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1 予 防 接 種 制 度 の 抜 本 的 な 見 直 しに 向 けて 予 防 接 種 法 の 一 部 を 改 正 する 法 律 案 厚 生 労 働 委 員 会 調 査 室 新 井 賢 治 はじめに 予 防 接 種 は 年 イギリスの 医 学 者 エドワード ジェンナー(Edward Jenner) による 牛 種 痘 法 の 発 見 以 来 天 然 痘 の 根 絶 を 始 め 2 感 染 症 の 流 行 防 止 に 成 果 を 上 げ 患 者 発 生 や 死 亡 者 の 大 幅 な 減 少 に 寄 与 してきた 我 が 国 の 予 防 接 種 制 度 の 歴 史 を 振 り 返 ってみても 天 然 痘 チフス 結 核 3 などの 感 染 症 に 対 し 社 会 防 衛 の 観 点 から 義 務 付 けされた 接 種 から 始 まり その 結 果 公 衆 衛 生 の 向 上 医 療 技 術 の 進 歩 等 もあいまって 感 染 症 の 発 生 件 数 や 死 亡 者 数 は 減 少 してきた 4 し かし 予 防 接 種 はその 性 質 上 まれに 重 篤 な 副 反 応 が 生 じることもある そのため 予 防 接 種 法 に 基 づく 予 防 接 種 制 度 の 運 用 に 当 たっては ワクチンの 接 種 により 多 くの 人 々が 免 疫 を 獲 得 することによる 感 染 症 のまん 延 防 止 に 寄 与 することを 目 指 しつつ 副 反 応 によ る 健 康 被 害 の 発 生 防 止 救 済 措 置 を 車 の 両 輪 として 進 めることが 求 められている 今 回 の 予 防 接 種 法 の 改 正 は 目 的 規 定 の 見 直 し 定 期 接 種 の 対 象 疾 病 の 拡 大 予 防 接 種 制 度 への 評 価 検 討 組 織 の 関 与 の 仕 組 みの 創 設 等 現 行 制 度 を 大 幅 に 見 直 す 内 容 となってお り 予 防 接 種 の 適 正 な 実 施 ワクチン ギャップ 等 積 年 の 課 題 の 解 決 に 向 けた 内 容 となっ ている 以 下 我 が 国 の 予 防 接 種 制 度 の 歴 史 的 経 緯 を 振 り 返 り 今 回 の 改 正 法 の 提 出 の 背 景 改 正 内 容 の 検 討 経 緯 改 正 内 容 について 紹 介 することとする なお 平 成 25 年 3 月 29 日 に 本 改 正 案 は 委 員 会 審 査 を 経 て 成 立 したことから 委 員 会 論 議 も 併 せて 紹 介 し 今 後 の 予 防 接 種 制 度 に 係 る 論 議 に 資 することとしたい 1. 予 防 接 種 制 度 の 経 緯 (1) 予 防 接 種 法 の 変 遷 予 防 接 種 法 は 伝 染 のおそれがある 疾 病 の 発 生 及 びまん 延 を 防 止 するために 予 防 接 1 人 為 的 に 作 られたワクチンを 接 種 することにより その 感 染 症 に 対 する 免 疫 能 を 高 め その 結 果 感 染 源 ( 細 菌 やウイルスなど)が 人 体 に 侵 入 しても 発 病 させない つまり 感 染 症 を 予 防 するための 手 段 であ る 伊 藤 正 男 ほか 医 学 大 辞 典 ( 医 学 書 院 2009 年 )2831 頁 年 のソマリアでの 患 者 発 生 が 最 後 2 年 の 監 視 期 間 を 経 て 1980 年 5 月 WHOは 天 然 痘 の 根 絶 を 宣 言 した 3 平 成 18 年 までは 結 核 予 防 法 に 基 づいて 接 種 が 行 われていた 4 例 えば 結 核 による 人 口 10 万 人 当 たりの 死 亡 率 を 見 ると 1910 年 ( 明 治 43 年 )は 人 であったが 100 年 後 の 2010 年 ( 平 成 22 年 )では 1.7 人 まで 低 下 している 立 法 と 調 査 立 法 No.339( と 調 査 参 議 院 事 務 局 No.339 企 画 調 整 室 編 集 発 行 ) 3

2 種 を 行 い 公 衆 衛 生 の 向 上 及 び 増 進 に 寄 与 すること を 目 的 に 5 それまでの 種 痘 法 ( 明 治 42 年 制 定 )に 替 えて 昭 和 23 年 に 制 定 された 当 時 の 予 防 接 種 法 は 地 域 的 集 団 として の 住 民 が 疾 病 に 対 する 免 疫 を 保 有 することにより 感 染 症 の 爆 発 的 流 行 を 防 止 しようという 社 会 防 衛 の 考 え 方 に 比 重 を 置 いたもので 接 種 対 象 者 等 に 対 する 罰 則 付 きの 義 務 規 定 が 設 けられていた 6 その 後 疾 病 の 発 生 状 況 ワクチンの 開 発 医 療 技 術 の 進 歩 等 の 諸 情 勢 の 変 化 に 対 応 し 対 象 疾 病 の 見 直 し 等 の 改 正 がなされ 予 防 接 種 は ポリオの 流 行 防 止 や 天 然 痘 の 根 絶 等 感 染 症 の 流 行 防 止 死 亡 者 数 の 減 少 に 大 きな 役 割 を 果 たしてきた 7 昭 和 40 年 代 に 入 り 感 染 症 の 発 生 が 著 しく 減 少 する 一 方 で 種 痘 後 脳 炎 などの 予 防 接 種 の 副 反 応 による 健 康 被 害 が 社 会 問 題 となった こうした 中 で 予 防 接 種 による 健 康 被 害 に 対 する 救 済 措 置 の 必 要 性 が 認 識 されるようになり 昭 和 45 年 7 月 には 予 防 接 種 事 故 に 対 する 措 置 について が 閣 議 了 解 され これに 基 づいて 暫 定 的 な 救 済 制 度 が 発 足 した そして 昭 和 51 年 の 予 防 接 種 法 改 正 において 予 防 接 種 による 健 康 被 害 に 対 する 法 的 救 済 制 度 が 創 設 された 8 その 後 公 衆 衛 生 や 生 活 水 準 の 向 上 により 予 防 接 種 に 対 する 国 民 の 考 え 方 は 集 団 予 防 に 重 点 を 置 いた 考 え 方 から 各 個 人 の 疾 病 予 防 のために 接 種 を 行 い 自 らの 健 康 の 保 持 増 進 を 図 るという 方 向 へ 変 化 してきた 昭 和 60 年 代 に 入 りインフルエンザ 予 防 接 種 につ いて 小 学 校 等 の 集 団 における 有 効 性 が 疑 問 視 され 学 童 への 集 団 接 種 を 中 止 する 地 域 が 生 じるなど その 見 直 しを 求 める 声 が 示 された また 平 成 元 年 に 開 始 されたMMRワク チン(measles-mumps-rubella combined vaccine) 9 による 無 菌 性 髄 膜 炎 の 発 生 が 国 民 の 関 心 を 集 めるようになった こうした 中 で 平 成 4 年 12 月 には 昭 和 40 年 代 から 各 地 で 提 訴 されていた 予 防 接 種 の 副 反 応 による 健 康 被 害 に 係 る 集 団 訴 訟 のうち 最 大 規 模 の 東 京 訴 5 今 回 の 改 正 では 目 的 規 定 の 見 直 しも 行 われ 改 正 法 では ( 略 ) 伝 染 のおそれがある 疾 病 の 発 生 及 びま ん 延 を 予 防 するために 公 衆 衛 生 の 見 地 から 予 防 接 種 の 実 施 その 他 必 要 な 措 置 を 講 ずることにより 国 民 の 健 康 の 保 持 に 寄 与 するとともに とされた 6 予 防 接 種 を 受 けない 者 またはその 保 護 者 保 護 者 が 予 防 接 種 を 受 けさせていないときは 児 童 福 祉 施 設 の 長 等 でその 保 護 者 に 対 して 義 務 履 行 を 指 示 しなかった 者 種 痘 を 受 けた 者 で 検 診 を 受 けなかった 者 またはその 保 護 者 で 検 診 を 受 けさせなかった 者 は 罰 金 が 課 された 7 ポリオワクチンは 昭 和 28 年 アメリカで 不 活 化 のソークワクチンが 創 製 され 予 防 が 開 始 された 我 が 国 で は 昭 和 33 年 から 国 立 予 防 衛 生 研 究 所 においてソークワクチンの 試 験 製 造 を 行 うこととしていた しかし 昭 和 35 年 から 北 海 道 を 中 心 にポリオが 猛 威 を 振 るい その 後 も 九 州 を 中 心 に 患 者 数 は 増 加 した 政 府 は 緊 急 の 措 置 として 経 口 生 ポリオワクチンの 導 入 を 決 定 し カナダ 及 びソ 連 から 輸 入 し 投 与 を 開 始 した この 結 果 昭 和 37 年 以 降 患 者 数 は 激 減 した その 後 も 生 ワクチンは 予 防 接 種 としての 投 与 が 続 けられ 不 活 化 ポリオワク チンは 平 成 24 年 9 月 1 日 から 導 入 された 8 このほか1 対 象 疾 病 の 見 直 し( 腸 チフス パラチフス 発 疹 チフス 及 びペストの 削 除 麻 しん 風 しん 日 本 脳 炎 及 び 特 に 必 要 があると 認 める 疾 病 として 政 令 で 定 める 疾 病 を 追 加 ) 2 臨 時 の 予 防 接 種 について 緊 急 の 必 要 がある 場 合 とそれ 以 外 の 一 般 的 な 場 合 に 区 分 する 3 予 防 接 種 義 務 違 反 に 対 する 罰 則 規 定 を 緊 急 の 臨 時 接 種 のみに 限 定 する 等 の 改 正 が 行 われている 9 麻 しん おたふくかぜ 風 しんの3 種 混 合 ワクチン 3 種 のうちおたふくかぜウイルスワクチンによる 無 菌 性 髄 膜 炎 の 発 生 が 問 題 となった 無 菌 性 髄 膜 炎 の 発 生 頻 度 については 当 初 の 10 万 人 に1 人 から 数 千 人 に1 人 1,200 人 に1 人 と 上 方 修 正 され MMRワクチンは 平 成 5 年 4 月 に 中 止 された 4

