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- としなり たみや
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1 電磁流体力学波 基礎方程式と線形化 谷一郎著 流れ学 を参考にして以下説明する. 流体の運動と電磁場の作用が相互に干渉する 結果, 磁場が存在する場合の導電性気体中の小さい撹乱は, 普通の音波や電磁波とは異なる波の 形で伝播する. 特に伝播速度は, 伝播の方向が磁場の方向となす角に関係する. このような伝播 の法則を明らかにすることは, 導電性気体中の物体の運動を正しく理解するためにも重要なもの である. いま密度 ρ, 圧力 p, 一様な速度 u の導電性気体があって, 一様な磁束密度 B が作用する場 ρ = ρ + ρ, 圧力 p = p + p ', 速度 u = u + u', B = B + B, 電場 E = E ', 電流密度 J = J + J' になるものとし, プライムをつけた量 合を考える. この中で小さな撹乱が生じ, 密度 ' 磁束密度 ' はすべて小さく, その 乗以上の項は省略できるものとする. なお簡単のために, 力学的な外力 f = と仮定する. 線形化された方程式は, 以下のように与えられる. < 磁荷不在の法則 > B' = < 質量保存式 > ρ' + ( u ρ' + ρ u' = t ここで, エントロピーが変わらない条件 p' = ρ' ( ここで, = γ p ρ は音速 を仮定して, 運動方程式から変動圧力 p' を消去すれば, 残る撹乱は ρ' ρ, u' および B' となる. < 運動方程式 > u' ρ ' + ( u u' = + ( B' B + u' + ( u' t ρ ρμ < 誘導方程式 > B' = ( u B' + ( u' B + B', whee, = t σμ 磁気拡散項にかかる係数は磁気粘性係数と呼ばれる.
2 線形方程式の成分表示以上の方程式はこれらの撹乱について線形であるから, 各変動量について ρ' u' v' w' p' B ' By ' Bz' ep = = = = = = = = i k % ρ u% v% w% p% B% B% B% y z ( t の形の平面単色波を仮定し, 解を求めるものとする. ここで,i は虚数単位, k = ( k, ky, kz 数ベクトル, = (, y, z は波 は座標ベクトル, は複素角振動数であり, その虚部の値は増幅 減 衰率に関係する. 以下, 各変動量の振幅に関する代数方程式を求めていく. 磁荷不在の法則は, ( % + % + % y y z z = i k B k B k B 質量保存則は, iρ% + i u k % ρ + ρ i k u+ k v% + k w% = ( ( % y z ローレンツ力を計算する ( e ey ez ybz' zby' α B' = y z = zb' Bz' = β とおく. B ' ' ' By' yb' By B γ z e e e y z ( ' ' ( B' B = α β γ = γb = B( By' yb' B βb B zb Bz 運動方程式の各成分は, u' ρ' + ( u u' = + u' + ( u' t ρ, v' ρ' B B ' ' ( y B + u v' = + + v' + ( u' t y ρ ρμ y y, w' ρ' B B ' ' ( Bz + u w' = + w' + ( u' t z ρ ρμ z z.
3 振幅で表して % ρ iu% + i( u k u% = ik k u% k ( ku% + kyv% + kzw%, ρ ρ B iv + i ( u k v = % % % iky ( ikby ikyb k v ky ( ku kyv kzw ρ + % ρμ % % % + % + %, ρ B iw + i ( u k w = % % % ikz ( ikzb ikbz k w kz ( ku kyv kzw ρ % ρ μ % % % + % + %. 整理して % ρ ( ik u k i k ( ku kyv% kzw%, ( u k + % = % + +, ρ ρ B + ik v = % % ky kby kyb i ky ku kyv kzw ρ + ρμ % + % + % + % ρ B + ik w = % % kz kzb kbz i kz ku kyv kzw ρ ρ μ % + % + % + % ( ( ( %, ( ( ( 誘導方程式の右辺は, ベクトル演算公式を利用して = %. B u u B, ( u' B ( B u ' + ( B u' ( u' B ( u' B = ( ' ( ' u B = B u ( ' ( ' + ( B ' u ( u ( ( B' u B' = u B'. したがって, 誘導方程式は B' + ( u B' = ( B u' ( u' B + B', B = ( B,, = Be t と変形できる. 各成分の方程式は B ' u' u' v' w' + ( u B' = B + + B + B' t y z, By ' v' + ( u By' = B + By', t Bz ' w' + ( u Bz' = B + Bz'. t 振幅は ib% + i u k B% = ib k u% ik u% + ik v + ik w B k B%, ( ( % % y z ib% + i u k B% = B ik v% k B%, ( y y y
