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2 第 46 回骨粗鬆症財団教育ゼミナール講演 I 内分泌代謝異常に伴う骨粗鬆症の病態とその管理 島根大学医学部内科学講座内科学第一 杉本利嗣 はじめに加齢に伴う生理的な内分泌変化として性ホルモン系の抑制 (menopause,andropause), 成長ホルモン-IGF-I 系の抑制 (somatopause), 副腎系の抑制 (adrenopause) などがあげられ, 加齢に伴う骨減少に関わっていることが知られている 骨粗鬆症は原発性と続発性に大別されるが, 後者をきたす代表例に内分泌代謝異常に伴うものがあげられる ホルモン過剰症としてクッシング症候群, 原発性副甲状腺機能亢進症, 慢性腎不全に伴う続発性副甲状腺機能亢進症, 甲状腺機能亢進症, そして欠乏症として性腺機能低下症, 成人成長ホルモン (GH) 欠損症などがある また近年グルココルチコイド (GC) 服用 ( 外因性クッシング症候群 ) に伴う骨粗鬆症は, 臨床上の大きな問題と認識されてきている このように内因性, 外因性あるいは生理的, 病的を問わず内分泌系の異常は骨代謝に多大な影響を及ぼす 一方, 代表的代謝疾患である糖尿病においても,1 型はもちろんのこと, 最近 2 型においても骨折危険度が高まっていることが明らかとなってきている さらに近年骨 血管連関, すなわち骨粗鬆症と動脈硬化 / 血管石灰化さらには脂質代謝異常に密接な関連が存在することが注目されてきている そこで本稿では, 内分泌代謝異常に伴う骨粗鬆症の病態生理とその管理について概説する 1 内分泌異常 1) 原発性副甲状腺機能亢進症血清 Ca 濃度測定がルーチン検査として普及して以来, 本症は高率に発見されるようになり, 現在では非常に頻度の高い内分泌疾患と認識されるようになった わが国では,2,000~3,000 人に 1 人の頻度と推計されており, 男女比では 3:1 と女性に多くみられ, 特に中高年女性に多い 近年, 本疾患は無症候性で発見される頻度が高いが, このような例においても皮質骨優位の骨密度低下をきたしていることが多い そして軽症例においても骨折危険度が高まっており, これを適切に診断し, 病的副甲状腺の摘出術を行うことにより, 骨折危険度の低減が得られるとのエビデンスが蓄積されてきている 術後の骨密度の推移に関する著者らの検討より, 軽症例においても著明な骨密度の上昇が期待できる結果を得ている 1,2) ( 図 1) 以上を踏まえて, 米国 NIH の手術適応に関するガイドラインが 2002 年に改訂され, 手術適応基準が拡げられている 3) また軽症例の保存的治療法として, ビスフォスフォネート製剤の有効性が証明され, 第一選択薬に位置づけられている またラロキシフェンに関するエビデンスも蓄積されつつある 2) クッシング症候群 ( 内因性, 外因性 ) 従来より内因性 GC 過剰をきたす代表的疾患であるクッシング症候群では, 著明な骨代謝異常がみられることが知られている GC 過剰では海綿骨優位に障害を受けると認識されているが, 著者らの pqct 法を用いた前腕骨の骨形態の検討より, クッシング症候群の患者の骨は細くかつ薄くなっており, 皮質骨もかなりの障害を受けるものと考えられる 一方, 本疾患では GC 過剰の解除によりこの異常が著明に改善することより,GC 過剰の骨代謝異常はかなりの reversibility が期待できる しか - 1 -

