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1 Trce Nutrients Reserch 33 : 8 86(216) 原著 SLC35F2 の発現状態及び B 群ビタミンが肺腺がん細胞のゲフィチニブ感受性に及ぼす影響 神山 伸 #, 土沼侑佳 #, 塩沢浩太, 萩原 真, 曽根英行 ( 新潟県立大学人間生活学部健康栄養学科 * ) The effects of SLC35F2 expression nd B-complex vitmins on gefitini sensitivity of lung denocrcinom cells Shin Kmiym, Yuk Donum, Kot Shiozw, Mkoto Hgiwr nd Hideyuki Sone Deprtment of Helth nd Nutrition, Fculty of Life Studies, University of Niigt Prefecture Summry Humn solute crrier fmily 35 memer F2 (SLC35F2) elongs in drug/metolite trnsporter superfmily nd is suggested to e potentil oncogene of non-smll cell lung cncer. In the present study, we investigted the involvement of SLC25F2 in cell prolifertion nd gefitini sensitivity of lung denocrcinom using (low gefitini sensitivity) nd PC-9 (high gefitini sensitivity) cell lines. Gene silencing of SLC35F2 using sirna suppressed cell prolifertion nd rrested cell cycle in oth nd PC-9 cells. The expression of SLC35F2 gene ws ttenuted in gefitini-resistnt PC-9 cells; however, gene silencing of SLC35F2 did not ffect gefitini sensitivity in oth nd PC-9 cells. None of thimine, pyridoxine, folic cid, nd nicotinmide hd effects on SLC35F2 function nd gefitini sensitivity in oth nd PC-9 cells. These results indicte tht SLC35F2 plys role in cell prolifertion of lung denocrcinom ut is not involved in its gefitini sensitivity. Solute crrier fmily 35(SLC35) は核酸結合糖 ( 糖ヌクレオチド ) を基質とする糖ヌクレオチド輸送体を中心に構成されている輸送体ファミリーであり 1 ), 現時点で 7 個のサブファミリーに 3 のメンバーが分類されている A から D までのサブファミリーには輸送基質の異なる糖ヌクレオチド輸送体と, 硫酸化修飾に用いられる活性型硫酸である核酸結合硫酸 (3 -phosphodenosine 5 -phosphosulfte, PAPS) を輸送する PAPS 輸送体 2, 3) が属している 一方,E G グループの機能については明らかにされていないが,F グループについては植物のプリン塩基輸送体の近縁であり, 薬剤代謝輸送体に含まれることが示唆されている 4 ) F グループには 6 つの遺伝子が属しているが, その多くが組織特異的であるのに対し,SLC35F5 は広範に発現している 5 ) F グループメンバーの大部分についてその機能は不明であるが, その幾つかががん細胞の増殖や抗悪性腫瘍薬の感受性に関係していることが示唆されている 6 ) 当初,F グループには 5 つのメンバーが分類されていたが,Ashikov らは, 機能未知遺伝子である C2orf18(chromosome 2 open reding frme 18) についても SLC35F6 としてFグループのメンバーに含めている 7) この C2orf18 遺伝子はその後, ミトコンドリアで膜透過性を調節している denine nucleotide trnslocse 2(ANT2) と相互作用することにより, 膵臓がん細胞のアポトーシスと関連していることが報告され,ANT2BP と命名されている 8 ) また, メンバーの一つである SLC35F5 に関して Mtsuym らは, 原発性大腸がんの肝臓転移において 5-fluorourcil(5-FU) の効果がみられなかった患者に比べ,5-FU が有効であった患者の大腸がん組織でその発現が有意に増加していることを報告している 9) 筆者らは, この SLC35F5 に関して, 大腸がん細胞である DLD-1 は 5-FU 耐性獲得により SLC35F5 の発現が大きく低下するが,5-FU の感受性自体は変動しないことを報告した 1) F グループメンバーのほとんどで輸送基質は明らかにされていないが,SLC35F3 についてはビタミン B 1 の輸送活性を持ち, その一塩基多型 (SNP) が高血圧リスクと関係していることが報告されている 11) さらに, メンバーの一つである SLC35F2 に関しては, * 所在地 : 新潟県新潟市海老ヶ瀬 471( ) # uthors who eqully contriuted to this work corresponding uthors 8

