て 労働者派遣契約書に休業手当等の支払いに要する費用を確保するための費用負担等に関する事項を記載していないもの (1 派遣元事業所 ) ウ派遣料金額の明示派遣労働者に対して 書面の交付 ファクシミリを利用してする送信又は電子メールの送信の方法により労働者派遣に関する料金の額を明示していないもの (5

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施行規則 という ) 第 18 条の2 第 1 項 ) ウ待遇に関する事項等の説明派遣労働者として就業しようとする労働者が安心 納得して働くことができるようにするためには 実際に就労した際の賃金額の見込み等を事前に把握することが必要である そのため 派遣元事業主に対し 派遣労働者として雇用しようとす

の業務について派遣先が九の 1 に抵触することとなる最初の日 六派遣先への通知 1 派遣元事業主は 労働者派遣をするときは 当該労働者派遣に係る派遣労働者が九の 1の ( 二 ) の厚生労働省令で定める者であるか否かの別についても派遣先に通知しなければならないものとすること ( 第三十五条第一項関係

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要領統一型紙

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第 7 派遣元事業主の講ずべき措置等 派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針 ( 平成 11 年労働省告示第 137 号 ) ( 最終改正平成 29 年厚生労働省告示第 210 号 ) 第 1 趣旨この指針は 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律 ( 以下 労働者派遣法

派遣先の皆さまへ 派遣社員を受け入れるときの主なポイント 労働者派遣の流れ 労働者 派遣元事業主 派遣先 派遣登録 ( 登録型派遣の場合 ) 適切な事業運営 派遣依頼 抵触日通知 1 期間制限チェック事業所単位 個人単位の期間制限を理解している労働契約申込みみなし制度を理解している 2 派遣契約の締

前書き 近年 景気低迷の長期化による企業経営の合理化 サービス経済化の進展 女性の就業意欲の高まり等により 雇用 就業形態が多様化している 非正規雇用労働者については 厚生労働省が 非正規雇用問題に横断的に取り組むために 望ましい働き方ビジョン ( 平成 24 年 3 月 ) を取りまとめており 正

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等により明示するように努めるものとする ( 就業規則の作成の手続 ) 第 7 条事業主は 短時間労働者に係る事項について就業規則を作成し 又は変更しようとするときは 当該事業所において雇用する短時間労働者の過半数を代表すると認められるものの意見を聴くように努めるものとする ( 短時間労働者の待遇の原

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雇用管理分野における個人情報のうち健康情報を取り扱うに当たっての留意事項 第 1 趣旨 この留意事項は 雇用管理分野における労働安全衛生法 ( 昭和 47 年法律第 57 号 以下 安衛法 という ) 等に基づき実施した健康診断の結果等の健康情報の取扱いについて 個人情報の保護に関する法律についての

Press Release 参考配布 平成 30 年 10 月 5 日 照会先 職業安定局需給調整事業課課長 牛島 聡 主任中央需給調整事業指導官新田峰雄 課長補佐 冨田英晴 ( 代表電話 )03(5253)1111( 内線 ) ( 直通電話 )03(3502)5227 常時雇用す

雇用政策の現状・課題と労働者派遣制度

平成 27 年改正の概要 ( サマリー ) 一般労働者派遣事業 ( 許可制 ) 特定労働者派遣事業 ( 届出制 ) 26 業務 期間制限なし 26 業務以外 原則 1 年 意見聴取により最長 3 年まで 規定なし 規定なし 1. 許可制への統一 2. 派遣契約の期間制限について すべての労働者派遣事

株式会社フロンティアビジネス 別紙 1 1 処分内容 (1) 労働者派遣法第 21 条第 2 項に基づく労働者派遣事業停止命令 ( 労働者派遣事業停止命令の内容は 3 のとおり ) (2) 労働者派遣法第 49 条第 1 項に基づく労働者派遣事業改善命令 ( 労働者派遣事業改善命令の内容は 4 のと