3 橈骨骨密度の変化率 (%) 0 腰椎骨密度の変化率 (%) 観察期間 ( ヵ月 ) p<0.01 vs ベースライン 図 1 原発性副甲状腺機能亢進症女性患者における副甲状腺摘出術後の骨密度の推移 ( 文献 2 より改変 ) 骨密度 (g/m 2 ) 腰椎大腿骨頸部橈骨 年齢 ( 歳 ) 年齢 ( 歳 ) 図 2 グルココルチコイド服用女性患者における脊椎圧迫骨折の有無での骨密度の比較 ( 文献 4 より改変 ) 年齢 ( 歳 ) 椎体骨折 (-), 椎体骨折 (+) し外因性 GC 過剰, すなわちステロイド内服患者の大部分では原病の治療のため, 内服持続が余儀なくされる そして従来問題視されていなかった少量内服例においても早期から骨折危険度が高まっていることを示す結果が蓄積されつつある すなわちプレドニゾロン (PSL) 換算で 2.5mg/ 日以下の投与例でも椎体骨折危険度が有意に上昇していることや,PSL 換算で 2.5mg/ 日以上投与例では投与後 3 ~6 ヵ月で骨折危険度が最大限に高まっていることが報告されている 著者らの PSL 投与後早期の骨代謝マーカーの縦断的検討でも, 投与開始後 1 週間以内に著明な骨形成と骨吸収のアンカップリングが起きていることを示す結果を得ている 一方, ステロイド服用患者では骨密度に反映されない骨脆弱性の亢進が存在するため, 骨密度低下を認めない例でも骨折危険度が高まっている PSL5mg/ 日以上を 6 ヵ月以上服用した女性例において,ROC 解析を用いて種々の測定部位での椎体骨折の骨密度カットオフ値を求めた著者らの検討でも, 非投与女性では腰椎と前腕でそれぞれ young adult mean (YAM) の 71% と 72% であるのに対し, ステロイド投与例では YAM の 80% と 89% であり, 後者で明らかに高値を示した ( 図 2) 4) このようなエビデンスを踏まえて, 米国, 英国, 加国, 豪州などからステロイド性骨粗鬆症の管理ガイドラインが策定, 改訂されるに至っている そしてわが国でも日本骨代謝学会において名和田らにより 2005 年管理と治療のガイドラインが公表された 5) すなわち経口ステロイドを 3 ヵ月以上使用中あるいは使用予定を管理対象とし, 既存脆弱性骨折あるいは治療中新規骨折あり例, またなし例においても骨密度が YAM の 80% 未満例, そして YAM の 80% 以上例でも PSL 換算で 1 日投与量が 5mg 以上例を治療対象としている 1990 年代末よりステロイド性骨粗鬆 - 2 -

4 下垂体 加齢 GH GH GH 分泌能 肝臓 血中 IGF-I IGFBP-3 IGF-I=IGFBP-3 骨 骨量 骨脆弱性 図 3 成長ホルモン (GH) の骨に対する作用様式と加齢による影響 ( 文献 6,7 より改変 ) 表 1 2 型糖尿病女性患者と対照女性における脊椎圧迫骨折の有無での腰椎骨密度の比較 カットオフ値 (g/cm 2 ) T score(%) 感度 (%) 特異度 (%) Control 群 (71) DM 群 (80) 症に対するビスフォスフォネート製剤の著明な骨折防止効果が次々と報告され, 一次予防と二次予防における有効性が立証されている 以上をふまえて, いずれのガイドラインにおいても薬剤の第一選択薬はビスフォスフォネート製剤である 最近のステロイド性骨粗鬆症例におけるメタ解析で活性型ビタミン D 3 製剤の椎体骨折防止効果が示されていること, そしてわが国における 2 年間の縦断検討でビタミン K 2 の椎体骨折防止効果を示すエビデンスがあることより, わが国のガイドラインではこの 2 剤が第 2 選択薬としてあげられている 3) 成人 GH 欠損 不足症小児の GH 欠損症のみならず, 成人においても骨減少そして骨折危険度が高まっていること, そして成人 GH 欠損例に対する GH 補充の有効性が明らかとなってきている また著者らの検討では, 加齢に伴う GH 分泌能の減少と, これに伴う血中 IGF-I と IGF 結合蛋白 -3(IGFBP-3) の低下が骨量ならびに骨強度の低下に密接に関連していることを示す結果を得ている 6,7) ( 図 3) さらに GH 分泌の相対的低下が示唆される血中 IGF-I 低値を示す骨粗鬆症女性に対する GH 補充の検討より, かなりの骨量増加が期待できる結果を得ている 8,9) 海外においても最近, 骨粗鬆症に対する GH 治療の有効性が見直されてきており, 今後の臨床応用への展開が期待される 2 代謝異常 1) 糖尿病 1 型糖尿病においては骨量低下と骨脆弱性の亢進が存在することはよく知られている 一方,2 型糖尿病においては, 骨量については一定の見解が得られていないが, 骨折危険度が高まっていることが明らかとなってきている 10) 著者らの 2 型糖尿病例における骨折閾値の検討でも, 男女ともに椎体骨折の腰椎骨密度のカットオフ値が明らかに高い ( 表 1) 治療面においても,2 型糖尿病例におけるビスフォスフォネート製剤の有効性が報告されてきている - 3 -

