携帯用位置指示無線標識 (PLB) の技術開発本基本開発は公益財団法人日本財団殿の助成事業として平成 23 年度 ~24 年度の2 年間日本船舶品質管理協会 / 太洋無線の共同開発で実施した内容に基づくものです 2

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とよみかみいしづ
5 years ago
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1 PLB(Personal Locator Beacon) の開発現状と展望について平成 27 年 5 月 22 日太洋無線株式会社

2 携帯用位置指示無線標識 (PLB) の技術開発本基本開発は公益財団法人日本財団殿の助成事業として平成 23 年度 ~24 年度の2 年間日本船舶品質管理協会 / 太洋無線の共同開発で実施した内容に基づくものです 2

3 衛星を利用した捜索救助システム捜索救助システムイメージコスパスサーサット衛星 SOS+緯度経度救助開始捜索中捜索救助機関 PLB 救助 200海里以内なら海上保安庁殿のビーチクラフト機が捜索開始から40分以内で遭難現場に到着 3

4 コスパスサーサットビーコンの種類 EPIRB( 非常用位置指示無線標識 ) (Emergency Position Indicating Radio Beacon) ELT( 航空機用救命無線機 ) (Emergency Locator Transmitter) PLB( 個人用捜索救助用ビーコン ) (Personal Locater Beacon) 船舶用航空用個人用 4

5 衛星システムの種類現在将来 (2017 年以降 ) 低軌道極軌道衛星 ( 地上約 1,000km) (LEOSAR) 5 静止衛星 ( 地上約 36,000km) (GEOSAR) 6 中軌道衛星 ( 地上約 20,000km) (MEOSAR) 75 ガリレオ GPS グローナスガリレオ運用実証衛星 (IOV) は 2012 年末より打上開始 5

6 世界の情勢 (1) 欧米では 2000 年頃より PLB を実運用している現在の第 1 世代の PLB は世界で 3 社が既に販売しているがリターンリンクに対応したものでは無い海外製第 1 世代 PLB 日本は法整備中であり早ければ今年中に運用開始!! 広く運用され始めたのはパリダカ - ルラリー! Kannad 社 ( 仏 ) McMurdo 社 ( 英 ) ACR 社 ( 米 ) 6

7 世界の情勢 (2) コスパスサーサット技術標準において現在のPLB 第 1 世代ビーコンにリターンリンク用送信プロトコルを正式に追加した ( 但し実際の検定は未実施 ) 第 1 世代ビーコンのリターンリンクの内容はアクノリッジメント1(ACK1:SOS 受信 ) および2(ACK2: 捜索救助開始 ) で審議中である第 2 世代ビーコンでは複数のリターンリンク情報が提案されており仕様決定に向けてコスパスサーサットでは 2008 年より専門家会合 (2014 年より作業班と改称 ) の開催を始めたその後毎年開催され仕様決定が加速している 7

8 世界の情勢 (3) コスパスサーサットビーコンの実働数推移と今後の予測台数EPIRB 総数 ELT PLB コスパスサーサット合同委員会資料より EPIRB ELT PLB の中では今後 PLB の伸びが一番大きく 2014 年には総数で一番多くなる予想 2011 年には PLB による捜索救助は 180 件行なわれ 291 名が救助されている 8

9 ここここここここここここここここここ第 2 世代ビーコン - リターンリンク機能とは - 測位信号リターンリンクメッセージ捜索救助システム SAR/ ガリレオ衛星救助活動優れた点生存意欲の向上ビーコンの 2 種類のリターンリンクで遭難信号が受信されたこと捜索救助活動が開始されたことが遭難者にわかる遭難信号捜索救助用ビーコンリターンリンクメッセージサービスプロバイダ地上受信局救難調整本部弊社は準天頂衛星 ( みちびき ) でリターンリンク試験を行う実証試験を電波産業会殿と共同で平成 22~23 年度に実施して成功した ( 文部科学省殿 : 準天頂衛星に関する公募案件 ) 9

10 我が国の情勢 (1) PLB は国内に導入される準備中!! 法整備がなされていない国産 PLB が無い市場のニーズ救命救難機器搭載義務のない小型船舶の沈没あるいは乗組員の海面落下事故に対応する需要は大きい PLB の実用化! 年内? 太洋無線は PLB 開発に伴い海上における PLB の早期法整備化と実運用開始を関係省庁と協力しています 10