2 その輸送基質は明らかにされていないものの, 細胞表面でレトロウイルスの感染受容体として利用されており 12), また非小細胞肺がんの病理状態に関連して高度に発現していることが報告されている 13) 扁平上皮肺がん由来細胞である H1299 細胞では,siRNA で SLC35F2 の発現を抑制すると細胞増殖と細胞遊走及び浸潤能が抑制されることが報告されている 14) さらに最近,SLC35F2 は非小細胞肺がんなどにおいて抗腫瘍作用を持つサバイビン阻害剤 YM155(sepntronium romide) の細胞内への取り込みに寄与しており,YM155 の有効性は SLC35F2 の発現状態に依存していることが報告されている 15) 肺がんは小細胞肺がん (smll cell lung cncer: SCLC) と非小細胞肺がん (non-smll cell lung cncer: NSCLC) に大別され, 進行の速さと治療反応性が大きく異なる 喫煙者に多く見られる小細胞肺がんは進行が早く転移しやすい一方, 抗悪性腫瘍薬に対して高感受性であるため, 化学療法が第一選択となる これに対して, 非小細胞肺がんは進行が遅いものの, 化学療法に対する感受性が低く, 手術適応ならば手術が第一選択となる 非小細胞肺がんは病理組織型として腺がん, 扁平上皮がん, 大細胞がんに分類されるが, 女性を中心とする非喫煙者では肺腺がんが中心であり, その発生には発がんやがん悪性化に直接的に関係しているがん化責任変異 ( ドライバー変異 ) が強く関与している 特にがん細胞の増殖や進展に深く関与する上皮成長因子 (epiderml growth fctor: EGF) シグナルに関して, 非小細胞肺がんでは EGF 受容体 (EGFR) の高発現が予後不良と相関することが報告されているが 16),EGFR の自己リン酸化が異常亢進している EGFR のチロシンキナーゼドメイン変異も非喫煙者の肺腺がん患者の多くで見られる 17) この EGFR 変異型非小細胞肺がんの分子標的薬として,EGFR のチロシンキナーゼ阻害薬 (EGFR tyrosine kinse inhiitor: EGFR-TKi) であるゲフィチニブ (Gefitini, 商標名 : イレッサ ) やエルロチニブ (Erlotini) が用いられている 18, 19) EGFR-TKi は EGFR の ATP 結合部位に ATP と競合的に結合することにより EGFR の自己リン酸化による活性を阻害し,EGFR に変異を持つ肺がんで高く奏功する一方, 変異がない肺がんでの有効性は低い 2) 本研究では,SCL35F2 についてその発現状態が肺腺がん由来細胞の増殖にどのような影響を及ぼすかをみるとともに,EGFR 野生型及び変異型の非小細胞肺がん由来細胞におけるゲフィチニブ感受性に及ぼす影響について検討した さらに,F グループのファミリーメンバーである SCL35F3 がチアミンの輸送能を持つことから,SCL35F2 の機能とチアミン及びそれに類似した B 群ビタミンの取り込みとの関連性についても検討を行った 実験方法細胞培養 細胞は JCRB 細胞バンク,PC-9 細胞は RIKEN 細胞バンクより分譲されたものを用いた 細胞は DMEM/ Hm s F12 1:1 培地 ( 和光純薬工業 ) にウシ胎児血清 (FBS, オーストラリア産,Biowest 社 ) を 1% 添加した培地を用いて培養し,3 日あるいは 4 日に一度継代培養した 細胞増殖は,Cell counting kit-8( 同仁化学研究所 ) を用いた WST-8 アッセイにより求めた ゲフィチニブ耐性 PC-9 細胞の作成ゲフィチニブ耐性 PC-9 細胞は, 段階的に異なる濃度のゲフィチニブともに培養することにより作成した ゲフィチニブは dimethyl sulfoxide(dmso, 和光純薬 ) に 1 μm の濃度で溶解し, 適宜希釈することにより培地中に DMSO が最終的に.1% になるように添加した 継代及び培地交換ごとにゲフィチニブの濃度を増加させ, ゲフィチニブ耐性細胞を作成した,.1,.1,.1,1 μm のそれぞれのゲフィチニブ濃度の耐性細胞から Trizol regent(thermo Fisher Scientific 社 ) を用いて RNA を抽出し,rel-time PCR による発現解析のサンプルとした Rel-time PCR による遺伝子発現測定 SLC35F2 遺伝子の発現状態は,SYBR 法による rel-time PCR を用いて解析した 増幅に利用した配列プライマーは SLC35F2 の配列 (GeneBnk ccession