2017年度税制改正大綱 資産税関連の主な改正点

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相続税・贈与税の基礎と近年の改正点

. 繰越利益等超過純資産控除項目額が発生した事業年度における取扱い () 取扱いの概要 その事業年度において 以下の算式により計算される繰越利益等超過純資産控除項目額がある場合 90% 超要件の分母の金額である配当可能利益の額の計算上 当該金額を控除することとされました ( 算式 ) 繰越利益等超過

[2] 株式の場合 (1) 発行会社以外に譲渡した場合株式の譲渡による譲渡所得は 上記の 不動産の場合 と同様に 譲渡収入から取得費および譲渡費用を控除した金額とされます (2) 発行会社に譲渡した場合株式を発行会社に譲渡した場合は 一定の場合を除いて 売却価格を 資本金等の払戻し と 留保利益の分

土地の譲渡に対する課税 農地に限らず 土地を売却し 譲渡益が発生すると その譲渡益に対して所得税又は法人税などが課税される 個人 ( 所得税 ) 税額 = 譲渡所得金額 15%( ) 譲渡所得金額 = 譲渡収入金額 - ( 取得費 + 譲渡費用 ) 取得後 5 年以内に土地を売却した場合の税率は30

第 5 章 N

2018年度改正 相続税・贈与税外国人納税義務の見直し

Microsoft Word - 第53号 相続税、贈与税に関する税制改正大綱の内容

2. 二世帯住宅と特定居住用宅地等 [1] 区分所有なし : 外階段 / 親族が取得する場合 Q. 被相続人 A が所有する宅地の上に A の所有する建物があり 1 階に A が居住し 2 階に子 B とその家族が居住しています ( 建物内部では行き来ができない構造 ) A と B は別生計です こ

投資法人の資本の払戻 し直前の税務上の資本 金等の額 投資法人の資本の払戻し 直前の発行済投資口総数 投資法人の資本の払戻し総額 * 一定割合 = 投資法人の税務上の前期末純資産価額 ( 注 3) ( 小数第 3 位未満を切上げ ) ( 注 2) 譲渡収入の金額 = 資本の払戻し額 -みなし配当金額

国外転出時課税制度(出国税)の導入

13. 平成 29 年 4 月に中古住宅とその敷地を取得した場合 当該敷地の取得に係る不動産取得税の税額から 1/2 に相当する額が減額される 14. 家屋の改築により家屋の取得とみなされた場合 当該改築により増加した価格を課税標準として不動産 取得税が課税される 15. 不動産取得税は 相続 贈与

経 [2] 証券投資信託の償還 解約等の取扱い 平成 20 年度税制改正によって 株式投資信託等の終了 一部の解約等により交付を受ける金銭の額 ( 公募株式投資信託等は全額 公募株式投資信託等以外は一定の金額 ) は 譲渡所得等に係る収入金額とみなすこととされてきました これが平成 25 年度税制改

Transcription:

2017 年度税制改正大綱資産税関連の主な改正点 Issue 18, December 2016 In brief 自由民主党 公明党両党は 2016 年 12 月 8 日に 平成 29 年度税制改正大綱 ( 以下 2017 年度税制改正大綱 ) を決定しました 企業オーナー及び富裕層に関連する主な項目として 取引相場のない株式の相続税評価の見直し 相続税又は贈与税の納税義務者区分の見直し 広大地の相続税評価の見直し 非上場株式等にかかる相続税 贈与税の納税猶予制度の見直し 相続税の物納に充てることができる財産の順位及び範囲の見直し 外国子会社合算税制の見直し があります 今後は 改正法案が 2017 年 1 月に開催が予定される国会に提出され 2017 年度税制改正の内容が確定することになります なお 今後の審議等の状況によっては 内容に変更がある可能性がありますのでご留意ください In detail 2016 年 12 月 8 日に 2017 年度税制改正大綱が公表されました 以下では 2017 年度税制改正大綱のうち 企業オーナー及び富裕層に影響のある主な改正項目を中心に解説します 1. 取引相場のない株式の相続税評価の見直し 2. 相続税又は贈与税の納税義務者区分の見直し 3. 広大地の相続税評価の見直し 4. 非上場株式等にかかる相続税 贈与税の納税猶予制度の見直し 5. 相続税の物納に充てることができる財産の順位及び範囲の見直し 6. 外国子会社合算税制の見直し www.pwc.com/jp/tax

