鋼管 ポリエチレン被覆鋼管 http://www.nssmc.com/ 100-8071 東京都千代田区丸の内二丁目 6 番 1 号 Tel: 03-6867-4111 ポリエチレン被覆鋼管 P015_03_201709f 2012, 2017 NIPPON STEEL & SUMITOMO METAL CORPORATION 無断複写転載禁止
はじめに 近年 ガス 石油 上下水道用のパイプラインや各種埋設配管の役割は ますます重要になってきました 埋設配管の置かれる環境は 鉄道の電化 都市の 住宅集中化 埋立て 造成による土質の不均一性などによって悪化の一途をた どってきました さらに最近では ビル配管内における鉄筋コンクリートとのマ クロセル腐食も大きな問題として取りあげられています 土壌中の配管の腐 食要因は 上記以外の要因も含めて複雑多岐にわたっており 埋設配管にはよ り完全な防食被覆が要求されます 当社では 各種埋設配管の防食性を向上させる様々な研究をすすめ 昭和 40 年代以来ポリエチレン被覆鋼管を開発 販売しております ポリエチレン被覆鋼管は 溶融ポリエチレンを押出被覆しており ピンホールがなく 優れた化学的 電気的特性を有し 埋設用として最適です 15A 1600A 目次 までの広い寸法範囲の製品を製造しておりますので 広くご愛用ください ポリエチレン被覆鋼管の特長 02 製品例 10 被覆の種類 03 用途例 11 ご注意とお願い 本資料に記載された技術情報は 製品の代表的な特性や性能を説明するものであり 規格 の規定事項として明記したもの以外は 保証を意味するものではありません 本資料に記載されている情報の誤った使用または不適切な使用等によって生じた損害につきましては責任を負いかねますので ご了承ください また これらの情報は 今後予告なしに変更される場合がありますので 最新の情報については 担当部署にお問い合せください 本資料に記載された内容の無断転載や複写はご遠慮ください 本資料に記載された製品または役務の名称は 当社および当社の関連会社の商標または登録商標 あるいは 当社および当社の関連会社が使用を許諾された第三者の商標または登録商標です その他の製品または役務の名称は それぞれ保有者の商標または登録商標です 製造方式および工程 04 標準仕様 06 防食層ポリエチレンの特性 08 被覆品質特性 09 ポリエチレン被覆鋼管の現場施工方法 小径サイズ (10 0 A 以下 ) の例 12 中大径サイズの例 12 溶接継手部防食施工法 14 取り扱い上の注意点 16 3 01
ポリエチレン被覆鋼管の特長 被覆の種類 ❶ 優れた化学的 電気的特性 ポリエチレンは 透水 吸水がほとんどなく 酸 アルカリ 溶剤などに対する耐薬品性にも優れています ポリエチレン被覆鋼管は 高い電気絶縁抵抗の値を示し 経時的な変化もありません したがって 埋設環境の条件が悪くても 鋼管が腐食されることはほとんどなく 電気防食を施工する場合でも 通電量が少なくて済むので維持費を低減することができます ❷ 安定した品質 ポリエチレン被覆鋼管は 新鋭設備と最新技術を駆使して生産されます 生産ラインは 前処理から最終検査まで連続しているので安定した品質が得られます 各種試験 検査はもちろん 自動ホリディディテクターもオンライン化されており 品質保証体制は万全です ❸ 幅広い製造可能範囲 ポリエチレン被覆鋼管は クロスヘッドダイ製造方式 Tダイ製造方式により 15A 1400Aまでの広い寸法範囲の製造が可能です また 用途や配管の接続方法に応じて 一層あるいは二層被覆の選択ができます ❹ 用途に応じた効果的な被覆構造 ポリエチレン被覆鋼管に使用しているアンダーコートは 防食性と密着性に優れており 粘着剤型と接着剤型とがあります また ポリエチレン被覆鋼管には 一層型と二層型とがあり これらの組み合わせによって ニーズに応じた効果を十分に発揮させることができます ❺ 現地防食作業が容易 ポリエチレン被覆鋼管は 配管現場における防食施工が確実で簡便です ( 1) クロスヘッドダイ方式 種類の記号被覆アンダーコート被覆の構成適用寸法 P1H 一層接着剤 