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トラック運送事業の経営実態 全日本トラック協会は全国のトラック運送事業者 2,188 社 ( 有効数 ) の平成 25 年度事業報告書に基づき集計 分析した 経営分析報告書 ( 平成 25 年度決算版 ) をまとめた 全日本トラック協会が平成 4 年度から発行しているこの報告書は 会員事業者が自社の

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経営分析報告書について 1. 実施概要公益社団法人全日本トラック協会では 経営戦略化型構造改善事業 ( 昭和 62 年度 ~ 平成 4 年度 ) の一環として 中小トラック運送事業者の経営活動の実態を計数的に把握し 経営管理の改善等に役立てていただくために 平成 4 年度から 経営分析報告書 を毎年

( 億円 ) ( 億円 ) 営業利益 経常利益 当期純利益 2, 15, 1. 金 16, 額 12, 12, 9, 営業利益率 経常利益率 当期純利益率 , 6, 4. 4, 3, 2.. 2IFRS 適用企業 1 社 ( 単位 : 億円 ) 215 年度 216 年度前年度差前年度

( 億円 ) ( 億円 ) 営業利益 経常利益 当期純利益 金 25, 2, 15, 12, 営業利益率 経常利益率 額 15, 9, 当期純利益率 6. 1, 6, 4. 5, 3, 2.. 2IFRS 適用企業 8 社 214 年度 215 年度前年度差 ( 単位 : 億円 ) 前年

( 図表 1) 平成 28 年度医療法人の事業収益の分布 ( 図表 2) 平成 28 年度医療法人の従事者数の分布 25.4% 27.3% 15.8% 11.2% 5.9% n=961 n=961 n= % 18.6% 18.5% 18.9% 14.4% 11.6% 8.1% 資料出所

平成10年7月8日

けた この間 生産指数は 上昇傾向で推移した (2) リーマン ショックによる大きな落ち込みとその後の回復局面平成 20 年年初から年央にかけては 米国を中心とする金融不安 景気の減速 原油 原材料価格の高騰などから 景気改善の動きに足踏みが見られたが 生産指数は 高水準で推移していた しかし 平成

平成 23 年 3 月期 決算説明資料 平成 23 年 6 月 27 日 Copyright(C)2011SHOWA SYSTEM ENGINEERING Corporation, All Rights Reserved

平成 25 年 3 月 19 日 大阪商工会議所公益社団法人関西経済連合会 第 49 回経営 経済動向調査 結果について 大阪商工会議所と関西経済連合会は 会員企業の景気判断や企業経営の実態について把握するため 四半期ごとに標記調査を共同で実施している 今回は 2 月下旬から 3 月上旬に 1,7

我が国中小企業の課題と対応策

第 70 回経営 経済動向調査 公益社団法人関西経済連合会 大阪商工会議所 < 目次 > 1. 国内景気 2 2. 自社業況総合判断 3 3. 自社業況個別判断 4 4. 現在の製 商品およびサービスの販売価格について 8 参考 (BSI 値の推移 ) 11 参考 ( 国内景気判断と自社業況判断の推

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ニュースリリース 食品産業動向調査 : 景況 平成 3 1 年 3 月 2 6 日 株式会社日本政策金融公庫 食品産業景況 DI 4 半期連続でマイナス値 経常利益の悪化続く ~ 31 年上半期見通しはマイナス幅縮小 持ち直しの動き ~ < 食品産業動向調査 ( 平成 31 年 1 月調査 )> 日

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通期 連結の売上高 営業利益 経常利益としては 過去最高 のれん及び固定資産に係る減損損失を特別損失として 517 億円計上 当期純利益が 3 月 30 日付での予想数値より増加したのは 予想数値公表時の見込み額と比べ 最終決算数値により確定した減損損失額が 53 億円 減少したことによる 事業環境

2. 利益剰余金 ( 内部留保 ) 中部の 1 企業当たりの利益剰余金を見ると 製造業 非製造業ともに平成 24 年度以降増加傾向となっており 平成 27 年度は 過去 10 年間で最高額となっている 全国と比較すると 全産業及び製造業は 過去 10 年間全国を上回った状況が続いているものの 非製造