5 腰椎骨密度 (g/cm 2 ) %fat Q4 %fat Q3 %fat Q2 %fat Q1 高低 LDL-C Q1 LDL-C Q2 LDL-C Q3 LDL-C Q4 高 低 図 4 閉経後女性における LDL- コレステロール (LDL-C) と体脂肪率 (% fat) の Quartile による群間での腰椎骨密度の比較 2) 動脈硬化症, 脂質代謝異常症近年, 骨粗鬆症と動脈硬化 血管石灰化に密接な関連が存在することが注目されてきている すなわち骨密度と動脈石灰化の程度や動脈硬化指数との間に負の相関があること, そして骨量減少度や既存骨折の存在と脂質代謝異常や心血管イベントの発症率 / 死亡率にも関連があることが数多く報告されている しかし動脈硬化の原因となる脂質代謝異常と骨粗鬆症との関連性については不明であった われわれはこの関連性を検討する目的で, 閉経後女性において血中脂質値と骨密度の関係について重回帰分析を行った その結果, 総コレステロールや LDL コレステロールと骨密度に有意の負相関, そして HDL コレステロールと骨密度に有意の正相関が存在する結果を得た 11) この結果は高 LDL 血症および低 HDL 血症は動脈硬化のみならず骨量減少を促進する可能性を示唆する これに一致して,in vitro でも酸化 LDL の骨芽細胞分化阻害作用が報告されている 一方, 高脂血症, 特に低 HDL 血症をきたす危険因子である体脂肪増加は骨量に保護的に働くことが知られているが, 高 LDL 血症は女性では非肥満者にもよく合併する 実際, われわれの閉経後女性の検討でも,IIa 型高脂血症が最も多く, その BMI 平均は 22 であり, 肥満はなかった そこで, 対象者を LDL コレステロール値と体脂肪率で各 4 分割し検討した結果,LDL 最高値群かつ体脂肪率最低値群は LDL 最低値群かつ体脂肪率最高値群に比し, 骨密度が明らかに低値である結果を得た ( 図 4) 以上より, 高 LDL 血症と低体脂肪の併存は骨粗鬆症のリスクファクターとなる可能性があると考えられた さらに高脂血症, 高血圧などの治療薬と骨粗鬆症治療薬がそれぞれ骨代謝と動脈硬化 / 脂質代謝にも影響を及ぼす可能性が明らかとなってきている たとえば, スタチン製剤,βブロッカーやサイアザイドなどの降圧薬が骨折防止効果を有する可能性が注目されている 一方, 骨粗鬆症治療薬として認可されているラロキシフェンの脂質代謝改善作用や血管に対する作用の存在も示されている さらにビスフォスフォネート製剤においてもその血管石灰化抑制効果や脂質代謝改善作用についての報告もある このようにマルチタレントな特徴を有する薬剤の登場により, 治療薬の選択に際し, 骨粗鬆症と併存しやすい生活習慣病, 特に高脂血症 / 動脈硬化症に対する配慮も要求される おわりに現在, 骨折防止効果が証明された骨粗鬆症治療薬の登場により, 骨粗鬆症診療においても evidence based medicine の実践が可能となった これに加え, マルチタレントな特徴を有する薬剤による個別的対応, すなわち tailor made medicine を実践していくことも可能になりつつある このように骨粗鬆症診療にあたっては, 続発性骨粗鬆症をきたす疾患の的確な診断とその管理, そして併存する疾患の - 4 -

6 予防や治療も含めた全身の健康管理をめざすことが, 特に内科医にとって重要である 文献 1) Nakaoka D, Sugimoto T, Kobayashi T, Yamaguchi T, Kobayashi A, Chihara K. Prediction of bone mass change after parathyroidectomy in patients with primary hyperparathyroidism. J Clin Endocrinol Metab 2000;85(5): ) Nomura R, Sugimoto T, Tsukamoto T, Yamauchi M, Sowa H, Chen Q, Yamaguchi T, Kobayashi A, Chihara K. Marked and sustained increase in bone mineral density after parathyroidectomy in patients with primary hyperparathyroidism: A six-year longitudinal study with or without parathyroidectomy in Japanese population. Clin Endocrinol 2004;60(3): ) Bilezikian JP, Potts Jr JT, Fuleihan G E-H, et al. Summary statement from a workshop on asymptomatic primary hyperparathyroidism: a perspective for the 21th century. J Bone Miner Res 2002;17:N ) Kaji H, Yamauchi M, Chihara K, Sugimoto T. The threshold of bone mineral density for vertebral fracture in female patients with glucocorticoid-induced osteoporosis. Endocr J 2006;53: ) Nawata H, Soen S, Takayanagi R, et al. Guidelines on the management and treatment of glucocorticoidinduced osteoporosis of the Japanese Society for Bone and Mineral Research (2004). J Bone Miner Metab 2005;23: ) Sugimoto T, Nishiyama K, Kurimoto F, Chihara K. Serum levels of insulin-like growth factor (IGF) I, IGF-binding proein (IGFBP)-2 and IGFBP-3 in osteoporotic patients with and without spinal fractures. J Bone Miner Res 1997;12(8): ) Yamaguchi T, Kanatani M, Yamauchi M, Kaji H, Sugishita T, Baylink DJ, Mohan S, Chihara K, Sugimoto T. Serum levels of insulin-like growth factor (IGF)I, IGF-binding proteins-3,-4 and-5: their relationships to bone mineral density and the risk of vertebral fractures in postmenopausal women. Calcif Tissue Int 2006; 78: ) Sugimoto T, Nakaoka D, Nasu M, Kanzawa M, Sugishita T, Chihara K. Effect of recombinant human growth hormone in elderly osteoporotic women. Clin Endocrinol 1999;51: ) Sugimoto T, Kaji H, Nakaoka D, Yamauchi M, Yano S, Sugishita T, Baylink D, Mohan S, Chihara T. Effect of low-dose of recombinant human growth hormone on bone metabolism in elderly osteoporotic women. Eur J Endocrinol 2002;147(3): ) Schwartz AV, Sellmeyer DE, Ensrud KE, et al. Older women with diabetes have an increased risk of fracture: a prospective study. J Clin Endocrinol Metab 2001;86: ) Yamaguchi T, Sugimoto T, Yano S, Yamauchi M, Sowa H, Chen Q, Chihara K. Plasma lipid levels are associated with bone mineral density and the presence of vertebral fractures in postmenopausal women. Endocr J 2002;49(2):