3 訟 において 国 側 敗 訴 の 高 裁 判 決 があり 国 は 上 告 を 断 念 した このような 状 況 を 踏 まえ 平 成 6 年 には 法 律 の 目 的 に 予 防 接 種 による 健 康 被 害 の 迅 速 な 救 済 を 図 ることを 追 加 するとともに 接 種 対 象 者 に 対 する 予 防 接 種 の 義 務 付 けを 緩 和 し それまでの 義 務 規 定 から 努 力 義 務 規 定 に 改 める 予 防 接 種 法 の 改 正 が 行 われた 10 併 せて かかりつけ 医 による 個 別 接 種 の 推 進 や 予 診 の 徹 底 接 種 医 等 に 対 する 研 修 の 実 施 等 予 防 接 種 による 副 反 応 の 発 生 を 防 止 するための 接 種 体 制 の 整 備 が 図 られた この 平 成 6 年 改 正 により それまで 一 般 的 な 臨 時 の 予 防 接 種 として 行 われていたインフ ルエンザは 平 成 5 年 の 公 衆 衛 生 審 議 会 の 答 申 において 社 会 全 体 の 流 行 を 抑 止 するデー タは 十 分 にないと 判 断 され 予 防 接 種 法 に 基 づく 対 象 疾 病 から 除 外 された しかし その 後 高 齢 者 施 設 等 におけるインフルエンザの 集 団 感 染 事 例 やインフルエンザによる 高 齢 者 の 肺 炎 の 併 発 や 死 亡 が 相 次 ぎ 高 齢 者 におけるインフルエンザの 発 病 や 重 症 化 を 防 ぐため の 予 防 接 種 体 制 が 求 められた また 平 成 6 年 改 正 時 に 社 会 全 体 の 流 行 を 抑 止 するデータ は 十 分 にないと 判 断 されたインフルエンザワクチンの 有 効 性 についても 高 齢 者 の 発 病 防 止 や 特 に 重 症 化 防 止 には 有 効 であることが 確 認 されるようになった こうした 状 況 を 踏 まえ 平 成 13 年 には 高 齢 者 におけるインフルエンザを 予 防 接 種 の 対 象 疾 病 とするため 予 防 接 種 法 に 基 づく 対 象 疾 病 を その 発 生 及 びまん 延 を 防 止 する ことを 目 的 とする 一 類 疾 病 と 個 人 の 発 病 又 はその 重 症 化 を 防 止 し 併 せてこれにより そのまん 延 の 防 止 に 資 することを 目 的 とする 二 類 疾 病 に 区 分 するとともに インフルエ 11 ンザを 二 類 疾 病 と 位 置 付 け 当 分 の 間 高 齢 者 を 対 象 に 定 期 に 行 うこととする 12 予 防 接 種 法 の 改 正 が 行 われた 13 次 いで 平 成 18 年 改 正 では 感 染 症 法 病 に 結 核 が 追 加 された 14 の 改 正 15 と 結 核 予 防 法 の 廃 止 に 伴 い 一 類 疾 平 成 23 年 には 予 防 接 種 法 及 び 新 型 インフルエンザ 予 防 接 種 による 健 康 被 害 の 救 済 等 に 関 する 法 律 が 成 立 し 平 成 21 年 の 新 型 インフルエンザ(A/H1N1)と 同 等 の 新 た な 感 染 力 は 強 いが 病 原 性 の 高 くない 新 型 インフルエンザ に 対 応 する 新 たな 臨 時 接 10 このほか1 対 象 疾 病 の 見 直 し( 痘 そう コレラ インフルエンザ 及 びワイル 病 の 削 除 破 傷 風 の 追 加 ) 2 一 般 的 な 臨 時 の 予 防 接 種 の 廃 止 3 安 全 な 予 防 接 種 を 実 施 するための 予 診 規 定 の 創 設 4 予 防 接 種 の 健 康 被 害 者 に 対 する 保 健 福 祉 事 業 の 推 進 5 国 による 予 防 接 種 に 関 する 知 識 の 普 及 予 防 接 種 事 業 従 事 者 に 対 する 研 修 予 防 接 種 による 健 康 被 害 の 発 生 状 況 の 調 査 等 の 措 置 の 明 記 等 の 改 正 が 行 われている 11 二 類 疾 病 については 個 人 予 防 目 的 に 比 重 を 置 くものであることから 定 期 接 種 については 努 力 義 務 ではな い ただし 二 類 疾 病 の 予 防 接 種 も 予 防 接 種 法 に 基 づいて 公 的 関 与 の 下 に 実 施 されることから これに 起 因 す る 健 康 被 害 については 公 費 による 救 済 を 行 うこととし その 救 済 水 準 は 独 立 行 政 法 人 医 薬 品 医 療 機 器 総 合 機 構 法 ( 平 成 13 年 当 時 は 医 薬 品 副 作 用 被 害 救 済 研 究 振 興 調 査 機 構 法 )に 基 づく 救 済 給 付 と 同 程 度 とされた 12 予 防 接 種 法 の 一 部 を 改 正 する 法 律 ( 平 成 13 年 11 月 7 日 法 律 第 116 号 ) 附 則 第 3 条 13 衆 議 院 修 正 において 一 類 疾 病 及 び 二 類 疾 病 の 定 義 の 明 確 化 検 討 規 定 の 追 加 インフルエンザに 係 る 定 期 の 予 防 接 種 の 対 象 者 を 高 齢 者 に 限 定 すること 等 を 内 容 とする 修 正 が 行 われた 14 感 染 症 の 予 防 及 び 感 染 症 の 患 者 に 対 する 医 療 に 関 する 法 律 15 主 な 内 容 は 1 生 物 テロや 事 故 による 感 染 症 の 発 生 まん 延 を 防 止 するための 病 原 体 等 の 管 理 体 制 の 確 立 2 最 新 の 医 学 的 知 見 に 基 づく 感 染 症 の 分 類 の 見 直 し 3 結 核 予 防 法 の 感 染 症 法 への 統 合 である 5

4 種 の 創 設 が 行 われた( 後 述 ) (2) 予 防 接 種 制 度 の 現 状 我 が 国 の 予 防 接 種 制 度 は 前 述 の 予 防 接 種 法 に 基 づき 実 施 されている 定 期 接 種 の 対 象 となっている 疾 病 は ジフテリア 百 日 せき 破 傷 風 麻 しん ポリオ 日 本 脳 炎 結 核 痘 そう 16 インフルエンザである 17 このうち インフルエンザ 以 外 は 一 類 疾 病 とされ 社 会 防 衛 の 観 点 から 発 生 及 びまん 延 を 予 防 するために 定 期 に 接 種 を 行 う 必 要 があると されている インフルエンザについては 二 類 疾 病 とされ 個 人 防 衛 の 観 点 から 個 人 の 発 病 又 は 重 症 化 を 防 止 し 併 せてこれによりそのまん 延 の 予 防 に 資 することを 目 的 として 高 齢 者 を 対 象 に 定 期 に 行 う 必 要 があるとされている その 他 まん 延 予 防 上 緊 急 の 必 要 がある 従 来 の 臨 時 接 種 ( 対 象 疾 病 は 一 類 疾 病 及 び 二 類 疾 病 のうち 厚 生 労 働 大 臣 が 定 めるもの)と まん 延 予 防 上 緊 急 の 必 要 があるが 臨 時 接 種 対 象 疾 病 より 病 原 性 が 低 いものを 想 定 した 新 たな 臨 時 接 種 ( 二 類 疾 病 (イン フルエンザ)のうち 厚 生 労 働 大 臣 が 定 めるもの)がある 定 期 接 種 は 自 治 事 務 であるため その 実 施 主 体 は 市 町 村 である 18 接 種 の 費 用 について も 市 町 村 が 負 担 することとなるが 低 所 得 者 以 外 は 実 費 徴 収 も 可 能 である しかし 多 くの 市 町 村 では 実 費 徴 収 をしていないという 現 状 がある なお 低 所 得 者 分 については 交 付 税 措 置 がされている 健 康 被 害 の 救 済 については 昭 和 51 年 の 予 防 接 種 法 改 正 により 導 入 された 予 防 接 種 法 に 基 づく 予 防 接 種 を 受 けた 者 に 健 康 被 害 が 生 じた 場 合 その 健 康 被 害 が 接 種 を 受 けたこ とによるものであると 厚 生 労 働 大 臣 が 認 定 したとき 医 療 費 障 害 年 金 死 亡 一 時 金 葬 祭 料 等 が 市 町 村 より 支 給 される なお 予 防 接 種 法 に 基 づかない 任 意 接 種 による 健 康 被 害 については 独 立 行 政 法 人 医 薬 品 医 療 機 器 総 合 機 構 法 により 救 済 措 置 が 講 じられることと なっている 19 健 康 被 害 の 防 止 健 康 被 害 が 生 じた 場 合 の 迅 速 な 対 応 のためには 副 反 応 報 告 制 度 が 重 要 である 現 行 の 制 度 は 予 防 接 種 制 度 ( 通 知 )に 基 づく 副 反 応 報 告 制 度 と 薬 事 法 に 基 づく 副 作 用 報 告 制 度 がある また 平 成 22 年 から 実 施 されている 子 宮 頸 がん 等 ワクチン 接 種 緊 急 促 進 事 業 については 予 防 接 種 制 度 と 薬 事 法 を 一 体 的 に 運 用 する 制 度 となっている このように 現 状 は 副 反 応 等 の 報 告 について3つのルートが 存 在 し 報 告 する 医 療 機 関 等 の 事 務 が 煩 雑 になっているとの 指 摘 もある また 近 年 欧 米 と 比 べると 我 が 国 で 使 えるワクチンの 種 類 が 少 なく WHO( 世 界 保 健 機 関 :World Health Organization)が 推 奨 する 予 防 接 種 のうち 我 が 国 の 定 期 接 種 の 対 16 痘 そうについては 政 令 事 項 とされている 現 在 痘 そうに 係 る 予 防 接 種 は 実 施 されていない 17 今 回 の 改 正 により A 類 疾 病 ( 旧 一 類 疾 病 )にHib 感 染 症 小 児 の 肺 炎 球 菌 感 染 症 HPV 感 染 症 が 追 加 された 18 今 回 の 改 正 により 定 期 の 予 防 接 種 であって 市 町 村 長 以 外 の 者 により 行 われるものが 新 設 された 19 子 宮 頸 がん 等 ワクチン 接 種 緊 急 促 進 事 業 については 加 入 を 義 務 付 けている 民 間 保 険 による 補 償 が 行 われ ている 6

