技術者のための構造力学 5 線形座屈理論概説, 講習会資料目次. はじめに. 基礎式の一覧 6. バネの関係式 6. 柱の関係式 6. はりのたわみの微分方程式 6. 板のたわみの微分方程式 7.5 柱の座屈の微分方程式 7.6 板の座屈の微分方程式 8.7 補剛板の座屈の微分方程式 8. 微分方程

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1 技術者のための構造力学 5 技術者のための構造力学 線形座屈理論概説 Rev. 5.. 加藤久人三好崇夫

2 技術者のための構造力学 5 線形座屈理論概説, 講習会資料目次. はじめに. 基礎式の一覧 6. バネの関係式 6. 柱の関係式 6. はりのたわみの微分方程式 6. 板のたわみの微分方程式 7.5 柱の座屈の微分方程式 7.6 板の座屈の微分方程式 8.7 補剛板の座屈の微分方程式 8. 微分方程式の式の誘導 9. はりのたわみの微分方程式 9. 板のたわみの微分方程式... 応力とひずみの関係.. たわみとひずみ, 応力の関係.. 断面力と応力, ひずみの関係.. 微小要素の断面力のつりあい 6. 柱の座屈の微分方程式 8. 板の座屈の微分方程式.. 微小要素の断面力のつり合い.. 微分方程式の導出.. 板の弾性座屈応力. 板の弾性座屈応力と耐荷力曲線 6. エネルギー論 8. ポテンシャルエネルギーの極値化. Tosheko( ( チモシェンコ ) のエネルギー法による座屈解析. 安定, 不安定, 中立. 安定 不安定の概念 5.5 エネルギーの変化による安定 不安定の判別 6.6 エネルギー法による弾性座屈荷重の計算 7 5. 内部エネルギーの計算式 9 5. 柱の内部エネルギー 9 5. はりの内部エネルギー 9 5. はり部材, 柱部材への仮想仕事の原理の適用 5. 板要素の内部エネルギー 6.Tosheko 法による座屈解析 6. 柱の座屈解析

3 技術者のための構造力学 内部エネルギー 6.. 外力仕事増分 6.. 弾性座屈荷重 6. 板の座屈解析 6.. 内部エネルギー 6.. 外力仕事増分 弾性座屈応力 7 6. 補剛板の座屈解析 7 参考文献 8

4 技術者のための構造力学 5. はじめに本資料は, 線形座屈理論の概要について以下の順に纏めたものである. 章では, 微小要素の力の釣合から得られる, バネと柱の軸力と伸縮変位の関係式, はり, 板のたわみに関する微分方程式について備忘録として掲載する. 併せてこれらの関係式や微分方程式に相似性があり, 密接に関連していることを示す. さらに, 柱, 板の座屈に関する微分方程式についても示す. 章では, 章で述べた柱, 板のたわみや座屈に関する微分方程式の誘導過程を紹介する. 式の展開に重点をおき, 誘導に用いる基礎理論や基本式等に関する解説は文献 )~5) を参照されたい. 章では, 板の座屈に関する重要なパラメータである, 幅厚比 /, 座屈係数 k, 幅厚比パラメータ R 等について紹介する. 章では, まず, エネルギー原理に基づく構造解析の体系を俯瞰する. 次に, 文献 ),6),7) に準拠して線形座屈解析の理論を紹介する. 5 章では, 章にて紹介したエネルギー原理に従って, はり部材や板要素が座屈変形を起こすときの内部エネルギーの計算式を示す. 6 章では,Tosheko( チモシェンコ ) のエネルギー法による柱, 無補剛板, 補剛板の座屈解析について示す. 柱や無補剛板の座屈については, 微小要素の力の釣合に基づく方法によっても, エネルギー法によっても座屈問題を取り扱うことができるが, 補剛板については力の釣合に基づく方法で問題を扱うことは複雑困難である. それに対して, エネルギー法によれば容易に解析の方程式が立てられることが理解される. 補剛板の具体的な座屈解析の方法については,We ページに掲載の別資料 ( 補足資料 ) 補剛板全体パネルの座屈応力と座屈係数 にて紹介する.

5 5 技術者のための構造力学 表. 各種構造の基礎式と座屈解析の基礎式の比較 構造名称 ① バネ ② 棒 トラ ス部材 構造モデル 力の釣り合い 微分方程式 解 ku エネルギー理論による解釈 W d σ dε d σ ε ddd U σ ε ddd σ ε dv 棒要素の内部エネルギー N U N d E E σ Eε E u 仮想仕事の原理 δw δv δu σδεdv N N δu δ dd E NδN δu d E δw δu V ③ はり部材 d EI d d dq q d d d EI q d はり要素の内部エネルギー U d EI c d e ④ 板 q 板曲げ剛性 E EI ( ) 仮想仕事の原理 δ δu d EI δw δu s ⑤ 柱座屈 s EI σ cr EI d d σ d d s ⑥ 板座屈 U d EI d d EI d EI d d d d d U T kσ e 全ポテンシャルゼロ cos s U U T ⑦ 補剛板の 座屈 ( ) dd s s σ T cr u cr cr EI 外力仕事 U d 全ポテンシャルゼロ d 内部エネルギー σ cr 板要素の内部エネルギー ( ) dd 8 σ dd Π U T 全ポテンシャルゼロ Up 板母材に蓄えられる内部エネルギー U 縦リブに蓄えられる内部エネルギー UT 横リブに蓄えられる内部エネルギー Tp 板母材になされる外力仕事の増分 文献 6)には 直交異方性板として T 縦リブになされる外力仕事の増分 曲げ剛度 を用いた式が掲載さ Π U U U T T れている 5 T

6 技術者のための構造力学 5. 基礎式の一覧微小要素の力の釣合から得られる, バネと柱の軸力と伸縮変位の関係式, はり, 板のたわみや座屈に関する微分方程式について, 各々の構造の解析に必要なエネルギー原理式とともに表 -. に示す. 同表には補剛板の座屈に関しても示したが, 微小要素の力のつり合いに基づく微分方程式は複雑であるため, その解析の基礎式に必要となるエネルギー原理式のみを示した. なお, 同表中の u,v および は, それぞれ 次元座標軸, および 軸方向の変位を表している. また, 柱部材に関しては, 部材軸方向に 軸, たわみの方向に 軸を設け, それらと直交する方向に 軸を設けるものとする. さらに, 板に関してはその面内に, 軸を, たわみの方向に 軸を設定する. 各座標軸方向に生ずる直ひずみをε, ε,ε, 各座標軸が作る面内に生ずるせん断ひずみをγ ( γ ),γ ( γ ),γ ( γ ), 各座標軸方向に生ずる直応力をσ,σ,σ, 各座標軸が作る面内に生ずるせん断応力をτ ( τ ),τ ( τ ),τ ( τ ) と表すことにする.. バネの関係式 図 -. に示すように, バネに作用する荷重を, バネ定数を k, バネに生ずる伸び変位を u とすれば, 荷重と変位の関係は次式で表される. ku (.). 柱の関係式 図 -. に示すように, 柱部材に作用する荷重を, 弾性係数を E, 断面積を, バネに生ずる変位を u とする.Hooke( フック ) の法則により, 部材軸方向の応力 σ とひずみ ε の関係は, σ Eε (.) 部材軸方向の応力 σ は荷重 と断面積 を用いて次のように表される. σ (.) また, 部材軸方向のひずみ ε は部材長 と変位 u を用いて次式で表される. u ε (.) 式 (.),(.) を式 (.) に代入することによって, 荷重 と変位 u の関係は次式で表される. E u (.5). はりのたわみのたわみの微分方程式図 -. に示すように, 変形したはり部材の任意点において, 部材軸方向の長さ d の微小要素が d 図 -. バネに作用する荷重と変位 u 軸力を受ける柱部材 : 弾性係数 E, 断面積 図 -. 柱部材の軸力と変位の関係 u d d θ θ d 図 -. 変形したはりのたわみとたわみ角 d d 6

7 技術者のための構造力学 5 だけたわんでいるものとし, はりのせん断変形の影響が無視できるものとすれば, たわみ角 θ は次式で表される.( せん断変形を考慮したはり理論については別資料にて解説する.) d θ (.6) d 変形が小さければ, 式 (.6) をさらに 階微分したものは, 近似的に曲率 φ に等しくなる. d d ϕ θ (.7) d d 曲率 φ と曲げモーメント の関係は次式で表される. d EIϕ EI (.8) d 式 (.8) を 階微分して曲げモーメントとせん断力 S の関係 S d /d を代入し, さらにこれを 階微分してせん断力 S と分布荷重 q の関係 q -ds /d を代入すると, 分布荷重 q とたわみ の関係を表す次の微分方程式が得られる. d EI d 式 (.9) は 階の微分方程式であるから, その一般解は次のように与えられる. c d e なお, はり部材のたわみの微分方程式の誘導については, 章にて詳細に説明する. q (.9) (.). 板のたわみの微分方程式詳細は省略するが, 面外 ( 軸 ) 方向に分布荷重 q を受ける板のたわみ に関する ( 偏 ) 微分方程式は次式で与えられる. q (.) 式 (.) において, は板曲げ剛度と呼ばれ, 次式で表される. E (.) ( ) ここに,E: 弾性係数,: 板厚, および:osso( ポアソン ) 比である. 式 (.) については, 一般的に次の Fourer( フーリエ ) 級数解が仮定される. s s (.) なお, 板のたわみの微分方程式の誘導については, 章にて詳細に説明する..5 柱の座屈の微分方程式圧縮力 を受ける柱部材の任意点 のたわみが で, その断面の曲げモーメントが であるとき, この任意点で切断した自由物体の力のつり合いから次式が得られる. (.) 一方, 柱部材の曲げモーメント と曲率の関係は次式で表される. 7