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シルバー派遣事業のご利用を検討されているお客様へ Ⅰ 労働者派遣事業と請負の違いについて 労働者派遣と請負の違いについて 労働者派遣 労働者派遣契約 請負 請負契約 センター派遣先センター発注者 雇用契約指揮命令センターの指揮命令なし 派遣労働者 構成員 シルバー会員 雇用主は派遣会社 派遣先が派遣

Ⅰ 事業規制の強化

厚生労働省 大阪労働局 Press Release 大阪労働局需給調整事業部担大阪労働局発表需給調整事業第二課長菊池みゆき平成 30 年 3 月 29 日当主任需給調整指導官浅田雅彦電話 いわゆる違法な 二重派遣 を行っていた派遣元事業主に対する行政処分について ~ 大阪労

025 of 訪問介護員のための魅力ある就労環境づくり

第 6 労働者派遣契約 第 6 労働者派遣契約 1 意義 (1) 法第 26 条にいう 労働者派遣契約 は 契約の当事者の一方が 相手方に対し労働者派遣することを約する契約 であり 当事者の一方が労働者派遣を行う旨の意思表示を行いそれに対してもう一方の当事者が同意をすること又は当事者の一方が労働者派

個人情報の保護に関する規程(案)

●労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律等の一部を改正する法律案

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(2) 特定機関からの報告の受理及び聴取に関すること (3) 特定機関に対する監査に関すること (4) 外国人家事支援人材の保護に関すること (5) 特定機関において外国人家事支援人材の雇用の継続が不可能となった場合の措置に関すること (6) その他 本事業の適正かつ確実な実施のために必要なこと 3

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神奈川労働局 担職業安定部需給調整事業課厚生労働省課長柳田進一神奈川労働局発表課長補佐児玉満平成 30 年 4 月 26 日当主任需給調整指導官寶和代電話 F A X 派遣元事業主に対する労働者派遣事業停止命令及び労働者派遣事業改善命令について神奈

Microsoft Word - 別添 報告書

改正労働者派遣法 平成24年10月1日施行

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法律 ) 及び派遣元指針 ( 派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針 ) 派 遣先指針 ( 派遣先事業主が講ずべき措置に関する指針 ) が定められ 派遣元と派遣先がそれぞれ講ずるべき措置等を示しています 派遣労働は 労働者の契約形態によって 常用型 と 登録型 の二つに分けられます 登録型派遣労働者

2 正社員 契約社員 アルバイトの場合 ( 直接雇用の場合 ) 賃金の支払い仕事上の指揮命令 直接雇用の場合 労働者と労働契約を結ぶのは ( 雇用主は ) 労働者派遣とは 自己の雇用する労働者を その雇用関係の下に 他人の指揮命令を受けて その他人のために労働に従事させることをいいます 直接雇用の場

事業者が行うべき措置については 匿名加工情報の作成に携わる者 ( 以下 作成従事者 という ) を限定するなどの社内規定の策定 作成従事者等の監督体制の整備 個人情報から削除した事項及び加工方法に関する情報へのアクセス制御 不正アクセス対策等を行うことが考えられるが 規定ぶりについて今後具体的に検討

特定個人情報の取扱いに関する管理規程 ( 趣旨 ) 第 1 条この規程は 特定個人情報の漏えい 滅失及び毀損の防止その他の適切な管理のための措置を講ずるに当たり遵守すべき行為及び判断等の基準その他必要な事項を定めるものとする ( 定義 ) 第 2 条 この規定における用語の意義は 江戸川区個人情報保

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れている者 個人事業所で5 人以上の作業員が記載された作業員名簿において 健康保険欄に 国民健康保険 と記載され 又は ( 及び ) 年金保険欄に 国民年金 と記載されている作業員がある場合には 作業員名簿を作成した下請企業に対し 作業員を適切な保険に加入させるよう指導すること なお 法人や 5 人

 

労働者派遣制度の概要 1

労働者派遣とは て その他人のために労働に従事させることをいいます 正社員 契約社員 アルバイトの場合 ( 直接雇用の場合 ) 賃金の支払い仕事上の指揮命令 派遣の場合派遣契約 A 社派遣先 A 社約労働者派遣とは 自己の雇用する労働者を その雇用関係の下に 他人の指揮命令を受け 働契勤務労労働者

