11総法不審第120号

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ら退去を迫られやむを得ず転居したのであるから本件転居費用について保護費が支給されるべきであると主張して 本件処分の取消しを求めている 2 処分庁の主張 (1) 生活保護問答集について ( 平成 21 年 3 月 31 日厚生労働省社会援護局保護課長事務連絡 以下 問答集 という ) の問 13の2の

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平成 30 年 9 月 25 日 諮問 平成 30 年 11 月 13 日審議 ( 第 27 回第 4 部会 ) 平成 30 年 12 月 11 日審議 ( 第 28 回第 4 部会 ) 第 6 審査会の判断の理由審査会は 請求人の主張 審理員意見書等を具体的に検討した結果 以下のように判断する 1

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処分済み

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処分済み

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処分済み

保険業務に係る情報提供料は 請求人の事業に基づいた収入であるとは いえない 第 4 審理員意見書の結論 本件各審査請求は理由がないから 行政不服審査法 4 5 条 2 項によ り 棄却すべきである 第 5 調査審議の経過 審査会は 本件諮問について 以下のように審議した 年月日 審議経過 平成 30

がある 7 平成 28 年 3 月 28 日 処分庁は 同日付で審査請求人に対し 借入金収入 円の未申告により生じた保護費過払い分について 法第 78 条第 1 項の規定により費用徴収を行う決定を行い 同年 7 月 7 日 費用徴収決定通知書を審査請求人に手交した 8 審査請求人は 平成 28 年

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が成立するが 本件処分日は平成 29 年 3 月 3 日であるから 平成 24 年 3 月 3 日以降 審査請求人に支給した保護費について返還を求めることは可能であ る 第 3 審理員意見書の要旨 1 結論本件審査請求には理由がないので 棄却されるべきである 2 理由 (1) 本件処分に係る生活保護

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吹田市告示第  号

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⑴ ⑵ ⑶ ⑵

屋外広告物のしおり


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Microsoft Word - 1表紙

Microsoft Word - 02_21 衛星通信車調達仕様書

返還の必要性を十分説明しており 手続は適法である 第 3 審理員意見書の要旨 1 結論本件審査請求には理由がないので 棄却されるべきである 2 理由 (1) 本件の争点は 本件保険が法第 4 条第 1 項に規定する 利用し得る資産 に該当するかどうかであるが その判断に当たっては 処分庁が判断の要素




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第 4 審理員意見書の結論 本件各審査請求は理由がないから 行政不服審査法 4 5 条 2 項に より いずれも棄却すべきである 第 5 調査審議の経過審査会は 本件諮問について 以下のように審議した 年月日審議経過 平成 30 年 3 月 6 日 諮問 平成 30 年 4 月 26 日審議 ( 第

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ウ商業地等である 町の土地の平成 28 年度分の固定資産税の課税標準額は 法附則第 18 条第 5 項及び第 25 条第 5 項の規定により 課税標準となるべき価格に0.7を乗じた額となる なお 岐阜市税条例 ( 昭和 25 年岐阜市条例第 14 号 以下 条例 という ) においては これと異なる

11 m2~15 m2 7m2~10 m2 6m2以下 1 級地別記 7 別記 8 別記 9 2 級地別記 7 別記 8 別記 9 3 級地別記 7 別記 8 別記 9 ただし 次に掲げる当該世帯の自立助長の観点から引き続き当該住居等に居住することが必要と認められる場合又は当該地域の住宅事情の状況に

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Microsoft Word - 19 ‚¾Šz”©fi®”Ô.doc

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の補正書 において, 審査請求の趣旨を この開示請求は本人の給与のみずましにかかわる書面である為 としているが, 原処分を取り消し, 本件対象保有個人情報の開示を求めている審査請求として, 以下, 原処分の妥当性について検討する 2 原処分の妥当性について (1) 給与所得の源泉徴収票について給与所


⑴ ⑵ ⑶ ⑷ 1


⑴ ⑵ ⑶

⑴ ⑵ ⑶

⑴ ⑵ ⑶

⑴ ⑵ ⑶

⑴ ⑵ ⑶


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処分済み

病が原子爆弾の傷害作用に起因する旨の厚生労働大臣の認定を受けなければならない ( 被爆者援護法 11 条 1 項 ) ⑶ 都道府県知事は ⑵ 記載の厚生労働大臣の認定を受け かつ 当該認定に係る負傷又は疾病の状態にあるとの要件に該当することについて都道府県知事の認定を受けた者に対し 医療特別手当を支

