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1 上原記念生命科学財団研究報告集, 24(2010) 35. FGF21 を介した病態改善メカニズム 中川嘉 Key words:fgf21,creb-h, 生活習慣病, 脂質代謝 筑波大学大学院人間総合科学研究科診断生化学 緒言欧米先進各国では, 脂肪分摂取の増大などから摂取カロリー過剰と運動不足などにより消費カロリーの低下からエネルギー蓄積過剰の状態である肥満とそれに基づくメタボリックシンドロームの患者の増加が深刻な社会問題になっている. そのため, 肥満 メタボリックシンドロームの原因の解明とそれに基づく根本的な予防法や治療法の確立がきわめて重要である. 新たに膜結合型転写因子である CREB-H (cyclicamp response element-binding protein H) に着目している.CREB- H は炎症により惹起される小胞体ストレスにより発現誘導とともに膜領域の切断が引き起こされることで活性化し, 炎症反応で誘導される遺伝子群 (Serum amyloid peptide, C-reactive protein) の発現を上昇させる責任遺伝子であることが報告されている 1). 一方, 生活習慣病改善機能を有する新たなホルモンとして FGF21 が最近, 同定された.FGF21(Fibroblast growth factor 21) は絶食時および糖質欠如によりその発現量は上昇し, その発現は PPARα (Peroxisome proliferator-activated receptor α) によることが報告されている 2,3). また, 肥満モデルマウスへの FGF21 投与によりその病態が改善されることが明らかになっている 4). 本研究で CREB-H の機能としては生活習慣病を改善することを明らかにした. その改善機構の一つとして,CREB-H が FGF21 の発現を直接, 制御することによるものであり,CREB-H が新たな生活習慣病の治療標的となりえるのかを検討した. 方法および結果 CREB-H は肝臓に発現が限局し, その発現は栄養状態に依存し変化した. 絶食時に増加し, 再摂食時にはその発現は減少する. 生活習慣病モデルマウスである db/db マウスではこの栄養状態よる遺伝子発現制御が破綻している ( 図 1a). また, 核型 CREB-H のタンパク量は正常マウスであれば, 絶食時にのみ検出される. 一方, 正常マウスの再摂食時および db/db マウスでは検出できなかった. このことは CREB-H の発現が栄養状態で変動しエネルギー代謝の恒常性に機能することが推測される. CREB-H 組換えアデノウイルスを作製し, 正常 (C57B6J) マウスへ導入し生体への影響を検討した.CREB-H の発現量の増加に伴い, 体重, 摂食量, 血糖値, インスリン, 中性脂肪, コレステロールの低下が観察された. また, 脂肪重量, 肝重量, 筋肉量についても減少が見られた ( 図 1b). 1

2 図 1. 各マウスにおける CREB-H の発現と CREB-H アデノウイルス過剰発現に伴う変化. (a) 8 週令オス正常マウス (WT),db/db マウス (db/db) に絶食 24 時間 (F) とその後 12 時間再摂食させた肝臓での CREB-H の発現量をノーザンブロットにて解析 ( 上段 ), 核内 CREB-H タンパク量をウェスタンブロットにて解析 ( 下段 ). 活性型 CREB-H 組換えアデノウイルスを 8 週令オス正常マウスの肝臓に感染させ,6 日後に解析を行った. CREB-H は正常マウスの絶食時に発現とともに核内への移行がおこるが, 生活習慣病を呈する db/db マウスでのそのメカニズムが破たんしている.(b) 感染 6 日後の脂肪重量, 肝臓重量, 筋重量, 非脂肪重量, 脂肪重量, 血糖値, 摂餌量.CREB-H の過剰発現に伴い血糖値をはじめとする血清パラメーターは低下し, 摂餌量も低下した.*;p<0.05, **;p<0.01 これら効果の原因となりえる遺伝子を特定するため mrna アレイ解析を行ったところ, 著しい発現の増加を示す遺伝子として FGF21 を同定した.FGF21 は肝臓から分泌されるホルモンであり, 全身に作用し様々な影響を及ぼすことが明らかになっている. 実際,CREB-H の過剰発現により肝臓では FGF21 mrna が顕著に増加するとともに, 血中 FGF21 濃度も約 7 倍にまで増加していた ( 図 2a,b). 特に, 生活習慣病病態を改善する作用を有することから,CREB-H が示す効果が FGF21 を介する可能性を想定した. さらに, 遺伝子発現変動について検討した. 脂肪合成遺伝子である Fatty acid synthase の低下, コレステロール合成遺伝子 HMG CoA synthase および HMG CoA reductase の発現が低下しており, 血清での脂質 コレステロールの低下がこれら遺伝子発現低下によるものと考えられた ( 図 2a). また, 脂肪燃焼に関わる PPARα その共役因子 PGC-1α (Peroxisome proliferator-activated receptor-γ coactivator-1α) の発現が誘導されており, 中性脂肪の低下の一因と考えられた. さらに脂質 コレステロール合成系遺伝子群は全体として低下傾向にあり,CREB-H により肝臓における脂質 コレステロール代謝が低下している結果を示した. 2

