新しい内科専門医制度について 一般社団法人日本内科学会認定医制度審議会 高知大学血液 呼吸器内科横山彰仁 1
人口の高齢化と慢性疾患数 Barnett K, et al. Lancet 2012 方法 : スコットランド全人口の 1/3 に当たる 175 万人につき 40 の併存症を調査 2
医療の顕著な高度化 大学内科学教室 大病院内科の細分化 内科領域の現状 医師不足 偏在 呼吸器循環器 ( 冠動脈 不整脈 ) 消化管肝胆膵内分泌代謝 糖尿病神経感染症血液腎臓アレルギーリウマチ 膠原病腫瘍心療 ( 心身症 ) 総合 地域のニーズ 内科一般 ( 総合内科 ) ( 循環器 ) ( 呼吸器 ) ( 消化器 ) 幅広い内科研修の充実 3
主病名で主治医として経験を積む内科領域の研修の現状 内科認定医 = 初期研修 2 年 + 内科 1 年 しかも内科研修は臓器別専門病棟が多い 認定医試験 : 併存症を主としたサマリー 狭い専門に偏った研修 専門病院外でも狭い専門分野しか診ない内科医が増加 地域とミスマッチ General な内科研修が不足しているのではないか? 4
新内科専門医の活躍の場と役割 より幅広い総合内科的能力をもつ 1. 地域医療における内科領域の総合診療医 ( かかりつけ医 ) 4. 総合内科的視点を持った subspecialist 2. 内科系初期救急医療の専門医 3. 病院での総合内科 (generality) の専門医 内科専門医には様々な活動の場と役割が求められ,1 人がそれらを兼ね備えることもある. 5
かかりつけ医としての領域専門医と比較した総合診療専門医の特徴 地域を診る : 地域で足りない固有の問題を補う (ex. 産科医がいなければ妊婦健診を行う ) 専門外との 言い訳 をせず 患者と付き合う 上記に誇りをもつ 専門外 がない診療能力を涵養するが 広汎すぎる ( 内科 小児科 救急 産婦人科 耳鼻科 泌尿器 眼科 etc.) 3 年間の到達レベルを高く設定するのは現実的でない 6
内科領域の 6 か月 ( 必修 ) 総合診療のプログラムは極めて多様性に富むため 総合診療プログラムの統括責任者と内科の指導医が事前に話し合って 研修内容を明確にしておく 基本的に内科領域研修は 内科の専攻医と同等の研修とする 入院診療を中心とする 総合診療専門医と内科領域のカリキュラムがかなりの重なりがあり 同じ疾患でも総合診療研修では外来が主になりやすい したがって 内科での研修においては入院診療の経験を重視し 主担当医として 20 症例を目安としている 研修記録の作成は 内科専攻医と同じwebシステムを用いる 最終評価には病歴評価を含めて 内科専攻医と同様の評価を行い 総合診療プログラム責任者に報告する 指導は内科指導医資格を有する者が行う 1 人の指導医は同時に 3 名の専攻医を受け持つことが出来るが 地域の事情によっては 3+1 名まで認める 7
新制度 : 新 内科指導医の医師像 内科専門医の能力に加え, 次記の教育者 指導医 研究者の能力を有する内科医 1. 卒前教育, 研修の担い手としての一般内科の指導医 2. 地域における内科系診療ネットワークのリーダー, 生涯教育の担い手 3. 臨床医学の横断的領域として内科学を総合的に捉える研究者 役割ではなく資格として認定現行の日本内科学会の定める指導医については 内科系 subspecialty 専門医資格を 1 回以上の更新歴がある場合 これまでの指導実績から 移行期間 (2025 年まで ) においてのみ指導医と認める 8
新制度の概要と移行 2014 年度から 認定内科医の更新 1 回以上 現在も内科に従事 という条件で 病歴要約の提出を免除する措置を実施している 2015 年は 7000 名を超える受験者となっている. 2018 年まで実施予定 2019 年まで実施予定 2025 年以降は新指導医のみ 9
研修プログラム体制について (1) 1) 施設群の構成が求められ, 研修プログラム管理委員会が統括する ( 項目 25~26,34~40) 地域医療, 地域連携の重視 ( 項目 28~29) 専門研修施設群 専門研修基幹施設 研修プログラム管理委員会統括責任者管理者 専門研修連携施設 専門研修連携施設 専門研修特別連携施設 研修委員会委員長 研修委員会委員長 研修委員会委員長 地域 多施設参加型カンファレンス CPC 医療倫理研修会 医療倫理研修会 医療倫理研修会 JMECC 医療安全研修会 医療安全研修会 医療安全研修会 10 イメージ図
研修プログラム体制について (1) 1) 施設群の構成が求められ, 研修プログラム管理委員会が統括する ( 項目 25~26,34~40) 地域医療, 地域連携の重視 ( 項目 28~29) 外形基準のない研修施設自治医大 地域枠に配慮 専門研修施設群 専門研修基幹施設 研修プログラム管理委員会統括責任者管理者 専門研修連携施設 必ず複数施設で研修すること! 専門研修連携施設 専門研修特別連携施設 研修委員会委員長 研修委員会委員長 研修委員会委員長 地域 多施設参加型カンファレンス CPC 医療倫理研修会 医療倫理研修会 医療倫理研修会 JMECC 医療安全研修会 医療安全研修会 医療安全研修会 11 イメージ図