8 技術者のための構造力学 5 ここに,E: 弾性係数, および I: 断面二次モーメントである. 式 (.) を式 (.5) に代入すると, 式 (.6) を に関して 階微分すると 式 (.7) の一般解は, 式 (.8) において, d EI (.5) d d EI (.6) d d d EI (.7) d d s k B cos k (.8) k (.9) EI 式 (.8) を種々の境界条件を与えれば, 一般的に弾性座屈応力 σ cr は次のように表される. EI σ (.) ( β) cr ここに,β: 柱部材両端の境界条件によって決まる有効長さ係数,: 柱部材の長さ, および : 柱部 材の断面積である..6 板の座屈の微分方程式一様な圧縮応力 σ を受ける板の微分方程式は次式で表される. σ (.) ここに,: 式 (.) で表される板曲げ剛度,: 板厚である. 式 (.) の一般解は次式で仮定される. s s (.) ここに, : 係数,,: それぞれ板の圧縮軸方向長さ, 板幅,,: それぞれ板の圧縮軸, 板幅方向の正弦半波数である. 板が 辺単純支持条件にある場合, 弾性座屈応力 σ cr は次のように表される. σ cr ( k) σ e (.) 式 (.) において,σ e は次式で表される Euler の基本座屈応力である. σ (.) e.7 補剛板の座屈の微分方程式一様な圧縮応力を受ける補剛板の微分方程式を微小要素の力のつり合いから導くことは困難である. 8

9 技術者のための構造力学 5 C l l () 軸力を受ける棒部材 u u C u C () 微小要素の変形図 -. 部材軸方向の変位 v(v/)d C C B d v u B d u(u/)d 図 -. 次元の直ひずみと変形 d d θ θ d 図 -. はりのたわみとたわみ角 d d (u/)d C C u/ d v/ B (v/)d d B 図 -. せん断ひずみと変形 d O ds θ θ ϕ ρ ds θ dθ dθ θ -θ θ θ dθ d d d ds d d d 図 -.5 たわみ角と曲率 このため, 本資料では, 同微分方程式についての説明は省略する.. 微分方程式の誘導本章では, はりと板のたわみ, 柱部材と板の座屈に関する微分方程式の誘導過程について詳細に示す. なお, 本章においても, 章と同様に,u,v および は, それぞれ 次元座標軸, および 軸方向の変位を表すものとする.. はりのたわみの微分方程式 図 -. を参照すると, 軸方向の直ひずみ ε は次式にて定義される. ( u u) ε u u du d (.) 式 (.) の直ひずみは, 図 -. に示すような 次元状態に対しても, 各座標軸方向に対して個別に定義できる. 因みに, せん断ひずみについては, 図 -. に示す 次元の微小要素の変形を考えることによって次式で定義される. v u γ γ (.) ひずみとたわみの関係について求めるため, 図 -. および.5 を参照するとたわみ角 θ は, d θ θ (.) d たわみ角 θ に伴う, 任意点の断面内の 軸方向変位 u は, d u s θ θ (.) d 式 (.) の両辺を で 階微分して式 (.) の関係を用いると, 軸方向ひずみε とたわみの関係は du d ε (.5) d d 9

10 技術者のための構造力学 5 重心 d d σ N 図 -.6 微小要素の応力と断面力 d p σ d 中立面中立軸 図 -.7 応力と曲げモーメントの関係 σ σ d d d q () B Q q ()d d q () d Q dq 図 -.9 分布荷重と断面力の関係 図 -.8 曲げモーメントに伴う微小要素の曲げ応力分布 一般的に, はりや柱部材では次のように, 部材軸に直角な, 軸方向の直応力は無視 ( 断面内無応力 の仮定 ) される. σ σ (.6) また, せん断ひずみは微小であるため次のように表す. γ γ (.7) 式 (.5) より,Hooke の法則を用いると, 軸方向応力 σ は次のように表される. du d σ Eε E E (.8) d d 図 -.6~.8 を参照すると, はり断面の幅を, 高さを として式 (.8) を用いると, 断面に生ずるモー メント は σ d d E d d d E d E d d E d d EI d d d 式 (.9) において,I は 軸まわりの断面二次モーメント ( /) である. 図 -.9 に示すように, 単位幅 のはりに 軸方向の分布荷重 q が作用しているものとすれば, 微 小要素の 軸方向の力のつり合いより, V ここに,Q : 軸方向のせん断力である. 式 (.) を d で除して, (.9) dq Q Q d q d (.) d

11 技術者のための構造力学 5 表 -. はりの曲げモーメント, せん断力と荷重強度の関係 曲げモーメント q d C C 微分 積分 せん断力 荷重強度 d d d Q Q q d C d 微分 dq d q 積分 q dq d q (.) 図 -.9 に示す微小要素について, 軸まわりのモーメントの釣り合いを考える. ただし, 同図に示すように, 曲げモーメント は, はりが下に凸に変形するように生ずるものを正とする. 反時計回りを正とする微小要素のモーメントのつり合い式は次のようになる. 式 (.) を d で除して, d dq d d Q d d q d d d (.) d d Q 式 (.) において高次の微小項を省略すると, dq d d d q (.) d Q (.) 式 (.) を について 階微分して, さらに式 (.) の関係を代入すると, d d d dq d q 式 (.9) を について 階微分して, さらに式 (.5) の関係を代入すると, d d d d d EI EI q d d d したがって, 次式が成立する. d EI d q (.5) (.6) (.7) 式 (.7) は弾性曲線方程式とも呼ばれる. はり理論における曲げモーメント, せん断力と荷重強度の関係を表 -. に纏めて示す.. 板のたわみの微分方程式... 応力とひずみの関係図 -. に示すように,,, 軸方向の長さがそれぞれ である正方 6 面体を考える. それぞれ同 6 面体の- 軸側の - 面は 軸方向変位 u,- 軸側の - 面は 軸方向変位 v, および- 軸側の -

12 技術者のための構造力学 5 u v ε ε σ (v) ε (u) () () 軸方向への引張 u σ (v) (u) () ε v ε () 軸方向への引張図 -. 微小要素のひずみと変形 ε u ε σ v (v) ε (u) ε () (c) 軸方向への引張 面は 軸方向変位 が拘束されているものとする. 同図 () に示すように, 軸方向にひずみε が生ずるように引っ張ると,osso( ポアソン ) 効果によって,, 軸方向にもひずみを生じる. 同 6 面体が等方性材料であるならば, これらのひずみε,ε は次式で表される. ε ε, ε ε (.8), ここに,:osso( ポアソン ) 比である. また, 同図 () に示すように, 軸方向にひずみε が生ずるように引っ張たときに,, 軸方向に生ずるひずみε,ε はそれぞれ次式で表される. ε ε, ε ε (.9), 同様に, 同図 (c) に示すように, 軸方向にひずみε が生ずるように引っ張たときに,, 軸方向に生ずるひずみε,ε はそれぞれ次式で表される. ε ε, ε ε (.), それぞれ図 -.()~(c) に示したひずみ ε,ε,ε は,Hooke( フック ) の法則によって応力 σ,σ, σ を用いて次のように表される. σ σ σ ε, ε, ε (.) ~ E E E ここに,E: 弾性係数である. 例えば, 軸方向に生ずる直ひずみをΣε と表すことにすると, それは, 重ね合わせの原理によって式 (.9) と (.) の第 式, 式 (.) の和として次のように表される. ε ε ε ε (.) 式 (.) において,Σε を改めてε と表すことにして, それぞれ式 (.9) と (.) の第 式, 式 (.) の右辺を代入すると, ε σ E 式 (.) 右辺第, 項に式 (.) の第, 式を代入すると, ε ε (.) σ σ σ ε E E E E, 方向の直ひずみについても同様に次のように表される. ( σ σ σ ) (.)

13 技術者のための構造力学 5 ( σ σ σ ) ε (.) E ( σ σ ) ε (.) σ E 板厚方向を 軸方向として,- 面内にある板のひずみと応力の関係を求める. 一般的に板の問題で は板厚方向の応力は, 即ち σ と仮定される. これは平面応力状態と呼ばれる. 式 (.) の第, 式に σ を代入すると, ε E E ( σ σ ), ε ( σ σ ) 式 (.5) を σ,σ について連立させて解けばそれぞれ次式が得られる. E E σ ( ε ε ), σ ( ε ε ) (.5), (.6), また, 板面内に生ずるせん断応力 τ とせん断ひずみ γ の関係は, せん断弾性係数 G を用いて次のよ うに表される. τ Gγ (.7) 因みに, 次元応力状態に対する,, 軸方向の直応力 σ,σ,σ は式 (.) を σ,σ,σ について 連立させて解くことによって次のように表される. σ E ( )( ) {( ) ε ε ε } σ E { ε ( ) } ( )( ) ε ε E σ { ε ( ) } ( )( ) ε ε (.8) (.8) (.8) 式 (.) は ε,ε,ε を従属変数,σ,σ,σ を独立変数とする 元 次連立方程式と見なすことができ て, マトリックス - ベクトル表示すれば次のように表される. ε ε ε E σ σ σ 例えば, 式 (.8) の第 式は, 上式に対して Crer( クラメル ) の公式を適用して得られる次の行列式を Srrus( サラス ) の展開によって解くことによって求められる. E E E E E σ ε E E E E E (.9) ε ε E E E E E 式 (.8) の第, 式についても同様にして導くことができる.