控訴人は, 控訴人にも上記の退職改定をした上で平成 22 年 3 月分の特別老齢厚生年金を支給すべきであったと主張したが, 被控訴人は, 退職改定の要件として, 被保険者資格を喪失した日から起算して1か月を経過した時点で受給権者であることが必要であるところ, 控訴人は, 同年 月 日に65 歳に達し

達したときに消滅する旨を定めている ( 附則 10 条 ) (3) ア法 43 条 1 項は, 老齢厚生年金の額は, 被保険者であった全期間の平均標準報酬額の所定の割合に相当する額に被保険者期間の月数を乗じて算出された額とする旨を定めているところ, 男子であって昭和 16 年 4 月 2 日から同

⑵ ⑶ ⑷ ⑸ ⑴ ⑵

1 審査会の結論 平成 28 年度市民税 県民税の賦課決定処分 に係る審査請求は棄却する べきであるとの審査庁の判断は妥当である 2 事案概要南区長 ( 以下 処分庁 という ) は 地方税法 ( 昭和 25 年法律第 226 号 以下 法 という ) 第 24 条及び第 294 条並びに横浜市市税

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諮問庁 : 国立大学法人長岡技術科学大学諮問日 : 平成 30 年 10 月 29 日 ( 平成 30 年 ( 独情 ) 諮問第 62 号 ) 答申日 : 平成 31 年 1 月 28 日 ( 平成 30 年度 ( 独情 ) 答申第 61 号 ) 事件名 : 特定期間に開催された特定学部教授会の音声

-2 -



厚生局受付番号 : 四国 ( 受 ) 第 号 厚生局事案番号 : 四国 ( 厚 ) 第 号 請求者の社会福祉法人 A 会 B 保育所における平成 20 年 6 月 21 日の標準賞与額を 127 万 1,000 円に訂正することが必要である 平成 20 年 6 月 2

取得に対しては 分割前の当該共有物に係る持分割合を超える部分の取得を除いて 不動産取得税を課することができないとするだけであって 分割の方法に制約を設けているものではないから 共有する土地が隣接している場合と隣接していない場合を区別し 隣接していない土地を一体として分割する場合に非課税が適用されない

7 平成 28 年 10 月 3 日 処分庁は 法第 73 条の2 第 1 項及び条例第 43 条第 1 項の規定により 本件不動産の取得について審査請求人に対し 本件処分を行った 8 平成 28 年 11 月 25 日 審査請求人は 審査庁に対し 本件処分の取消しを求める審査請求を行った 第 4

もあり 安全で問題のない生活を送るためには家庭の中で請求人一人の力だけでは難しく 周りの大人の支援を必要としている状況である 現在も上記のような状況から 仕事ができずにいる また 本件処分は本件診断書に基づいて行われているが その後本件児童の状態が変わっているので 平成 30 年 3 月 26 日付

平成14年7月3日

04 件数表280205(東京)

301121答申件数表

遺者であったが 事情があって遺贈の放棄をした 民法 986 条の規定によれば 受遺者は 遺言者の死亡後 いつでも 遺贈の放棄をすることができ 遺贈の放棄は 遺言者死亡のときに遡ってその効力を生じるとされているから 前所有者から請求人に対する本件各不動産の所有権移転の事実は無かったものであり 請求人は

債務のうち所定の範囲内のものを当該事業主に代わって政府が弁済する旨規定する (2) 賃確法 7 条における上記 政令で定める事由 ( 立替払の事由 ) として 賃金の支払の確保等に関する法律施行令 ( 昭和 51 年政令第 169 号 以下 賃確令 という )2 条 1 項 4 号及び賃金の支払の確

厚生局受付番号 : 九州 ( 受 ) 第 号 厚生局事案番号 : 九州 ( 厚 ) 第 号 請求者のA 社 B 支店における厚生年金保険被保険者資格の喪失年月日を昭和 44 年 4 月 21 日から同年 5 月 1 日に訂正し 昭和 44 年 4 月の標準報酬月額を2

