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1 効率的な HPLC メソッドの開発手法 基礎から最新手法まで アジレント テクノロジー ( 株 ) Page 1

2 HPLC メソッド開発の流れ メソッドのゴールを決める メソッドのパラメータをスクリーニングする カラム - 固定相の選択 移動相 - 有機溶媒 緩衝液と ph 組成 グラジエント条件 カラム温度 検出条件 スクリーニング結果をもとにメソッドを最適化 メソッドの頑健性を評価 メソッドバリデーション Page 2

3 HPLC メソッド開発で遭遇する問題 カラム 移動相のスクリーニングに時間がかかる 分離 感度 併行精度は OK でも 堅牢性 ( 室内 / 室間再現性 ) で NG スクリーニングのやり直し 経験が頼り 効率的な HPLC メソッド開発のために ロジカルにスクリーニングを行なうことは可能か? カラム 移動相のスクリーニングに必要な基礎知識について スクリーニングやメソッド最適化を自動化できないか? メソッド開発を支援する最新技術について Page 3

4 HPLC メソッド開発のパラメータ ( 分離条件 ) 移動相 緩衝液のpH 有機溶媒 添加剤 カラム 分離モード 結合相 充てん剤の粒径 内径 長さ サンプル 測定対象化合物の性質 溶解性 イオン性 分子量 マトリックス Page 4

5 移動相条件のスクリーニング ( 分離条件 ) 移動相 緩衝液のpH 有機溶媒 添加剤 選択性保持時間の再現性ピーク形状 カラム 分離モード 結合相 充てん剤の粒径 内径 長さ サンプル 測定対象化合物の性質 溶解性 イオン性 分子量 マトリックス Page 5

6 ph によるイオン性化合物の保持の調節 -メソッド開発のキーポイント - 電荷を持たない化合物 ( 解離していない化合物 ) は よく保持されます ( 低 phでの酸性化合物や高 phでの塩基性化合物 ) シリカゲル表面のシラノールは中性領域で解離し 塩基性化合物の保持 を強めます ( イオン交換相互作用 ) 保持と選択性を最適化するために 移動相の ph とカラムを選択します Page 6

7 移動相の ph による溶出挙動 化合物の特性による違い イオン性化合物は phにより電荷状態が変化 - 疎水性が変化するため 保持が変化する 非極性極性イオン性 naphthalene benzyl alcohol benzoic acid acenaphthene nitrobenzene benzanilide ph ph Time (min) Time (min) Time (min) Page 7

8 シラノール基とイオン性化合物の相互作用 イオン交換 SiO _ Na+ + R 3 NH + SiO _ + NHR 3 + Na + 解離したシラノール (SiO - ) は プロトン化した塩基 (R 3 NH + ) とイオン交換相互作用を示し 塩基性化合物のテーリングや分析精度の低下をもたらします この現象は シラノールが解離している中性領域の移動相でよくおこります 水素結合 SiOH + RCOO _ SiO _ H + _ OOCR 解離した酸はシラノールと水素結合による相互作用を示します Page 8

9 スクリーニングのスタートに最適な低 ph 移動相 - そのメリット 酸性化合物は解離していないため 保持が強くなります シラノール基が解離していないため 塩基性化合物とのイオン交換相互作用が小さくなります 良好なピーク形状優れた再現性 利用しやすい緩衝液 添加剤が多くあります 緩衝能のある移動相を使用して低 phの移動相から検討を開始しましょう Page 9

10 低 phの移動相による固定相の2 次相互作用の低減 - 塩基性化合物の分離 カラム :ZORBAX Eclipse XDB-C8, 4.6 x 150 mm, 5μm 移動相 :25 mm Na 2 HPO 4 /ACN = 85/15 流量 : 1.0 ml/min, カラム温度 : 35 試料 :1. Phenylpropanolamine 2. Ephedrine 3. Amphetamine 4. Methamphetamine 5. Phenteramine ph 3.0 USP TF (5%) ph 7.0 USP TF (5%) Time (min) Time (min) 移動相のpHを下げるとピークテーリングの原因となるシラノール基との相互作用を低減できます Page 10