14 技術者のための構造力学 5 (u) - 面 ( 一定 ) (v) () 中立面 d / / d - 面 ( 一定 ) (, ) v () - 面 θ 図 -. 板断面内の変位 (, ) u () - 面 θ 図 -. 板の座標系と -,- 面.. たわみとひずみ, 応力の関係図 -. に示すように, 板面内に - 座標軸, 面外方向に 軸を定義すると, それぞれ, 軸まわりのたわみ角 θ,θ は, 図 -. に示すように,-,- 面内の変形を考えることによって次のように表される. θ θ, θ θ (.), 図 -. に示す微小要素の中立面から 離れた点の, 方向変位 u,v はそれぞれ次式で表される. u s θ θ, v sθ θ (.), 式 (.) の関係を用いると,, 方向の直ひずみε,ε は次のように表される. u u ε, ε (.), 板幅に比べて板厚の小さい薄板に関しては, 一般的に面外せん断ひずみは と見なされる. 即ち,γ γ である.(Krchhoff( キルヒホッフ ) の仮定と呼ばれる.) 残るせん断ひずみのうち, 面内せん断ひずみγ は, 式 (.) に式 (.) を代入して, u v γ (.) 式 (.) と (.) を式 (.6),(.7) に代入すると, E E E σ ( ε ε ) (.) E E E σ ( ε ε ) (.) τ Gγ G (.5)... 断面力と応力, ひずみの関係板の微小要素には, 図 -. に示す応力と, 図 -. に示すようにそれに伴う単位幅あたりの断面力が発生する. せん断流理論によって, 面外せん断応力 τ,τ は放物線分布を呈し, 各々の -,- 面における積分が単位幅あたりの面外せん断力 Q,Q となる. なお, せん断流理論については別資料

15 技術者のための構造力学 5 τ σ τ τ (τ /)d σ (σ /)d τ (τ /)d Q d d { ( /)d}d {Q (Q /)d}d { ( /)d}d d q σ τ τ d 中立面 d τ (τ /)d σ (σ /)d τ (τ /)d 図 -. 板の微小要素に生ずる応力 Q d d d d d { ( /)d}d { ( /)d}d {Q (Q /)d}d 図 -. 板の微小要素に生ずる断面力 にて説明する. また, 単位幅あたりの, 軸まわりの曲げモーメント,, ねじりモーメント, は, はりの曲げモーメントと同様に, 応力を微小要素の側面積で積分したものに等しい. d, σ d,, τ d τ d σ (.6) ~ ただし, 曲げモーメント, については微小要素を 軸方向に凸に変形させる向きを正とする. 式 (.6) の第, 式については, 共役せん断応力の法則 ( 資料 共役せん断応力 参照 ) により,τ τ であるから, 次の関係が成立する. 式 (.6) の第 式に式 (.) の第 式を代入すると, (.7) σ d E E E d E [ ] d (.8) 式 (.8) の第 式において, は次式で定義される板曲げ剛度である. E (.9) ( ) 式 (.8) の第 式と同様にして, (.8) 式 (.6) の第 式に式 (.5) を代入すると, τ d G G d G G 6 [ ] d (.) 式 (.) のせん断弾性係数 G は, 弾性係数 E,osso( ポアソン ) 比 を用いて次のように表される. 5

16 技術者のための構造力学 5 Q d d { ( /)d}d {Q (Q /)d}d { ( /)d}d d q Q d d d d d { ( /)d}d { ( /)d}d {Q (Q /)d}d 図 -. 板の微小要素に生ずる断面力 ( 再掲 ) この関係が成立する理由については, 別資料 せん断弾性係数と osso 比, 弾性係数の関係 を参照されたい. E G (.) ( ) 式 (.9) を弾性係数 E について解けば, E (.) 式 (.) を式 (.) の最右辺に代入すると, 式 (.) を式 (.) に代入すると, G 6 ( ) ( ) ( ) 6 G ( ) (.) 6 (.) 6 ( ) ( )... 微小要素の断面力のつりあい図 -. に示すように, 板の面に作用する分布荷重を q とすれば, 微小要素の 軸方向の力の釣り合い式は次のようになる. V 式 (.5) を整理すると, Q Q Q d Q dd Q d Q dd qdd (.5) Q Q q (.6) 微小要素の - 軸側の - 面の重心を通って 軸に平行な軸まわりのモーメントのつり合い式は, Q d Q d d d d d d Q d d d dd Q d Q d d qdd (.7) 6

17 技術者のための構造力学 5 Q d d { ( /)d}d {Q (Q /)d}d { ( /)d}d d q Q d d d d d { ( /)d}d { ( /)d}d {Q (Q /)d}d 図 -. 板の微小要素に生ずる断面力 ( 再掲 ) 式 (.7) を整理すると, dd 式 (.8) を dd で除して, dd Q Q dd Q Q 式 (.9) において, 微小要素であるから d より, Q Q d d Q d d d dd qdd (.8) d d q (.9) (.5) 図 -. において, 微小要素の- 軸側の - 面の重心を通って 軸に平行な軸まわりのモーメントのつり合い式は, d Q Q dd d dd Q d d d Q Q dd d d dd qdd (.5) 式 (.5) を整理すると, dd 式 (.5) を dd で除して, dd Q Q dd dd Q Q 式 (.5) において, 微小要素であるから d より, 式 (.5) を で 階偏微分すると, Q Q Q d d d dd qdd (.5) d d q (.5) (.5) 7

18 技術者のための構造力学 5 8 Q (.55) 式 (.5) を で 階偏微分すると, Q (.56) 式 (.55),(.56) を式 (.6) の左辺に代入すると, q (.57) 式 (.57) に式 (.7),(.8),(.) を代入すると, ( ) q (.58) 式 (.58) を変形すると以下のようになる. ( ) q ( ) q q したがって, q (.59). 柱の座屈の微分方程式座屈の微分方程式座屈の微分方程式座屈の微分方程式図 -.5 に示すように, 柱部材に圧縮力 を漸増載荷させ, cr に到達したときに座屈を生じたものとする. 原点から だけ離れた点に なる有限の大きさのたわみが生じた状況を考える. このとき, 原点から 離れた断面に生ずる曲げモーメント は図 -.5(c) に示す微小要素の力のつり合いから求められる. 同要素の水平方向の力のつり合い式は, ( ) d (.6) 図 -.5 座屈前後の柱の変形 () 座屈前 () 座屈後 cr cr (c) 微小要素の力の釣り合い d d d d Q Q dq d d

19 技術者のための構造力学 5 式 (.6) より, 鉛直方向の力のつり合い式は, 式 (.6) より, d (.6) ( Q dq ) Q (.6) dq (.6) 図 -.5(c) に示す微小要素の右端断面を中心とするモーメントのつり合い式は, 式 (.6) を整理して d で除せば, 式 (.65) の両辺を で 階微分すると, ( d ) d Q d (.6) d d d d Q (.65) d d d d d dq d d d d (.66) 式 (.6),(.6) より, 軸力 とせん断力 Q の 方向の変化率 (d/d,dq /d) も であるから, d d d d はり, 柱部材の曲げモーメント とたわみ の関係を表す式 (.5) を式 (.67) に代入すると, ここに,E: 弾性係数,I: 断面二次モーメントである. (.67) d d EI (.68) d d 柱断面の厚さ, 幅 として, 断面内に一様な圧縮応力 σ が生じているものとすれば, 圧縮力 σ より式 (.68) は次のように表せる. また, 式 (.67) は次のように表せる. 式 (.7) において, d d EI σ (.69) d d d k d d d (.7) k (.7) EI 式 (.7) の一般解は積分定数を,B,C および として次のように表せる. s k B cos k C (.7) 式 (.7) に対する境界条件として, および にて および であるから,B C と積分定数 に関しては次の関係が成立する. s k (.7) 式 (.7) において, とすると常に座屈によるたわみが発生しないことになる ( 自明解である ) た め, 式 (.7) が満たされるためには次式が成立しなければならない. 9

20 技術者のための構造力学 5 図 -.6 柱部材の座屈モード 式 (.7) が成立するためには定数 k は次の値をとらなければならない. s k (.7) k,,,k ( ) 積分定数 B C, および式 (.75) を式 (.7) に代入すると, (.75) s (.76),, に対して式 (.76) を概略的に示せば図 -.6 のようになる. 即ち, 座屈による変形は大きさ ( 振幅 ) が定められず, 境界条件を満たす無数の正弦波形で表されるため, 座屈モードと呼ばれる. さ らに, 式 (.75) を式 (.7) に代入すると, 式 (.77) を について解けば, EI (.77) EI (.78) 式 (.78) は座屈が発生するときの圧縮力を表しており, 特にこれを限界荷重 cr と称して次のように表 すことにする. EI (.79) cr 式 (.79) において,,, であるから, cr は の場合にその最小値をとることは明らかであ り, 最小値は次のように表される. cr EI (.8) 式 (.8) は基本柱の弾性座屈荷重とも呼ばれる. さらに, 式 (.8) を柱部材の断面積 で除して弾性座 屈応力 σ cr で表示すると, cr E I E σ r cr 式 (.8) において,r は次式で定義される断面回転半径を表す. ここに,I: 柱断面の断面二次モーメントである. E (.8) ( r) I r (.8) また, 式 (.8) の最右辺において /r は細長比と呼ばれ, 柱部材の座屈の発生しやすさを表す無次元パ ラメータである. 式 (.8) の σ cr と細長比 /r の関係を概略的に表せば図 -.7 のようになる. 特に σ cr が

21 技術者のための構造力学 5 弾性座屈応力 σcr σ Y 式 (.75) d σ cr d σ cr N d (/r) d Q d d d N d Q d d d {Q (Q /)d}d 細長比 /r 図 -.7 座屈応力と細長比の関係 (/)d {Q (Q /)d}d { ( /)d}d { ( /)d}d { ( /)d}d d {N (N /)d}d / / { ( /)d}d (/)d {N (N /)d}d 降伏応力 σ Y に等しくなる時の /r は降伏限界細長比 (/r) と呼ばれ, 式 (.8) に σ cr σ Y を代入して /r に ついて解いた次式で表される. 図 -.8 座屈した板の微小要素に生ずる断面力 ( 再掲 ) r E σ Y (.8) 柱部材の細長比が降伏限界細長比以下であれば, 座屈応力が降伏点を上回ることになる. しかし, 実 際には柱の初期不整によって, その座屈強度は弾性座屈応力に比べて低下し, とりわけ降伏限界細長比 あたりでの低下が大きいため, 道路橋示方書では別途耐荷力曲線が与えられている.. 板の座屈の微分方程式柱の座屈に関する微分方程式の誘導と同様に, 微小要素に生ずる軸力 N,N, 曲げモーメント,, 面外せん断力 Q,Q とねじりモーメント を含めた力のつり合いを考えることによって, 板の座屈の微分方程式が導ける... 微小要素の断面力のつり合い図 -.8 に示すように, 板の 軸方向に一様な圧縮応力 σ cr を受けて座屈を生じた板内部の微小要素について断面力と外力との力のつり合いについて考える. 軸方向の力のつり合い式は次式で表される.

