogas from wet manure as compressed natural gas 81 % 削除 - biogas from dry manure as compressed natural gas 82 % 削除 - (*) Default values for processes using CHP are valid only if ALL the process heat is supplied by CHP. 赤字は製造工程の表記が変更になったもの 表 2-10 再生可能エネルギー指令 (RED) の現行指令と改正案との比較 ( 次世代バイオ燃料の GHG 排出量削減率既定値 ( 土地利用変化の考慮無し )) 製造工程 現行指令 改正案 wheat straw ethanol 85% 変更 83% waste wood ethanol 74 % 削除 - farmed wood ethanol 70 % 削除 - waste wood Fischer-Tropsch diesel waste wood Fischer-Tropsch diesel in free-standing plant 95 % 変更 85% farmed wood Fischer-Tropsch diesel farmed wood Fischer-Tropsch diesel in free-standing plant 93 % 変更 78 % waste wood Fischer-Tropsch petrol in free-standing plant - 新規 85 % farmed wood Fischer-Tropsch petrol in free-standing plant - 新規 78 % waste wood dimethylether (DME) waste wood dimethylether (DME) in free-standing plant 95 % 変更 86 % farmed wood dimethylether (DME) farmed wood dimethylether (DME) in free-standing plant 92 % 変更 79 % waste wood methanol waste wood methanol in free-standing plant 94 % 変更 86 % farmed wood methanol farmed wood methanol in free-standing plant 91 % 変更 79% Fischer Tropsch diesel from black-liquor gasification integrated with pulpmill - 新規 89 % Fischer Tropsch petrol from black-liquor gasification integrated with pulp mill - 新規 89 % dimethylether DME from black- liquor gasification integrated with pulp mill - 新規 89 % Methanol from black-liquor gasification integrated with pulp mill - 新規 89 % the part from renewable sources of methyl-tertiobutyl-ether (MTBE) 赤字は製造工程の表記が変更になったもの ( 変更無し )MTBE は エタノールと同様に評価する 24

34 (2) 自動車用バイオ燃料導入状況 2015 年の欧州全体のバイオ燃料導入量は 1,400 万石油換算トンであり 前年比 1.7% 減となった ( 表 2-11) 減少の要因としては バイオディーゼルが 2012 年比 2.4% 減少したことが大きく バイオエタノールは 0.8% 増加している 同表の出所文献によると 英国におけるバイオディーゼルの減少幅が大きいが その理由として 間接土地利用変化の考慮によりパーム油の輸入量が減少したこと 2 倍カウントの対象となる燃料の割合が増加していること等が挙げられている 熱量換算ベースでは 2015 年に導入されたバイオ燃料の 79.4% がバイオディーゼル 19.5% がバイオエタノール 1.1% がバイオガスであった 導入されたバイオ燃料のうち再生可能エネルギー指令で定める持続可能性基準を満たすとの認定を受けたバイオ燃料は 導入量の 92.1% に相当する 1,290 万石油換算トンであった 表 2-11 欧州各国のバイオ燃料消費量 ( 単位 : 石油換算トン ) 2014 年 2015 年 国 バイオエタノール バイオディーゼル バイオ燃料合計 バイオエタノール バイオディーゼル バイオ燃料合計 フランス 414,111 2,541,235 2,955, ,839 2,562,445 2,996,284 ドイツ 792,563 1,913,276 2,751,219* 756,449 1,780,716 2,578,964* 英国 415, ,123 1,166, , , ,289 イタリア 8,383 1,055,174 1,063,557 21,926 1,131,175 1,153,101 スペイン 189, , , , , ,518 スウェーデン 165, , ,693* 136, ,181 1,091,384* ポーランド 133, , , , , ,611 オーストリア 56, , ,826 57, , ,268 フィンランド 69, , ,995* 69, , ,444* ベルギー 36, , ,844 37, , ,118 オランダ 128, , , , , ,388 チェコ共和国 78, , ,101 78, , ,101 ポルトガル 5, , ,870 22, , ,121 デンマーク 0 228, , , ,909 ハンガリー 84, , ,932 87, , ,668 ルーマニア 41, , ,407 41, , ,407 スロバキア 30, , ,118 30, , ,118 ギリシャ 0 133, , , ,164 アイルランド 27,121 88, ,050 30,426 97, ,001 ブルガリア 14,832 93, ,508 14,832 93, ,508 ルクセンブルグ 3,115 65,516 68,632 7,203 73,856 81,059 リトアニア 5,547 57,556 63,103 9,680 57,847 67,528 スロベニア 5,804 36,233 42,037 5,804 36,233 42,037 クロアチア 0 29,354 29, ,354 29,354 ラトビア 6,138 15,907 22,045 6,449 17,675 24,123 キプロス 0 13,343 13, ,376 9,376 エストニア 5, ,804 5, ,804 マルタ 0 4,375 4, ,818 4,818 合計 2,719,887 11,423,820 14,284,163 2,742,837 11,153,985 14,046,464 * バイオ燃料合計に バイオエタノール及びバイオディーゼルの他に植物油やバイオガスを含む 出所 )EurObserver(2016) Biofuels Barometer 25

35 2.2.2 次世代バイオ燃料の開発 導入状況 欧州では次世代バイオ燃料を製造する商業プラントが稼働しており 表 2-12 にその一覧 を示す 表 2-12 EU における次世代バイオ燃料製造プラント製造容量国 / 企業プロセス燃料原料 ( 百万 l/ 年 ) 熱化学プロセス フィンランド / Neste Oil スペイン / CEPSA,REPSOL 水素化 HVO 油脂 430 (2 ライン ) 水素化 HVO 油脂 700 (7 プラント ) 操業開始 オランダ / Neste Oil 水素化 HVO 油脂 1, イタリア / Eni SpA 水素化 HVO 油脂 ( 予定 ) フランス / Total 水素化 HVO 油脂 ( 予定 ) イタリア / Eni SpA 水素化 HVO パーム油 フィンランド / UPM 水素化 HVO トールオイ オランダ /BioMCN 熱分解 生化学プロセス イタリア / Beta Renewables フィンランド / St1 Biofuels Oy FT 合成 加水分 解 発酵 加水分 解 発酵 出所 )GAIN Report (2016) EU-28 (1) 熱化学プロセス 10 ル メタノールグリセリン エタノール小麦 エタノールおがくず 10 ( 予定 ) Neste Oil 社は NExBTL という商品名で HVO( 水素化植物油 ) を製造しており 車両用ド ロップイン燃料 ( 車両のエンジンシステムの改変なく使用できる燃料 ) 及びバイオジェット 燃料として販売している また 同社は再生可能ナフサ プロパン アルカンも製造してい る フィンランドでは 年間製造容量 1 ラインあたり 2.15 億リットルのラインを 2 つ ( 合 計 4.3 億リットル ) 有する工場を稼働させている オランダでも HVO の工場を 2011 年に稼 働開始させ 2013 年にはフル稼働に達した また 上表にはないが シンガポールにも年 間製造容量 9.1 億リットルのバイオディーゼル製造工場を有しており 同社は 2014 年に世 界で廃棄物由来 ( 主にパーム油脂肪酸留出物 獣脂 廃食油 ) の燃料を 160 万トン パーム 油由来の燃料を 97 万トン精製した 2013 年から 2015 年にかけて これらの製品を米国や カナダへ輸出している また ロッテルダムのプラントで年間 4 万トンの再生可能プロパン 10 GAIN Report (2016) EU-28 26

36 を生産する計画である 同社は原料をパーム油由来から廃棄物系油脂にシフトさせており 2017 年には全ての原料を廃棄物系油脂とする予定である 2015 年には 原料の 68% が廃棄物系油脂で構成されていた スペインでは CEPSA 社及び REPSOL 社が HVO を製造している イタリアでは Eni SpA がパーム油を原料とし HVO を製造しており 今後は原料を獣脂や藻類等に変える予定である イタリアでは 2014 年に Eni SpA 社がヴェネチアに製造容量年間 4 億リットルの HVO プラントを建設し 2017 年半ばには 4.6 億リットル 2017 年後半には年間 5.4 億リットルの次世代バイオ燃料を生産する予定である 2016 年には イタリアの 3,500 か所の給油所にバイオ燃料が供給され 再生可能ディーゼル燃料が燃料全体に占める割合は 15% となった 同社は 2016 年にシチリアの製油所の再生可能ディーゼル燃料生産施設への転換を開始し 稼働後は年間 6.8 億リットルを生産予定である フィンランドでは UPM 社がパルプ残渣であるタールオイルを原料として HVO を製造している オランダでは BioMCN 社がバイオディーゼルの副産物であるグリセリンを活用して バイオメタノールを製造し bio-mtbe bio-dme 合成バイオ燃料として販売している また 同社は 2012 年より 4 年計画で 木材残渣を原料として バイオメタノールを製造する商業プラントを建設中である フランスでは 2015 年に Total 社がフランス南部の精製工場をバイオディーゼル生産工場に転換すると発表した 2017 年末に稼働予定で 年間 2.7 億リットルの HVO 生産を目指している また Avril, Axens, CEA, IFPEN, ThyssenKrupp, Total の各社が関わる Bio T Fuel プロジェクトでは 2020 年までに 1 百万トンのバイオマスから 2.3 億リットルの次世代バイオディーゼル及びバイオジェット燃料を生産することを目指している (2) 生化学プロセス 11 イタリアで Beta Renewable 社が 2013 年から商業稼働しているプラントでは 小麦 稲わら 籾殻等を原料として エタノールを製造している 年間製造容量は 0.75 億リットルである (27 万トンのバイオマスを使用 ) プラントで使う電力は 木材残渣及びエタノール工場からのリグニンで賄われている また表 2-11 にはないが スペインでは 2008 年より Abengoa Bioenergy 社による実証プラントが稼働している 同プラントは年間製造容量 500 万リットルを有し 小麦と大麦を原料としていた これらの技術は米国で商業化され カンザス州で小麦を原料とする商業プラントが稼働している 2013 年からは都市固形廃棄物を原料とし 年間 2.5 万トンの廃棄物から 150 万リットルのバイオ燃料を製造可能である フランスでは Abengoa 社がセルロース系バイオエタノールプラントを建設予定であるが 稼働日は未定である 原料はトウモロコシ茎葉や小麦のわらであり 年間約 0.3 億リットルを生産予定である フィンランドでは 年間 0.1 億リットルのセルロース系エタノールプラントの稼働が計画されている このプロジェクトは North European Bio Tech Oy の協力を受けて St1 Biofuels Oy が管理している また 約 0.5 億リットルの 2 つの大型工場を建設する計画もある 11 GAIN Report (2016) EU-28 27

37 2.2.3 バイオ燃料の GHG 排出量の評価状況欧州では 再生可能エネルギー指令 (RED) に定められた持続可能性基準への遵守を立証する方法として 欧州委員会が認可した自主的な持続可能性基準への適合をもって RED の持続可能性基準を遵守していることとみなすメタスタンダード アプローチが採用されており 15 の自主的な基準及び 1 つの国家基準が認定されている 表 2-13 及び表 2-14 に 基準名称及び設立 運用主体等の概要を示す 1 Roundtable on Sustainable Palm Oil (RSPO) 2 Roundtable on Sustainable Biomaterials (RSB) 3 International Sustainability & Carbon Certification (ISCC) 表 2-13 欧州で認定されている自主的な持続可能性基準 2004 年に WWF が設立 7 つのセクター ( パーム油生産業 搾油 貿易業 製品製造業 小売業 銀行 投資会社 NGO 等 ) 協力のもと運営 2012 年にスイス連邦工科大学主導で設立 2013 年より非営利団体として事務局をスイスに開設 2008 年にドイツ政府支援で 研究機関 NGO(WWF 等 ) 各国産業団体が設立 原料や地域を問わず認証 EU で最もよく使用される 4 NTA 年に作成された基準 ( クレーマー基準 ) をベースに複 数の利害関係者により設立 5 Red Tractor Farm Assurance Combinable Crops & Sugar Beet System 6 Scottish Quality Farm Assured Combinable Crops Limited 7 Biomass Biofuel, Sustainability Voluntary Scheme (2BSvs) 英国の食料業界団体が設立した Red Tractor Assurance が運用する基準 英国でのみ認定を行う 2007 年にスコットランドの農業産業関係者が理事を務める有限責任会社 (SQC) が設立 英国北部のみで認定を行う フランスのバイオ燃料サプライチェーン企業からなるコンソーシアムにより設定 Bureau Veritas が事務局を務める 世界中で認定 8 REDcert ドイツの農業 バイオ燃料分野の関係機関により 2010 年に 設定 欧州域内 ウクライナ ベラルーシで認定を行う 9 Ensus Voluntary Scheme under RED for Ensus Bioethanol Production エンサス社の基準として開発され 同社のサプライチェーンの認定のみに用いられている 10 Biograce GHG calculation tool 規制対応のため EU 助成により開発された温室効果ガス排 出量算定ツール 11 HVO Renewable Diesel Scheme for Verification of Compliance with the RED sustainability criteria for biofuels Neste Oil 社により設立 水素化バイオディーゼル燃料に限定し 世界中で認定 12 Gafta Trade Assurance Scheme 業界団体 the Grain and Feed Trade Association により設立 主 に英国内で認証 13 KZR INIG System The Oil and Gas Institute of Poland によりポーランド国内の事 業者向けに設立 EU 域内のみで認証を行う 14 Trade Assurance Scheme for Combinable Crops 15 Universal Feed Assurance Scheme 業界団体 Agricultural Industries Confederation により設立 英国内の穀物 油糧作物 甜菜に限り認証を行う 業界団体 Agricultural Industries Confederation により設立 英国に限り認証を行う 28

38 1 Austrian Agricultural Certification Scheme 表 2-14 欧州で認定されている持続可能性基準 ( 国家基準 ) 2010 年 Agrarmarkt Austria (AMA) により設立 2016 年 5 月の欧州委員会で認定された オーストリア国内で生産されるバイオ燃料の原料となる小麦 トウモロコシ 大麦等の認証を行う 欧州委員会の改正に伴い 今後は自主的な持続可能性基準への監視をより強めることとなった 具体的にはそれぞれの自主的な持続可能性基準の事務局に対し 最低年 1 回 監査の実施状況 非遵守者に対する対応状況 情報の透明性 ( 翻訳状況 各種文書へのアクセス可否 ) 基準の策定 見直し 監査の実施におけるステークホルダーの関与状況 認証状況( 認証した原料 燃料の量 国 事業者数等 ) 各基準において第三者検証を行っている検証機関に対する認証 監査方法等に関する情報を取りまとめた報告書を 欧州委員会に提出することとなった

39 2.3 ブラジル バイオ燃料政策とバイオ燃料の導入状況 (1) バイオ燃料政策ブラジルでは アルコール委員会 (CIMA) がバイオエタノールの義務混合率を決定している 法律第 8723/93 自動車の汚染物質排出量削減に関する法律 上 混合率は 18~25% の間で設定可能と定められていたが 法律第 13033/14 バイオ燃料混合率に関する改正 により混合率が改定され 2014 年 7 月 1 日から最大混合可能率が 25% から 27.5% に引き上げられた これに伴い 2015 年 3 月には CIMA により エタノールの義務混合率が 25% から 27% に引き上げられている 2014 年 7 月には 自動車生産者協会 (Anfavea) の実験により混合率 27.5% であっても車両への影響がないことが確認されたため 今後は混合率の 27.5% への引き上げの可能性が高まっている また バイオディーゼルについては 法律第 11097/05 バイオディーゼル導入に関する法律 により 2010 年から義務混合率は 5% に設定されていたが 2014 年 7 月から 6% に その後 2014 年 11 月に 7% まで引き上げられた こちらについても 2019 年までに義務混合率を 10% まで引き上げる旨の法律第 13263/16 バイオディーゼル混合率に関する改正 が 2016 年 3 月に採決されており 2017 年 3 月以降に 8% (B8) 2018 年 3 月以降に 9% (B9) 2019 年 3 月以降に 10% (B10) と 段階的な引き上げが行われる予定である 一方 バイオジェットについては 国立石油天然ガスバイオ燃料庁 (National Agency of Petroleum, natural Gas and Biofuels(ANP)) により任意使用が認められているが 義務混合率の設定はまだ行われておらず 近年中の導入予定もない なお 安定的なバイオ燃料の供給のために 政府が行っているバイオエタノールに対する 支援策を以下に示す エタノール混合ガソリン供給契約 ANP は燃料流通業者に対してガソリン C( エタノール混合ガソリン ) の供給契約を課している 具体的には 燃料流通業者は購入目標に合う年供給契約を採用するよう要求される この購入目標とは 前年からのガソリン C の販売総量の 9 割に相当する量である 一方 流通業者が年間供給契約を採用せずに 月単位で燃料を購入 ( 直接購入 ) する場合には 月末に 前年の翌月に販売されたガソリン C の量に相当する在庫を持つことが要求される 燃料への減税措置バイオ燃料に対しては 減税措置が講じられている 州税である ICMS( 商品流通サービス税 ) の税率は州により異なるものの ガソリンが 25~31% であるのに対し エタノールへの税率は 12~27% に抑えられている また 2015 年 2 月 1 日からは ガソリンに対する PIS 13 /COFINS 14 ( 社会統合基金 / 社会保 13 PIS( 社会統合基金 ) は総売上高に対して課せられ 民間企業の労働者の失業保険や金銭的援助の財源に充てられる 社会負担金の一種であり 税金に準じたものとして捉えられている 14 COFINS( 社会保険融資負担金 ) は総売上高に対して課せられ 社会保障や医療 福祉の財源に充てられる 社会負担金の一種であり 税金に準じたものとして捉えられている 30

40 障融資負担金 ) 及び CIDE 15 ( 特定財源負担金 ) が引き上げられ 合計で 0.22 レアル /L の増 税が課された これに対し エタノールの PIS/COFINS CIDE はともに 0 レアル /L である クレジットライン ( 与信限度額 ) ブラジルの国立社会経済開発銀行 (BNDES) による Prorenova プログラム 16 は サトウキビ畑のリニューアルあるいは拡張に対して使用できるクレジットラインである 2016 年には 15 億レアルのクレジットラインを継続すると発表した 利率は 長期利率の 75%+ブラジル中央銀行の基本金利の 25% が適用される またBNDES は エタノールの在庫のための資金調達向けのクレジットラインである PASS プログラム 17 も設けており 2016 年には 20 億レアルの予算が設けられている エタノールの参照価格は 無水エタノールの場合 1.86 レアル /L で 含水エタノールについては 1.71 レアル /L である エタノール / フレックス車両への減税措置 車両販売に係る税率については バイオ燃料により走るエタノール車両やフレックス車両 ( ガソリンと含水エタノールの両方が使える車両 ) に対する減税がなされている その結果 近年は新規車両購入の 90% 以上がエタノール車両 / フレックス車両となっている 表 2-15 は 産業製品に係る税 (IPI) 社会統合基金 (PIS) 及び社会保険融資負担税 (COFINS) 商品 流通サービス税 (ICMS) の値を示す 2013 年 IPI ICMS PIS/COFINS 小売価格に占める割合 2014 年 IPI ICMS PIS/COFINS 小売価格に占める割合 2015 年 IPI ICMS PIS/COFINS 小売価格に占める割合 表 2-15 各種車両に対する税率 ( 単位 :%) 1,000cc 1,001~2,000cc 2000cc より大型 カ ソリン車 / エタノール車 / フレックス車 カ ソリン車 エタノール車 / フレックス車 カ ソリン車 エタノール車 / フレックス車 出所 )USDA(2016) GAIN Report 16009, Brazil Biofuels Annual Report 2016 IPI(Tax on Industrialized Products): 工業製品税 ICMS(State tax for circulation of goods and services): 商品流通サービス税 PIS(Contribution to the Social Integration Program): 社会統合基金 COFINS(Contribution for the Financing of Social Security): 社会保障融資負担金 CIDE( 特別財源負担金 ) のうち燃料負担金 (CIDE-Combustível) を指し エタノールを含む石油 ガス関連製品の輸入 国内販売に対して課せられる社会負担金である 16 BNDES( 17 BNDES ( _12.pdf) 31

41 (2) バイオ燃料の導入状況 1) バイオエタノール バイオエタノールの導入状況ブラジルのバイオエタノール生産の伸びは 国内のフレックス車両の増加と 米国の先進的バイオ燃料導入義務による輸入需要増に支えられている ブラジルには エタノール精製工場が 2016 年時点で 383 か所存在し 同年のブラジル国内のエタノール生産能力は 億 L と推測される 実際の生産量は 各工場が砂糖を製造するのか あるいはエタノールを製造するのかによって決定される 精製工場は 各収穫年度の粉砕開始前にエタノール / 砂糖用の設備を整備するため 一度エタノール / 砂糖の製造割合を決めると 同年度中には割合が変化することは少ない 表 2-16 は バイオエタノールの生産 供給 需要に関し 燃料とその他の利用に分類して示している 表 2-16 従来型バイオエタノールの生産 供給 需要 ( 燃料利用とその他 )( 百万 L) 暦年 2012 年 2013 年 2014 年 2015 年 2016 年 * 2017 年 * 初期在庫 6,891 7,094 8,195 9,367 7,452 9,551 生産量 23,509 27,642 28,553 30,385 30,372 30,148 燃料 20,739 24,377 25,585 27,552 28,022 27,778 その他の利用 2,770 3,265 2,968 2,833 2,350 2,370 輸入量 燃料 その他の利用 供給量合計 30,954 34,868 37,200 40,265 38,374 40,249 輸出量 3,055 2,917 1,398 1,867 1,400 1,400 燃料 2,500 1, , その他の利用 消費量 20,805 23,756 26,435 30,946 27,423 27,700 燃料 18,590 21,456 24,085 28,796 25,723 25,980 その他の利用 2,215 2,300 2,350 2,150 1,700 1,720 期末在庫 7,094 8,195 9,367 7,452 9,551 11,149 需要量合計 30,954 34,868 37,200 40,265 38,374 40,249 *2016 年及び 2017 年の値については予測値である 出所 )USDA(2016) Gain Report BR16009, Brazil Biofuels Annual Report

42 さらに ガソリンに混合して利用される無水エタノールと E100 として利用される含水 エタノールの生産量の推移を以下に示す 年によって変動するものの 近年は無水エタノー ルよりも含水エタノールの生産量がやや多くなっている 図 2-4 エタノール生産量の推移出所 ) ブラジルさとうきび産業協会 (UNICA) エタノールの輸出入 USDA の GAIN report 2016 によれば ブラジルの 2017 年のエタノール輸出量は 1,400 百万 L と予測され 2016 年の予測量の 1,400 百万 L と同水準である このうち 燃料用エタノールについては 750 百万 L の輸出が計画されている 一方 輸入については 2017 年は 550 百万 L の輸入が計画されている ブラジル国際貿易事務局 (SECEX) が報告した 2014 年から 2016 年 (1~6 月 ) のエタノールの輸出入量を以下の表に示す 33

43 輸出量 量 ( 千 L) 表 2-17 ブラジルのエタノール輸出入 2014 年 2015 年 2016 年 (1 月 ~6 月 ) 金額 量 金額 量 金額 ( 千米 $ ( 千 L) ( 千米 $ ( 千 L) ( 千米 $ FOB) FOB) FOB) 米国 728, , , , , ,503 韓国 417, , , , , ,030 日本 91,160 60,384 48,914 26,183 58,225 29,948 中国 ,255 54,212 35,320 16,115 インド ,547 36,392 44,356 15,535 オランダ ,560 27,945 46,825 20,617 ナイジェリア 45,894 27,129 46,370 19,908 22,375 8,871 他 115,749 73, ,981 51,342 44,129 23,472 輸出量合計 1,397, ,031 1,867, ,475 1,083, ,091 輸入量 量 ( 千 L) 金額 ( 千米 $ FOB) 量 ( 千 L) 金額 ( 千米 $ FOB) 量 ( 千 L) 金額 ( 千米 $ FOB) 米国 402, , , , , ,852 ペルー 17,002 10, 英国 12,998 7, パラグアイ 5,159 2,690 4,070 1,917 2, ジャマイカ 318 1, , 他 13,834 9,038 13,358 7, 輸入量合計 452, , , , , ,357 出所 )USDA(2016) GAIN Report 16009, Brazil Biofuels Annual Report 2016 なお ブラジルにとって最大の輸出先である米国は 同時にブラジルにとって最大の輸入 元でもある 二国間でのバイオエタノールの輸出入に関しては 米国の法規制やブラジルの サトウキビの栽培時期などが深く関わっている この関係を次の図に示す 34

44 92.6 万 kl 2015 年輸入実績 年始の供給減の補填 価格の安定 49.5 万 kl 米国 ブラジル 燃料需要への対応 (GAIN Report) 先進型燃料要件を満たすサトウキビ由来エタノールの輸入が必須 義務混合率の引き上げによる国内需要増加 端境期 ( 年始 ) の在庫枯渇による価格変動の回避 図 2-5 ブラジルと米国の輸出入関係出所 )F.O.Licht GAIN Report 等を基に作成まず 米国においては RFS 制度やカリフォルニア州の LCFS 制度によるバイオ燃料需要の高まりに対応すべく 近年バイオ燃料の輸入が増加している 特に 米国環境保護局 (EPA) で先進型バイオ燃料として認められているサトウキビ由来エタノールの需要は大きく 最大生産国であるブラジルからの輸入は必須となっている これは 米国で主に生産されるトウモロコシ由来バイオエタノールが先進型バイオ燃料に位置付けられていないこと 及び自国での先進型バイオ燃料生産が十分でないことに起因する 一方 ブラジルでは バイオエタノールの義務混合率の引き上げによる国内需要の増加 及びサトウキビ栽培の端境期のエタノール在庫の枯渇に伴う価格変動の回避のため 近年は米国からの輸入が不可避となっている どちらの国においても 一時的な要因による需要の増加ではないために この相互の輸出入は今後も大規模に行われると考えられる 35

45 バイオエタノールの生産量 消費量 輸出量の推移ブラジルにおけるバイオエタノールの生産量 消費量 輸出量の経年変化を図 2-6 に示した ブラジルのバイオエタノールの生産量は年々増加しているものの 国内需要の増加に伴い国内消費量も増加している 2017 年の予測値でも生産量の増加は見込まれておらず 輸出量余力も増加しない見込みとなっている 注釈 :2016 年及び 2017 年は予測値である 図 2-6 バイオエタノール生産量 消費量 輸出量の推移 出所 )USDA GAIN Report, Biofuels Annual Brazil 2016 を基に作成 2) バイオディーゼル バイオディーゼルの導入政策ブラジルでは 2010 年に 5% であったバイオディーゼルの義務混合率を 7~10% に引き上げるための検討がなされてきた そして 2014 年 9 月に制定された法律第 13033/14 号 バイオ燃料混合率に関する改正 により 2014 年 7 月 1 日には 6.0% に 2014 年 11 月 1 日には 7.0% まで引き上げられている また 2016 年 3 月 23 日に制定された法律第 13263/16 号 ディーゼルオイルへのバイオディーゼル混合率に関する改正 では 2019 年 3 月以降 バイオディーゼルの義務混合率を 10.0% まで引き上げることが決定している この義務混合率の引き上げは段階的に行われる予定であり 2017 年 3 月以降に 8% 2018 年 3 月以降に 9% 2019 年 3 月以降に 10% へと移行する なお 2015 年に可決された法律第 3834/15 号 ディーゼルオイルへのバイオディーゼル混合率に関する改正 では 36 か月間でバイオディーゼルの混合率 15%(B15) の実現可能性の検証を行うように国家エネルギー政策審議会 (CNPE) に指示を出している この検証結果によっては 将来的にバイオディーゼルの義務混合率を 15% まで引き上げることも考えられる さらに 2015 年には CNPE の決議書第 3 号 バイオディーゼルの販売及び任意使用に関するガイドラインの制定について により 高混合率のバイオディーゼルの販売及び任意の 36

46 使用が承認された これに伴い 船舶及び道路交通は 20% 鉄道交通は 30% 農業及び工 業使用は 30% を上限とする高混合率が可能となった バイオディーゼルの生産状況ブラジルのバイオディーゼルの主原料は 大豆 ( 原料の 78%) 動物性油脂(18%) 綿実等 (4%) である 2017 年の総生産量は 4,400 百万 L と予測されており 2016 年と比較して 530 百万 L の増加が見込まれている これは ブラジル経済が緩やかに回復することと 2017 年 3 月以降に義務混合率が 8% に引き上げられることを見込んでいる 2016 年 6 月の国家石油 天然ガス バイオ燃料監督庁 (The National Agency of Petroleum, Natural Gas and Biofuels:ANP) のレポートによると ブラジルで認可されたバイオディーゼル生産拠点は 51 か所で これらのプラントの生産能力は 1,997 万 L/ 日 年間では 360 日操業の場合で約 7,200 百万 L である この生産量は 2016 年のバイオディーゼル義務生産量の 1.9 倍に相当し 余剰能力が十分にあるといえる なお 2015 年の同時期の生産能力 (2,072 万 L/ 日 ) と比較すると 4% 減少している 表 2-18 ブラジルにおけるバイオディーゼルの生産量 使用量 ( 百万 L) 2012 年 2013 年 2014 年 2015 年 2016 年 2017 年 初期在庫 生産量 2,717 2,955 3,460 4,010 3,870 4,400 輸入量 輸出量 消費量 2,795 2,928 3,410 4,004 3,805 4,301 期末在庫 出所 )USDA(2016) GAIN Report, BR16009, Brazil Biofuels Annual Report 2016 バイオディーゼルの輸出入ブラジルでは バイオディーゼルの国内消費量が国内生産量を下回っていることから 輸入は行っていない 一方で バイオディーゼルの輸出は少量ながら行っており その輸出実績は表 2-19 の通りである 2015 年は主にオランダへの輸出のみとなり 近年主な輸出先となっていたスペインやジブラルタルへの輸出はなくなっている 37