No. NM_17515) をもとに primer 3( sourceforge.net) を用いて設計し, エキソンジャンクションを含む 199 塩基対の配列を増幅部位とする上流及び下流プライマー 5 -CTGGAAAATTGCCCTGCTGT-3 および 5 -AACCCCACCATGATGACAGT-3 を使用した また, 発現補正用のコントロール遺伝子として β-ctin 遺伝子 (GeneBnk ccession No. NM_111.3) を用い,142 塩基対を増幅部位とする 5 -ACATCTGCTGGAAGGTGGA CAG-3 および 5 -ATTGCCGACAGGATGCAGAA-3 のプライマーを使用した 細胞より抽出したRNAは, PrimeScript RT Mster mix( タカラバイオ社 ) を用いた逆転写反応によって cdna を合成した それぞれの cdna に含まれる目的遺伝子産物の量を SYBR premix Ex tq II( タカラバイオ社 ) と Pikorel rel-time PCR system(thermo Fisher Scientific 社 ) を用いて測定した 増幅サイクルは,9 3 秒の熱変性のあと,(95 5 秒 6 3 秒 ) の 4 サイクル反応で行い, その後 6 から 95 の融解曲線測定より反応産物の特異性を解析した RNAi による遺伝子発現抑制 SLC35F2 遺伝子の発現抑制は,RNA 干渉 (RNAi) により行った SLC35F2 をターゲットとする sirna は, Thermo Fisher Scientific 社の BLOCK-iT RNAi Express 81

3 によりデザインされた 2 種類の vlidted Stelth sirna を用いた (: ID HSS123179, : ID HSS12318) SLC35F2 に対するそれぞれの sirna あるいはコントロール sirna(stelth RNAi negtive control, medium GC) を Lipofectmine RNAiMx(Thermo Fisher Scientific 社 ) を用いて 1 nm の濃度で細胞に導入した RNAi の遺伝子発現抑制効率は,RNAi 処理後 4 日目に RNA を回収し,rel-time PCR で定量することにより測定した 細胞周期の測定 あるいは PC-9 細胞を 12-well plte に /well () あるいは /well(pc-9) の細胞密度で播種し, 翌日 RNAi 処理を行った sirna は sirna なし, コントロール sirna,2 種類の SLC35F2 sirna を用いて行った RNAi 処理 4 日後に膜透過処理を行った細胞の DNA を propidium iodide(pi) により染色し, 個々の細胞の DNA 量をイメージサイトメーター (Tli imgesed cytometer, Thermo Fisher Scientific 社 ) を用いて測定した 得られた DNA ヒストグラムを解析し, 各期 (G1 期,S 期,G2/M 期 ) の割合を求めた ゲフィチニブ感受性の測定 あるいは PC-9 細胞を 96-well plte に /well () あるいは /well(pc-9) の細胞密度で播種し, 種々の濃度のゲフィチニブを含む培地で培養した 4 日後に WST-8 アッセイによって生細胞数を測定することにより, 細胞のゲフィチニブに対する感受性を測定した ゲフィチニブによる 5% 生育阻害濃度 (IC 5 ) は,Imge J プログラムの Curve Fitter を用いた 4 係数ロジスティック曲線から計算した RNAi 処理細胞のゲフィチニブ感受性は,RNAi 処理翌日より 96 well plte に細胞を播種し,cell counting Kit-8 を用いて細胞増殖を測定した コントロール sirna と SLC35F2 を用いて RNAi 処理を行った 翌日, 5% 阻害濃度のゲフィチニブを添加した培地と交換し, その 4 日後に細胞増殖を測定した B 群ビタミン添加の影響前述の方法と同様にして 96 well plte に細胞を播種した翌日, チアミン塩酸塩, ピリドキシン塩酸塩, 葉酸 ( ともに和光純薬 ), ニコチンアミド (Sigm-Aldrich 社 ) を培地中に溶解した溶液を加えるとともに,RNAi 処理を行った sirna はコントロール sirna と SLC35F2 sir- NA2 を用いて実験を行った その 4 日後に Dojindo cell counting Kit-8 を用いて細胞増殖試験を行った B 群ビタミン溶液の濃度は培地に含まれる濃度の約 1 倍を目安とし, それぞれ最終濃度が 1 μm となるように加えた 統計学的解析全ての測定値は, 平均値 ± 標準偏差 (SD) で示した 測定値統計解析には,R プログラム (v 3.1.3) を用いて行った 検定は一元配置分散分析とともに,Dunnett 法あるいは Tukey s HSD 法による多重比較で行った 全ての検定において, 有意水準は P 値 <.5 とした 結果と考察 SLC35F2 の発現抑制が肺腺がん細胞株の細胞増殖に及ぼす影響ヒト肺腺がん由来の細胞株として,EGFR 野生型である 