5 象 とされている 疾 病 が 半 数 に 満 たないなど いわゆるワクチン ギャップの 問 題 が 指 摘 さ れるようになっている( 図 表 参 照 ) WHO 推 奨 予 防 接 種 全 ての 地 域 に 向 けて 推 奨 図 表 本 における 定 期 接 種 実 施 状 況 ( : 実 施 : 未 実 施 ) WHO 推 奨 予 防 接 種 と 世 界 の 公 的 予 防 接 種 の 比 較 英 国 国 ドイツ フランス イタリア カナダ BCG( 結 核 ) B 型 肝 炎 ( 注 ) ポリオ DTP (D:ジフテリア T: 破 傷 風 P: 百 せ き) ( )3 種 ワ クチンは 補 Hib(インフルエンザ 菌 b 型 ) ( ) 正 予 算 に おいて 接 肺 炎 球 菌 ( 児 ) ( ) 種 事 業 を ロタ 実 施 してい (2013 年 9 よ たが 今 回 り 開 始 予 定 ) しん の 法 改 正 で 新 たに 風 しん 定 期 接 種 HPV(ヒトパピローマウイルス) ( ) 化 した 限 定 された 地 域 に 向 けて 推 奨 本 脳 炎 熱 ダニ 媒 介 脳 炎 感 染 の 危 険 性 の い 集 団 に 向 けて 推 奨 チフス コレラ 髄 膜 炎 菌 A 型 肝 炎 狂 病 国 ごとの 予 防 接 種 計 画 に 基 づいて 実 施 するよう 推 奨 ムンプス(おたふくかぜ) (ハイリスク 者 と65 歳 (ハイリスク インフルエンザ 以 上 ) 者 と65 歳 以 上 ) その 他 (WHOの 推 奨 なし) (60 歳 以 上 ) (ハイリスク 者 と65 歳 以 上 ) (ハイリスク 者 と65 歳 以 上 ) ( 乳 幼 児 と 齢 者 ) 肺 炎 球 菌 ( 成 ) (ハイリスク 者 と65 歳 以 上 ) 痘 :リスクのある 者 のみ ( 注 ) 本 のB 型 肝 炎 ワクチンはB 型 肝 炎 感 染 防 対 策 として 実 施 ( 出 所 ) 厚 労 働 省 資 料 を 基 に 筆 者 作 成 2. 法 律 案 提 出 の 経 緯 予 防 接 種 制 度 を 改 めて 見 直 す 契 機 となったのは 平 成 21 年 4 月 にメキシコで 発 生 した 新 型 インフルエンザ(A/H1N1)をめぐる 我 が 国 の 対 応 である 我 が 国 では5 月 16 日 に 国 内 で 初 めての 感 染 例 が 兵 庫 県 で 確 認 され 関 西 地 方 を 中 心 に 感 染 が 拡 大 し 発 熱 外 来 に 患 者 が 殺 到 するなど 様 々な 混 乱 が 生 じた 6 月 11 日 にWHOはフェーズ6(パンデ ミック)を 宣 言 し 8 月 15 日 には 沖 縄 で 国 内 初 の 死 亡 例 が 確 認 された 政 府 は 新 型 イ ンフルエンザ(A/H1N1) 発 生 当 初 から ワクチンの 製 造 に 取 り 組 む 方 針 を 示 すとと もに 輸 入 ワクチンの 確 保 に 努 めたが ワクチンの 供 給 量 の 不 足 優 先 接 種 対 象 者 の 検 討 輸 入 ワクチンの 安 全 性 など 次 々と 課 題 が 生 じた 第 173 回 国 会 の 平 成 21 年 11 月 30 日 に 成 立 した 新 型 インフルエンザ 予 防 接 種 による 健 康 被 害 の 救 済 等 に 関 する 特 別 措 置 法 の 国 会 審 議 等 でも ワクチン 供 給 接 種 の 費 用 負 担 予 防 接 種 法 の 疾 病 分 類 に 該 当 しない 7

6 疾 病 への 対 応 ワクチン ギャップ 問 題 ワクチン 評 価 機 関 の 必 要 性 等 新 型 インフルエン ザ 対 策 をきっかけとして 予 防 接 種 をめぐる 幅 広 い 課 題 が 議 論 された 新 型 インフルエンザ(A/H1N1)で 顕 在 化 した 諸 課 題 を 契 機 とし 平 成 21 年 12 月 25 日 に 厚 生 科 学 審 議 会 感 染 症 分 科 会 予 防 接 種 部 会 が 設 置 された 20 同 部 会 は 予 防 接 種 制 度 について 新 型 インフルエンザ 対 策 として 緊 急 に 講 ずべき 措 置 の 検 討 及 び 予 防 接 種 制 度 の 抜 本 的 な 見 直 しの 議 論 が 必 要 と 考 えられる 事 項 についての 検 討 を 並 行 して 開 始 した 平 成 22 年 2 月 19 日 に 予 防 接 種 部 会 は 予 防 接 種 制 度 の 見 直 しについて( 第 一 次 提 言 ) ( 以 下 第 一 次 提 言 という )を 取 りまとめた 第 一 次 提 言 は まず 新 型 イン フルエンザ 対 策 として 緊 急 に 講 ずべき 措 置 として 予 防 接 種 法 に 病 原 性 等 が 従 来 の 臨 時 接 種 が 想 定 するほど 高 くないものを 対 象 とする 新 たな 臨 時 接 種 の 類 型 を 創 設 す ることなどについて 提 言 し 政 府 におかれては 速 やかに 立 法 措 置 等 を 講 ずることを 期 待 する とした さらに 第 一 次 提 言 では 予 防 接 種 の 目 的 や 基 本 的 な 考 え 方 関 係 者 の 役 割 分 担 等 につ いて 抜 本 的 な 見 直 しを 議 論 していくことが 必 要 と 考 えられる 点 について 議 論 が 必 要 と 考 えられる 事 項 として 1 予 防 接 種 法 の 対 象 となる 疾 病 ワクチンの 在 り 方 2 予 防 接 種 事 業 の 適 正 な 実 施 の 確 保 3 予 防 接 種 に 関 する 情 報 提 供 の 在 り 方 4 接 種 費 用 の 負 担 の 在 り 方 5 予 防 接 種 に 関 する 評 価 検 討 組 織 の 在 り 方 6ワクチンの 研 究 開 発 の 促 進 と 生 産 基 盤 の 確 保 の 在 り 方 を 指 摘 した その 後 第 一 次 提 言 を 受 け 第 174 回 国 会 の 平 成 22 年 3 月 12 日 に 予 防 接 種 法 及 び 新 型 インフルエンザ 予 防 接 種 による 健 康 被 害 の 救 済 等 に 関 する 特 別 措 置 法 の 一 部 を 改 正 する 法 律 案 が 提 出 され 同 法 案 は 第 177 回 国 会 の 平 成 23 年 7 月 15 日 に 成 立 した 同 改 正 法 附 則 第 6 条 第 1 項 では 政 府 は 伝 染 のおそれがある 疾 病 の 発 生 及 びまん 延 の 状 況 改 正 後 予 防 接 種 法 の 規 定 の 施 行 の 状 況 等 を 勘 案 し 予 防 接 種 の 在 り 方 等 について 総 合 的 に 検 討 を 加 え その 結 果 に 基 づいて 所 要 の 措 置 を 講 ずるものとする と 規 定 し さらに 同 規 定 を 踏 まえ 衆 参 両 院 の 厚 生 労 働 委 員 会 の 附 帯 決 議 においても ( 略 ) 予 防 接 種 法 の 対 象 となる 疾 病 ワクチン 予 防 接 種 に 関 する 評 価 の 在 り 方 など 予 防 接 種 制 度 全 般 について 検 討 し 早 急 に 結 論 を 得 ること とし 予 防 接 種 制 度 の 抜 本 的 な 見 直 しが 求 められていた また 予 防 接 種 部 会 は 平 成 22 年 10 月 6 日 に 細 川 厚 生 労 働 大 臣 ( 当 時 )に 対 して 意 見 書 を 提 出 した その 中 で ( 略 ) 接 種 促 進 に 対 する 国 民 の 要 請 も 高 いことから 20 今 年 ( 平 成 21 年 ) 発 生 した 新 型 インフルエンザ(A/H1N1) 予 防 接 種 については 緊 急 的 対 応 ( 国 の 予 算 事 業 として 実 施 )を 行 ったところであるが これを 契 機 として 国 会 等 において 予 防 接 種 の 在 り 方 を 全 般 的 に 見 直 すべき との 意 見 が 寄 せられている そこで 厚 生 科 学 審 議 会 感 染 症 分 科 会 に 予 防 接 種 部 会 を 設 置 し 有 識 者 による 審 議 を 行 うこととする 厚 生 科 学 審 議 会 感 染 症 分 科 会 予 防 接 種 部 会 の 設 置 につい て ( 平 成 21 年 12 月 25 日 ) 8