新しい研修カリキュラムの整備 2011 年に策定した 研修カリキュ ラム 2011 を基盤に 新しい内科 専門医のための研修カリキュラムの 整備を進めている グレード (A B C) を知識 技術 症例に分けて設定 研修カリキュラムに収載された 症例 区分を抽出したものを 研修手帳 技 術は 技術 技能評価手帳 として整備 する 12
新しい研修カリキュラムの整備 日本肝臓学会 日本消化器病学会 日本老年医学会 日本糖尿病学会 日本循環器学会 日本内分泌学会 内科系の Subspecialty 学会とも協議を重ね より良いカリキュラムの作成を目指しました 日本腎臓学会 日本呼吸器学会 日本血液学会 日本神経学会 日本アレルギー学会 日本感染症学会 日本リウマチ学会 13
研修手帳 ( 研修ログ ) について 研修カリキュラムに収載された 症例 区分を抽出したものを 研修手帳 として整備 この中から 1 症例以上の経験を要する カテゴリ 67+3のカテゴリに分類され 主病名で各カテゴリ最低 1 症例を主治医として経験することが 新しい内科専門医を受 験する上での条件となる 14
研修手帳 ( 研修ログ ) について 研修カリキュラムに収載された 症例 疾患グレードは区分を抽出したものを 研修手帳 とし削除て整備 この中から 1 症例以上の経験を要する カテゴリ 67+3のカテゴリに分類され 主病名で各カテゴリ最低 1 症例を主治医として経験することが 新しい内科専門医を受 験する上での条件となる 15
プログラム指導医研修手帳サーバ 研修状況の可視化 (WEB 研修手帳 ) 日本内科学会専攻医登録評価システム ( 仮称 ) 専攻医の マイページ 指導医の マイページ 研修プログラム 専攻医 症例経験の登録 200 症例以上 研修手帳 ( ログ ) 評価 確認 研修全体を可視化する 16
査読委員指導医研修 ログラム卒後 5 年目以降 病歴要約について やり直し請求 あまりに出来が悪いと一発不合内科専門医ボード格もあり! ( 内科学会専門医による ) 査読 専攻医 研修手帳 ( ログ ) 病歴要約 ( 症例 ) を 29 症例分提出 合格 確認ププログラム すべてのやりとりは研修手帳サーバ上で行われる 卒後 6 年目以降 17 ( 最短で卒後 5 年間の研修 )
専攻医登録評価システム ( 仮 ) 画面イメージ例 ) 病歴要約作成画面 ( 専攻医用 ) 18
専攻医登録評価システム ( 仮 ) では 受け持ち症例, 病歴要約など研修内容をシステム登録 1) プログラムの達成状況が把握できる. ( 専攻医個人レベルでも, 全国レベルでの動向も把握できる ) 2) 研修の中断や変更もきちんと管理され, 再開も容易である. 評価は, 指導医 専攻医の一方通行ではない 多職種評価に加え, 専攻医からの指導医, そしてプログラム評価もある. 19
JMECC CPC の実施 CPC 20
JMECC CPC の実施 JMECC は全員受講させる剖検例は専攻医人数分は必要! CPC 21
危惧 批判されてきた点 内科学会会員 : 領域間の問題 - 内科の終了要件は厳しすぎ 他領域に専攻医が流れ 内科専攻医が減少する 女性の出産 子育てに影響する サブ領域 : サブ専門医の取得が遅れ 専門医が不足する 地方 : 都会に専攻医が集中し 医療崩壊が進む 一般病院 : 大学の復権? が進み 弊害の悪夢が再来する 大病院 : 単一施設で十分な研修が可能なのに 他施設と組 む必要があるのは 専攻医の教育を真には考えていない 中小病院 : 基幹施設にならないと専攻医が来ない 大学 各病院 各領域 地域からの批判が渦巻いている 研修医 ( 専攻医 ) からはどう見えているのか 22
内科専門研修の目標と修了要件 (1) 項目 3~16,52~53 1. 目標 ( 専門研修期間 3 年 ) 主担当医として200 症例以上 内科領域全 70 疾患群を受け持つ. そして専門研修 3 年目に29の病歴要約の提出と受理 70 疾患群の内訳は 研修手帳 ( 疾患群項目表 ) に記載. 29 病歴要約の内訳は 専門研修プログラム整備基準 17 頁に記載. 専攻医の generality 向上のため, 各研修プログラムにはこの目標達成を望む 但し, 内科全領域にわたる疾患群の経験は困難であるとの一部指摘もあり, 現在の研修状況に則した検証を行い, 修了要件を見なおした. 23