47 輸出量 表 2-19 ブラジルのバイオディーゼル輸出実績 2014 年 2015 年 2016 年 (1 月 ~6 月 )( ) 量 (kg) 金額 ( 米 量 (kg) 金額 ( 米 量 (kg) 金額 ( 米 $ FOB) $ FOB) $ FOB) オランダ 12,068,340 11,428,700 10,337,666 7,613, 米国 9,179 66,453 21,986 69, スペイン 13,164,940 12,506, ジブラルタル 10,024,518 9,974, 日本 71 7, マレーシア 合計 35,267,048 33,983,384 10,359,652 7,683, 年下半期 (7 月 ~12 月 ) に輸出が集中しているため 0 に近い値となっていると考え られる 出所 )USDA(2016) GAIN Report BR16009, Brazil Biofuels Annual Report ) バイオジェット燃料現在ブラジルでは ケロシン系ジェット燃料 (Jet-A1) へのバイオジェット燃料の任意混合が認められているが 国の制度としての義務混合率の設定には至っていない 混合が認められているバイオジェット燃料は以下の3 種類であり ASTM D7566( 米国の標準規格 ASTM が定めた航空機のジェットタービンエンジン用燃料の規格 ) の認定を受けたものを 国家石油 天然ガス バイオ燃料監督庁 (ANP) が 2014 年 12 月に決議 63/2014 号 ケロシン系ジェット燃料代替燃料の規格及び品質管理義務について を発表し ブラジル国内での使用を認めている FT-SPK 燃料 HEFA SPK 燃料 50% まで混合可能 SIP 燃料 10% まで混合可能 上記バイオジェット燃料はいずれもエンジンや機体の換装を要しないドロップイン型燃 料として導入されている 次世代バイオ燃料の開発 導入状況ブラジルでは バイオマスやそれを使用して発電した電気を安く供給することができるため セルロース系エタノール生産のための原料及び電力の確保が容易である これに伴い セルロース系エタノール生産の開発が 2014 年に開始され 導入が進みつつある しかし 技術や原料に使用される酵素の高価さから 大規模生産に結び付けるまでには数年かかる見込みである なお 国立社会経済開発銀行 (BNDES) は Paiss Agricola というプログラムを通じて 次世代バイオ燃料の研究開発の支援を行っており 2014 年には Abengoa のセルロース系エタノール製造工場の建設プロジェクトに 5.9 億レアルの資金提供を行っている 表 2-20 は ブラジル企業のセルロース系エタノール生産の現状を示している 38

48 表 2-20 セルロース系エタノール生産の現状 企業 市 ( 州 ) 生産可能規模 (1000kl) 操業開始 Bioflex 1 (Granbio) São Miguel dos Campos (AL) /15 Raízen Piracicaba (SP) /16 Centro de Tecnlogia Canavieira (CTC) São Manoel (SP) /15 出所 )USDA(2016) GAIN Report BR16009, Brazil Biofuels Annual Report 持続可能性 (1) 持続可能なバイオ燃料生産のための取り組みサトウキビ生産の土地については ブラジル政府が 2009 年 9 月 17 日付の行政指令 6921 号により サトウキビに関する国家アグロ=エコロジー ゾーニング (the Agro-ecological Zoning of Sugarcane 以下 ZAE という ) 制度を開始し 世界自然遺産地区の生態系保護や ブラジル産サトウキビ由来エタノールの製造が自然環境破壊につながっているという負のイメージの一掃を目的として 新規のサトウキビ植え付け禁止地域を明確にしている ZAE は アマゾン森林地帯 パンタナール湿地 及びパラグアイ川上流域でサトウキビ栽培をすることや 自生植物地区でのサトウキビ栽培の拡張を禁止している さらに サトウキビの生産拡大のために認可された地域として ブラジルの領土の 7.5% に相当する 6,470 万 ha を規定している なお 現状のサトウキビ栽培面積が約 870 万 ha 18 であることを考慮すれば 今後の栽培予定地は十分にあると言える 図 2-7 は ZAE の区分を示す ブラジルのサトウキビ栽培地域は中南部と北部 北東部に区分されるが サトウキビ栽培許可エリアのほとんどは中南部に位置していることが分かる 18 Conab の 2015/2016 年度の統計による 39

49 サトウキビ栽培許可エリア アマゾン森林地帯 パンタナ ール湿地保護エリア 図 2-7 アグロ=エコロジー ゾーニング (ZAE) の区分出所 )Andre Nassar(ICONE), Roadshow on Biofuels Sustainability: Biofuels and Land Use Change, 2010 図 2-8 の通り ブラジル全土でのサトウキビ栽培面積は拡大傾向にあり ZAE が制定された 2009 年の 700 万 ha から年々拡大している この拡大のほぼ全てが 中南部に位置するサンパウロ州 ゴイアス州 ミナス ジェライス州 マトグロッソ ド スール州の 4 州で行われている なお アマゾン森林地帯のサトウキビ栽培面積は図 2-8 のうち北部に含まれており 2015/2016 年度では 3 万 ha ほどである アマゾン森林地帯での栽培面積は小規模にとどまっており ZAE が遵守されていることが窺える 40

50 図 2-8 ブラジルのサトウキビ面積及び収穫量の推移 出所 )MAPA Evolução da Produtividade e da Produção de Cana-de-Açúcar no Brasil por Ano-Safra conab Acompanhamento da Safra Brasileira Cana de Açucar また ZAE では収穫前の焼畑を 2017 年までに全廃することも政策として掲げている 焼畑とは 収穫前に畑全体を焼き 茎以外の余分な梢頭部や葉を取り除いて収穫するという伝統的な農業技法である この技法は サトウキビの梢頭部や葉を切り落とす労力等を削減して収穫を容易にする利点がある一方で GHG 排出量を増加させるという問題点を抱えている そのため GHG 排出量抑制の観点から サトウキビ栽培地域での焼畑は段階的に禁止となり 代わりに機械化による収穫が推奨されている なお ZAE により認可されたサトウキビ栽培可能地域は 勾配が 12% 未満で機械の導入が可能な地域であり 収穫面積の拡大を行っても焼畑による GHG 排出量の増加には結び付かないように配慮されている 以下の図 2-9 ではサンパウロ州における収穫方法の推移を示している 以前は収穫前の焼畑が多く行われていたのに対し 近年ではかなりの地域で収穫が機械化されていることが分かる サンパウロ州は州条例で 2014 年以降は焼畑を全面禁止とする政策を打ち出していたため 機械化への移行が急速に進められたが ZAE においても 2017 年以降の焼畑の禁止が定められたため 他州でも同様の動きがみられると考えられる なお 焼畑の全面禁止は環境保護につながる一方で 中小のサトウキビ農家にとっては収穫用機械の購入などの設備投資に係る負担が大きく 機械化へ移行できないという問題点も挙げられている その結果 他の作物の栽培へ移行したり 農地を大手企業にリースしたりする動きもみられている 41

51 サ 4 トウ 3.5 キビ 3 収 2.5 穫面 2 積 ( 百 1.5 万 1 H a 0.5 ) % 84% 16% 焼畑収穫 機械収穫 出所 )CETESB( サンパウロ州環境局 ) のデータをもとに MRI 作成 図 2-9 サンパウロ州におけるサトウキビの収穫面積と焼畑収穫率 / 機械収穫率の推移 (2) バイオ燃料の GHG 排出量の評価状況ブラジルの制度上 バイオ燃料の GHG 排出量の評価については特に位置付けがなく 日本で定めているような判断基準や削減効果の算定方法は存在しない なお 2013 年から 2016 年末までにかけて ブラジル農牧研究公社 (EMBRAPA) 主導でブラジルのサトウキビ栽培 ( エタノール 砂糖等の派生物を含む ) の評価が行われた この評価は ブラジル独自のデータを元に LCA が行われたため 他国で行われたブラジルのサトウキビの LCA と比べてより精度が高くなっている 例えば EMBRAPA はサトウキビ収穫時における焼畑の近年の大幅な減少等を考慮していることから 世界最大の LCA データベースである Ecoinvent のデータと比較して ブラジルのサトウキビ及びその派生物は より環境パフォーマンスが優れているという結果となった 今後この評価結果は ライフサイクルインベントリ (LCI) として集約されるだけでなく システム化も予定されており ブラジルのサトウキビ及びその派生物の環境パフォーマンスの評価を容易にするために用いられる 42

52 2.4 韓国 バイオ燃料政策韓国では 温室効果ガス削減目標の達成 新エネルギー及び再生可能エネルギーの普及目標の達成及びバイオ燃料関連産業の雇用創出を目的として 新エネルギー及び再生可能エネルギーの開発 利用 普及促進法 を 2015 年 7 月に施行し 自動車用軽油に対するバイオディーゼルの導入義務付け制度 ( 通称 RFS ) を開始した なお 温室効果ガス削減目標として 2015 年 6 月に韓国政府は 2030 年までに本促進法を導入しない場合と比べて 37% 削減を掲げている また 新エネルギー及び再生可能エネルギーの普及目標としては 輸送部門において 2035 年までに当面の間は バイオディーゼル燃料を 140 万石油換算トン導入することを掲げている バイオディーゼルの導入を義務付けた RFS 制度の詳細は下表の通りである 表 2-21 韓国 RFS の概要法律 新エネルギー及び再生可能エネルギーの開発 利用 普及促進法 (2013 年 改正 2015 年施行 ) 同施行令 施行規則 (2015 年改正 施行 ) 義務対象 石油精製業者又は石油輸出入業者 ( 以下 混合義務者 という ) 義務内容 混合義務者は 年度ごとに算定される量以上の新エネルギー 再生可能エ ネルギー燃料 ( バイオディーゼル ) を輸送用燃料 ( 自動車用軽油 ) に混合 しなければならない 当面は導入量の多いバイオディーゼルから開始し 今後はバイオエタノ ール (2020 年頃を予定 ) バイオガスへと制度対象を拡大する予定 算定式 : 年度ごとの義務混合量 =( 年度ごとの混合義務比率 ) [ 輸送用燃料 ( 混合された新エネルギー 再生可能エネルギー燃料を含む ) の内需販売 量 ] 当該年度 混合義務比率 2015 年 2.5% 2016 年 2.5% 2017 年 2.5% 2018 年 3.0% 2019 年 3.0% 2020 年以降 3.0% 年度ごとの混合義務比率は 新エネルギー及び再生可能エネルギーの技術 開発水準や燃料の需給状況などを考慮し 2015 年 7 月 31 日を基準として 3 年ごとに (3 年目の年の 7 月 31 日以前をいう ) 再検討する ただし 新エネ ルギー 再生可能エネルギー燃料の混合義務の履行実績や 国内外の市場 環境の変化などを考慮し 再検討期間を短縮することができる 施行体制 新エネルギー 再生可能エネルギーセンターが 以下の制度運用を行う 1. 混合義務履行実績の検証 2. 混合義務履行関連情報の収集及び管理 3. 混合義務履行の検証のための現場調査 43

53 4. 混合義務管理基準の運営 5. 義務混合量及び課徴金の算定 6. 運営委員会の構成及び運営 7. RFS 統合管理システムの運営 8. その他 産業通商資源部長官が必要と認める業務 韓国石油管理院が 以下の制度運用を行う 1. 混合義務履行状況の確認及び点検 2. 混合義務履行状況の確認のための現場調査 3. 新エネルギー 再生可能エネルギー燃料の品質管理及び品質基準の整備 4. 新エネルギー 再生可能エネルギー燃料の生産 混合施設の現場点検 5. 偽の新エネルギー 再生可能エネルギー燃料の摘発及び取り締まり 6. 新エネルギー 再生可能エネルギー燃料の技術基準及び安全性の検討 7. 運営委員会の構成及び運営 8. その他 産業通商資源部長官が必要と認める業務罰則 混合義務者が混合義務比率を満たすことができなかった場合 不足分に当該年度の新エネルギー 再生可能エネルギー燃料の平均取引価格の 100 分の 150 を乗じた金額の範囲で課徴金を賦課される 出所 ) 新エネルギー及び再生可能エネルギーの開発 利用 普及促進法 韓国エネルギー公団 (2015 年 ) 週刊エネルギーイシュー ブリーフィング第 93 号 韓国では 本制度に基づいて バイオディーゼルの導入が進んでいる 石油精製業者は 毎年入札でバイオディーゼル供給者を選定し バイオディーゼルを導入している 韓国バイオエネルギー協会によると, バイオディーゼルの生産について 以前は大豆油やパーム油が主要な原料であったが 現在はパーム油副産物や廃食用油 動物性油脂 ( 屠畜場や皮革工場で廃棄される動物性油脂 ) が原料の 8 割以上を占めており このような原料の国内自給率は 2007 年の 20% 代から 2014 年には 40% を超えた 19 また同協会によると 石油精製業者は 市場価格を見ながら毎月の購買量を変動させるため 年間で合計すると混合比率 2.5% を達成したものの 実際の市場でのバイオディーゼル混合比率は 1.85%~3.5% まで変動していたという 20 また 韓国の 2015 年の新エネルギー 再生可能エネルギー普及統計 21 によると 2015 年のバイオディーゼルの使用量は 49 万 kl であった 次世代バイオ燃料の開発 導入状況未来創造科学部主導の グローバルフロンティア事業 の一環として 2010 年に次世代バイオマス研究団が発足した 同研究団は 2019 年 8 月末まで 合計 10 年間 約 93.5 億円の政府資金を受けることが決定している 大学 国家機関 ( 韓国石油管理院など ) 石油関連企業から約 300 人の研究員が共同参加している 主要研究目標は,1) 高性能微細藻類の開 19 聯合ニュース 20 Today Energy 年新エネルギー 再生可能エネルギー普及統計 ( 신재생에너지보급통계 2015 년도 )2016 年 44

54 発,2) バイオマスの大量確保及び輸送用バイオ燃料の生産技術の開発,3) バイオ素材の生産 技術の開発となっている 45

55 ( 2.5 各国のバイオ燃料の調達状況及び供給可能性 各国の調達状況 (1) 各国のバイオ燃料自給率各国のバイオエタノールの自給率を図 2-10 に示す バイオエタノールについては 米国 ブラジル 豪州 100% EU80% など 各国で高い自給率を確保している ドイツ 英国も 穀物生産量が日本より大きい農業国であり 消費量の半分程度は国内で生産している 他方 日本のバイオエタノール自給率はわずか 2% で 消費量のほとんどをブラジル一国からの輸入に依存している また EU 米国 日本について バイオ燃料の導入目標及び導入実績を比較したものを表 2-22 に示す 100% 0% 0% 0% エタノール消費に占めるシェア 90% 80% 70% 60% 50% 40% 100% 100% 100% 20% 80% 41% 58% 98% 輸入 国産 非燃料用を含む ) 30% 20% 10% 0% 豪州 (345 千 kl) ブラジル (29,527 千 kl) 米国 (54,706 千 kl) EU* (5,350 千 kl) 59% ドイツ * (1,459 千 kl) 42% 英国 * ( 約 792 千 kl) 2% 日本 * (633 千 kl) EU ドイツ 英国 日本は燃料用のみ 図 2-10 エタノール消費に占める国産のシェア ( 自給率 ) 出所 )EU ドイツ 英国は 2015 年のデータ (Eurostat) 日本は 2015 年度のデータ ( 高度化法導入量及び 国内製造実績 ) 左記以外は 2015 年の見込値 (OECD/FAO 統計 ) 46

56 EU 米国 表 2-22 バイオ燃料の導入目標及び導入実績燃料種別導入目標値導入実績 バイオエタノール バイオディーゼル バイオエタノール バイオディーゼル 2020 年までに輸送用 燃料の 10%( バイオ 燃料以外の再生可能 エネルギーを含む ) 2022 年までに 360 億 ガロン (= 約 1.36 億 kl) 日本バイオエタノール 2017 年度までに 50 万 原油換算 kl バイオエタノール :274 万 toe 537 万 kl バイオディーゼル :1,115 万 toe 1,429 万 kl (2015) バイオエタノール :1,153TBtu 体積 換算 5,154 万 kl バイオディーゼル :15 億ガロン 566 万 kl (2015) 2015 年度に 38 万原油換算 kl 出所 )EU の導入量は EU Barometer による消費量実績 米国の導入量は DOE EIA による導入実績 日本の 導入量は高度化法における国内導入実績 (2) 開発輸入 1964 年の UNCTAD( 国連貿易開発会議 ) 第 1 回会合において 事務局長プレビッシュが レポート Towards a New Trade Policy for Development 中で 開発輸入の概念を提唱したとされている プレビッシュは 途上国の経済発展時には輸入拡大を伴うが 相応の輸出額を確保するために 一次産品の価格安定のための商品協定に加え 一次産品輸出から工業製品輸出への構造移行による輸出力拡大が必要であると述べた この後者に関連して 先進国が資金や技術を提供し 途上国が土地 労働力 資源を提供する ことで 経済開発と輸入を同時に行う 方式 22 が 開発輸入と呼ばれている ( 図 2-11) 輸入側には 自国内生産よりもコスト削減のメリットがある バイオ燃料の 開発輸入 においては コスト削減のメリットに加え エネルギーセキュリティ向上のメリットが期待されている ( 表 2-23) ただしこれは 純粋な開発輸入の形態でなくても達成し得る 22 阿部清司 南北問題とグローバリゼーション 2000 年 47

57 日本 ( 資金 技術 ) バイオ燃料輸出 発展途上国 ( 土地 労働力 資源 ) 図 2-11 開発輸入のイメージ 表 2-23 コスト削減とエネルギーセキュリティ向上に資する輸入形態の例 資金 技術 土地 労働力 資源 開発輸入 日本 日本 途上国 出資のみ 日本 途上国 途上国 長期契約 途上国 途上国 途上国 サトウキビやパームヤシといった プランテーション型作物を原料としたバイオ燃料の開発輸入にあたっては 農地開発に伴う地元住民の土地の侵害や違法伐採 児童労働や低賃金労働等の問題の発生が指摘されている 欧州ではバイオ燃料導入拡大の初期に 東南アジアにおけるパーム油等由来バイオディーゼルの輸入が増加しつつあったため これらの問題が早くから指摘されていた そのため 欧州では バイオ燃料の持続可能性基準として社会 ( 労働者の人権 土地権利 ) への配慮等が含まれている 欧州でもバイオ燃料の大半を輸入することを想定している国はあるが コスト削減やエネルギーセキュリティの面から 開発輸入を積極的に進める政策的取り組みは見当たらなかった ( 表 2-24) 48

58 国 表 2-24 欧州各国のバイオ燃料輸入政策の例 National action plans におけるバイオ燃料輸入への言及 英国 エタノールは 83% バイオディーゼルは 91% の輸入を想定 輸入元については言及無し イタリア 2020 年でエタノールは 33% バイオディーゼルは 43% の輸入を想定 輸入元については言及無し スウェーデン 2020 年でエタノールは 63% の輸入を想定 ( その他原料輸入もあり得る ) - エタノール ( ブラジ ル産サトウキビ由 来 EU 他国産 ) 菜種油 (EU 他国産 ) の輸入を想定 デンマーク エタノール バイオディーゼルは全量輸入を想定 輸入元については言及無し オランダ 2020 年でエタノールは 85% の輸入を想定 途上国に関するバイオエネルギー国家プロジェクト例 アフリカにおける持続可能な地域のエネルギーサービス エネルギーアクセスのためのバイオエネルギー利用 ( 国際開発省 ) - 民間企業における途上国での次世代バイオ燃料製造例 ** - Beta Renewables 社 : ブラジル ( バガス サトウキビ茎葉 ) 中国 ( 麦わら コーンストーバ ポプラ残材 ) - 持続可能バイオマス輸入プログラム (DBI) グローバル持続可能バイオマスプログラム (DBM)

59 2.5.2 各国の供給可能性 (1) ブラジルの将来見通し将来のバイオエタノールの供給見通しについては 鉱山エネルギー省による エネルギー拡張 10 年計画 (PLANO DECENAL DE EXPANSÃO DE ENERGIA:PDE) の中で公表されている しかし 2016 年内に発表される予定であった PDE2025(2025 年までの 10 年計画 ) については 例外的に発表されないこととなった 10 年計画の作成元であるエネルギー調査公社 ( 以下 EPE という ) の説明によれば 昨今のブラジルの経済状況の低迷が計画作成当初の仮定とそぐわない点や 新しいテクノロジー ( 電気自動車 分散型発電 スマートグリッド等 ) の影響を考慮しなおす必要性がある点 などを理由に発表が中止となっている 以上のことから バイオエタノールの将来供給見通しについては 2015 年に公表された PDE2024(2024 年までの 10 年計画 ) の情報を以下に示している PDE2024 では ブラジル国内のエタノール供給量は 2023 年には 4,300 万 kl 2024 年には 4,400 万 kl と見込まれている PDE2023 では 2023 年の供給量は 4,800 万 kl と見込まれていたが PDE2024 では 10% ほど引き下げられている なお EPE は今後ガソリン価格が高騰していくと予測しており ガソリンと比べ低価格の E100 の需要が大きく伸びるとしている このため 無水エタノール ( ガソリン混合としての利用 ) の供給量が微増であるのに対し 含水エタノール (E100 としての利用 ) の供給量は大きく伸びると見込まれている 図 2-12 バイオエタノールの供給の将来見通し 出所 )PLANO DECENAL DE EXPANSÃO DE ENERGIA 2024 また 輸出等も含めると PDE 2024 の予測では 燃料用エタノール需要は 2024 年までに 4,400 万 kl と 2015 年の需要の 3,090 万 kl から 1.4 倍に増加するとされている 増加の主 50

60 な要因は 国内の車両増加に伴う燃料需要の増加である 図 2-13 バイオエタノールの需要将来見通し ( 輸出等も含む ) 出所 )PLANO DECENAL DE EXPANSÃO DE ENERGIA 2024 ブラジルからのバイオエタノールの輸出将来見通しについては PDE 2024 では 2024 年までにエタノール輸出量は 350 万 kl まで増加する予定と見込まれている しかし 国際的な経済危機によるエタノール需要の減少及びブラジル国内での供給制約等を背景に 2008 年の輸出実績である 510 万 kl までの回復は見込まれていない 図 2-14 ブラジルからのバイオエタノール輸出の将来見通し出所 )PLANO DECENAL DE EXPANSÃO DE ENERGIA 2024 輸出見通しは 2013 年時点で 米国でのセルロース系エタノール生産の遅れから輸出見通 51

61 百万 kl しが大きく引き上げられたが その後 米国の導入量上限 ( ブレンドウォール ) の顕在化等 から下方修正が続けられている ( 図 2-15) 年時点見通し 2013 年時点見通し 2014 年時点見通し 2015 年時点見通し 図 2-15 ブラジルからの輸出見通しの変遷出所 )Plano Decenal de Expansao de Energia 各年度版将来的な需要増を満たすためにはサトウキビを原料としたバイオエタノール工場の新増設が必要となるが ここ数年経済状況の悪化等により 工場の新設件数は激減 廃止件数は増加している ( ただし 優良企業に買収されているケースも含んでいる ) 図 2-16 直近のブラジルにおけるバイオエタノール工場の新設 廃止状況出所 )USDA GAIN Report BR 15006, Brazil Biofuels Annual, 2015 PDE においては 先述の需給の見通しとともに サトウキビ生産についても以下の通り見通しを示している ブラジルのサトウキビ農地は現状 910 万 ha であるが 2024 年に 990 万 ha まで拡大することが予想されている このうち エタノール用のサトウキビ農地の面積は 520 万 ha から 580 万 ha まで拡大するとされている これらも PDE2023 からは引き下げられている 一方 サトウキビの生産性は 2014 年の 70.5t/ha から 2024 年には 85.3t/ha にまで向上することが見込まれている 52

62 図 2-17 サトウキビ農地面積の将来見通し出所 )PLANO DECENAL DE EXPANSÃO DE ENERGIA 2024 (2) 米国の将来見通し米国では E10 による導入量上限 ( ブレンドウォール ) の問題から 図 2-18 に示す通り 国内の需要がほぼ飽和している 国外への輸出もブレンドウォール問題の顕在化のころから多少始まっているが エタノールの生産プラントへの投資自体が停滞しており 輸出可能なエタノール量が増加しているわけではない状況である DOE/EIA による見通しでは 米国からの輸出は 2030 年頃まで約 100 万 kl 程度とされている ( 図 2-19) 53

63 百万 kl 消費輸出生産能力 (/ 年 ) 図 2-18 米国のエタノール需要と国内生産能力 出所 ) 米国エネルギー省エネルギー情報局 (DOE/EIA) 資料を基に作成 図 2-19 米国のエタノール輸出見通し 出所 )DOE/EIA, Annual Energy Outlook (3) 主要な国際フロー燃料用エタノールについて 主要国の生産量及び消費量 また主要な輸出入のフローを図 2-20 に示す 米国やブラジルなどの主要な生産国では 生産量と消費量が同程度であり 生産量に対して輸出入の規模は小さい その中で 日本では消費量のほぼ全てを輸入に頼っており 世界 54

64 の輸出入フローの中では 日本の輸入量が占める割合は大きい EU 生産 340 消費 426 ドイツ生産 68 消費 116 フランスより 24 スペインより 12 オランダより 7 英国生産 26 消費 63 7 米国生産 4,525 消費 4,359 輸入 59 輸出 11 (EU 内含む ) 輸出 16 (EU 内含む ) 日本生産 1 消費 ETBE うちエタノール相当分 ( 分子量比による ) (36) 工業用含む (25) 工業用含む 輸出国輸入国 ( 単位 : 万 t) 出典 ) 貿易量 : 日本への輸入は財務省貿易統計 (2015 年 ) 英国への輸入は RTFO statistics: year 8,report 6(2015 年 ) ドイツの輸出入は Eurostat, Biogasoline(2015 年 ) ブラジルの輸出入 ( 日本へのものを除く ) は GAIN Report BR15006(2014 年 ) 生産 消費量 : ドイツ 英国 EU は 2015 年のデータ (Eurostat, biogasoline) 日本は 2015 年度のデータ ( 高度化法導入量及び国内製造実績 ) 上記以外は 2015 年の見込値 (OECD/FAO 統計 ) ブラジル生産 2,402 消費 2,353 主要な輸出入フローのみの記載であること 各国の在庫変動があること等により 必ずしも数値は一致しない 図 2-20 燃料用エタノールの主要な国際フロー バイオ燃料以外の輸送用燃料を使用する自動車の導入状況 以下 バイオ燃料以外の輸送用燃料 ( 水素等 ) を使用する燃料電池自動車 電気自動車 ( ハ イブリッド車も含む ) 天然ガス自動車の導入状況を示す 燃料電池自動車 (FCV) (1) 国内の導入状況 FCV は 水素ステーションから車載タンクに充填された水素と 空気中の酸素の電気化学反応によって発生する電気を使ってモーターを駆動させる自動車である 2014 年 12 月 トヨタ自動車が FCV MIRAI の市販を開始し 2015 年度末の保有台数は 630 台である 23 また 国 自治体において FCV の導入に係る補助金を措置するなどの取り組みが実施されている ( 表 2-25) 経済産業省 水素 燃料電池戦略ロードマップ改訂版 (2016 年 ) によると FCV の普及目標として 2020 年までに 4 万台程度 2025 年までに 20 万台程度 2030 年までに 80 万台程度と設定している また 水素ステーションの整備目標として 2020 年度までに 160 か所程度 2025 年度までに 320 か所程度と設定している 23 一般社団法人次世代自動車振興センターによる推定値 55

65 表 2-25 日本における支援措置一覧 出所 ) 資源エネルギー庁燃料電池推進室 ロードマップの進捗状況 2015 年 (2) 海外の導入状況 1) 米国 米国では 2016 年の FCV 販売台数は 1,074 台で 同年の自動車総販売台数である約 1,700 万台の 0.01% に相当する 24 前年の 112 台と比較すると 約 10 倍に増加した 2) ブラジル現在ブラジルにおいて水素自動車及び FCV の導入は行われておらず 導入 販売の予定もない 2016 年 12 月に首都ブラジリアにて開催された Renova Bio 2030 では 日産が e-bio Fuel Cell を発表した この車種は 固体酸化物型燃料電池(SOFC) を発電装置とする世界初の FCV のプロトタイプであり 燃料から発電した電気で走行するため カーボンニュートラルと言われている なお この発電装置 SOFC は 100% エタノール又はエタノール混合水を燃料とする このため 既に国内全てのガソリンスタンドで 100% バイオエタノールの供給インフラ環境が整っているブラジルにおいては e-bio Fuel Cell の流通可能性は高いと考えられる つまり 電気自動車や水素自動車のように新たなインフラの整備が必要でないことから ブラジル全土での市場の拡大が期待できるといえる 24 HybridCars.com, December 2016 Dashboard,

66 2.6.2 電気自動車 (EV) プラグインハイブリッド (PHV) 及びハイブリッド車 (HEV) (1) 国内の導入状況 ( 一社 ) 次世代自動車振興センターによると 2015 年度末の保有台数は EV が約 8 万台 PHV が約 6 万台 HEV が約 576 万台となっており いずれも増加傾向である ( 表 2-26) 表 2-26 次世代型自動車の国内保有台数 出所 )( 一社 ) 次世代自動車振興センター EV 等保有台数統計 (2) 海外の導入状況 1) 米国 2016 年の EV の販売台数は約 8 万台 ( 前年比 +18%) PHV の販売台数は約 7 万台 ( 前年 比 +70%) HEV の販売台数は約 35 万台 ( 前年比 -10%) であった HybridCars.com, December 2016 Dashboard,

67 2) 欧州 European Automobile Manufactures Association によると EU における 2016 年の新規乗用車登録台数 (2015 年比 %) は EV が約 6 万台 (+7%) PHV が約 9 万台 (+4%) HEV が約 28 万台 (+27%) その他代替燃料車(Other AFV) が約 18 万台 (-20%) であった ( 図 2-21) また 国別の 2016 年の新規乗用車登録台数は表 2-27 の通りであった ECV:EV と PHV の合計図 2-21 EU における 2015 年及び 2016 年の新規乗用車登録台数 (ECV, HEV, AFV) 出所 )European Automobile Manufactures Association, New passenger car registrations in the EU by alternative fuel type, 2017 を基に作成 58

68 表 2-27 EU 各国における 2016 年の新規乗用車登録台数 (ECV, HEV, AFV) EV PHEV HEV Other AFV Q1-Q4 Q1-Q4 Q1-Q4 Q1-Q AUSTRIA 3,826 1,237 3, BELGIUM 2,054 6,903 9,527 2,290 BULGARIA N/A CZECH REPUBLIC N/A 1,541 3,349 DENMARK 1, , ESTONIA FINLAND 223 1,208 4, FRANCE 21,751 7,429 50,961 1,488 GERMANY 11,410 13,751 34,245 6,247 GREECE , HUNGARY , IRELAND ,570 N/A ITALY 1,375 1,317 37, ,461 LATVIA LITHUANIA 2 64 N/A 401 N/A NETHERLANDS 4,147 18,612 11,340 1,471 POLAND ,849 6,512 PORTUGAL 756 1,024 3,228 1,027 ROMANIA 2 74 N/A 1,033 0 SLOVAKIA SPAIN 2,005 1,511 30,870 1,676 SWEDEN 2,945 10,257 13,759 4,514 UNITED KINGDOM 10,264 24,714 52,002 0 EUROPEAN UNION 63,278 89, , ,782 EU15 62,530 88, , ,284 EU (New Members) ,454 10,498 NORWAY 24,222 20,653 17,259 4 SWITZERLAND 3,295 2,829 7, EFTA 27,517 23,482 24, EU + EFTA 90, , , ,730 EU15 + EFTA 90, , , ,232 SOURCE: NATIONAL AUTOMOBILE MANUFACTURERS' ASSOCIATIONS 1 Only countries for which sourced data is available are listed 2 Can't distinguish between BEV and PHEV 出所 )European Automobile Manufactures Association, New passenger car registrations in the EU by alternative fuel type, 2017 を基に作成 59

