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1 上原記念生命科学財団研究報告集, 26 (2012) 170. 加齢が早産を誘発する分子機序の解明 廣田泰 Key words: 早産,p53, 細胞老化,mTOR,p21 東京大学医学部産婦人科 緒言近年の社会 教育 経済環境やライフスタイルの変化によって,30 代後半で挙児希望を持つ女性が増加し, 出産年齢の高齢化が進んでいる.35 歳以上の高齢妊娠は早産のハイリスク群である. しかしながら高齢妊娠に伴う早産のメカニズムについてはほとんど判っていない. 早産の原因として, 感染 炎症, 子宮の過伸展, 子宮頸菅の異常などが考えられているが, 詳細は未だ明らかでなく, 早産に対する新たな視点からの基礎研究の展開が緊急の課題と考えられる 1). 私たちは最近, プロスタグランディン合成酵素 cyclooxygenase-2(cox2) により合成された PGF2α による子宮局所の炎症で誘起される新しいマウスモデルを開発した 2). ゲノムの門番 といわれる癌抑制遺伝子蛋白 p53 をコードする癌抑制遺伝子 Trp53 を 2 つの loxp サイトで挟んだマウス (Trp53 ) とプロゲステロンレセプターのプロモーター特異的に Cre リコンビナーゼを産生するマウス (Pgr Cre/+ ) 3) を交配させて作製した Trp53 Pgr Cre/+ マウスは p53 を子宮特異的に欠損しており, 新生仔死を伴う早産を自然発症した. 興味深いことに, 細胞老化マーカーである senescence-associated β- galactosidase (SA-β-gal) 染色により,p53 欠損の脱落膜細胞 ( 胎盤の一部を形成する母体由来の子宮内膜間質細胞 ) で細胞老化が促進されていた. このマウスモデルは, 陣痛の発来機構の研究や早産予防や治療ストラテジー確立のための基礎研究にきわめて有用なものであると考えられる. また, この早産モデルのマウスの子宮には細胞老化が認められており, 疫学的にヒトの分娩年齢の上昇は早産のリスク増加をもたらすという報告やマウスでは p53 活性が加齢によって低下するという報告と合わせると, 母体の加齢が p53 低下を介して子宮老化をもたらし, 早産を誘発している可能性が考えられる. この仮説をもとに, 本研究では子宮の老化が早産の病因となる可能性及びそのメカニズムを追求することを目指し研究を行った. 方法および結果これまでの研究から,p53 欠損子宮では Cdkn1a 遺伝子でコードされるサイクリンキナーゼインヒビター p21 の増加と Akt の活性化が認められたことから,p53 が欠失した子宮の脱落膜細胞での p21 増加と Akt 活性化が細胞老化による脱落膜の形成異常と最終分化を誘導している可能性が考えられた ( 脱落膜細胞とは胎盤の一部を形成する母体由来の子宮内膜間質細胞で, 着床の際の胚の刺激により分化を開始し脱落膜細胞となる ) 2). 分娩直前の p53 欠損子宮では COX2, プロスタグランディン F2α 合成酵素 PGF synthase(pgfs) および PGF2α が増加しており,COX2-PGFS-PGF2α 経路が早産の直接の誘因と考えられた 2). 本研究ではまず最初に, p53 欠損の子宮 ( 脱落膜 ) において mammalian target of rapamycin complex 1(mTORC1) 活性化の下流のシグナル因子である S6 リン酸化 (ps6) を検討したところ,pS6 発現の亢進が認められ, mammalian target of rapamycin(mtor) の活性化が起こっていると考えられた ( 図 1) 4). 1

2 図 1 mtorc1 活性は p53 欠損子宮において亢進する リン酸化 S6 ps6 は mtorc1 の活性化の指標として用いられる 脱落膜 decidua =妊娠により分化した子宮内 膜間質細胞 Trp53 Trp53 =コントロール Pgr Cre/+=子宮特異的 p53 欠損マウス mtor は Akt の下流のシグナル経路として知られており この早産モデルの子宮における Akt-mTOR 経路の活性化が推 測された 近年 mtor シグナルの細胞老化への関与が指摘され mtor 活性の阻害剤であるラパマイシン投与が寿命の延 長に寄与する可能性も報告されていることから この早産モデルでの mtor-細胞老化の経路の活性化が推測された そこで 子宮 特に脱落膜における Akt-mTORC1-p21-細胞老化-COX2-PGFS-PGF2α という経路が早産発症に関わっているとい う仮説のもとに研究を進めることとした p53 欠損子宮の Akt および S6 のリン酸化亢進は Akt-mTORC1 経路の活性化を示唆していることから 次に mtorc1 阻 害剤ラパマイシンを妊娠 8 10 および 12 日目に子宮特異的 p53 欠損マウスに投与し 0.25 mg/kg/day 分娩の表現型を 検討した その結果 ラパマイシン投与にて p53 欠損マウスの早産が完全に抑制されることが分かった 図 2)4) 図 2 mtorc1 阻害剤ラパマイシンは p53 欠損マウスの早産および新生仔死亡を抑制する 妊娠 19 日目未満の分娩を早産と定義する 統計学的解析は Fisher's exact probability test および two-tailed Student t test を使用した *, p<0.05 (vs Trp53 treatment). 2 with vehicle treatment); **, p<0.05 (vs Trp53 Pgr Cre/+ with vehicle