22 技術者のための構造力学 5 V 式 (.8) を dd で除すと, Q Q Q d Q dd Q d Q dd (.8) Q Q (.85) 微小要素の - 軸側の - 面の重心を通って 軸に平行な軸まわりのモーメントのつり合い式は, d dd d Q d Q d dd Q d Q N N dd d Q dd d dd (.86) 式 (.86) を整理すると, dd N dd Q N dd Q dd d d 式 (.87) において,d に関する高次の微小項を無視すると, dd 式 (.88) を dd で除して, dd Q Q dd N N Q d d dd d d (.87) (.88) (.89) 板の 軸方向の任意点で - 面を切断したとき, 軸方向に生ずる単位板幅あたりの軸力が N であり, 切断後の自由物体に関する力の釣り合いから,N は一様な圧縮応力 σ cr を用いて次のように表される. N σ (.9) cr d σ cr d σ cr N d d Q d d Q d (/)d {Q (Q /)d}d { ( /)d}d { ( /)d}d { ( /)d}d {N (N /)d}d / / (/)d d N d d d d {N (N /)d}d {Q (Q /)d}d { ( /)d}d 図 -.8 座屈した板の微小要素に生ずる断面力

23 技術者のための構造力学 5 式 (.9) を式 (.89) に代入して Q について解けば, Q σ (.9) cr 図 -.8 において, 微小要素の- 軸側の - 面の重心を通って 軸に平行な軸まわりのモーメントのつり合い式は, d Q Q dd d dd Q Q d d dd N dd Q N d d dd d (.9) 式 (.9) を展開すると, d d d dd d d dd Q d (.9) d Q d Q N Q d dd Q dd ddd N dd dd 式 (.9) を整理すると, dd dd (.9) Q d Q N d Q dd dd N dd dd 式 (.9) において,d に関する高次の微小項を省略すると, dd 式 (.95) を dd で除して, dd Q Q dd N N dd (.95) (.96) 式 (.96) において, 式 (.9) と同様に考えると, 方向に作用する外力はないため N であり, 式 (.96) を Q について解けば, Q (.97).. 微分方程式の導出式 (.97) の両辺を で 階偏微分すると, Q 式 (.97) の両辺を で 階偏微分すると, 式 (.98),(.99) を式 (.85) に代入すると, Q σ (.98) cr (.99)

24 技術者のための構造力学 5 Q Q cr σ (.) 式 (.7) に注意して式 (.) を整理すると, cr σ (.) 式 (.8) および (.) を式 (.) に代入すると, ( ) σ cr (.) 式 (.) の左辺を整理すると, ( ) cr σ ( ) cr σ cr σ (.) 板の弾性座屈応力板の弾性座屈応力板の弾性座屈応力板の弾性座屈応力. 節にて説明した柱の座屈荷重の場合と同様に, 板の座屈についても板の座屈形状, 即ち式 (.) の一般解に境界条件 ( 辺単純支持 ) を適用して求められる座屈モードを仮定し, それを式 (.) に代入することによって, 一様圧縮を受ける板の 辺単純支持板の弾性座屈応力を求めることができる. 図 -.9 に示すように面内に, 軸, 面外方向に 軸を設定すると, 座屈モードは次式で仮定できる. s s (.) ここに, : 係数,: 板の長さ,: 板幅, および,: 正の整数 (,,, ) である. 式 (.) を で 階偏微分すると, s cos (.5) 図 -.9 板の座標系と座屈モード () σ cr σ cr 板厚 : 単純支持

25 技術者のための構造力学 5 5 s s (.5) s cos (.5) s s (.5) 式 (.) を で 階偏微分すると, cos s (.6) s s (.6) cos s (.6) s s (.6) 式 (.) をそれぞれ, で 階偏微分すると, cos cos (.7) cos s (.7) s s (.7) 式 (.5) の第, 式, 式 (.6) の第 式, および式 (.7) の第 式を式 (.) に代入すると, s s s s s s s s cr σ (.8) 左辺を整理して, s s cr σ (.9) 式 (.9) において, 座屈に伴う面外たわみが発生するためには, 次の関係が成立しなければならない. s s (.) したがって, 式 (.9) が満足されるためには, 次の関係が成立しなければならない. cr σ (.) 式 (.) を σ cr について解けば,

26 技術者のための構造力学 5 σ cr σ σ cr cr σ cr (.). 板の弾性座屈応力と耐荷力曲線式 (.6) の右辺において, 基本座屈応力 σ e を次のように定義する. σ (.) e 式 (.) に式 (.) を代入すると, E E σ (.) e ( ) ( ) ( ) 式 (.6) の右辺において, 次のような無次元パラメータ k( 座屈係数と呼ばれる ) を定義する. k (.) 一般的に板の縦横比 α は次式で定義される. α (.) 式 (.) を式 (.) に代入すると, k α (.5) α 式 (.5) において, を代入し,,,, に対して座屈係数 k と縦横比 α の関係を図示すると, 図 -. のようになる. 同図より, の値に関わらず,k は最小値 をとり, しかも が 以上ではα 6 5 座屈係数 k 6 縦横寸法比 α 図 -. 無補剛板の座屈係数と縦横比の関係 6

27 技術者のための構造力学 5 の増大につれて k の変化が小さくなることがわかる. 式 (.),(.5) を式 (.6) に代入すると, σ kσ cr e (.6) σ cr は, 式 (.),(.5) より の時に最小値をとることが明らかである. 式 (.6) を降伏応力 σ Y で無次元化し, 式 (.) を用いると, σ σ k E cr e k σ σ σ Y Y Y ( ) ( ) ( ) k σ Y E 式 (.7) の最右辺において, 以下のような無次元パラメータとして, 幅厚比パラメータ R を定義する. ( ) σ Y (.7) R (.8) k E 式 (.8) を式 (.7) に代入し, 安全側の考え方として板に生ずる応力は降伏応力を超えないものとすれば, 降伏応力と弾性座屈応力の関係は次のように表される. σ σ cr Y R ( R ) ( R) 式 (.9) の第 式は Euler 曲線と呼ばれる. 式 (.9) を図 -. に示す. 一般的に, 溶接製作部材は溶接時 の熱影響によって残留応力や初期たわみが発生し, それらはその強度を低下せしめる. 即ち, 実際には 溶接製作部材の断面を構成する板は σ cr よりも小さな圧縮応力で崩壊するため, 道示 8) (.9).. では両縁 支持板に対して式 (.9) に代えて基準圧縮強度 σ u を規定する耐荷力曲線として以下を採用している. σ u σ.5 R Y ( R <.7) (.7 R) (.) 図 -. には, 式 (.) の耐荷力曲線も示した. 式 (.) は,R.7 では両縁支持板が降伏によって破 壊するため, 設計上は座屈を考慮する必要のないことを意味しており,R>.7 では両縁支持板が非弾性 座屈 ( 弾性座屈応力よりも小さな圧縮応力で発生 ) によって破壊するため, 設計上は座屈を考慮する必 要があることを意味している. 式 (.) を鋼材の材質ごとの安全率で除したものが道示 Ⅱ 鋼橋編 8) の表 -.. に与えられている両. Euler 曲線 耐荷力曲線 σ u /σ Y orσ u /σ Y 座屈を考慮しない領域 換算幅厚比 R 弾性座屈が生じない領域 座屈を考慮する領域 弾性座屈が生ずる領域 図 -. 無補剛板の Euler 曲線と耐荷力曲線 7

28 技術者のための構造力学 5 表 -. 両縁支持板の局部座屈に対する許容応力度 鋼種 S 板厚 () 以下 S9Y 以下 S57 以下 幅厚比 許容応力度 σ cl / (f ) (N/ ) 8.7 以下 8.7 を超え 8 以下 f,.6 以下.6 を超え 8 以下 f, 8.7 以下 を超え 8 以下 f, σ cl (N/ ) S S9Y S / 図 -. 板座屈の許容応力度と幅厚比の関係 表 -. エネルギー原理の関連図 名称 ひずみエネルギー 変位 (v) またはひずみ (ε) ひずみエネルギー U U U(ε),U() 応力 σ U σdε ε δu 仮想ひずみ δε ひずみ 変数による区分 力 () または応力 (σ) 補ひずみエネルギー U * U * U * (σ),u * () δσ 仮想応力 σ 応力 U * εdσ ε δu * ひずみ Hooke の法則 (σ Eε) に従う線形弾性材料では,U * U,U * U,δU * δu 部材のひずみエネルギー応力 σ N トラス部材 : U l d U * σε/ E U σε/ はり部材 : U l d E ひずみ EI ε 縁支持板の局部座屈に対する許容応力度である. 板厚 以下, 応力勾配 f を. として,S, S9Y と S57 について許容応力度 σ cl について纏めると表 -. のようになる. また, 図 -. は同 表を σ cl と幅厚比 / の関係について図示したものである.. エネルギー論まず, 文献 ) に基づいて, 変数の相違によって分類した場合のエネルギー原理の関連性について表 -. に纏める. また, 表 -. には変位と全ポテンシャルエネルギーの関係について纏めた. 8