69 3) ブラジル a. 車両登録数ブラジルにおいて HEV の販売は 2006 年以降 また EV の販売は 2014 年以降行われている それぞれ販売されている車種は表 2-28 に示したものに限られ いずれも輸入車である 表 2-28 ブラジルにおける HEV EV 販売車種車種名 Prius Toyota Lexus CT200h Toyota ハイブリッド車 (HEV) Fusion Hybrid Ford Outlander PHEV Mitsubishi i8 BMV 電気自動車 (EV) i3 BMV メーカー なお EV の一般への販売を行っているのは現在 BMW のみとなっているが ブラジル国内で試験導入をしているメーカーはいくつか存在する 一例としては 日産の EV である日産 LEAF が挙げられる この車種は サンパウロ市及びリオデジャネイロ市で 計 20 台程度がタクシーとして試験導入されており 普及可能性などを含め検討段階にあることが伺える このパイロットプログラムは EV 普及を目的とし 各州政府や電力会社と日産が協力をして運用されている ガソリン車 フレックス車と比較してコスト面でも評価が高いものの ブラジル国内での販売の目途は立っていない 同様に フランスのルノー社も Zoe や Kangoo Z.E. 等をはじめとする EV を 政府機関や企業向けに試験販売しており ブラジル国内で既に 120 台以上が販売されている しかし こちらについても一般への販売はまだ行われていない 表 2-29 は ブラジル国内での車両登録数の年比較を示している この表から HEV 及び EV の登録車数は年々増えてはいるものの 全体の登録車数からすると 0.05% と非常に割合が小さく ブラジルではエコカー市場が広がりを見せていないことが分かる なお 表 2-29 の ANFAVEA の情報では EV 単体での各年登録車数の発表はなかったが ブラジル自動車輸入製造業者協会 (Abeifa) の資料によれば 販売を開始した 2014 年から 2016 年 12 月までの BMW i3 の車両登録数は 156 台のみであった このことから 特に EV に関しては市場が確立していないといえる 60

70 表 2-29 ブラジルにおける車両登録数の推移 ( 台 ) ガソリン車 376, , , , ,150 80,493 フレックス車 2,848,122 3,162,874 3,169,114 2,940,508 2,194,020 1,750,754 ディーゼル車 200, , , , , ,263 HEV/EV ,091 合計登録車数 3,425,831 3,634,183 3,579,895 3,333,479 2,480,533 1,988,601 内 HEV EV 割合 0.01% 0.00% 0.01% 0.03% 0.03% 0.05% 出所 )ANFAVEA Brazilian Automotive Industry Yearbook 2017 b. 普及率低迷の要因 HEV 及び EV の普及の足かせとなっている主な要因としては 1 車体販売価格及び 2 イ ンフラ整備が挙げられる 1 車体販売価格 HEV 及び EV はもともとの車体価格の高さに加え 輸入車であることから従来は 35% の重い輸入税が課されていた 2015 年 10 月にはこの輸入税率が大きく変更され 水素又は電気のみで駆動する自動車の輸入税は免除 HEV はその排気量とエネルギー効率に応じて 0~7% の課税となっている また サンパウロ市では低公害車の普及を促すため HEV 及び EV の所有者に対し 州税である自動車保有税 (IPVA) の 50% に相当する金額を市の予算から還付する制度を 2015 年にスタートさせている しかし 上記のような変更は普及の後押しとしては十分ではなく 依然として車両販売価格の高さがネックとなり 市場拡大の見通しは立っていない 2 インフラ整備 EV に限って言えば EV 向けのインフラ整備の不足も大きな要因となっている ブラジル国内の EV 充電スタンドは 100 程度と言われ 主にサンパウロ市やリオデジャネイロ市などの大きな都市に設置されているため 都市部を離れての長距離走行することは非常に難しい 現在唯一の EV を販売している BMW は 大手スーパーやショッピングモールに無料の EV 充電スタンドを設置するなどしてインフラ整備を進めているが 主にサンパウロ市に限られていることから ブラジル全土への普及には時間がかかると考えられる 天然ガス自動車 (NGV) (1) 国内の導入状況 ( 一社 ) 日本ガス協会によると 平成 27 年度の新規導入台数は 838 台で 2016 年 3 月 31 61

71 日現在の保有台数は 45,514 台であった 保有台数のうちトラックが 43.3% と大半を占めて いる ( 表 2-30) 表 2-30 国内の天然ガス自動車保有台数 単位は台 平成 28 年 3 月 31 日現在の値 出所 ) 一般社団法人日本ガス協会 天然ガス自動車普及状況 ( 日本の普及状況 ) (2) 海外の導入状況 ( 一社 ) 日本ガス協会によると 2015 年 3 月 31 日の世界の普及状況は図 2-22 に示した 通りである * 出典 : The Gas Vehicles Report 2015 年 3 月号 * 数量は 端数をまとめた大まかな参考の場合もある 図 2-22 世界の天然ガス自動車保有台数出所 ) 一般社団法人日本ガス協会 天然ガス自動車普及状況 ( 世界の普及状況 ) 62

72 2.6.4 バイオ燃料へ与える影響について FCV EV NGV 等のバイオ燃料以外の輸送用燃料を使用する自動車は 近年増加傾向にあるものの 主要な駆動形式となるには至っていない また 水素 電力 天然ガス等を燃料とする場合 車体や内燃機関等の構造の変更が必要となるため 普及には一定の時間を要すると考えられる 一方 バイオ燃料はガソリンに混合して利用できるため 既存のガソリン車を部分的に改良することで導入が可能になる等 導入の障壁が比較的低く 短中期的には 依然として主要な GHG 排出削減の方策であると考えられる ただし 今後のバイオ燃料以外の輸送用燃料を使用する自動車の普及状況によっては これを考慮した制度設計が必要となると考えられるため 引き続き動向を注視していく必要がある 63

73 3. バイオ燃料に係る諸外国の企業動向 3.1 調査方法 調査は以下の手順で進めた 調査対象企業の選定次世代のバイオ燃料開発に取り組む外国企業を中心とした企業 21 社 ( 外国企業 19 社 + 日本企業 2 社 ) を バイオエタノール及び炭化水素燃料 (1バイオジェット燃料と2バイオディーゼルの両者を含む ) に焦点をあて 以下の条件により選定した 1) 商業化プラント建設まで到達した 又は商業生産を計画している ( 計画していた ) 企業 2) バイオエタノールに関しては 現時点での製造プロセスとして考えられる 1 糖化から発酵 2セルロース系バイオマスを一旦ガス化した後に発酵 3セルロース系バイオマスを一旦ガス化した後に化学合成 4 微細藻類の光合成の 4 プロセスについて 各 1 企業以上 3) 炭化水素燃料に関しても 現時点での製造プロセスとして考えられる 1 油脂の水素化精製 2セルロース系バイオマスを液化した後に炭化水素に転換 3セルロース系バイオマスをガス化した後に炭化水素に転換 4 微細藻類の光合成の 4 プロセスについて 各 1 企業以上 選定した 21 の企業を以下に示す ( 外国企業はアルファベット順 ) Abengoa スペイン Algenol 米国 Axens フランス Beta Renewables イタリア Choren ドイツ Clariant スイス DuPont 米国 Enerkem カナダ Ensyn カナダ Gran Bio ブラジル Ineos Bio スイス KiOR 米国 Lanza Tech 米国 Neste フィンランド Poet 米国 Raizen ブラジル Sapphire Energy 米国 Solazyme 米国 St1 フィンランド 64

74 IHI 日本 デンソー日本 各社の動向調査上記 21 社について下記の情報ソースを用いて調査を実施した 1) 各社のホームページ記載の情報 2) 海外のバイオ燃料関連サイトから取得したニュースデータ調査にあたっては 基本戦略 重点領域 事業化への到達度 課題を視点に整理した 3.2 次世代のバイオ燃料の開発動向と事業化に向けた課題 開発の概況を表 3-1 に示す また図 3-1 に概況を製造プロセスの観点で整理し 課題を 示した 燃料 バイオエタノール セルロース系 分類 糖化 発酵 表 3-1 次世代バイオ燃料開発の概況 現況 撤退 研究開発段階 商業化段階 Poet Abengoa Clariant Axens St1 DuPont Beta Renewables Raizen Gran Bio 課題 1) 前処理 糖化のコストダウン 2) 発酵工程でのキシロース利用率向上 ガス化 発酵 ガス化 合成 ineosbio Lanza Tech Enerkem ガス化技術の向上 微細藻類による光合成 Algenol 商業規模での検証 炭化水素 1 バイオジェット燃料 2 再生可能ディーゼル の両者を含む セルロース系 液化 精製 ガス化 合成 動植物油脂 ( 廃油脂含む ) 原料 微細藻類 光合成 糖が原料 KiOR 2 Choren 2 Sapphire 12 Solazyme 12 Ensyn IHI テ ンソー Neste 12 商業化計画未発表ガス化技術の向上多様な原料への対応 1) 増殖速度の向上 2) 高濃度濃縮の実現 ( 商業化段階 : 商業プラントを設置しているもの 研究開発段階 : 商業化段階には達していないが研究 開発 実証等を行っているもの 撤退 : 企業の倒産や事業方針の変更等で輸送用バイオ燃料から撤退したもの ) 65

75 以下に 燃料の種類別に 製造プロセスごとの動向を示す バイオエタノール (1) セルロース系バイオマス 糖化 発酵 バイオエタノールこのプロセスには海外で非常に多くの企業が取り組んでおり 第 1 世代バイオエタノールの原料として使用されているコーンや砂糖とは異なり 食料との競合がないため 次世代バイオエタノールの原料として期待されている 今回の調査対象でこれに該当するのは 9 社あり 商業化段階と言えるのが 6 社 研究開発段階が 3 社である これらはいずれも第 1 世代バイオエタノールに関与し 開発に携わるか又は事業化している会社である つまり第 1 世代バイオエタノールの実績に基づいて 次世代バイオエタノールの分野に参入している その理由として以下の点が考えられる 発酵や蒸留など 第 1 世代バイオエタノールの技術を転用できる バイオエタノールの市場を既に確保している ジェット燃料やディーゼル燃料の規格に合わせることが必要な炭化水素燃料とは異なり エタノールに転換出来ればそのままでも市場に出すことができる しかし 商業化段階の 6 社は商業プラントの稼働にまで達しているが いずれも稼働率が低いと報告されている 商用の燃料として市場にまとまった量の供給を行うためには 以下の課題の解決が必要になる 前処理工程での投入エネルギー量の削減 : 第 1 世代バイオエタノールとは異なり 次世代バイオエタノールでは糖化の前に バイオマスをほぐすために前処理が必要になる この前処理では 100 以上の高温を使用する等の過酷な条件となるため エタノール製造の全所要エネルギーの数十 % が投入されているのが実情である 温和な条件を用いる消費エネルギーの少ない前処理方法の開発が必要である 糖化工程で使用する糖化酵素に係るコストの削減 : 次世代バイオエタノール用の糖化酵素は 第 1 世代用よりも数倍高価である この酵素に係るコストの削減には 糖化反応に使用した酵素を回収して 数回再使用する方法の開発等の対策が必要になる 発酵工程でのキシロースからの収率向上 : セルロース系から得られる糖には 発酵が容易なグルコース以外に 発酵しにくいキシロースが数十 % 含まれている キシロースからのバイオエタノールの収率は現時点で 50% 以下と推定されている 次世代バイオエタノールが競争力を持つには 発酵に使用する酵母等の微生物を改良することによって バイオエタノールの収率を グルコースからの収率と同程度の 70-80% 程度にまで上げる必要がある Axens は商業化の計画はあるものの 現時点では時期は未定である しかし フラン ス国内の研究機関 ( 国立農学研究所等 ) の総力を挙げたバックアップがあり 同社は第 1 世 代バイオエタノールプラントのエンジニアリングの経験もある 66

76 また St1 は木質系バイオマスの利用を国策に掲げているフィンランド政府の支援の下 商業化の方針を発表している (2) セルロース系バイオマス ガス化 発酵 バイオエタノールこれは (1) の糖化に代えてガス化を使用するプロセスである 糖化の場合には上述の通りバイオマスをほぐすために前処理が必要になるが ガス化には前処理が不要という利点がある 一方で バイオマスのガス化は 石炭のガス化に比べて技術的に安定運転の障害となるタール分が副生しやすいという問題があるとされている この開発に取り組む Lanza Tech と Ineos の両社は 合成ガス成分からエタノールを発酵生産できる独自の菌株を有していることから この分野に参入してきたものである Lanza Tech は製鉄所廃ガスからのエタノール発酵生産の実用化に取り組んでいることでも知られ ガス発酵の部分の技術はかなり確立しているとみられる 一方 Ineos は商業プラントを建設したが ほとんど稼働していないとみられる (3) セルロース系バイオマス ガス化 合成 バイオエタノールこれは物理化学的処理のみを用いて生産するプロセスである ガス化までは (2) と同様であるが 発酵ではなく合成によってバイオエタノールを製造する方法である 微生物を用いる発酵では微生物が突然不調になり 想定通りの性能が出ないことも起こり得るが 合成では発酵より安定して運転できるものと考えられる これに取り組んでいる Enerkem はいわゆるエンジニアリングの企業であり 触媒プロセスの開発の経験も有していることから これらを活用する形でこの分野に参入してきた 同社はバイオエタノールの生産が可能な商業プラントを既に稼働中だが 現時点ではエタノールより高価格のメタノールを生産中であり バイオエタノール生産の計画は報道されていない (4) 微細藻類 光合成でバイオエタノール生産 培養液からバイオエタノールを回収これは微細藻類の光合成により中間体を経由せずに直接バイオエタノールを生産し 藻体から培養液中に排出されたバイオエタノールを 外部エネルギーを投入せずに太陽光エネルギーにより気化させて回収するプロセスである このプロセスでは微細藻類の培養を継続しながら すなわち藻体を生かしたままでバイオエタノールを回収できる したがって 微細藻類から目的物を得る際に通常必要となる 培養液からの藻体分離 乾燥 藻体からの抽出 という工程が不要であり 工程数が少ない簡略なプロセスでバイオエタノールが生産できる このプロセスが完成すれば 多段階を経てバイオエタノールを得る上述のプロセスよりも生産コストが低くなる可能性がある この独自性が高い技術で Algenol がバイオエタノール生産の分野に参入しているが 現段階では商業化の計画は発表されていない 67

77 3.2.2 炭化水素燃料 (1) セルロース系バイオマス 液化 精製 炭化水素これはセルロース系バイオマスから物理化学的処理のみで炭化水素燃料を生産するプロセスである Ensyn が現在取り組み KiOR がかつて取り組んでいた 糖から油脂等を効率よく発酵生産する微生物が知られていないため セルロース系バイオマスから炭化水素燃料を 微生物を用いて生産するのは難しい課題だとされる そのため セルロースを分解して得た液化油を精製して 炭化水素を製造するプロセスの取り組みが行われている Ensyn は化学系のエンジニアリング会社である 同社はセルロース系バイオマスの熱分解で得た低品位液化油を 石油系に 5% 程度混合した原料を 製油所にある流動接触分解 FCC 26 を用いて石油系と同等の生成物を得る検討を進めている 熱分解による液化自体は既に商業化されており FCC も既存装置なので 現実的な取り組みと言える 製油所の実機での試験も終了しており 商業化に向けて技術的な課題は指摘されていない なお コストに関する情報は得られず 現時点で商業化の具体的な計画は発表されていない KiOR はセルロース系バイオマスを触媒分解して得た中品位液化油を精製して炭化水素燃料とするプロセスを開発していた この中品位液化油は 熱分解で得られる低品位液化油よりも酸素含量が少ないので 石油系への混合量を高められる可能性がある しかし 同社は経営上の問題で倒産したため 本プロセスは実現していない 現在は Inaeris Technologies 社が引き継いで研究開発を続けているが 商業化のためには 液化収率の向上が課題である (2) セルロース系バイオマス ガス化 合成 炭化水素これもセルロース系バイオマスから物理化学的処理のみで炭化水素燃料を生産するプロセスである バイオマスを熱又は触媒によりガス化 すなわち CO と水素に分解し これを Fischer-Tropsch 合成により炭化水素に転換する いわゆる BTL(Biomass to Liquid) であり Choren がかつて取り組んでいた Choren は石炭ガス化事業で蓄積した経験を背景にこの分野に参入した BTL は物理化学的処理でクリーンな液体燃料が生産できる有望なプロセスだが 商業化のためには バイオマスのガス化工程で安定運転の障害となるタール分が副生しやすいという問題を解決する必要があるとされる この点は Lanza Tech と Ineos と同じ状況である Choren はこの課題が解決できず撤退したと報道されているが 今回の調査では ガス化を含めてのコスト情報は得られなかった (3) 油脂 水素化 炭化水素これは水素化精製によって油脂を炭化水素化するプロセスであり 石油系での水素化技術の応用が可能であることから 石油会社としては比較的取り組みやすい手法といえる 水素化精製は 石油精製における中核的な技術であり 硫黄等の不純物が少ない高品質な石油製品を生産するために用いられる フィンランドの石油会社 Neste は 世界の石油会社の 26 流動接触分解 (FCC=Fluid Catalytic Cracking) 重質油を触媒を用いて分解し ガソリンや軽油を製造する装置 粉体触媒を流動状態で使用する 68

78 先頭を走る形で開発に取り組み 商業化を達成した また同社は原料油脂として バイオ燃料用に収穫したパーム油に加えて 廃食油の利用を積極的に進めている 廃食油には種々の不純物が混入しているので これを事前に取り除いて水素化工程の障害にならないようにする対策が今後必要になると報告されている (4) 微細藻類の光合成 炭化水素又はセルロース系バイオマス 糖化 微細藻類 炭化水素これは微細藻類を培養し 微細藻類が生産した油脂等を精製して炭化水素燃料を得ることを特徴とするプロセスである 微細藻類の増殖はパームヤシ等を陸上で栽培するよりも油脂の生産性が高いとされている Sapphire Energy は光合成による微細藻類培養技術を Solazyme は糖を餌に微細藻類を培養する技術を有する会社であり その技術力を背景に炭化水素燃料生産の分野に進出してきた IHI は総合エンジニアリング会社としての新規分野開拓との位置付けで 微細藻類培養技術を有する ちとせ と組んで この分野に進出してきた デンソー も事業の多角化を目的に 中央大学らと提携し この分野の検討を開始した これ以外に日本国内では ユーグレナも 本業である健康食品用の微細藻類生産に並行して 開発中である Solazyme は糖が原料であるのに対し Sapphire Energy IHI デンソー 社は光合成を行うという違いがあるが いずれもコストが高いことが課題と報告されている 商業化のためには 以下の課題の解決が必要になる 微細藻類の増殖速度の大幅な向上 : 特に光合成利用の場合には この課題は重要である 光合成での増殖速度は 1 日に培養面積 1 m2あたり現状で 10g 程度と報告されており これを大幅に向上する必要があるとみられる 藻体の回収 乾燥 抽出に投入するエネルギーの削減 : 藻体から油脂を抽出するためには藻体を乾燥する必要がある 培養液中の藻体の濃度は 0.1% 程度であり これを回収後に濃縮し 残った水分を乾燥させている この乾燥に必要となる大量のエネルギーが特に問題である 現状では回収後に濃縮しても藻体濃度を 20% 程度にまでしか上げられないため 80% もの水分を乾燥する必要がある 濃縮後の藻体濃度を大幅に向上するための新技術が必要である 商業化のためには 上記の問題を解決する技術開発が必要な状況であるが Sapphire Energy と Solazyme はバイオ燃料生産から 医薬や健康食品等の高付加価値製品の開発 に方向転換しているとみられる 69

79 図 3-1 次世代バイオ燃料開発の概況 ( 製造プロセスと課題を表示 ) 70

80 年度以降の判断基準のあり方エネルギー供給構造高度化法に基づいて 平成 22 年に判断基準が定められ バイオ燃料の導入目標量が設定されたことにより 段階的な導入が進められている 判断基準でバイオ燃料の導入目標量が定められているのは 2017 年度までであり その後のバイオ燃料導入のあり方を検討すべき段階となっている 今後の判断基準の改定を見据えて 2017 年度に正式に議論をする前段階として 制度見直し方針を策定するための検討を行った 4.1 検討の論点エネルギー供給構造高度化法の成立後 バイオ燃料については 世界での取り組みが進むとともに エネルギーを取り巻く状況の変化等に伴い 国内での導入が当初想定とは異なる面も出てきている このため バイオ燃料の導入に関する世界の取り組み動向を改めて確認するとともに 新たな課題に対して検討を加える必要がある 現行の判断基準とその検討当時 ( 平成 21 年度 ) の状況と現在の状況 これらを踏まえた今回の検討の論点について 表 4-1 に整理する 71

81 論点 バイオ燃料導入方針 目標の設定方法 安定供給の確保 持続可能性 GHG 評価 現行の判断基準と検討当時 ( 平成 21 年度 ) の状況 化石燃料依存の低減 ( エネルギーセキュリティの強化 ) 環境負荷の低減を目的にバイオ燃料導入を義務付け バイオエタノールを原油換算 50 万 kl 導入 (2017 年 ) バイオエタノール以外のバイオ燃料については 当時導入が想定されていなかったため 導入対象としての検討の優先度は低かった エタノール価格も考慮しつつ 調達国 原料の分散の必要性 ( 国産 + 開発輸入で 5 割程度が望ましい ) を指摘 国産拡大を進めることにしているが 当面は輸入に頼らざるを得ないと判断 輸出余力がある国として ブラジルと一部アジア諸国を想定 基準値 : 化石燃料としてガソリンの 基準値 を設定 GHG 削減水準 : 発電等の他のバイオマスエネルギー利用形態との比較優位性 EU 指令等の海外の削減水準との整合性 安定供給可能性等を考慮して 50% と規定 算定方法 : 当時の EU 指令 英国 RTFO に基本的に倣う 土地利用変化については 直接土地利用変化のみを考慮 表 4-1 検討の論点 現在の状況 検討の論点 対応箇所 エネルギーを取り巻く状況の変化 地球温暖化対策の国際的枠組みをめぐる議論の進展 エネルギー基本計画の見直し バイオジェット燃料等の自動車燃料用以外でのバイオ燃料の導入の検討 国産バイオ燃料の事業化の難航 我が国のバイオエタノールのブラジルへの輸入依存 欧米を中心とした次世代バイオ燃料の導入の推進 導入可能性のあるバイオ燃料種類の拡大 EU 指令改訂検討に伴い EU においては 間接土地利用変化 (ILUC) も削減水準には考慮しないものの評価を義務化 気候変動対策やエネルギーセキュリティなどの政策目的の優先度をどう定めるか 目標水準 : 他の運輸分野の地球温暖化対策との関係 バイオマス資源の他用途との関係 費用対効果などを考慮し 具体的にどの程度の水準とするか 導入対象 : バイオエタノール以外についても 導入促進を図るため 導入実績としてカウントするなどの措置を講じた方が良いか 輸入元 : バイオエタノールの調達先の多様化を検討していくべきか 基準値の設定対象 : 軽油 ジェット燃料の取り扱いをどうするか GHG 削減水準 : 見直しの必要性はあるか 見直す場合 水準をどう定めるか 算定方法 : 副産物の取り扱い 間接土地利用変化 ETBE 化工程について どのように定めるか 4.2 節 (p74) 項 (p76) 項 (p76) 4.4 節 (p77) 4.5.1(1) (p78) 4.5.1(2) (p79) 参考資料 4.9.1(p117) 4.5.1(5) (p96) 参考資料 4.9.4(p145) 4.5.1(3) (p80) 72

82 論点 現行の判断基準と検討当時 ( 平成 21 年度 ) の状況 現在の状況検討の論点対応箇所 生物多様性 食料競合等 次世代バイオ燃料の導入 既定値 : ブラジル産サトウキビ由来エタノールについて 既定値 を設定 参考値 : 当時実証が行われていた国産エタノール等に 参考値 を設定しつつ 削減水準を満たすものとして取り扱い 独自算定 : 可能であるものの明確な規定無し バイオ燃料の生産が環境 社会に与える影響について十分な配慮が不可欠とし 生物多様性については事業者が報告すべき項目を定める 社会影響については定め無し 食糧競合について十分な配慮が不可欠とし 国がモニタリングすべき項目 事業者が報告すべき項目を定める 食糧競合回避及び安定供給の観点から 国産 開発輸入によるセルロース系バイオ燃料を重要視し 中長期的な技術開発 導入を求める 世界的な食物由来バイオ燃料の導入見直し セルロース系バイオ燃料技術の商用化の推進 欧米を中心とした次世代バイオ燃料の導入の開始 国際的なバイオジェット燃料の導入に向けた動き 既定値 : ブラジル産サトウキビ由来バイオエタノールの既定値を見直すか 他のバイオ燃料についても既定値を検討するか 4.5.1(4) (p91) 参考資料 ( p119 ) 4.9.3(p129) 参考値 : どのように位置付けるか 4.5.1(6) (p99) 参考資料 4.9.6(p159) 独自算定 : どのような方法を定めるか 4.5.1(7) (p100) 参考資料 4.9.7(p165) 生物多様性 食料競合等 : 引き続き 事業者からの報告と国による評価を導入してはどうか その他の社会的影響 : 基準の一部として新規に設定し 事業者からの報告と国による評価を導入してはどうか 導入のための優遇策 :2 倍カウント等どのような手段が望ましいか その他 実績情報の公開 : どのような情報を公開すべき か 項 ( p102) 参考資料 4.9.5(p149) 4.6 節 (p105) 4.7 節 (p111) 73

83 4.2 バイオ燃料導入方針バイオ燃料導入には 気候変動対策やエネルギーセキュリティなどの複数の効果も期待される 気候変動対策やエネルギー供給構造高度化法におけるバイオ燃料の位置付けを確認した上で 判断基準におけるバイオ燃料の導入方針としての優先度を改めて検討した 気候変動対策におけるバイオ燃料の位置付け (1) 日本 我が国の地球温暖化対策計画において バイオ燃料は以下のように位置付けられている が 具体的な導入目標量などは提示されていない 第 3 章第 2 節 D.(b) 自動車単体対策 バイオ燃料の供給体制整備促進バイオ燃料については 十分な温室効果ガス削減効果や安定供給 経済性が確保されることを前提として バイオ燃料の導入や供給インフラに係る支援等により 引き続き 導入体制の整備を行う 第 3 章第 2 節 E.(b) 再生可能エネルギーの最大限の導入 再生可能エネルギー熱等 地域性の高いエネルギーである再生可能エネルギー熱 ( 太陽熱 地中熱 雪氷熱 温泉熱 海水熱 河川熱 下水熱等 ) を中心として 下水汚泥 廃材 未利用材等によるバイオマス熱等の利用や 運輸部門における燃料となっている石油製品を一部代替することが可能なバイオ燃料の利用 廃棄物処理に伴う廃熱の利用を 経済性や地域の特性に応じて進めていくことも重要である 再生可能エネルギー熱供給設備の導入支援を図るとともに 様々な熱エネルギーを地域において有効活用するモデルの実証 構築等を行うことで 再生可能エネルギー熱等の導入拡大を目指す 別表 1 エネルギー起源に参加炭素に関する対策 施策の一覧 エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律 ( 平成 21 年法律第 72 号 以下 高度化法 という ) におけるバイオ燃料の供給目標 (2017 年に 50 万 kl) 等を勘案しながら 再生可能エネルギー熱の導入拡大を進める 74

84 (2) 米国米国では パリ協定に基づく削減目標は約束草案 (INDC) で提示した 2025 年に 2005 年比 26-28% 削減 としている 同草案に関連する国内削減対策が示されているが この中にはバイオ燃料に関する記載は見られない 一方で 米国ではパリ協定及びそれに向けた約束草案に関する検討以前より 再生可能燃料基準 (RFS) が運用されており この中で再生可能燃料の導入が義務化されている (3) 欧州 EU では パリ協定に基づく削減目標は約束草案 (INDC) で提示した 2030 年に 1990 年比 40% 削減 としている これは 2014 年に採択された 2030 climate & energy framework に基づく目標であり 同枠組みでは 再生可能エネルギーのシェアを 27% 以上に高めること を目標としている 現在の再生可能エネルギー指令 (RED) は 2020 年を導入目標としており それに沿った導入施策が講じられているが 2020 年に向けた削減対策は 2009 年に施行された 2020 climate & energy package に基づくものである 同パッケージでは 主要な3つの目標の 1 つに 2020 年に再生可能エネルギーのシェアを 20% にすること を挙げており その中で輸送部門では 10% を目標としている また 各国の対策は再生可能エネルギー指令に基づくものとなっている エネルギー供給構造高度化法におけるバイオ燃料の位置付け高度化法の目的は バイオ燃料をはじめとする非化石エネルギー源を利用することなどにより 化石燃料への過度な依存の解消 エネルギーの安定的かつ適正な供給の確保 環境への負荷低減を図ることとされている そのため バイオ燃料の導入については 高度化法上 政策目的の優先順位付けはされていない状況である ( 目的 ) 第一条この法律は エネルギー供給事業者によって供給されるエネルギーの供給源の相当部分を化石燃料が占めており かつ エネルギー供給事業に係る環境への負荷を低減することが重要となっている状況にかんがみ エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用を促進するために必要な措置を講ずることにより エネルギー供給事業の持続的かつ健全な発展を通じたエネルギーの安定的かつ適切な供給の確保を図り もって国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする バイオ燃料導入方針のあり方これらを踏まえ バイオ燃料の導入については 地球温暖化対策として着実に実施していくことを最優先の政策目的とし その上で 国内外の動向も踏まえつつ エネルギーセキュリティや産業振興等の観点から 国産の次世代バイオ燃料の技術開発を進めていくことなどにより 引き続き導入促進を図っていくことが望ましい 75