7 第 46 回骨粗鬆症財団教育ゼミナール講演 II 骨質を考慮した骨疾患モデルの形態解析 新潟大学超域研究機構教授 網塚憲生李敏啓 新潟大学超域研究機構研究支援員 はじめに 2000 年の NIH コンセンサス会議で, 骨粗鬆症は 骨強度の低下を特徴とし, 骨折のリスクが増大しやすくなる骨格疾患 と定義づけされている さらに骨強度低下の要因として, 骨密度と 骨質 の関与が強調されている 骨質を規定する要因として Burr は1 骨代謝回転,2 骨基質であるコラーゲンやミネラルの性状,3マイクロダメージの蓄積,4 海綿骨や皮質骨の三次元的な構築の 4 つをあげているが, このうち2は石灰化ミネラル, コラーゲン線維, 非コラーゲン性蛋白が混在して相互に影響を及ぼしあうため, 最も解析 評価が難しい項目であると思われる 本稿では, 骨組織や細胞に関するこれまでの知見を紹介し, それらを踏まえて, 病理モデルマウスで検討した骨基質の状態について紹介する 1 骨基質の石灰化皮質骨にはオステオンまたはハバース系と呼ばれる骨単位が多数存在しており, 骨髄側には網目状に発達した海綿骨をみることができる ヒト皮質骨組織所見では, ハバース系の中央には血管を含むハバース管が走行し, その周囲を骨細胞が取り巻いていることから, 骨が生きた組織であることがわかる これを拡大したものが図 1 である 有機成分を除去し走査型電子顕微鏡で観察すると, ハバース管を中心に形成される同心円状の構造内に, 骨細胞が存在した骨小腔が認められ, さらにハバース管から放射状に走る細い骨細管が確認できる 皮質骨骨髄側の骨基質上には扁平な骨芽細胞が存在しており, 透過型電子顕微鏡では活性の低い bone lining cell として観察できる ( 図 2) 皮質骨内部を透過型電子顕微鏡でみると, コラーゲン線維の流れに沿って紡錘形を示す骨細胞と, 垂直に伸びる細胞突起が観察され, 細胞突起とコラーゲン線維が織物のように規則正しく織り込まれていることがわか Haversian system ( Osteon) compact bone (cortical bone) Osteocytic laccunae Haversian canal Osteon (lamella bone) 図 1 ヒト皮質骨組織におけるハバース管の走査型電子顕微鏡像 ( 文献 1 より ) bone lining cell 図 2 皮質骨骨基質における骨芽細胞 (bone lining cell)( 文献 2 より ) - 6 -

8 compact bone (cortical bone) osteoblast ER Golgi 図 3 皮質骨組織におけるコラーゲン線維と骨細胞 ( 文献 3 より ) 図 4 マウス骨梁における活性型骨芽細胞とゴルジ体の集積 ( 文献 4 より ) mineralization matrix vesicle 基質小胞 (matrix vesicle) Ca Ca P 骨基質タンパク Ca コラーゲン 基質小胞性石灰化 石灰化球 Ca P P コラーゲン性石灰化 類骨層 osteoid mineralized nodule 石灰化基質 図 5 基質小胞体の石灰化球によるコラーゲン線維の石灰化が骨基質を石灰化していく過程 図 6 骨基質の石灰化の概略 る ( 図 3) すなわち皮質骨の緻密性は骨密度のみならず, このようなコラーゲン線維の配列によるものとも考えられる マウスの二次骨梁に存在する骨芽細胞は皮質骨のそれとは異なり, 細胞体の豊かな活性型骨芽細胞であることが多い 電顕所見では細胞体中に多数の粗面小胞体やゴルジ野が形成されており, ゴルジ体にはコラーゲン線維が重合化しつつある構造が認められる このように活性型骨芽細胞は骨基質蛋白を活発に合成 分泌する細胞である ( 図 4) 活性型骨芽細胞の存在する類骨層, すなわちオステオイドには石灰化球 (mineralized nodules) と呼ばれる球状構造物が認められ, それらは周囲のコラーゲン線維を石灰化していくことが知られている 石灰化球は骨芽細胞が分泌する基質小胞 (matrix vesicle) 中にアルカリホスファターゼ (ALP) や Ca- ATPase をもち, リン酸や Ca イオンを内部に流入させる 基質小胞内で析出したリン酸カルシウムの結晶は放射状に大きくなって単位膜を破って外に露出し, さらに増大して石灰化球を形成していく これが相互に融合し, 周囲のコラーゲン線維を石灰化することによって骨基質を広く石灰化していくことがわかっている ( 図 5) 一方, リン酸とカルシウムの物理化学的結合以外に, オステオポンチンをはじめとする非コラーゲン性骨基質蛋白は石灰化球表層に蓄積してその成長をコントロールしていると考えられている これら一連の骨基質石灰化の過程を図 6 にまとめた 活性型骨芽細胞は多量のコラーゲン, 骨基質蛋白, 基質小胞を類骨層に向かって分泌していく 基質小胞内で析出したリン酸カルシウム結晶は成長するに従って基質小胞の単位膜を突き抜けて外界に露出し, 石灰化球へとなる これら石灰化球はある程度の大きさになると周囲のコラーゲン線維の石灰化を誘導して骨基質全体を石灰化すると考え - 7 -