4 ib% + i u k B% = B ik w% k B%. 整理して, ( z z z ( + % = + ( + % y + % z i k B Bku% ku% kv kw B, ( + i k B% = B k v%, y ( + i k B% = B k w%. z まとめると, 以下のような連立同次代数方程式となる. 連立同次代数方程式 k B % + k B % + k B % =, o k %B = ( y y z z % ρ ρ + + % = ρ u = ( ( ku% kyv% kzw, o % ρ ( k % ρ = 4 % % 4 ρ ( ik u k i k ( ku% kyv% kzw% ( % ρ B = ρ ρμ ( ik v% k y ( kb% y kyb% i ky ( ku% kyv% kzw% % ρ B = ρ ρμ ( ik w% kz ( kzb% kb% z i kz ( ku% kyv% kzw% ( ik B B ku% B ( ku% kyv% kzw% = 44 ( % (6 % % (7 + i k By + Bkv = ( % % (8 + i k Bz + Bkw = 式 ( は磁荷不在の法則, 式 ( は質量保存則を示す. 式 (, (4, (5 は運動方程式 B % ρ k ( e k ( e k i k ( k ρ + ρ μ % % % = u B B u% (,4,5 の各成分であり, 式 (6, (7, (8 は誘導方程式 (4 (5 4
5 % B B + ( e k u% ( k u % e = (6,7,8 の各成分である. 式 (6, (7, (8 から, 式 ( が得られるので, 独立する式の数は 7 つである. 分散関係式式 ( を式 (, (4, (5 のそれぞれに代入して密度を消去する. k u% u% + v+ w = + (9 ( k k % y k % z, ( whee, i B k y v% ( ku% kyv kzw ( kby kyb + % + % + % ρμ % = ( k z B w% ( ku% kyv kzw ( kzb kbz + % + % % ρμ % = ( 次に式 (6, (7, (8 から磁場を消去する. まず式 (6, (8 より ( k B B k B% k B% = k k v% + k + w% ( z z z y z および式 (6, (7 より ( B B k B% k B% = k + k v% + k k w% ( y y y y z それぞれローレンツ力項を速度で表しておいて, 式 (9 から k kk y kk z u% + v% + w% = (4 式 (, ( から磁場を消去 ( + y kk y ky k k a kk y z kk y za u% + v% + w% = (5 ここで, a B μ ρ は, アルヴェーン速度 (Alfvén veloity と呼ばれる. 式 (, ( から磁場を消去 5
6 ( + z kk kk z y z kka k k a y z kz u% + v% + w% = (6 結局, 式 (4, (5, (6 に対して, ベクトル形式および行列形式でまとめて書ける. a a a a ( e k u% + k ( e k e( k u% + ( e k( e u % k = (7a k kk y kkz kk y ky ( k + ky a u% kk y z kka y z v% = w % kk kk z y z kka y z kz ( k + kz a (7b 各速度成分が全て という意味のない解を持たないための条件は, この行列式の値がゼロでなけ ればならない. 粘性および磁気の拡散の効果を計算するには, 上記の行列式を計算し, に関す る分散関係式を得る. 4 5h 5 + i h + k hh + h + + a k h k 4 + i a os θ hh h( + a h k + a + hh k k k + i h + h k hh + a k = h = k h = k k (, ( whee, (8 y z ここで, k k + k + k である. ちなみに磁気拡散も粘性も無い場合には良く知られるように ( a k k a k ( a k = と得られる. 粘性だけ無視する場合は ( ( i k k a + i k + a k k + i k k a = (9 ( となる. これら 4 次の代数方程式および 次の代数方程式から, を求めれば分散関係式が得ら 6
7 れるが, 相当複雑なので, まずは磁気および粘性の拡散が無い場合を考える. 式 (9 から, 次のよ うに解が得られる. k = k ( + a ± k ( + a 4a, = k a k ( ここで, 波数ベクトルと一様磁場方向 ( 方向 の単位ベクトルの内積を考えて, 以下のように 角度 θ を定義する. k k osθ = =, = = osθ = osθ k k k k + y + z ( Qk e k k e k ( 結局, 位相速度について, 次式を得る. + a + a u k os, u k = ± ± a θ = ± aosθ k k k k 44 Alfven wave ( Magneto aousiti waves fast and slow ( 式 ( の根号内の符号の正負に応じて, 速進波 (fast agneto aousti wave および遅進波 (slow agneto aousti wave と呼ばれる. 磁気音波およびアルヴェーン波には分散性はないが, 非等方性の波 ( 特に遅進波およびアルヴェーン波 である. さて, 次に位相速度の関係式により, 軸方向と y 軸方向のそれぞれの位相速度を考える. 4 位相速度図 アルヴェーン速度と音速の比を β = a と置く. 磁気音波の分散式は以下のように書き改められ る. ( k β + 4 β os θ u = ± ± k k まず β = で, u k = ± ± sin k k θ ( + β (4 (5 7