11 我が国の情勢 (2) 平成 13 年度に日本海難防止協会殿が行なった非 GMDSS 船遭難時における連絡手段の確保等に関する調査研究事業では PLBによる5 海里超の遭難時の救助有効性は非常に高いと提言している同調査研究のアンケート調査によれば小型船舶市場のユーザーは EPIRBの有効性を認めているものの高価格大きさ及び装備義務のないことから導入を控えている同じ406MHz 帯を使用するPLBは装備義務が無くとも低価格小型で市場のニーズに合致しているため潜在需要は高い平成年度に総務省殿が行なった衛星通信を利用した個人用捜索救助システムに関する調査検討会では次の理由により海上を優先してPLBを導入するよう提言している既存のEPIRBの搭載義務のない船舶が容易に購入できるようになり安全の増進につながる配信システムが既存のまま (EPIRBと同じ) でよいので迅速に導入できる 11

12 ( 全工協殿会員? 品管協殿会員?) 我が国の情勢 (3) 平成 26 年 5 月 21 日総務省殿情報通信審議会情報通信技術分科会においてPLBの技術的条件について制度化を前提に検討が開始されることが審議承認された平成 26 年 12 月 9 日総務省殿情報通信審議会情報通信技術分科会で PLBの技術的条件が答申された平成 27 年 5 月 13 日総務省殿電波監理審議会でPLBの技術的条件が答申された平成 27 年 5 月 19 日テレコムエンジニアリングセンターにてPLBの技適試験内容の検討会が開催された残作業は運用面の決定のみ!! 保守サービスをどうするか検討課題 12

我が国の情勢 (4) 海の緊急通報 118 海上における携帯電話 (docomo) のカバーエリア海上における携帯電話のカバーエリアは第 2 世代携帯電話 (MOVA) 時代には非常に広かったもののこれが第 3 世代 (FOMA) に移行するにつれ周波数等の問題により逆に狭まる傾向にある第 2 世代携帯 (2012 年 3 月末に終了 ) 118 番受付状況項目通報数 ( 通 )

13 我が国の情勢 (4) 海の緊急通報 118 海上における携帯電話 (docomo) のカバーエリア海上における携帯電話のカバーエリアは第 2 世代携帯電話 (MOVA) 時代には非常に広かったもののこれが第 3 世代 (FOMA) に移行するにつれ周波数等の問題により逆に狭まる傾向にある第 2 世代携帯 (2012 年 3 月末に終了 ) 118 番受付状況項目通報数 ( 通 ) 割合 (%) 船舶海難関係通報 15, % 人身事故関係通報 9, % 第 3 世代携帯 (KDDI(au) も同様のエリアであり第 2 世代は 2012 年 7 月 24 日に終了 ) 小型船舶は 118 には頼れない! 海難関係以外の通報 29, % 間違い電話等 7,031, % 合計 7,085, % 運用開始 ( 平成 12 年 5 月 1 日 ) から平成 22 年 7 月 31 日までの状況 118 番の海難関係の通報は全体の 0.3% である 13

14 PLB の技術開発平成 23 年度は筐体を試作し電気回路は基本設計を行った基板は試作レベルで筐体に納めるサイズでは無かったアンテナや電池などの基本パーツの選定や最適なGNSS (GPS 等の衛星を用いた測位システムの総称 ) の位置更新方法精度省電力化の確立などの基本設計に費やした平成 24 年度は筐体を簡易型で製作し電気回路の小型化を行い全てを筐体に納めて実用モデルの試作を行った目標であった技術課題を全てクリア!!