85 4.3 目標の設定方法 目標水準地球温暖化対策としてバイオ燃料を導入する際 どの程度の水準で導入すべきかについて検討を行った 現状 我が国のバイオ燃料導入は ブラジル産サトウキビ由来エタノールに依存しており 国産の次世代バイオ燃料についても技術開発段階にあるため 商用化には至っていない 欧州では 第 1 世代バイオ燃料の導入量には制約を設け 次世代バイオ燃料の開発 導入に注力していく姿勢が示されている また パリ協定を踏まえた 地球温暖化対策計画 ( 平成 28 年 5 月閣議決定 ) では 十分な温室効果ガス削減効果や安定供給 経済性が確保されることを前提として バイオ燃料の導入や供給インフラに係る支援等により 引き続き 導入体制の整備を行う とされている これらを踏まえ 地球温暖化対策として 今後バイオ燃料の導入を着実に実施していくために まずは日本にとってコスト効率的な調達構造にすることを最優先の政策目的とし 調達先の多角化による導入コストの低減や 国産の次世代バイオ燃料の導入促進といった点に優先的に取り組むこととすることが望ましいと考えられる 一方で 持続可能性基準を満たすバイオ燃料の調達手段が拡大することが確認できた場合には 第 1 世代であっても導入目標量を増やすべきという見解もある ただし その場合においては エネルギーセキュリティや産業振興等の点での意義や 消費者負担増加等への影響について 改めて検討を行う必要がある 導入対象現行の判断基準では バイオエタノール ( ガソリン代替 ) のみを導入対象としている バイオエタノール以外の軽油 ジェット燃料代替についても 導入対象とすべきかについて検討した バイオジェット燃料等の導入については ICAO 等の国際動向や 政府全体の地球温暖化対策等を踏まえて検討する必要があるため 次期判断基準においては 引き続きバイオエタノールのみを対象として導入目標を設定することが考えられる この場合 バイオジェット燃料等については 2020 年を目途に国内外の動向を踏まえた上で 改めてその位置付けを検討する必要がある 76

86 現行告示 H23(2011)~H29(2017) 次期告示 H30(2018)~H31(2019) 次期告示 ( 一部改正 ) H32(2020)~H34(2022) : 導入目標量は設定しないものの 導入した場合は実績にカウント (P) バイオジェット等 (P) 第 1 世代バイオエタノール ( ブラジル ) 第 1 世代バイオエタノール ( ブラジル / 米国 ) 第 1 世代バイオエタノール ( ブラジル / 米国 ) バイオ燃料の導入目標量は 50 万 kl/ 年に据え置き (P) 第 2 世代バイオエタノール NEDO 事業等での事業性評価 事業性評価を踏まえた施設整備導入促進策の具体化 第 2 世代バイオエタノール 1 万 kl/ 年 (P) 第 1 世代バイオエタノールの調達先を多角化し 海外からの調達コストを低減 第 2 世代バイオエタノール (= 国産 ) の事業性評価を踏まえ 2020 年時点での具体的な導入目標量や導入促進策 ( 数倍カウント等 ) を検討する旨を明記 第 2 世代バイオエタノール (= 国産 ) の導入目標量や導入促進策を明記 ICAO の動向等を踏まえた上で バイオジェット等を導入実績としてカウントするか検討 国内の技術開発動向等を踏まえ H35 以降の導入目標量等を設定 出所 ) 資源エネルギー庁作成 注 ) 図中の (P) は検討中の案を示す 図 4-1 判断基準の今後の方向性 ( 案 ) 4.4 安定供給の確保我が国は バイオエタノールをブラジルからの輸入に依存しており 調達先の多様化を検討すべきであるが 持続可能性基準を満たすことが前提となる 後述する持続可能性基準に関する評価結果 ( 暫定値 ) を踏まえると ブラジル産サトウキビ由来エタノール ( 土地利用変化がない場合 又は草地からの転換の場合 ) は GHG 排出量の持続可能性基準を満たすが ETBE 化工程の扱いについては今後検討が必要である また 米国産トウモロコシ由来エタノール ( 土地利用変化がない場合 ) は エタノール製造プラントからの GHG 排出量を エタノールと副産物にそれぞれどう配分するかによって GHG 排出量の持続可能性基準を満たすか否か変化するため 引き続きデータの検証が必要である さらに ブラジル産サトウキビ由来エタノールと同様に ETBE 化工程の扱いについても検討が必要である また その他の食物由来エタノールについても 持続可能性基準を満たすものについては導入が可能であるが これまで GHG 排出量の既定値が定められていないエタノールの GHG 排出量の算定方法が具体的には定まっていなかった 事業者が GHG 排出量を独自算定するための方法を整備することにより その他の食物由来エタノールへの導入可能性も広がると考えられる 77

87 4.5 持続可能性基準 GHG 排出量 (1) 既定値を算出する対象上述のように 次期判断基準においては 引き続きバイオエタノールのみに導入目標を設定し 軽油 ジェット燃料代替燃料については 2020 年を目途に国内外の動向を踏まえた上で 改めてその位置付けを検討することが考えられる そのため バイオ燃料や 比較対象となる化石燃料の GHG 排出量の評価についても バイオエタノールとガソリンを中心に検討する 表 4-2 に 各燃料種の判断基準上の位置付けを示す このうち 現時点で大規模な導入の可能性があるブラジル産サトウキビ由来エタノール 米国産トウモロコシ由来エタノールについては 判断基準上の GHG 排出量の 既定値 を設定する また それ以外の食物由来のバイオ燃料については 事業者による GHG 排出量の独自算定方法を整備する なお 食物由来以外のバイオ燃料 廃棄物由来の代替燃料については まだ実用化技術とは言い難いが 将来的に持続可能性基準を満たす可能性があるものについては 判断基準として 参考値を示す対象の燃料のリスト を示し 持続可能性基準を満たすものとして取り扱うことが考えられる 表 4-2 各燃料種の判断基準上の位置付け 燃料種 判断基準における位置付け 1 食物由来のバイオ燃料 ( ブラジル産サトウキビ由来エタノール ) ( 米国産トウモロコシ由来エタノール ) 既定値を設定 2 食物由来のバイオ燃料 (1 以外のもの ) GHG 排出量の独自 算定方法を整備 3 食物由来以外のバイオ燃料 参考値を設定した燃 ( 例 : セルロース系エタノール ) 料については GHG 4 廃棄物 ( 例 : プラスチック ) 由来の代替燃料 排出量の削減効果が あるものとみなす : 現時点で大規模な導入の可能性があるもの : 上記以外で次期判断基準の導入目標の対象となるもの -: 次期判断基準の導入目標の対象としないもの 代替が想定される燃料種 ガソリン 軽油 ジェット燃料

88 (2) 化石燃料の GHG 排出量評価 ( 基準値 ) 1) 対象となる化石燃料次期判断基準ではバイオエタノールを導入対象とするため これが代替するガソリンについて基準値を設定する また 現在 軽油及びジェット燃料の代替燃料の技術開発も行われていることから これらの燃料種についても基準値を設定する 2) 化石燃料の GHG 排出量の試算値ガソリンの GHG 排出量を最近の統計値等を踏まえ再試算したところ 排出量は 81.7gCO 2 eq/mj から 83.5gCO 2 eq/mj に変化した 軽油やジェット燃料についても 今後の参考とするため GHG 排出量の試算を行ったところ 軽油は 77.4gCO 2 eq/mj ジェット燃料は 75.9gCO 2 eq/mj となった 3) 化石燃料の GHG 排出量評価のあり方上記で GHG 排出量の試算を行ったが この計算は石油産業活性化センター (PEC) の平成 11 年度の検討 27 に基づいており 現時点でこれより新しいデータが得られていない 次年度以降 石油製品のライフサイクル評価について 検証を行うこととする 27 石油産業活性化センター (PEC) 石油製品油種別 LCI 作成と石油製品環境影響評価調査報告書 ( 平成 12 年 3 月 ) 79

89 (3) バイオ燃料の GHG 排出量評価の方法 バイオ燃料の GHG 排出量評価の方法として 副産物の扱い 間接土地利用変化の扱い ETBE 化工程の考慮について検討を行った 1) 副産物の扱い GHG 排出量の既定値を算出する対象として ブラジル産サトウキビ由来エタノール 米国産トウモロコシ由来エタノールについて GHG 排出量の評価方法のうち 副産物の扱いに関する検討を行った a. 現行の判断基準における課題現行の判断基準では 副産物について 副産物が発生した場合 プロセスを細分化して副産物の環境負荷を個別に評価する ただし 機械的な配分が不可避な場合 合理的な説明を行った上でその方法を採用してもよい とされている 具体的な既定値の算出においては ブラジル産サトウキビ由来エタノールについては 副産物として余剰バガスが発生することを考慮に入れており バガスの燃焼による発電について エタノール工場内における節電効果を計上している これに対し 外部への電力売電のためのバガスの燃焼に伴う GHG 排出量は 副産物のみに関係する工程における GHG 排出であるため 計上していない しかし ブラジル産サトウキビ由来エタノールサトウキビにおいて 栽培 収集 サトウキビ搾汁といった エタノールと副産物のいずれの製造にも共通する 共通工程 における GHG 排出量について 全てエタノールに計上されていることは エタノールの GHG 排出量の過大評価となる また 米国産トウモロコシ由来エタノールについては 図 4-2 の通り 副産物として相当量の蒸留粕 粗トウモロコシ油等が発生し それぞれ有用物として家畜飼料やバイオディーゼルの原料等に用いられている これらの副産物の製造工程のうち トウモロコシ栽培 収集 原料加工 発酵 蒸留といった工程は エタノールの製造工程にも共通する 共通工程 である このため 共通工程 における GHG 排出量を 全てエタノールに計上した場合は エタノールの GHG 排出量の評価が相当過大になると考えられる なお 諸外国の制度における副産物の扱いを 表 4-3 に示す 80

90 エタノール 図 4-2 米国産トウモロコシ由来エタノールと併産物の製造工程出所 ) アメリカ穀物協会資料に加筆注 ) ホールスチレージ : Whole Stillage( 蒸留廃液 ) DG: Distiler s Grain ( 蒸留粕 ) DDGS: Distiller's Dried Grains with Solubles 81

91 基本的なスタンス ブラジル産サトウキビ由来エタノール 米国産トウモロコシ由来エタノール 備考 表 4-3 諸外国の制度における副産物の扱い EU 再生可能エネルギー指令 米国 RFS2 カリフォルニア州 LCFS 副産物を考慮する 副産物を 代替法 で考慮 各方法について比較を行う 政策評価には 代替法 が する 必要がある 適しているが 各事業者が ( 米国では事業者が自らラ 例えば 既定値におけるト 評価する際には 簡便で年 イフサイクル評価を行うこ ウモロコシ由来エタノール 次変化がなく 非生産的な とはなく 申請に基づいて 副産物の蒸留粕評価には インセンティブを生み出さ 環境庁が評価を行う ) 代替法 が適用されてい ない 熱量按分法 が最も るが これは各方法を比較 ふさわしい手法である 28 して 重量 熱量 価格按 分の各方法で評価したとき よりも排出が多くなる結果 になることを確認した上で ある 29 既定値では副産物は発生しないとしている (2008 年時点の評価から更新されていない ただし EU 指令決定時にデータを参照した研究機関 30 のレポートの改訂版では 余剰電力が発生すると想定され 代替法 で評価されている ) 既定値の対象外 小麦由来エタノールの既定値では副産物として DGS を想定 評価の対象外 評価では蒸留粕発生を想定 ( 飼料トウモロコシと大豆ミールを代替 ) 既定値では余剰電力販売を想定 ( 天然ガス火力代替 ) 副産物のない場合の既定値もある 既定値では蒸留粕発生を想定 ( 飼料トウモロコシ代替 ) ドライミルプロセスの場合 28 DIRECTIVE 2009/28/EC, 前文 (81) 29 LCFS Guidance Documents and FAQ 30 JEC - Joint Research Centre-EUCAR-CONCAWE collaboration, Well-to-Tank Report 82

92 b. 副産物の扱いのあり方 ( 計上する工程 ) 上記を踏まえると 副産物評価を行うための 1 つの考え方として 図 4-3 のような整理とすることが考えられる すなわち まず エタノール 副産物の製造工程全体を 共通工程 エタノール独自工程 副産物独自工程 に分類する その上で 共通工程 の GHG 排出量はエタノール 副産物の比率に応じて按分を行い これに エタノール独自工程 の GHG 排出量を加算する 副産物独自工程 はエタノール製造とは無関係であるため GHG 排出量を計上しない ただし この方法を行う際には エタノール製造プラント中では 共通工程 エタノール独自工程 副産物独自工程 が混在しているため これらの GHG 排出量を分解するためのデータを取得する必要がある 原料栽培 ~ 共通の原料加工工程の GHG 排出量については エタノール / 副産物の比率に応じて按分 エタノール製造プラント エタノール製造 / 輸送の工程によって発生する GHG は エタノールの GHG 排出量として加算 原料栽培 原料収集 原料加工 ( 共通工程 ) エタノール製造 エタノール輸送 副産物 A 製造 副産物 B 製造 副産物製造工程において発生する GHG は エタノール製造とは無関係 図 4-3 副産物の扱いのあり方 なお EU 指令やそれに認定された自主的制度におけるライフサイクル評価でも 副産物 を按分法で評価を行っている ただし EU では 図 4-3 のようにエタノール製造プラントの GHG 排出量を 共通工程 エタノール独自工程 副産物独自工程 に分類することは行 わず エタノール製造プラントの GHG 排出量全体を 共通工程 と考えて按分を行ってい る この点で 図 4-3 で示した副産物の扱いは EU の GHG 排出量評価方法とは異なる 83

93 c. 按分方法のオプション図 4-3 に示した考え方を踏まえた場合 共通工程 における GHG 排出量を エタノールと副産物の比率に応じて按分するにあたっては 表 4-4 の通り 複数の按分法がある なお 副産物の評価方法には 按分法以外にも 副産物が代替する物質の GHG 排出量を差し引く方法 ( 代替法 ) もある 代替法での評価とは GHG 排出量の評価範囲を エタノールと副産物を合わせた範囲へ拡張し その範囲で生じる GHG 削減効果を全てエタノールに計上することを意味する このため 副産物がその他のバイオ燃料 ( 例えばトウモロコシ油由来バイオディーゼル等 ) の原料として使用される場合についても その副産物由来バイオ燃料の GHG 削減効果が 全てエタノール側に計上されることになる 表 4-4 共通工程における GHG 排出量の按分法の比較方法概要メリットデメリット 熱量按分法熱量比による按分副産物が熱量換算できる場 合には 明確な按分が可能 EU 指令において 各事業者 が評価する際には最もふさ わしい手法 とされている 重量按分法重量比による按分現場で容易に測定できる指 標である 価格按分法市場価値比による按分どのような副産物 ( 廃棄物処 ( 参考 ) 代替法 副産物が代替する物質 の GHG 排出量を全体の GHG 排出量から差し引 き 理等のサービスを含む ) も 評価可能 副産物の種類に関わらず評 価が可能 EU 指令や RFS の政策評価に 利用されている 炭酸飲料用の CO 2 など熱量評価で きない副産物に関する評価方法と しては不適切 電気など重量をもたない副産物に 関する評価方法としては不適切 また 重量が生産物の価値を適切 に表しているとは言い難い 市場価値は様々な外的要因によっ て変化し得るため 定常的な評価 が困難 代替物も評価に加えることになる ため複雑になる 代替物の想定やその評価方法によ って結果が変化し得る d. 副産物の扱いのあり方 ( 按分方法 ) 副産物の扱いの違いにより GHG 排出量の算定結果に差が生じるが 高度化法の判断基準における既定値や独自算定による GHG 排出量の算定方法を策定するという趣旨に鑑みれば 統一的なルールを定めることが必要である バイオエタノールの GHG 排出量の既定値の計算 ( 土地利用変化以外 ) で示すように ブラジル産サトウキビ由来エタノールについては 副産物の発生比率が低いため 影響は大きくなかった また 米国産トウモロコシ由来エタノールについては 価格按分法や代替法を用いた場合に GHG 排出量の計算値が大きくなった 一方 表 4-4 のメリット デメリットに記したように 価格按分法や代替法は バイオ燃料 副産物の市場価値や副産物の用途 競合状況といった バイオ燃料製造と直接関係のない外的要因の影響を受けて変動しやすい また 重量按分法については エネルギーとしての価値と重量は必ずしも比例しないことから 熱量按分法の方が適切と考えられる 84

94 以上を踏まえると 高度化法の判断基準における GHG 排出量の算定方法としては 原則 熱量按分法で 共通工程 における GHG 排出量の按分を行うことが適切と考えられる このときの熱量として 本来ならば 共通工程 から エタノール独自工程 と 副産物独自工程 に分配された時点の物質の熱量で比較するのが適当である ( 表 4-5) しかし これらのデータを詳細に取得することは困難であることから 最終製品であるエタノール及び副産物の燃焼によって発生する熱量で代替可能とすることが考えられる 表 4-5 エタノール独自工程 と 副産物独自工程 の分配エタノール独自工程分配点での中間生成物副産物と副産物独自工程のエタノール副産物 ( 最終製品 ) 分配点独自工程へ独自工程へ余剰バガスブラジル産サトウキビ汁 ( またはそれのサトウキビ湿潤バガスサトウキビ由来湿潤バガスのうち大半燃焼による余剰搾汁工程のうち一部エタノール ( エタノール製造の燃料 ) 電力 ) 米国産蒸留粕 粗トウエタノールトウモロコシ由来蒸留後のエタノール蒸留廃液モロコシ油蒸留工程エタノール なお バイオマス起源の CO 2 を回収し マテリアルとして利用される化石燃料起源の CO 2 を代替する場合 に限っては 判断基準に記された算定式の通り 按分ではなくその CO 2 量を直接差し引くことができる 表 4-6 GHG 排出量算定式 ~ 非化石エネルギー源の利用に関する石油精製業者の判断の基準 ( 平成 22 年経済産業省告示第 242 号 ) より抜粋 ~ ( 算定式 ) E = e l + e ec + e p + e td + e u - e ccs - e ccr E : 燃料利用に由来する総排出量 e l : 直接的土地利用変化による炭素ストック量変動に伴う排出量 e ec : 原料栽培 採取に伴う排出量 e p : 燃料製造に伴う排出量 e td : 輸送 流通に伴う排出量 e u : 燃料の使用に伴う排出量 e ccs : 炭素回収 隔離による排出削減量 e ccr : 炭素回収 置換による排出削減量 ( バイオマス起源の CO 2 を回収し マテリアルとして利用される化石燃料起源の CO 2 を代替するもの ) 85

95 2) 間接土地利用変化 a. 欧米の状況バイオ燃料の間接土地利用変化 (ILUC) による影響については 当初の予想よりもセルロース系の開発が遅れ これに伴い食用作物がバイオ燃料の原料として利用し続けられており 食料競合への懸念があることから 国際的にその影響を考慮する方向性にある 一方 間接土地利用変化は国によって異なる複数の評価モデルが採用されており モデルの設計や前提が異なることから 間接土地利用変化の算定値は大きく異なる 例えば欧州では バイオ燃料生産による生産地の移転 ( 玉突き現象 ) による影響を評価しており 米国ではバイオ燃料の需要増による作物価格上昇に伴う 国際的な生産拡大への影響を評価している また 各モデルには不確実性が大きく 感度分析による確認や モデル算定の前提条件の見直しといった対策も取られている 近年 米国では間接土地利用変化についての再算定が行われ 数字が大幅に引き下げられた研究結果が出ている ( 表 4-7) この変化の要因としては 牧草地の集中度係数の扱いの変更 ( 南米では粗放的な放牧が行われているため 牧草地からの土地利用変化を行っても 放牧の密度が上がるだけで 新たな土地利用変化は起きないと想定 ) 作物収量弾力性の変更( 作物収量が変化したとき 副産物の生産量は比例で変化するのではなく 副産物の需要に合わせて変化することを考慮 ) 副産物としての蒸留粕 (DDGS) の用途の変更 (DDGS の市場価格に応じてエタノール工場が出荷方法 出荷先を変更することを考慮 ) 等があり モデルの考え方で数値は大きく変化し得ることを示している 表 4-7 米国における間接土地利用変化の評価の変化 原料 ( 制度運営者 ) 間接土地利用変化 (g-co 2 /MJ) 以前見直し後 トウモロコシ (EPA) ~28 7 トウモロコシ ( オレゴン州 ) - 7 トウモロコシ (CARB) ~ サトウキビ (EPA) (4.7) ~10 サトウキビ (CARB) 46 ~9.8 出所 ) アメリカ穀物協会 注 ) EPA は連邦環境保護庁 CARB はカリフォルニア州大気資源局 仮に 我が国でも間接土地利用変化による影響を評価し 持続可能性基準に組み込んでいく場合には 透明性の高い算定手法が必要となる なお NEDO の平成 27 年度事業 31 において農業モデルの専門家にヒアリングが行われた結果によると 国内で間接土地利用変化のモデルを独自に開発する場合 国内の既存の気候変動モデルや食料需給モデルをベースとして活用する場合でも 2~3 年の開発期間が必要とされるため 欧米の制度運用者やモデル開発者と協議しながら 先行する欧米のモデルを使用する方法の方が現実的と考えられると 31 NEDO 委託 戦略的次世代バイオマスエネルギー利用技術開発事業 / バイオ燃料の持続可能性基準に関 する動向調査 平成 28 年 3 月 86

96 のことであった b. 間接土地利用変化の考慮のあり方 他国の事例を見ると 世界全体での影響を見る必要があることから 間接土地利用変化は モデルにより計算して評価しており EU において事業者から既定値に基づき定量的な評価 結果を報告することとしている 一方 現時点においては 間接土地利用変化による影響を 正確に評価することは困難と考えられるため 引き続き GHG 評価においては直接土地利 用変化のみを対象とするのが適当と考えられる ただし 我が国においては国産バイオ燃料 の生産は少なく 世界での生産 消費動向に依存することから 独自にモデル評価を行うこ とは難しい点があるものの 並行して 将来的に間接土地利用変化による影響のモデル評価 を進める可能性を検討するべく 欧米制度の最新動向を踏まえつつ 欧米の制度運用者やモ デル開発者との協議を進めることも考えられる 一方 間接土地利用変化による影響を看過しないため 例えば間接土地利用変化のうち 事業者が把握し得る近隣での変化を対象に 大規模な森林伐採や土地収奪などの情報を事業 者から国に報告することとし 国としても別途評価を行うことが考えられる ここで顕著な 悪影響が認められる情報提供があった場合には 間接土地利用変化を評価基準に盛り込んで いくことも考えられる 事業者から国に報告すべき事項としては例えば図 4-4 のようなも のが考えられる A)同一生産者による作物転換 A 農場 ②生産地移行 A農場 間接土地利用変化の影響確認 可能 小麦 食料用 トレース可能 小麦 食料用 ①作物転換 トウモロコシ 燃料用 エタノール B)同一生産者による用途転換 B 農場 ②生産地移行 B農場 間接土地利用変化の影響確認 可能 トウモロコシ 食料用 トレース可能 トウモロコシ 食料用 ①用途転換 トウモロコシ 燃料用 エタノール C)生産者変更 D農場 ②生産者変更 C農場 間接土地利用変化の影響確認 困難 トウモロコシ 食料用 因果関係不明のためトレース困難 トウモロコシ 食料用 ①用途転換 トウモロコシ 燃料用 エタノール 図 4-4 間接土地利用変化のうち 事業者が把握し得る バイオ燃料原料栽培地近隣での土地利用変化のパターン 87

97 このうち 同一のバイオ燃料原料生産者による作物転換又は用途転換の場合には そのバイオ燃料原料生産者に懸念事項がないかを直接確認することが可能と考えられるため 報告対象となり得ると考えられる 一方 生産者変更の場合には バイオ燃料原料生産者間の因果関係が把握できないことから 土地利用変化に該当するか否かの確認が困難である 以上より 事業者は 同一のバイオ燃料原料生産者による間接的土地利用変化の影響を確認し 報告することが考えられる 表 4-8 事業者による間接土地利用変化の国への報告事項と確認方法 ( 案 ) 報告事項確認方法 作物転換 バイオ燃料原料栽培地で作物 転換を起こした結果 そのバイオ燃料原料 生産者がもともと栽培していた作物を近隣 で栽培するようになり 森林伐採等による GHG の排出増や生物多様性その他の社会 環境影響が発生している懸念がある 用途転換 バイオ燃料原料栽培地で生産 していた作物の用途を燃料用に転換した結 果 そのバイオ燃料原料生産者が食料や飼 料用等で供給先との契約上必要としていた 生産量を確保するために新たに別の土地で 生産を開始した際に 森林伐採等による GHG の排出増や生物多様性その他の社会 環境影響が発生している懸念がある 事業者は バイオ燃料原料生産者に作物転 換前又は用途転換前の作物を別の場所で栽 培しているかを確認する 別の場所で栽培 している場合にはその土地が生物多様性等 の観点から保護すべき土地でないか 森林 伐採が起きていないかを確認する また 間接土地利用変化による影響が生じにくい次世代バイオ燃料の導入を促進したり 食物由来のバイオ燃料の使用を将来的に制限したりすることも考えられる 88

98 3)ETBE 化工程の考慮判断基準の目標達成に利用されているエタノールは 実際には ETBE に加工されてガソリンに混和されている 現行の判断基準における GHG 排出量算定方法においては ETBE 化工程における GHG 排出量は 算定範囲 ( バウンダリ ) の対象外となっているが これの是非について検討を行った a. 現行の判断基準における扱い現行の判断基準における GHG 排出量算定方法においては ETBE 化工程における GHG 排出量は 算定範囲 ( バウンダリ ) の対象外となっている これは ETBE 化工程の GHG 排出量を評価するためのデータが入手困難であったこと 当時参照していた英国のライフサイクル評価制度においても対象外となっていたことによる 一方で ETBE 化工程の排出量を含めるべきという指摘はあり 中長期的な検討課題とされていた なお ブラジル産エタノールの多くは米国に一旦輸送されて ETBE 化される見込みであったことから ブラジル産サトウキビ由来エタノールの既定値における国際輸送での GHG 排出量は 米国経由での距離を用いた算出が行われている b. ETBE 化工程の考慮における論点 ETBE 化工程の評価にあたっては 以下のような論点が存在する 評価対象の考え方 :ETBE そのものを評価対象とするか ETBE 化工程の GHG 排出量を勘案したエタノールを評価するか 直接混和はどう扱うか 評価のバウンダリ イソブテン (ETBE の原料 ): イソブテンは製油所で副生物として発生している これを廃棄物利用とみなしてイソブテンの GHG 排出量をゼロとするか それとも一石油製品としてライフサイクル評価を行うか ( その前提はガソリン等の基準値の評価と整合する必要がある ) ガソリン :ETBE を混和する場合とエタノールを直接混和する場合では 混和対象のガソリンの基材構成が異なる この基材構成の変化がもたらす GHG 排出量の変化も評価に加えるか c. 欧州での扱い EU 指令では ETBE のような 一部のみが再生可能エネルギー由来であるとみなされる燃料 は 以下のように扱われている 32,33 導入目標達成において何 % 分が再生可能エネルギーとカウントされるかを規定する 32 Communication from the Commission on the practical implementation of the EU biofuels and bioliquids sustainability scheme and on counting rules for biofuels (2010/C 160/02) 5.1. Accounting for fuels that come partly from non-renewable sources 33 Directive 2009/28/EC of the European Parliament and of the council of 23 April

99 (ETBE では 37% とされている すなわち ETBE を 1L 導入したとき このうちバイオ燃料が占める割合は 0.37L 分とみなされ この 0.37L 分のみが再生可能エネルギーとカウントされる ) 持続可能性基準においては バイオマス由来部分のみが基準を満たしていれば良いとする (ETBE の GHG 排出量の既定値は 原料のエタノールと同値 とみなされている ) 4) バイオ燃料の GHG 排出量評価のあり方 バイオ燃料の GHG 排出量評価の方法については 次年度以降 副産物の扱いや ETBE 化工程の考慮の是非も含めて引き続き検討する必要がある このため 本報告書におけるブラジル産サトウキビ由来エタノール 米国産トウモロコシ由来エタノールの GHG 排出量の評価結果は 暫定値の扱いとする 90

100 (4) 既定値前述した GHG 排出量評価の方法に基づき 現時点で大規模な導入の可能性があるブラジル産サトウキビ由来エタノール 米国産トウモロコシ由来エタノールについては 判断基準上の GHG 排出量の 既定値 を検討する その具体的な値は以下の通りである なお 詳細については バイオエタノールの GHG 排出量の既定値の計算 に記す 1) 土地利用変化以外 ( 原料栽培 ~ 原料輸送 ~ エタノール製造 ~ エタノール輸送 ) a. ブラジル産サトウキビ由来エタノールブラジル産サトウキビ由来エタノール製造プラントでは 外部からエネルギーを購入せず サトウキビ搾汁残渣であるバガスによる発電 熱発生を行っているが プラントに必要なエネルギー量よりも多いバガスが発生するため バガス又はバガスから発電された電力が余剰となっている これらを副産物として考慮する エタノール製造工程プラントのエネルギー消費に起因する GHG 排出量を 共通工程 エタノール独自工程 副産物独自工程 に分類すると 表 4-9 の通りである また 共通工程の熱量按分において エタノールへの按分係数は表 4-10 より 98%(=21.2/21.6) となる これらを踏まえた上で 現行の判断基準のブラジル産サトウキビ由来エタノールの数値を更新した結果を表 4-11 に示す GHG 排出量は 32.3gCO 2 eq/mj となった 分類 表 4-9 ブラジル産エタノール製造プラントのエネルギー消費に起因する GHG 排出量の分解 工程 GHG 排出量 [gco 2 eq/mj] エタノールの GHG 排出量への計上 共通工程サトウキビ搾汁 0.14 按分して計上 エタノール独自工程エタノール製造 1.62 全量計上 副産物独自工程余剰電力発生 0.20 計上しない 余剰バガス発生 0.20 計上しない 合計 出所 ) バイオエタノールの GHG 排出量の既定値の計算 中 表 4-31 図 4-7 を参照 表 4-10 ブラジル産サトウキビ由来エタノールの熱量按分に関するデータ 主産物 / 副産物 エタノール 1L に対す 熱量 総熱量 る発生量 エタノール 1L 21.2MJ/L 21.2MJ 電力 0.124kWh 3.6MJ/kWh 0.446MJ 合計 21.6MJ 91