種類の記号被覆アンダーコート被覆の構成適用寸法 P1H 一層接着剤 15A 100A 20A 100A 15A 400A 80A 600A P1S 一層粘着剤 100A 400A P2S 二層粘着剤 15A 400A 80A 600A P2H 二層接着剤 20A 100A ( 2 )T ダイ方式 500A 1400A 400A 1400A 商品名 旧商品名 NS-PEL -1H スミコート P E L - S NS-PEL -1M スミコート PEL-G NS-PEL -3XL スミコート NEW PEL-H ( 標準色は黒 ) NS-PEL -3XF HI-PL NS-PEL -1S スミコート PEL ( 標準色は黒 ) HI-PL NS-PEL -2SP スミコート PEL NS-PEL -2SE HI-PL NS-PEL -2MP スミコート PEL-H 商品名 旧商品名 NS-PEL -3XL スミコート NEW PEL-H NS-PEL -3XF HI-PL 02 03
製造方式および工程 クロスヘッドダイ方式 ( 一層型 ) 15 600A クロスヘッドダイ方式 T ダイ方式 ( 二層型 ) 15 600A T ダイ方式 450 1400A クロスヘッドダイ方式 T ダイ方式 04 05
標準仕様 被覆の厚さ 管端形状 一層被覆型 ( 粘着型 接着型 ) JIS G 3469 P1H P1S 呼び径 膜厚 被覆の厚さ ( 単位 :mm) 許容差 15A 90A 1.5 100A 150A 2.0 0.4 200A 250A 2.5 300A 400A 2.5 450A 1000A 2.5 1100A 1600A 3.0 備考 : アンダーコートの厚さは 粘着剤の場合 : 目標値 0.3mmとします 接着剤の場合 : 目標値 0.15mmとします ( 接着剤は被覆の厚さに含まれます ) 二層被覆型 ( 粘着型 ) JIS G 3469 P2S 呼び径 20A 90A 0.6 100A 125A 0.8 150A 0.9 200A 1.1 250A 1.2 300A 1.2 350A 400A 1.2 450A 600A 1.3 ( 単位 :mm) 被覆の厚さ防食層保護層膜厚許容差膜厚許容差 0.2 0.2 0.4 1.0 1.1 1.2 1.5 1.6 1.7 2.0 2.0 0.4 0.4 0.4 溶接継手用管端形状 ねじ継手用管端形状 メカニカル継手用管端形状 ビニールテープ ビニールテープ 被覆除去長さ 100 150mm 被覆除去長さ 被覆除去長さ 25 50mm 被覆除去長さ 被覆除去長さ ねじ継手用管端構造 製造可能寸法範囲 0 20mm 製法 外径 管長 製造場所 15A 100A 5.5m( 標準 ) 15A 300A 5.5m 12.5m(5.5m 標準 ) 和歌山製鉄所 クロスヘッドダイ方式 350A 400A 5.5m 12.5m 表示 ( 例 ) 管 1 本ごとに次の項目を表示します 外面に表示する場合の例を示します T ダイ方式 管端被覆除去長 ( 標準 ) 呼び径 80A 600A 5.5m 12.2m 大分製鉄所 500A 1400A 9m 18.3m 鹿島製鉄所 400A 1400A 9m 18.3m 君津製鉄所 溶接継手 ( ベベルエンド ) ねじ継手 メカニカル継手 ( プレーンエンド ) 15A 90A 100 50 以下 10 100A 150A 130 50 以下 200A 400A 150 450A 1600A 150 注 :( ( 単位 :mm) ) 内は管端仕様 JICQA QA0607010 NS-PEL-2SE P2S SGP-E-G 300Ax5500 SL/NSACC-L 09-16 580D001 W W QA0507011 QA0507011 SGP-E-H 50A 5500 09-16 P1H NS-PEL-1H WTJT 1234 P-P ナイ - ナシ SGP-E-G 200A 5500 09-16 P2S NS-PEL-2P WTJT 1234 B-B ナイ -SG 1ロゴマーク (NSSMC) 2JISマークおよび JIS 認証機関番号 3 新日鉄住金販売品名 4ポリエチレン被覆鋼管の規格 5 原管の規格 6 寸法 長さ 7 製造所略号 8 製造年月 9 管理番号 10 管端形状 11 内面仕様 129の連番 内面には ご指定によりエポキシ樹脂塗装 亜鉛めっき 結束および梱包 ( ポリエチレン粉体ライニングなど用途に応じたものを施します ) ( 100A 以下については 約 1000kgごとに結束を行います 管本体は梱包しません ) N.1 06 07
