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Transcription:

九州大学学術情報リポジトリ Kyushu University Institutional Repository 在日中国人留学生における対人的自己効力感が対人ストレスコーピングに及ぼす影響 陳, 香蓮九州大学大学院人間環境学府 Chen, KaoruRen Graduate School of Human-Environment Studies, Kyushu University https://doi.org/10.15017/20083 出版情報 : 九州大学心理学研究. 12, pp.113-120, 2011-03-31. 九州大学大学院人間環境学研究院バージョン :published 権利関係 :

九州大学心理学研究 116 第12巻 2011 合うことができると思う 等の4項目の因子負荷が高かっ 問関係を成立 改善 維持するため努力する機能を有す たため 友人への信頼 と命名した この因子は自分 ることから この因子を ポジティブ関係コーピング にとっての友人の必要性を肯定的に捉える項目で構成さ と命名した 第ll因子は 話をしないようにした か れた 因子寄与率は45 30 であった 信頼性分析を行っ きたといえる かわり合わないようにした など10項目に高い因子負 荷量を示しており 人間関係を積極的に放棄 崩壊する 機能を有する項目からなり ネガティブ関係コーピン 2 対人的自己効力感尺度の性差の検討 にした そのことにこだわらないようにした など4 た結果 信頼性係数はα 87であり 信頼性は確認で グ と命名した 第皿因子に関しては 気にしないよう 中国語版の対人的自己効力感尺度の男女の性差を検討 するために 性別を独立変数 対人的自己効力感の下位 項目に高い因子負荷量を示しており 人間関係によって 生じるストレスフルな出来事を問題賦することもなく 尺度の得点を従属変数として t検定を行った その結 むしろ 軽視し 問題から回避するような項目によって 果 対人的自己効力感の得点において男子と女子の問に 構成されていたため 解決先送りコーピング と命名 有意な差が見られた t 155 一 1 990 p 05 対人 した 因子寄与率は46 31であった 信頼性分析を行っ 的自己効力感下位尺度く対人スキルへの自信 の得点に た結果 信頼性係数はα 84であり 信頼性は確認で おいて男子と女子の間に有意な差は見られなかったが きたといえる 友人への信頼 とく友人からの信頼 で男女の間に有 意な差が見られた t 155 一2 253 p 05 t 155 一2 086 p 05 対人的自己効力感のどの側面が対人スト1 スコーピン 日旧 20 4 対人的自己効力感が対人ストレスコーピングに 与える影響 Fig 1 o グに影響を及ぼしているのかを明らかにするため ポ 男 ジティブ関係コーピング ネガティブ関係コーピン 女 グ 解決先送りコーピング を目的変数にし 対人的 自己効力感尺度の3つの下位尺度を説明変数とする重回 15 帰分析を行った Fig 2 まず ポジティブ関係コーピング に関して 対 10 人スキルへの自信 β 534 p 05 友人から の信頼 βニ 547 p 05 が正の影響を示していた 5 一方 ネガティブ関係コーピング については 友 人からの信頼 β 一 251 p 01 が負の影響を示 o 対人スキルへの自信 友人からの信頼 友人への信頼 Fig 1在日中国人留学生の対人的自己効力感尺度の した 解決先送りコーピング については 対人的自 己効力感の各下位尺度がいずれにも影響していなかった 男女平均得点 IV 3 対人ストレスコーピング尺度の因子分析 対人ストレスコーピング尺度に関して まず34項目 の平均値 標準偏差を算出した そして 天井効果およ びフロア効果見られない全項目に対して因子分析を行っ た その結果 固有値の変化や因子の解釈等の点から3 考 察 1 在日中国人留学生の対人的自己効力感尺度の 特徴について 対人的自己効力感尺度の因子分析の結果 Table 1 は 対人スキルへの自信 友人からの信頼 因子解が適当と判断した 3因子に対する負荷量が 40 友人への信頼 の3因子が抽出された 対人スキル に満たなかった項目や二重負荷の項目等を削除し 残っ への自信 因子は5項目から構成され 友人からの信 た項目で再度因子分析を行い 最終的に29項目を採択 した 結果をTable 2に示す 因子負荷量の 40以上の 項目から構成されている 項目を参考に 各因子を以下のように命名した 頼 因子は4項目から構成され 友人への信頼 は4 因子分析によって対人的自己効力感が3つの因子から 第1因子は この経験から何かを学んだと思った 成り立つことが分かったのだが その3つについてより これも社会勉強だと思った などストレスフルイベン 深く検討すると まずく対人スキルへの自信 因子は対 トを肯定的に捉える項目 相手のことを良く知ろうと 人関係において必要な基本的なスキルを獲得しているか した などイベントを生み出した相手に配慮する項目な またはそれらに関する自信のことであり 友人からの どを含んでいる これらの項目は 積極的に肯定的な人 信頼 因子は友人から自分自身が必要とされ 信頼され