1. 取引相場のない株式の相続税評価の見直し 取引相場のない株式の相続税及び贈与税の評価について 相続税法の時価主義の下 実態を踏まえて見 直しが行われる見込みです (1) 類似業種比準方式の見直し類似業種比準方式の類似業種の上場株価 上場会社の決算対象 ( 連結または単体 ) 配当 利益 簿価純資産の比重について見直しが行われる見込みです この改正は 2017 年 1 月 1 日以後の相続等により取得した財産の評価に適用される予定です < : 類似業種比準方式 > 1 株あたり類似業種比準価額 = 類似業種の株価 1 評価会社の配当類似業種の 配当 2 + 評価会社の評価会社の利益簿価純資産 3 類似業種の + 類似業種の利益 2 3 簿価純資産 1 株あたり 2 斟酌率 資本金等の額 5 50 円 1 類似業種の上場会社の株価について の規定に 課税時期の属する月以前 2 年間平均 加わります 2 類似業種の上場会社の配当金額 利益金額及び簿価純資産価額が 連結決算を反映させたもの とされます 3 配当金額 利益金額及び簿価純資産価額の比重について の 1:3:1 が 1:1:1 に変更されます 1 上場株価の対象 2 上場標本会社の決算対象 3 配当 : 利益 : 簿価純資産の比率 課税時期の前月 前々月 前々月の前月 前年平均課税時期の属する月以前 2 年間平均を追加 連結決算を反映しない 1:3:1 連結決算を反映する 1:1:1 (2) 会社規模区分の大会社及び中会社の範囲の拡大取引相場のない株式の原則的評価において評価方式を決定する際に用いる会社規模区分の基準について 大会社及び中会社の適用範囲が総じて拡大される見込みです この改正は 2017 年 1 月 1 日以後の相続等により取得した財産の評価に適用される見込みです < : 適用される評価方式決定のための会社規模の判定 > < > 大会社及び中会社の適用範囲が総じて拡大される見込み どちらか下位の区分 どちらか上位の区分 2

(3) 株式保有特定会社の判定基準の見直し株式保有特定会社の判定について 通達では 株式及び出資 の価額の合計額を分子にカウントする旨の内容となっていますが 新株予約権付社債 は株価と連動して価額が形成されるものであることから 上記の判定上の分子に 新株予約権付社債 が新たに加えられる見込みです この改正は 2018 年 1 月 1 日以後の相続等により取得した財産の評価において適用される見込みです 2. 相続税又は贈与税の納税義務者区分の見直し相続税又は贈与税の納税義務者の判定について 下記の改正が見込まれています 国内に住所を有しない者であって日本国籍を有する相続人等にかかる相続税又は贈与税の納税義務について 国外財産が相続税又は贈与税の課税対象外とされる要件が 被相続人等及び相続人等が相続開始又は贈与開始前 10 年 ( :5 年 ) 以内のいずれの時においても国内に住所を有したことがないこととされます < 相続税又は贈与税の納税義務者区分 > なお 上記の改正の他 一時的に日本に住所を有する外国人同士の相続等 ( 下記の例 123 参照 ) については 国外財産を相続税又は贈与税の対象外とする旨の改正の行われる見込みです これにより 高度外国人材等の受け入れの促進につながることが期待されています 例 1 例 2 例 3 : 日本に企業内転勤等により単身赴任で在留している外国人が在留中に死亡した場合 : 日本に企業内転勤等により家族帯同で在留している外国人が在留中に死亡した場合 : 日本に企業内転勤等により在留している外国人の親族等が外国で死亡した場合 一方で 国内に住所を有せず かつ 日本国籍を有しない相続人等が 過去 10 年以内に日本に住所を有していた者 ( 一時的滞在をしていた外国人 ( 日本国籍のない者で 過去 15 年以内において国内に住所を有していた期間の合計が 10 年以下の者 ) を除く ) から相続又は贈与により取得した国外財産が課税の対象に追加されます 上記の改正は 2017 年 4 月 1 日以後に相続もしくは遺贈又は贈与により取得する財産にかかる相続税又は 贈与税について適用される見込みです 3