3 図 2. CREB-H による遺伝子発現変化. 8 週令オス正常マウスに GFP アデノウイルス (GFP), 活性型 CREB-H アデノウイルス (CREB-H) を肝臓に感染させ,6 日後に肝臓を摘出しノーザンブロット法により遺伝子発現解析を行った (a). また, 血中 FGF21 を測定した (b). CREB-H アデノウイルスを感染させたマウスの肝臓では FGF21 の発現亢進とともに血中 FGF21 濃度が上昇した. CREB-H の効果が生活習慣病の改善に機能するかを, 生活習慣病のモデルマウスである KKAy マウスを用い解析を行っ た.CREB-H により KKAy の生活習慣病病態を改善し, 血糖値, 血中インスリン値, 血中中性脂肪, コレステロールは著し く低下した. その際, 肝臓および血中の FGF21 も増加した ( 図 3). 3

4 図 3 CREB-H は生活習慣病モデルマウス(KKAy)の病態を改善する. 8 週令オス KKAy マウスに GFP アデノウイルス (GFP) 活性型 CREB-H アデノウイルス (CREB-H) を肝臓に感 染させ 6 日後に肝臓を摘出しノーザンブロット法により遺伝子発現解析を行った.また 血中 FGF21 を測定した (a). その際の血中トリグリセライド コレステロール 遊離脂肪酸 (FFA) FGF21 血糖値 インスリンを測定した (b). CREB-H アデノウイルスを感染させたマウスの肝臓では FGF21 の発現亢進とともに血中 FGF21 濃度が上昇し 生活 習慣病発症に伴う血清パラメーターの上昇を低下させ 病態を改善した. *;p<0.05 CREB-H の発現制御について検討を行った CREB-H プロモーター上に PPARα が結合する PPRE が存在していることを 見出し プロモーター解析を行った Luc assay ChIP assay および EMSA assay からも PPARα が直接的に CREB-H の プロモーター活性を上昇させた 5)(図 4A) 逆に PPARα プロモーターに CREB-H が作用した (図 4B) CREB-H による FGF21 の発現誘導が直接的な作用か検討するため FGF21 のプロモーター解析を行った FGF21 プロモーター領域を用い た Luc assay, EMSA assay, ChIP assay で CREB-H が FGF21 プロモーターに作用することが示された (図 4C) 4