9 ALPase MV MV CN collagen MV MV: 基質小胞 CN CN: 石灰化球 osteoid deep portion of the mineralized matrix 図 7 骨芽細胞の細胞膜と基質小胞における ALP の局在 ( 文献 2 より ) 図 8 基質内コラーゲン線維の石灰化所見 TRAP osteoclast/cement line osteoclast ruffled border oc ruffled border cement line oc 図 9 破骨細胞と ruffled border( 波状縁 ) ( 文献 4 より ) 図 10 TRAP 染色でみた cement line と破骨細胞の局在 ( 文献 4 より ) られる このメカニズムのなかで, 骨基質にリン酸や Ca イオンを供給するのは骨芽細胞の役割であり, その分化マーカーに用いられる ALP は骨芽細胞の細胞膜に局在してリン酸イオンを供給することで石灰化に関与していると考えられる さらに電顕所見では ALP は細胞膜のみならず基質小胞や石灰化球にもその局在が認められる ( 図 7) 具体的には,ALP は骨組織においてリン酸化合物からピロリン酸を切り離すだけでなく, さらにピロリン酸を単独のリン酸イオンに切断すると考えられる これらのリン酸が基質小胞中に入り込んで,Ca-ATPase によって取り込まれた Ca イオンと結合してリン酸カルシウム結晶を析出し石灰化球になるものと考えられる 一方, 石灰化を受けるコラーゲン線維に注目すると, 類骨層と比較して基質内部のコラーゲン線維には細かい亀裂が認められることから, コラーゲン線維内部まで石灰化が浸透していることがわかる ( 図 8) さて, コラーゲン線維を構成するコラーゲン細線維は, スーパーヘリックスで構成されるが, スーパーヘリックスの間には小さな間隙 (hole zone) が存在する 骨芽細胞から分泌された直後のコラーゲン線維の間隙にはバイグリカンやデコリンが存在するが, 石灰化を受ける時期になると除去され, 石灰化球由来のハイドロキシアパタイトの微小な結晶である mineralite が入り込んでくると考えられている 以上, 石灰化の微細構造学的なメカニズムをまとめると, 次のようになる 骨芽細胞が類骨層に向かって分泌する基質小胞には,Ca-ATPase や ALP が存在するために, その中のリン酸や Ca イオン濃度が上昇して析出したリン酸カルシウム結晶が成長して石灰化球に変化していく 一方, 骨芽細胞が骨基質に向けて分泌するコラーゲン線維の間隙にあるデコリンやバイグリカンは石灰化に伴い除去され, そこにハイドロキシアパタイト結晶が入り込んでコラーゲン線維を石灰化させてゆく 一方, 骨は代謝を受ける組織であり, 破骨細胞が骨基質を吸収したところに骨芽細胞がきて新しい - 8 -