11 低 phの移動相による固定相の2 次相互作用の低減 - 酸性化合物の分離 ph 4.44 ph 3.0 C(CH 3 )HCOOH CH 2 CH(CH 3 ) 2 Ibuprofen pk a = Time (min) Time (min) カラム :ZORBAX SB-C8 4.6 x 150 mm, 5 μm 移動相 :5 mm KH 2 PO 4 / ACN = 40/60 流量 :1.0 ml/min Page 11

12 中性領域の移動相を用いるメソッド 中性領域の移動相を検討するケースは 対象化合物が低 ph で不安定なとき サンプルの溶解性が中性領域で改善されるとき 塩基性化合物の保持を大きくしたいとき ph 3 8 で選択性が改善されるとき 残存シラノールが完全に解離していることを忘れずに! Page 12

13 中性領域の移動相による分離の改善 ZORBAX Eclipse XDB-C18, 4.6 x 75 mm, 3.5 μm ph 3 4 ph Time (min) Time (min) 移動相 :20 mm phosphate buffer/meoh 80/20 流量 :1.0 ml/min カラム温度 : 室温 検出 :UV 254 nm 試料 : 1. Nizatidine 2. Famotidine 3. Cimetidine 4. Pirenzipine Page 13

14 高 ph の移動相を用いるメソッド 高 phの移動相を検討するケースは 対象化合物が酸性 中性では溶解しないとき 対象化合物が酸性 中性では不安定なとき 塩基性化合物を遊離塩基として分析し保持を大きくしたいとき 選択性を改善したいとき 適用可能な充てん剤が限定されます Page 14

15 高 ph の移動相による保持の増加と選択性の改善 抗ヒスタミン剤の分析 ph11 で連続使用可能なシリカ系 ODS カラム : ZORBAX Extend-C18, 4.6 x 150 mm, 5 μm 移動相 : 図中 流量 :1.0 10mL/min カラム温度 : 室温 検出 :UV, 254 nm 試料 : 1. Maleate 2. Scopolamine 3. Pseudoephedrine 4. Doxylamine 5. Chlorpheniramine 6. Triprolidine 7. Diphenhydramine ph 7, 20 mm Na 2 HPO 4 /MeOH=30/ ,3 1 ph 11, 20 mm TEA/MeOH=30/ t 5 R = t R = Time (min) Time (min) サンプル中の塩基性化合物の保持は高 ph で増大し 選択性も変わります Page 15

16 移動相 ( 緩衝液 ) の ph 保持時間 塩基性化化合物の 安定した保持時間と良好なピーク形状 B pk a ± 1.5 A pk a C 充てん剤の耐アルカリ性に留意 保持時間が変動しやすくなります ピーク形状が悪くなることがあります 弱 ph 対象化合物のpKaを考慮して 十分な緩衝能をもつ緩衝液を選択することが重要です Page 16

17 有機溶媒の選択 mau mau カラム : ZORBAX RRHT Eclipse Plus C18, 4.6 x 50 mm, 1.8 μm 移動相 :A; 25 mm NaH 2 PO 4, ph 3.0 B; 有機溶媒 流量 : 2.0 ml/min カラム温度 :30 検出 :UV 240 nm 試料 :1.Pindolol 2. Disopyridamide 3.Propranolol 4.Diltiazem 5. Dipyridamole % ACN 50% MeOH (1,2) の分離度が良好 (2,3), (3,4), (4,5) の分離度が良好ピーク 5 の選択性が ACN と異なる 60 有機溶媒を変えると 溶出力だけでなく溶出力だけでなく 40 選択性も変化します Page 17

18 移動相のスクリーニングでのポイント 化合物の性質 イオン性の有無 pka 溶解性 安定性を考慮します イオン性のある化合物では 残存シラノール基との相互作用を考慮して移動相の ph を検討します 測定する化合物の pka ±1.5 の範囲内の ph では 保持時間の変動やピーク形状の変化が起こりやすくなります 有機溶媒の種類は 溶出強度だけでなく選択性にも影響します Page 18