<4D F736F F F696E74202D208E518D6C8E9197BF B68A8895DB8CEC90A C68CF689638F5A91EE90A CC94E48A A >

第2編 旅客営業 第4章 乗車券類の効力

非常に長い期間, 苦痛に耐え続けた親族にとって, 納得のできる対応を日本政府にしてもらえるよう関係者には協力賜りたい ( その他は, 上記 (2) と同旨であるため省略する ) (4) 意見書 3 特定個人 Aの身元を明らかにすること及び親子関係の証明に当たっては財務省 総務省において, 生年月日の

1 本件審査請求について (1) 本件審査請求に係る開示請求は, 法に基づき, 処分庁に対し, 本件対象文書の開示を求めたもの ( 以下 本件開示請求 という ) である (2) 本件開示請求を受けて, 処分庁は, 本件対象文書を作成しておらず不存在として, 不開示決定 ( 原処分 ) を行った (

<4D F736F F D2095BD90AC E D738CC2816A939A905C91E D862E646F63>

指定居宅介護支援に要する費用の額の算定に関する基準 ( 平成 12 年厚生省告示第 20 号 ) 介護保険法第 46 条第 2 項及び第 58 条第 2 項の規定に基づき 指定居宅介護支援に要する費用の額の算定に関する基準を次のように定め 平成 12 年 4 月 1 日から適用する 一指定居宅介護支

270826答申について

標準例6

厚生局受付番号 : 九州 ( 受 ) 第 号 厚生局事案番号 : 九州 ( 国 ) 第 号 第 1 結論昭和 50 年 4 月 30 日から昭和 51 年 4 月 1 日までの請求期間 昭和 51 年 4 月 1 日から昭和 53 年 4 月 1 日までの請求期間 昭

19 条の4 第 2 項の規定により, 特別職の公務員であるから, 本件不開示情報は, 公務員としての職務遂行情報であり, 精神保健指定医が, 客観的な生体検査もなく, ただその主観に基づいて, 対象者を強制入院させることができるという性質の資格であること, 本件開示請求に係る精神保健指定医らが対象

ウ 特定個人 a に訂正してほしいとは, 私は書いてない これも日本年金機構の単純ミスなのか? それとも他に理由があるのか? 事実に基づいて, 説明を求める 私の公共職業安定所における氏名は, カタカナの 特定個人 b のスペースなしで管理されている 私の資格画面も氏名欄はカタカナである 国民年金保

厚生局受付番号 : 東北 ( 受 ) 第 号 厚生局事案番号 : 東北 ( 厚 ) 第 号 第 1 結論請求期間 1について 当該期間のうち請求者のA 社における平成 21 年 9 月 1 日から平成 22 年 12 月 1 日までの期間の標準報酬月額を訂正することが

世帯に付き10,000 円以内とする 2 助成金の交付の対象となる空気調和機器の稼働期間 ( 以下 交付対象期間 という ) は 7 月から10 月までとする 3 助成金の交付の申請をした者 ( 以下 申請者 という ) が 交付対象期間の一部について第 6 条に規定する資格に適合しない場合は 助成

査請求人 ) が 平成 5 年分所得税確定申告書 ( 以下 本件請求保有個人情報 1 という ) の開示を求めるものである 処分庁は, 本件開示請求に対し, 本件請求保有個人情報 1は文書保存期間 (7 年 ) が満了し, 既に廃棄しているとして, 平成 27 年 12 月 2 2 日付け特定記号第

厚生局受付番号 : 東北 ( 受 ) 第 号 厚生局事案番号 : 東北 ( 厚 ) 第 号 第 1 結論請求者のA 社における厚生年金保険被保険者資格の喪失年月日を昭和 53 年 12 月 31 日から昭和 54 年 1 月 1 日に訂正し 昭和 53 年 12 月の



の対象として 人事院事務総長引継書 を特定し, 同年 9 月 29 日付け行政文書開示決定通知書を審査請求人に送付した 2 審査請求人が主張する本件審査請求の趣旨及び理由審査請求人は, 事務引継書が1 名分しか存在しないという決定は不自然である, 他の職員についても事務引継書がなければ, 前任者から