指針に関する Q&A 1 指針の内容について 2 その他 1( 特許を受ける権利の帰属について ) 3 その他 2( 相当の利益を受ける権利について ) <1 指針の内容について> ( 主体 ) Q1 公的研究機関や病院については 指針のどの項目を参照すればよいですか A1 公的研究機関や病院に限ら

平成 29 年度定期監査 ( 第 1 回 ) の結果報告に基づき講じた措置内容等 墨田区長 監査委員意見について 監 査 結 果 の 内 容 措 置 内 容 (1) 事務処理の適正化について今回の監査では指摘事項に該当する事例はなかったものの 指導 注意事項の事例については これまでの重ねての指摘に

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(2) 総合的な窓口の設置 1 各行政機関は 当該行政機関における職員等からの通報を受け付ける窓口 ( 以下 通報窓口 という ) を 全部局の総合調整を行う部局又はコンプライアンスを所掌する部局等に設置する この場合 各行政機関は 当該行政機関内部の通報窓口に加えて 外部に弁護士等を配置した窓口を

(3) 始業 終業時刻が労働者に委ねられることの明確化裁量労働制において 使用者が具体的な指示をしない時間配分の決定に始業及び終業の時刻の決定が含まれることを明確化する (4) 専門業務型裁量労働制の対象労働者への事前通知の法定化専門業務型裁量労働制の導入に当たり 事前に 対象労働者に対して 1 専

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題名

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者が負う民事上の安全配慮義務の履行であり そのために必要な心身の状態の情報を適正に収集し 活用する必要がある 一方 労働者の個人情報を保護する観点から 現行制度においては 事業者が心身の状態の情報を取り扱えるのは 労働安全衛生法令及びその他の法令に基づく場合や本人が同意している場合のほか 労働者の生

大阪労働局発表

( 内部規程 ) 第 5 条当社は 番号法 個人情報保護法 これらの法律に関する政省令及びこれらの法令に関して所管官庁が策定するガイドライン等を遵守し 特定個人情報等を適正に取り扱うため この規程を定める 2 当社は 特定個人情報等の取扱いにかかる事務フロー及び各種安全管理措置等を明確にするため 特

規定例 ( 育児 介護休業制度 ) 株式会社 と 労働組合は 育児 介護休業制度に関し 次 のとおり協定する ( 対象者 ) 育児休業の対象者は 生後満 歳に達しない子を養育するすべての従業員とする 2 介護休業の対象者は 介護を必要とする家族を持つすべての従業員とする 介護の対象となる家族の範囲は

1 適用範囲 対象事業場 対象となる事業場は 労働基準法のうち労働時間に係る規定 ( 労働基準法第 4 章 ) が適用される 全ての事業場です 対象労働者 対象となる労働者は 労働基準法第 41 条に定める者及びみなし労働時間制が適用される労働者 ( 事業場外労働を行う者にあっては みなし労働時間制

乙に対し 当該派遣受入期間制限に抵触することとなる最初の日 ( 以下 抵触日 という ) を書面の交付等により通知するものとする 個別契約の締結後に 甲において派遣受入期間を定め 又はこれを変更する場合も その都度 乙に対して 同様の方法により抵触日の通知をするものとする 2 甲は 前項の派遣受入期

14個人情報の取扱いに関する規程

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目次 問 1 労使合意による適用拡大とはどのようなものか 問 2 労使合意に必要となる働いている方々の 2 分の 1 以上の同意とは具体的にどのようなものか 問 3 事業主の合意は必要か 問 4 短時間労働者が 1 名でも社会保険の加入を希望した場合 合意に向けての労使の協議は必ず行う必要があるのか

2 安全衛生教育の実施等 () 6 派遣労働者を雇い入れたときに雇入れ時の安全衛生教育を行 はい いいえ っています () 7 派遣労働者の派遣先事業場を変更するなど 作業内容を変更 はい いいえ したときは 当該派遣労働者に対し 作業内容変更時の安全 衛生教育を行っています ()() 8 6 及び

