核内受容体遺伝子の分子生物学

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1 核内受容体遺伝子の分子生物学 佐賀大学農学部 助教授和田康彦

2 本講義のねらい 核内受容体を例として脊椎動物における分子生物学的な思考方法を体得する 核内受容体遺伝子を例として脊椎動物における遺伝子解析手法を概観する 脊椎動物における核内受容体遺伝子の役割について理解する ヒトや家畜における核内受容体遺伝子研究の応用について理解する

3 セントラルドグマ ゲノム DNA から相補的な m RNA( メッセンシ ャー RNA) が転写される mrnaは核外に出て その塩基配列に従ってアミノ酸が配置されて タンパク質が生成される 真核生物のほとんどの遺伝子はアミノ酸に翻訳されるエキソンと翻訳されないイントロンに分けられる ゲノムDNA mrna 核外に移行するタンパク質の生成

4 遺伝子工学的手法の利点 DNA と RNA という性質の良く似た 2 つの分子のみをメインに扱えば良い DNA は丁寧に扱えば分解しない cdna の塩基配列を解読すればアミノ酸配列がわかる DNA や RNA を増幅したり切断したり結合したりすることが簡単にできる 統一的に情報をデータベースに整理できる DNA タンパク質生理作用の順に研究を進めることができる

5 cdna ライブラリ 各組織 細胞から mrna を抽出する mrna を逆転写して cdna を作成する cdnaをプラスミドやラムダファージに組み込む プラスミドやラムダーファージを大腸菌の中で増幅する

6 分子生物学的アプローチ まず遺伝子を探す cdna ライブラリのスクリーニング 塩基配列を決定する アミノ酸配列がわかる 遺伝子の発現を調べる 臓器別 組織別 細胞別 発生時期別 動物種別 遺伝子間の相互作用を調べる リガンドとレセプター 転写制御

7 ビタミン ヒトが体外から取り入れないといけない微量栄養素 栄養素のうちで糖質 脂肪 アミノ酸 無機質以外の有機物 脂溶性ビタミン (A,D,E,K) と水溶性ビタミン (B,C) ビタミン様作用因子に分けられる ビタミンA,Dは核内受容体を通して いろいろな遺伝子の転写制御を行っている

8 ホルモン 生体内の特定の細胞で生産 分泌される 体液を通して標的細胞を刺激する 体液を通した情報伝達の媒体 ホルモンの種類は全脊椎動物で共通 ステロイドホルモンや甲状腺ホルモンは核内受容体を通して いろいろな遺伝子の転写制御を行っている 血管 ホルモン分泌細胞 ルホモルンモンホ標的細胞 リンパ管

9 受容体 ( レセプター ) 生体内で各種の信号を生化学的に伝達するセンサーの役割を持つタンパク質 リガンドが結合することによって下流への信号を ON/OFFする 細胞膜上に存在するもの 細胞質中に存在するもの 核内に存在するものなど多数あり 生体内で非常に重要な作用をしており 医学 薬学 農学などの応用面でも重要 情報伝達物質 ( リガンド ) 受容体 ( レセプター ) 他の物質への情報伝達または他の遺伝子の転写制御

10 水溶性リガンド 細胞膜を貫通できないので受容体は細胞膜上になければいけない 受容体を通して細胞内へ情報伝達されるスピードが速い 血中での半減期が短く すぐに分解される (1 日以内 ) 血中濃度 血中での動態が情報伝達を左右する

11 脂溶性リガンド 輸送タンパク質などに包み込まれた形で体液内を移動する 細胞膜を貫通できるので受容体は細胞質もしくは核内に存在する 受容体を通して細胞内へ情報伝達されるスピードが遅い 血中での半減期が長く すぐには分解されない 余分なリガンドが脂肪細胞中に蓄積されやすい 過剰摂取による副作用がある

12 核内受容体 おもに核内に存在する受容体 ゲノム DNA 上の標的配列に結合する ステロイドホルモンやビタミン D のような低分子脂溶性物質をリガンドとする 標的配列近傍の遺伝子の転写を制御する 1つの遺伝子から多くの核内受容体遺伝子群が進化したらしい リガンドはさまざま 生理作用も多様

13 転写制御因子としての核内受容体 核内受容体にリガンドが結合することによって近傍の遺伝子の転写 (mrnaの生成) を制御する 転写を促進する場合も抑制する場合もある 核内受容体が他の転写制御因子の転写を制御する場合もある 脂溶性リガンド タンパク質 転写制御因子 核内受容体 転写制御 mrna ゲノム DNA 標的エンハンサー配列 遺伝子領域