目次 調査結果の概要 1 小企業編 中小企業編 概況 3 概況 15 調査の実施要領 4 調査の実施要領 16 業況判断 5 業況判断 17 売上 1 売上 2 採算 11 利益 21 資金繰り 借入 12 価格 金融関連 22 経営上の問題点 13 雇用 設備 23 設備投資 価格動向 14 経営

第2章 食品卸売業の経営指標

調査結果の概要 1. 自社チャンネルの加入者動向については消極的な見通しが大勢を占めた自社チャンネルの全体的な加入者動向としては 現状 では 減少 (50.6%) が最も多く 続いて 横ばい (33.7%) 増加 (13.5%) の順となっている 1 年後 についても 減少 (53.9%) 横ばい

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調査結果の概要 1. 自社チャンネルの加入者動向について 横ばい との見方が拡大自社チャンネルの全体的な加入者動向としては 現状 では 減少 (40.0%) が最も多く 続いて 横ばい (35.6%) 増加 (23.3%) の順となっている また 1 年後 については 横ばい (41.1%) が最も

平成 21 年第 1 回 ( 平成 21 年 2 月 1 日実施 ) 鳥取県企業経営者見通し調査報告 目次ヘ ーシ 御利用にあたって 1 1 業界の景気判断 3 2 自己企業の売上高判断 5 3 自己企業の経常利益判断 7 4 生産数量の判断 9 5 在庫水準の判断 10 6 生産設備の規模判断 1

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プレゼン

生活衛生関係営業の景気動向等調査 平成17年7~9月期

部品メーカーの状況 自動車部品メーカー 75 社の 2017 年度通期 (2017 年 年 3 月 ) の業績は 以下のとおりとなった 1. 決算状況 1 日本基準適用企業 63 社 ( ) 前年同期差 前年同期比 売上高 14,135,817 15,044, ,912 +

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新規文書1

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熊本商工会議所 製本第四四半期(HP用)

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2019 年 3 月期決算説明会 2019 年 3 月期連結業績概要 2019 年 5 月 13 日 太陽誘電株式会社経営企画本部長増山津二 TAIYO YUDEN 2017

Ⅱ 用語等の説明 今期の状況 来期の状況 前年同期 ( 平成 29 年 4~6 月期 ) と比べた今期 ( 平成 30 年 4~6 月期 ) の状況 前年同期 ( 平成 29 年 7~9 月期 ) と比べた来期 ( 平成 30 年 7~9 月期 ) の状況 前期平成 30 年 1~3 月期 来期平成

1. 自社の業況判断 DI 6 四半期ぶりに大幅下落 1 全体の動向 ( 図 1-1) 現在 (14 年 4-6 月期 ) の業況判断 DI( かなり良い やや良い と回答した企業の割合から かなり悪い やや悪い と回答した企業の割合を引いた値 ) は前回 ( 月期 ) の +19 から 28 ポイ

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Ⅱ 用語等の説明 今期の状況 来期の状況 前年同期 ( 平成 28 年 4~6 月期 ) と比べた今期 ( 平成 29 年 4~6 月期 ) の状況 前年同期 ( 平成 28 年 7~9 月期 ) と比べた来期 ( 平成 29 年 7~9 月期 ) の状況 前期平成 29 年 1~3 月期 来期平成

消費税増税後の仕入・販売単価に関する東北6県企業の動向調査

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ニュースリリース 農業景況調査 : 景況 平成 3 1 年 3 月 1 8 日 株式会社日本政策金融公庫 平成 30 年農業景況 DI 天候不順響き大幅大幅低下 < 農業景況調査 ( 平成 31 年 1 月調査 )> 日本政策金融公庫 ( 略称 : 日本公庫 ) 農林水産事業は 融資先の担い手農業者

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社団法人日本生産技能労務協会

2019 年 3 月期第 3 四半期決算 ご参考資料 2019 年 1 月 31 日日本通運株式会社経営企画部

【No

2. 療養型病院 (1) 機能性の状況 療養型病院 施設数 ( 施設 ) 470 病床数 ( 床 ) 利用率 90.3 在院日数 ( 日 ) 92.7 入院外来比 0.52 新患率 日平均患者数 ( 人 ) 入院 外来 床当たり医業収益 ( 千円 )