10 wild type OPG -/- tibial epiphysis wild type OPG -/- ALP TRAP osteopontin TB: trabecular bone 図 11 OPG 欠損マウス骨基質の TRAP 染色所見 OPG 欠損マウスでは多くの破骨細胞の局在が認められる ( 文献 5 より ) 図 12 OPG 欠損マウス骨基質の ALP およびオステオポンチン染色所見 OPG 欠損マウスでは骨芽細胞の局在と複雑な網目状の cement line が認められる ( 文献 5 より ) wild 2w op/op femoral diaphysis 2w op/op femoral diaphysis ALP OPG -/- TB TB 図 13 OPG 欠損マウスの cement line 野生型マウスではコラーゲン線維が密で薄い cement line で密接しているが,OPG 欠損マウスでは有機質に富む骨基質を示し,cement line も広くなっている ( 文献 5 より ) 図 14 op/op マウスの二次骨梁の ALP 染色所見野生型マウスと異なり活性型骨芽細胞は認められず, 弱い ALP 活性を示す扁平な細胞がわずかに認められるだけである ( 文献 6 より ) 骨を作るといった骨改造 (bone remodeling) が認められる ここで新しい骨と古い骨との間はセメント線 (cement line) と呼ばれる構造で境界される 破骨細胞は多核巨細胞として観察されるが, 骨基質に面する細胞膜は複雑な陥凹構造を示し,ruffled border( 波状縁 ) と呼ばれる構造を示す この ruffled border から分泌される酸やコラーゲン線維を分解するカテプシン K によって, 骨基質が溶解され, 分解していくことが明らかになっている ( 図 9) TRAP( 酒石酸抵抗性酸性ホスファターゼ ) の組織化学染色では, 破骨細胞中の TRAP 活性は顆粒状構造物や ruffled border 領域, さらに吸収窩の骨基質表面にも認められる さらに詳細に観察すると,TRAP 活性は破骨細胞や吸収窩表面の骨基質,cement line に局在することから ( 図 10), 破骨細胞は TRAP を分泌しながら骨を吸収しながら移動するため, cement line は破骨細胞の軌跡といいかえることができる 2 骨代謝が骨質に及ぼす影響の検討 1) 骨代謝回転が高い場合 -オステオプロテジェリン(OPG) 欠損マウスの検討 OPG は破骨細胞の分化過程において重要な役割を果たす RANK-RANKL シグナルの decoy receptor として抑制的に働くことから,OPG 欠損マウスでは破骨細胞の分化形成が亢進してしまう 生後約 10 週齢の OPG 欠損マウスを野生型マウスと比較した場合, 骨量が著しく減少していることが認めら - 9 -

11 2w control femoral diaphysis von Kossa (mineralization) 2w op/op femoral diaphysis von Kossa (mineralization) osteoclast osteoblast ruffled border ob cement line 図 15 op/op マウスの von Kossa 染色所見コントロールに比べて op/op マウスでは灰色の間隙を多く認め, 石灰化していない骨基質が広範にあることが示された ( 文献 6 より ) 図 16 M-CSF 投与時の op/op マウスにおける破骨細胞の形成 ruffled border を有する破骨細胞と高電子密度の cement line の形成が認められる ( 文献 7 より ) れた TRAP 染色によると多数の破骨細胞の局在が認められ ( 図 11),ALP 染色では強い ALP 陽性を示す厚い骨芽細胞層が観察される他, オステオポンチン免疫陽性を示す複雑な網目状の cement line が認められる ( 図 12) このように OPG 欠損によって破骨細胞の分化形成が亢進して骨吸収も上昇しており, それと連動して骨芽細胞の増殖や骨形成も亢進するため, 骨代謝回転が上昇していると思われる そこで野生型マウスの骨基質を観察すると, 緻密なコラーゲン線維で構成される骨基質が薄い cement line で密接しているのに対して,OPG 欠損マウスでは多量の有機成分を含み, さまざまな方向を示すコラーゲン線維から構成される骨基質が, 幅の広い cement line で境界されていた ( 図 13) さらに cement line は陥凹性に形成され, 微小な亀裂にもつながっている部位も観察された 網目状に形成された cement line は骨細胞や骨細管を横断することが多く, いびつな形状の骨細胞や, 細胞死による骨小腔も多く観察された すなわち,OPG 欠損によって骨吸収 骨形成が亢進する高代謝回転の状況が生まれ, そこで形成される骨基質は不規則な走行性のコラーゲン線維と多くの有機質を有するだけでなく, 網目状で複雑な cement line で境界されていることが示された 言い換えれば, 高代謝回転で急激に作られた骨は, 形態学的には質のよい骨でなく, 脆い骨基質であると考えられた 2) 骨代謝回転がない場合 -op/op マウスの検討 - M-CSF が欠損しマクロファージ / 単球系および破骨細胞が形成されないために大理石骨病を呈するモデルが op/op マウスである 生後 2 週齢の op/op マウスの大腿骨における組織所見では, 骨幹端部から骨幹部にかけて網目状の骨梁が認められる 同部位の TRAP 染色では op/op マウスには破骨細胞が認められない また ALP 活性も野生型マウスに比較して低いことが示された 図 14 に示すように, 複雑な走行を示す骨梁は認められるが, 活性型の骨芽細胞をみいだすことはできず,ALP 活性を示す扁平な細胞がわずかに認められるだけである von Kossa 染色で骨基質の石灰化をみると, コントロール群では活性型の骨芽細胞直下の骨基質には良好な石灰化が認められるが,op/op マウスでは広範囲に石灰化していない骨基質が認められた ( 図 15) このように op/op マウスでは, 本来であれば骨改造を受ける部位である二次骨梁における骨芽細胞数が減少している そのために骨基質を石灰化する能力が著しく低下している すなわち, 骨芽細胞には破骨細胞とのカップリングが必要であると考えられる op/op マウスに M-CSF を投与すると破骨細胞の形成が認められることが知られている さらに TRAP 陽性破骨細胞の周囲には ALP 強陽性を示す活性型骨芽細胞を見出すことができる 電顕観察により, 破骨細胞の ruffled border と cement line の形成が認められ, 骨改造が行われていることが示されている ( 図 16) このように, 骨芽細胞の活性化には破骨細胞とのカップリングが必要であり, その結果