19 カラムのスクリーニング 移動相 緩衝液のpH 有機溶媒 添加剤 選択性分析時間耐久性ロット間再現性 カラム 分離モード 結合相 充てん剤の粒径 内径 長さ サンプル 測定対象化合物の性質 溶解性 イオン性 分子量 マトリックス Page 19

20 シリカベースのカラムの耐久性と移動相の ph シリカベースの逆相カラムの劣化メカニズムは移動相の ph で異なります 低 ph 領域 化学結合相が加水分解により脱落していきます 加水分解は高温でより早く進行します 加水分解はアルキル鎖の短い化学結合相 (C 3, CN, Ph) でより早く進行します 中性領域から高 ph 領域 シリカが溶解します 溶解はシラノール基が起点となります 移動相の ph 範囲で最も耐久性のあるカラムを選ぶことが重要です Page 20

21 逆相系化学結合相の選択 C18 C8 Phenyl C3 CN 大きな保持を示し 広範囲な化合物に適合します C18に比べて保持は弱いですが 多くの場合選択性は非常に似ています C18 よりも迅速な分析が可能 保持はかなり弱いですがπ-π 相互作用による特異的な選択性が期待できます 疎水性の弱い化合物やC18, C8で回収率の悪い化合物など ( タンパク質 ペプチドの一部 ) に向いています 保持はかなり弱く アルキル基の結合相とは異なる選択性を示します Page 21

22 逆相系化学結合相の選択 シールド型充てん剤 極性基 ( アミド基など ) を含む化学結合相が用いられています 塩基性化合物のテーリングが小さい特性があります C18 C8 とは異なる選択性を有しています AQ タイプ 化学結合相もしくはシリカ表面に特殊な処理を行い 高親水性化合物を 保持しやすくしています 水もしくは緩衝液 100% で使用可能です 極性が大きく異なる化合物の混合物をバランスよく溶出させられます Page 22

23 化学結合相による選択性の違い ZORBAX Eclipse XDB-CN 移動相 : 水 /ACN = 65/ ,5 1 ZORBAX Eclipse XDB-Phenyl 2 移動相 : 水 /ACN = 52/ ZORBAX Eclipse XDB-C8 3 4 移動相 : 水 /ACN = 46/ ZORBAX Eclipse XDB-C18 移動相 : 水 /ACN = 40/ min カラムサイズ : 4.6 x 150 mm, 5 μm 流量 :2 ml/min 試料注入量 :2 μl カラム温度 : 25 検出 :UV, 210 nm 試料 : 1. Estriol ( μg/μl), 2. b-estradiol ( μg/μl), 3. Ethinyl Estradiol ( μg/μl), 4. Dienestrol ( μg/μl), 5. Diethylstilbestrol ( μg/μl) 6. Ethynylestradiol 3-methyl ether ( μg/μl) 7. Ethynodiol Diacetate ( μg/μl) Page 23

24 高速 HPLCを利用したメソッド開発の迅速化 / コストダウン ZORBAX のスケーラビリティ ZORBAX RRHT ( 粒径 1.8 μm) で迅速なメソッド探索 ZORBAX RRHT SB-C18, 4.6 mm 50 mm, 1.8μm コンベンショナル LC 用のカラム ( 粒径 5 μm) に変換 ZORBAX SB-C18, 4.6 mm 150 mm, 5 μm 粒径だけが異なるラインアップをもつカラムファミリーが有効です Page 24

25 カラムのスクリーニングでのポイント 測定する化合物の性質を考慮します スタートは C18 から行なうのが一般的です シラノール基との相互作用が考えられる場合は エンドキャップされている充てん剤か シラノール基との相互作用が起こらない移動相条件で安定な充てん剤を選択します 化学結合相の種類により選択性を大きく変えることが可能です 高速分析用カラムを利用することで所要時間の短縮が可能です ただし カラムの圧損 スケーラビリティに注意が必要です Page 25