7 Hib 21 ワクチン 小 児 用 肺 炎 球 菌 22 ワクチン HPV 23 ワクチンは 予 防 接 種 法 上 の 定 期 接 種 に 位 置 づける 方 向 で 急 ぎ 検 討 すべきである とした 24 その 後 政 府 は 同 意 見 書 等 に 基 づき Hib 小 児 用 肺 炎 球 菌 HPVの3ワクチンについて 子 宮 頸 がん 等 ワ クチン 接 種 緊 急 促 進 事 業 を 創 設 した 都 道 府 県 に 基 金 を 設 置 し 平 成 22 年 度 補 正 予 算 で 約 1,085 億 円 平 成 23 年 度 第 4 次 補 正 予 算 で 約 526 億 円 を 計 上 必 要 な 経 費 を 措 置 し 予 算 事 業 として 予 防 接 種 を 実 施 してきた その 後 も 予 防 接 種 部 会 において 検 討 を 重 ね 平 成 23 年 7 月 25 日 に これまでの 主 な 議 論 の 中 間 的 な 状 況 の 整 理 等 について において 部 会 での 議 論 の 状 況 や 今 後 の 検 討 課 題 に ついて 中 間 的 な 整 理 を 行 った そして 予 防 接 種 部 会 は 平 成 24 年 5 月 23 日 に 予 防 接 種 制 度 の 見 直 しについて( 第 二 次 提 言 ) ( 以 下 第 二 次 提 言 という )を 取 りまとめた 第 二 次 提 言 では 今 後 新 たなワクチンを 予 防 接 種 法 の 対 象 とし 定 期 接 種 として 実 施 するために 必 要 な 財 源 の 確 保 や 接 種 費 用 の 負 担 のあり 方 等 に 関 して 市 町 村 等 関 係 者 と 十 分 に 調 整 しつつ 検 討 を 進 め 予 防 接 種 法 の 改 正 案 を 早 期 に 国 会 に 提 出 することを 期 待 する とし 見 直 しの 目 的 とし て 第 一 に 子 どもの 予 防 接 種 は 次 代 を 担 う 子 どもたちを 感 染 症 から 守 り 健 やかな 育 ちを 支 える 役 割 を 果 たす こと 第 二 に ワクチン ギャップに 対 応 し 予 防 接 種 施 策 を 中 長 期 的 な 観 点 から 総 合 的 に 評 価 検 討 する 仕 組 みを 導 入 を 挙 げ 立 法 措 置 を 求 め ている 主 な 項 目 は 1 予 防 接 種 の 総 合 的 な 推 進 を 図 るための 計 画 ( 仮 称 ) 25 2 予 防 接 種 法 の 対 象 となる 疾 病 ワクチンの 追 加 (HPV Hib 小 児 用 肺 炎 球 菌 水 痘 おた ふくかぜ 成 人 用 肺 炎 球 菌 B 型 肝 炎 の7ワクチン) 3 予 防 接 種 法 上 の 疾 病 区 分 4 接 種 費 用 の 負 担 の 在 り 方 5ワクチン 価 格 等 の 接 種 費 用 6 予 防 接 種 に 関 する 評 価 検 討 組 織 7 関 係 者 の 役 割 分 担 8 副 反 応 報 告 制 度 健 康 被 害 救 済 制 度 9 接 種 方 法 接 種 記 録 情 報 提 供 10 感 染 症 サーベイランス 11ワクチンの 研 究 開 発 の 促 進 と 生 産 基 盤 の 確 保 で ある 第 二 次 提 言 では 接 種 費 用 の 負 担 の 在 り 方 について 予 防 接 種 法 の 定 期 接 種 が 市 町 村 の 支 弁 により 実 施 されている 自 治 事 務 であり 経 済 的 理 由 により 接 種 費 用 を 負 担 することが できない 場 合 を 除 き 接 種 時 に 実 費 を 徴 収 できるとされているが ほとんどの 市 町 村 では 接 種 費 用 を 公 費 で 負 担 していること 子 宮 頸 がん Hib 小 児 用 肺 炎 球 菌 の3ワクチン 21 Haemophilus influenzae ヘモフィルスインフルエンザ 菌 b 型 生 後 3か 月 から5 歳 くらいまでの 小 児 髄 膜 炎 の 主 要 起 炎 菌 であり 閉 塞 性 咽 喉 炎 や 敗 血 症 も 起 こす 伊 藤 前 掲 書 2551 頁 22 Pneumococcus 肺 炎 球 菌 は 肺 炎 のみならず 症 例 によっては 全 身 性 の 感 染 症 を 来 すことがある すなわ ち 肺 炎 から 胸 膜 炎 心 外 膜 炎 に 進 展 させたり 中 耳 炎 副 鼻 腔 炎 から 直 達 性 あるいは 血 行 性 に 髄 膜 炎 を 起 こ したりする 同 2192 頁 23 Human papillomavirus ヒトパピローマウィルス HPVは 腫 瘍 ウイルスの 一 種 で 子 宮 頸 癌 の 90 %で 検 出 される 同 2346 頁 24 平 成 23 年 3 月 11 日 のワクチン 評 価 に 関 する 小 委 員 会 報 告 書 においても Hib 小 児 肺 炎 球 菌 HPV 水 痘 おたふくかぜ B 型 肝 炎 に 係 るワクチンは 医 学 的 科 学 的 視 点 からは いずれも 広 く 接 種 を 促 進 して いくことが 望 ましいものと 考 えられるとしている 25 改 正 法 では 予 防 接 種 基 本 計 画 9

8 については 平 成 22 年 度 から 接 種 費 用 の9 割 を 公 費 負 担 としている 仕 組 みを 国 として 導 入 していることにも 留 意 し 市 町 村 等 関 係 者 と 十 分 に 調 整 しつつ 検 討 するべきであ る とした これを 受 けて 政 府 は 平 成 25 年 1 月 27 日 の 総 務 大 臣 財 務 大 臣 厚 生 労 働 大 臣 の 三 大 臣 合 意 平 成 25 年 度 における 年 少 扶 養 控 除 等 の 見 直 しによる 地 方 財 政 の 追 加 増 収 分 等 の 取 扱 い 等 について に 基 づき 年 少 扶 養 控 除 の 廃 止 等 による 地 方 増 収 分 を 活 用 し 1 子 宮 頸 がん 等 ワクチン 接 種 緊 急 促 進 基 金 を 活 用 した 国 庫 補 助 事 業 を 一 般 財 源 化 す ること 2 子 宮 頸 がん Hib 小 児 用 肺 炎 球 菌 のワクチンを 平 成 25 年 度 から 予 防 接 種 法 に 基 づく 定 期 接 種 とすること 3 既 存 の 予 防 接 種 法 に 基 づく 定 期 接 種 ( 一 類 疾 病 分 )に 係 る 公 費 負 担 の 範 囲 を 子 宮 頸 がん 等 ワクチン 接 種 緊 急 促 進 基 金 を 活 用 した 国 庫 補 助 事 業 と 同 様 の 範 囲 に 見 直 すこととした 予 防 接 種 部 会 の 第 二 次 提 言 三 大 臣 合 意 を 踏 まえて 政 府 は 第 183 回 国 会 の 平 成 25 年 3 月 1 日 予 防 接 種 の 総 合 的 な 推 進 を 図 るための 計 画 の 策 定 定 期 接 種 の 対 象 疾 患 の 追 加 副 反 応 報 告 制 度 の 法 定 化 評 価 検 討 組 織 への 付 議 を 主 な 内 容 とする 予 防 接 種 法 の 一 部 を 改 正 する 法 律 案 を 閣 議 決 定 し 同 日 国 会 ( 衆 議 院 )へ 提 出 した 3. 法 律 案 の 概 要 (1) 趣 旨 我 が 国 における 予 防 接 種 の 総 合 的 な 推 進 を 図 るため 先 進 諸 国 と 比 べて 公 的 に 接 種 する ワクチンの 種 類 が 少 ない いわゆるワクチン ギャップの 問 題 等 を 踏 まえ 厚 生 労 働 大 臣 が 予 防 接 種 に 関 する 基 本 的 な 計 画 を 策 定 すること 新 たにHib 感 染 症 小 児 の 肺 炎 球 菌 感 染 症 及 びHPV 感 染 症 を 定 期 の 予 防 接 種 の 対 象 とすること 定 期 の 予 防 接 種 等 の 適 正 な 実 施 のための 措 置 に 関 する 規 定 を 整 備 すること 等 (2) 定 期 接 種 の 対 象 疾 病 の 追 加 等 一 類 疾 病 の 名 称 をA 類 疾 病 とし 定 期 の 予 防 接 種 の 対 象 疾 病 にHib 感 染 症 小 児 の 肺 炎 球 菌 感 染 症 及 びHPV 感 染 症 を 追 加 する また 二 類 疾 病 の 名 称 をB 類 疾 病 とし 新 た なワクチンの 開 発 や 感 染 症 のまん 延 の 状 況 等 に 機 動 的 に 対 応 できるよう 政 令 で 対 象 疾 病 を 追 加 できることとする (3) 予 防 接 種 基 本 計 画 等 の 策 定 厚 生 労 働 大 臣 は 予 防 接 種 に 関 する 施 策 の 総 合 的 かつ 計 画 的 な 推 進 を 図 るため 厚 生 科 学 審 議 会 の 意 見 を 聴 いた 上 で 1 予 防 接 種 に 関 する 施 策 の 総 合 的 かつ 計 画 的 な 推 進 に 関 す る 基 本 的 な 方 向 2 国 地 方 公 共 団 体 その 他 関 係 者 の 役 割 分 担 3 予 防 接 種 に 関 する 施 26 第 二 次 提 言 で 接 種 の 促 進 が 求 められた7ワクチンのうち 今 回 の 改 正 で 追 加 されたのは 子 宮 頸 がん 等 ワ クチン 接 種 緊 急 促 進 事 業 で 実 施 されている Hib 小 児 用 肺 炎 球 菌 HPVの3ワクチンである 27 評 価 検 討 組 織 は 米 国 のACIP(Advisory Committee on Immunization Practices)をモデルとして 検 討 されていたが 厚 生 科 学 審 議 会 の 下 に 予 防 接 種 ワクチン 分 科 会 が 設 置 される 予 定 である( 後 述 ) 10