2 低入札対策の拡充

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労働者派遣基本契約書

一般社団法人送電線建設技術研究会関西支部社会保険等の加入促進計画 1. はじめに 平成 27 年 4 月 24 日制定 建設産業においては 健康保険 厚生年金保険及び雇用保険 ( 以下 社会保険等 という ) の 1 法定福利費を適正に負担しない企業が存在し 技能労働者の医療 年金など いざというと

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派遣添付書類一覧(30年1月訂正)

問 1-2 法第 5 条の3 第 1 項で義務付けられている労働条件明示は いつまでに行わなければならないのか 労働条件明示は 求職者等と最初に接触する時点までに 労働条件に関する全ての事項を明示することが原則です 指針第 3の1(4) イ 例えば ホームページへの募集要項の掲載や求人広告の掲載等を

特定個人情報の取扱いの対応について

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会社概要 株式会社東海道シグマ設立 1987 年 12 月資本金 5000 万円代表者代表取締役会長平澤力代表取締役副会長平澤繁樹代表取締役社長松村構三本社所在地 : 静岡市葵区御幸町 8-1 JADEビル5F 派遣依頼窓口 静岡支店 静岡市葵区御幸町 8 1 J

また 立入調査は 市職員又は市長が委任した者が行い 調査者については身分等を示す証明書を携帯し 関係者からの請求があった場合は提示しなければならないため 立入調査員証 ( 様式第 2 号 ) により身分を証明するものとします 参考 < 基本指針 > 一 7(p.12~13) <ガイドライン> 第 3

社会福祉法人○○会 個人情報保護規程

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はじめてのマイナンバーガイドライン(事業者編)

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役務契約における労働社会保険諸法令遵守状況確認実施方針

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目次 Ⅰ 労働者派遣事業の許可制への一本化 2 Ⅱ 労働者派遣の期間制限の見直し 4 Ⅲ キャリアアップ措置 14 Ⅳ 均衡待遇の推進 17 Ⅴ 労働契約申込みみなし制度 19 Ⅵ その他の内容

第 8 条を削り, 第 9 条を第 8 条とし, 第 10 条から第 12 条までを 1 条ずつ繰り上げる 別記第 1 号様式を次のように改める

MR通信H22年1月号

基発 第 16 号 平成 30 年 12 月 28 日 都道府県労働局長殿 厚生労働省労働基準局長 ( 公印省略 ) 働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律による改正後の 労働安全衛生法及びじん肺法関係の解釈等について 働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法

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二の徹底等1派遣元事業主は 第七条第一項第一号の厚生労働省令で定める場合を除き 各事業年度(その期間が一年を超える場合には当該期間をその開始の日以後一年ごとに区分した各期間 事業年度が設けられていない場合には各年)において 労働者派遣の役務について厚生労働省令で定めるところにより計算した量に関し 一

第 4 条 ( 取得に関する規律 ) 本会が個人情報を取得するときには その利用目的を具体的に特定して明示し 適法かつ適正な方法で行うものとする ただし 人の生命 身体又は財産の保護のために緊急に必要がある場合には 利用目的を具体的に特定して明示することなく 個人情報を取得できるものとする 2 本会

外部通報処理要領(ホームページ登載分)

(2)3 年以内の有期プロジェクト型業務 ( 同項第 2 号イ ) 事業の開始 転換 拡大 縮小または廃止のために必要な業務で 一定期間内で完了することが予定されている業務への派遣については その業務が完了するまでの期間であれば 受入期間の制限はありません (3) 日数限定業務 ( 同項第 2 号ロ

個人情報保護規程

( 様式第 1 号 ( 共通 )) 共通事項 1 キャリアアップ管理者 情報 ( 氏名 ): 役職 ( 配置日 ): 年月日 2 キャリアアップ管理者 の業務内容 ( 事業所情報欄 ) 3 事業主名 印 4 事業所住所 ( - ) 5 電話番号 ( ) - 6 担当者 7 企業全体で常時雇用する労働

特定個人情報の取扱いの対応について

Transcription:

1 派遣元事業所における労働者派遣法の遵守の徹底 制度の概要 労働者派遣事業は 自己の雇用する労働者を当該雇用関係の下に かつ 他人の指揮命令を受けて当該他人のために労働に従事させることを業として行うものであり 登録型の労働者などを派遣する 一般労働者派遣事業 と常時雇用される労働者だけを派遣する 特定労働者派遣事業 がある 派遣労働者については 昭和 60 年に労働力の需給調整を図るための制度として 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律 ( 昭和 60 年法律第 88 号 ) が制定され 翌年の施行以降 数次の制度改正が行われており 平成 24 年には 労働者派遣事業の規制の強化 有期雇用の派遣労働者等の雇用の安定 派遣労働者の待遇の改善 違法派遣に対する迅速 的確な対処等を主眼として大幅な法改正が行われ 平成 24 年 10 月 1 日から施行されている 同改正では 第 1 条の目的条文に派遣労働者の保護を明記するとともに 法律名も 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律 ( 以下 労働者派遣法 という ) に改められた また 労働者派遣法のほか 派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針 ( 平成 11 年労働省告示第 137 号 以下 派遣元指針 という ) において 派遣元事業主が講ずべき措置の適切かつ有効な実施を図るために必要な事項が定められている 平成 24 年改正法に係る遵守事項及び平成 24 年改正法前からの遵守事項は 次のとおりである 1 平成 24 年改正法に係る遵守事項については 派遣労働者の保護と雇用の安定を図るため ⅰ) マージン率等の情報提供 ( 労働者派遣法第 23 条第 5 項 ) ⅱ) 派遣先の都合で労働者派遣契約を解除するときに講ずべき措置 ( 労働者派遣法第 29 条の2) ⅲ) 均衡待遇の確保 ( 労働者派遣法第 30 条の2) ⅳ) 派遣料金の額の明示 ( 労働者派遣法第 34 条の2) ⅴ) 派遣労働者が期間を定めないで雇用する労働者であるか否かを派遣先への通知事項に追加 ( 労働者派遣法第 35 条 ) などが新たに定められた 2 平成 24 年改正法前からの遵守事項については 労働者派遣契約の締結 ( 労働者派遣法第 26 条第 1 項 ) 就業条件等の明示( 労働者派遣法第 34 条 ) 派遣元責任者の選任( 労働者派遣法第 36 条 ) 及び派遣元管理台帳の作成 ( 労働者派遣法第 37 条 ) などが定められているほか 労働者派遣事業に係る各規定を遵守することとされている 調査結果 今回 当事務所が 石川県内の 155 一般労働者派遣事業所 ( 平成 25 年 11 月 30 日現在 ) の中から 10 事業所を抽出し 派遣元事業所が講ずべき事項の遵守状況について調査した結果 労働者派遣法の趣旨が十分に理解されていないことなどから 次のような不適切な状況がみられた (1) 平成 24 年改正法に係る遵守事項について 次のような不適切な事例が認められた アマージン率等の情報提供労働者派遣法により情報提供が義務付けられているマージン率等の情報について 必要とされる全ての事項が提供されておらず 派遣労働者による派遣元事業主の適切な選択や待遇改善等につながらないとみられるもの (5 派遣元事業所 ) イ派遣労働者の雇用の安定を図るための措置労働者派遣契約の解除に当たって講ずる派遣労働者の雇用安定を図るための措置につい 1