12 として良質な骨基質が形成される 逆にいえば,op/op マウスのように破骨細胞がない状態では, 骨芽細胞が長期間にわたり質のよい骨を形成し続けることは困難であると考えられる 3) 骨芽細胞活性化に及ぼす破骨細胞の意義 -c-src 欠損マウスの検討 - カップリングにおける骨芽細胞活性化には1 破骨細胞の存在そのものが必須なのか, あるいは2 破骨細胞による骨吸収が必須なのだろうか そこで, 破骨細胞は存在するが骨吸収ができない c-src 欠損マウスを用いて検討した c-src 欠損マウスの破骨細胞には ruffled border は形成されず, それ以外の方法でも石灰化骨基質を取り込む像を観察できないことから, この破骨細胞は骨吸収ができないと考えられる しかし,ALP 染色では c-src 欠損マウスの骨芽細胞は野生型マウスに比較して強い活性をもつことが示され, 電顕でも細胞内小器官の豊かな活性型骨芽細胞を認めた von Kossa 染色では, 野生型マウスおよび c-src 欠損マウスともに活性型骨芽細胞が存在し, 直下の骨基質は良好に石灰化していたことから, カップリングにおいて骨芽細胞の活性にとって重要なのは, 破骨細胞による骨吸収ではなく, 破骨細胞の存在そのものであると考えられた そこでそのメカニズムを詳細に検討するため,c-src 欠損マウスの TRAP 染色とオステオポンチンの分布をみると, いずれも骨基質内で平行線状の局在パターンを取ることがわかる これは c-src 欠損マウスの破骨細胞が骨吸収はできないが,TRAP やオステオポンチンを骨基質に分泌しながら移動し, その後に骨芽細胞が骨基質を添加するという現象が繰り返し起こるためと考えられる すなわち, このことは破骨細胞が骨基質上に分泌した何らかの物質が骨芽細胞の活性化とその後の骨形成を誘導している可能性を示唆すると考えられる 一方, これら破骨細胞と骨芽細胞とには細胞膜による直接接触が認められたことから, 破骨細胞の膜上に骨芽細胞を活性化させる因子があるのかもしれない これまでの c-src 欠損マウスでの検討から骨芽細胞の活性化には必ずしも破骨細胞の骨吸収が必要ではないことが明らかになった それに代わる要因として現段階で考えられるのは,1 破骨細胞との cell-cell contact, あるいは2 破骨細胞が骨基質上に沈着させた因子ではないかと考えられる 4) カップリングとリモデリングが連動しない場合の骨基質 -c-src 欠損マウスの検討 - 正常な場合に骨改造はカップリングに連動して起こるが,c-src 欠損マウスでは骨吸収ができないためにリモデリングは行われないが, カップリングが成立することで骨芽細胞は活性化する したがって骨芽細胞は骨吸収なしに古い骨の上に新しい骨基質を添加していくことになる この場合の骨細胞の配列を検討した 正常マウスのリモデリングを受けていない一次骨梁における骨細胞は局在性が不規則で, 骨細胞から伸びる細管の方向にも規則性はない ところが十分にリモデリングを受けた皮質骨では, 骨細胞にも細管にも規則性が認められ, 二次骨梁でも同様の傾向が認められる 具体的には, 骨の長軸方向, 言い換えれば骨梁の長軸方向に骨基質に一致して骨細胞は長楕円形を示し, 骨細管は必ずそれに垂直に交わるように伸びている このことから, 一次骨梁で適当に埋め込まれた骨細胞はリモデリングを受けて再配置されると考えられる ところが,c-src 欠損マウスではいずれにおいても骨細胞の配列性や骨細管の走行性に規則性が認められない また c-src 欠損マウスの骨基質を von Kossa 染色で観察すると, 多くの小さい白く抜けた亀裂が認められた さらに, この骨基質は成熟した基質でなく, 線維性骨のような幼弱な基質であると考えられた すなわち, 正常では骨細胞はリモデリングによって骨基質内に規則正しく再配列され, 秩序をもった骨細胞性ネットワークを三次元的に構築することができる このネットワークは内部応力の感知やカルシウムなどのミネラル代謝に関与していると想像される これに対して c-src 欠損マウスではリモデリングがないためネットワークは無秩序なままで機能も果たさず, 骨基質が維持されていないものと考えられる c-src 欠損マウスの検討をまとめると,1 破骨細胞が存在すれば必ずしも骨吸収は必要なく, 破骨細胞の存在だけでカップリングにより骨芽細胞の活性が維持される しかし,2カップリングはあくまでも骨表面の破骨細胞と骨芽細胞のやりとりに過ぎず, 骨基質のリモデリングは新旧の骨の置換だけでなく, 骨基質に埋め込まれ, その維持に重要な役割を果たしている骨細胞の規則的な再配列を可能