9 策 の 総 合 的 かつ 計 画 的 な 推 進 に 係 る 目 標 4 予 防 接 種 の 適 正 な 実 施 に 関 する 施 策 を 推 進 す るための 基 本 的 事 項 5 予 防 接 種 の 研 究 開 発 の 推 進 及 びワクチンの 供 給 の 確 保 に 関 する 施 策 の 推 進 6 予 防 接 種 の 有 効 性 及 び 安 全 性 の 向 上 に 関 する 施 策 の 推 進 7 国 際 的 な 連 携 等 について 定 める 予 防 接 種 基 本 計 画 を 策 定 する 同 計 画 は 少 なくとも5 年 に1 度 再 検 討 し 必 要 があると 認 めるときは 変 更 する また 厚 生 労 働 大 臣 は A 類 疾 病 及 びB 類 疾 病 のうち 特 に 総 合 的 に 予 防 接 種 を 推 進 す る 必 要 があるものについて 当 該 疾 病 ごとに 個 別 予 防 接 種 指 針 を 予 防 接 種 基 本 計 画 に 即 して 定 めなければならない (4) 副 反 応 報 告 制 度 の 法 定 化 現 在 実 施 している 副 反 応 報 告 制 度 を 法 律 上 位 置 付 け 医 療 機 関 から 厚 生 労 働 大 臣 への 報 告 を 義 務 化 する 厚 生 労 働 大 臣 は 報 告 の 状 況 について 厚 生 科 学 審 議 会 に 報 告 し その 意 見 を 聴 いて 必 要 な 措 置 を 講 ずる なお 医 療 機 関 からの 副 反 応 報 告 に 関 する 情 報 の 整 理 及 び 調 査 については 独 立 行 政 法 人 医 薬 品 医 療 機 器 総 合 機 構 に 行 わせることもできる (5) 評 価 検 討 組 織 への 付 議 厚 生 労 働 大 臣 は 予 防 接 種 施 策 の 立 案 に 当 たり 専 門 的 な 知 見 を 要 する 事 項 について 厚 生 科 学 審 議 会 に 設 置 される 評 価 検 討 組 織 に 意 見 を 聴 かなければならない (6) 施 行 期 日 一 部 の 規 定 を 除 き 平 成 25 年 4 月 1 日 から 施 行 する (7) 検 討 規 定 政 府 は この 法 律 の 施 行 後 5 年 を 目 途 として 伝 染 のおそれがある 疾 病 の 発 生 及 びまん 延 の 状 況 予 防 接 種 の 接 種 率 の 状 況 予 防 接 種 による 健 康 被 害 の 発 生 状 況 その 他 この 法 律 による 改 正 後 の 予 防 接 種 法 の 規 定 の 施 行 の 状 況 を 勘 案 し 必 要 があると 認 めるときは 検 討 を 加 え その 結 果 に 基 づいて 所 要 の 措 置 を 講 ずる 4. 主 な 論 点 及 び 委 員 会 論 議 (1) 予 防 接 種 見 直 しの 目 的 第 二 次 提 言 では 予 防 接 種 は 感 染 症 対 策 として 最 も 基 本 的 かつ 効 果 的 な 対 策 の 一 つで あり 国 民 の 生 命 と 健 康 を 守 る 重 要 な 手 段 である 特 に 子 どもの 予 防 接 種 については 次 代 を 担 う 子 どもたちを 感 染 症 から 守 り 健 やかな 育 ちを 支 える 役 割 を 果 たすものであ る とし ( 略 ) 世 界 保 健 機 関 が 勧 告 しているワクチンが 予 防 接 種 法 の 対 象 となってお らず 先 進 諸 国 と 比 べて 公 的 に 接 種 するワクチンの 種 類 が 少 ない いわゆるワクチン ギ ャップの 状 態 が 生 じている との 認 識 を 示 し これに 対 応 するため ワクチンの 安 全 性 有 効 性 や 費 用 対 効 果 なども 考 慮 しつつ 必 要 なワクチンについては 定 期 接 種 として 位 11

10 置 づける とワクチン ギャップの 解 消 の 必 要 性 を 提 言 している 28 委 員 会 においては まず 法 改 正 の 基 本 的 な 考 え 方 について 田 村 厚 生 労 働 大 臣 から 我 が 国 のワクチン 行 政 が 遅 れていることの 認 識 が 示 され ワクチン ギャップ 等 々 言 わ れる 中 において 何 とか まずは 世 界 の 標 準 まで 持 って 行 きたい( 略 ) と 第 二 次 提 言 の 内 容 を 踏 まえ 今 回 の 法 改 正 によりワクチン ギャップの 解 消 を 進 める 旨 答 弁 がなされた 29 今 回 の 改 正 では 目 的 規 定 も 見 直 された 改 正 前 の 予 防 接 種 法 の 第 1 条 では ( 略 ) 伝 染 のおそれがある 疾 病 の 発 生 及 びまん 延 を 予 防 するために 予 防 接 種 を 行 い 公 衆 衛 生 の 向 上 及 び 増 進 に 寄 与 するとともに と 規 定 していたが 改 正 法 では ( 略 ) 伝 染 のおそ れがある 疾 病 の 発 生 及 びまん 延 を 予 防 するために 公 衆 衛 生 の 見 地 から 予 防 接 種 の 実 施 そ の 他 必 要 な 措 置 を 講 ずることにより 国 民 の 健 康 の 保 持 に 寄 与 するとともに とされて いる( 下 線 筆 者 ) この 点 について 田 村 厚 生 労 働 大 臣 からは 法 制 定 時 から 比 較 して 公 衆 衛 生 は 向 上 しており 国 民 一 人 ひとりの 健 康 に 重 きを 置 く 時 代 になったことを 踏 まえて の 改 正 である 旨 答 弁 があった 30 (2) 予 防 接 種 基 本 計 画 第 二 次 提 言 では 予 防 接 種 施 策 の 推 進 に 当 たって その 一 貫 性 や 継 続 性 が 確 保 される ためには ( 略 ) 関 係 者 が 予 防 接 種 全 般 についての 中 長 期 的 なビジョンを 共 有 し 各 々 の 役 割 を 認 識 しつつ 連 携 協 力 していくことが 必 要 である としている 委 員 会 では 予 防 接 種 基 本 計 画 の 策 定 時 期 について 厚 生 労 働 省 からは 平 成 25 年 度 内 をめどにできるだけ 早 く 取 りまとめる 旨 答 弁 があった 31 参 議 院 厚 生 労 働 委 員 会 では 予 防 接 種 基 本 計 画 に 関 して ( 略 ) 予 防 接 種 実 施 に 関 する 諸 外 国 の 状 況 等 を 踏 まえ ワク チンで 予 防 可 能 な 疾 患 は 適 正 に 予 防 接 種 で 予 防 するという 考 え 方 を 基 本 として 策 定 するこ と ( 略 ) 施 策 等 の 実 施 状 況 について 厚 生 科 学 審 議 会 の 意 見 を 聴 いた 上 で 一 年 ごとの 評 価 を 行 い 五 年 の 見 直 しを 待 たずに 必 要 に 応 じた 措 置 を 随 時 講 ずること 等 の 附 帯 決 議 が 付 された 32 (3) 予 防 接 種 法 の 対 象 となる 疾 病 ワクチンの 追 加 第 二 次 提 言 では ( 略 ) 医 学 的 科 学 的 観 点 からは 7ワクチン( 子 宮 頸 がん 予 防 ヒ ブ 小 児 用 肺 炎 球 菌 水 痘 おたふくかぜ 成 人 用 肺 炎 球 菌 B 型 肝 炎 )について 広 く 接 種 を 促 進 していくことが 望 ましい と 提 言 がなされた なお 7ワクチンのうち 平 28 予 防 接 種 制 度 の 見 直 しについて( 第 二 次 提 言 ) ( 平 成 24 年 5 月 23 日 )( 厚 生 科 学 審 議 会 感 染 症 分 科 会 予 防 接 種 部 会 )2 頁 29 第 183 回 国 会 衆 議 院 厚 生 労 働 委 員 会 議 録 第 3 号 ( 平 ) なお 本 稿 執 筆 時 点 において 会 議 録 が 未 定 稿 であるため 頁 番 号 を 付 していない( 以 下 同 じ) 30 同 31 第 183 回 国 会 参 議 院 厚 生 労 働 委 員 会 会 議 録 第 3 号 ( 平 ) 32 同 12