防食層ポリエチレンの特性 被覆品質特性 1. 性状 項目試験方法性能値密度 (kg/m 3 ) JIS K 7112 915 以上 項目試験法 接着剤 P1H (2.5mm) 試験結果 ( 例 ) 粘着剤 P1S (2.5mm) 引張強さ (N/mm 2 ) JIS G 3469 11.8 以上引張破壊ひずみ (%) JIS G 3469 300 以上 密着力 ISO 21809-1,-4 23 ピール試験 150N/10mm 以上 4N/10mm 以上 硬さ (HDD) JIS K 7215 40 以上 落錘衝撃 ISO 21809-1,-4 23 18J 以上 8J 以上 ビカット軟化温度 ( ) JIS K 7206 85 以上 耐環境応力亀裂 (h) JIS K 6922-2 96 以上 落砂利衝撃 砂利 JIS 4 号 10kg 落下高さ2m 10 回 ピンホールなし ピンホールなし 吸水率 (%) JIS K 7209 0.04 以下 押込み深さ ISO 21809-1,-4 23 0.2mm 以下 0.2mm 以下 耐電圧 (kv/mm) JIS K 7140-1 30 以上 偏平外径の 1/2 まで偏平剥離 亀裂なし剥離 亀裂なし 2. 耐薬品性 薬品名適用薬品名適用 塩酸 食塩水 絶縁抵抗食塩水に100 日浸漬 10 10 Ω m 2 以上 10 10 Ω m 2 以上 30 1h +60 1h 異常なし冷熱サイクル異常なし 20サイクル ( 収縮発生 ) 希硫酸 アルコール 濃硫酸 グリセリン 希硝酸 ガソリン 濃硝酸 トリクレン 検 査 ピ ン ホ ー ル : 被覆のピンホールは ホリデーディテクターで厳重な検査を 実施します 被覆厚 : 電磁厚み計等により 被覆厚さの検査を行います 密着力 ( ピール強度 ): バネ秤り等により ピール強度の検査を行います (P1H) リン酸 ベンゾール 酢酸 トルオール 亜硫酸ガス クレゾール アンモニア 重油 苛性ソーダ 植物油 硫化水素 アスファルト ( 備考 ) : 使用可 : 使用を避けた方が良い : 使用不可 ピール強度検査 被覆厚検査 08 09
製品例 用途例 ポリエチレン被覆鋼管は一般に地下埋設管として使用されますが 特に外面防食として抜群の性能を発揮します 石油 ガス輸送用鋼管 上下水道用鋼管 各種化学工業用配管 その他管外面からの腐食の激しい場所における一般配管 保管状況 海底配管 小径管 ガス導管 10 11
ポリエチレン被覆鋼管の現場施工方法 小径サイズ (100A 以下 ) の例 ❶ ❷ ❸ ねじ切り : 切り粉除去後 ソケット外面の透明部分からコーキングテープが隙間なく充填されていることを確認しながら ソケットを手締めで接合しパイプレンチにて本締めを行います 管およびソケットを専用工具 ( パイプレンチおよび万力 ) にて所定の締付けを行います ポリエチレン被覆鋼管の現場施工方法 中大径サイズの例 ❶ ❷ ❸ ❹ 継手部の溶接 溶接部のバリ スパッターの除去 加熱収縮作業 チューブホルダーを用いたチューブの収縮 ❺ ❻ ❼ 継手作業完了後 ピンホールの有無をテスターによりチェック 継手部の絶縁抵抗を測定 厳しい検査後の敷設 12 13