製造業3. 東北の産業構造 ( 製造業 ) (1) 製造業 1 概況 製造品出荷額等は 16 兆 7,600 億円で前年比 6.2% の増加 平成 26 年の東北地域の製造品出荷額等は 16 兆 7,600 億円で前年比 6.2% と3 年連続の増加となった また 全国に占める割合は5.5% と前年

2009年3月期 第2四半期決算説明会

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( 億円 ) 売上高 ( 億円 ) 15, 1, 金 12, 8, 額 9, 6, 営業利益 売上高営業利益率 経常利益 売上高経常利益率 当期利益 売上高当期利益 1.% 8.% 6.% 6, 4, 4.% 3, 2, 2.% '13- 上 '13- 上 '13- 上 '13- 上.% 売上高につ

I. 調査結果概況 景気判断 DI( 現状判断 ) は小幅に上昇し最高値を更新 仕入原価高止まりも客単価が上昇 10 月スーパーマーケット中核店舗における景気判断 49.1 と小幅に上昇し 2010 年 4 月の調査開始以降最高値を記録した 経営動向調査によると売上高 DI が 1.1 とはじめてプ

電通、平成24年3月期連結決算を発表

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【東南アジア経済】ASEANの貿易統計(10月号)~輸出はスマホ用電子部品を中心に高水準を維持

2 収支の状況 一般病院の収支の状況は次のとおりです 1 収益構造として 総収益に占めるの割合は96.0 に占める収入の割合は69.1 同収入の割合は26.7 でした 2 に対する費用の割合は 人件費率 52.4 前年度比 0.1ポイント増 医療材料費率 21.5 同 0.3ポイント増 給食材料費率

Ⅰ. 経営状況 A.2019 年 3 月期第 1 四半期決算の概要 1) 概要 ( 連結 ) ( 単位 : 億円 %) 2019/3 期 1Q 実績 /3 期 1Q 実績 2 額 ( 前年比 ) 3=1-2 率 ( 前年比 ) 4=3 2 X100 上期予想 (4/27 発表 ) 5 進

2014年3月期決算説明会

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四国地方 主要8行の預金・貸出金等分析(2017年第2四半期(中間期)決算)

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大分類小分類建設工事の種類 総合工事業 土木建築工事業土木工事業 ( 土木工事が完成工事高の8 割以上 ) 建築工事業 ( 土木工事が完成工事高の2 割未満 ) 設備工事業職別工事業 前記による土木一式工事 舗装工事 しゅんせつ工事 水道施設工事 造園工事建築一式工事電気工事 管工事 機械器具設置工

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企業物流短期動向調査 ( 日通総研短観 ) 調査結果 ( 抜粋 ) (2008 年 9 月調査 ) 2008 年 10 月 株式会社日通総合研究所 ホームページはこちら

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化繊輸入は 近年上昇を続けており 2016 年は前年比 10% 増の 43 万トンとなりました 素材別には ポリエステル F 長繊維不織布が中心ですが 2016 年はポリエステル S の輸入も大幅増となりました 化学繊維輸出推移 化学繊維輸入推移 生産が微減 輸出が横ばい 輸

決算サマリー 2019 年 3 月期第 1 四半期業績概要 売上高 596 億円 ( 前四半期比横ばい ) 営業利益 60 億円 ( 同 34% 増 ) 自動車向けの需要が コンデンサ中心に堅調 2019 年 3 月期業績予想 上期の業績予想を上方修正 自動車 産業機器の電子化やスマートフォンの高機

一企業当たりの事業所数は 14. 事業所 ( 前年度差.6 事業所減 ) 常時従業者数 499 人 ( 前年度比.8% 減 ) 売上高は 23.4 億円 ( 同 2.9% 減 ) 製造企業の一企業当たりの売上高は 億円 ( 前年度比 3.9% 減 ) 営業利益は 1 億円 ( 同.6%

