回転楕円鏡を用いた高感度放射電力測定技術の研究開発 平成 23 年 11 月 30 日アンリツ株式会社

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1 回転楕円鏡を用いた高感度放射電力測定技術の研究開発 平成 23 年 11 月 30 日アンリツ株式会社

2 背景 ユビキタス社会の到来を迎え 携帯電話機や無線 LAN に加え RFID や UWB などの小型無線機器の爆発的増大が予測されている これらの機器の多くは測定用の端子を有しないものが多く 既存の方法で測定を行うことは困難であり 新たな放射測定法の確立が求められている 従来の携帯機 これからの無線機 (RFID タグ UWB, BAN 端末など ) アンテナ 無線機の超小型化低消費電力化低コスト化 アンテナ送受信機 IC チップ 空中線電力測定 測定端子を有しない無線機の増大 測定端子 送受信機 IC 全放射電力 (TRP) の測定 2

3 成果目標と達成状況 成果目標 : 小型無線機の高速 高感度 TRP 測定法の実現 1 回転楕円鏡結合器を用いて無線機の全放射電力 (TRP) を高感度 高精度に測定できる新しい測定法を確立する 各種従来法と比較検証を行い 本測定法の妥当性を検証するとともに国際的提案を行う 2 高次スプリアスの測定法を確立する 3 楕円鏡結合器の応用の拡大として 無線機の受信感度 (TRS) の測定法を開発する 達成状況 1 多重反射を利用し高感度で測定可能な変位法と 変位法の精度を高める反射補正法を開発した また 既存測定法との比較検証実験を行い本測定法の妥当性を確認した さらに 国内外学会での発表 展示会 報道発表を行い論文誌にも投稿中である 2 スプリアスの測定実験を行い 本測定法で測定可能であることを確認した 3 変位法を応用することで TRS 測定法を開発し W-CDMA の端末による測定実験を行い 測定法の妥当性を確認した 3

4 1-1 楕円鏡を用いた TRP 測定法の開発 ( 変位法 ) 楕円鏡結合器の構成 x, y 短軸 b 楕円鏡結合器 ( 金属 ) l 1 l 2 離心率 : F 1 f f O F 2 長軸 a z ( 回転軸 ) EUT 受信アンテナ F 1 : 供試端末 (EUT) F 2 : 受信アンテナ 送信アンテナから放射した電波は受信アンテナに集まる オーバーサイズの共振器であり 複雑な多重反射が生じる 4

5 1-1 楕円鏡を用いた TRP 測定法の開発 ( 変位法 ) 変位法による測定原理 送受アンテナを回転軸に沿って対称に移動させ多重反射の条件を変化させることで 送信側反射係数 Γ 0 その結果結合度 (C) 1 を実現 Multiple reflection Lossless cavity P o S 11 Δz Δz S 21 Z L P L P R η ( ) 2 r: radiation efficiency of Tx. antenna PL = Poη r 1 S 11 2 TRP = P 0 η r 1 S 11 if 11 P = η maximum TRP = ( ) Pη 0 r S 0 L P o r (C=1)! 5

6 1-1 楕円鏡を用いた TRP 測定法の開発 ( 変位法 ) 変位法の効果 送受アンテナ :λ/2 2a = 8λ e = S 21 S Magnitude [db] GHzで反射大 結合度小 Frequency [GHz] Magnitude [db] C = 1-30 S 21 S inward Δz [mm] outward S 21 (Max.) [db] Dipole bandwidth Frequency [GHz] 焦点配置 (Δz=0) 時 変位に対する結合特性 (@3GHz) 最大値抽出後 6

7 1-2 楕円鏡を用いた TRP 測定法の開発 ( 反射補正法 ) 反射係数測定の原理と回路構成 A 可変移相器 exp(jφ) C B + A B Γ 線路 ( 損失 : K) ) 反射素子 A SA C A B EUT (P 0, η r, Γ EUT ) 受信アンテナ l 1 B 受信機 B A 楕円鏡結合器 可変移相器 (a) 反射係数の推定原理図 (b) 反射係数測定回路を含む楕円鏡結合器 楕円鏡結合器に出力反射係数 Γ の測定回路組み込み 変位法による受信出力と Γ により TRP を高精度に測定 7

8 1-2 楕円鏡を用いた TRP 測定法の開発 ( 反射補正法 ) 測定システム (800MHz 帯用 ) 楕円鏡カップラ楕円鏡結合器 変位用駆動モータ可変位相器可変反射器固定反射器 楕円鏡結合器 楕円鏡結合器 長軸長 (2a) 1200 mm 短軸長 (2b) 1094 mm 離心率 (e) 0.41 材質 FRP 内壁用導電性塗料 45% Cu 駆動部変位量 300 mm 可変移相器変位量 150 mm (75 mm 2) 固定反射器設定範囲 150 mm (75 mm 2) 擬似無線機 擬似無線機 周波数空中線電力筐体寸法 1.47 GHz dbm 140 x 40 x 46 mm 8