29 技術者のための構造力学 5 表 -. エネルギー原理の関連図 ( 続き ) 名称 仮想仕事の原理 変数による区分 変位 (v) またはひずみ (ε) 力 () または応力 (σ) 仮想変位の原理 仮想力の原理 δv U(σδε) δ v U(δσε) 単位変位法 単位荷重法 仮想変位の原理においてδv として 仮想力の原理においてδ として U(σδε) v U(δσε) 相互作用の定理 v,j j v j, ( 重ね合わせの成立する線形構造物に対して適用可能 ) Csglo の第 定理 ( ) U v Csglo v ( カステリアーノ ) 変位法( 剛性法 ) の定理 { }[K]{v } エネルギー最小 の定理 [K] は剛性マトリックス ポテンシャルエネルギー最小 v [ U ( v ) v ] v Rlegh-R( レイリー リッツ ) 法 v Σ φ Glerk( ガラーキン ) 法 Csglo の第 定理 U ( ) v ( 線形構造物に適用可能 ) 応力法 ( 撓性法 ) {v }[N]{ } [N] は撓性マトリックス ひずみエネルギー最小 最小仕事の原理 U ( ) ( 線形構造物に適用可能 ) 近似解法 ( 変位関数を 定める ) v Σ φ v ( ) ϕ d (v) はつり合い方程式 ( 支配微分方程式 ) 有限要素法 v Σφ v (v は節点変位 ) δ より剛性方程式 [K]{v}{q} [K] は剛性マトリックス 9

30 技術者のための構造力学 5 表 -. 変位と全ポテンシャルエネルギーの関係 U-T 極小 安定 中立 座屈発生 極大 不安定 全ポテンシャル 変位 θ 変位 θ 変位 θ δ δ δ δ 次変分 変位 θ 変位 θ 変位 θ δ δ δ δ 次変分 変位 θ 変位 θ 変位 θ B v -v 図 -. 外力 のポテンシャルエネルギー. ポテンシャルエネルギーの極値化 文献 ) の 7.9 エネルギー最小の原理 によれば, ポテンシャルエネルギーに関しては概ね以下 のように説明されている. どのような物理現象も安定な釣り合い状態を保つとき, その系のポテンシャルエネルギーは常に極小 値をとることが知られている. 弾性構造物では, ポテンシャルエネルギーとして, 構造物内部の変形に よって蓄えられるポテンシャルエネルギーと, 外力のポテンシャルエネルギーだけを考えればよい. 構 造物内部のポテンシャルエネルギーはひずみエネルギー U そのものである. 一方, 外力のポテンシャル エネルギー ( または単にポテンシャルとも呼ぶ ) は, 外力が保存力 ( 力によってなされる仕事が, 力の 始点と終点のみで決まり, 途中の経路には依存しないような力 ) であれば, 外力系の位置のエネルギー の変化である. 保存力が仕事をすれば位置のエネルギー, すなわち外力のポテンシャルエネルギーは減 少する. 例えば, 図 -. に示すように, 片持ばりがたわんだ状態では, もとの位置に対して外力 は 一定のまま位置のエネルギーを失っている位置のエネルギーを失っているから, この位置でのポテンシャルエネルギー は負の量とな って次のように表される. v (.) 弾性体では作用荷重を, それによる載荷点の変位を v とすると, 比例定数を k として両者間には kv なる関係が成立する. したがって, 変位が からある変位量 v の間に によってなされる仕事を W とす ると, v v v kv v W dw dv k v dv (.)

31 技術者のための構造力学 5 外力 dw dv W v/ k v v dv 変位 v 図 -. 外力と変位の関係 ここに,,vはそれぞれ,v の最終段階における値である. 式 (.) で表される外力仕事 Wは, 図 -.の外力と変位との関係図の三角形の面積に等しく, ポテンシャルエネルギーと異なり, 外力や荷重の変化を考慮したものである. 式 (.) と (.) との比較により, ポテンシャルエネルギー は外力仕事 Wの符号を変えたものでないことに注意する必要がある. 即ち, ポテンシャルは外力の現位置における状態を記述するものであり, 仕事の大きさを表を表すもすものではない. あえて仕事を考えるならば, たわんだ位置から 一定のままで元の位置へ逆向きに変位をさせると考えれば式 (.) が得られる. 荷重とそれに対応する変位がいくつかある一般的な場合には, これらを単に加え合わせればよく, 式 (.) に代えて次式を用いる. v (.) 構造物全体の全ポテンシャルエネルギー は, にひずみエネルギー Uを加えて得られ, 構造物が安定な釣り合い状態にあれば, 次のような関係が成立する. U U v 最小 (.) 式 (.) が弾性構造物におけるポテンシャルエネルギー最小の原理である. この原理は仮想仕事の原理から次のようにして導くことができる. ある外力 の下に釣り合い状態にある構造物に仮想変位 δvを与えると, それによる仮想外力仕事 δwは次式で表される. δ W δv (.5) 仮想変位を与えている間, 外力 は一定であることを考えると, は変分に対して独立であるため, と v との積に対して変分をとることが可能であり, 式 (.5) の右辺は次のように書ける. ( v ) v δ δ (.6) ここで, 仮想ひずみエネルギーをδU, 外力による仮想仕事をδWとすれば, 仮想仕事の原理式は次式で表される. δ U δw (.7) 式 (.7) に, 式 (.5),(.6) を代入すると, 式 (.8) に式 (.) を代入すると, ( v ) δ ( U v ) δ U δw δu δ (.8) ( U v ) δ U δ W δ δ (.9) 式 (.9) より, 仮想仕事の原理は全ポテンシャルエネルギー の変分が となることと同じ意味を表して いることがわかる. の変分 δ は全微分 d と同じような表現ができるから, ( U v ) δ δv δv (.) v v 仮想変位 δv は でない任意の値を与えるから, 式 (.) の関係が満足されるためには, 次式が成立しな

32 技術者のための構造力学 5 真のつり合い形状最小の ( ) (v, v, ) /(v ) ければならない. 不自然なつり合い形状 ( > ) () 単純ばりのたわみ形状 図 -. 全ポテンシャルエネルギー最小の位置 ( U v ) v v (.) 構造物全体の全ポテンシャルエネルギー は, 構造物の変形状態 v によって変化するものの, 例えば, 図 -. に示すように, 式 (.) は 自然界では, つりあった位置 ( 変形状態 ) にあるとき, 構造物の全 ポテンシャルエネルギーは最小となる ということを表している. 式 (.) から直ちに次式で表される,Csglo( カステリアーノ ) の第 定理が導かれる. U v (.) したがって, ポテンシャルエネルギー最小の原理と Csglo の第 定理は, 本質的に同じ意味をもっ ている. しかし, 構造解析を行う上で, ポテンシャルエネルギー最小の原理は特に重要な意味をもって いる. それは構造物の厳密解を求めることが困難であるとき, ある関数でたわみの近似形を仮定して, ポテンシャルエネルギー最小の原理によって必要な精度でたわみ形の大きさが決定できることである. 表 -. に掲げた Rlegh-R( レイリー リッツ ) 法はこれを応用したものである. 釣り合い位置 () ポテンシャルエネルギーと変位の関係 v. Tosheko( ( チモシェンコ ) のエネルギー法による座屈解析 Tosheko のエネルギー法は, 種々の構造物の弾性座屈応力の計算に用いられる. 本節では, 文献 6) に従ってその概要について説明する. 文献 6) によれば, 全ポテンシャルエネルギー Π を内部ひずみエ ネルギー U と外力のポテンシャル V の合計として表すことにする. Π U V (.) このとき, 剛体 - バネ系および弾性柱のつり合いの安定性の判定は,Π の第 変分の正負の符号によ って行い, また, 座屈荷重ではその第 変分が以下のように となることが示されている. δ Π (.) 安定なつり合い状態では, 全ポテンシャルエネルギー Π が最小値をとることから, このつり合い状態 の近傍における全ての状態に対して, 全ポテンシャルエネルギーの変化 Π は次の関係を満足しなけれ ばならない. Π U V > (.5) ここに, U: 釣り合い状態の近傍のごくわずかな変化により貯えられる内部エネルギーの増分, V はその間の外力ポテンシャルエネルギーの増分である. T を外力仕事増分とすると, 外力ポテンシャルエネルギーの増分 V は V T (.6)

33 技術者のための構造力学 5 式 (.6) を式 (.5) に代入すると, U > T (.7) 式 (.7) は安定な釣り合い条件を示している. これより, 中立のつり合い状態, 即ち外力がある限界 値に達して安定なつり合い状態でなくなる時の条件は次式で表せる. U T (.8) 式 (.8) を用いて安定性を判定する手法が,Tosheko( チモシェンコ ) のエネルギー法である.. 安定, 不安定, 中立よく知られているように, 座屈は構造物に生る不安定現象の一つであり, 座屈について論じるためには構造物の安定, 不安定, 中立についての理解が必要になる. それらは表 -.にまとめたように, 構造物の全ポテンシャルエネルギーの変位に関する変分を用いて判定できる. 本節では, 文献 7) に従って, 構造物の不安定現象の概要について纏める. 応力 -ひずみ関係が線形弾性範囲内の座屈を伴わない変形の小さな問題 ( 線形問題と呼ぶ ) においては, 外力と構造物の応答とが 対 に対応するため, 解は唯一つしか存在しない. しかし, 図 -.に示すように, 応力 -ひずみ関係が線形弾性範囲を超える材料学的非線形性に加えて, 部材に目に見えるような大きな変形を伴う幾何学的非線形性も考慮した複合非線形挙動では, 構造物の形態, 外力の種類, 材料の特性によっては荷重一変位曲線上に特異な点 ( 同図では極限点 ) が現われ, その点を境にして構造物の荷重に対する抵抗力が失われることがある. さらに特徴的な例として, 鋼構造物でしばしば見受け 線形 N δ N 極限点 応力 σ 降伏応力 σ Y 弾 完全塑性体 弾性係数 E δ ひずみ ε 図 -. 複合非線形挙動の例 δ δ トラス ' 安定分岐座屈 分岐点 δ 不安定分岐座屈 δ () 分岐座屈 アーチ 柱 極限点 B パイプ () 屈服 図 -.5 不安定現象の分類 δ δ F 極大点 B E 極小点 (c) 飛び移り C δ