Transcription:

答 申 審査請求人 ( 以下 請求人 という ) が提起した生活保護法 ( 以 下 法 という )25 条 2 項に基づく保護変更決定処分に係る審査 請求について 審査庁から諮問があったので 次のとおり答申する 第 1 審査会の結論 本件審査請求は 棄却すべきである 第 2 審査請求の趣旨本件審査請求の趣旨は 区福祉事務所長 ( 以下 処分庁 という ) が請求人に対し 平成 2 8 年 1 2 月 1 日付けで行った法 2 5 条 2 項に基づく保護変更決定処分 ( 以下 本件処分 という ) について その取消しを求めるものである 第 3 請求人の主張の要旨請求人の主張は 必ずしも明らかではないが おおむね以下の理由により 本件処分の取消しを求めているものと解される 本件処分により 住宅扶助費が月額 6 9, 8 0 0 円から 53, 700 円に減額されたが このままでは請求人の生活はできない 処分庁から 転居を求められているが 元々の保証人の問題のほか 請求人の病状や体調の悪化もあって 転居どころか生活そのものが困難になっている 第 4 審理員意見書の結論 本件審査請求は理由がないから 行政不服審査法 4 5 条 2 項によ 1

り棄却すべきである 第 5 調査審議の経過 審査会は 本件諮問について 以下のように審議した 年月日 審議経過 平成 2 9 年 7 月 2 7 日 諮問 平成 2 9 年 9 月 5 日審議 ( 第 1 3 回第 2 部会 ) 平成 2 9 年 1 0 月 1 7 日審議 ( 第 1 4 回第 2 部会 ) 平成 2 9 年 1 2 月 1 日審議 ( 第 1 5 回第 2 部会 ) 第 6 審査会の判断の理由審査会は 請求人の主張 審理員意見書等を具体的に検討した結果 以下のように判断する 1 法令等の定め ⑴ 法 4 条 1 項によれば 保護は 生活に困窮する者が その利用し得る資産 能力その他あらゆるものを その最低限度の生活の維持のために活用することを要件として行われるとされている ⑵ 法 8 条 1 項によれば 保護は 保護基準により測定した要保護者の需要を基とし そのうち その者の金銭又は物品で満たすことのできない不足分を補う程度において行うものとされており 保護費は 保護基準に従って 要保護者各々について具体的に決定されるとしている ⑶ 法 1 4 条によれば 住宅扶助は 困窮のため最低限度の生活を維持することのできない者に対して 住居又は補修その他住宅の維持のために必要なものの範囲内において行われるとされている ⑷ 法 2 5 条 2 項によれば 保護の実施機関は 保護の変更を必 2

要とすると認めるときは 速やかに 職権をもってその決定を行い 書面をもって これを被保護者に通知しなければならないとされている ⑸ 保護基準によれば 家賃 間代 地代等に係る住宅扶助の基準額は 1 級地では月額 1 3, 0 0 0 円以内とされ ( 保護基準別表第 3 1 ) 当該費用がこの基準額を超えるときは 都道府県又は地方自治法 2 5 2 条の 1 9 第 1 項の指定都市若しくは同法 2 5 2 条の 2 2 第 1 項の中核市ごとに 厚生労働大臣が別に定める額 ( 以下 限度額 という ) の範囲内の額とするとされている ( 保護基準別表第 3 2 ) ⑹ 生活保護法による保護の実施要領について ( 昭和 3 8 年 4 月 1 日付社発第 2 4 6 号厚生省社会局長通知 以下 局長通知 という ) によれば 限度額によりがたい家賃 間代等であって 世帯員数 世帯員の状況 当該地域の住宅事情によりやむを得ないと認められるものについては 限度額に 1. 3 を乗じて得た額の範囲内において 特別基準の設定があったものとして 必要な額 ( 以下 特別基準限度額 という ) を認定して差しつかえないこととされている ( 局長通知第 7 4 ⑴ オ) ⑺ そして 区を含む特別区等の 1 級地における単身世帯に対する住宅扶助費については 本件局長通知により 平成 2 7 年 7 月 1 日からは 限度額は月額 5 3, 7 0 0 円 ( 本件基準限度額 ) とされ 特別基準限度額 ( 月額 6 9, 8 0 0 円 ) は原則として適用されないこととなった ⑻ また 局長通知によれば 被保護者が居住する借家 借間の契約更新等に際し 契約更新料等を必要とする場合には 特別基準限度額の範囲内において特別基準の設定があったものとして必要な額を認定して差しつかえないとされている ( 局長通知 3