8 と簡単になる. u = のとき, アルヴェーン波と一緒に描いたのが図 である. fast Alfvén slow θ 図 軸方向に一様磁場が印加される場合の β = での位相速度図 ( 音速で規格化 次に 任意の β の値について, 軸上 (θ = において, 簡単化することを試みる. ( + β 4 + β β β ( ( ( β =± ± =± ± k ( β + + (6 β < のとき, ( β + β =± ± k + β 8
9 ( + β + + ( + β β β β =± =± =± k + + β + β ( + β + + ( + β β β =± =± =± k + β + β β > のとき, ( β + β =± ± k + β ( + β + + ( + β β β =± =± =± k + + β + β ( + β + + ( + β β β β =± =± =± k + β + β まとめると, 軸上の位相速度は, =± β =± a, ± k 44 { ( β slow fast k =± ± 44 =± fast slow {, β a ( β β β ( 軸上 (7 注目すべきは, アルヴェーン速度が音速より速い場合は, 磁場方向の速進波とアルヴェーン速度 が一致する. 一方で, アルヴェーン速度が音速より遅い場合は, 遅進波とアルヴェーン速度が一 致する. 一方で,y 軸上の位相速度は, =± + =± + a k ( β, { fast slow と容易に得られ, この場合分けは不要である. (y 軸上 (8 図 にいくつかの β の値に対する可視化結果 (Fiedihs Diaga と呼ばれる を示す. 図 と同 様, 速い磁気音波 遅い磁気音波は赤色で, アルヴェーン波は茶色で示す. 9
10 Fiedihs Diaga β =.5 β =.8 β =.95 β =. β =. β =. 図 種々の速度比 β に対する位相速度図 ( 方向に一様磁場 5 磁気拡散の影響式 ( を解くことにより磁気音波とアルヴェーン波のそれぞれの位相速度が得られる. まず, アルヴェーン波について考える. 位相速度に関する方程式は, 次のようになる. ( V ihv a os θ, whee, h k + = (9 ih ± 4 a os θ h h V i a os θ h = = = ± k ( k k i k a os θ = ± ( 実部をとって
11 k VA =R ( V =± aosθ a osθ ( 任意の角度 : アルヴェーン速度 ( 式 ( の虚部は負なので, 波は減衰することがわかる. 式 ( に注目すると, 根号の中は より小さくなり, 磁気拡散が無い場合のアルヴェーン速度よりも小さくなることがわかる. 磁気粘性係数と波数のそれぞれが大きくなれば, 波の速度は減少する. 波数に依存して, 位相速度が変化するので, 分散性を持っているのがわかる. 次に, 磁気音波に対する拡散の影響であるが, 位相速度を得るための方程式は以下で与えられる. ( 4 V ihv a V ih V a θ os = ( 角度 θ = の特別な場合については, ( 4 V + ihv a + V ihv + a = (4 因数分解できて解が求まる. ( V ihv a ( V ( V + + = (5 解の実部をとって k VM =R ( V =±, ± a a (θ = : 磁気音速 (6 式 (6 によれば, 磁場方向には音速 で伝わる波とアルヴェーン速度 a より僅かに遅い速度で伝わる波の両方があるのがわかる. この角度に限っては, アルヴェーン速度と磁気音速の一方は同じである. 今回は, 磁気拡散だけ考慮したのでアルヴェーン速度だけが遅くなったのが理解されるが, 粘性拡散が考慮されれば音速が遅くなることが理解される. 角度が 9 度では, ( V + ihv a + V ih = (7 と簡単そうに見えるが, メープルを使っても解は簡単には表せない ( 非常に複雑. その他の任意の角度についても解析解を得るのは, 難しそうである. 数値的に解を得るなどして, アルヴェーン波と比較したときの減衰の相違などについて検討できればと思う. θ = での無次元速度 ( 音速で規格化 で整理し, 以下にまとめる.
12 V A ( ( VA θ = βγ h k a = =± β, whee, γ = =, β = 4 a a (8 γ β = : VM =±, ±, VA =± (9 4 4 Alfvén 速度は磁気拡散の影響で, 少し音速より遅くなる γ β > : VM = ± {, ± β, VA =± β slow fast γ Slow モードは粘性に影響されない.Fast モードは粘性により遅くなる. γ (4 β < : VM =± {, ± β, VA =± β fast slow γ γ (4 Fast モードは粘性に影響されない.Slow モードは粘性により遅くなる. 6 まとめ磁気音波とは, 通常の音波が磁場により異方性を持ったものと解釈される. 遅い磁気音波は通常の音波には見られない. 速い磁気音波は磁場に平行な方向には通常の音波と同じ位相速度を持つが, 磁場に直交する方向には位相速度が速くなる. アルヴェーン波は磁場の方向に伝わる横波で圧縮性には無関係である. しかしながら, 磁場方向に伝わるアルヴェーン波の位相速度は, 音速との大小関係に応じて, 遅進あるいは速進のどちらかの磁気音波と一致するので重要である. 磁気粘性はアルヴェーン速度を少し遅くする. また波の分散性が現れる.
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