34 技術者のための構造力学 5 られる真直ぐな細長い柱や薄い平板を一様に圧縮した場合を考える. このときの変形様式は一様な圧縮変形のみであり, 目に見えるような有限変位は生じていない. それにもかかわらず, 圧縮力が一定値を超えると微小な乱れを与えた瞬間に過大な横方向変位が生じ, 構造物は荷重をささえる抵抗力を増加させることなく, 場合によっては急激に低下させることがある. 以上のような現象は不安定現象と呼ばれ, 鋼構造物の設計では最も注意すべき現象である. 不安定現象の例を荷重 と変位 δの関係で整理し, 分類すると, 図 -.5のようになる. 図中において, 実線は安定なつり合い径路 ( 荷重 - 変位曲線 ) を表し, 破線は不安定なつり合い径路を表す ( 安定 不安定の判別については. 節にて説明する ) 図 -.5() の例は, 荷重 が分岐点 (. 節にて説明する ) の値に達すると, それまでの変形様式 ( 初期変形様式と呼ぶ ) から急激に別の変形様式に移行する現象で, 分岐座屈あるいは単に座屈と呼ばれている. そして, 分岐点に対応する荷重を座屈荷重と呼び, 座屈時の変形様式を座屈変形モードと呼ぶ. 数学的にいえば, 一般に座屈荷重は固有値問題における最小固有値に相当し, 座屈変形モードは最小固有値に対する固有ベクトル値に相当している. 図 -.5() に見られる中心圧縮を受ける柱の安定分岐座屈 ( 点 ) や, アーチの不安定分岐座屈 (' 点 ) は分岐座屈の代表例である. ただし, 表 -.に示すような非対称分岐座屈の場合については, 最小固有値に対する固有ベクトルが座屈変形モードに相当しないので注意が必要である. 図 -.5() では, 荷重の増加につれて非線形性が増し, 荷重が極限点 (B 点 ) に達した後は不安定なつり合い状態になり破壊に至る不安定現象であり, 屈服と呼ばれている. 例えば, 図 -.5() に示すように, 薄肉のパイプが曲げを受けた場合, 断面の偏平化とともに断面剛性が低下することによる屈服現象, あるいは付加曲げモーメントの影響ではり- 柱のたわみが増大し, 断面内に塑性域が生じて剛性が低下することによる屈服現象が良く知られている. 図 -.5(c) では, 荷重が増大し, それによりトラス部材には圧縮力が生じて極大点 (B 点 ) に達すると, 新しい変形状態に飛び移り, さらに荷重を増加させるとトラス部材には引張力が生じ,C 線上を動く. 逆に 点から荷重を減少させていくと変位も減少し, 荷重が極小点 (E 点 ) に達したときにF 点に飛び移る. このような現象が飛び移りと呼ばれる不安定現象である. 例えば, 偏平なアーチやシェルに生じる現象である. 広い意味では, 分岐座屈, 屈服, 飛び移りを含めて座屈と呼ぶことがある. このときには, 不安定現象といえば座屈現象を指すことになる. 構造物を設計する際に行う構造物の安定性の照査においては, 座屈設計という表現の中にすべての不安定現象 ( ただし, 剛体力学的な安定問題は除く ) に関する検討を含めて考えている. 表 -. 特異点の分類 特異点の分類 分岐点対称分岐点 非対称分岐点 極限点 極限点 極限点 荷重 - 変位曲線 分岐点 δ 分岐点 δ 分岐点 δ δ δ 不安定現象 安定対称分岐座不安定対称分岐非対称分岐座屈屈服 飛び移り の名称 屈 座屈

35 技術者のための構造力学 5. 安定 不安定の概念構造物を設計するときには, 構造物に不安定現象が生じないように配慮する必要がある. 本節では, 構造物が安定の状態にあるか, 不安定の状態にあるかを判別する方法について述べる. 一般に, ある構造物が外力の作用のもとで釣り合い状態にあるとき, この釣り合い状態が安定であるとは, その構造物に微小な乱れを与えたとき, その乱れが時間の経過とともに減少する場合を指す. この安定の判別規準は, 静的な安定 不安定の問題だけでなく, 動的な安定 不安定の問題に対しても成り立つが, ここでは静的な現象に限定して安定 不安定の問題を考える. 構造物に微小な乱れを与えるときに, どのような量の乱れを考えるかによって安定 不安定の判別方法が異なる. 本節では, 安定 不安定の判別法のうち, 代表的な次のつについて述べる. エネルギーの変化による安定 不安定の判別 釣り合い状態の変化による安定 不安定の判別 のエネルギーの変化により安定 不安定を判別する方法は, 全ポテンシャルエネルギーを利用するため, 主として図 -.6に示すような保存力( 外力のなす仕事が, 変形の径路に依存せず構造系の最初の状態のみで定まるとき, この外力を保存力と定義している. 一般に, 重力による力 ( 荷重 ) は保存力である. 水圧のように, 構造物の変形につれて作用方向を変える力は従動力と呼ばれ, 保存力ではない. また, 外力が保存力のみである弾性構造物を保存系と呼ぶ.) のみを受ける構造物の弾性安定問題に適用され, 非保存力を受ける構造物の座屈問題や弾塑性座屈問題 ( 耐荷力を求める問題を含む ) には適用し難いとされている. しかしながら, 安定 不安定の概念が把握し易いため, 広く利用されている. 例えば, 球が曲面上に乗っている場合を考えると, 図 -.7() に示すように, 下に凸な曲面の中央にある球は安定した状態にあることが, 図 -.7(c) に示すように, 上に凸な曲面の中央にある球は不安定な状態にあることが, 球を中心から微小な距離 δだけ移動させて手を離し, その後の球の運動を観察することによって容易に理解できる. また, 図 -.7() の状態にある球は, 安定と不安定の中間的な性格を持つ中立の状態とみなせる. そこで, 図 -.7の球の持つ全ポテンシャルエネルギーに注目すると, ポテンシャルエネルギーは位置エネルギーだけであるので, 全ポテンシャルエネルギーの量を表わす曲線形が曲面の形と同じになっていることが分る. また, 釣り合いの位置からの微小な乱れによる全ポテンシャルエネルギーの変化によってそのつり合い状態の安定 不安定が判別できることも分る. 即ち, 全ポテンシャルエネルギーが釣り合い位置において極小であれば, 任意の微小な乱れに対してつり合い状態は安定であり, 全ポテンシャルエネルギーが極大であれば, ある微小な乱れに対してつり合い状態は不安定に δ 変形前 保存力 ( 外力の仕事 δ) 非保存力 ( 常に柱頭部の接線方向に作用す変形後る荷重 ) δ δ δ 極小点 O δ O δ 極大点 O δ () 安定 () 中立 (c) 不安定 図 -.7 全ポテンシャルエネルギー の変化と安定 不安定 図 -.6 保存力の概念 5

36 技術者のための構造力学 5 N δ N 安定なつり合い状態 B '' 限界釣り合い点 δ ' δ C' C C'' - 不安定なつり合い状態 図 -.8 釣り合い状態の変化と安定 不安定 δ なることが分る. 一方,の釣り合い状態の変化によって安定 不安定を判別する方法は, 弾性 塑性の区別なく一般的な座屈問題に適用することが可能であり, 初期不整を持つ構造物の耐荷力や終局強度を調べる問題にも適用できる. 例えば, 図 -.8に示す軸方向圧縮力 Nと横力 を受けるはり- 柱の釣り合い曲線を考えてみる. 釣り合い曲線上の 点を基準の釣り合い状態にとり, 図 -.8のグラフ上の' 点として示すように, その状態に微小な変位の乱れ δを与えると, 外力 を一定にしたままではつり合い状態を保つことができない. それゆえ, 釣り合い曲線上の他の釣り合い状態に移すためには, 図 -.8のグラフ上の" 点として示すように, 微小な力 が必要になる. したがって, 微小な乱れを与え, 外力を増加させない図 -.8のグラフ上の' 点として表される状態にはり- 柱を置くと, 微小な乱れは減少し, 元のつり合い位置である 点に戻る. 即ち, 基準のつり合い状態に任意の微小な乱れを与えたとき, 近接したつり合い位置に移動させるために正の仕事 δ を必要とする場合には, その基準つり合い状態は安定であるといえる. これとは逆に, 図 -.8のグラフ上のC 点に注目すると, 基準の釣り合い状態に微小な変位の乱れ δを与えた場合, 外力 を一定にしたままではつり合い状態を保つことはできず, 近接した釣り合い状態に移動させるためには外力を微小な量 だけ荷重を下げる必要がある. 即ち, 基準のつり合い状態に, ある微小な乱れを与えたとき, 近接した釣り合い状態に移動させるために負の仕事を必要とする場合が つでもあれば, その基準釣り合い状態は不安定であるといえる. また, 図 -.8のグラフ上のB 点のように安定なつり合い状態と不安定なつり合い状態との境界は, 限界釣り合い状態にあると考えられる. 文献 7) では, 厳密に調べれば, この限界釣り合い状態が, 安定 不安定 中立に分けられることが説明されている..5 エネルギーの変化による安定 不安定の判別本資料では, 文献 7) に従って, エネルギーの変化を用いた構造物の安定 不安定の判別方法として, 最も初歩的な圧縮力 に対する変位として回転変位 θ のみが生ずる ( 自由度系と称する ), 図 -.9 に示す剛体 - 回転バネモデルを例に説明する. 同モデルは剛体棒の上端に圧縮力 が作用し, 下端にはバネ定数 k を有する回転バネが取り付けられている. 同モデルの座屈現象について調べるため, 全ポテンシャルエネルギーの変化を検討し, つり合い状態の安定 不安定を調べる. 同図に示すように, 鉛直方向に圧縮力 が作用し, 剛体棒がθ だけ傾いた状態の系の全ポテンシャルエネルギー は, 線形回転バネに蓄えられるひずみエネルギーを U とすると, 次のように表される. ( ) U θ k θ (.9) 6