2011年3月期決算説明会

世帯収入 DI 大幅な改善現在の 世帯収入 DI ( 増えた やや増えた ) と回答した割合から 減った やや減った と回答した割合を引いた値 ) は で前回 (11 年 6 月 :-24.6) から +6.8 ポイント上昇した 震災後に混乱していた企業のサプライチェーンが回復し生産体制

第 2 四半期累計として 連結の売上高 営業利益 経常利益 四半期純利益とも 過去最高 上期で初の売上高 1 兆円を達成 4 月 27 日に発表した連結業績予想数値との比較でも それぞれプラス 事業環境に関する認識と確認 ( 物流業界の状況 ) 国内外ともに 景気の回復基調は続き 荷動きは おおむね

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平成22年7月30日

景気見通し調査 ( 平成 25 年 3 月期 ) 調査結果 福井商工会議所 中小企業総合支援センター 調査の概要 当調査は 福井商工会議所管内の小規模事業所の短期的な景気動向を把握するため 毎年 3 月 6 月 9 月 12 月の年 4 回実施している 調査時期 平成 25 年 3 月 13 日 (

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6 月調査 (5 月実績 ) 結果概況 景気判断 DI は現状 見通し共に小幅に下降も 50 を上回る高水準を維持 5 月のスーパーマーケット中核店舗における景気判断 DI 現状判断は前月から-0.3 の 54.8 見通し判断前月から-0.9 の 51.0 となり 共に小幅な下降となったが 引き続き

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3 流動比率 (%) 流動資産流動負債 短期的な債務に対する支払能力を表す指標である 平成 26 年度からは 会計制度の見直しに伴い 流動負債に 1 年以内に償還される企業債や賞与引当金等が計上されることとなったため それ以前と比べ 比率は下がっている 分析にあたっての一般的な考え方 当該指標は 1

02 IT 導入のメリットと手順 第 1 章で見てきたように IT 技術は進展していますが ノウハウのある人材の不足やコスト負担など IT 導入に向けたハードルは依然として高く IT 導入はなかなか進んでいないようです 2016 年版中小企業白書では IT 投資の効果を分析していますので 第 2 章

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平成22年7月30日

H24/08/00

Microsoft Word 製造業 収益構造

第 1 四半期の売上収益は 1,677 億円となり 前年からプラス 6.5% 102 億円の増収となりました 売上収益における為替の影響は 前年 で約マイナス 9 億円でしたので ほぼ影響はありませんでした 事業セグメント利益は 175 億円となり 前年から 26 億円の減益となりました 在庫未実現

Results Presentation

2017年度決算説明会資料

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2018年3月期 第1四半期決算概要

病院経営動向調査の概要 2019 年 7 月 3 日 ( 水 ) 独立行政法人福祉医療機構経営サポートセンターリサーチグループ

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車両規模別 経営分析報告書平成 22 年度決算版 営業収益 営業利益は連続減 赤字体質が続く 平成 24 年 3 月 12 日 業界の 9 割を占める 1 台以下 11~2 台 21~5 台 の 約 6 割 (1,26/2,135 社 ) が営業赤字 経常利益は黒字を維持したが 小規模層では連続して赤字 貨物運送事業の営業収益 営業利益率の推移 (1 社平均 ) 区分 営業収益 ( 千円 ) 営業利益率 (%) ~ 厳しい経営環境続く ~ 2 年度 21 年度 22 年度 2 年度 21 年度 22 年度 ( 2.4) ( 3.4) ( 1.5) 全体 1.3.4.7 22,5 195,61 192,178 ( 2.4) (.4) (1.1) ~1 台 4.7 3.6 3.2 49,311 49,134 49,656 ( 1.4) (.8) (.4) 11~2 2.8 1.4 1.5 132,71 131,61 131,6 21~5 ( 1.1) ( 3.9) (.1) 297,279 285,618 285,456 1. 1.2.7 ( 5.2) ( 7.) (.8) 51~1.1 1.2 642,912 597,645 592,896 ( 1.) ( 2.) (.9) 11 以上.5.2.7 1,143,118 1,12,542 1,11,899 注 : 営業収益のカッコ内は前年度比伸び率 単位 % はマイナス.6 全日本トラック協会は 平成 22 年度決算版経営分析報告書をまとめた この報告書は平成 4 年度から発行しているもので 今回で 2 回目となる 全国の事業者 2,37 社 ( 有効数 ) から提出された 一般貨物自動車運送事業報告書 により平成 22 年度の決算内容を分析した トラック運送事業においては 営業赤字企業の割合が過半数を占める状況が続いており 平成 22 年度は 58%(1,333 社 ) と前年度に比べ増加した 特に車両 1 台以下 (728 社 ) では 6 割を超えて (456 社 ) 推移している また トラック運送事業の売上げに当たる平成 22 年度の営業収益 ( 貨物運送事業収入 ) は 1 社平均 192,178 千円で 前年度に比べマイナス 1.5% と 5 年連続して減少し 営業利益率はマイナス.7% で 4 年連続の赤字となった トラック運送業界は 国内の景気回復の遅れによる輸送量の低迷や 軽油価格の再上昇に加え 安全 環境対策に係るコスト増といった厳しい局面に置かれ 多くの中小事業者が事業存廃の岐路に立たされているというのが実態である トラック運送事業者がこうした厳しい経営環境の中で生き残りを図っていくためには 適正運賃の実現に向けた 国の検討への積極的な対応並びに取組みが極めて重要な課題となっている 1