101 表 4-11 ブラジル産サトウキビ由来エタノールの GHG 排出量評価 [gco 2 eq/mj] 分類 工程 現行判断基準 見直し後 ( 暫定値 ) 共通工程原料栽培化学物質製造 エタノール独自工程 土壌 ( 施肥 ) 火入れ 機械 原料収集 エタノール製造 エタノール輸送 エネルギー消費 エネルギー消費 1.6 化学物質等投入 生産国内 国際 合計 b. 米国産トウモロコシ由来エタノール米国産トウモロコシ由来エタノール工場の 90% 以上をドライミルプロセス 35 が占め その 90% 以上が天然ガスを燃料として使用している 36 ことから 既定値の算出においては このような工場を想定する 製造時の副産物として 蒸留粕 粗トウモロコシ油を考慮する 蒸留粕は含水のままもしくは乾燥され飼料として利用されている また ドライミルプロセスのうち 80% 以上で粗トウモロコシ油の回収を行っている 37 なお 炭酸ガス(CO 2 ) を回収 販売している場合もあるが 一般的とは言えないため既定値の対象からは除外する ここで考慮する 蒸留粕や粗トウモロコシ油は エタノールの蒸留工程でエタノールから分離される蒸留廃液から製造される 蒸留廃液から副産物を製造する工程全体を 副産物の製造工程 と呼ぶこととする エタノール製造工程プラントの GHG 排出量を 共通工程 エタノール独自工程 副産物独自工程 に分類する ただし 副産物の製造工程 から排熱を回収し 発酵 蒸留等の工程に用いている場合が多いが エタノール製造プラント内での工程間の熱融通について十分な情報が得られなかったことから 表 4-12 のように 2 通りの想定を置いた また 共通工程の熱量按分において エタノールへの按分係数は表 4-13 より 66%(= 21.2/32.4) となる これらを踏まえた上で 算出した結果を表 4-14 に示す GHG 排出量は 36.4~ 46.4gCO 2 eq/mj( 暫定値 ) となった ただし 算出に用いたデータの一般性を引き続き検証する必要があるため ここで示した値は暫定値である 34 ブラジルからの輸送は 実際に行われているエタノールの移動 ( 米国での ETBE 化 ) を反映し 米国経 由のルートを想定 35 胚芽を除去して粉砕する 製粉 工程であり 燃料用エタノール製造時に澱粉が吸収されるが 残り の副産物として DDG( ジスチラーズ ドライド グレイン ) が発生する 引用元 ) 独立行政法人農畜産 物振興機構 米国におけるバイオエタノール政策 需給動向 2006 年 10 月 36 Steffen Mueller, 2008 National dry mill corn ethanol survey, Zhichao Wang et al., Influence of corn oil recovery on life-cycle greenhouse gas emissions of corn ethanol and corn oil biodiesel, Biotechnol Biofuels. 2015; 8:

102 分類 共通工程 エタノール独自工程 副産物独自工程 表 4-12 米国産トウモロコシ由来エタノール製造プラントのエネルギー消費に起因する GHG 排出量の分解 ( 暫定値 ) 工程 原料前処理 でん粉の糖化 発酵 蒸留 エタノール脱水 遠心分離 濃縮 乾燥 GHG 排出量 [gco 2 eq/mj] 副産物の製造工程を 副産物工程 とみなした場合 副産物の製造工程を 共通工程 とみなした場合 エタノールの GHG 排出量への計上 按分して計上 全量計上 計上しない 合計 出所 ) バイオエタノールの GHG 排出量の既定値の計算 中 表 4-33 を参照 主産物 / 副産物 表 4-13 米国産トウモロコシ由来エタノールの熱量按分に関するデータ エタノール 1L に対する発生量 熱量熱量出所総熱量 エタノール 1L 21.2MJ/L 21.2MJ DGS 0.663kg/L ( 含水率 10%) 16.0MJ/kg The BioGrace GHG calculation tool* における DGS の発熱量標準値 10.6MJ 粗トウモロコシ油 0.014kg/L 36.0MJ/kg The BioGrace GHG calculation tool* における 粗植物油の発熱量標準値 0.51MJ 合計 32.4MJ * The BioGrace GHG calculation tool は EU 指令に準拠した計算ツールで 計算に使用する標準的な原単 位 熱量等のデータベースを備えている 93

103 表 4-14 米国産トウモロコシ由来エタノールの GHG 排出量評価 [gco 2 eq/mj]( 暫定値 ) 分類 工程 副産物の製造工程を 副 産物工程 とみなした場 合 副産物の製造工程を 共通工程 とみなした場合 共通工程原料栽培化学物質製造 エタノール独自工程 土壌 ( 施肥 ) 火入れ該当プロセス無し該当プロセス無し 機械 原料収集 エタノール製造 エタノール輸送 エネルギー消費 化学物質等投入 エネルギー消費 生産国内 国際 合計

104 2) 直接土地利用変化 前述の通り 間接土地利用変化は GHG 評価に含めず 直接土地利用変化のみを考慮する 直接土地利用変化の評価においては 現行の判断基準通り 2006 年 IPCC ガイドライン (2006 IPCC Guidelines for National Greenhouse Gas Inventories, Chapter 3: Consistent Representation of Lands) を用いて算出する a. ブラジル産サトウキビ現行の判断基準においては 2006 年 IPCC ガイドラインの適用の際に サトウキビ農地の炭素ストックを 単年性植物を栽培する土地 (Long-term cultivated) の炭素ストックと同水準と仮定し 草地よりもサトウキビ農地の方が炭素ストックが少ないという計算結果を得ている 本来はブラジルの実態を踏まえた実証データを参照することが重要であるが 当時の段階ではこうしたデータはまだ少なかったため データの蓄積を通じ データの信頼度をさらに高めていく必要があるとしていた 今般 最近の実測値をもとに土壌の炭素ストック量を検証したところ 牧草地よりもサトウキビ農地の方が大きな炭素ストックを持つという既往文献が多数見られた 一方 既往文献は 自然の草地よりもサトウキビ農地の方が炭素ストックが小さいという傾向を示していたが ブラジルの国家アグロ=エコロジー ゾーニング (ZAE) 制度では 自生植物地区でのサトウキビ栽培の拡張を禁止している また 実測されたサトウキビ農地の炭素ストックの値は 2006 年 IPCC ガイドラインの適用の際に サトウキビ農地を多年生植物を栽培する土地 (Perennial/tree crops) とみなしたときの計算結果に近い水準であった ( これらの詳細は バイオエタノールの GHG 排出量の既定値の計算 ( 直接土地利用変化 ) 参照) これより 2006 年 IPCC ガイドラインの適用の際に サトウキビ農地を多年生植物を栽培する土地 (Perennial/tree crops) とみなすこととする この場合 草地からサトウキビ農地に転換することで 土中の炭素ストック量がわずかに増加する結果となる ただし 草地を積極的にサトウキビ農地に置換すべき という誤ったメッセージにならないよう 草地からサトウキビ農地に転換した場合の土地利用変化は 0gCO 2 eq/mj とみなすことが妥当であると考えられる また 森林からサトウキビ農地に転換する場合の土地利用変化は 多年生作物として扱った場合 265.5gCO 2 eq/mj となる ただし この排出の一部は 副産物である余剰電力の産出のために排出されたものであるから エタノール製造の 共通工程 と同様に熱量按分を行うと エタノール分は 260.8gCO 2 eq/mj となる ブラジル産サトウキビ栽培の土地利用変化における GHG 排出量を 表 4-15 にまとめる なお 自生植物地区又は森林からサトウキビ農地への転換は ZAE 制度で包括的に禁止されているため CO 2 判断基準においては 従来通り 石油精製業者がバイオ燃料の生産者に対して ZAE 制度の遵守を求めるとともに 原料栽培地での土地利用変化の状況について 国が石油精製業者に対して個別の確認と報告を求めていくべきであると考えられる 表 4-15 ブラジル産サトウキビ栽培の 95

105 土地利用変化における GHG 排出量 ( 按分後 ) (g-co 2 eq/mj) 現行判断基準 見直し後 ( 熱量按分法 ) 土地利用変化無し ( 既存農地 ) 0 0 土地利用変化あり草地 ( 牧草地 ) からの転換 森林からの転換 b. 米国産トウモロコシ米国でのトウモロコシ栽培においては 他の農作物からの転換の場合 土中の炭素ストック量が増加するというデータも存在する しかし 農作物の転換状況について正確にトレースすることが困難であることや 様々な農作物の組み合せに応じた評価方法を整備する必要があり 評価方法が複雑になる このため 従来通り 草地や森林からの転換のみ考慮し 他の農作物からの転換による効果については 0gCO 2 eq/mj とみなすことが妥当であると考えられる 草地 森林からトウモロコシ畑に転換する場合の土地利用変化は 2006 年 IPCC ガイドラインを適用した上で熱量按分を行うと エタノール分はそれぞれ 44.8gCO 2 eq/mj 102.0gCO 2 eq/mj となる 米国産トウモロコシ栽培の土地利用変化における GHG 排出量を 表 4-16 にまとめる 表 4-16 米国産トウモロコシ栽培の土地利用変化における GHG 排出量 (g-co 2 eq/mj) 熱量按分法 土地利用変化無し ( 既存農地 ) 0 土地利用変化あり 草地からの転換 44.8 森林からの転換 (5) GHG 削減水準現行の高度化法の判断基準においては バイオエタノールのライフサイクルでの GHG 排出量について ガソリン比 50% 以上の削減とすることを求めている 次期判断基準における GHG 排出量の削減水準を検討するにあたっては 国際的な GHG 排出量の削減水準や他の運輸部門の GHG 削減手段との比較結果を踏まえた上で設定する必要がある 1) 現行の判断基準における取り扱い現行の高度化法の判断基準においては バイオエタノールのライフサイクルでの GHG 排出量について ガソリン比 50% 以上の削減とすることを求めている また当面の間 年度内に利用したバイオエタノールの GHG 排出量の加重平均で 当該削減率を満たせば良いこととしている 現行の高度化法の判断基準を設定した 2010 年頃には EU では削減基準 35% が適用されており 米国では従来型トウモロコシ由来エタノールについては削減基準 20% が 先進型 96

106 バイオ燃料については削減基準 50% が適用されていた ~ 非化石エネルギー源の利用に関する石油精製業者の判断の基準 ( 平成 22 年経済産業省告示第 242 号 ) より抜粋 ~ (1) 石油精製業者は バイオエタノールについて ライフサイクルアセスメント (Life Cycle Assessment 以下 LCA という ) での温室効果ガス (Green House Gas 以下 GHG という ) の排出量 ( 以下 LCA での GHG 排出量 という ) を評価し バイオエタノールのうち (3) の GHG 排出量削減基準を満たすものを利用するよう努めなければならない また 特定石油精製業者が バイオエタノールの利用の目標量を達成するために利用するバイオエタノールについては 当該 GHG 排出量削減基準を満たすものに限ることとする (2) ( 算定方法 : 略 ) (3) GHG 排出量削減基準は以下の通りとする 1バイオエタノールの利用に当あたっては LCA での GHG 排出量が揮発油の LCA での GHG 排出量 (81.7gCO 2 eq/mj) に比較して 50% 未満であるものとすること 2 石油精製業者は 当面の間 年度内に利用したすべてのバイオエタノール (3に規定するものを除く ) の LCA での GHG 排出量を加重平均して得た値 ( ただし 同一の事業者から調達したバイオエタノールの LCA での GHG 排出量については 当該事業者が供給したすべてのバイオエタノールの LCA での GHG 排出量を加重平均して得た値として良い ) が 揮発油の LCA での GHG 排出量 (81.7gCO 2 eq/mj) に比較して 50% 未満であることにより1の基準を満たしているとみなすものとする 3 石油精製業者は 当面の間 別表 3に掲げる物を原料とするバイオエタノールその他の実証段階にあるバイオエタノールとして公正に評価されたものについては 1 の基準を満たしているとみなして利用することができる 2) 欧米における事例現在 欧米においては GHG 排出量の化石燃料比の削減基準は以下の通りであり 現行基準を設定した当時と大きな変化はない EU 指令 :2010 年当初は 35% 2017 年以降は 50% 2018 年以降の新設プラントは 60% 米国 RFS: 従来型トウモロコシ由来は 20% サトウキビ由来含む先進型は 50% バイオディーゼルは 50% セルロース系は 60%( いずれも間接土地利用変化による排出を考慮した上での削減基準 ) 米国カリフォルニア州 LCFS: バイオ燃料に対する削減基準は設けない ( 削減率が高いバイオ燃料ほど多くのインセンティブが付与される ) 3)GHG 削減水準のあり方今般 GHG 排出量の評価の見直しを行った結果 現在利用されており今後も主力となると見込まれるブラジル産サトウキビ由来エタノールのガソリンに対する削減率は現行の 60% から 61%( 暫定値 ) とほとんど変わらなかった 97

107 また 運輸部門 ( 自動車 ) での GHG 削減方策として電気自動車と同程度の排出量削減効果を達成するときに バイオ燃料に求められる GHG 削減率について検討を行った その結果 バイオ燃料に求められる GHG 削減率は 39% となった ( バイオ燃料の GHG 削減水準の検討 参照 ) 諸外国においても GHG 削減基準はガソリン比 50% 程度であることや 電気自動車との GHG 排出量評価の比較等を考慮すると 現行の基準 ( ガソリン比 50% 削減 ) を維持することが妥当であると考えられる 98

108 (6) 参考値 1) 現行の判断基準における取り扱い現行の判断基準においては 平成 22 年時点で実証段階にあり かつ将来的に導入拡大が期待されていた燃料種について 参考値 を示した上で 持続可能性基準を満たすものとして取り扱っている これらの参考値については 制度運用上は直接使用するものではないが ブラジル産バイオエタノールの既定値のみを提示することにより 国産バイオエタノールの可能性がないと誤解されて国内開発が停滞することのないよう配慮したものである しかし 開発途上の燃料種であるため 根拠データが今後大きく変動する可能性があるにも関わらず 既定値と同様に参考値を提示してしまうことで 既定値と同様の高い精度の値と誤解される恐れがある また 判断基準の更新頻度はそれほど高くないところ 判断基準に参考値を掲載すると 今後の開発の進展に合わせて柔軟に参考値を見直すことが難しくなる 2) 参考値のあり方引き続き 将来的に持続可能性基準を満たす可能性が高く 導入可能性が高い実証段階の燃料種については持続可能性基準を満たすものとして取り扱うが 判断基準においては 参考値を示す対象の燃料のリスト のみを示すこととし 参考値自体は 別途経済産業省が報告書等で公表することとする 参考値の公表にあたっては 現在の値とともに 普及拡大が進んだ段階の将来的な目標値を併せて設定することも考えられる また 評価結果の値が安定した段階で 判断基準に数値を掲載することも考えられる 参考値 の算出方法としては 複数の文献からデータを引用し 値に幅があることを示す 実際に実証を行っている事業者から入手する などの方法が考えられるが できるだけ開発が進んだ事例のデータを収集する必要がある 現在 セルロース系エタノール セルロース系炭化水素 微細藻類由来炭化水素は 技術開発の対象となっていること 将来的に GHG 排出量基準を満たす可能性が高いことから 参考値を示す対象の燃料の評価対象として表 4-17 に挙げるものが候補となる 表 4-17 参考値を示す対象の燃料の評価対象 ( 候補 ) 燃料 原料 転換技術 検討時期 エタノール セルロース系 糖化発酵 次期判断基準まで 炭化水素 ( バイオジェット燃料 再生可能ディーゼル ) セルロース系微細藻類 ガス化合成光合成 次期判断基準 ( 一部改正 ) まで 99

109 (7) 事業者による GHG 排出量の独自算定 1) 諸外国の事例 a. 国 事業者 第三者機関の役割諸外国において 事業者による LCA の独自算定が行われている類似制度では 独自算定について 国 事業者 第三者機関が 表 4-18 のような役割を担っている カリフォルニア州 LCFS は GHG 排出量の絶対値を用いた制度となっている 排出量の多少の違いであっても事業者にとっての直接の損得につながるため 計算方法や結果について 透明化を図ることが重要とされていると考えられる また 外部の大学や研究機関といった外部ソースを活用している EU では 指令として定まる前に 各国政府や各地の研究機関や NGO が提唱 実施していた持続可能性基準が存在した また バイオ燃料に限らず 多数の認証制度が機能しており 検証に携わる監査機関も多く存在している このため 人的リソースの限りもあることから 欧州委員会としては自主的基準を認証する役割に留まり 各事業者の LCA 評価の検証は各自主的基準に対応する第三者機関が行っている 表 4-18 独自算定における政府 事業者 第三者機関の役割 カリフォルニア州 LCFS EU 再生可能エネルギー指令 制度における GHG 排出量の利用 絶対値を直接利用 一定水準を超えているかどうかの判断 独政府の役割 LCA ツールの提供 事業者の評価結自主的基準の認定自算果確認 結果公開とパブリックコメン定トの募集と認証 の事業者の役割 LCA 評価の実施 政府へデータ提出 LCA 評価の実施 第三者検証の依頼方法第三者機関の 自主的基準の運用ガイドラインに基づく 役割 検証 算定に用いるツール等 CA-GREET ( 算定式 投入 発生量 排出係数の標準値を含むツール ) 自主的基準が用意しているツール等 ( 自主的基準によって異なる ) b. データベース等の整備既定値と独自算定値や 独自算定値間の公平性を担保するとともに 国における独自算定値の検証を容易にするために 独自算定で我が国独自に使用するデータについて あらかじめ国が整備することが適切であると考えられる 諸外国の制度や認証基準で 算定に用いるデータの扱い等は表 4-19 の通りである 100

110 表 4-19 独自算定におけるデータの種類 根拠資料 カリフォルニア州 LCFS RSB *1 ISCC *2 計算ツール CA-GREET オンライン RSB 計算ツール もしくは他の認定されている計算ツール 不明 デ投入 発生量事業者独自の値を用いる事業者の 直近 2 年の平均前年度の実測データを用ータ値を用いるいる排出係数ツール中に内蔵されたデ ータベースが利用可能 根拠資料 インプットの根拠資料として請求書 領収書等を提出 ( もしくは第三者の監査報告書 ) 代表的なデータベースである EcoInvent のデータを引用 選択 入力した値について文書化 EU の資金援助を受けて開発された BioGrace と呼ばれるデータベースからの引用 インプットの根拠資料として 生産報告 納品書等 *1 EU 指令において 認定されているバイオ燃料持続可能性基準の 1 つ スイス連邦工科大学主導で 設立 認定するバイオ燃料の汎用性が高いことが特徴である *2 EU 指令において 認定されているバイオ燃料持続可能性基準の 1 つ ドイツ政府の支援のもと 研究機関 NGO 各国産業団体が設立した 原料や地域を問わず認証を行うことが特徴 EU で最 もよく使われている 2) 事業者における GHG 排出量の独自算定のあり方我が国においては 現行の通り GHG 削減量が一定水準を超えているかどうかで基準への適合を判断することから カリフォルニア州 LCFS(GHG 排出量の絶対値により金銭価値を持つクレジットの取得量が定まる ) のように 結果を一般公開しパブリックコメントを実施するといった手続きまでは必要ないと考えられる 一方で 我が国の基準に対応した自主的基準を第三者が策定することは バイオ燃料の導入実態を踏まえると見込みにくく EU のような自主的基準に依拠した制度にもしにくいと考えられる また実際に算定対象となる燃料は海外で生産される可能性が高く それらに対するデータ等を幅広く用意するのは困難である 以上を踏まえると 我が国においては 事業者が独自算定を自ら行い 国がその算定内容の確認を行っていく仕組みが適当と考えられる ただしその際に既存の各国の制度で認められた評価結果等をできるだけ活用しつつ 我が国独自の部分は個別に算定できるよう 算定負荷の軽減を図る必要がある また 算定におけるマニュアル 報告様式等を整備することも必要であると考えられる 101

111 4.5.2 生物多様性 食料競合等 (1) 現行の高度化法における取り扱い現行の高度化法の判断基準においては GHG の排出削減基準以外に 食料競合及び生物多様性について 著しく懸念される事態が生じた場合に事業者が国に情報提供するよう定めているが これまで 該当する報告は行われていない ~ 非化石エネルギー源の利用に関する石油精製業者の判断の基準 ( 平成 22 年経済産業省告示第 242 号 ) より抜粋 ~ (1) 石油精製業者は バイオエタノールの調達を行う際には 調達するバイオエタノールの原料の需給が食料価格に与える影響を回避できるよう十分に配慮するとともに 災害や異常気象等によりバイオエタノールの原料の生産量の著しい減少が懸念される場合等は バイオエタノールの原料の生産量等 国が必要とする情報を国に提供することとする (2) 石油精製業者は バイオエタノールの調達を行う際には 調達するバイオエタノールの生産による原料生産国の生態系への影響を回避するため 原料生産国の国内法を遵守してバイオエタノール又はバイオエタノールの原料の生産を行っている事業者から調達を行うよう十分に配慮するとともに バイオエタノールの原料の生産地域における生物多様性が著しく損なわれることが懸念される場合等は 当該生産地域における生態系の状況等 国が必要とする情報を国に提供することとする (2) 海外における事例 1)EU における事例 38 欧州委員会が 2015 年 6 月に発表した再生可能エネルギーの進捗報告書及びその作業文 書では バイオ燃料の導入にあたり 再生可能エネルギー指令で規定した持続可能性の仕組 みが効果的に運用されていると評価されている ただし 環境 社会的に悪影響を及ぼし得 る項目を指摘し 以下のように今後の注意を喚起している < 生物多様性 > 特にインドネシアとマレーシアのパーム油栽培による生物多様性への影響は大きい可能性がある 米国産トウモロコシ由来のエタノールも生物多様性に高いリスクを有する 生産地が脆弱な生態系地域に移行しているのと ミシシッピー ミズーリ河口とメキシコ湾に農業 38 COM (2015) 293 Report from the Commission to the European Parliament, the Council, the European Economic and the Social Committee and the Committee of the Regions, Renewable energy progress report 102

112 化学物質が流出している懸念がある < 土壌への影響 > 土壌に関するリスクで最も高いものは インドネシアとマレーシアでのパーム栽培時に 森林伐採や泥炭地開発が行われることである また 欧米でトウモロコシの生産が拡大しており その結果 草地や牧草地が開拓されていることも 土壌劣化につながる可能性がある バイオ燃料原料栽培のために モノカルチャー化が進むことも 土壌に悪影響を及ぼし得る < 大気への影響 > 火入れや化学物質の使用が 大気質に悪影響を与え得る インドネシアのパーム油栽培に伴う火入れや森林火災について EU 用のパーム油は森林を開拓した土地では栽培されていないものの 大気汚染をもたらし得る また ブラジルのサトウキビ農地では 火入れが完全になくなりつつあり影響も少なくなっている < 食料競合 > 全体として バイオ燃料への需要が食料価格に与える影響の度合いは その他の要因 ( 食料備蓄量減少 食品廃棄物増加 石油価格 投機等 ) に比べて比較的小さい < 土地収奪 > 世界的に行われる土地開発のうち どの程度が EU へのバイオ燃料供給を意図したものなのか不明である また 2000 年初頭に行われた土地開発の多くが失敗しており 実際のバイオ燃料供給には至っていない 2) 米国の動向米国では RFS2 導入以来 トウモロコシ由来のバイオエタノールの製造及びこれに伴うトウモロコシ栽培が増加している トウモロコシ栽培は以下のような環境影響をもたらすことが指摘されている 肥料 除草剤等の農業化学物質が使用されており 特に窒素及びリンがミシシッピー / ミズーリ / アチャフラヤ川からメキシコ湾に流出し富栄養化を引き起こすなど 海洋のエコシステムを損なっている懸念がある トウモロコシ生産地が脆弱な生態系地域に移行している その結果 草地や牧草地が開拓され 土壌劣化につながる可能性も指摘される 高収率のエタノール製造を目指した遺伝子組み換えトウモロコシが栽培されており 周辺の生態系へ影響を及ぼす可能性がある 1 点目に関しては トウモロコシ収穫量あたりの農業化学物質の使用量は減少している 1980 年と 2005 年とを比較すると 窒素の使用は 38.0% リンの使用は 54.7% 減少しており またメキシコ湾での窒素流質量も減少していることから 本影響への懸念は少なくなるものと考えられる 103

113 2 点目に関しては 米国全体で見ると トウモロコシの収率が改善しているために トウモロコシ収穫量あたりに必要な農地面積は減少している 一方で トウモロコシの主要な生産地の土地利用変化に鑑みると 生物多様性の高い湿地の近隣を含む草地が 年間 1%~ 5.4% の割合で トウモロコシ 大豆畑に転換されているという研究結果もある 土地利用変化に関しては GHG 排出にもつながるため 個別のサイトでの土地利用変化の有無の確認が必要となると考えられる 3 点目に関しては エタノール収率を高めるように遺伝子組み換えされたトウモロコシ "Enogen" が 2011 年以来 栽培されている 特段の環境影響は報告されていないが 継続的に動向をフォローする必要があると考えられる 3) 国際的な動向 : 国際バイオエネルギー パートナーシップ (GBEP) GBEP とは 2005 年のグレンイーグルスサミットにおいて 各国首脳がバイオエネルギーの持続的発展を図ることを目的とした組織を設立することに合意したことを受け 2006 年に設立された国際的組織である GBEP では 2008 年からバイオエネルギーの持続可能性の選定作業が進められ 2011 年に環境 社会 経済の 3 つの柱からなる 24 の持続可能性指標 ( 後述の表 4-57~ 表 4-59) を公表した 現在では 指標の実際の利用についての検討やキャパシティビルディングが実施されているとともに 国連の持続可能な開発目標 (SDGs) への貢献についても検討が開始されている なお これらの指標は製品ごと 事業者ごとに評価可能なものもあるが 国 地域ごとでしか評価できないものも混在している (3) 生物多様性 食料競合等への配慮のあり方我が国のバイオ燃料の調達に伴い 食料競合や生物多様性に関して 特段の懸念事項はこれまで報告されていない 世界的な動向を鑑みても バイオ燃料の生産が影響を及ぼし得る環境 社会的影響に対して 継続的な注意を一般的に喚起しつつ 重大かつ具体的な問題は指摘されていない 一方 GBEP のような国際的な議論の場で 特に水や大気に関して定量的な指標が立案される可能性があり 継続的に議論を注視する必要がある ただし 現在整理されている指標は 事業者が取り扱う製品に対して直接的に適用し得るものとはなっていない 以上を踏まえ 食料競合 生物多様性については これまでの取り扱いと同様に 特段の懸念事項がある場合に事業者から報告を求めることが考えられる なお 事業者が報告すべき事項について 具体的な例やガイドラインを示すことが望まれる また 国がバイオ燃料導入制度全体を定期的に評価し 影響が大きい場合には 追加的な措置を検討する必要があると考えられる 加えて 食料競合や生物多様性への悪影響の懸念の少ない次世代バイオ燃料の導入を促進する必要がある これら以外の環境 社会的影響については 当面の間は基準としては設けないが バイオ燃料生産による実際の影響や GBEP などの国際的な指標策定に関する動向を踏まえた上で 将来的に基準化を検討することも考えられる 104

114 4.6 次世代バイオ燃料の導入上述のように 次世代バイオ燃料は 食料競合 生物多様性への悪影響 土地利用変化を起こしにくく かつ バイオ燃料の国産化の観点からも注目すべきである しかし 我が国においてはまだ技術開発段階にあり 導入初期段階での競争力確保に配慮する必要がある ここでは 我が国における次世代バイオ燃料の導入促進策の検討を行うため 欧米における次世代バイオ燃料の導入促進策に係る調査を行った EU における次世代バイオ燃料導入促進策 次世代バイオ燃料の導入量が増加している EU では 様々な政策支援策を組み合わせるこ とにより導入を促進している 図 4-5 EU における次世代バイオ燃料導入施策 ( イメージ ) (1) 導入量目標と優遇措置 ( 再生可能エネルギー指令 ) 同指令において 食物由来のバイオ燃料について導入上限割合を設定するとともに 次世代バイオ燃料については導入量を 2 倍にカウントする優遇措置を導入している 加えて 加盟国政府に導入目標を設定するように奨励している 2020 年までに輸送部門の最終エネルギー消費量の 10% を再生可能エネルギー ( バイオ燃料以外も含む ) とすることを目指すが 10% 導入目標のうち 穀物 でん粉が豊富な ( ) 作物 糖類 油糧作物由来 及び農業用地で主にエネルギー用として栽培される作物由来のバイオ燃料の導入上限を 7% とする ( ) 荒廃地であった土地等の条件を満たす用地は除外可能 表 1 の1に示す次世代バイオ燃料について 2020 年までに 0.5% 導入する目標を設定するように加盟国政府に奨励する 表 1 の1 及び2に示す次世代バイオ燃料について そのエネルギー含有量を 2 倍にして導入量にカウントする 105

115 1 2 倍カウント + 0.5% 目標の対象 2 2 倍カウント 表 4-20 EU 指令で規定された次世代バイオ燃料 (a) 藻類 ( 池かバイオリアクターで培養されたもの ) (b) 混合都市廃棄物中のバイオマス成分 ( リサイクルが義務付けられている廃棄物を除く ) (c) 家庭部門から分別収集されるバイオ廃棄物 (d) 小売 / 卸売 / 食糧生産 / 漁業 / 養殖業を含む産業廃棄物中のバイオマス成分 ( リサイクルが義務付けられている廃棄物及び食糧や飼料として使われ得るものを除く ) (e) わら (f) 動物堆肥 / 下水汚泥 (g) パームオイル廃液 / ヤシ空果房 (h) トールピッチ (i) 粗製グリセリン (j) バガス (k) ブドウ絞りかす / 酒かす (l) ナッツ殻 (m) 殻 (Husks) (n) 穀粒を除いた穂軸 (Cobs) (o) 森林 森林関連産業からの廃棄物 残渣から得られるバイオマス すなわち樹皮 / 枝 / 商業的でない間伐 / 葉 / 針状葉 / 梢 / おがくず / 黒液 / 繊維くず / リグニン / トールオイル (p) その他の非食物由来セルロース系原料 (q) その他のリグノセルロース系原料 ( 丸太を除く ) (r) 非生物由来の再生可能液体 気体燃料 (s) 交通分野における炭素分離回収活用 (t) エネルギー源を再生可能なものとするバクテリア (a) 廃食油 (b) 動物性油脂 (2) 研究開発支援欧州は 2007 年に 2020 年における気候変動目標達成のための技術開発計画 戦略的エネルギー技術計画 (SET Plan) を策定した この中で バイオ燃料に関する技術マップが策定され 第 2 世代バイオ燃料の実証が目標とされた この実現に向けて 欧州の 2007~2013 年の研究枠組計画である 第 7 次研究開発フレームワークプログラム (FP7) のもと リグノセルロース系バイオ燃料の実証事業など次世代バイオ燃料の研究開発に対して 1.5 億ユーロ以上が助成された FP7 の後継となる Horizon 2020(2014~2020 年 ) でも バイオ燃料関係に対して加盟国政府から 10 億ユーロ 産業界から 28 億ユーロが拠出される見込みである また 気候変動政策として導入された排出量取引制度 (EU-ETS) のもとで行われている研究開発支援 (NER300) の対象となっており 都市廃棄物やセルロース系のエタノール開発事業 6 件に対し 5.8 億ユーロが拠出されている その他に 欧州投資銀行 (EIB) による実証プラントへの融資や 欧州地域開発ファンド (ERDF) による支援など 公的金融機関による支援も提供されている なお SET Plan では以下のコスト目安 (KPI) が提示されている 106