細胞と EGFR 変異型の PC-9 細胞の 2 種類を用いた はヒト肺胞基底上皮腺がん由来細胞株であり, EGFR-TKi であるゲフィチニブに対する感受性は比較的低い PC-9 細胞は分化型のヒト肺腺がん由来細胞株であり,Exon19 の欠失変異 (del E746~A75) を持つことにより, ゲフィチニブに高い感受性を示す これらの細胞株 1 1 Asornce (A45) Dy Dy Fig. 1 Prolifertion of nd PC-9 cells treted with sirna for SLC35F2. Cells were seeded onto 96-well plte nd treted with ech sirna. The numer of cells ws quntified t dys, 2, 4 using WST-8 ssy. Vlues shown re mens±sd otined from three experiments., cells treted with vehicle; control, cells treted with control sirna; nd, cells treted with either of two sirna for SLC25F2. 82

4 で,siRNA を用いた RNAi によって SLC35F2 の遺伝子発現を抑制した場合, それぞれの細胞増殖がどのようになるかを WST-8 アッセイにより測定した 細胞増殖は RNAi 開始 4 日後に測定したが, 図 1 に示したように 細胞,PC-9 細胞ともに,SLC35F2 遺伝子の発現を抑制することにより細胞増殖が有意に低下した rel-time PCR で測定した遺伝子発現抑制効率は, 細胞では が 42%, が 1%,PC-9 細胞では が 39%, が 22% と, ともに 4 日後においても半分以下に低下していた SLC35F2 の発現抑制が肺腺がん細胞株の細胞周期に及ぼす影響 PI 染色とサイトメーターを用いた解析により, SLC35F2 発現抑制細胞の細胞周期状態を測定した 細胞,PC-9 細胞のどちらにおいても,SLC35F2 遺伝子の発現抑制により G1/G 期 ( 増殖停止期 ) の細胞が増加し, G2/M 期 ( 増殖期 ) の細胞が有意に減少した ( 図 2) このことから,SLC35F2 遺伝子の発現抑制は, これらの細胞において細胞周期を停止させることによって細胞増殖を抑制することが示された 細胞と PC-9 細胞との間で相違が認められなかったことから,SLC35F2 遺伝子の発現抑制による増殖の低下は,EGFR の機能亢進型変異に依存していないことが示された SLC35F2 の発現状態がゲフィチニブ感受性に及ぼす影響ゲフィチニブのような EGFR-TKi は,EGFR に変異を持つ非小細胞肺がんに効果を示すが, 長期間投与すると EGFR の T79M 突然変異などの変異を招き,EGFR-TKi に対する薬剤耐性を獲得することが知られている PC-9 細胞をゲフィチニブによって長期間処理することにより, 耐性獲得細胞を樹立することができる PC-9 細胞を段階的に高濃度にしたゲフィチニブで処理することにより作成したゲフィチニブ耐性細胞では, ゲフィチニブの濃度が増加するに従い SLC35F2 遺伝子の発現は低下し,1 μm ゲフィチニブの耐性細胞では非耐性細胞の 74% まで遺伝子発現が低下した ( 図 3) このことから,SCL35F2 遺伝子の発現状態は,EGFR 変異細胞におけるゲフィチニブ耐性獲得と関連している可能性が示唆された そこで,EGFR 野生型と変異型の肺腺がん由来細胞で SLC35F2 遺伝子の発現抑制を行うことにより, ゲフィチニブ感受性に影響がみられるかどうかについて検討した ゲフィチニブ感受性の低い 細胞と, 感受性の高い PC-9 細胞のそれぞれについてゲフィチニブの IC 5 濃度決定を行ったところ, それぞれ 15 μm,.5 μm と算定されたため,RNAi 処理とともにこの濃度のゲフィチニブを添加することにより, ゲフィチニブ感受性に変化が見られるかどうかを検討した 図 4 に示したように, ゲフィチニブ処理による細胞増殖の阻害率は, 細胞ではコントロールが 28.5±7.5%,siRNA が 33.8±11.2%,PC-9 細胞ではコントロールが 86.5±1.4%,siRNA が 81.9±6.9% であり, いずれも有意差はみられなかった これらのことから, 細胞,PC-9 細胞ともに SLC35F2 の発現抑制ではゲフィチニブ感受性は変化せず,SLC35F2 はゲフィチニブの輸送には機能していないことが示唆された なお, 細胞と PC-9 細胞とで IC 5 濃度のゲフィチニブ処理による増殖阻害率が大きく異なっていたことは,RNAi による細胞の変化によりゲフィチニブに対する感受性が変動したためであると考えられる (%) 12 (%) G2/M 4 4 S G/G1 2 2 Fig. 2 Cell cycle progression of nd PC-9 cells treted with sirna for SLC35F2. Cells were seeded onto 12-well plte nd treted with ech sirna. The percentges of cells in G/G1, S, nd G2/M were determined t dy 4 y DNA content nlysis using propidium iodide nd n imge cytometer. Vlues shown re mens±sd otined from three experiments. Mens (G/G1 or S+G2/M) with different letters re significntly different (P <.5)., cells treted with control sirna; nd, cells treted with either of two sirna for SLC25F2. 