内科専門研修の目標と修了要件 (2) 項目 3~16,52~53 2. 修了要件 主担当医として160 症例以上 内科領域 56 疾患群以上を受け持つ. そして専門研修 3 年目に29の病歴要約の提出と受理 受け持ち症例には外来症例を全体の1 割含めることを認める. 病歴要約では29 症例のうち7 症例まで外来症例を認める. 56 疾患群の内訳は 専門研修プログラム整備基準 17 頁に記載. 3. その他の修了要件 ( 項目 21,53 を参照 ) 所定の 2 編の学会発表または論文発表 ( 項目 12) JMECC の受講 ( 項目 14) 各研修プログラムで定める講習会の受講 ( 項目 12,14) 指導医とメディカルスタッフによる 360 度評価に基づき 医師としての適性に疑問がないこと ( 項目 21,22) 24
内科専門研修の目標と修了要件 (2) 項目 3~16,52~53 2. 修了要件 主担当医として 160 症例以上 内科領域 56 疾患群以上を受け持つ. そして専門研修 3 年目に 29 の病歴要約の提出と受理 3 年目以降の症例で不足す 受け持ち症例には外来症例を全体の1 割含めることを認めるる場合 初期臨床研修中に. 病歴要約では29 症例のうち7 症例まで外来症例を認める経験した症例のうち 主担当. 医として専攻医のレベルと同 56 疾患群の内訳は 専門研修プログラム整備基準 17 頁に記載. 等以上の適切な考察を行っていると指導医が確認できる場合に限り 最低限の範 所定の2 編の学会発表または論文発表囲で登録を認めます ( 項目 12) 3. その他の修了要件 ( 項目 21,53 を参照 ) JMECC の受講 ( 項目 14) 各研修プログラムで定める講習会の受講 ( 項目 12,14) 指導医とメディカルスタッフによる 360 度評価に基づき 医師としての適性に疑問がないこと ( 項目 21,22) 25
内科研修の在り方について ( 内科一般コース ) 内科研修 (1 年目 ) 内科研修 (2 年目 ) 内科研修 (3 年目 ) サブスペ研修 (1 年目 ) サブスペ研修 (2 年目 ) サブスペ研修 (3 年目 ) 基本領域研修開始 内科専門医試験 サブスペ研修登録開始 サブスペ専門医試験 内科一般コースは, サブスペ重点コースに比べ, 更にジェネラルな研修を積むことにより, より内科全般の一層の充実が図られる. そして基本領域研修中の症例をサブスペ研修の症例として取り込むことが認められるが, サブスペ専門医の研修修了には時間を有する可能性もある. 26
内科研修 (1 年目 ) 内科研修の在り方について ( サブスペ重点コース ) 内科研修 (2 年目 ) 内科研修 (3 年目 ) ( サブスペコース ) サブスぺ領域では ( 基本が3 年であれば ) 最短 2 年のプログラムも作成される予定 内科研修 ( サブスペコース ) サブスペ 研修 サブスペ研修 基本領域研修開始 オーバーラップ研修については, 内科研修とサブスペ研修とをつなぐ, チューターを立てることにより, サブスペの研修レベルについてもチェックをかける. そしてサブスペ研修の 1 年目に相当する研修が修了していると確認できれば, これをサブスペ 1 年目の研修修了とみなす. なお, サブスペコースの 1 年間は内科研修の期間中, 任意に設定できる. 内科専門医試験 サブスペ研修登録開始 サブスペ専門医試験 27
試験合格専門医試従来より最短では取得に 1 年余分に時間がかかる 内科専門医研修とサブ領域専門医研修について 内科専門医取得前 師国家後 4 年 初期臨床研修 2 年医基本領域後期臨床研修 ( 専攻医 ) 2 年 Subspecialty 領域後期臨床研修 ( 専攻医 ) 指導医研修期間 3 年新 内科専門医病歴提出卒後 5 年 査読 新 内科専門医筆記試験卒 卒後 8 年 サブスペシャルティ験内科専門医取得後新 内科指導医筆記試験サブ領域研修は内科研修として 3 年間のうち任意の 12 か月可能 サブ領域研修開始は内科終了後 サブ領域専門医は 2 年間のコースも設定可能 28
最短 (~7 年目 ) の専門医取得者の割合男女別 3 年間合計 (2010~2012) 消化器 男 17.3%(267/1541) 女 25.4% (89/350) 肝臓 男 10.6%(110/1038) 女 18.9% (28/148) 呼吸器 男 14.5%(85/587) 女 23.9% (42/176) 糖尿病 男 18.1%(86/475) 女 21.4% (60/280) 腎臓 男 8.2%(38/463) 女 9.2% (21/228) 神経 男 38.2%(168/439) 女 46.2%(75/162) 血液 男 20.2%(73/361) 女 26.5% (39/147) 内分泌 / 代謝 男 14.4%(20/139) 女 24.2%(16/66) 男性の 8-9 割 女性では 7-8 割は最短で取得できていない 29
認定医試験受験者 卒後年数の平均値 2014,2015 年度 149.5 88.5 307 286.5 608 1557 4 年目 5 年目 6 年目 7 年目 8 年目それ以上 今後は殆どが 5 年間で基盤専門医を取得する? 8 年目までの取得者数の増加を期待したい 30
おわり ご清聴ありがとうございました! 31