3 ラパマイシン処理後の分娩前 妊娠 16 日目 の子宮を用いて 脱落膜細胞を細胞老化マーカーである SA-β-gal 染色に 加えて p21 COX2 PGFS の発現定量を行ったところ 細胞老化に加えて p21 COX2 および PGFS 発現が抑制されて いることがわかった 4) さらに子宮老化が早産の誘因である可能性を示すために 子宮特異的 p53 欠損マウスを用いた早産モデルを応用し 細胞 老化の極めて重要な調節因子である p21 の発現が p53 欠損子宮で上昇していることから 子宮特異的 p53 欠損に加えて p21 欠損を伴うマウス Cdkn1a Trp53 Pgr Cre/+ を作製し p21 上昇に伴う子宮老化を抑制した場合に得られる分娩の 表現型について解析した 興味深いことに 早産の表現型が p21 欠損によって改善され p53/p21 の 2 重欠損マウスでは早産 が完全に抑制された 図 3)4) -/- 図 3 p53 欠損マウスの早産は p21 をさらに欠損させることにより抑制される Cdkn1a は p21 をコードする遺伝子である Trp53 =コントロール Trp53 Pgr Cre/+=p53 欠損 Cdkn1a -/-Trp53 =p21 欠損 Cdkn1a -/-Trp53 Pgr Cre/+=p53 p21 の 2 重欠損 統計学的解析は Fisher's exact probability test および two-tailed Student t test を使用した *, p<0.05 (vs Trp53 ); **, p<0.05 (vs Trp53 Pgr Cre/+). また p53/p21 の 2 重欠損マウスの分娩前の子宮では 脱落膜の細胞老化が抑制され 図 4a) COX2 PGFS の発現が 抑制されたが mtorc1 活性は抑制されなかった 図 4b)4) 図 4a p53 欠損子宮における SA-β-gal 活性増加は p21 欠損を伴うと抑制される Dec=脱落膜 Scale bar=500μm 3

4 図 4b. p53 欠損子宮の COX2 および PGFS 発現の亢進は p21 欠損が重なると抑制されるが,mTORC1 活性化は抑制されない. Western blot 法による検討.li-PGFS=liver type PGFS, lu-pgfs=lung type PGFS. 統計学的解析は,twotailed Student t test を使用した.*, p<0.05 (vs Trp53 ). 以上の結果から,p53 欠損マウスの脱落膜における Akt-mTORC1-p21- 細胞老化 -COX2-PGFS-PGF2α という経路が 早産発症に関わっていることが推測された 4). 考察 本研究において, Akt-mTOR のシグナル経路や p21 が誘導する細胞老化の経路が鍵を握る因子と考えられた. 近年 mtor シグナルの細胞老化への関与が指摘され, mtor 活性の阻害剤であるラパマイシン投与が加齢変化の抑制, 寿命の延長に寄 与する可能性も報告されていることを合わせて考えると, mtor は加齢に伴う早産の興味深いターゲットになると考えられた 5). ま た, 細胞老化の調節因子として知られる p21 の発現が p53 欠損子宮で増加し, その p21 を欠損させると子宮の細胞老化およ び早産を抑制したことから, 細胞老化と早産との関係が強く示唆された 5). このように, 本研究により子宮老化が早産および分娩に与える影響が推測された 5). 現在ヒト検体を用いて, マウスモデルか ら得られた加齢に関わる因子と早産との関係について調べ, 臨床医学へのフィードバックを検討しているところである. 本研究か ら見出した知見を基に, 将来的には治療ターゲット分子の選別, 早産リスクのスクリーニングや新しい治療法の開発を目指して いきたいと考えている. またマウスモデルを用いた in vivo の検討から得られる情報のインパクトは非常に大きく, 本研究で得ら れた成果は今後の生殖医学研究に多大な影響を与えるものと考えている. 共同研究者 本研究の共同研究者は, 東京大学医学部産婦人科の武谷雄二, 上妻志郎, 大須賀穣, 藤田知子, 江頭真宏, シンシナティ 小児病院の S. K. Dey である. 本稿を終えるにあたり, 本研究を御支援頂きました上原記念生命科学財団に深謝申し上げま す. 文献 1) Hirota, Y., Cha, J. & Dey, S. K.:Revisiting reproduction: Prematurity and the puzzle of progesterone resistance. Nat. Med., 16: , ) Hirota, Y., Daikoku, T., Tranguch, S., Xie, H., Bradshow, H. B. & Dey, S. K.:Uterine-specific p53 deficiency confers premature uterine senescence and promotes preterm birth in mice. J. Clin. Invest., 120: , ) Daikoku, T., Cha, J., Sun, X., Tranguch, S., Xie, H., Fujita, T., Hirota, Y., Lydon, J., DeMayo, F., Maxson, R. & Dey, S. K.:Conditional deletion of MSX homeobox genes in the uterus inhibits blastocyst implantation by altering uterine receptivity. Dev. Cell, 21: ,

5 4) Hirota, Y., Cha, J., Yoshie, M., Daikoku, T. & Dey, S. K.:Heightened uterine mammalian target of rapamycin complex 1 (mtorc1) signaling provokes preterm birth in mice. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 108: , ) Cha, J., Hirota, Y. & Dey, S. K.:Sensing senescence in preterm birth. Cell Cycle, 11: ,

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