15 開発した PLB( 概要 1) 目標と結果項目目標結果本体の小型化 450 グラム以下 160 グラム 2 周波共用アンテナと筐体への収納性アンテナ長 400mm 以下 267mm 低消費電力化位置情報の送出浮揚性低価格化 -20 において 24 時間以上動作 GNSS 受信機内蔵水に浮く ( ケースに収納して浮く ) 10 万円以下 29 時間 36 分動作疑似ガリレオ受信機内蔵ケースに収納して浮く量産により達成可能世界最小 ( 自社比較 ) 15

16 開発した PLB( 概要 2) 小型軽量ポケットに入れたりベルトなどに装着 ( 製品化時 ) できます水に浮く万一水中に落としても沈みません ( 浮揚性のケースと離れないようストラップ ) 簡単操作アンテナを引き出しスイッチカバーを割り電源スイッチを 2 秒以上押すことで起動します 16

テストスイッチ蓋を付けるアンテナはここに巻き付けるスイッチ位置は検討中有力候補メインスイッチ LED

17 開発した PLB( 小型化 1) 提案時の目標サイズ : 奥行 37mm 幅 58mm 高さ 147 mm 検討時の目標サイズ : 奥行 34mm 幅 47mm 高さ 106 mm LED 表示リターンリンク案 1 案 2 テストスイッチ蓋を付けるアンテナはここに巻き付けるスイッチ位置は検討中有力候補メインスイッチ LED 表示リターンリンクテストスイッチアンテナ開発中に奥行 33mm 幅 48mm 高さ99 mmの製品が米国から発売されたため更なる小型化を目指した 17

18 開発した PLB( 小型化 2) 世界最小 ( 自社比 ) の達成奥行幅高さ米国製 PLB 33mm 48mm 99mm 本開発のPLB 32mm 47mm 98mm 18

コネクタ電池電源 IC 406MHz 帯 PLL 406MHz 帯 DTCXO EEPROM

19 開発した PLB( 小型化 3 基板 ) アンテナ端子同調回路電源 LED TEST LED 121.5MHz PA 406MHz 帯 HPA 406MHz 帯ドライバー ACK1/2 LED スイッチコネクタコネクタ電池電源 IC 406MHz 帯 PLL 406MHz 帯 DTCXO EEPROM 光通信疑似ガリレオ受信機測位 LED 121.5MHz 発振器 CPU 基板は 1 枚でネジ止め無し大きさ幅 41mm 高さ 90.5mm 19

20 開発した PLB( 各部 1) アンテナ PLB 50 グランドプレーン -3dBi ~ +4dBi グランドプレーンの有無に依存しない安定したパターンの 2 周波アンテナ 10 PLB に最適な GNSS の位置更新方法精度省電力化の確立アンテナ長は 267mm で固定国際位置プロトコルとシリアル位置プロトコルをベースとした送信フォーマットの確定アンテナ収納方法の確立筐体との接続方法の確立位置情報を付加したロングメッセージの測定法確立浮く筐体の開発 ( ケースに収納 ) 20

21 開発した PLB( 各部 2) 低消費電力化を図った 406MHz 帯と 121.5MHz の 2 周波送信機の設計 ( アンテナ同調回路内蔵 ) 将来のリターンリンク機能を視野に入れた制御部の設計 (ACK1 ACK2 に対応 ) 位置情報を付加したロングメッセージの送信に対応するソフトウェアの開発 -20 で 24 時間以上動作するように電池の選定およびパック化 (CR123 2 セルを 2 パック ) コスパスサーサット規格に合致しているか性能評価 21

22 開発した PLB( 各部 3) ネジは 2 ヶ所のみアンテナはこの位置で固定基板は筐体構造で保持丸みを帯びたデザインスイッチカバーを折ってから起動! アンテナ収納性の向上起動スイッチテストスイッチ起動時は起動したことが判るしるしを残す構造とし起動には独立した 2 つ以上の操作が不可避な手順とすることで誤操作による PLB 誤発射は原理的に発生しない 22

23 開発した PLB( 各部 4) 遭難時の操作動作内容遭難時アンテナを伸張スイッチカバーを折る! 起動スイッチをON LED 点滅開始測位開始 (5 分間隔で更新 ) 50 秒後に遭難信号発射 406MHz 帯は約 50 秒間隔で緯度経度情報を付加した 0.52 秒のバースト送信 121.5MHz は連続送信測位時はリターンリンク受信 29 時間 36 分連続動作停止スイッチカバーは修復不可! 電池交換と同時実施!? 23

24 開発した PLB( 各部 5) リターンリンク試験放射アンテナケーブル接続位置情報ケーブル接続 GNSS シミュレータ疑似 ACK1 信号疑似 ACK2 信号 PLB 符号解析器 ACK1 : 緑色 LED 点滅 ACK2 : 緑色 LED 点灯 24