て 労働者派遣契約書に休業手当等の支払いに要する費用を確保するための費用負担等に関する事項を記載していないもの (1 派遣元事業所 ) ウ派遣料金額の明示派遣労働者に対して 書面の交付 ファクシミリを利用してする送信又は電子メールの送信の方法により労働者派遣に関する料金の額を明示していないもの (5 派遣元事業所 ) エ派遣先への通知派遣先に対し 派遣労働者が期間を定めないで雇用する労働者であるか否かの別を通知していないもの (5 派遣元事業所 ) なお 今回 当事務所が派遣労働者に対し 就労条件や処遇等に関する意見を聴取した結果によると 派遣先の労働者と比較した場合に納得できないと感じているものとして 定期健康診断の実施や定期的な昇給としているものがみられたほか 派遣労働者の保護の仕組みや労働者派遣法の改正内容については詳しく承知していない状況もみられた (2) 平成 24 年改正法前からの遵守事項について 次のような不適切な事例が認められた ア労働者派遣契約の締結 1 労働者派遣契約書に派遣就業する日を記載していないもの (1 派遣元事業所 ) 2 派遣就業の開始及び終了の時刻を具体的に記載していないもの (2 派遣元事業所 ) 3 時間外労働をさせることができる時間数を記載していないもの (1 派遣元事業所 ) 4 契約の更新が自動的に行われる定めとなっており 労働者派遣の期間を設定していると評価できないもの (1 派遣元事業所 ) イ就業条件等の明示 1 就業条件明示書に労働者派遣をしようとする旨を記載していないもの (1 派遣元事業所 ) 2 派遣就業する日を記載していないもの (2 派遣元事業所 ) 3 派遣就業の開始及び終了の時刻を具体的に記載していないもの (1 派遣元事業所 ) 4 安全及び衛生に関する事項を記載していないもの (1 派遣元事業所 ) 記載はあるものの 具体的に示していないもの (4 派遣元事業所 ) 5 派遣労働者から苦情の申出を受けた場合の苦情処理に関する事項を記載していないもの (1 派遣元事業所 ) 6 休日労働をさせることができる日 時間外労働をさせることができる時間数を記載していないもの (1 派遣元事業所 ) ウ派遣先への通知 1 社会保険及び雇用保険の被保険者資格取得届が提出されていない具体的な理由を通知していないもの (3 派遣元事業所 ) 2 派遣労働者が 45 歳以上であるにもかかわらず その旨を通知していないもの (1 派遣元事業所 ) エ派遣元管理台帳の作成 記載 1 始業及び終業の時刻を記載していないもの (1 派遣元事業所 ) 2 社会保険及び雇用保険の被保険者資格取得届が提出されていない具体的な理由を記載していないもの (3 派遣元事業所 ) 2

オ派遣労働者の特定を目的とする行為 1 労働者派遣契約の締結前に 派遣労働者の氏名 経歴等を記載した略歴書を派遣先事業所に提示しているもの (2 派遣元事業所 ) 2 労働者派遣契約書に派遣労働者の氏名が記載されており 派遣労働者を特定した労働者派遣契約となっているもの (1 派遣元事業所 ) カ労働者派遣事業報告書労働者派遣事業報告書の提出期限が遵守されていないもの (3 派遣元事業所 ) (3) 石川労働局の指導監督状況石川労働局は 業務の適正な運営を確保するため 派遣元事業所に対し 労働者派遣法第 48 条第 1 項に基づき集団指導 ( 労働者派遣事業に係る研修会等 ) 及び定期指導 ( 訪問又は呼出による個別指導 ) を実施している 平成 24 年度は 77 派遣元事業所に対して定期指導を行っており その結果 労働者派遣法違反を確認した 54 事業所 (70.1%) に対し是正指導を行っている なお 石川労働局は 派遣先事業所に対しても集団指導及び定期指導を行っており 平成 24 年度は 42 派遣先事業所に対して定期指導を実施し 35 事業所 (83.3%) に対し是正指導を行っている 一方 石川労働局は 指導監督状況の取りまとめ結果について公表等を行っていないため 定期指導を受けていない事業所は 同局が指摘した是正指導事項について分からない状況となっている (4) 自主点検表の活用派遣元事業所は 自らの責任において労働者派遣事業を実施しており 事業運営に当たっては 定期的な自主点検を実施し 関係法令等の遵守状況を確認することが事業所のみならず 関係法令等によって保護される派遣労働者にとっても有益であると考えられる 石川労働局は 平成 25 年度に派遣先事業所に対する自主点検表 ( 派遣労働者の受入れチェックリスト ) を作成し 派遣先事業所を対象にした集団指導において配布しているが 派遣元事業所に対しては自主点検表等の作成 配布を行っておらず 調査対象 10 派遣元事業所でも 定期的な自主点検は行っていないとしている 所見 したがって 石川労働局は 労働者派遣法の遵守 派遣労働者の保護及び雇用の安定を図る観点から 次の措置を講ずる必要がある 1 定期指導及び集団指導等の機会を利用し 派遣元事業所が講ずべき事項についてより一層の周知徹底を図るとともに 派遣労働者に対しても制度等の説明を丁寧に行うよう派遣元事業所を指導すること 2 労働者派遣事業に係る指導監督状況については その結果を取りまとめ 顕著にみられる是正指導事項等についてはホームページ等を利用して公表するなど 定期指導を受けていない事業所も自主的に改善が図れるよう情報提供に努めること 3 派遣元事業所が事業運営を適切に行うために統一的な自主点検表を作成し 集団指導及び定期指導の機会を利用して配布するなど 積極的な活用を求めること 3