第 7 4 ⑴ ク ) ⑼ 生活保護法による保護の実施要領の取扱いについて ( 昭和 3 8 年 4 月 1 日付社保第 3 4 号厚生省社会局保護課長通知 以下 課長通知 という ) によれば 契約更新料等として 更新手数料 火災保険料 保証料について 必要やむを得ない場合は 契約更新に必要なものとして認定して差しつかえない としている ( 課長通知問 ( 第 7 の 88)) ⑽ 東京都福祉保健局生活福祉部保護課 生活保護運用事例集 2 0 1 3 ( 以下 運用事例集 という ) 問 6-5 6 基準額を超える家賃の住宅に居住する世帯からの保護申請 によれば ア 基準額を超える家賃の住宅に居住している単身世帯から保護の申請があった場合は 単身世帯への特別基準設定 ( 1. 3 倍額の適用 ) が認められる場合を除いて 原則として保護開始と同時に 履行期限を定めて転居指導を行うことになる 転居指導中 新たな住居に転居するまでの間は 1. 3 倍額を限度に実家賃額を計上する取扱いを行うことができる この場合 実家賃額が 1. 3 倍額以内であるか否かを問わない ( 問 6-5 6 1 ⑴ ) イ 特別基準を設定し 履行期限までに転居がなされない場合は 法第 6 2 条による手続きによることなく法第 2 5 条による職権変更により 特別基準の設定を解除することが可能である ( 問 6-5 6 3 ) とされていたところ 本件局長通知を受けて 運用事例集が改定され 運用事例集 ( 平成 2 7 年度修正版 ) においては ア 基準額を超える家賃の住宅に居住している世帯から 保護の申請があった場合は 保護開始と同時に 履行期限を 定めて転居指導を行うことになる この場合の基準額は そ の世帯に適用される住宅扶助の限度額となる 4

イ 問 6-56( 旧 ) により平成 27 年 6 月まで特別基準額 ( 1. 3 倍額 ) を適用していた場合限度額通知 ( 本件局長通知 ) 3 ⑵ に該当する場合は 平成 2 7 年 6 月まで適用していた住宅扶助の基準額を 福祉事務所が行っている転居に係る指導において設定した期限 ( 平成 28 年 6 月までに限る ) までの間 ( ただし 当該世帯の賃貸借契約等において 契約期間及び契約の更新に定めがある場合であって 当該設定した期限までの間に契約期間の満了日が到来するときは 当該満了日の属する月までの間 ) 適用して差し支えない 該当しない場合は その世帯に適用される住宅扶助の限度額を平成 2 7 年 7 月から適用されることとなる とそれぞれ 取扱いが変更されることとなった ⑾ なお 局長通知及び本件局長通知は いずれも地方自治法 2 4 5 条の 9 第 1 項及び第 3 項の規定に基づく処理基準である また 運用事例集による上記 ⑽ の取扱いは 局長通知及び本件局長通知における住宅扶助の取扱いの基準 ( 上記 ⑹ 及び⑺ ) に合致するものであって 合理性が認められるものである 2 本件処分について ⑴ 処分庁は 保護開始時の請求人の住居に係る家賃が 月額 8 0, 0 0 0 円であったところ 請求人の住宅扶助費の算定に際しては 特別区内等における単身世帯に係る本件特別基準限度額 ( 月額 6 9, 8 0 0 円 ) を適用した上で 平成 1 8 年 1 2 月の契約更新に要する更新料及び当該契約期間に係る間の住宅扶助費を支給していた なお 保護開始に際して 担当者は請求人に対し 次回の契約更新までに 本件基準限度額 ( 月額 5 3, 7 0 0 円 ) 内の家賃の住宅 ( 公営住宅を含む ) に転居するよう努力することを求めていた 5