116 表 4-21 SET Plan における次世代バイオ燃料の 2020 年コスト目安ガス化による合成液体燃料 ( 税抜きの消費者への販売価格 ) 0.75 ユーロ /l リグノセルロース系バイオ燃料 ( 生物学的プロセス )( 同上 ) 0.50 ユーロ /l 出所 )SET Plan Towards an integrated roadmap: Research and Innovation Challenges and Needs of the EU Energy System Annex1 (3) 税制優遇 税制優遇に関しては加盟国政府に委ねられており 一例として以下のような免税措置が講 じられている 表 4-22 バイオ燃料に対する免税措置ドイツ 合成炭化水素 BTL 燃料 セルロース系バイオ燃料に対し 化石燃料と混合された状態の燃料も含めて 2015 年末まで免税 ( ガソリンには ユーロセント / リットル課税 39 ) E70(70%) 以上の混合率のバイオエタノールに対して 2015 年末まで減税措置あり フランス 燃料供給者に対して 2015 年までバイオ燃料の税 (General Tax on Polluting Activities) について 0.07 ユーロ / リットル 40 の免除措置あり スウェーデン 燃料供給者に対して 2018 年まで 41 E85 等のバイオ燃料の供給のエネルギー税 (0.042 ユーロ / リットル ) や CO 2 税 (0.13 ユーロ / kgco 2 ) 42 の免除措置あり 出所 ) 各国政府 (2015) Progress report on the promotion and use of energy from renewable sources 燃料税 :0.40 クローナ /l(0.042 ユーロ /l 相当 ) CO 2 税 :1.20 クローナ /kgco 2(0.13 ユーロ /kgco 2 相当 ) 107

117 4.6.2 米国における次世代バイオ燃料導入促進策 (1) 導入量目標 (RFS) 米国の連邦制度ではエネルギー独立安全保障法 (EISA) において再生可能燃料基準 (RFS) で導入目標量を定め バイオ燃料の導入を義務化しているが バイオ燃料全体の導入目標量の内数として GHG 排出削減量が 50% 以上である 先進型バイオ燃料 の導入目標量を定めている さらに 先進型バイオ燃料 の内数として セルロース系バイオ燃料及びバイオディーゼルの導入目標量が定められている 運用上は 2007 年時点で定められた導入目標を踏まえつつも 毎年 実際に導入可能と見込まれる量が評価され 翌年の導入目標が定められている セルロース系バイオ燃料は 技術確立の遅れから 2007 年時点で定められた導入目標よりも大きく下回る量が新たな目標として定められている また バイオ燃料合計も ガソリンへのエタノール 10% 以上の混合対応のためのインフラ整備が進んでいないことから 新たな導入目標は頭打ちの値に修正されている 出所 )EPA 資料 表 4-23 米国におけるバイオ燃料の導入目標量 バイオ燃料合計 ( 億ガロン ) 先進型合計年セルロース系バイオバイオ燃料ディーゼル (2.5) (5) (10) (181.5) 26.7(3.75) 0.33 (17.5) (205) 28.8 (55) 1.23 (30) (222.5) 36.1 (72.5) 2.30 (42.5) (240) 42.8(90) 3.11(55) (260) (110) (70) (280) (130) (85) 2020 (300) (150) (105) 2021 (330) (180) (135) 2022 (360) (210) (160) 注 ) 2017 年 ( バイオディーゼルのみ 2018 年 ) までは 2016 年 12 月に EPA が決定した最新目標 括弧内 は 2007 年のエネルギー独立安全保障法 (EISA) における目標 (2) 税制優遇 連邦政府による次世代バイオ燃料に対する税制優遇策としては表 4-23 のような施策が講 じられている 108

118 表 4-24 米国における次世代バイオ燃料に対する税制優遇策 所管省庁 施策 概要 内国歳入庁 (IRS) 再生可能ディーゼル税クレジット 再生可能ディーゼル油の生産者に対する $1/ ガロンの税クレジット セルロース系バイオ燃料生産クレジット セルロース系エタノール等の生産者に対する $1.01/ ガロンの税クレジット ( 条件付き ) セルロース系エタノール等に対する製造プラントの特別償却 セルロース系エタノール等の製造プラントに対する初年度 50% 償却 ( 制限あり ) 出所 )Study of the current incentive rules and mechanisms to promote biofuel use in the EU and their possible application to the civil aviation sector, Hazariah M. Noh, et al.(2016) (3) 生産支援 連邦政府による次世代バイオ燃料に対する生産支援策としては以下のような施策が講じ られている 表 4-23 米国における次世代バイオ燃料に対する生産支援策 所管省庁 施策 概要 農務省 (DOA) 先進型燃料バイオエネルギープログラム 先進型バイオ燃料 ( コーンスターチ以外 固形燃料や気体燃料を含む ) の生産拡大支援のための生産者への補助金支払 エネルギー省 (DOE) 多様な原料からのエタノール及び商用副産物への融資保証 セルロース材料 自治体の固形廃棄物及びサトウキビからのエタノール及び商用副産物の製造設備の建設に対する融資保証 出所 )Study of the current incentive rules and mechanisms to promote biofuel use in the EU and their possible application to the civil aviation sector, Hazariah M. Noh, et al.(2016) なお 先進型燃料バイオエネルギープログラム については セルロース系等の次世代燃料 ( 液体バイオ燃料 固体バイオ燃料 気体バイオ燃料 ) が幅広く対象となっているが コーンスターチ以外の第 1 世代バイオ燃料も対象になっていることから 2014 年時点では動植物油脂や大豆油 コーンスターチ以外のトウモロコシが大半を占める結果となり 次世代バイオ燃料への支援という当初の趣旨とは異なる形となっていた 年時点でも 木質ペレットやバイオガス原料への支払が大半を占め 液体の次世代バイオ燃料への支払実績はない 44 (4) 支援水準以上の次世代バイオ燃料に関する各種導入支援策が 従来型の第 1 世代バイオエタノールに対して どの程度の支援水準となっているのか考察した まず セルロース系等の次世代バイオ燃料には 別枠で導入目標量が設定されていることにより 事業者が導入目標達成のために獲得する必要がある RIN( クレジット ) に価格差が 43 Bioenergy Program for Advanced Biofuels Fact Sheet, TAXPAYERS for COMMON SENSE, June

119 円 /l( エタノール換算 ) 発生している これは それだけ高い価格でも販売できることにつながっており 導入支援策となっている また セルロース系バイオエタノールの生産者に対する税クレジット ($1.01/ ガロン ) が認められており 販売価格低減に寄与している この他 製造プラントの特別償却や 生産者への支払 融資保証もあるが 標準的な支援額が算出しづらく かつ 必ずしも支援策が適用されるわけではないことから 考慮の対象外とした 以上を踏まえると 第 1 世代バイオエタノールは 26.5 円 /l( ガソリンとエタノールの価格差が 通常のエタノールの RIN 価格 (D6) におおよそ反映されていると考える ) 次世代のセルロース系バイオエタノールについては 円 /l 程度 ガソリンに対して支援されていることとなる これは 次世代のセルロース系バイオエタノールが 第 1 世代バイオエタノールと比較して約 4 倍の支援を受けていることとなる 表 4-23 米国における第 1 世代 セルロース系バイオエタノールに対する支援水準 支援策 第 1 世代 セルロース系 導入目標による RIN 価格 $/ ガロン D $/ ガロン (26.5 円 /l) (75.4 円 /l) セルロース系バイオエタノール 1.01 $/ ガロン 生産クレジット (30.7 円 /l) 合計 26.5 円 /l 円 /l 出所 )OPIS Ethanol & Biodiesel information Service, November28, 2016, Volume13, Issue48 注 ) D6,D3 は RIN においてバイオ燃料の種類を表すための記号 D 税クレジット 導入目標 ガソリン 第一世代エタノール セルロース系エタノール 図 4-6 米国における第 1 世代 セルロース系バイオエタノールに対する支援水準 110

120 4.7 その他の論点 実績情報の公開 (1) 欧米の事例欧米において バイオ燃料導入制度に付随して 定期的に公開されている実績情報の種類について調査を行った なお これら以外に 制度見直しの際などに不定期に実績情報が公開されている場合がある 1) 米国 RFS 米国の連邦の導入義務制度 RFS では バイオ燃料の導入状況に対しては バイオ燃料に対して発行されるクレジット (RIN) の発生 取引 利用状況のデータとして毎月公開されている これにより 制度全体で RFS におけるクレジット燃料区分別 45 やバイオ燃料種類別に バイオ燃料の生産量等を確認することができる 個別の事業者に対しては 義務の達成状況や持続可能性に関する実績データは公表されていない なお 個別のバイオ燃料生産者は RIN 発行の認定を受ける際に 米国環境庁に GHG 排出量評価を申請する必要があるが この GHG 排出量評価の結果は公開されている RFS の義務対象者がどのようなバイオ燃料を調達したかは クレジットの燃料区分別で管理されているため それ以上の原料や原料原産国まではトレースはできない 45 セルロース系バイオ燃料 (D3) バイオディーゼル(D4) 先進バイオ燃料(D5) 再生可能燃料(D6) セルロース系ディーゼル (D7) これらの区分や導入目標には包含関係があり 例えばセルロース系バイオ燃料の RIN(D3) は再生可能燃料の目標達成に用いることができる 111

121 表 4-25 米国 RFS における情報公開の例 上表は下表に続いている 出所 ) 2) 英国 RTFO 英国では EU 指令に対応した国内制度として 燃料供給事業者 46 に対するバイオ燃料導入義務制度 RTFO(Renewable Transport Fuel Obligation) を 2005 年より運用している RTFO によるバイオ燃料導入義務の達成状況等について 年 4 回の四半期別レポートや年 1 回の年別レポート また年 1 回の最終レポート (Renewable Transport Fuel Obligation statistics) を公表している 47 その内容は表 4-26 の通りである 最終レポートにおいては バイオ燃料の原料種類や産出国といった情報や GHG 排出量削 46 年間 450kL 以上の道路輸送用燃料 移動機械燃料 ( 石油系燃料 再生可能燃料の合計 ) を供給する燃料 供給者が対象

122 減率等が 燃料供給事業者ごとに示されている ただし 燃料供給事業者ごとの調達先の州 や事業者までは公開されていない 表 4-26 英国 RTFO における情報公開状況四半期レポート 年間レポート 最終レポート 1 供給された燃料の量 2 クレジット (RTFC) 発行対象の燃料の量とクレジットの量 3 義務期間中のクレジットのバランス 4 企業種類別のクレジットの取引 5 制度全体での炭素排出 持続可能性の状況 6 制度全体での自主的認証基準活用の状況 7 燃料供給者別の導入義務達成状況 8a 燃料供給者別の原料種類 8b 燃料供給者別の原料産出国 9 燃料供給者別の持続可能な再生可能燃料の供給率 10 燃料供給者別の炭素排出 持続可能性の状況 11 制度全体での燃料供給の量と熱量 12 民事罰則や不遵守の状況 13 GHG 排出量報告義務の達成状況 出所 )RTFO Statistics 表 4-27 英国 RTFO における事業者別情報公開の例 Supplier names Barley Brown grease Corn, EC Corn, non- EC Apple Oils Limited Argent Energy (UK) Ltd - 3% - - Bio Fuels And Oils Limited Bio UK Fuels (Sheffield) Ltd BP Oil UK Limited - - 3% 5% Convert2Green Limited East Yorkshire Biofuels Ltd EF Biofuels Ltd Ensus UK Ltd a 燃料供給者別の原料種類 表 出所 )RTFO Statistics (2) 実績情報の公開のあり方バイオ燃料の導入義務達成状況や 持続可能性に関する実績の情報を随時公開することで 我が国のバイオ燃料導入政策における配慮状況を国内外に示す効果や 事業者の持続可能性への配慮を促す効果が期待される 一方で 個別の事業者の情報を示すことには 国内の類似制度の状況を見つつ慎重に検討する必要がある 情報公開が進んでいる英国の例では 個別の事業者について バイオ燃料の原料やその原産国の情報が公開されており 英国内の事業者が幅広い原料 国から調達を行っていることが把握できる 一方で 我が国のバイオ燃料調達先は現時点でごく限定されており 事業者 113

123 間で差異がなく 全体の概況を国が適宜報告していることで把握できる状態にあり 情報を公開する制度を整備するほどの意義を持たないと考えられる これらを踏まえ 我が国では 現時点では個別の事業者の情報を公開する制度を設ける意義は薄いと考えられる 一方で 石油精製業者全体としての判断基準への適合状況として バイオ燃料の利用量 持続可能性基準の達成状況などの情報を 引き続き 本研究会の報告書等において公開することが適当であると考えられる 114

124 年度以降の判断基準のあり方まとめ 冒頭に掲げた検討の論点について それぞれ結論を記す 表 年度以降の判断基準のあり方 論点 検討の論点 結論 気候変動対策やエネルギーセキュリ ティなどの政策目的の優先度をどう 定めるか バイオ燃料導入方針 目標の設定方法 安定供給の確保 持続可能性 GHG 評価 目標水準 : 他の運輸分野の地球温暖化対策との関係 バイオマス資源の他用途との関係 費用対効果などを考慮し 具体的にどの程度の水準とするか 導入対象 : バイオエタノール以外についても 導入促進を図るため 導入実績としてカウントするなどの措置を講じた方が良いか 輸入元 : バイオエタノールの調達先の多様化を検討していくべきか 基準値の設定対象 : 軽油 ジェット燃料の取り扱いをどうするか GHG 削減水準 : 見直しの必要性はあるか 見直す場合 水準をどう定めるか 算定方法 : 副産物の取り扱い 間接土地利用変化 ETBE 化工程について どのように定めるか 既定値 : ブラジル産サトウキビ由来バイオエタノールの既定値を見直すか 他のバイオ燃料についても既定値を検討するか 参考値 : どのように位置付けるか 独自算定 : どのような方法を定めるか 115 地球温暖化対策として着実に実施していくことが最優先 国内外の動向も踏まえつつ エネルギーセキュリティや産業振興等の観点から 国産の次世代バイオ燃料の技術開発を進めていくことなどにより 引き続き導入促進を図っていく 日本にとってコスト効率的な調達構造にすることを最優先の政策目的とし 調達先の多角化による導入コストの低減や 国産の次世代バイオ燃料の導入促進に取り組む 次期判断基準においては バイオエタノールのみを目標として設定する バイオジェット等については 2020 年を目途に国内外の動向を踏まえた上で 改めて位置付けを検討する 持続可能性基準を満たすことを前提に既定値や独自算定方法の整備等により導入を可能とする ガソリンに加え 軽油とジェット燃料にも基準値を設定する 次年度以降検証する 現行の基準 ( ガソリン比 50% 削減 ) を維持する 副産物はバイオ燃料との共通工程を熱量按分して評価する 間接土地利用変化は評価対象には含まない 次年度以降 副産物の扱いや ETBE 化工程の考慮の是非も含めて引き続き検討する ブラジル産サトウキビ由来エタノールの既定値を副産物を評価して見直すとともに 米国産トウモロコシ由来エタノールの既定値を設ける 直接土地利用変化について ブラジル産サトウキビ農地を多年生植物を栽培する土地とみなして値を変更する 将来的に持続可能性基準を満たす可能性が高く 導入可能性が高い実証段階の燃料種に参考値を設定する 参考値を設定されたものは持続可能性基準を満たすものとみなす 事業者の独自算定に際しては できるだけ既存の各国制度での評価結果を活用しつつ我が国独自部分には報告

125 論点 検討の論点 結論 様式等を整備して算定負荷の軽減を 図る 生物多様性 食料競合等 次世代バイオ燃料の導入 生物多様性 食料競合等 : 引き続き 事業者からの報告と国による評価を導入してはどうか その他の社会的影響 : 基準の一部として新規に設定し 事業者からの報告と国による評価を導入してはどうか 導入のための優遇策 :2 倍カウント等どのような手段が望ましいか その他 実績情報の公開 : どのような情報を公 開すべきか 生物多様性 食料競合等については引き続き 事業者からの報告を求めるとともに国が定期的に評価して必要に応じて措置を講ずる また次世代バイオ燃料の導入を促進する その他の環境 社会影響については将来的に基準化を検討することも考えられる 当面の間 数倍カウント程度の導入促進策を検討する 個別の事業者の情報を公開する制度を設けず 石油精製業者全体の状況を国がまとめて公開する 116

126 4.9 参考資料 化石燃料の GHG 排出量 ( 基準値 ) の計算化石燃料の GHG 排出量の計算にあたり 計算方法に関する基本的な考え方は 現行の判断基準と同様とする 現行の判断基準において 化石燃料の GHG 排出量の基準値にカウントしているのは 原油生産 原油輸送 化石燃料製造 化石燃料燃焼の各プロセスにおいて排出される CO 2 である また 日本国内での化石燃料輸送や給油のプロセスにおいて排出される CO 2 は 使用場所 使用方法によって排出量が異なることから カウントの対象外としている (1) ガソリン GHG 排出量の計算式は以下のとおりである GHG 排出量 ( 単位発熱量あたり )(gco 2 /MJ)=1+2 1 原油生産 ~ガソリン製造時の CO 2 排出量 ( 単位発熱量あたり ) (gco 2 /MJ) = ( ガソリン 1L あたりの ) 原油生産 ~ガソリン製造時の CO 2 排出量 (gco 2 /L) ( ガソリン 1L あたりの ) 発熱量 (MJ/L) 2ガソリン燃焼時の CO 2 排出量 ( 単位発熱量あたり ) (gco 2 /MJ) ガソリンの発熱量 ガソリンの燃焼時の CO 2 排出量 については 現行の判断基準の策定時から 原油の産出地域 形態別の構成比の変化や 製品規格 仕様別の需給構成比の変化などがあったことを踏まえ 最新のデータに更新した 一方 ガソリン 1L あたりの原油生産 ~ガソリン製造時の CO 2 排出量 に関するデータは 現行の判断基準では 石油産業活性化センター (PEC) 石油製品油種別 LCI 作成と石油製品環境影響評価調査報告書 ( 平成 12 年 3 月 ) のデータが用いられているが 現時点でアップデートが行われていない状況であることから ひとまず既存値を採用することとした なお 石油産業活性化センターの文献では 原油生産 原油輸送時の CO 2 排出の石油製品別への配分を 体積あたりの排出が等しくなるように行っている 一方 後述の軽油 ジェット燃料についての評価を行う際に 石油製品種類別の熱量あたりの評価結果に差を生じさせないよう 原油生産 原油輸送時の CO 2 の石油製品への配分を 熱量あたりの排出が等しくなるように修正した 上記を踏まえて ガソリンの GHG 排出量を新たに計算すると 表 4-29 のとおり 83.5(gCO 2 /MJ) となった 117

127 表 4-29 ガソリンの GHG 排出量試算値 [gco 2 /MJ] ガソリン ( 現行 ) ガソリン ( 見直し後 ) 原油生産 原油輸送 製品製造 燃焼 合計 (2) ガソリン以外の燃料種ガソリンと同じ GHG 排出量の算定方法を用い 石油産業活性化センターの評価結果と最新の発熱量 排出係数に基づいて 軽油 ジェット燃料の GHG 排出量を計算すると 表 4-30 のとおりとなった 表 4-30 軽油 ジェット燃料の GHG 排出量試算値 [gco 2 /MJ] 軽油 ジェット燃料 原油生産 原油輸送 製品製造 燃焼 合計

128 4.9.2 バイオエタノールの GHG 排出量の既定値の計算 ( 土地利用変化以外 ) (1) エタノール製造プロセスの分解 1) ブラジル産サトウキビ由来エタノールブラジル産サトウキビ由来エタノールの製造工程を図 4-7 に示す ブラジル産サトウキビ由来エタノールは サトウキビ搾汁において湿潤バガスが発生し 乾燥後 多くは発電 熱発生に用いられ 一部はバガスとして外販される 発生した電力の一部はサトウキビ搾汁のための動力として用いられ 電力の一部と熱の一部は発酵等のエタノール独自工程に用いられる さらに 余剰の電力は副産物として外部に販売される なお エタノール製造プラントはほとんどの場合 外部からエネルギー供給を受けていない エタノール製造プロセスにおけるエネルギーフローは 各種文献から図 4-8 のとおり推計され これをもとにエタノール製造プラントのエネルギー消費起源 GHG 排出量の分解を行った結果を表 4-31 に示す エタノール製造プラントのエネルギー消費の大部分は エタノール独自工程が占めている なお 発酵に用いる化学物質投入起源の GHG 排出量は エタノール独自工程における GHG 排出である 共通工程 エタノール製造プラント サトウキビ汁 エタノール独自工程 サトウキビ栽培 サトウキビ収集 サトウキビ搾汁 発酵 蒸留 脱水 エタノール輸送 湿潤バガス 熱 電力発生 熱 電力発生 余剰電力発生 余剰バガス発生 副産物独自工程 プラントに複数の発電設備があるわけではないが ここでは工程ごとに分けて示した 図 4-7 ブラジル産サトウキビ由来エタノールの製造工程 119

129 工程 表 4-31 ブラジル産サトウキビ由来エタノール製造プラントのエネルギー消費起源 GHG 排出量の分解サトウキビ 1t 処理あたり 分類 電力消費 [kwh] 熱消費 [MJ] 一次エネル ギー換算 [MJ] 構成比 GHG 排出量 [gco 2 eq/mj] サトウキビ搾汁共通工程 % 0.25 エタノール製造エタノール独自工程 14 1,270 1, % 1.57 余剰電力発生副産物独自工程 % 0.15 余剰バガス発生副産物独自工程 % 0.20 合計 2, % 2.16 サトウキビ 1t cane 16.9 バガス 2111MJ *1 余剰バガス 194MJ *2 搾汁 1917MJ 1270MJ 蒸気発生効率 96% *3 エタノール製造 570MJ 蒸気 1840MJ 16kWh *2 発電効率 25% *3 14kWh *2 電力 39.6kWh エタノール 86.3L *2 余剰電力 9.6kWh *2 図 4-8 ブラジル産サトウキビ由来エタノール製造プロセスのエネルギーフロー *1 Michael Wang et al,. Well-to-Wheels Energy Use and Greenhouse Gas Emissions of Brazilian Sugarcane Ethanol Production Simulated by Using the GREET Model, 2007 *2 I. C. Macedo et al,, Green house gases emissions in the production and use of ethanol from sugarcane in Brazil: The 2005/2006 averages and a prediction for 2020, 2008 ( サトウキビ研究センター (CTC) の 2005/2006 年データ ) *3 エネルギーバランスが整合するよう 他の数値からの逆算にて推定 120

130 2) 米国産トウモロコシ由来エタノール米国産トウモロコシ由来エタノールの製造工程を図 4-9 に示す 米国産トウモロコシ由来エタノールは 蒸留工程において蒸留廃液 ( ホールスチレージ ) が発生し 蒸留粕や粗トウモロコシ油製造に用いられる 共通工程 エタノール製造プラント 蒸留後エタノール エタノール独自工程 トウモロコシ栽培 トウモロコシ収集 前処理 糖化 発酵 蒸留 脱水 エタノール輸送 蒸留廃液 排熱回収 蒸留粕製造 粗トウモロコシ油製造 共通工程 or 副産物独自工程 図 4-9 米国産トウモロコシ由来エタノールの製造工程文献値に基づき エタノール製造プラントのエネルギー消費起源 GHG 排出量の分解を行った結果を表 4-33 に示す これは ミネソタ州 14 工場とウィスコンシン州 1 工場の合計 15 工場の平均値である なお ミネソタ州における副産物製造は 表 4-32 に示すとおり DDGS と粗トウモロコシ油のみであり 主産物であるエタノールに対する各副産物の生産量比率が全米平均に比較して特に大きいわけではない しかしながら 今回用いるデータの一般性については引き続き検証する必要があるため ここで示した値は暫定値とする 表 4-32 米国 ミネソタ州におけるエタノール 副産物製造 (2015 年 ) エタノール / 副産物全米ミネソタ州 エタノール ( 億ガロン ) 副産物 Distillers dried grains with solubles(ddgs) ( 百万トン ) Distillers wet grains (DWG) ( 百万トン ) Distillers dried grains (DDG) ( 百万トン ) Modified distillers wet grains (DWG) ( 百万トン ) Condensed distillers solubles (CDS - syrup) ( 百万トン ) Corn oil( 百万トン ) CO 2 (t-co 2 ) 2,491,983 - 出所 )USDA Grain Crushings and Co-Products Production, Minnesta Bio-fuels Association 121

131 一方で 蒸留粕製造 粗トウモロコシ油製造の工程 ( 副産物の製造工程 ) から排熱を回収し 発酵 蒸留等の 共通工程 に用いている場合が多い 副産物の製造工程からの排熱回収量は 共通工程 への全投入エネルギーに対して 10% に満たないと見込まれるため 副産物の製造工程を 副産物独自工程 とみなす考え方もできるが 工程が切り分けられないことから副産物の製造工程を 共通工程 と見なす考え方もできる なお 発酵に用いる化学物質投入起源の GHG 排出量は 共通工程 における GHG 排出である 表 4-33 米国産トウモロコシ由来エタノール製造プラントの GHG 排出量の分解蒸留粕製造 粗トウモロコシ油製造の工程を 副産物独自工程 と見なした場合 工程分類エネルギー消費構成 GHG 排出量 [gco 2 eq/mj] 電力熱電力天然ガス合計 原料前処理共通工程 13% 0% デンプンの糖化共通工程 5% 17% 発酵共通工程 9% 0% 蒸留共通工程 1% 40% エタノール脱水エタノール独自工程 0% 1% 遠心分離 蒸発副産物独自工程 36% 0% 濃縮 乾燥副産物独自工程 36% 43% 合計 集計共通工程 28% 57% エタノール独自工程 0% 1% 副産物独自工程 71% 43% 出所 )Minnesota Technical Assistance Program, Ethanol Benchmarking and Best Practices, March 2008 表 4-34 米国産トウモロコシ由来エタノール製造プラントの GHG 排出量の分解蒸留粕製造 粗トウモロコシ油製造の工程を 共通工程 と見なした場合 工程分類エネルギー消費構成 GHG 排出量 [gco 2 eq/mj] 電力熱電力天然ガス合計 原料前処理共通工程 13% 0% デンプンの糖化共通工程 5% 17% 発酵共通工程 9% 0% 蒸留共通工程 1% 40% エタノール脱水エタノール独自工程 0% 1% 遠心分離 蒸発共通工程 36% 0% 濃縮 乾燥共通工程 36% 43% 合計 集計共通工程 100% 99% エタノール独自工程 0% 1% 副産物独自工程 0% 0% 出所 )Minnesota Technical Assistance Program, Ethanol Benchmarking and Best Practices, March

132 (2) それぞれの按分方法による GHG 排出量の計算結果 1) 評価の方法 a. ブラジル産サトウキビ由来エタノール 熱量按分法では エタノールへの按分係数は表 4-35 より 98%(=21.2/21.6) となる 表 4-35 ブラジル産サトウキビ由来エタノールの熱量按分に関するデータ 主産物 / 副産物 エタノール 1L に対する発生量 熱量 総熱量 エタノール 1L 21.2MJ/L 21.2MJ 電力 0.124kWh 3.6MJ/kWh 0.446MJ 合計 21.6MJ 価格按分法では エタノールへの按分係数は 表 4-36 より 98%(=0.463/0.472) とな る この係数は 熱量按分法とほぼ同じである 主産物 / 副産物 表 4-36 ブラジル産サトウキビ由来エタノールの価格按分に関するデータ エタノール 1L に対する発生量 価格価格出典価値 エタノール 1L 0.463$/L Esalq 48, 2015/4~2016/3 平均 0.463$ 電力 0.124kWh 0.073$/kWh ブラジルの電力入札における バイオマス発電の上限値 1 レアル =0.29US$ で換算 $ 合計 0.472$ 代替法では 副産物として電力を評価する この電力は ブラジルの平均の電源構成によ る電力を代替するものとして 排出係数は 0.293kgCO 2 /kwh 49 として試算する 48 ブラジル サンパウロ大学農学部が調査 公表するエタノールの価格データ 49 公益財団法人地球環境戦略研究機関 (IGES) グリッド排出係数一覧表 ただしこれはライフサイクル を考慮した排出係数ではない 123

133 b. 米国産トウモロコシ由来エタノール 熱量按分法では エタノールへの按分係数は 表 4-37 より 66%(=21.2/32.4) となる 主産物 / 副産物 表 4-37 米国産トウモロコシ由来エタノールの熱量按分に関するデータ エタノール 1L に対する発生量 熱量熱量出典総熱量 エタノール 1L 21.2MJ/L 21.2MJ DGS 粗トウモロコシ油 0.663kg/L ( 含水率 10%) 16.0MJ/kg The BioGrace GHG calculation tool* における DGS の発熱量標準値 0.014kg/L 36.0MJ/kg The BioGrace GHG calculation tool* における 粗植物油の発熱量標準値 10.6MJ 0.51MJ 合計 32.4MJ * The BioGrace GHG calculation tool は EU 指令に準拠した計算ツールで 計算に使用する標準的な原単 位 熱量等のデータベースを備えている 重量按分法では エタノールへの按分係数は 表 4-38 より 56%(=0.792/1.403) とな る 表 4-38 米国産トウモロコシ由来エタノールの重量按分に関するデータ 主産物 / 副産物 エタノール 1L に対する発生量 有用物重量 総重量 エタノール 1L 0.792kg/L 0.792kg DGS 0.663kg/L ( 含水率 10%) 0.9 kg/kg ( 絶乾重量 ) 0.597kg トウモロコシ油 0.014kg/L 1kg/kg 0.014kg 合計 1.403kg 価格按分法では エタノールへの按分係数は 表 4-39 より 81%(=0.396/0.491) とな る 主産物 / 副産物 表 4-39 米国産トウモロコシ由来エタノールの価格按分に関するデータ エタノール 1L に対する発生量 価格価格出典価値 エタノール 1L 0.396$/L USDA Daily Ethanol Report, 2015~2016 の平均的価格 DGS トウモロコシ油 0.663kg/L ( 含水率 10%) 0.396$ 0.13$/kg 同上 0.086$ 0.014kg/L 0.57$/kg USDA Daily Ethanol Report, 12 月価格 ( 過去不明 ) 0.008$ 合計 0.491$ 124