9 1-2 楕円鏡を用いた TRP 測定法の開発 ( 反射補正法 ) 反射補正法による TRP 測定結果 (EUT の空中線電力は 10.08dBm) H G F E D C B A Z [mm] Pr(EUT) [dbm] K' [db] Γ [db] TRP [dbm] A B C D E F G H K は測定系の損失による補正係数 反射係数で受信電力を補正することにより 結合度が低い場合であっても 空中線電力に近い値が測定できる TRP [dbm] z[mm] ( 焦点からの距離 ) 変位法反射係数推定値による補正 9

10 1-3 ラウンドロビン試験 ( 従来法との比較検証 ) 使用施設 反射箱 (NICT 様 ) 電波無反射室 ( アンリツ ) 楕円鏡結合器 変位用駆動モータ 部分球面走査システム (TELEC 様 ) 楕円鏡結合器 ( アンリツ ) 10

11 1-3 ラウンドロビン試験 ( 従来法との比較検証 ) 基準アンテナと供試器 疑似無線機 基準アンテナ (a) 1.47 GHz (b) 2.41 GHz, 5.18GHz EUT( 空中線電力 : ノミナル 10dBm) 1.47, 2.41, 5.18 GHz 帯 標準ダイポールアンテナを用意 アンテナ取り付け位置 ant1 中央 ( 整合アンテナ ) ant2 長辺中央 ( 整合アンテナ ) ant3 角 ( 整合アンテナ ) ant4 中央 ( 不整合アンテナ ) 11

12 1-3 ラウンドロビン試験 ( 従来法との比較検証 ) 測定結果 [db] dbm の電力を供給した基準アンテナの TRP を 0dB とした EUT の TRP A B C D E [db] A B C D E [db] ant1 ant2 ant3 ant4 (a) 1.47GHz A B C D E ant1 ant2 ant3 ant4 (c) 5.18 GHz ant1 ant2 ant3 ant4 (b) 2.41GHz 測定方法 測定機関 A 3m 法 アンリツ B 反射板を用いた部分球面走査法 TELEC C 反射箱を用いた平均値置換法 NICT D 反射箱を用いた累積確率分布の 63.2% 値置換法 NICT E 楕円鏡結合器法 アンリツ 測定結果は いづれも ±1dB 以下の範囲に入っている 12

13 2 高次スプリアスの測定 供試器 擬似無線機 ( コムジェネレータ + ディスコーンアンテナ ) 0 ディスコーンアンテナ GHz GHz S 11 [db] -20 擬似無線機 -30 ANT 1 ANT freqency [GHz] ディスコーンアンテナ S11 測定結果 13

14 2 高次スプリアスの測定 高次スプリアス測定結果 f [GHz] ΓEUT [db] TRP 測定値 [dbm] 端子電力 [dbm] 反射波の発振器への影響を避けるため アンテナ - 発振器間に 3dB の ATT を入れている アンテナ内部損失 [db] TRP 推定値 [dbm] 測定値 - 推定値 [db] TRP 推定値と TRP 測定値は 1dB 以内で一致している 14

15 3 UMTS 端末の OTA 測定 (TRP,TRS 測定 ) 測定システム 送受信アンテナとラジオコミュニケーションアナライザの間に可変移相器および固定反射器を挿入し 反射係数推定を行い TRP 測定を行った TRS 測定では反射補正は行っていない f 1 : 2140MHz f 2 : 1950MHz 変位モータ 被試験端末 Down Link (f 1 ) 変位 送受信アンテナ変位モータ GHz 帯用楕円鏡結合器 2a = 760 mm, 2b = 658 mm, e = 0.5, 材料 :ABS 楕円鏡カプラ Up Link (f 2 ) 可変移相器固定反射器 システム制御 データ処理 PC ラジオコミュニケーションアナライザ MT8820B/C エコーバックデータ ( f 2 ) 送信電力 受信機入力電力 BER 15

16 3 UMTS 端末の OTA 測定 (TRP,TRS 測定 ) TRP, TRS の測定結果 測定法による比較 機種 f[ghz] TRP[dBm] 楕円鏡 TRP[dBm] 電波無反射室 A 機 B 機 機種 f[ghz] TRS[dBm] 楕円鏡 TRS[dBm] 電波無反射室 A 機 B 機 dB の刻みで測定した TRS は良く一致している この時の測定時間は電波無反射室では 4 時間掛かったが 楕円鏡結合器ではわずか 4 分程度である 16

17 成果の今後の展開 市場調査に基づき顧客動向を十分に把握し 安全性 信頼性を確保した上で 更なる小型軽量化とコストダウンを達成し 実用化に努める H23 年度 H24 年度 H25 年度 H26 年度 H27 年度 論文発表 特許出願 顧客調査 安全性の確保 小型化等 実用化試作 ( 信頼性 品質評価等 ) 年度 国内発表 国際発表 合計 平成 平成 平成 合計 年度 国内出願 外国出願 合計 平成 平成 平成 合計 その他報道発表 :4 紙 展示会出展 :2 回 論文誌に投稿中 17

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