3. 広大地の相続税評価の見直し 広大地の評価について 相続税法の時価主義の下 の面積に比例的に減額する評価方法から 各土 地の個性に応じて形状 面積に基づき評価する方法に見直されるとともに 適用要件が明確化される見込み です 広大地の評価方法 路線価 面積 広大地補正率 ( 注 1) 路線価 面積 補正率 ( 注 2) 規模格差補正率 ( 注 3) ( 注 1) 広大地補正率 =0.6-0.05 広大地の面積 /1,000 m2 ( 下限値は 0.35) ( 注 2) 形状 ( 不整形 奥行 ) を考慮した補正率 ( 注 3) 面積を考慮した補正率 上記の改正は 2018 年 1 月 1 日以後の相続等により取得した財産の評価に適用される見込みです 4. 非上場株式等にかかる相続税 贈与税の納税猶予制度の見直し経営承継相続人等が 相続等により非上場会社の株式等を先代経営者である被相続人から取得し その会社を経営していく場合に係る相続税 贈与税の納税猶予制度について 以下のとおり見直しが行われる見込みです (1) 相続時精算課税制度に係る贈与の追加相続時精算課税制度に係る贈与は では贈与税の納税猶予制度の適用対象外ですが 贈与税の納税猶予制度の適用対象に加えられる ( 併用を認める ) 見込みです なお 適用の詳細については現時点では明らかにされていません (2) 雇用確保要件の緩和等災害による被害を受けた場合や主要取引先の倒産等により売上が減少した場合の雇用確保要件が免除 緩和されます さらに 被害を受けた会社が破産等した場合には 経営承継期間内であっても猶予税額が免除されることとなる見込みです (3) 贈与者死亡時の要件の緩和非上場株式等の贈与者が死亡した場合の相続税の納税猶予制度における認定相続承継会社の要件について 中小企業者であること及び当該会社の株式等が非上場株式等に該当することとする要件が撤廃される見込みです 相続時精算課税適用者の納税猶予制度の適用 相続時精算課税制度にかかる贈与は贈与税の納税猶予制度の適用対象外 相続時精算課税制度にかかる贈与は贈与税の納税猶予制度の適用対象に加えられ 併用が可能となる 雇用確保要件 災害等についての手当なし 災害等により会社の総資産の 30% 以上が被害を受けた場合や 被災した事業所で雇用されていた従業員数が全体の 20% 以上である場合等 被害の態様に応じて雇用確保要件が免除される また 一定の災害等 ( 主要取引先の倒産等を含む ) の発生後 6 か月間の売上高が 70% 以下に落ち込んだ場合にも 雇用確保要件が免除 緩和される 贈与者が死亡した場合の認定相続承継会社の要件 中小企業者であること 非上場株式等に該当すること 左記の要件が撤廃される ( 贈与者死亡時においては上場会社となっていることも認められる ) 4