2 派遣先事業所に対する労働者派遣法の周知の徹底 制度の概要 労働者派遣事業は 派遣労働者がその雇用されている派遣元事業主ではなく 派遣先から指揮命令を受けて労働に従事するという形態で事業が行われることから 派遣労働者の保護を図るためには 就業場所である派遣先において派遣労働者の適正な就業が確保され 派遣労働者が派遣先で指揮命令を受けることに伴い生じた苦情等が適切かつ迅速に処理されることが必要である これらの観点から 派遣元事業主から労働者派遣を受けた派遣先は ⅰ) 労働者派遣契約に関する措置 ( 労働者派遣法第 39 条 ) ⅱ) 適正な派遣就業の確保等のための措置 ( 労働者派遣法第 40 条 ) ⅲ) 派遣受入期間の制限の適切な運用 ( 労働者派遣法第 40 条の2) ⅳ) 派遣先責任者の選任 ( 労働者派遣法第 41 条 ) ⅴ) 派遣先管理台帳の作成 記載 保存及び記載事項の通知 ( 労働者派遣法第 42 条 ) 等の措置を講じなければならないとされている また 労働者派遣法のほかに 派遣先が講ずべき措置に関する指針 ( 平成 11 年労働省告示第 138 号 以下 派遣先指針 という ) において 派遣先が講ずべき措置の適切かつ有効な実施を図るために必要な事項が定められている 調査結果 今回 石川県内の 10 派遣先事業所について 派遣先事業所が講ずべき事項の遵守状況等を調査した結果 労働者派遣法に関する知識が十分でないことなどから 次のような不適切な状況がみられた (1) 平成 24 年改正法に係る遵守事項について 次のような不適切な事例が認められた 労働者派遣契約の解除に当たって講ずる派遣労働者の雇用安定を図るための措置に関し 労働者派遣契約書に休業手当等の支払いに要する費用を確保するための費用負担等に関する措置について記載がないもの (2 派遣先事業所 ) (2) 平成 24 年改正法前からの遵守事項について 次のような不適切な事例が認められた ア労働者派遣契約の締結 1 労働者派遣契約書に派遣労働者の氏名が記載されており 派遣労働者を特定した労働者派遣契約となっているもの (2 派遣先事業所 ) 2 派遣就業の開始 終了の時刻 休憩時間及び時間外労働をさせることができる時間数等について 具体的な時間を記載していないもの (2 派遣先事業所 ) 3 派遣元事業所に通知した派遣受入期間の制限に抵触する最初の日 ( 抵触日 ) を超えて労働者派遣を行う契約になっているもの (1 派遣先事業所 ) イ過半数組合等からの意見聴取 1 1 年を超え3 年以内の期間労働者派遣を受けようとする場合において 過半数組合等からの意見聴取を行っていないもの (1 派遣先事業所 ) 2 意見聴取を行うに当たり 過半数組合等に ⅰ) 労働者派遣を受入れようとする業務 ⅱ) 労働者派遣の受入期間及び開始予定時期等を書面により通知していないもの (2 派遣先事業所 ) ウ派遣先管理台帳の作成 記載 1 派遣労働者から申出を受けた苦情の処理状況を記載する欄がないもの (1 派遣先事業所 ) 4