11 成 22 年 度 から 子 宮 頸 がん 等 ワクチン 接 種 緊 急 促 進 事 業 として 実 施 されている HPV Hib 小 児 用 肺 炎 球 菌 の3ワクチンについては 平 成 24 年 度 で 事 業 が 終 了 するため 平 成 25 年 度 以 降 も 継 続 して 接 種 を 行 うことが 必 要 であるとされている 33 今 回 の 改 正 では 7ワクチンのうち 子 宮 頸 がん 等 ワクチン 接 種 緊 急 促 進 事 業 で 実 施 さ れている3ワクチンが 予 防 接 種 法 上 の 定 期 接 種 に 位 置 付 けられた このうち HPVワクチンについては その 有 効 性 について 子 宮 頸 がんを 発 生 させる 全 ての 型 に 対 応 しておらず HPVに 感 染 しても 90 % 以 上 は 自 然 排 出 されてしまう 等 の データ 等 から 予 防 効 果 の 可 能 性 があるのは 女 性 1,000 人 につき 0.04 人 であること ワクチンの 有 効 期 間 の 持 続 性 も 明 らかでないこと さらに HPVワクチンが 他 のワクチ ンと 比 較 して 明 らかに 副 反 応 の 頻 度 が 多 く 重 篤 な 症 例 も 出 ていること 等 を 考 慮 すると 定 期 接 種 化 は 時 期 尚 早 であり 子 宮 頸 がん 予 防 には 検 診 を 重 視 すべきではないかとの 質 問 がなされた 34 厚 生 労 働 省 からは 子 宮 頸 がん 予 防 には 検 診 とワクチンの 両 方 が 重 要 で あるが ワクチンの 効 果 については 専 門 家 による 検 討 で 評 価 されており ワクチンの 有 効 性 の 持 続 期 間 が 短 い 等 のデータについては 今 後 伸 びる 可 能 性 もある 旨 述 べられた さら に 副 反 応 等 についても 現 在 までのところ これまでの 発 生 状 況 を 踏 まえ その 安 全 性 に 重 大 な 懸 念 はないとの 結 論 を 得 ている 旨 答 弁 がなされた 35 HPVワクチンについては 現 在 我 が 国 では 子 宮 頸 がん 予 防 についてのみ 承 認 されてい るが 今 回 の 改 正 では 予 防 接 種 法 に 位 置 付 けられるに 際 して 接 種 対 象 が 女 性 に 限 定 され ることは 特 に 記 されていない 36 一 方 で 海 外 では 肛 門 がん 尖 圭 コンジローマ( 性 器 のいぼ)の 予 防 として 男 性 に 対 しても 接 種 を 促 している 国 がある そのため 今 後 HP Vワクチンが 男 性 に 対 しても 薬 事 承 認 された 場 合 直 ちに 予 防 接 種 法 上 の 位 置 付 けについ て 検 討 対 象 とし 厚 生 科 学 審 議 会 から 意 見 を 聴 取 し 必 要 な 措 置 を 講 じるべき 旨 質 問 がな された 厚 生 労 働 省 からは 厚 生 科 学 審 議 会 は 薬 事 法 上 承 認 された 場 合 も 含 め 専 門 的 な 見 地 から 自 発 的 に 調 査 審 議 することができること 運 営 細 則 においてもワクチンの 開 発 状 況 に 応 じて 迅 速 な 検 討 を 行 うことを 盛 り 込 むことも 評 価 検 討 組 織 の 委 員 と 相 談 の 上 検 討 する 旨 答 弁 があった この 点 については 衆 参 の 厚 生 労 働 委 員 会 において 新 規 ワクチンが 薬 事 法 上 承 認 された 場 合 には その 予 防 接 種 上 の 位 置 付 けについて 厚 生 科 学 審 議 会 の 意 見 を 聴 いて 速 やかに 検 討 を 行 い その 結 果 に 基 づいて 必 要 な 法 制 上 財 政 上 の 措 置 を 講 ずるよう 努 めることを 政 府 に 求 める 旨 の 附 帯 決 議 が 付 された 37 他 方 本 改 正 案 がワクチン ギャップの 解 消 を 目 指 していることを 踏 まえ 第 二 次 提 言 33 予 防 接 種 制 度 の 見 直 しについて( 第 二 次 提 言 ) ( 平 成 24 年 5 月 23 日 )( 厚 生 科 学 審 議 会 感 染 症 分 科 会 予 防 接 種 部 会 )3 頁 34 社 会 民 主 党 護 憲 連 合 から 今 回 の 改 正 法 からヒトパピローマウィルス 感 染 症 の 追 加 を 削 除 する 修 正 案 が 委 員 会 に 提 出 されたが 否 決 された 35 第 183 回 国 会 参 議 院 厚 生 労 働 委 員 会 会 議 録 第 3 号 ( 平 ) 36 厚 生 労 働 省 は 政 令 で 女 性 に 限 定 することを 定 めるとしている 37 第 183 回 国 会 衆 議 院 厚 生 労 働 委 員 会 議 録 第 3 号 ( 平 ) 第 183 回 国 会 参 議 院 厚 生 労 働 委 員 会 会 議 録 第 3 号 ( 平 ) 13

12 で 接 種 促 進 が 提 言 されながら 定 期 接 種 化 が 見 送 られた 残 り4ワクチン 及 び 乳 幼 児 を 中 心 に 発 症 が 多 いロタウィルス ワクチン 38 の 定 期 接 種 化 の 見 通 しについて 委 員 会 において 議 論 となった 田 村 厚 生 労 働 大 臣 からは 残 り4ワクチンを 定 期 接 種 化 した 場 合 の 財 源 問 題 予 防 接 種 が 自 治 事 務 であるため 地 方 自 治 体 との 調 整 が 必 要 であること ロタウィルス ワクチンについては 現 在 評 価 検 討 中 である 旨 答 弁 があった さらに 財 源 問 題 がネック になっているのであれば 消 費 税 率 引 上 げの 時 期 に 合 わせ 残 りのワクチンの 定 期 接 種 化 を 行 うべきではないかとの 指 摘 に 対 しては 同 大 臣 より ( 略 )それも 一 つの 大 きな 大 きな 機 会 であるという 認 識 は 持 っておりますので その 上 で 努 力 をしてまいりたいということ でございます と 答 弁 があった 39 こうした 議 論 を 踏 まえ 参 議 院 厚 生 労 働 委 員 会 においては 今 回 定 期 接 種 化 されなかっ たワクチンについて ( 略 ) 本 法 で 追 加 される 三 疾 病 に 係 るワクチンを 除 く 四 ワクチンを 定 期 接 種 の 対 象 とすることについて 検 討 し 平 成 二 十 五 年 度 末 までに 結 論 を 得 ること ロタウイルス ワクチンについては 現 在 実 施 中 の 専 門 家 による 評 価 検 討 の 結 果 を 踏 まえ 予 防 接 種 法 上 の 定 期 接 種 の 対 象 とすること 等 について 早 期 に 結 論 を 得 るよう 検 討 す ること との 附 帯 決 議 が 付 された 40 (4) 予 防 接 種 法 上 の 疾 病 区 分 疾 病 区 分 については 第 二 次 提 言 では 1 類 2 類 疾 病 という 疾 病 区 分 の 名 称 につ いて 感 染 症 法 の 1~5 類 感 染 症 と 混 同 しやすいとの 医 療 現 場 等 からの 指 摘 を 踏 まえ 実 用 性 や 法 令 上 の 用 例 を 勘 案 し 例 えば A 類 B 類 疾 病 と 変 更 することを 検 討 す る とされ 今 回 の 改 正 においてもそのような 取 扱 いがされた 41 委 員 会 においては A 類 B 類 という 分 類 の 合 理 性 そもそも 医 学 的 科 学 的 に 根 拠 のあるワクチンについて は 国 としてしっかり 国 民 に 推 奨 するよう 明 確 にすべきではないかとの 指 摘 があった 42 (5) 接 種 費 用 の 負 担 の 在 り 方 前 述 のように 予 防 接 種 法 の 定 期 接 種 は 市 町 村 の 支 弁 により 実 施 されている 自 治 事 務 であり 経 済 的 理 由 により 接 種 費 用 を 負 担 することができない 場 合 を 除 き 実 費 を 徴 収 で きることとされているが 実 際 にはほとんどの 市 町 村 で 実 費 徴 収 は 行 わず 公 費 で 負 担 し ている 平 成 22 年 3 月 に 厚 生 労 働 省 が 調 査 したところ 調 査 対 象 の 1,744 市 区 町 村 のう 38 ロタウィルス 感 染 症 は 乳 幼 児 中 心 に 低 年 齢 層 での 発 生 が 多 い 主 な 症 状 は 嘔 吐 と 下 痢 であり ノロウイ ルスに 比 べると 重 症 度 は 高 い 国 立 感 染 症 研 究 所 の 調 査 では 乳 幼 児 の 感 染 性 胃 腸 炎 の 20 % 程 度 がロタウイ ルスによるものと 考 えられている ロタウィルス ワクチンについては 平 成 21 年 6 月 からWHOが 推 奨 して いるが アメリカ オーストリア ベルギー 等 一 部 の 国 を 除 いて 医 療 経 済 的 な 視 点 等 から 導 入 が 見 合 わされて いる( 英 国 は 2013 年 9 月 から 導 入 予 定 ) 39 第 183 回 国 会 衆 議 院 厚 生 労 働 委 員 会 議 録 第 3 号 ( 平 ) 40 第 183 回 国 会 参 議 院 厚 生 労 働 委 員 会 会 議 録 第 3 号 ( 平 ) 41 予 防 接 種 制 度 の 見 直 しについて( 第 二 次 提 言 ) ( 平 成 24 年 5 月 23 日 )( 厚 生 科 学 審 議 会 感 染 症 分 科 会 予 防 接 種 部 会 )5 頁 42 第 183 回 国 会 衆 議 院 厚 生 労 働 委 員 会 議 録 第 3 号 ( 平 ) 14

13 ち 一 類 定 期 接 種 については 1,737 市 区 町 村 ( 全 体 の 99.6 %)において 全 額 公 費 負 担 を 実 施 していた 43 第 二 次 提 言 では そのような 事 情 にも 留 意 し 市 町 村 等 関 係 者 と 十 分 に 調 整 しつつ 検 討 するべきである としている 44 今 回 の 改 正 に 伴 い 接 種 費 用 については 地 方 交 付 税 措 置 により 9 割 を 公 費 で 負 担 する こととしているが 委 員 会 においては 交 付 税 不 交 付 団 体 の 東 京 都 では 子 宮 頸 がん 等 ワ クチン 接 種 緊 急 促 進 事 業 において 23 区 の 中 で 自 己 負 担 を 求 めている 区 があり 東 京 都 の3ワクチンの 接 種 率 が 全 国 平 均 を 下 回 っている 要 因 の 一 つではないかとの 指 摘 があり 不 交 付 団 体 に 対 する 対 応 について 質 問 がなされた 厚 生 労 働 省 からは 東 京 23 区 につい ては 定 期 接 種 化 された 後 は 実 費 徴 収 は 行 わない 旨 確 認 が 取 れたこと 年 少 扶 養 控 除 廃 止 による 増 収 分 により 手 当 されている 旨 答 弁 があった 45 さらに 自 民 党 総 合 政 策 集 J- ファイル 2012 において 年 少 扶 養 控 除 の 復 活 が 記 載 されており 同 控 除 廃 止 による 地 方 税 収 の 増 収 分 を 財 源 とすることの 妥 当 性 について 質 された 田 村 厚 生 労 働 大 臣 からは ( 略 ) 自 民 党 の 税 制 調 査 会 の 方 でも これに 関 しては 検 討 課 題 となってございまして ( 略 ) 将 来 的 にこれが 年 少 扶 養 控 除 復 活 ということに 相 なれば 当 然 財 源 に 穴 があいて くるわけでありますから そのときには 違 った 財 源 措 置 をしなければならないということ であろうと 思 います と 答 弁 があった 46 第 二 次 提 言 では 予 防 接 種 に 対 する 保 険 適 用 について 医 療 保 険 制 度 の 目 的 に 関 わる 重 要 な 変 更 となるだけでなく がん 検 診 や 乳 幼 児 健 診 など 他 の 地 域 保 健 事 業 との 関 係 の 整 理 や 医 療 保 険 財 政 が 極 めて 厳 しい 状 況 にあるなどの 課 題 があり 国 民 的 な 議 論 が 必 要 であ る と 今 後 の 検 討 課 題 としている 47 この 点 について 委 員 会 では 田 村 厚 生 労 働 大 臣 より 今 までの 健 康 保 険 というものの 概 念 を 変 えなきゃいけないという 話 言 うなれば 保 険 者 の 負 担 もかかってくるわけでございますから 国 だけの 負 担 ではないということも 踏 まえ て 大 きな 議 論 になりますので これはまだまだ 国 民 的 な 議 論 には そこまでいっていない のではないのかというふうに 私 は 認 識 をしております と 答 弁 し 当 面 は 保 険 適 用 を 考 えていない 旨 答 弁 があった 48 (6)ワクチン 価 格 等 の 接 種 費 用 現 在 ワクチンの 接 種 費 用 については 予 防 接 種 が 自 治 事 務 であることから 予 防 接 種 を 実 施 する 自 治 体 が 医 療 機 関 との 間 でワクチン 価 格 問 診 料 等 の 技 術 料 を 加 味 し 委 託 契 43 第 11 回 厚 生 科 学 審 議 会 感 染 症 分 科 会 予 防 接 種 部 会 配 付 資 料 8 予 防 接 種 に 係 る 費 用 負 担 の 現 状 につい て ( 平 成 22 年 7 月 7 日 )( 厚 生 労 働 省 ) 44 予 防 接 種 制 度 の 見 直 しについて( 第 二 次 提 言 ) ( 平 成 24 年 5 月 23 日 )( 厚 生 科 学 審 議 会 感 染 症 分 科 会 予 防 接 種 部 会 )6 頁 45 第 183 回 国 会 衆 議 院 厚 生 労 働 委 員 会 議 録 第 3 号 ( 平 ) 46 同 47 予 防 接 種 制 度 の 見 直 しについて( 第 二 次 提 言 ) ( 平 成 24 年 5 月 23 日 )( 厚 生 科 学 審 議 会 感 染 症 分 科 会 予 防 接 種 部 会 )6 頁 48 第 183 回 国 会 衆 議 院 厚 生 労 働 委 員 会 議 録 第 3 号 ( 平 ) 15