上記 (1)(2)(3) の改正は 2017 年 1 月 1 日以後に相続もしくは遺贈又は贈与により取得する財産にかかる相 続税又は贈与税について適用されるとともに 所要の経過措置が講じられる見込みです 5. 相続税の物納に充てることができる財産の順位及び範囲の見直し相続税の物納に充てることができる財産の順位について 株式 社債及び証券投資信託等の受益証券のうち金融商品取引所に上場されているもの等を国債及び不動産等と同順位 ( 第一順位 ) とし また 物納財産の範囲に投資証券等のうち金融商品取引所に上場されているもの等が加えられ これらについても第一順位とされます なお 2017 年度税制改正大綱では 本改正の適用開始時期については明確に触れられていません < 物納財産の種類と順位 > 物納に充てる順位 物納に充てることができる財産の種類 第 1 順位 第 2 順位 国債 地方債 不動産 船舶 株式 社債 証券投資信託または貸付信託の受益証券 国債 地方債 不動産 船舶 株式 社債及び証券投資信託等の受益証券のうち金融商品取引所に上場されているもの等 投資証券等のうち金融商品取引所に上場されているもの等 (J-REIT など ) 社債 株式 証券投資信託または貸付信託の受益証券 ( 上記第 1 順位以外のもの ) 第 3 順位 動産 動産 6. 外国子会社合算税制の見直し我が国のの外国子会社合算税制の仕組みは 2010 年度税制改正により導入された 従前の法人単位の課税 ( エンティティアプローチ ) に資産性所得課税制度を取り入れたハイブリッド型 ( 法人単位の課税制度をベースに所得種類による課税を取り込む ) といえるものです 2017 年度税制改正では 外国子会社の所得の種類等に応じた合算課税により重心をおいた制度とする大幅な改正が行われる見込みです 具体的には 合算課税の所得を 1 会社単位の合算制度 2 特定の外国関係会社に係る会社単位の合算課税制度 3 一定所得の部分合算課税制度の 3 つに区分して計算し 1 及び3の適用については 納税者の事務負担軽減措置として子会社の居住地国の租税負担割合の基準が設けられています 上記の改正は 外国関係会社の 2018 年 4 月 1 日以後に開始する事業年度から適用される見込みです 5

Let s talk より詳しい情報 または個別案件への取り組みにつきましては 当法人の貴社担当者もしくは下記までお問い合わせください 税理士法人 100-6015 東京都千代田区霞が関 3 丁目 2 番 5 号霞が関ビル 15 階電話 : 03-5251-2400( 代表 ) Email: pwcjapan.taxpr@jp.pwc.com www.pwc.com/jp/tax パートナー小林和也 03-5251-2752 kazuya.kobayashi@jp.pwc.com パートナー遠藤浩二郎 03-5251-2443 kojiro.endo@jp.pwc.com ディレクター望月文太 080-3592-6071 bunta.b.mochizuki@jp.pwc.com シニアマネージャー深田かおり 080-4104-5412 kaori.fukada@jp.pwc.com シニアマネージャー塩谷洋子 080-3592-6068 yoko.shionoya@jp.pwc.com マネージャー佐々木真美 080-3592-6111 mami.sasaki@jp.pwc.com マネージャー山内良 080-4104-5423 ryo.yamauchi@jp.pwc.com マネージャー林雄高 080-4104-5418 yutaka.y.hayashi@jp.pwc.com マネージャー中村竹夫 080-4104-5493 takeo.t.nakamura@pwc.com 税理士法人は のメンバーファームです 公認会計士 税理士など約 590 人を有する日本最大級のタックスアドバイザーとして 法人 個人の申告をはじめ 金融 不動産関連 移転価格 M&A 事業再編 国際税務 連結納税制度など幅広い分野において税務コンサルティングを提供しています は 社会における信頼を築き 重要な課題を解決することを Purpose( 存在意義 ) としています 私たちは 世界 157 カ国に及ぶグローバルネットワークに 223,000 人以上のスタッフを有し 高品質な監査 税務 アドバイザリーサービスを提供しています 詳細は www.pwc.com をご覧ください 本書は概略的な内容を紹介する目的のみで作成していますので プロフェッショナルによるコンサルティングの代替となるものではありません 2016 税理士法人無断複写 転載を禁じます とはメンバーファームである 税理士法人 または日本における メンバーファームおよび ( または ) その指定子会社または のネットワークを指しています 各メンバーファームおよび子会社は 別組織となっています 詳細は www.pwc.com/structure をご覧ください 6