37 技術者のための構造力学 5 θ θ kθ sθ k k 荷重 の持つ位置エネルギー V は次のように表される. ( θ, ) ( cosθ ) V (.) 式 (.9) と (.) より, 剛体 - 回転バネモデルの全ポテンシャルエネルギー は次のように表せる. (.) ( θ, ) U V kθ ( cosθ ) 回転角に微小な乱れを与え, 回転角を θ から θδθ に変化させたときの全ポテンシャルエネルギー の 変化 ( 全変分 ) は次のように表される. () 変形前 () 変形後図 -.9 剛体 - 回転バネモデル ( θ δθ, ) ( θ, ) (.). 節の考察から分るように, 本剛体 - 回転バネモデルの安定 不安定は, 釣り合い状態に微小な乱れを与えたときの の符号によって調べることができる. 即ち, 図 -.7 を参照すると, 以下であることがわかる. 任意のδθ に対して, 常に > のとき : 安定任意のδθ に対して, 常に のとき : 中立 (.) あるδθ に対して, < のとき : 不安定.6 エネルギー法による弾性座屈荷重の計算エネルギーは.5 節で述べたように, 構造物の安定 不安定の判別に用いることができるほか, 構造物の座屈荷重が正確にも求まらない場合, その近似値を求めるのに有効に用いることができる. 本節では文献 7) に従って, エネルギーを用いた座屈荷重の近似計算方法について概要を説明する. 線形座屈解析によれば, 分岐点近傍に座屈後のつり合い状態が存在することから, 分岐点を全ポテンシャルエネルギーの基準点に選べば, 座屈前後の全ポテンシャルエネルギーの変化量 のみに注目して, 限界釣り合い状態の判別基準 7) から座屈荷重を求めることができる. 即ち, 座屈に伴う微小変位 v によるひずみエネルギーの増加量 U と, 外力 のポテンシャルエネルギーの変化量 V を用いて, 外 力 を λ 倍したときに座屈するものとすれば, 臨界つり合い状態の判別条件より次式が得られる. ( v λ ) U ( v) V ( v, λ ) U ( v) λ V ( v, ) (.), ただし, 式 (.) の中辺から右辺への変形において, 保存系では外力のポテンシャルエネルギーと外 力が比例関係にあることから成立する次式を用いている. V ( v, ) λ V ( v ) λ (.5), 7

38 技術者のための構造力学 5 したがって, 式 (.) の最右辺を無次元パラメータ λ について解けば, 次のように表せる. U ( v) ( ) λ (.6) V v, 仮に, 座屈モード v が正確にわかり, そのときのλ がλ cr として計算できるならば, 座屈荷重 cr は外力 をλ cr 倍した次式で表される. cr λ (.7) これに対して, すべての境界条件を満たす分岐方向の変形様式 ( 座屈モード ) v として, 近似値を利用した場合には, 座屈荷重は cr に比べて高めの近似値になる. さらに, エネルギー法では, 座屈モード v の仮定の仕方によって数多くの近似解法が存在する. 一般には, 境界条件を満たす座屈モード v として, 次式で表される任意の数の関数 v k の線形結合を使用することが多い. v C k v (.8) cr ここに,C k : 未定係数である. 以上の一般的な解析法を図 -.9 に示す剛体 - 回転バネモデルに適用し, 座屈荷重を求めてみる. 線形座屈解析では, 座屈後の変位は微小であると仮定しているので, 式 (.) に関してθ を θ とおいて, cos θ を clur( マクローリン ) 展開して θ の第 項までとって近似する. 一般的に, を独立変数 とする関数 f() の clur 展開の公式は次式で表される. f f f! f! f! (.9) ( ) ( ) ( )( ) ( )( ) ( )( ) 式 (.) の cos θ において, 独立変数は θ であるから,clur 展開の公式は式 (.9) の を θ と読 み替えて次のように表される. ( θ ) f ( ) f ( )( θ! ) f ( )( θ! ) f ( )( θ! ) k f (.) f( θ) cos θ であるから, 式 (.) は, ( θ! ) cos( θ! ) s ( θ ) cos θ cos s! (.) 式 (.) において, θ の第 項までとれば, ( ) cos θ θ (.) θ を θ とおいた式 (.9), 式 (.) の関係を代入して をλ とした式 (.) を式 (.) に代入すると, 次の関係が得られる. ( θ, λ ) U ( θ ) λ V ( θ, ) k( θ ) ( θ ) λ (.) したがって, 限界状態における無次元パラメータ λ は, 式 (.) を λ について解くことによって次のよ うに表せる. ( θ ) k ( θ ) k λ (.) cr 式 (.) より, 座屈荷重 cr は次のように表され, 一般的に知られている, 図 -.9 に示す剛体 - 回転バネモデルの座屈荷重の解と一致する. λ k (.5) cr cr 8

39 技術者のための構造力学 5 5. 内部エネルギー法の計算式本章では, 章で紹介したエネルギー原理に従って, はり部材や板要素が座屈変形を起こすときの内部エネルギーの計算式について示す. 5. 柱の内部エネルギー図 -5. に示すように, 柱等のトラス部材の微小要素 ddd に, ひずみε に伴う応力 σ が生じる時, 内部に蓄えられるひずみエネルギーを外力仕事から計算する. 図 -5. に示すように, 外力仕事は次式で表される. W d σ dε d σ ε ddd (5.) したがって, ひずみε に伴う応力 σ が生じる場合に体積 V の要素に蓄えられる内部エネルギーは下記となる. σ U σ ε ddd σ ε dv σ dv σ dv (5.) E E 軸力のみが作用する長さ の柱部材では, 断面内の応力は一定であるから,N σ より, N N N U σ dv dv d N d (5.) E E E E E 5. はりの内部エネルギー図 -.7,.8 に示すように, 断面に曲げモーメント を生じたはりの内部エネルギー U は, 断面内の微小要素には応力 σ が生ずるから式 (5.) で表される. はりの断面内に曲げモーメント に伴って生ずる応力 σ は, 断面二次モーメント I とすれば次式で表される. σ (5.) I d d σ d 外力 dw dv W v/ d u d dd 図 -5. 微小要素の応力と変形 k v v dv 変位 v 図 -5. 外力と変位の関係 σ d d d p σ d 中立面中立軸 図 -.7 応力と曲げモーメントの関係 ( 再掲 ) σ 図 -.8 曲げモーメントに伴う微小要素の曲げ応力分布 ( 再掲 ) 9

40 技術者のための構造力学 5 外力 ( ) W v/ d (W θ/) 仮想変位 δv (δθ ) v (θ ) 変位 v 図 -5. 仮想外力仕事 応力 σ σ U σ ε / ε dσ δu δσ ε 仮想ひずみ δε ひずみε 図 -5. 仮想ひずみエネルギー 式 (5.) を式 (5.) に代入すると, U σ dv E EI d E I ddd E I ( dd) d E I Id (5.5) 5. はり部材, 柱部材への仮想仕事の原理の適用はり部材に部材軸直角方向の外力 が作用している状態で, 同方向にδv なる仮想変位を与えた場合の仮想外力仕事は次式で表される. δ W δv (5.6) 式 (5.6) は, 図 -5. の斜線部の面積として示される. 一方, 仮想内部エネルギー増分 δu は, 部材軸方向のみに応力 σ とひずみε が生ずるはり部材や柱部材については, 図 -5. の斜線部の面積を体積で積分した次式で表される. δ U V σ δε dv (5.7) 柱部材などのトラス部材においては, 断面内に一様な軸力 N が生ずるから, 部材の断面積を, 弾性係数を E とすれば,σ と仮想ひずみδε はそれぞれ次式で表される. N N σ, δε δ (5.8), E はり部材や柱部材では, 微小要素の体積は dv d で表されることを考慮して, 式 (5.7) に式 (5.8) を代入し, 部材長を とすると, 柱部材の仮想内部エネルギー増分 δu は, N N N N N N δ U σ δε dd δ dd δ dd δ d (5.9) E E E はり部材においては, 断面に生ずる曲げモーメント, 中立軸からの距離を, 弾性係数を E, 部材の断面二次モーメントを I とすれば,σ と仮想ひずみδε はそれぞれ次式で表される. σ, δε δ (5.), I EI 式 (5.7) に式 (5.) を代入し, 部材長を とすると, 柱部材の仮想内部エネルギー増分 δu は, δu σ δε dd I δ EI d δ EI dd EI δ dd δ EI Id (5.) 仮想仕事の原理においては, 次のように仮想外力仕事と仮想内部エネルギー増分が等しいことを利用