全ト協調査 平成 22 度決算版 トラック運送事業の経営実態 全日本トラック協会は全国のトラック運送事業者 2,37 社 ( 有効数 ) の平成 22 年度事業報告書に基づき集計 分析した 経営分析報告書 ( 平成 22 年度決算版 ) をまとめた 全日本トラック協会が平成 4 年度から発行しているこの報告書は 会員事業者が自社の現状を客観的に把握し 今後の経営改善に資する指標を提供するもので 希望者には全国や県内の同規模事業者と比較し 問題点とその改善策をまとめた 企業診断書 を作成している 売上高 ( 営業収益 ) の状況 平成 22 年度は 世界経済の回復を背景に輸出が回復し またエコカー補助金や家電エコポイント制度などの政策効果もあり 年度前半は緩やかな回復軌道を辿った しかし年度後半には 円高の進行や政策効果の一巡などから 景気回復にブレーキがかかり さらに 3 月には東日本大震災が発生し 国内の経済活動全体が大きく落ち込んだ こうした情勢下 トラック運送業界では輸送量の低迷が続き 平成 22 年度の売上高 ( 兼業分を含む全売上高 1 社平均 ) は 193,914 千円と 前年度の 197,33 千円に比べて 1.6% の減収となった うち貨物運送事業収入 (1 社平均 ) も 192,178 千円と 前年度の 195,61 千円に比べて同じく 1.5% 減少し 全売上高 貨物運送事業収入ともに 5 年連続の減収となった < 売上高 ( 貨物運送事業収入 ) の推移 > (1 社平均 : 百万円 ) 22 21 23.9 22. 2 197. 195.1 193.9 192.2 19 18 売上高 貨物運送事業収入 2

貨物運送事業収入 (1 社平均 ) を車両規模別に見ると 規模の大きいところでは微減 小さいところでは微増となった 減少したのは 11 台以上 ( 前年度比マイナス.9%) 51~1 台 ( 同マイナス.8%) 21~5 台 ( 同マイナス.1%) で 一方 1 台以下 ( 同プラス 1.1%) 11~2 台 ( 同プラス.4%) は増加した 地域別に見ると 多くの地域で前年度に比べ減少しており 厳しい状況が窺われる 特に 北陸信越 ( 同マイナス 5.%) 四国 ( 同マイナス 5.3%) の減少幅が大きく 全 9 地域のうち 6 地域で減少となった なお 平成 22 年度の輸送トン数 (1 社平均 ) は 63,141 トンで 前年度の 6,571 トンに比べて 4.2% 増加した ただ 上記の売上高の減少を勘案すると 輸送トン当たり売上は減少が続いており 単価水準は厳しい状況にあったことがうかがわれる 7. < 輸送トン数の推移 > (1 社平均 : 千トン ) 65. 6. 6.6 63.1 55. 5. 5.6 45. 4. 全日本トラック協会が四半期ごとに実施している トラック運送業界の景況感調査 により一般貨物の 営業収入 輸送数量 運賃料金水準 の判断指標の推移を見ると 2 年度後半までは世界経済の後退の影響から悪化していたが 21 年 4-6 月期から徐々に水準が上昇し 22 年にはほぼ悪化前の水準に戻った しかしながらその水準は依然としてマイナスであり さらに 23 年 3 月には東日本大震災の影響もあり再び悪化している 2 トラック運送業界の景況感 営業収入輸送数量運賃料金 -2-4 -6-8 -1-12 H.12 年度 H.13 年度 H.14 年度 H.15 年度 H.16 年度 H.17 年度 H.18 年度 H.19 年度 H.2 年度 H.21 年度 H.22 年度 H.23 年度 3