14 約 を 交 わしている 中 で 決 められている しかし 卸 売 販 売 業 者 から 医 療 機 関 への 実 売 価 格 や 自 治 体 と 医 療 機 関 との 委 託 契 約 の 価 格 等 実 態 が 把 握 されていないという 現 状 があり 第 二 次 提 言 では ワクチン 価 格 等 の 接 種 費 用 の 実 態 調 査 の 必 要 性 を 述 べている 49 さらに 同 提 言 では 予 防 接 種 事 業 を 効 率 的 に 実 施 するために 市 町 村 によるワクチンの 入 札 一 括 購 入 方 式 等 の 先 進 的 な 事 例 も 参 考 に するべきとしている 50 さらに 問 診 料 等 について 診 療 報 酬 点 数 を 参 考 にしていることが 多 い 今 後 委 託 契 約 価 格 の 実 態 について 地 方 自 治 体 への 調 査 を 実 施 するなど 適 切 な 問 診 料 等 の 水 準 のあり 方 について 検 討 する として いる 51 委 員 会 では 厚 生 労 働 省 より ワクチン 価 格 の 実 態 調 査 のため 平 成 25 年 度 予 算 に 約 1,600 万 円 を 計 上 しており 本 年 7 月 から8 月 をめどに 調 査 を 実 施 する 旨 答 弁 があっ た 52 (7) 予 防 接 種 に 関 する 評 価 検 討 組 織 予 防 接 種 施 策 全 般 について 中 長 期 的 な 課 題 設 定 の 下 科 学 的 な 知 見 に 基 づき 総 合 的 恒 常 的 に 評 価 検 討 を 行 い 厚 生 労 働 大 臣 に 提 言 するため 平 成 25 年 4 月 に 感 染 症 分 科 会 を 廃 止 し 予 防 接 種 ワクチン 分 科 会 を 設 置 することとしている 当 初 評 価 検 討 組 織 については アメリカの 疾 病 予 防 管 理 センター(CDC)の 諮 問 機 関 である 予 防 接 種 の 実 施 に 関 する 諮 問 委 員 会 (ACIP:Advisory Committee on Immunization Practices)( 以 下 ACIP という )をモデルに 検 討 された 結 果 的 には 評 価 検 討 組 織 の 位 置 づけについては 現 在 の 厚 生 科 学 審 議 会 感 染 症 分 科 会 予 防 接 種 部 会 を 発 展 的 に 充 実 させる こととなった 53 事 務 局 組 織 としては 第 二 次 提 言 において 厚 生 労 働 省 健 康 局 が 医 薬 食 品 局 及 び 国 立 感 染 症 研 究 所 の 協 力 連 携 の 下 務 めることとされた 54 また 専 門 家 の 機 関 としての 役 割 が 期 待 されることから 同 提 言 において 専 門 委 員 会 の 委 員 の 任 期 に 関 しても 中 長 期 的 な 継 続 性 を 担 保 する とされた 55 委 員 会 では アメリ カのACIPのような 独 立 した 中 立 的 な 機 関 を 創 設 すべき 旨 の 意 見 が 出 された また 厚 生 科 学 審 議 会 からの 意 見 を 厚 生 労 働 大 臣 は 尊 重 することについて 確 認 の 質 問 がなされた 田 村 厚 生 労 働 大 臣 からは ( 意 見 を)そのまま 実 施 させていただくこともあるわけであり ますけれども 一 方 で 諸 般 のいろいろな 理 由 がございます ( 略 ) 当 然 そのまま 実 行 で きないというものもある( 略 ) 旨 答 弁 があった 予 防 接 種 制 度 の 見 直 しについて( 第 二 次 提 言 ) ( 平 成 24 年 5 月 23 日 )( 厚 生 科 学 審 議 会 感 染 症 分 科 会 予 防 接 種 部 会 )7 頁 50 同 6 頁 51 同 7 頁 52 第 183 回 国 会 衆 議 院 厚 生 労 働 委 員 会 議 録 第 3 号 ( 平 ) 53 予 防 接 種 制 度 の 見 直 しについて( 第 二 次 提 言 ) ( 平 成 24 年 5 月 23 日 )( 厚 生 科 学 審 議 会 感 染 症 分 科 会 予 防 接 種 部 会 )8 頁 54 同 8~9 頁 55 同 9 頁 56 第 183 回 国 会 衆 議 院 厚 生 労 働 委 員 会 議 録 第 3 号 ( 平 ) 16

15 評 価 検 討 組 織 の 委 員 に 被 接 種 者 の 代 表 ワクチンの 製 造 販 売 業 者 等 を 加 える 必 要 性 に ついて 質 問 があった 厚 生 労 働 省 からは 参 考 人 として 被 接 種 者 の 代 表 者 等 が 参 加 できる 旨 説 明 があり その 上 で 健 康 被 害 に 遭 った 当 事 者 という 観 点 での 委 員 の 枠 を 設 け 参 加 いただくことは 公 正 な 審 議 ができないおそれがあることから 現 時 点 では 想 定 しておりま せん との 答 弁 がなされた ワクチン 製 造 販 売 業 者 については 利 益 相 反 の 観 点 から 委 員 としての 参 加 は 難 しいが 何 らかの 形 で 意 見 を 反 映 する 仕 組 みについて 評 価 検 討 組 織 の 中 で 検 討 していく 旨 答 弁 がなされた 57 (8) 副 反 応 報 告 制 度 等 改 正 前 は 副 反 応 報 告 については 薬 事 法 に 基 づく 副 作 用 等 報 告 通 知 による 予 防 接 種 制 度 の 副 反 応 報 告 子 宮 頸 がん 等 ワクチン 接 種 緊 急 促 進 事 業 の 副 反 応 報 告 と3つの 制 度 が 存 在 した 第 二 次 提 言 では 医 療 機 関 の 報 告 事 務 を 簡 素 化 する 観 点 から 子 宮 頸 がん 等 ワク チン 接 種 緊 急 促 進 事 業 での 報 告 制 度 を 踏 まえて 報 告 ルートを 一 元 化 することが 適 当 とさ れた 58 健 康 被 害 救 済 制 度 については 同 提 言 において 健 康 被 害 救 済 に 係 る 審 査 を 迅 速 に 行 い 必 要 な 救 済 給 付 を 円 滑 に 実 施 することが 重 要 であり 引 き 続 き 疾 病 障 害 認 定 審 査 会 において 評 価 検 討 組 織 とは 独 立 して 客 観 的 中 立 的 な 立 場 から 審 査 を 実 施 するな ど 現 行 通 り 実 施 する とされた 59 委 員 会 では 定 期 接 種 と 任 意 接 種 の 間 で 救 済 制 度 に 差 異 があることを 踏 まえ 今 後 は ワクチン 接 種 以 外 に 原 因 が 見 当 たらない 場 合 等 については 救 済 の 対 象 とするなど 救 済 制 度 の 抜 本 的 な 見 直 しの 必 要 性 について 質 された 厚 生 労 働 省 からは 健 康 被 害 救 済 給 付 の 水 準 は 公 的 関 与 の 度 合 いにより 決 定 され 不 合 理 な 考 え 方 ではない 旨 答 弁 がなされた 60 杉 並 区 で 発 生 した HPVワクチンによる 副 反 応 について 事 実 確 認 厚 生 労 働 省 とし ての 今 後 の 対 応 等 について 質 された 政 府 からは 全 身 が 痛 む 症 状 の 複 合 性 局 所 疼 痛 症 候 群 との 診 断 が 医 師 からなされていること 専 門 家 による 評 価 では 副 反 応 のこれまでの 発 生 状 況 を 踏 まえ 接 種 中 止 等 の 措 置 は 必 要 ないとされている 旨 答 弁 があった 61 さらに HPVワクチンが 他 のワクチンと 比 較 して 重 篤 な 副 反 応 がでやすいとの 報 道 に ついて 確 認 がなされた 政 府 からは 副 反 応 の 報 告 率 では 他 のワクチンと 比 較 して H PVワクチンの 報 告 率 が 高 く また 副 反 応 の 症 状 としては 失 神 意 識 喪 失 気 分 不 快 等 血 管 の 迷 走 神 経 反 射 に 関 連 するものが 多 いとの 答 弁 があった 第 183 回 国 会 参 議 院 厚 生 労 働 委 員 会 会 議 録 第 3 号 ( 平 ) 58 予 防 接 種 制 度 の 見 直 しについて( 第 二 次 提 言 ) ( 平 成 24 年 5 月 23 日 )( 厚 生 科 学 審 議 会 感 染 症 分 科 会 予 防 接 種 部 会 )10 頁 59 同 11 頁 60 第 183 回 国 会 参 議 院 厚 生 労 働 委 員 会 会 議 録 第 3 号 ( 平 ) 61 第 183 回 国 会 衆 議 院 厚 生 労 働 委 員 会 議 録 第 3 号 ( 平 ) 62 第 183 回 国 会 参 議 院 厚 生 労 働 委 員 会 会 議 録 第 2 号 ( 平 ) 17