5 図 4 CREB-H PPARα FGF21 のプロモーター解析. CREB-H プロモーターを用い Luc EMSA ChIP assay を行った (a) PPARα プロモーターを用いた Luc assay で CREB-H の作用を検討した (b). FGF21 プロモーターを用い Luc EMSA ChIP assay を行い CREB-H の 作用を検討した (c) CREB-H プロモーターには PPARα が作用するとともに 逆に PPARα プロモーターには CREBH が作用しお互いが作用し合う結果となった また FGF21 プロモーターには CREB-H が直接作用する結果を得た. 考 察 CREB-H の生理的な機能としては FGF21 を含む遺伝子発現を制御し 血中中性脂肪 コレステロールを低下させる しか し 血糖値の低下については FGF21 の経路以外の他の経路によるものも存在すると推測された FGF21 は食事負荷による肥 満を改善することが報告されており CREB-H は FGF21 の発現制御を介し 生活習慣病に対する改善機能を有すると考えら れる FGF21 の発現に関わる転写因子として PPARα が報告されているが 2,3) CREB-H が新たな調節因子であることを明ら かにした さらに FGF21 の発現制御において PPARα と CREB-H には複雑なメカニズムが存在する PPARα と CREBH はそれぞれ FGF21 の発現を直接 制御するだけでなく PPARα と CREB-H は相互作用しながら調節を行っている PPARα は CREB-H の発現を また CREB-H は PPARα の発現をお互い制御しあう関係にあることが明らかとなった つま り CREB-H と PPARα ではオートループを形成し 活性を増強し合っているため どちらかが欠損してしまうとその活性化機 構が破綻してしまう FGF21 の活性化には両者が必要である 今後 CREB-H と PPARα の活性化機構を解明し 効率的に FGF21 を発現上昇させることで新たな生活習慣病の治療標的 の同定が可能になると考える 5

6 文献 1) Zhang, K., Shen, X., Wu, J., Sakaki, K., Saunders, T., Rutkowski, D. T., Back, S. H. & Kaufman, R. J.:Endoplasmic reticulum stress activates cleavage of CREBH to induce a systemic inflammatory response. Cell, 124: , ) Badman, M. K., Pissios, P., Kennedy, A. R., Koukos, G., Flier, J. S. & Maratos-Flier, E.:Hepatic fibroblast growth factor 21 is regulated by PPARα and is a key mediator of hepatic lipid metabolism in ketotic states. Cell Metab., 5: , ) Inagaki, T., Dutchak, P., Zhao, G., Ding, X., Gautron, L., Parameswara, V., Li, Y., Goetz, R., Mohammadi, M., Esser, V., Elmquist, J. K., Gerard, R. D., Burgess, S. C., Hammer, R. E., Mangelsdorf, D. J. & Kliewer, S. A.:Endocrine regulation of the fasting response by PPARα-mediated induction of fibroblast growth factor 21. Cell Metab., 5 : , ) Xu, J., Lloyd, D. J., Hale, C., Stanislaus, S., Chen, M., Sivits, G., Vonderfecht, S., Hecht, R., Li, Y. S., Lindberg, R. A., Chen, J. L., Jung, D. Y., Zhang, Z., Ko, H. J., Kim, J. K. & Veniant, M. M:Fibroblast growth factor 21 reverses hepatic steatosis, increases energy expenditure, and improves insulin sensitivity in diet-induced obese mice. Diabetes, 58: , ) Danno, H., Ishii, K. A., Nakagawa, Y., Mikami, M., Yamamoto, T., Yabe, S., Furusawa, M., Kumadaki, S., Watanabe, K., Shimizu, H., Matsuzaka, T., Kobayashi, K., Takahashi, A., Yatoh, S., Suzuki, H., Yamada, N. & Shimano, H.:The liver-enriched transcription factor CREBH is nutritionally regulated and activated by fatty acids and PPARα. Biochem. Biophys. Res Commun., 391: ,

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Microsoft Word - 運動が自閉症様行動とシナプス変性を改善する 運動が自閉症様行動とシナプス変性を改善する 1. 発表者 : 小山隆太 ( 東京大学大学院薬学系研究科薬学専攻准教授 ) 安藤めぐみ ( 東京大学大学院薬学系研究科薬科学専攻博士課程 2 年生 ) 柴田和輝 ( 東京大学大学院薬学系研究科薬科学専攻研究当時 : 博士課程 3 年生 ) 岡本和樹 ( 東京大学大学院薬学系研究科薬科学専攻研究当時 : 博士課程 3 年生 ) 小野寺純也 ( 東京大学大学院薬学系研究科薬科学専攻博士課程

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