134 代替法では 副産物として 蒸留粕を評価する 蒸留粕は 米国の家畜飼料として一般的な トウモロコシ 大豆粕 尿素を一定の割合で代替するものとする 粗トウモロコシ油は これを原料としてバイオディーゼルが製造されているが これによる GHG 削減効果を トウモロコシ由来エタノールとトウモロコシ油由来バイオディーゼルのいずれに計上すべきかは定まっていない ここではトウモロコシ由来エタノール側には計上せずに計算を行う 2) 評価結果 a. ブラジル産サトウキビ由来エタノール 表 4-40 ブラジル産サトウキビ由来エタノールの GHG 排出量評価 [gco 2 eq/mj] 現行 見直し後熱量按分法 ( 参考 ) 価格按分法 ( 参考 ) 代替法 原料栽培化学物質製造 土壌 ( 施肥 ) 火入れ 機械 原料収集 エタノール製造 エタノール輸送 バイオマス焼却 化学物質等投入 エネルギー消費 副産物 上流工程の排出を按分 -1.5 生産国内 国際 合計 ブラジルからの輸送は 実際に行われているエタノールの移動 ( 米国での ETBE 化 ) を反映し 米国経 由のルートを想定 125

135 b. 米国産トウモロコシ由来エタノール 表 4-39 米国産トウモロコシ由来エタノールの GHG 排出量評価 [gco 2 eq/mj] 蒸留粕製造 粗トウモロコシ油製造の工程を 副産物独自工程 と見なした場合 熱量按分法 ( 参考 ) 重量按分法 ( 参考 ) 価格按分法 ( 参考 ) 代替法 原料栽培化学物質製造 土壌 ( 施肥 ) 火入れ該当プロセスなし 機械 原料収集 エタノール製造 エタノール輸送 バイオマス焼却 化学物質等投入 エネルギー消費 副産物 ( 蒸留粕 ) -9.9 副産物 ( 粗トウモロコ上流工程の排出を按分シ油 ) 考慮しない 生産国内 国際 合計 表 4-41 米国産トウモロコシ由来エタノールの GHG 排出量評価 [gco 2 eq/mj] 蒸留粕製造 粗トウモロコシ油製造の工程を 共通工程 と見なした場合 熱量按分法 ( 参考 ) 重量按分法 ( 参考 ) 価格按分法 ( 参考 ) 代替法 原料栽培化学物質製造 土壌 ( 施肥 ) 火入れ 該当プロセスなし 機械 原料収集 エタノール製造 エタノール輸送 バイオマス焼却 化学物質等投入 エネルギー消費 副産物 ( 蒸留粕 ) -9.9 副産物 ( 粗トウモロコ上流工程の排出を按分シ油 ) 考慮しない 生産国内 国際 合計

136 (3) バックデータ一覧 表 4-42 ブラジル産サトウキビ由来エタノールの GHG 排出量の既定値設定のための 原料栽培 バックデータ一覧 判断基準算定式現行見直し後種類投入 発生量排出係数種類投入 発生量排出係数 エネルギー ディーゼル燃料 68L/ha 3.42kgCO 2/L ディーゼル 燃料 68L/ha 3.42kgCO 2/L 肥料 尿素 60kg/ha 3.97kgCO 2/kg 尿素 60kg/ha 3.97kgCO 2/kg MAP 25kg/ha 1.3 kgco 2/kg MAP 25kg/ha 1.3 kgco 2/kg K 肥料 37kg/ha 0.71 kgco 2/kg K 肥料 37kg/ha 0.71 kgco 2/kg 蒸留残渣 107.8m 3 /ha 0( 副産物利用 ) 蒸留残渣 107.8m 3 /ha 0( 副産物利用 ) フィルタケーキ 1.5t/ha 0( 副産物利用 ) フィルタケ ーキ 1.5t/ha 0( 副産物利用 ) 化学物質 石灰 316.7kg/ha 0.01 kgco 2/kg 石灰 316.7kg/ha 0.01 kgco 2/kg 除草剤 2.2kg/ha 25 kgco 2/kg 除草剤 2.2kg/ha 25 kgco 2/kg 殺虫剤 0.16kg/ha 29 kgco 2/kg 殺虫剤 0.16kg/ha 29 kgco 2/kg 有機物の発酵に伴う CH4 該当なし 該当なし 肥料製造 施肥に伴う CO 2 N2O 尿素 60kg/ha kgN/kg 尿素 60kg/ha kgN/kg MAP 25kg/ha kgn/kg MAP 25kg/ha kgn/kg 蒸留残渣 107.8m 3 /ha kgn/m 3 蒸留残渣 107.8m 3 /ha kgn/m 3 原料収集 バイオマスの燃焼に伴う N2O CH4 CO 2 回収 隔離 置換エネルギー フィルタケーキ 1.5t/ha 0.153kgN/t フィルタケ ーキ 1.5t/ha 0.153kgN/t 石灰 316.7kg/ha 0.13kgC/kg 石灰 316.7kg/ha 0.13kgC/kg 葉焼却量 140kg/t-cane 葉焼却量 140kg/t-cane 火入れ率 kgco 2eq/kg 火入れ率 kgco 2eq/kg 50% 50% 該当なし 該当なし ディーゼル燃料 0.816L/t-cane 3.42kgCO 2/L ディーゼル 燃料 0.816L/t-cane 3.42kgCO 2/L 燃料製造 エネルギー該当なし該当なし 廃棄物処理該当なし該当なし 燃料輸送 化学物質各種合計 222.9kJ/L 95gCO 2/kJ 各種合計 222.9kJ/L 95gCO 2/kJ バイオマスの燃焼に伴う N2O CH4 CO 2 回収 隔離 置換 生産国内輸送エネルギー 国際輸送エネルギー バガス 該当なし ディーゼル燃料 重油 2111MJ/t 利用率 91.4% kgco 2eq/MJ バガス 該当なし 2111MJ/t 利用率 97% kgco 2eq/MJ 32.5L/t 3.42kgCO 2/L ディーゼル 32.5L/t 3.42kgCO 2/L 2976MJ/t ( 輸送距離 24000km) 副産物 バガス ( 評価して いない ) 87.3gCO 2/MJ 重油 2976MJ/t ( 輸送距離 24000km) バガスによる余剰電力 10.7kWh/t-ca ne 87.3gCO 2/MJ 0.293kgCO 2/kWh 127

137 表 4-43 米国産トウモロコシ由来エタノールの GHG 排出量の既定値設定のための 原料栽培 原料収集 燃料製造 燃料輸送 副産物 バックデータ一覧 判断基準算定式 エネルギー 肥料 化学物質 有機物の発酵に伴う CH4 米国産トウモロコシ由来エタノール 種類 投入 発生量 排出係数 ディーゼル燃料 196.5MJ/t 91.1gCO 2 /MJ ガソリン 58.7MJ/t 77.6gCO 2 /MJ 天然ガス 54.1MJ/t 60.9gCO 2 /MJ LPG 71.6 MJ/t 73.0 gco 2 /MJ 電力 18.3MJ/t 173.9gCO 2 /MJ 尿素 16.7kg/t 4.63gCO 2 eq/g P 肥料 5,7kg/t 1.79gCO 2 eq/g K 肥料 6.0 kg/t 0.68 gco 2 eq/g 石灰 45.3kg/t gco 2 eq/g 除草剤 0.3kg/t 21.0 gco 2 eq/g 殺虫剤 0.002kg/t 24.5 gco 2 eq/g 該当なし 肥料製造 施肥に伴う 尿素 16.7kg/t 7.11gCO 2 eq/g CO 2 N2O 石灰 45.3kg/t 0.22 gco 2 eq/g バイオマスの燃焼に伴う N2O CH4 該当なし CO 2 回収 隔離 置換 該当なし エネルギー ディーゼル燃料等 186MJ/t 91.8gCO 2 /MJ エネルギー 天然ガス 6.8MJ/L 68.2gCO 2 /MJ 電力 0.7 MJ/L 182.4gCO 2 /MJ 廃棄物処理 該当なし αアミラーゼ 0.67g/L 1.63gCO 2 /g 化学物質 グルコアミラーゼ 1.45 g/l 7.51 gco 2 /g 酵母 0.73 g/l 2.76 gco 2 /g バイオマスの燃焼に伴う N2O CH4 該当なし CO 2 回収 隔離 置換 該当なし 生産国内輸送エネルギー ディーゼル燃料 784MJ/t 91.8gCO 2 /MJ 国際輸送エネルギー 重油 992 MJ/t 87.3gCO 2 /MJ 蒸留粕 0.6dry-kg/L 16.5gCO 2 /dry-kg 0.018kg/kg-corn 77.0gCO 2 /MJ 粗トウモロコシ ( バイオディーゼル換 ( バイオディーゼ 油 算 ル製造時の GHG 592MJ/t-corn) 排出考慮後 ) 出所 ) 原料栽培 原料収集 燃料輸送 ( 生産国内 ) の投入 発生量と燃料製造 副産物の排出係数は Ca-GREET-2.0 燃料製造 副産物の投入 発生量はイリノイ大学調査による Dry Mill プロセスの平均値 表 4-44 計算に用いる単位換算のための係数 単位換算のための係数 ブラジル産サトウキビ由来エタノール 米国産トウモロコシ由来エタノール 単収 72.6t/ha - エタノール収率 86.3L/t-cane 420L/t-corn エタノール発熱量 21.2MJ/L 128

138 4.9.3 バイオエタノールの GHG 排出量の既定値の計算 ( 直接土地利用変化 ) (1) ブラジル産サトウキビ 1) サトウキビ農地の炭素ストック実測データ a. 欧州委員会傘下の研究機関における見解高度化法策定時に参照した欧州の事例を調査したところ 欧州再生可能エネルギー指令は 2015 年 7 月に改正されているが 新たなガイドラインにおいても サトウキビの取り扱い ( 多年生か単年生か ) は示されておらず 土地利用変化を起こした事業者が報告する際に いずれの値を用いるのかを判断することとなっている そのため 草地からサトウキビ農地に転換した場合の炭素ストックの変化について 制度上は何ら定めをもっていない 欧州で GHG 排出量の算定方法を検討している欧州委員会傘下の研究機関 Joint Research Institute (JRC) が発表した文書 (JRC (2011) Technical Note Estimate of GHG emissions from global land use change scenarios ) においては 以下のような見解が示された Winrock International や FAO といった国際機関は サトウキビの土壌中の炭素ストックを算定する際に 多年生の値を使っている 欧州委員会は 間接土地利用変化に関するコンサルテーションを実施した際に ブラジルさとうきび産業協会 (UNICA) よりサトウキビは炭素ストック量の多い 半多年生 (semi perennial crop) であるとの意見を受けた ただし IPCC ガイドライン上には 半多年生 の区分はないため ( 一般的には ) 多年生と考慮されることが多い また 土壌中の炭素ストックには 生産方法が大きく影響する もしもサトウキビを収穫する前に火入れが行われていれば 炭素ストックは大きく減少する しかし ブラジルの専門家との意見交換の結果及び最近の文献を踏まえると 火入れは現在なくなりつつあることから 炭素ストックへの影響は考慮しなくても良いと考えられる 129

139 b. 学術論文データベースの検索 また 学術論文データベースにおいて 関連する文献の検索を実施した 使用したデータベース :SienceDirect( 検索条件 : 表題 要旨 キーワードのいずれかに Brazil, sugarcane, carbon, soil を全て含む Journal 2007 年以降に出版されたもの ( 過去 10 年 ) 検索日 :2017 年 1 月抽出された 29 件のうち サトウキビへの土地利用変化に伴う土壌炭素ストック変化が記述されている文献を 6 件抽出し 概要を以下にまとめた また 各文献における結果を示した図表を図 4-10~ 図 4-13 及び表 4-46 表 4-47 に示した 表 4-45 SienceDirect における検索の結果抽出された文献及びその概要 文献名 結果の概要 ( 略称の凡例は下記 ) 図表 1. Assessing labile organic carbon in soils undergoing land use change in Brazil: A comparison of approaches, D.M.d.S. Oliveira et al. / Ecological Indicators 72 (2017) SC の土壌炭素ストックについて NV より少ないが PA と同等かそれ以上である 図 Soil carbon changes in areas undergoing expansion of sugarcane into pastures in south-central Brazil, D.M.S. Oliveira et al. / Agriculture, Ecosystems and Environment 228 (2016) Greenhouse gas balance from cultivation and direct land use change of recently established sugarcane (Saccharum officinarum) plantation in south-central Brazil, R. de Oliveira Bordonal et al. / Renewable and Sustainable Energy Reviews 52 (2015) Molecular characterization of soil organic matter from native vegetation pasture sugarcane transitions in Brazil, D.M.S. Oliveira et al. / Science of the Total Environment (2016) Soil carbon, nitrogen and phosphorus changes under sugarcane expansion in Brazil, A.L.C. Franco et al. / Science of the Total Environment (2015) Soil carbon stocks under burned and unburned sugarcane in Brazil, M.V. Galdos et al. / Geoderma 153 (2009) SC の土壌炭素ストックについて PA と同等かそれ以上である SC の土壌炭素ストック (CO 2 換算 ) について 施肥や火入れによる N2O 発生も考慮すると PA より減少していく傾向がある 他の文献とシステム境界が異なる SC の土壌炭素ストックについて NV より少ないが PA と同等かそれ以上である SC の土壌炭素ストックについて NV より少ない また 測定した 3 地点中 2 地点では PA と同等かそれ以上である それ以外の 1 地点では火入れを実施しており PA より少ない SC の土壌炭素ストックについて 火入れ無しであれば 従来の植生 (Native Forest) と同等である 火入れを実施すると 同等かそれ以下である 図 4-11 エラー! 参照元が見つかりません 図 4-12 表 4-46 表 4-47 図

140 凡例 )NV: Native vegetation( 自然植生 ), PA: Pasture( 草地 ), SC: Sugarcane( サトウキビ栽培 ) Fig. Carbon Management Index assessed by different methodologies Blair et al. (1995) (Bl); Shang and Tiessen (1997) (Sg); Chan et al. (2001) (Cn); Diekow et al. (2005)(Dk); alternative methodology (Al) at four depths (0 0.1, , , m) in soils of sites under different land uses in south-central Brazil. 図 4-10 サトウキビ農地の炭素ストックデータ ( 文献 1) 131

141 サトウキビ生産地域として代表的な 3 地点 (Lat_17S, 21S, 23S) について 9 か所の測定ポイントの測定結果の平均値と標準偏差を示し Regional は 3 地点をまとめて 3 地点を含む地域の平均としての値を示している 0-1.0m までの全体 ( 図の下部 ) で見ると いずれの地域でも Pasture( 牧草地 ) から Sugarcane ( サトウキビ農地 ) への転換で炭素ストックが増加したという結果となっている なお IPCC ガイドライン (2006) によると 牧草地は Grassland( 草地 ) の一種と捉えられている 図 4-11 サトウキビ農地の炭素ストックデータ ( 文献 2) 出所 :D.M.S. Oliveira et al. / Agriculture, Ecosystems and Environment 228 (2016)

142 Fig. Balance of emissions or sinks (inmgco 2 eq ha_1) from biomass (CO 2 C) and soil (CO 2 C andn2o N) after a 20-year period, due to dluc from agriculture, pasture, citrus, plantation forest and natural forest to sugarcane during in south-central Brazil. 土壌からの GHG 排出ということで施肥や火入れによる N2O 発生も考慮しているため 土壌の炭素ストックのみのデータでは無く 他の文献とシステム境界が異なることに留意が 必要である 図 4-12 サトウキビ農地の炭素ストックデータ ( 文献 3) 133

143 表 4-46 サトウキビ農地の炭素ストックデータ ( 文献 4) Table. Total organic carbon (TOC), total nitrogen (TN) and isotopic composition (δ13c and δ15n) of bulk soil in areas under different land uses in south-central Brazil. NV: native vegetation; PA: pasture; SG: sugarcane. n=9 and n=27, to sites and to regional, respectively. Letters represent statistically significant differences between land uses in the regional scale (considering each site as a block), according the Tukey test (5%). a Standard deviation. 134

144 表 4-47 サトウキビ農地の炭素ストックデータ ( 文献 5) Table. Contents of soil organic carbon, nitrogen, plant- and microbe-available phosphorus (P-lab), and biological P-lab in the 0 10, 10 20, and cm soil layers under native vegetation (NV), pasture (PA), and sugarcane crop (SC). Standard error of themean is presented in parenthesis. Letters represent statistically significant differences between land uses according the Scott Knott test. a Lat_17S, Southwestern region of Goiás state ( S, W); Lat_21S,West region of São Paulo state ( S, W); Lat_23S, South region of São Paulo state ( S, W). Lat_23S では 1990 年から 2003 年まで火入れを実施しているため SC での炭素ストック減少が見られるものと考えられる 135

145 Fig. Soil carbon stocks (0 20 cm) in the native forest and sugarcane areas with 2, 6 and 8 years after replanting, with and without density correction. The star indicates statistical difference at 5% of significance between burned and unburned treatments. Standard errors are represented by the vertical lines on the bars. 図 4-13 サトウキビ農地の炭素ストックデータ ( 文献 6) c. 文献調査結果の考察及び関連情報について b. で示した文献では 土壌炭素ストックについて 1 牧草地とサトウキビ栽培との比較 2 火入れの有無の比較を実施した例があった 1について ブラジルにおいては 管理された牧草地より自然の草地の方が広いが ZAE 制度に基づき 自生植物地区でのサトウキビ栽培の拡張を禁止していることから 土地利用変化は 管理された牧草地からの変化となる したがって 牧草地とサトウキビ栽培を比較することは妥当と考えられる 2について ZAE 制度では収穫前の焼畑を 2017 年までに全廃することを政策として掲げている 焼畑とは 収穫前に畑全体を焼き 茎以外の余分な梢頭部や葉を取り除いて収穫するという伝統的な農業技法である この技法は サトウキビの梢頭部や葉を切り落とす労力等を削減して収穫を容易にする利点がある一方で GHG 排出量を増加させるという問題点を抱えている そのため GHG 排出量抑制の観点から サトウキビ栽培地域での焼畑は段階的に禁止となり 代わりに機械化による収穫が推奨されている なお ZAE 制度により認可されたサトウキビ栽培可能地域は 勾配が 12% 未満で機械の導入が可能な地域であり 収穫面積の拡大を行っても焼畑による GHG 排出量の増加には結び付かないように配慮されている 以下の図 2-9 ではサンパウロ州における収穫方法の推移を示している 以前は収穫前の焼畑が多く行われていたのに対し 近年ではかなりの地域で収穫が機械化されていることがわかる サンパウロ州は州条例で 2014 年以降は焼畑を全面禁止とする政策を打ち出してい 136

146 たため 機械化への移行が急速に進められたが ZAE 制度においても 2017 年以降の焼畑の 禁止が定められたため 他州でも同様の動きがみられると考えられる 機械収穫 図 4-14 サンパウロ州における焼畑収穫率の推移出所 )CETESB( サンパウロ州環境局 ) のデータを基に作成以上の考察を踏まえると 以下のようにまとめることができる 機械的な文献抽出によって得られた文献のデータによると サトウキビ栽培における土壌炭素ストックが牧草地と比べて多い傾向にある 火入れがある場合には サトウキビ栽培における土壌炭素ストックが牧草地を下回るケースも有り得るが 火入れの実施率はサンパウロ州で 20% 以下と減少してきているとともに ZAE 制度において 2017 年度以降のブラジル国内での焼畑収穫が禁止となる また自然の草地からサトウキビ畑への転換においては 土壌炭素ストックの減少が見られたが ZAE 制度の下 自然の草地へのサトウキビ畑の拡張を禁止している したがって 現在では 牧草地からサトウキビ畑への転換となるため 土壌炭素ストックは同程度以上になっていると考えられる 137

147 2) 既定値における土地利用変化起源 GHG 排出の計算 a. 前提条件 表 4-48 ブラジル産サトウキビ栽培可能地とサトウキビ栽培の前提条件ブラジル気候区分 (*1) Tropical, wet 土壌 (*2) サトウキビ作物種類多年生 耕起状態 投入量 収率 Low activity clay soils Reduced tillage( 通常完全に土壌を掘り起こすことのな い浅い耕起状態であり 植え付け時に残渣によって土壌 表面の 3 割以上が覆われている状態 ) Medium サトウキビ単収 71.6t/ha エタノール収率 0.08m3/t(80l/ha) エタノール発熱量 21.3MJ/l 草地管理状態 Normally managed( 劣化していない持続的草地 ) 投入量 Medium( 人工的な追加施肥のない草地 ) 森林種類 Tropical rain forest 原生林 樹冠率 30% より大きい (*1 気候区分 ) (*2 土壌 ) 2= Tropical wet, 3=Topical moist, 6=High Activity Clay Soils, 4= Tropical dry 7=Low Activity Clay Soils 138

148 b. 計算式 (1) 農地からサトウキビへの転換従前の農地で栽培されていた作物が多年生作物の場合でも 単年生作物の場合でも 土地利用変化に起因する GHG 排出量は ゼロとみなす (2) 草地からサトウキビへの転換 土地に含まれる炭素量の算定式 CS i (t-c)= (SOC + C VEG ) A CS i : 土地利用 i にかかる炭素ストック量 (t-c/ha) SOC: 土壌に含まれる有機炭素量 (Soil Organic Carbon)( t-c/ha) SOC=SOC ST F LU F MG F I SOC ST : 土壌表面 0-30cm に含まれる標準的な有機炭素量 (standard soil organic carbon)( t-c/ha) F LU : 土地利用係数 (land use factor) F MG : 土地管理係数 (land management factor) F I : 肥料投入量係数 (input factor) C VEG : 植物に含まれる地上 地下の炭素量 (Vegetation Carbon Stock)( t-c/ha) C VEG =C BM + C DOM C BM : 生きたバイオマスに含まれる地上 地下の炭素量 (t-c/ha) C DOM : 死んだ有機体に含まれる地上 地下の炭素量 (t-c/ha) 樹冠率 30% 以上の森林を除き ゼロと想定 A: 面積 土地利用変化による排出量 e l (gco 2 )=(CS R -CS A ) /20 1/P -e B CS R : 土地利用変化前 (2008 年 1 月 1 日か バイオ燃料原料が収穫された時点から 20 年前のどちらか 遅い方 ) の炭素ストック量 (t-c/ha) CS A : 土地利用変化後の炭素ストック量 3,664:t-C(TJ) から gco 2 (MJ) に換算するための値 1/20:20 年間で按分するための値 1/P: 面積 (ha) あたりから燃料 (MJ) あたりに換算するための値 e B :29gCO 2 /MJ 荒廃地でバイオ燃料を栽培する場合に与えられるボーナス 1 草地に含まれる炭素ストック量 CS grassland =SOC + C VEG = = 68.1 t-c/ha SOC=SOC ST F LU F MG F I = =

149 2 サトウキビ畑に含まれる炭素ストック量 CS sugar cane =SOC + C VEG = = 74.0 t-c/ha SOC=SOC ST F LU F MG F I = = 69 3 草地からサトウキビへの転換による CO 2 排出量 ( 排出量は 20 年間で按分 ) ( ) 1,000,000 44/12 1/20 1/( )=-8.9 gco 2 /MJ t g C CO 2 20 年按分 ha MJ あたりに換算 (3) 森林からサトウキビへの転換 1 森林に含まれる炭素ストック量 CS tropical rain forest =SOC + C VEG = = t-c/ha SOC=SOC ST F LU = 60 1 = 60 2 サトウキビ畑に含まれる炭素ストック量 ( 同上 ) 74.0 t-c/ha 3 森林からサトウキビへの転換による CO 2 排出量 ( 排出量は 20 年間で按分 ) ( ) 1,000,000 44/12 1/20 1/( )=265.5 gco 2 /MJ t g C CO 2 20 年按分 ha MJ あたりに換算 c. 算定結果 表 4-49 ブラジル産サトウキビ栽培の土地利用変化における GHG 排出量 (gco 2 /MJ) 高度化法 ( 単年生想定 ) EU 算定 ( 多年生想定 ) 土地利用変化なし ( 既存農地 ) 0 0 土地利用変化あり草地からの転換 森林からの転換

150 (2) 米国産トウモロコシ 1) 既存農地からの転換による炭素ストックの変化種々の作物を栽培していた農地をトウモロコシのみの栽培に変えていくと 土壌炭素ストックが増加するという分析結果がある 一方で 既存農地の作物の種類によって この値は変動するものと考えられる 表 4-50 輪作からトウモロコシ連作に移行した際の土壌炭素ストックの変化 出所 )M. Steffen, Greenhouse Gas Life Cycle Analysis of US-Produced Corn Ethanol for Export to Global Markets,

151 2) 既定値における土地利用変化起源 GHG 排出の計算 a. 前提条件 表 4-51 米国産トウモロコシ栽培可能地とトウモロコシ栽培の前提条件 米国 気候区分 (*1) Cool temperature, moist 複数の区分にまたがっている中で 最も生産地が多く含 トウモロコ シ 土壌 (*2) 作物種類 まれる区分を選択 High activity clay soils 単年生 耕起状態 Full tillage( 完全に土壌を掘り起こす頻繁な (1 年以内 ) 投入量 耕起状態であり 植え付け時に残渣によって土壌表面の 3 割未満が覆われている状態 ) Medium 収率エタノール収率 97,256MJ/ha 51 草地管理状態 Normally managed( 劣化していない持続的草地 ) 投入量 Medium( 人工的追加施肥のない草地 ) 森林種類 Managed forest (*1 気候区分 ) (*2 土壌 ) 5=Warm temperature, moist 5=Spodic Soils 6= Warm temperature, dry 6=High Activity Clay Soils 7=Cool temperature, moist 7=Low Activity Clay Soils 8=Cool temperature, dry b. 計算式 (1) 農地からトウモロコシ畑への転換従前の農地で栽培されていた作物が多年生作物の場合でも 単年生作物の場合でも 土地利用変化に起因する GHG 排出量は ゼロとみなす (2) 草地からトウモロコシ畑への転換 51 S. Mueller et al. (2016) Greenhouse Gas Life Cycle Analysis of US-Produced Corn Ethanol for Export to Global Markets p.8 より収率が分かっている 12 州にトウモロコシ由来エタノール製造量を乗じて加重平均値を算 出 142

152 土地に含まれる炭素量の算定式 CS i (t-c)= (SOC + C VEG ) A CS i : 土地利用 i にかかる炭素ストック量 (t-c/ha) SOC: 土壌に含まれる有機炭素量 (Soil Organic Carbon)( t-c/ha) SOC=SOC ST F LU F MG F I SOC ST : 土壌表面 0-30cm に含まれる標準的な有機炭素量 (standard soil organic carbon)( t-c/ha) F LU : 土地利用係数 (land use factor) F MG : 土地管理係数 (land management factor) F I : 肥料投入量係数 (input factor) C VEG : 植物に含まれる地上 地下の炭素量 (Vegetation Carbon Stock)( t-c/ha) C VEG =C BM + C DOM C BM : 生きたバイオマスに含まれる地上 地下の炭素量 (t-c/ha) C DOM : 死んだ有機体に含まれる地上 地下の炭素量 (t-c/ha) 樹冠率 30% 以上の森林を除き ゼロと想定 A: 面積 土地利用変化による排出量 e l (gco 2 )=(CS R -CS A ) /20 1/P -e B CS R : 土地利用変化前 (2008 年 1 月 1 日か バイオ燃料原料が収穫された時点から 20 年前のどちらか 遅い方 ) の炭素ストック量 (t-c/ha) CS A : 土地利用変化後の炭素ストック量 3,664:t-C(TJ) から gco 2 (MJ) に換算するための値 1/20:20 年間で按分するための値 1/P: 面積 (ha) あたりから燃料 (MJ) あたりに換算するための値 e B :29gCO 2 /MJ 荒廃地でバイオ燃料を栽培する場合に与えられるボーナス 4 草地に含まれる炭素ストック量 CS grassland =SOC + C VEG = = t-c/ha SOC=SOC ST F LU F MG F I = = 95 5 トウモロコシ畑に含まれる炭素ストック量 CS corn =SOC + C VEG = = 65.6 t-c/ha SOC=SOC ST F LU F MG F I = = 草地からトウモロコシ畑への転換による CO 2 排出量 ( 排出量は 20 年間で按分 ) ( ) 1,000,000 44/12 1/20 1/97,256=68.2gCO 2 /MJ 143

153 t g C CO 2 20 年按分 ha MJ あたりに換算 (3) 森林からトウモロコシ畑への転換 4 森林に含まれる炭素ストック量 CS forest =SOC + C VEG = = t-c/ha SOC=SOC ST F LU F MG F I = トウモロコシ畑に含まれる炭素ストック量 ( 同上 ) 65.6 t-c/ha 6 森林からトウモロコシ畑への転換による CO 2 排出量 ( 排出量は 20 年間で按分 ) ( ) 1,000,000 44/12 1/20 1/97,256=155.3gCO 2 /MJ t g C CO 2 20 年按分 ha MJ あたりに換算 c. 算定結果 表 4-52 米国産トウモロコシ栽培の土地利用変化における GHG 排出量 (gco 2 /MJ) 算定結果 土地利用変化なし ( 既存農地 ) 0 土地利用変化あり 草地からの転換 68.2 森林からの転換

154 4.9.4 バイオ燃料の GHG 削減水準の検討 (1) 他の輸送部門の GHG 削減方策との比較輸送部門の GHG 削減方策としては バイオ燃料の利用以外に 電気自動車の利用等も考えられる 輸送部門 ( 自動車 ) での GHG 削減方策として 電気自動車の利用と同程度の GHG 削減水準を達成するために バイオ燃料に求められる GHG 削減率を以下の条件の下で算出した その結果 バイオ燃料はガソリン比 39% の GHG 排出量の削減効果があれば良い という計算になった 前提条件 比較対象 : バイオ燃料を用いた平均的な燃費のガソリン自動車と 電気自動車との比較 各自動車の製造時の GHG 排出も加味 エタノール発熱量 (LHV): 21.2MJ/L ガソリンのライフサイクル GHG 排出量 :83.5 gco 2 /MJ-LHV 平成 13 年度輸送用燃料ライフサイクルインベントリーに関する調査報告書 ( 財 ) 石油産業活性化センターによるガソリンのライフサイクル CO 2 排出量を補正したもの ガソリンの発熱量 :31.7MJ-LHV/L ガソリン自動車燃費 :21.8km/L( 国土交通省 燃費一覧 平成 28 年 3 月平成 26 年度全ガソリン車平均 ) ガソリン自動車の製造時の GHG 排出 :32gCO 2 eq/km( 表 4-54 参照 ) 電気自動車電費 :9.33km/kWh( 日産リーフ S( 車両重量 1450kg) において 30kWh 駆動用バッテリーにおいて JC08 モードで 280km 走行することより ) 52 系統電力のライフサイクル GHG 排出量 :533gCO 2 /kwh( 電力中央研究所 日本の発電技術のライフサイクル CO 2 評価 年に得られたデータを用いた再推計 - ( 平成 22 年 ) における電源別ライフサイクル CO 2 排出量を 2015 年度の電源構成 ( 電力調査統計より ) で加重平均したもの ) 電気自動車の製造時の GHG 排出 :49gCO 2 eq/km( 表 4-54 参照 ) 計算式 電気自動車 1km 走行時の 製造 電気由来のライフサイクルでの GHG 排出量 =1km / 9.33km/kWh 533gCO 2 /kwh + 49gCO 2 /km = gco 2 /km ガソリン自動車でエタノールを利用した場合 電気自動車と同等の GHG 削減水準を達成 年 12 月時点 145