25 今後の事業商用化計画 (1) 第一世代ビーコン ( リターンリンク無し ) の製品化今回開発した PLB は現行の第一世代ビーコン仕様 PLB への転用ができます日本国内の法整備および省庁間の情報配信システムが出来次第第一世代ビーコン仕様の PLB 製品が提供できるように準備いたします現行のCospas-Sarsat 仕様への合致早期に製品化対応と開発時から変わった国際規格に適合させ早期に国際検定を受検する GNSS テストの通常のテストから操作の独立化および回数制限追加 121.5MHz 送信のテスト化独立した送信表示追加 25

26 今後の事業商用化計画 (2) 第二世代ビーコン ( リターンリンク有り ) の製品化リターンリンクが運用可能となるMEOSARシステムの正式運用は2020 年 ~2021 年まで遅れる可能性があります従って開発したリターンリンク付きPLBの製品化運用は困難な状況になっております例えば我が国内部のみの運用に限り独自の衛星を用いた運用を先行で開始することも国民の安全確保救命救助の面で有効かと存じます 26

27 期待される成果 (1) 国内の船舶種類別事故隻数の推移プレジャーボート漁船の事故が全体の 73% と突出している漁船の 94% は 20 トン未満平成 23 年度の船舶事故による死者行方不明者は 108 名 ( 過去 5 年間で最少 ) 事故の多数を占める小型船舶の海難事故において PLB の導入により多くの救命が期待される海上保安庁殿平成 23 年における海難の発生と救助の状況より抜粋 27

28 期待される成果 (2) 要救助海難発生救助状況表区分平成 23 年度区分隻総トン数人要救助海難発生数 1, ,578 7,792 当庁救助 ( 当庁以外のものとの協力を含む ) ,719 1,785 当庁以外のものの救助 ,361 3,407 自力入港 ,988 2,579 全損行方不明 ,510 - 海難に伴う死者行方不明者平成 23 年版海上保安庁殿統計年報救難統計海上保安庁殿の救助実績は非常に高く遭難信号が直接海上保安庁殿に届く PLB は小型船舶の海難救助に大きく貢献することが期待される 28

29 PLB の対象船舶 PLB 対象の小型船舶は 19 万隻日本小型船舶検査機構に登録している小型船舶は漁ろう沿海近海を除いても 40 万隻以上その内限定沿海 5 海里超と第 1 種小型漁船の合計 19 万余隻が PLB の市場第 1 種小型漁船 2% 遊漁船 2% プレジャーヨット 4% 小型兼用船 24% その他 5% プレジャーモーターボート 63% 29

30 太洋無線の PLB に対する期待 EPIRB で培ったコスパスサーサット 406MHz 帯ビーコンに対する技術を利用した PLB の法整備に協力同期させ製品化を行う漁船プレジャーボートヨットなどの EPIRB が搭載されていない小型船舶に普及させて海の安心安全の向上に寄与したい 30

31 ご清聴ありがとうございました太洋無線株式会社 31

個人用捜索救助用ビーコン (PLB) の技術開発報告書平成 25 年 3 月一般社団法人日本船舶品質管理協会

個人用捜索救助用ビーコン (PLB) の技術開発報告書平成 25 年 3 月一般社団法人日本船舶品質管理協会個人用捜索救助用ビーコン (PLB) の技術開発報告書平成 25 年 3 月一般社団法人日本船舶品質管理協会目次第 1 章事業の背景および目的 1.1 コスパスサーサットシステムの変遷に関する概要 1 1.2 コスパスサーサットシステムの捜索救助用ビーコン 4 1.3 リターンリンクとは 5 1.4 我が国におけるリターンリンクシステム 6 1.5 技術開発の目的 6 第 2

携帯用位置指示無線標識 (PLB) の技術開発 本基本開発は 公益財団法人日本財団殿の助成事業として平成 23 年度 ~24 年度の2 年間 日本船舶品質管理協会 / 太洋無線の共同開発で実施した内容に基づくものです 2

携帯用位置指示無線標識 (PLB) の技術開発本基本開発は公益財団法人日本財団殿の助成事業として平成 23 年度 ~24 年度の2 年間日本船舶品質管理協会 / 太洋無線の共同開発で実施した内容に基づくものです 2