16 (9)その 他 委 員 会 においては 感 染 症 のサーベイランスを 行 うに 当 たって 全 数 把 握 の 必 要 性 につ いて 質 問 がなされた 政 府 からは 平 成 25 年 4 月 1 日 より 侵 襲 性 インフルエンザ 菌 感 染 症 及 び 侵 襲 性 肺 炎 球 菌 感 染 症 を 感 染 症 法 上 の 全 数 届 出 対 象 疾 病 とすること 一 方 で 水 痘 やおたふくかぜについては 患 者 数 が 多 いため 医 師 に 過 剰 な 負 担 をかけるおそれがあ ることから 引 き 続 き 定 点 報 告 で 発 生 の 推 移 を 把 握 する 旨 答 弁 があった 63 平 成 21 年 の 新 型 インフルエンザ(A/H1N1)の 際 ワクチンが 不 足 したことを 踏 ま え 今 後 の 国 内 ワクチンの 産 業 の 振 興 策 について 質 された 田 村 厚 生 労 働 大 臣 からは 緊 急 経 済 対 策 に 基 づき 平 成 25 年 度 予 算 にワクチン 研 究 の 開 発 推 進 費 として3 億 円 を 計 上 し ワクチン 供 給 体 制 をしっかりと 確 立 する 旨 答 弁 がなされた 64 第 二 次 提 言 でも 触 れられている 母 子 手 帳 予 防 接 種 台 帳 を 活 用 した 未 接 種 者 の 把 握 と 接 種 勧 奨 を 行 うことについて 質 問 がなされた 厚 生 労 働 省 からは 母 子 手 帳 への 記 載 の 励 行 乳 幼 児 検 診 就 学 検 診 の 際 に 確 認 勧 奨 を 徹 底 するとともに 今 後 は 接 種 記 録 の 共 通 フォーマットの 導 入 等 についても 検 討 する 旨 答 弁 があった 65 被 接 種 者 保 護 者 を 始 めとして 国 民 に 予 防 接 種 の 意 義 とリスク 等 十 分 な 情 報 公 開 の 必 要 性 について 質 問 がなされた 厚 生 労 働 省 からは 保 護 者 への 情 報 公 開 については 問 診 時 に 予 防 接 種 の 効 果 通 常 起 こり 得 る 副 反 応 まれに 生 じる 重 い 副 反 応 健 康 被 害 救 済 制 度 について 適 切 に 説 明 を 行 うよう 市 町 村 に 求 めていること 厚 生 労 働 省 のホームペー ジにおいても 情 報 提 供 を 充 実 させていく 旨 答 弁 がなされた 66 さらに HPVワクチンを 定 期 接 種 化 するに 当 たって 添 付 文 書 を 法 的 に 位 置 付 け 重 篤 な 副 作 用 情 報 を 掲 載 する 必 要 性 について 質 問 がなされた 田 村 厚 生 労 働 大 臣 からは H PVワクチンのサーバリックスに 関 して ギラン バレー 症 候 群 67 とADEM( 急 性 散 在 63 第 183 回 国 会 衆 議 院 厚 生 労 働 委 員 会 議 録 第 3 号 ( 平 ) 64 第 183 回 国 会 参 議 院 厚 生 労 働 委 員 会 会 議 録 第 3 号 ( 平 ) 65 同 66 同 67 ギラン バレー 症 候 群 は, 一 般 的 には 細 菌 ウイルスなどによる 上 気 道 の 感 染 や 下 痢 などの 感 染 があり 1~3 週 後 に 両 足 に 力 が 入 らない( 筋 力 低 下 ) や しびれる( 異 常 感 覚 ) などで 発 症 します 筋 力 の 低 下 は 急 速 に 上 方 へ 進 行 し 足 全 体 や 腕 にもおよび 歩 行 時 につまずく 階 段 を 昇 がれない( 運 動 まひ)に 至 るこ とがあります さらに 顔 の 筋 肉 がまひする 食 べ 物 が 飲 み 込 みにくい 声 が 出 にくい 物 が 二 重 に 見 える 呼 吸 が 苦 しいなどの 症 状 も 起 こることもあります これらの 症 状 はピークに 達 するまでは 急 速 に 悪 化 し 時 に は 人 工 呼 吸 器 が 必 要 となることもあります 症 状 が 軽 い 場 合 は 自 然 に 回 復 することもありますが 多 くの 場 合 は 入 院 により 適 切 な 治 療 ( 免 疫 グロブリン 静 注 療 法 や 血 液 浄 化 療 法 など)を 必 要 とします 原 因 として 神 経 症 状 に 先 だつ 感 染 症 がみられる 場 合 もありますが 感 染 症 かどうかはっきりしない 場 合 も 多 く ごくまれでは ありますが 医 薬 品 によっても 同 様 の 症 状 が 現 れることがあります 原 因 医 薬 品 としてはインフルエンザ 肺 炎 球 菌 ポリオなどのワクチンや 肝 炎 治 療 などに 使 用 されるインターフェロン 製 剤 関 節 リウマチなどに 使 用 さ れるペニシラミン 感 染 症 に 使 用 されるニューキノロン 系 抗 菌 薬 HIV 感 染 症 に 使 用 される 抗 ウイルス 化 学 療 法 薬 抗 がん 剤 などが 知 られています 重 篤 副 作 用 疾 患 別 対 応 マニュアル ギラン バレー 症 候 群 ( 平 成 21 年 5 月 )( 厚 生 労 働 省 ) 18

17 性 脳 脊 髄 炎 ) 68 の 症 例 が 集 積 されたことから 平 成 25 年 3 月 26 日 付 けで 添 付 文 書 の 改 訂 を 行 った 旨 答 弁 がなされた 69 いわゆる 里 帰 り 出 産 で 被 接 種 者 が 費 用 健 康 救 済 制 度 等 自 治 体 間 格 差 の 影 響 を 受 ける 問 題 について 自 治 体 間 の 連 携 を 強 化 する 必 要 性 について 質 問 がなされた 厚 生 労 働 省 からは 居 住 地 の 市 町 村 から 里 帰 り 先 の 市 町 村 へ 予 防 接 種 の 実 施 等 を 依 頼 するなどの 配 慮 を 行 うよう 通 知 する 予 定 である 旨 答 弁 がなされた 70 なお 里 帰 り 出 産 問 題 につい ては 参 議 院 厚 生 労 働 委 員 会 において 里 帰 り 出 産 等 により 住 所 地 以 外 で 予 防 接 種 を 受 けた 場 合 に ワクチン 接 種 の 助 成 制 度 等 が 異 なることに 起 因 するいわゆる 里 帰 り 問 題 について 被 接 種 者 及 びその 保 護 者 の 負 担 の 軽 減 や 自 治 体 間 の 格 差 是 正 に 向 けた 取 組 を 推 進 するための 方 策 を 検 討 すること との 附 帯 決 議 が 付 された 71 おわりに 今 回 の 予 防 接 種 法 改 正 は 新 たな 疾 病 の 追 加 予 防 接 種 基 本 計 画 の 策 定 評 価 検 討 組 織 の 関 与 等 広 範 多 岐 にわたり 我 が 国 の 予 防 接 種 行 政 は ワクチン ギャップの 解 消 等 に 向 けて 新 たな 局 面 に 入 ったといえよう また 財 源 等 の 問 題 で 第 二 次 提 言 に 盛 り 込 ま れながら 定 期 接 種 化 が 見 送 られたワクチンの 取 扱 いなど 残 された 課 題 について どのよ うに 対 応 していくのかについても 併 せて 注 視 する 必 要 があろう そのためにも 当 面 厚 生 労 働 省 による 予 防 接 種 基 本 計 画 の 策 定 厚 生 科 学 審 議 会 での 評 価 検 討 について 注 目 し ていきたい (あらい けんじ) 68 急 性 散 在 性 脳 脊 髄 炎 とは 原 因 がはっきりしない 場 合 も 多 いですが ウイルス 感 染 後 あるいはワクチン 接 種 後 などに 生 じる 脳 や 脊 髄 視 神 経 の 疾 病 です 免 疫 力 が 強 くなりすぎて 逆 に 自 分 自 身 の 体 を 攻 撃 する 自 己 免 疫 という 現 象 が 起 きていると 考 えられています 神 経 線 維 を 覆 っている 髄 ずい 鞘 しょうが 破 壊 される 脱 髄 と いう 現 象 が 起 きる 疾 患 です ワクチン 接 種 後 の 場 合 は1 4 週 間 以 内 に 発 生 することが 多 く 発 熱 頭 痛 意 識 が 混 濁 する 目 が 見 えにくい 手 足 が 動 きにくい 歩 きにくい 感 覚 が 鈍 いなどの 症 状 がある 場 合 にはこの 疾 病 の 可 能 性 があります 重 い 後 遺 症 を 残 す 場 合 も 多 く 死 亡 率 も 高 い 疾 患 です 特 にワクチン 接 種 後 の 場 合 は 他 の 場 合 に 比 較 してその 後 の 経 過 が 悪 い 傾 向 があります 重 篤 副 作 用 疾 患 別 対 応 マニュアル 急 性 散 在 性 脳 脊 髄 炎 ( 平 成 23 年 3 月 )( 厚 生 労 働 省 ) 69 第 183 回 国 会 参 議 院 厚 生 労 働 委 員 会 会 議 録 第 3 号 ( 平 ) 70 同 71 同 19

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