⑵ その後も 処分庁は請求人に対し 本件基準限度額内の家賃の住居に転居するように 転宅指導を繰り返していたところ 請求人の事情 ( 病状や体調等 ) により 転宅ができなかったことなどから 請求人宅の契約更新に要する更新料及びこの間の住宅扶助費について 本件特別基準限度額を適用した上で 平成 2 4 年 1 2 月までの間の 2 年毎の契約更新に要する更新料及び当該契約期間内の住宅扶助費を支給していた なお 処分庁は この間の平成 2 0 年 1 0 月に 請求人が当時通院していた 神経科の 医師に対し 請求人の転宅に係る病状照会を行い 転宅は困難であるとの回答を確認している ⑶ 平成 2 6 年 1 1 月 処分庁は 請求人が主張するところの転宅ができない事情とされる 病状や体調不良等については 必ずしも合理的なものとまでは認め難かったことから 請求人が同年中に通院していた各医療機関の主治医に対し 請求人の転宅に係る病状照会を行い 当該照会に対する各回答内容を確認した上で 改めて 請求人に対して 転宅指導等を行おうとしたところ 手続上 いずれの回答も平成 2 6 年 1 2 月の契約更新に係る費用支払期日を過ぎてしまうことから やむを得ず 同時期の契約更新及び同契約更新に伴う次期契約期間内の住宅扶助費については 引き続き 本件特別限度基準額を適用することとした なお 上記照会に対するいずれの回答においても 請求人の転宅について これを困難または不適当とするものはなかった ⑷ そして 平成 2 7 年 4 月 1 4 日付けの本件局長通知により 区を含む特別区内等における単身世帯に係る本件特別基準限度額 ( 月額 6 9, 8 0 0 円 ) の適用については 特別な事情がある場合等を除き ( 経過期間等の後は ) これができなくな 6

くなることから 請求人の住宅扶助費についても本件基準限度額が適用され 運用事例集に基づき 取り扱われることとなった この結果 請求人についても 経過期間終了後は 実際の住宅家賃と住宅扶助費の差額がより大きくなる ( 家賃月額が 7 9, 0 0 0 円であるため その差額が9, 2 0 0 円 ( 79,000 円 - 6 9, 8 0 0 円 ) から 2 5, 3 0 0 円 ( 79, 0 0 0 円 - 5 3, 7 0 0 円 ) になる ) ため 請求人の家計においては その他の生活扶助費からの持ち出し分が大幅に増えることになることから 処分庁は 改めて 請求人に対して 区の外を含む本件基準限度額以内の住居に転居できるよう 不動産屋に相談することなどを含めた指導を行っている これに対し 請求人は 都営住宅への応募のほか 区 の賃貸住宅を探すなどはみられたものの 本件基準限度額以内の住居への転居に至っていなかったことから 処分庁は 平成 2 7 年 4 月に改正された本件局長通知に基づき 平成 2 8 年 1 2 月 1 日からの更新契約期間中の住宅扶助費については 本件基準限度額 ( 月額 5 3, 7 0 0 円 ) を適用することとし 同日付けで 請求人の住宅扶助費を減額 ( 月額 6 9, 8 0 0 円を月額 5 3, 7 0 0 円に変更する ) する旨の本件処分を行い 請求人にこの旨通知した ⑸ なお 本件局長通知及び運用事例集によれば 本件特別基準額は 本来であれば平成 2 8 年 7 月以降の適用は認められないところではあるが 上述したとおり 本件処分には違算等の事実はなく これを取り消すべきものとは認められない 3 請求人は 上記 ( 第 3) のとおり 本件処分の違法 不当を主張する しかし 本件処分に違法又は不当な点を認めることができない 7

ことは 前述 2 のとおりであるから 請求人の主張をもって 本件処分の取消理由とすることはできない 4 請求人の主張以外の違法性又は不当性についての検討その他 本件処分に違法又は不当な点は認められない 以上のとおり 審査会として 審理員が行った審理手続の適正性や法令解釈の妥当性を審議した結果 審理手続 法令解釈のいずれも適正に行われているものと判断する よって 第 1 審査会の結論 のとおり判断する ( 答申を行った委員の氏名 ) 近藤ルミ子 山口卓男 山本未来 8