13 にするものであると考えられる 3 つのモデルマウスを例に挙げて骨基質の面から骨質を検討した その結果として, 良好な骨基質を保つためには, 破骨細胞と骨芽細胞による生理的なカップリングが必要であり, それによって骨リモデリングが適正に行われることが重要であると考えられた 文献 1) 網塚憲生ほか. 口腔組織発生学. 東京, 医歯薬出版, 2006, p ) 下村淳子, 網塚憲生. 骨の細胞の形態と機能. 新しい透析骨症. 東京, 日本メディカルセンター, 2003, p ) 網塚憲生. 組織学から見た骨基質タンパクと骨質. 日骨形態計測会誌 2003;13(1):5-9. 4) 網塚憲生ほか. 骨のリモデリング ( 骨形成と骨吸収のメカニズム ), 歯の移動の臨床バイオメカニクス. 東京, 医歯薬出版, 2006, p ) Amizuka K, et al. Defective bone remodeling in osteoprotegerin deficient mice. J Electron Micro 2003; 52(6): ) Sakagami N, Amizuka K, et al. Reduced osteoblastic population and the defective mineralization in osteopetrotic (op/po) mice. Micron 2005;36(7-8): ) Nishino I, Amizuka K, et al. Histochemical examination of osteoblastic activity in op/op mice with or without injection of recombinant M-CSF. J Bone Miner Metab 2001;19(5):

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研究成果報告書 様式 C-19 科学研究費補助金研究成果報告書 平成 23 年 4 月 18 日現在 機関番号 :13101 研究種目 : 基盤研究 (B) 研究期間 :2008~2010 課題番号 :20390183 研究課題名 ( 和文 ) カルシウムサプリメントのランダム化比較試験 研究課題名 ( 英文 ) Randomized controlled trial of calcium supplementation

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26 氏 名 た田 なか中 せい精 いち一 学位の種類学位記番号学位授与の日付学位授与の要件 博士 ( 医学 ) 乙第 751 号平成 28 年 2 月 22 日学位規則第 4 条第 2 項 学位論文題目 Add-on treatment with teneligliptin ameliorates glucose fluctuations and improves glycemic control

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インプラント周囲炎を惹起してから 1 ヶ月毎に 4 ヶ月間 放射線学的周囲骨レベル probing depth clinical attachment level modified gingival index を測定した 実験 2: インプラント周囲炎の進行状況の評価結紮線によってインプラント周囲

インプラント周囲炎を惹起してから 1 ヶ月毎に 4 ヶ月間 放射線学的周囲骨レベル probing depth clinical attachment level modified gingival index を測定した 実験 2: インプラント周囲炎の進行状況の評価結紮線によってインプラント周囲 学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 MADI Marwa Ibrahim Khalil Ibrahim 論文審査担当者 主査和泉雄一 副査山口朗寺島達夫 論文題目 The Influence of different implant surface modifications on peri-implantitis progression and treatment ( 論文内容の要旨 ) ( 緒言

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ルグリセロールと脂肪酸に分解され吸収される それらは腸上皮細胞に吸収されたのちに再び中性脂肪へと生合成されカイロミクロンとなる DGAT1 は腸管で脂質の再合成 吸収に関与していることから DGAT1 KO マウスで認められているフェノタイプが腸 DGAT1 欠如に由来していることが考えられる 実際

ルグリセロールと脂肪酸に分解され吸収される それらは腸上皮細胞に吸収されたのちに再び中性脂肪へと生合成されカイロミクロンとなる DGAT1 は腸管で脂質の再合成 吸収に関与していることから DGAT1 KO マウスで認められているフェノタイプが腸 DGAT1 欠如に由来していることが考えられる 実際 学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 津田直人 論文審査担当者 主査下門顕太郎副査吉田雅幸横関博雄 論文題目 Intestine-Targeted DGAT1 Inhibition Improves Obesity and Insulin Resistance without Skin Aberrations in Mice ( 論文内容の要旨 ) < 要旨 > Diacylglycerol O-acyltransferase

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論文の内容の要旨

論文の内容の要旨 1. 2. 3. 4. 5. 6. WASP-interacting protein(wip) CR16 7. 8..pdf Adobe Acrobat WINDOWS2000 論文の内容の要旨 論文題目 WASP-interacting protein(wip) ファミリー遺伝子 CR16 の機能解析 氏名坂西義史 序 WASP(Wiskott-Aldrich syndrome protein)

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