26 サンプル調製でのポイント 固形物は必ずろ過してください 必要な定量下限 ( 検出下限 ) が満足できる範囲でできるだけ少量のサンプルを注入してください サンプルの過負荷はカラム効率の低下を招きます サンプルは移動相か移動相にできるだけ近い組成の溶媒に溶解してください サンプル溶媒の組成によってはピークの変形などが起こります 温度や光に敏感な化合物には温度管理や遮光が必要です Page 26

27 注入サンプルの溶媒効果 カラム:ZORBAX SB-C8, 4.6 x 150 mm, 5 μm 移動相 : 水 /ACN=82/18 試料注入量 :30 μl 試料 :1. Caffeine 2. Salicylamide A. 100%ACNに溶解した B. 移動相に溶解した サンプルを注入 サンプルを注入 Time (min) 0 10 Time (min) 移動相より溶出力の強い溶媒で溶解したサンプルを注入するとピーク割れやピークのブロードニングような問題が生じます ク Page 27

28 メソッド開発で遭遇する問題の解決 ロジカルにスクリーニングを行なうことは可能か? できます! メソッドの基本要素 カラム 移動相 サンプルの特性を理解しておくことがポイント スクリーニングやメソッド最適化を自動化できないか? スクリーニング : 検討するパラメータ数が多い 時間がかかる作業です メソッドの最適化 : 条件を変えながら分離度を確認し進めていく 経験が必要な上に時間がかかります 堅牢性試験 : 試験するパラメータが多い 内容は単純ですが時間がかかります Page 28

29 Agilent 1200 LC Method Development Solution Page 29

30 Agilent 1200 LC Method Development Solution システムの概要 最大 12 種類の緩衝液を選択可能 最大 3 種類の有機溶媒を選択可能 最大 8 種類のカラムを選択可能 最大 288 条件を設定可能で 分析条件のスクリーニングを自動化! Page 30

31 さらに進んだメソッド開発の自動化 カラム 移動相のスクリーニングが終わったら スクリーニングの結果から選んだメソッドの最適化 最適と判断したメソッドの頑健性試験 これらを自動化できれば メソッド開発のほとんどを自動化できます Agilent 1200 Method Development Solutionは下記ソフトウェアと連携し さらに進化したメソッド開発の迅速化 自動化を実現します ChromSword Auto AutoChrom Page 31

32 ChromSword Auto の概要 最高の分離メソッドを自動で開発 (Auto モード ) スクリーニング ( 迅速 ) 最適な系を探す分析カラム移動相 (ph, 有機溶媒, 温度 ) 最適な組み合わせを判断 オプティマイズ ( 詳細 ) メソッド最適化アイソクラティック 5~25 回グラジェント 6~10 回 クロマトグラムの予測 (Off -Line モード ) 化合物の構造式 +カラムデータベースから 予備試験結果から Distributed by Page 32

33 ChromSword Auto と Agilent 1200 HPLC HPLCコントロール分析実行 データ取得 メソッドの自動開発 :ChromSword Auto 3.5 頑健性の自動評価 :AutoRobust Agilent 1200 HPLC Distributed by Page 33

34 ChromSword Auto- オプティマイズの一例 分析時間が短く より堅牢なメソッド Distributed by Page 34

35 ChromSword Auto 利点 メソッド開発にかかる時間を劇的に短縮 (1 日 ) より多くのピークを分離 最高の分離メソッド 開発過程の報告書を自動作成 (Word 形式 ) 注意点 メソッド開発の基礎は必要です メソッド開発者による最終的な判断は必要です Distributed by Page 35

36 メソッド開発で遭遇する問題の解決 ロジカルにスクリーニングを行なうことは可能か? できます! メソッドの基本要素 カラム 移動相 サンプルの特性を理解しておくことがポイント スクリーニングやメソッド最適化を自動化できないか? できます! Agilent が最新のソリューションでバックアップ Page 36

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