14 核内受容体の構造 DNA 結合領域 (C 領域 ) とリガンド結合領域 (E 領域 ) を持つ DNA 結合領域には 2 つの Zn フィンガー構造を持つ おもに N 末端側の A/B 領域が異なる NH 3 COOH A/B 領域 C 領域 D 領域 E 領域 F 領域 C C Zn C C Zn フィンガー構造

15 核内受容体の種類 クラス 1 レチノイド ( ビタミン A 誘導体 ) 受容体 ビタミン D 受容体 甲状腺ホルモン受容体など クラス 2 レチノイド ( ビタミン A 誘導体 ) 受容体 クラス 3 ステロイドホルモン ( エストロゲン アンドロゲンなど ) の受容体 その他

16 分子系統樹 アミノ酸配列または DNA 塩基配列をもとに作成した系統樹 個々の遺伝子の進化の系譜を種を超えて示している 短い配列では正しい系統樹が描けない 古い分岐は正しく推定できない場合がある 近隣結合法や最尤法で推定する

17 核内受容体遺伝子の分子系統樹 クラス 1 遺伝子群 クラス 2 遺伝子 エストロゲンレセプター (ESR) ESR 以外のステロイドホルモンレセプター

18 選択的スプライシング 真核生物では一般にゲノム上のイントロン領域が削除された mrna が核外に移行する 使用されるエキソンが異なる場合や 転写開始点が異なる場合があり これらは異なるタンパク質をコードしている エキソン 1 エキソン 2 エキソン 3 エキソン 4 ノーマルタイプの mrna エキソン 3 を持たない mrna エキソン 2 の途中に転写開始点がある mrna

19 核内受容体遺伝子の構造 コーディング領域は 2kbp 弱 多くの場合 長大な遺伝子領域を持ち タンパク質コーディング領域はたくさんのエキソンに分割されている 翻訳開始点が異なるアイソフォームを持つことが多い 選択的スプライシング ( エキソンの使い分け ) が行われる場合もある ニワトリプロゲステロン受容体遺伝子領域 40kbp エキソン 8 個アイソフォーム 2 種マウスレチノール酸受容体 α 遺伝子領域 24kbp エキソン 9 個アイソフォーム 7 種

20 標的エンハンサー配列 核内受容体の DNA 結合領域が結合するゲノム DNA 上の塩基配列 核内受容体と標的エンハンサー配列は共進化している パリンドローム型標的配列 エストロゲンレセプターの標的配列 AGGTCAXXXTGACCT ダイレクトリピート型標的配列 甲状腺ホルモンレセプターの標的配列 AGGTCAXXXXAGGTCA

21 創薬のターゲットとしての核内受容体 低分子脂溶性物質は薬にしやすい ホルモンやビタミンの代謝異常などのトラブルによる病気が多い 核内受容体が隘路であってキー分子である レセプターに結合して 本来のリガンドに代わって信号を伝達する物質をアゴニストと呼ぶ レセプターに結合して本来のリガンドの結合を阻害する物質をアンタゴニストと呼ぶ

22 アゴニストとアンタゴニスト アゴニスト アンタゴニスト 本来のリガンドと同等もしくは強い効果を持つ 本来のリガンドが結合できない

23 天然ステロイドと環境ホルモン 野草やハーブなどには天然ステロイドが含まれていることがある 天然ステロイドはステロイドホルモン受容体などのアゴニストやアンタゴニストとなって生体内分泌機能を撹乱することがある 人工的に作られた化学物質の中にも同様の機構で内分泌機能を撹乱するものがある 最近ではこれらを総称して環境ホルモンと呼ぶことがある 環境ホルモンは同様の機構で薬の薬理作用を阻害する場合がある

24 核内受容体のまとめ 核内のゲノム DNA の標的配列に結合するタンパク質 ステロイドホルモンなどの脂溶性リガンドの受容体 ( レセプター ) 脂溶性リガンドの生理作用をになう転写制御因子 多くの遺伝子ファミリーを持つスーパーファミリーを形成 リガンドが未知の核内受容体が多い 創薬のターゲット遺伝子群の1つ リガンドの生理作用のない臓器や組織でも発現している ( 未知の機能?)

25 レポートの課題 核内受容体の機能と構造について分子生物学的な見地から 800 字程度で説明しなさい

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