155 バイオ燃料の必要削減率 するために必要な GHG 削減率を x% とすると 1km 走行時の GHG 排出量より 1km /( 21.8km/L/31.7MJ/L) 83.5gCO 2 /MJ ( 100-x)% + 32 gco 2 /km = gco 2 /km x =100%-74.1 gco 2 /km (21.8km/L/31.7MJ/L) 83.5gCO 2 /MJ =39% となる < 系統電力のライフサイクルでの GHG 排出量の違いによる必要削減率の変化 > 系統電力のライフサイクルでの GHG 排出量の違いによる必要削減率の変化を図 4-15 に示す 2005~2009 年平均の電力のライフサイクルでの GHG 排出量は 484gCO 2 /kwh( 産業技術総合研究所 産業環境管理協会, LCI データベース IDEAver.1) であった 80% 70% 60% 50% 40% 30% 20% 10% 0% 系統電力のライフサイクル GHG 排出量 [gco2/kwh] 図 4-15 系統電力のライフサイクルでの GHG 排出量の違いによる必要削減率の変化 <ガソリン自動車と電気自動車の製造 廃棄時 GHG 排出量 > 様々な文献値による評価結果を表 4-53 に示す 絶対値には幅があるが ( 各文献の評価範囲の差 想定する原単位の差によると考えられる ) 電気自動車の製造時( 一部廃棄時を含む ) の GHG 排出量は ガソリン自動車の 1.3~1.7 倍である なお 廃棄時排出が評価されている CLEVER(2009) によると 自動車からはリサイクル可能な資源がより多く得られるため 廃棄処理により GHG クレジットが発生するが その量はガソリン自動車よりも電気自動車のほうが大きい 計算には ガソリン自動車 電気自動車の双方が絶対値で評価されている Rachael et al(2015), Notter et al. (2010), CLEVER(2009) を走行距離 15 万 km で換算して平均を取った値 ( 表 4-54) を使用した 146

156 表 4-53 自動車の製造時 廃棄時のライフサイクル評価の文献値 文献ガソリン自動車電気自動車主な前提 Rachael et al. (2015) 53 49gCO 2 /mile (31gCO 2 /km) 84gCO 2 /mile (52gCO 2 /km) Notter et al. (2010) 54 35gCO 2 eq/km 46gCO 2 eq/km CLEVER(2009) 55 11gCO 2 /km 16gCO 2 /km 56 日産 23% 39% Hawkins et al. (2013) 57 72~81gCO 2 eq/km Full-size 電気自動車走行距離 265mile(427km) 生涯走行距離 13.5 万 mile(21.7 万 km) 廃棄時排出はいずれも含まないグラフから値読み取り Volkswagen Golf サイズを想定 生涯走行距離 15 万 km 廃棄時排出はいずれも含まない廃棄時排出を含む総量を想定されている走行距離 230,500km で除したものガソリン車の 走行時を含めた総 LCCO 2 を 100% とした比率日産リーフと同クラスガソリン車 生涯走行距離 10 万 km グラフから値読み取り 生涯走行距離 15 万 km 製造時排出のみ 表 4-54 自動車の製造時 廃棄時のライフサイクル評価の換算値 文献 ガソリン自動車 電気自動車 主な前提 Rachael et al. 走行距離を 15 万 km に換算したも 45gCO (2015) 2 /eq/km 75gCO 2 /eq/km の Notter et al. (2010) 35gCO 2 eq/km 46gCO 2 eq/km CLEVER(2009) 17gCO 2 eq/km 25gCO 2 eq/km 走行距離を 15 万 km に換算したもの 平均 32 gco 2 eq/km 49 gco 2 eq/km 53 Rachael Nealer, David Reichmuth, Don Anair (2015), Cleaner Cars from Cradle to Grave How Electric Cars Beat Gasoline Cars on Lifetime Global Warming Emissions, Union of Concerned Scientists 54 Notter DA, Gauch M, Widmer R, Wäger P, Stamp A, Zah R, Althaus H-Jr (2010), Supporting information to the manuscript entitled contribution of li-ion batteries to the environmental impact of electric vehicles, EMPA The Swiss Federal Laboratories for Materials Science and Technology, Switzerland 55 Van Mierlo J, Boureima F, Sergeant N, Wynen V, Messagie M, Govaerts L, Denys T, Vanderschaeghe M, Macharis C, Turcksin L, Hecq W, Englert M, Lecrombs F, Klopfert F, De Caevel B, De Vos M (2009), Clean vehicle research: LCA and policy measures CLEVER Science for a Sustainable Development Transport & Mobility, Final Report Phase 1. Belgian Science Policy, Brussels (Research Programme Science for a Sustainable Development report SD/TM/04A) 56 日産ウェブサイト 57 Hawkins TR, Singh B, Majeau-Bettez G, Strømman AH (2013), Comparative environmental life cycle assessment of conventional and electric vehicles, J Ind Ecol 17(1):

157 (2) 他のバイオマス利用方法との比較バイオマスはバイオ燃料以外にも 発電など他のエネルギー利用形態が可能である バイオマス発電と同程度の GHG 削減水準を達成するときに バイオ燃料に求められる GHG 削減率を以下の条件の下で算出した その結果 バイオ燃料はガソリン比 59% の GHG 排出量の削減効果が必要 という計算になった ただし 輸送部門では液体燃料としての需要が大きいことや 前述のとおり 電気自動車のエネルギー源として考えた場合 GHG 削減率が 50% を下回るという見方もできることに留意が必要である 前提条件 比較対象 : エタノール発酵 ( ガソリン代替 ) と 発電利用 ( 系統電力代替 ) との比較 対象バイオマス : 木質バイオマス ( 廃材 ) バイオマス収集起源 GHG:10kgCO 2 /t 廃材 ( 現行判断基準の参考値における想定 ) エタノール収率 :300L/t 廃材 ( 現行判断基準の参考値における想定 ) エタノール発熱量 (LHV): 21.2MJ/L ガソリンのライフサイクル GHG 排出量 :83.5 gco 2 /MJ-LHV 平成 13 年度輸送用燃料ライフサイクルインベントリーに関する調査報告書 ( 財 ) 石油産業活性化センターによるガソリンのライフサイクル CO 2 排出量を補正したもの バイオマス発電に必要なバイオマス量 :60,000t/364 万 kwh( 総合資源エネルギー調査会長期エネルギー需給見通し小委員会 発電コストの検証に関する報告 2015 年より 木質専焼バイオマス発電の値 ) 系統電力のライフサイクル GHG 排出量 :533gCO 2 /kwh( 電力中央研究所 日本の発電技術のライフサイクル CO 2 評価 年に得られたデータを用いた再推計 - ( 平成 22 年 ) における電源別ライフサイクル CO 2 排出量を 2015 年度の電源構成 ( 電力調査統計より ) で加重平均したもの ) 計算式 廃材 1t による発電量 =364 万 kwh/60,000t=608 kwh/t 廃材廃材 1t によるバイオマス発電の GHG 削減効果 =608kWh/t 廃材 533gCO 2 /kwh/1,000-10kgco 2 /t=314kgco 2 /t 廃材 廃材 1t から得られるエタノール熱量 =300L/t 廃材 21.2MJ/L=6,360MJ/t 廃材バイオマス発電と同等の GHG 削減効果を得るために必要な GHG 削減率を x% とすると 6,360MJ/t 廃材 83.5gCO 2 /MJ x%/1,000=314kgco 2 /t 廃材 x =314kgCO 2 /t 廃材 /6,360MJ/t 廃材 /83.5gCO 2 /MJ 1,000 =59% となる 148

158 4.9.5 バイオ燃料の持続可能性に関する海外の検討状況 1)EU の再生可能エネルギーの導入に関する進捗報告書の概要 (COM (2015) 293 Report from the Commission to the European Parliament, the Council, the European Economic and the Social Committee and the Committee of the Regions, Renewable energy progress report ) <バイオ燃料の導入状況 > 2013 年の輸送部門のエネルギー消費の 5.4% をバイオ燃料でまかなった 内訳は バイオディーゼル (1,030 万石油換算トン ) 及びバイオエタノール (270 万石油換算トン ) 3,500 万 t-co 2 の削減を達成 EU 全体でのバイオ燃料の消費量の 75% は EU 域内で生産 バイオディーゼル :79% を EU 域内で生産 輸入先はアルゼンチン インドネシア バイオエタノール :71% を EU 域内で生産 輸入先は米国 ブラジル 2012 年までに EU で消費されたバイオ燃料を生産するために必要とされた土地は 780 万 ha( うち EU 域内が 56% EU 域外が 44%) と推計される 2012 年に EU 域内では EU 全体の農地の 3% をバイオ燃料の原料栽培に利用 EU へのバイオ燃料輸出国では 平均的に農地の 0.5% 未満を EU 向けのバイオ燃料原料栽培に利用 ( アルゼンチンは例外的に 3%) バイオ燃料輸出国におけるエネルギー収率は向上 (2010 年は 18 万 ha/mtoe であったのが 2012 年には 16 万 ha/mtoe) < 生物多様性 > 直接 間接土地利用による生息地の破壊及び農業の集約化が 生物多様性に対するリスクとなりうる 特にインドネシアとマレーシアのパーム油栽培による生物多様性への影響は大きい可能性がある EU に輸出されているパーム油の多くは 森林伐採が進み生物多様性にセンシティブな地域であるボルネオ島やスマトラ島で栽培されている EU の持続可能性基準においては 森林から転換したパーム油畑から生産した燃料を使用することは認められていないが 間接的に森林や生息地に影響を及ぼしている可能性はある 米国産トウモロコシ由来のエタノールも 生物多様性に高いリスクを有する 生産地が脆弱な生態系地域に移行しているのと ミシシッピー ミズーリ河口とメキシコ湾に農業化学物質が流出している懸念がある 生産国の中には生物多様性関連の国際条約に批准していない国もあり 批准するよう働きかける必要がある < 水への影響 > 2012 年に EU で消費されたバイオ燃料の生産のために 2010 年より 21% 増となる 1.4 万 m3 の水が消費された ( うち EU 域内は 0.86 万 m3 域外で最も多いのはアルゼンチン大豆栽培 0.21 万 m3) ただし 農業セクター全体で使用されている水消費量と比べると 非常に少量である 149

159 今後は水不足の地域や 灌漑地域であり河川下流で水の流出が起こる可能性のある地域に留意する必要がある 水質に関しては肥料 除草剤の利用が悪影響を及ぼしうる 特に菜種油 トウモロコシ 小麦の栽培には大量の化学物質が使われている < 土壌への影響 > 土壌に関するリスクで最も高いものは インドネシアとマレーシアでのパーム栽培時に 森林伐採や泥炭地開発が行われることである また 欧米でトウモロコシの生産が拡大しており その結果 草地や牧草地が開拓されていることも 土壌劣化につながる可能性がある ( 欧州では農業政策として 永久草地を農地に転換することは禁じられている ) バイオ燃料原料栽培のために モノカルチャー化が進むことも 土壌に悪影響を及ぼしうる < 大気への影響 > 火入れや化学物質の使用が 大気質に悪影響を与えうる EU では肥料由来のアンモニアが他の粒状物質を形成し 大気汚染の原因となる可能性がある インドネシアのパーム油栽培に伴う火入れや森林火災は 大気汚染をもたらしうる また ブラジルのサトウキビ農地では 火入れが完全になくなりつつあり影響も少なくなっている < 食料競合 > 2004 年から 2007 年にかけてバイオ燃料生産量もコモディティーの価格も上昇 2008 年以降は両者の間に同一の傾向は確認されていない EU におけるバイオ燃料の導入により穀物価格は 1~2% 油糧作物価格は 2~3% 上昇したと計算され その影響は微量である EU におけるバイオエタノールの導入により 世界的に 200 万トン未満の穀物が 本来であれば食料や肥料として消費される予定であったのに対し 燃料用に振り替えられたことにより 結果的に食料用の消費を減少させたと推定される 一方 食料の価格が上昇することは 農業生産者にとっては収入増となる 全体として バイオ燃料への需要が食料価格に与える影響の度合いは その他の要因 ( 食料備蓄量減少 食品廃棄物増加 石油価格 投機等 ) に比べて比較的小さい 150

160 図 4-16 世界の穀物価格 全てのコモディティーの価格 バイオ燃料生産量 < 土地収奪 > 世界的に行われる土地開発のうち どの程度が EU へのバイオ燃料供給を意図したものなのか不明である また 2000 年初頭に行われた土地開発の多くが失敗しており 実際のバイオ燃料供給には至っていない 151

161 2) 米国産トウモロコシのその他の環境影響 米国産トウモロコシ由来エタノールの生産に関しては 主に原料となるトウモロコシの栽 58 培に際して 以下のような環境影響の恐れがある旨が 欧州報告書等で指摘されてきた 肥料 除草剤等の農業化学物質が使用されており 特に窒素及びリンがミシシッピー / ミズーリ / アチャフラヤ川からメキシコ湾に流出し富栄養化を引き起こすなど 海洋のエコシステムを損なっている懸念がある トウモロコシ生産地が脆弱な生態系地域に移行している その結果 草地や牧草地が開拓され 土壌劣化につながる可能性も指摘される 高収率のエタノール製造を目指した遺伝子組み換えトウモロコシが栽培されており 周辺の生態系へ影響を及ぼす可能性がある a. 肥料 除草剤等の影響 1 点目の指摘に関しては バイオエタノール製造に伴うトウモロコシ栽培増産が 肥料 除草剤等の農業化学物質の使用増加を追加的にもたらしているかを確認する必要がある 米国農務省のデータによると トウモロコシの生産増加分よりも窒素 リン肥料使用量の増加分のほうが少なく 原単位では肥料使用量が減少傾向にあることが示されている 表 4-55 トウモロコシ生産量と肥料使用量 出所 )NCGA (2009) Hypoxia in the Gulf 58 COM (2015) 293 Report from the Commission to the European Parliament, the Council, the European Economic and the Social Committee and the Committee of the Regions, Renewable energy progress report 152

162 提供 ) 米国穀物協会図 4-17 トウモロコシ生産量と窒素肥料使用量 メキシコ湾への窒素 リン流出については 70% 以上の窒素 リン流出源が農業 畜産業 であり (52% の窒素流出源がトウモロコシ 大豆栽培 ) 9% の窒素 12% のリンの流出源が 都市部からの家庭用肥料 洗剤や産業由来とされている また 富栄養化に関しては この 他に 嵐や夏季の暖かな淡水と冷たい海水の層化といった自然の要因が作用していることも 知られている トウモロコシ栽培由来の窒素のメキシコ湾流出量については 減少傾向にあ ることが確認されている ( 図 4-18) リンについては該当データが見当たっていないものの トウモロコシ収量あたりの使用量が 窒素 (38.0% 減 ) よりも減少傾向 (50.6% 減 ) にある ことを鑑みると 窒素と同様にリンのメキシコ湾流出量も減少傾向にあるものと想定される 提供 ) 米国穀物協会図 4-18 トウモロコシ生産量とメキシコ湾への窒素流出量 b. トウモロコシ生産地の移行の影響 2 点目の指摘に関しては トウモロコシ単収の増加により 米国全体でみると エタノー ル需要増加分ほどはトウモロコシ生産地は拡大していないことが確認される 153

163 出所 ) 第 1 回 LCA-WG 米国穀物協会提供資料 図 4-19 トウモロコシ栽培面積及びトウモロコシ生産量 一方 地域ごとの土地利用形態を鑑みると 西コーンベルト地帯 ( 北ダコタ州 南ダコタ州 ネブラスカ州 ミネソタ州 アイオワ州 ) では 2006~2011 年にかけて約 53 万 ha の草地 ( 年間の土地転換率は 1%~5.4%) がトウモロコシ 大豆畑に転換されたとの研究成果 59 がある 土地転換は プレーリーポットホール湿地近郊を含め 生物多様性の観点からも重要な土地でも生じており 注意喚起がなされている 表 4-56 西コーンベルト地帯における土地利用変化 (2006~2011 年 ) 出所 )WrightC.K. and Wimberly M.C. (2013) 土地利用変化は GHG 排出にもつながることから 土地利用変化の有無について 各サ イトでのモニタリングが必要となると考えられる 59 WrightC.K. and Wimberly M.C. (2013) Recent land use change in the Western Corn Belt threatens grasslands and wetlands, Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America (PNAS), vol.110, no,10, ppp

164 c. 遺伝子組み換えトウモロコシの影響第 3の指摘である遺伝子組み換えトウモロコシについては Syngata 社がエタノールの収率を高めるように遺伝子組み換えをしたトウモロコシ Enogen を開発した Enogen に含まれる微生物遺伝子の働きにより トウモロコシの中で糖化酵素が自ら作られるものである Enogen の使用にあたっては 食用トウモロコシと交配してしまったときの食用トウモロコシへの悪影響等を懸念する農業団体等から反対の声があがったものの 米国食品医薬品局は食べても安全であるとし 2011 年 2 月には米農務省によりその使用が認められた 60 Syngata 社によると 61 Enogen を利用するとしているエタノール工場の生産キャパシティは 20 億ガロンに及んでいる また Enogen を栽培する農家は エタノール製造業者より通常のトウモロコシ価格にプラスしてプレミアム料金を支払われることとなるが 2017 年のプレミアム支払額は 3.2 億ドルに達する見込みである Enogen 栽培による環境影響評価についての研究は特段見当たっていないものの 継続的に動向をフォローする必要があると考えられる 3)GBEP におけるバイオエネルギー持続可能性指標 GBEP では いくつかの国において GBEP 指標の適用が試みられている ブラジル及び米 国もその一つであるが 取組み中の段階であり 最終報告はなされていない 60 NY Times (2011 年 2 月 12 日 ) U.S. Approves Corn Modified for Ethanol

165 表 4-57 GBEP におけるバイオエネルギー持続可能性指標 ( 環境 ) テーマ :GHG 排出量 土地とその生態系の生産能力 大気質 水の利用可能性 利用効率 水質 生物多様性 土地利用変化 ( 間接土地利用変化を含む )* 指標名指標説明単位比較対象 1. ライフサイクルでの GHG 排出量 ライフサイクルでみた場合の バイオエネルギーの生産と使用に起因する温室効果ガス排出量 当該排出量は国又は地域レベルで決定される方法論に従って算定され GBEPが指定している バイオエネルギーの GHGライフサイクル分析共通方法論的フレームワーク (Ver1) の様式を用いて報告される 2. 土壌質バイオエネルギー原料の栽培又は収穫される土地の面積の合計を母数とし 土壌質 ( 特に土壌中の有機炭素 ) が維持又は改善される土地の面積の割合 3. 木質資源の採取水準 4. 有害物質を含む非温室効果ガスの排出量 5. 水利用と効率性 木質資源の年間収穫量 収穫率 ( 純成長率又は持続可能な収穫量の範囲内での収穫量 ) 及び年間収穫量のうちバイオエネルギーに利用される割合他のエネルギー源と比較した場合の バイオエネルギーの原料栽培 製造 原料 中間産物及び最終産物の輸送に起因する有害物質を含む非温室効果ガスの排出量 バイオエネルギー原料の栽培や製造に用いる水の量について 再利用可能な水源総量に占める割合及び年間総取水量に占める割合 バイオエネルギーの生産単位当たりのバイオエネルギー原料の栽培や製造に利用される全国的に指定された流域からの取水量 ( 再生可能と再生不可能水源に分けて示す ) 6. 水質 バイオエネルギー原料の栽培に用いる肥料や農薬に起因する水路や水域への汚染物質の量について 流域内の全ての農産物の生産に起因する汚染物質の量に占める割合 バイオエネルギー原料の加工時の排水に起因する水路や水域への汚染物質の量について 流域内の全ての農業処理排水に起因する汚染物質の量に占める割合 7. 生物多様性 生物多様性の価値が高い又は危機的生態系にある土地のうち バイオエネルギーの生産に転換された土地面積及び割合 バイオエネルギー原料の生産に利用されている土地のうち 外来種が栽培されている土地の面積と割合 バイオエネルギー原料の生産に利用されている土地のうち 環境保全が講じられている土地の面積と割合 8. バイオエネルギー原料の生産に伴う土地利用と土地利用変化 バイオエネルギー原料の栽培地の総面積が 当該生産国の面積 農地及び管理された森林に占める割合 ( 同一の生産面積からの ) 収率増加 残渣の利用 廃棄物の利用 劣化又は汚染された土地からのバイオエネルギーの割合 バイオエネルギー生産のために ( とりわけ ) 以下の土地利用形態から転換された土地利用変化の割合 耕地 多年生作物の耕作地 永年採草地 牧草地及び管理された森林 自然林 草地 ( サヴァンナを含め 永年採草地及び牧草地は含まない ) 泥炭地及び湿地 kg/gj 他のエネルギー % 他の農業生産活動 m3/ha/ 年 トン /ha/ 年 mg/ha, mg/mj, % 他のエネルギー 他のエネルギー % 他のエネルギー kg-n/ha/ 年, kg-p/ha/ 年 km2, % ha, % 他の農業生産及び / 又は農業用地の地域平均 他のエネルギー 石炭 石油 ガス ウランなどの化石燃料及び伝統的バイオマス利用 * 現在の科学的研究の状況から間接土地利用変化 (ILUC) による影響を含めることは時期尚早と判断 156

166 表 4-58 GBEP におけるバイオエネルギー持続可能性指標 ( 社会 ) テーマ : 国の食品バスケットの価格と供給 土地 水及びその他の自然資源へのアクセス 労働条件 農村及び社会開発 エネルギーへのアクセス 人間の健康と安全指標名指標説明単位比較対象 9. 新たなバイオエネルギー原料の生産のための土地分配と土地所有権 10. 国の食料バスケットの価格と供給 以下の場合における 新たなバイオエネルギー原料の生産に利用される土地面積 ( 合計及び土地利用形態ごと ) 法的手段又は国家権限により 所有権又は所有権変更のための手順が確立されている場合 当該生産国における現状の法制度及び / 又は社会的慣行により 適切な手続きが確立されており その手続きに則り法的所有権を確定させている場合バイオエネルギー原料の利用と生産が 食料バスケットの価格と供給に与える以下の影響 ( 食料バスケットとは 主食など国ごとに定義された食料の集まりであり 国 地域 家庭レベルで算定されたもの ) 食料 飼料 繊維の需要の変化 食料の輸入量 輸出量の変化 天候状況による農作物の生産量の変化 石油やその他のエネルギー価格の変化による農業の経費の変化 国ごとに決められた全国 地域 家庭の福祉レベルの食料の価格変動や物価インフレの影響 11. 所得の変化以下に示すようなバイオエネルギー原料の生産による所得変化への貢献 : 比較可能な他分野と比べた際のバイオエネルギー分野での雇用賃金 自営世帯又は個人による 原料を含むバイオエネルギー製品の販売 交換 及び / 又は自己消費による純収入 12. バイオエネルギー部門の雇用 13. バイオマス収集のための女性 児童の不払い労働時間 14. 近代的エネルギーサービスへのアクセス拡大のためのバイオエネルギー 15. 屋内煤煙による死亡 疾病の変化 16. 労働災害 死傷事故件数 バイオエネルギー原料の生産と利用の結果としての純雇用創出 ( 可能であれば以下の分類による ) 技能的 / 非技能的 一時的 / 無期限 バイオエネルギー部門の雇用者数及び比較可能な他分野と比べた際の 労働における基本的原則及び権利に関するILO 宣言 に即した国内労働基準を満たす雇用者割合伝統的バイオマスの利用から現代のバイオエネルギー原料の生産に係るサービスへの転換の結果 バイオマス収集に係る女性 児童の不払い平均労働時間の変化 近代的なバイオエネルギーにより 近代的なエネルギーサービスにアクセスすることができるようになった家庭 企業の数とエネルギーの量 ( バイオエネルギー種別ごとの内訳を示す ) バイオエネルギーを利用している家庭 企業の数と割合 ( 現代的バイオエネルギーと伝統的バイオ燃料の内訳を示す ) 改良型バイオマスストーブを含む近代的バイオエネルギーサービスの展開の結果 固形燃料利用による屋内煤煙に起因する死亡率及び疾病状況の変化比較可能な他分野と比べた際のバイオエネルギー生産における労働災害 疾病 死亡事故 % エネルギー製造工程で土地を必要とする他のエネルギー トン, 通貨単位, % 通貨単位 / 家計 / 年 % 変化 人数 人数 /MJ 時間 / 週 / 家計,% L/ 年, MJ/ 年, % 土地や水等の投入物の競合が生じるエネルギー 他の農業 他のエネルギー 他のエネルギー 伝統的バイオマス利用 近代的エネルギー供給 % 近代的エネルギー供給 件 /ha, 件 /MJ 他のエネルギー 157

167 表 4-59 GBEP におけるバイオエネルギー持続可能性指標 ( 経済 ) テーマ : バイオエネルギーの生産 転換 流通 利用における資源の利用可能性と利用効率 経済発展 バイオエネルギーの経済性と競争力 技術と技術力へのアクセス エネルギーの安全保障 / 資源と供給の多様化 エネルギーの安全保障 / 物流及び利用の為のインフラ及び物流指標名指標説明単位比較対象 17. 生産性 原料又は農地や農場ごとのバイオエネルギー原料の生産性 技術と原料ごとのバイオエネルギーへの転換効率 年間 1ヘクタール当たりの質量 体積又はエネルギー含有量によるバイオエネルギーの最終製品の量 バイオエネルギーの単位当たりの生産コスト 18. 純エネルギー収支 他のエネルギー源と比較した場合のバイオエネルギーのエネルギー収支 エネルギー収支とは 原料生産 バイオエネルギーへの製造 バイオエネルギーの利用及び / 又はライフサイクル評価での比率 19. 粗付加価値バイオエネルギー生産量ごとの粗付加価値及び国内総生産に占める割合 20. 化石燃料消費 化石燃料を国産バイオエネルギーに代替した分の及び伝統的バイオエネルギー量及び化石燃料購入減少により外貨節マス利用の変化約した金額 近代的な国産バイオエネルギーに代替された伝統的なバイオマス利用のエネルギー含有量 21. 職業訓練及び再雇用 22. エネルギー多様性 バイオエネルギー関連事業に従事する全労働者のうち 新たに訓練を受けた労働者の割合及び失業数を母数としたうちの再度雇用された労働者の割合バイオエネルギーによる一次エネルギー供給の多様性の変化の割合 トン /ha, MJ/ トン, トン /ha/ 年 US ドル /MJ 比率 USドル, % MJ/ 年, US ドル / 年 他の農業生産 他のエネルギー 全産業及びエネルギー他の再生可能エネルギー %/ 年他のエネルギー 指数 ( 範囲 :0-1) 他のエネルギー 23. バイオエネルギー供給のための社会資本及び物流 24. バイオエネルギー利用能力と柔軟性 重要なエネルギー供給網の数と能力及びそれぞれにおけるバイオエネルギーの割合 重要な利用経路ごとに実際にバイオエネルギーのために利用された量のバイオエネルギー利用能力に対する比率 エネルギーの総利用能力のうち バイオエネルギー又は他の燃料源のいずれかを柔軟に利用できる能力の比率 数, MJ/ 年 指数 他のエネルギー 他のエネルギー 158

168 4.9.6 次世代バイオ燃料の参考値設定のスケジュール 手順 (1) 参考値設定の手順技術開発段階の燃料は GHG 排出量の LCA に必要なデータが不足している場合があり 正確に持続可能性基準を満たすかを判断することは難しい 一方で将来的に有望かどうかがわからなければ 実証段階にあるものとして 将来的に持続可能性基準を満たすとみなすのは適切ではない この見通しは 技術開発の進展に伴い 次第に確実なものになると考えられる また技術開発が進展し 一定量以上の燃料が市場に流通可能な状態となった場合には その時点での評価に基づき持続可能性を判断する必要がある なお持続可能性は GHG 排出量だけでなく 食料競合や生物多様性等の観点も含めて評価する必要がある これを踏まえ 参考値を示す対象の燃料 の選定 参考値 の設定の手順を図 4-20 のとおり示した 参考値は実証段階の暫定的な措置であるため 1 技術開発が進展し一定量以上の燃料が市場に流通可能な状態となった場合 又は2 目標年度に達した場合 参考値 を再評価する必要がある 159

169 参考値を示す対象の燃料の選定 評価対象の調査公的事業民間事業評価対象の選定諸外国の文献等技術開発主体のデータ持続可能性の将来性評価専門家意見参考値を示す対象の燃料に選定 判断基準 算定方法の整備 技術開発主体の GHG 排出量の評価結果 その他の環境 社会影響の評価 ( 除外 ) 参考値の設定 GHG 排出量の評価の妥当性検証 持続可能性基準への適合 N Y 現状値と目標値の選定 公表 技術開発が進展し一定量以上の燃料が市場に流通可能な状態となった場合 又は目標年度に達した場合には 参考値の再評価を実施する 図 4-20 参考値設定の手順 (2) 参考値設定に向けたスケジュール 2018 年度以降の導入目標等を定めるため 2017 年度中に判断基準案の検討を行うことが 必要となるが 図 4-21 に示す 160

170 ~ 参考値を示す対象の燃料 枠組の設定 評価対象の燃料を抽出 算定方法の整備 文献 技術開発主体のデータ 参考値を示す対象の燃料を選定 審議会 判断基準 技術開発主体の GHG 排出量の評価結果 参考値 枠組の設定 その他の環境 社会影響の評価 現状値と目標値の選定 追加 見直し 公表 図 4-21 参考値設定に向けたスケジュール 161

MRI/EEU エネルギー関連モデルの今後について

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