ポリエチレン被覆鋼管の現場施工方法 溶接継手部防食施工法 ( 例 ) 溶接接続部の現場防食被覆方法には 熱収縮スリーブ ( 熱収縮チューブと熱収縮シート ) による方法があります 熱収縮チューブ 熱収縮シート 加熱によって収縮する性質を持ったチューブで アンダーコートが内面塗布されており 作業性 確実性に優れています 加熱による熱収縮性シートの内面にアンダーコートが塗布されており 熱収縮チューブの使用できない既設管や大口径管に適しています 次の方法により 現場で防食被覆を行います 熱収縮チューブ法 管にあらかじめチューブを挿入しておき溶接接続した後 溶接部を清掃し バーナーで80 程度に予熱します 必要に応じてプライマーを塗布してからチューブを所定位置に移動します 専用バーナーでチューブの中央部円周方向から徐々に両端に加熱収縮します 部分加熱するとしわができ 空気が残りますので注意してください チューブが収縮した後 アンダーコートがチューブの端からはみ出すよう再加熱します 加熱温度は 120 140 ( 加熱部がやや光沢を帯びる程度 ) が最適です 熱収縮シート法 溶接部を清掃し 約 80 に予熱してプライマーを塗布します この上にシートを巻き付け 端を接合用シートでとめて 熱収縮チューブと同様に加熱収縮させます 14 15
取り扱い上の注意点 1. 保管 屋内保管を原則とします やむを得ず屋外に保管する場合は 直射日光 傷などを防ぐために 3. 加工 配管工事 鋭利な石 砂利などにより被覆に損傷を与えないこと シートなどの覆い掛けをしてください 置き場には台木を置き 大径の場合は両管端位置に台木を置く 積み方は 俵積みまたは段積み 台木および歯止めは緩衝材で覆う ( 被覆に直接当たらないように ) * 接触部の若干のくぼみは 性能上支障がない *P1H( 緑 ) 耐候処方の取り扱い 2. 運搬 吊上げ 吊下ろしは 被覆に傷をつけないようナイロンスリング ゴム付 ロープ 管端吊りフックなどの吊具を使用する フォークリフトなどで運搬する場合 フォークにゴム板などを取りつける 輸送 必ず台木を敷く 台木および歯止めは緩衝材で覆う ( 被覆に直接あ 1 機械切断 ( 主として 100A 以下 ) 自動金鋸盤などを用い 被覆に傷をつけないよう配慮してください なお パイプカッター 高速砥石およびガス切断は避けてください 2 ねじ切り ( 主として 100A 以下 ) 一層被覆鋼管については 専用治具を用い 被覆を剥がさずにそのまま ねじ切削を行います 二層被覆鋼管については 保護層を剥がした後 ねじ切削を行います ただし 管がスリップし被覆を傷つける恐れがある場合には 被覆をあらかじめ剥がしてから作業してください 7 切断機使用現地で使用する切断機には次のようなものがありますが チャッキングの方法さえ注意すれば 裸管と同様に切断できます 切断は被膜の上から直接できます 切断機名注意点 手動パイプカッター ポータブル電動パイプカッター 1 チャック部の被膜保護 21 枚刃 2 ローラー型のカッターローラーで被膜を損傷しますので メカニカルジョイントを使用する場合は 3 枚刃のカッターを使用するようお奨めします 1 チャック部の被膜保護 2 切り込みはできるだけゆっくりしてください チャック部がすべる場合があります 3 ローラー刃の使用をお奨めします たらないように ) 3 溶断あらかじめ被覆を剥がしてから行います 火花が被覆 ポータブル電動カッティンググラインダー ( メカニカルジョイントの場合 ) 熱による被膜のしわ かえりをナイフで削り取ってください に当らないよう適当な覆いをしてください バンドソー チャック部の保護 4 溶接あらかじめ管端の被覆を剥がしてから行います 被覆除去長さは6ページをご参照ください スパッターなどが被覆に飛ばないよう配慮が必要です 5 曲げ通常はベンド管 エルボを使用しますが 緩い曲げ半径の場合は冷間曲げ加工も可能です この場合も 曲げ治具で被覆が損傷しないように当てゴムなどを使用してください 6 埋設埋戻しの際 土砂中には石塊 砕石などの混入を避けてください なお 機種にもよりますが チャックは直接被膜に当てないよう硬質塩ビ管の半割りカバー ゴムシート ポリエチレンシート ( 保護層ポリエチレンの剥いだものでも可 ) などをかぶせてチャッキングしてください なお NS-PEL -1H は専用工具の使用により 直接チャッキングできます 8 ガス切断あらかじめ両側 100 150mm 程度被膜を剝ぎ取った後で切断します 被膜を剥がずに 被膜の上から直接フレームを当てると かえって広い範囲で焼損します 切断部近くの被膜には 薄鋼板などのカバーをかけてスパッター等による焼損から保護してください 16 17