採算 ( 利益 ) の状況 営業利益率平成 22 年度の売上高営業利益率はマイナス.6% と 4 年連続して営業赤字となり 前年度のマイナス.3% からやや悪化した 貨物運送事業の営業収益営業利益率もマイナス.7% となり 前年度のマイナス.4% からやや悪化した 営業利益は 19 年度以降 営業収益が減少する一方 燃料価格が高水準にあることから 各企業の経費節減など懸命な経営努力も及ばず マイナスが続いている 22 年度も 燃料価格が再度上昇したため営業利益のマイナス幅が拡大した 貨物運送事業の実際の営業損益額 (1 社平均 ) はマイナス 1,49 千円で 前年度の営業損益額 ( 同 ) マイナス 87 千円に比べマイナス幅が拡大し 経営は引き続き厳しい状況にある < 売上高 ( 営業収益 ) 営業利益率の推移 > (1 社平均 :%).5 -.5-1 -.3 -.4 -.6 -.7-1.5-1.3-1.3 売上高営業利益率 営業収益営業利益率 営業収益営業利益率は前年度に比べて.3 ポイント低下したが その要因は 営業収益が前年度比マイナス 1.5% となったのに対し 営業費用 ( 運送費 + 一般管理費 ) の減少幅が前年度比マイナス 1.2% にとどまり 営業費用が収益ほどには減少しなかったことによるものである 営業費用の大部分を占める運送費用を見ると 燃料油脂費が前年度比プラス 11.9% と大きく増加した一方 人件費 ( 同マイナス 2.3%) 減価償却費 ( 同マイナス 7.7%) などは減少した この間 コスト削減にもかかわらず燃料費が増加したため収支が圧迫され 営業利益率の低下をもたらしたものと思われる 営業収益営業利益率を規模別に見ると 11~2 台 51~1 台 で利益率が低下した また 1 台以下 では前年度のマイナス 3.6% から 22 年度はマイナス 3.2% と上昇したものの 他の規模と比較して大幅なマイナスが続いた 規模の小さいところでは総じて営業赤字の状態にあり 特に 1 台以下 11~2 台 では 1 年以上も赤字が続くなど 厳しい経営を余儀なくされている 地域別に見ると 全ての地域が営業赤字となった また 6 地域で前年度より利益率が低下し 上昇したのは 3 地域であった 特に低下幅が大きかったのは九州 ( 前年度比 1.5 ポイント低下 ) で 以下 北海道 東北 ( いずれも同 1.3 ポイント低下 ) となっており 一方 上昇幅が大きかったのは中部 ( 同 1.2 ポイント上昇 ) で 関東 ( 同.7 ポイント上昇 ) 近畿 ( 同.9 ポイント上昇 ) も上昇している 営業利益率については 全地域が赤字となる中で 地方圏では低下し大都市圏では上昇する傾向が見られる 経常利益率平成 22 年度の売上高経常利益率はプラス.5% となり 前年度のプラス.9% から.4 ポイント低下したが 黒字を維持した うち貨物運送事業の営業収益経常利益率は同じくプラス.4% と前年度のプラス.7% から.3 ポイント低下した これは燃料価格の上 4