41 技術者のための構造力学 5 する. W δu δ (5.) 板要素の内部エネルギー板要素の内部エネルギー板要素の内部エネルギー板要素の内部エネルギー板要素の板厚を として, 板面内に, 軸, 面外方向に 軸を設定すると, 平面応力状態を仮定すれば,σ τ τ とできるので, 板要素内の微小体積 dv dd に蓄えられるひずみエネルギー du は, ( ) dd d du γ τ ε σ ε σ (5.) Krchhoff( キルヒホッフ ) の仮定に従って, 式 (5.) に式 (.)~(.5) を代入して, dd G E ddd G E E ddd G E E du (5.) 式 (5.) の最右辺に式 (.),(.) を代入して, 弾性係数 E, せん断弾性係数 G をそれぞれ板曲げ剛度 で表せば, ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) dd dd dd dd dd du 6 (5.5) 板要素の長さを, 板幅を とすれば, 板要素に蓄えられるひずみエネルギー U は, ( ) dd dudd U (5.6)

42 技術者のための構造力学 5 6.Tosheko 法による座屈解析 Tosheko の方法によれば, 安定な釣り合いから不安定な釣り合いへ移行する際には, 次式で表され るように, 全ポテンシャルエネルギーがゼロであるという性質を利用する. 即ち, 式 (.) より, T U (6.) 6. 柱の座屈解析 6.. 内部エネルギー 微小変位を仮定すれば, 座屈直後の柱には曲げモーメント による次式で表される内部エネルギー が蓄えられる. U d EI. 節で説明したように, 曲げモーメント と曲率の関係は次式で表される. 式 (6.) を式 (6.) に代入すると, d EI EI d (6.) d EI (6.) d U 式 (6.) において, たわみ形状を次の正弦波形で仮定する. ここに,: 正の整数 (,,...) である. 式 (6.5) を に関して 階微分すると, 式 (6.6) の第 式を式 (6.) に代入すると, EI EI s d EI d d d d (6.) s (6.5) d cos (6.6) d d s (6.6) d U ここで, 三角関数の半角公式は以下のようにして導ける. s d ( α α ) cosα cosα sα sα cos α s α ( α α ) cosα cosα sα sα cos α s α cos α cos (6.8) cos cos (6.8) 式 (6.8) の第 式から第 式を差し引くと, 式 (6.9) を s α について解けば, 式 (6.) の関係を式 (6.7) の最右辺の被積分関数に用いれば (6.7) cos α s α (6.9) cos α s α (6.)

43 技術者のための構造力学 5 d d θ θ d d d ds d d ds θ d/d θ du ds θ dsθ d θ d 図 -6. たわみ後の長さと水平長さの関係 U EI EI cos d EI s (6.) 6.. 外力仕事増分 変形の間に作用外力である圧縮力は変化しないものとして, これを cr とする. 図 -6. に示すように, cr による柱の微小区間の縮みを du とする. また, 次のように角度 θ を定義する. 幾何学的関係により,du は sθ を用いて次のように表される. d θ (6.) d d d du d( sθ ) sθ d s s (6.) d d 式 (6.) の最右辺において, 微小変形であれば次の関係が成立する. 式 (6.) を式 (6.) に代入すると, したがって, 式 (6.5) より, 柱全長にわたる縮みは, d d s (6.) d d d d d du d d (6.5) d d d d du d d u d d d (6.6) 式 (6.6) において, たわみ形状を式 (6.5) の正弦波形で仮定し, 式 (6.6) の最右辺に式 (6.6) の第 式を代 入すると, cos d cos d u (6.7) 圧縮力 cr による外力仕事増分 T は, cr が微小変形の間に変化しないので, 式 (6.7) を用いて次のよう に表される. d T u d cr cr cr cos d d 式 (6.8) の第 式と第 式を辺々加えると, 式 (6.9) を cos α について解けば, (6.8) cos α cos α (6.9)

44 技術者のための構造力学 5 式 (6.) の関係を式 (6.8) の最右辺の被積分関数に用いれば, cr cos α cos α (6.) cr T cos d s cr (6.) 6.. 弾性座屈荷重座屈の発生は, 構造の安定な釣り合い状態から不安定な釣り合い状態への移行を意味しており, このとき,Tosheko のエネルギー法によれば,U T が成立しなければならない. よって, 式 (6.) と (6.) より, 式 (6.) を cr について解けば, EI cr (6.) EI 弾性座屈荷重 cr の最小値は の場合に生ずるから, cr (6.) cr EI (6.) 6. 板の座屈解析 6.. 内部エネルギー 辺が単純支持された, 長さ, 板幅, 板厚 の板に長手方向に一様な圧縮応力が作用した場合に座屈が生じたとして, そのときのたわみ形状を次式で仮定する. j j j s s (6.5) ここに, j : 定数である. 因みに, 式 (6.5) のたわみ波形は, 例えば面外方向に分布荷重を受ける場合にも用いることができる. しかし, その場合には同式の総和記号を残したままの演算が必要となる.( 補足資料 はり要素, 板要素に蓄積される内部エネルギー ) を参照 ) この場合, 内部エネルギーの計算に重ね合わせの法則を用いてはならない. 例えば, バネ値 k のバネに正の軸力 を作用させた後に負の軸力を作用させた場合のエネルギーについて考えると, 正の軸力による内部エネルギー U は /(k) であり, 負の軸力による内部エネルギー U も /(k) となる. 負の軸力を載荷したのちの合計の軸力は (-) となるのに対して, 内部エネルギーの合計は U U /k となって, 個別にエネルギーを足し合わせると矛盾をきたすことになる. 座屈波形が, の時, 即ち, j が, j の場合のたわみ形状は, j j s s (6.6)

45 技術者のための構造力学 5 5 式 (6.6) を, に関して偏微分すると, s cos (6.7) s s (6.7) cos cos (6.7) s s (6.7) 式 (5.6) に式 (6.7) を代入すると, 板要素の内部エネルギー U は, ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) dd dd dd dd dd U s s s s s s s s s s s s s s s s s s s s cos cos s s s s s s cos cos s s s s

46 技術者のための構造力学 5 6 ( ) dd dd U s s s s (6.8) 式 (6.8) において, 積分計算を表す次のパラメータを定義する. dd F s s (6.9) dd F s s (6.) 式 (6.9),(6.) を用いると式 (6.8) は次のように表される. ( ) F F U (6.) 式 (6.9) の被積分関数は式 (6.) の半角公式を用いて次のように変形できる. s cos cos s cos cos s s dd dd dd dd F (6.) 同様に, 式 (6.) の被積分関数は式 (6.) の半角公式を用いて次のように変形できる. [ ] [ ] [ ] s cos cos cos s cos cos s s d d d dd dd F (6.) 式 (6.) に式 (6.),(6.) を代入すると, 8 U (6.)

47 技術者のための構造力学 外力仕事増分 板の長手方向に作用する一様な圧縮応力を σ, 板厚を とすると外力仕事増分 T は次式を用いて計算 できる. σ T 式 (6.) の被積分関数に式 (6.7) の第 式を代入すると, dd σ T cos s dd σ cos s dd 式 (6.) 最右辺の被積分関数に式 (6.) で表される半角の公式を用いると, σ T σ σ cos s s s d dd 式 (6.) の最右辺に式 (6.) で表される三角関数の半角公式を用いると, s σ T cos d σ s 8 σ 8 d (6.) (6.) (6.) (6.5) 6.. 弾性座屈応力 Tosheko のエネルギー法によれば, 座屈発生時には U T が成立しなければならないから, 式 (6.) と (6.5) より,σ σ cr とおいて, 8 σ (6.6) cr 8 式 (6.6) をσ cr について解けば, σ (6.7) cr 6. 補剛板の座屈解析補剛板に座屈が生ずる場合, 次式で表されるように全ポテンシャルエネルギー Π は である. Π U U U T T (6.8) p ここに,U p : 板母材に蓄えられる内部エネルギー,U : 縦リブに蓄えられる内部エネルギー,U T : 横 T p 7

48 技術者のための構造力学 5 リブに蓄えられる内部エネルギー,T p : 板母材になされる外力仕事の増分, および T : 縦リブになされる外力仕事の増分である. 式 (6.8) を変形すれば, U U U T T (6.9) p T p 式 (6.9) は Tosheko のエネルギー法の座屈発生時の条件と等価である. 上記の内容については別資 料 資料 補剛板全体パネルの座屈応力と座屈係数応力と座屈係数 を参照されたい. 参考文献 ) 中井博, 北田俊行 : 鋼橋設計の基礎, 共立出版,99. ) 大倉一郎 : 鋼構造設計学の基礎, 東洋書店,. ) 青木徹彦 : 土木系大学講義シリーズ構造力学, コロナ社,986. ) 土木学会 : 構造力学公式集,986. 5) 日本橋梁建設協会 : デザインデータブック,6. 6) 福本唀士 : 土木学会編新体系土木工学 9 構造物の座屈 安定解析, 技報堂出版,98. 7) 土木学会 : 鋼構造シリーズ 座屈設計ガイドライン, 技報堂出版,987. 8) 社団法人日本道路協会 : 道路橋示方書 同解説 Ⅱ 鋼橋編,. 8

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構造力学Ⅰ第12回 第 回材の座屈 (0 章 ) p.5~ ( 復習 ) モールの定理 ( 手順 ) 座屈とは 荷重により梁に生じた曲げモーメントをで除して仮想荷重と考える 座屈荷重 偏心荷重 ( 曲げと軸力 ) 断面の核 この仮想荷重に対するある点でのせん断力 たわみ角に相当する曲げモーメント たわみに相当する ( 例 ) 単純梁の支点のたわみ角 : は 図 を仮想荷重と考えたときの 点の支点反力 B は 図 を仮想荷重と考えたときのB

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