83

5 B 群ビタミンが SLC35F2 発現抑制による細胞増殖低下に及ぼす影響 SLC35F2 の輸送基質は不明であるが,SLC35F メンバーの一つである SLC35F3 は, ビタミン B 1 ( チアミン ) の輸送機能を持つことが示されている 11) SLC35F2 の発現抑制による細胞増殖の低下がチアミンとそれに類似した構造を持つ B 群ビタミン 3 種 ( ピリドキシン, ナイアシン, ニコチンアミド ) によりレスキューできるかどうかを調べることにより,SLC35F2 がこれらのビタミンの輸送に関与しているかどうかを検討した それぞれのビタミンは培地中と同じ遊離型とし, 細胞増殖に大きな影響を与えない濃度として, 培地に含まれる濃度の 1 倍量を目安に SLC35F2 gene expression (% of control) * * Gefitini concentrtion (μm) Fig. 3 Gene expression of SLC25F2 in the gefitini-resistnt PC-9 cells. Cells were treted with,.1,.1 nd 1 μm gefitini nd the reltive mounts of SLC25F2 trnscript were determined y rel-time PCR method. Vlues shown re mens±sd otined from three experiments. Asterisks indicte significnt differences from cells treted with μm gefitini (Dunnett s test, P <.5). 1 μm となるように添加した 細胞及び PC-9 細胞を RNAi 処理するとともに B 群ビタミンのそれぞれを加え,4 日後に細胞増殖に与える影響を検討した 図 5 に示したように, 細胞,PC-9 細胞のどちらにおいても,B 群ビタミンのいずれも RNAi による細胞増殖の低下に大きな影響を与えなかった 今回の実験では,SLC35F2 によるこれらのビタミンの輸送活性や, 発現抑制による細胞内でのビタミン濃度の変化を測定していないことから,SLC35F2 がこれらのビタミンの輸送に関与しないかどうかについては確定していないが, 少なくとも SLC35F2 の発現抑制による細胞増殖の低下はこれらのビタミンの輸送とは関連していないものと考えられる また, ゲフィチニブ基本骨格であるキナゾリン環はこれらの B 群ビタミンと類似した構造をもつことから, これらの B 群ビタミンがゲフィチニブ感受性に及ぼす影響についても検討したが,,PC-9 細胞どちらの細胞においても B 群ビタミンの添加によってゲフィチニブ感受性に大きな変化は認められなかった ( データは不掲載 ) これらのことから, これらの細胞において B 群ビタミンはゲフィチニブの感受性にも影響しないものと考えられる 結論本研究は,SLC35F2 が非小細胞肺がんの増殖とゲフィチニブ感受性に及ぼす作用について明らかにすることを目的として行った 本研究の結果より, 非小細胞肺がん由来細胞において SLC35F2 遺伝子の発現を抑制することによって, 細胞周期が停止することにより細胞増殖が抑制されることが示された また, 細胞と機能亢進型の EGFR 変異を持つ PC-9 細胞との間で相違は認められなかったことから,SLC35F2 遺伝子の発現抑制による増殖 1.2 Asornce (A45) Gefitini +Gefitini 1. Gefitini +Gefitini. sirna. sirna Fig. 4 Gefitini sensitivity of nd PC-9 cells treted with sirna for SLC35F2. Cells were seeded onto 96-well plte nd treted with ech sirna nd the IC 5 doses of gefitini. The numer of cells ws quntified t dy 4 using WST-8 ssy. Vlues shown re mens±sd otined from three experiments., cells treted with control sirna; sirna, cells treted with for SLC25F2. 84