昇により営業収益営業利益率が.3 ポイント低下したことが影響している 貨物運送事業の実際の経常損益額 (1 社平均 ) は 764 千円の黒字で 前年度の 1,272 千円から減少した 17 年度以降 2 年度まで経常減益が続き 21 年度にようやく増益となったものの 22 年度は再び減益に転じた < 売上高 ( 営業収益 ) 経常利益率の推移 > (1 社平均 :%) 1..8.6.4.2. -.2 -.4 -.6 -.8-1..9.7.5.4 -.8 -.8 売上高経常利益率 営業収益経常利益率 規模別に見ると 11 台以上 がプラス 1.6%( 前年度はプラス.3%) と前年度よりも上昇した他は 全ての規模で低下か横ばいとなった また 1 台以下 はマイナス 1.4%( 同マイナス 1.3%) で営業利益率と同様 1 年以上連続して赤字 11~2 台 もマイナス.2%( 同マイナス.2%) と 17 年度以降 6 年連続の赤字となっている 地域別に見ると 前年度は全地域で経常利益率が上昇したが 22 年度は一転して 6 地域で低下し 上昇したのは関東 中部 近畿の 3 地域であった 各地域とも赤字にはならなかったが 東北 北陸信越はともに.% まで利益率が低下した 利益計上 ( 黒字 ) 企業割合平成 22 年度の貨物運送事業の利益計上 ( 黒字 ) 企業の割合を見ると 営業利益計上企業割合は 42%( 集計対象事業者 2,37 社中 974 社 ) で 前年度の 48% から 6 ポイント低下し 経常利益計上企業割合は 56%(2,37 社中 1,292 社 ) と前年度の 61% から同じく 5 ポイント低下した 営業赤字企業の割合は過半数を占める状況が続いており 平成 22 年度は 58% と前年度に比べ増加した < 黒字企業割合の推移 > ( 貨物運送事業 :%) 7 6 5 4 3 2 38 45 48 61 42 56 1 営業利益 経常利益 5

規模別に見ると 全ての規模で営業黒字企業割合が低下した なお 1 台以下 では赤字企業割合が 63% と 6 割を超え 11~2 台 では同 59% 21~5 台 では同 55% となっており 規模が小さいところでは依然として営業赤字企業が過半数を占めている また 経常黒字企業割合においても規模が小さいほど黒字企業割合が低い傾向がみられ 規模が小さいところでは経営環境が厳しい状況にある 地域別では 概ね地方圏では営業黒字企業割合が低下し 大都市圏では上昇した ただ 大都市圏も含め全ての地域で 5% を下回っており 総じて各地域とも経営環境は厳しいといえる 最も低いのは東北 (36%) であった 既に見たように 22 年度は営業収益 ( 貨物運送事業収入 ) の減少が続く中で 原油価格の上昇により燃料費負担が増加するなど 収益面で非常に厳しい状況にある このような厳しい環境において 個別企業は合理化を推進し 日々懸命に経営努力を続けているが 懸命なコスト削減努力にもかかわらず全ての地域で営業赤字企業が過半数を占めていることは 業界を取り巻く環境がかつて経験したことのないほど厳しくなっていることを顕著に表している 前掲の トラック運送業界の景況感調査 により 経常損益 に関する判断指標の推移を見ると 2 年度後半までは悪化が続いていたが 21 年 4-6 月期には下げ止まり 22 年 1-3 月期には悪化前の水準に戻り 22 年中はほぼ横ばいの推移となった ただし水準自体は依然として水面下で 悪化 の水準にあり 厳しい状況が続いている点は変わりない また 業界の景況感は経常損益より下げ幅が大きく 業界の存立基盤を不安視していることがうかがわれる さらに 23 年 3 月の東日本大震災発生後は国内の経済情勢が急激に悪化しており 先行きも懸念材料が多く 業界を取り巻く環境は今後も厳しい状況が続くものと思われる 経常損益と景況感 経常損益 景況感 2-2 -4-6 -8-1 -12-14 -16 H.12 年度 H.13 年度 H.14 年度 H.15 年度 H.16 年度 H.17 年度 H.18 年度 H.19 年度 H.2 年度 H.21 年度 H.22 年度 H.23 年度 6