九州大学心理学研究 118 対人スキルへの自信 ポジティブ関係コーピング R2 30 第12巻 2011 ら構成されている 加藤 2000 の対人ストレスコーピング尺度の ポジ 19 30 友人からの信頼 42 ネガティブ関係コーピング R2 20 友人への信頼 ティブ関係コーピング 因子にある 自分の存在をアピー ルした 積極的にかかわろうとした 二つ項目は負荷 解決先送ljコーピング R2 02 Pく 05 P Ol Fig 2対人的自己効力感と対人ストレスコーピングの 重回帰分析結果 量が 40に満たなかったため 削除した その原因とし ては中国語に翻訳され 意味では違和感を生じると考え られる 訳文はさらに検討を加える必要がある また ネガティブ関係コーピング の項目 相手を悪者にし た が削除された 相手を悪者にした は5点件法で 2 在日中国人留学生の対人的自己効力感の 性差について 対人的自己効力感尺度における因子得点の性差を検討 少し当てはまらない から 全然当てはまらない を 選んだ人は91 1 であった 対人ストレスがあったとし ても 相手を悪者にした中国人留学生の数が少ないこと した結果 友人からの信頼 友人への信頼 につ がわかった そして 解決先送りコーピング の 自 いては いずれも男子より女子の方が高いことが示され 分は自分 人は人と思った 項目の負荷量が ネガティ た Bandura 1971 は自己効力感には本質的に性差が ブ関係コーピング 因子との負荷量より低かったため 見られないとしているが 近年さまざまな研究において 三国人留学生は 自分は自分 人は人と思った という は 対人的自己効力感の性差については 女子の対人的 対人ストレスコーピングはネガティブ関係コーピングだ 自己効力感が男子よりも高いという報告が多い 松島 と考えるのではないかと思われる しかし 負荷量は 2000 本研究においては 在日中国人留学生の場合は 40に満たなかったため ネガティブ関係コーピング 女子は男子より高い対人的自己効力感を持っており 因子にも入れないという結果であった 友人への信頼 とく友人からの信頼 の二つの効力感 が男子より高いことがわかった また 佐藤 菅原 2007 は 他者に対する信頼は男 子よりも女子の方が高い と述べている さらに 榎本 4 対人的自己効力感が対人ストレスコーピングに 与える影響について 重回帰分析により 対人スキルへの自信 友人 1999 は 友人関係の感情の側面について 中学生 からの信頼 が ポジティブ関係コーピング に正の影 高校生から大学生までの発達の変化について検討してい 響を与えていた 一方 友人からの信頼 が ネガティ るが 友人を信頼し かつ友人との間で安定感を保った ブ関係コーピング に負の影響を示していた 解決先 表面的な感情に関する信頼 安定因子については 女子 送りコーピング については 対人的自己効力感の各下 の得点また友人への欲求について全体的に女子の方が男 位尺度のいずれにも影響を与えていなかったことが明ら 子より高く 女子の方が友人に求める気持ちが強いこと かになった を示している これらの結果は 本研究における女子の ほうはく友人への信頼 得点の高さにつながっていると つまり 在日中国人留学生はく対人スキルへの自信 が高いほど 対人ストレスがあった時に対人的スキルに 思われる 対人関係領域では アジアからの留学生にお 自信を持ち 対人ストレスを積極的に解決しようとする いては女子の方が男子より高い被援助志向性があること ポジティブ関係コーピング を使用しやすいと推測さ が示された 水野 石隈 2000 被i援助志向性高い女 れる また 中国人留学生同士との対人葛藤などを起こ 子留学生は 私にとって友人は頼りになるものだと思 すとしても 友人からの信頼 のような 自分が友人 う という友人への信頼感が男子より高い それらの結 に信頼されているという対人的自己効力感を持つことで 果は 本研究における女性のく友人からの信頼 友 このような信頼感を保つ為に何かの積極的な対処を選ぶ 人への信頼 得点の高さにつながっていると思われる のかもしれない このことから ネガティブ関係コー 3 在日中国人留学生の対人ストレスコーピング尺度の の自信 を持つだけでは十分でなく 友人に信頼されて ピング を避けようとするには 必要なく対人スキルへ 特徴について 翻訳された対人ストレスコーピング尺度の因子分析の いるという期待や自信も必要であると言える 対人関係 の開始や維持に有効である対人的自己効力感を高めるこ 結果は ポジティブ関係コーピング ネガティブ関 とが 申国人留学生同士の良い対人関係を構築していく 係コーピング 解決先送りコーピング 3因子が抽出 一助となると考えられる された ポジティブ関係コーピング 因子は15項目か 以上のことから 在日中国人留学生の友人関係におけ ら構成され ネガティブ関係コーピング 因子は10項 る自己効力感を高めること ネガティブ関係コーピン 目から構成され 解決先送りコーピング は4項目か グ の使用を避け ポジティブ関係コーピング を選