6 Asornce (A45) sirna.. None Thimine Pyridoxine Folic cid Nicotinmide None Thimine Pyridoxine Folic cid Nicotinmide Fig. 5 Effect of B-complex vitmins on the prolifertion of nd PC-9 cells treted with sirna for SLC35F2. Cells were seeded onto 96-well plte nd trnsfected with ech sirna nd B-complex vitmins. The numer of cells ws quntified t dy 4 using WST-8 ssy. Vlues shown re mens±sd otined from three experiments., cells treted with control sirna; sirna, cells treted with for SLC25F2. の低下は,EGFR の変異によらないことが示された 一方, SLC35F2 遺伝子の発現量はゲフィチニブ耐性 PC-9 細胞で低下していたことから,SLC35F2 はゲフィチニブ耐性獲得に関与する可能性が示唆されたが, 細胞,PC-9 細胞ともに SLC35F2 遺伝子の発現抑制によりゲフィチニブ感受性に変化が見られなかったことから,SLC35F2 はゲフィチニブの輸送には機能しないことが示唆された また, B 群ビタミンの添加は, 細胞と PC-9 細胞のいずれにおいても,SLC35F2 による増殖抑制にもゲフィチニブ感受性にも影響を与えなかった これらの結果から,SLC35F2 の発現状態は肺腺がん細胞の増殖に関与しているが, その作用は B 群ビタミンの輸送によるものではないものと考えらえる また, その作用は EGFR の変異に無関係であり, ゲフィチニブ感受性にも影響しない可能性が示された 参考文献 1) 神山伸, 西原祥子 (28) 糖ヌクレオチド輸送体 PAPS 輸送体による糖鎖合成の制御. 蛋白質核酸酵素 53: )Kmiym S, Sud T, Ued R, Suzuki M, Okuo R, Kikuchi N, Chi Y, Goto S, Toyod H, Sigo K, Wtne M, Nrimtsu H, Jigmi Y, Nishihr S (23) Moleculr cloning nd identifiction of 3 - phosphodenosine 5 -phosphosulfte trnsporter. J Biol Chem 278: )Kmiym S, Sski N, God E, Ui-Tei K, Sigo K, Nrimtsu H, Jigmi Y, Knngi R, Irimur T, Nishihr S (26) Moleculr cloning nd chrcteriztion of novel 3 -phosphodenosine 5 -phosphosulfte trnsporter, PAPST2. J Biol Chem 281: )Gillissen B, Burkle L, Andre B, Kuhn C, Rentsch D, Brndl B, Frommer WB (2) A new fmily of high-ffinity trnsporters for denine, cytosine, nd purine derivtives in Aridopsis. Plnt Cell 12: )Nishimur M, Suzuki S, Stoh T, Nito S (29) Tissue-specific mrna expression profiles of humn solute crrier 35 trnsporters. Drug Met Phrmcokinet 24: ) 神山伸, 曽根英行, 榎本秀一 (212)SLC35F ファミリー遺伝子の取得と機能解析. 人間生活学会誌 3: )Ashikov A, Routier F, Fuhlrott J, Helmus Y, Wild M, Gerrdy-Schhn R, Bkker H (25) The humn solute crrier gene SLC35B4 encodes ifunctionl nucleotide sugr trnsporter with specificity for UDP-xylose nd UDP-N-cetylglucosmine. J Biol Chem 28: )Kshiwy K, Hosokw M, Eguchi H, Ohigshi H, Ishikw O, Shinomur Y, Nkmur Y, Nkgw H (29) Identifiction of C2orf18, termed ANT2BP (ANT2-inding protein), s one of the key molecules involved in pncretic crcinogenesis. Cncer Sci 1: )Mtsuym R, Togo S, Shimizu D, Momiym N, 85

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