2 派遣就業をした場所を記載していないもの (2 派遣先事業所 ) 派遣就業をした場所について 就業する最小単位の組織 ( 所属部署 ) まで記載していないもの (2 派遣先事業所 ) 3 派遣就業した日ごとの休憩時間を明確に記載していないもの (2 派遣先事業所 ) 4 派遣先管理台帳を3 年間保存していないもの (1 派遣先事業所 ) エ派遣先管理台帳に記載した事項の通知派遣先管理台帳に記載した事項のうち ⅰ) 休憩した時間 ⅱ) 従事した業務の種類 ⅲ) 従事した事業所の名称 所在地等を派遣元事業所に通知していないもの (5 派遣先事業所 ) オ時間外労働労働者派遣契約書に記載した時間外労働の範囲を超えて就労させているもの (2 派遣先事業所 ) (3) 派遣先事業所に対する労働者派遣法の周知石川労働局による平成 24 年度の定期指導では 労働者派遣法違反が確認され是正指導を行った事業所の割合は 前述のとおり 派遣元事業所が 70.1% であるのに対し派遣先事業所が 83.3% と高くなっているほか 当事務所の調査においても派遣労働者に係る事務作業等について派遣元事業所任せとなっている派遣先がみられるなど 派遣先事業所として講ずべき措置に対する意識が低い傾向がみられた 一方 派遣元指針第 2の9において 派遣元事業主は 労働者派遣法の規定による派遣元事業主及び派遣先が講ずべき措置の内容等について 関係法令の関係者への周知の徹底を図ることとされているが 調査対象 10 派遣元事業所において 派遣先に対し労働者派遣法の説明会の実施や文書配布等を積極的に行っているとする事業所はみられなかった また 労働者派遣法第 40 条第 3 項において 派遣先は 派遣元事業主の求めに応じ 派遣労働者が従事する業務と同種の業務に従事する派遣先労働者の賃金水準等の実情把握に必要な情報を提供するなど必要な協力をするよう努めなければならないとされているが 調査対象 10 派遣先事業所のうち6 事業所は 派遣元事業所に派遣先労働者の賃金水準等の情報を提供したことがなく 当該条項についても承知していなかったとしている (4) 派遣先事業所に対する集団指導の実施状況石川労働局は 派遣元事業所を通じて把握した派遣先事業所に対し集団指導 ( 適正な労働者派遣等にかかる研修会 ) の開催案内を送付しており 平成 25 年度は 660 派遣先事業所に案内を送付しているが 出席した事業所は 175 事業所 (26.5%) にとどまっている また 調査対象 10 派遣先事業所のうち7 事業所は 石川労働局が実施する集団指導に出席したことがなく 実施されていることも知らなかったと回答している 石川労働局は 派遣元事業所については集団指導の出席状況を経年的に把握しているものの 派遣先事業所については その数が多く 派遣労働者の受入状況も常に変動することから 経年的な把握までは行われていない 所見 したがって 石川労働局は 派遣先事業所に対する労働者派遣法の周知及び派遣労働者の労働条件の確保を図る観点から 次の措置を講ずる必要がある 5

1 労働者派遣契約書及び派遣先管理台帳等の適切な記載など 労働者派遣法及び派遣先指針等に定める事項を遵守するようより一層指導すること 2 派遣先事業所に対する労働者派遣法の周知をより一層推進するため 派遣先が遵守すべき事項の説明及び資料配布等について派遣元事業所に協力を求め 派遣元事業所を通じて派遣先への周知を図るなど 派遣先に対する法令等の周知の推進を図ること 3 派遣労働者の待遇の改善については派遣先の協力が不可欠であることから 派遣労働者と派遣先の労働者の均衡を考慮した待遇確保のため 派遣先は派遣元事業主の求めに応じ 必要な協力をするよう努めなければならないことについて 集団指導等の機会をとらえてより一層の周知を図ること 4 派遣先事業所に対する集団指導については 事業所の出席状況の経年的な把握を行うとともに 出席率を高める措置を検討するなど その実効性を高めること 6