り込んで獲得するものではなく 探究の過程を通して 自分自身で取捨 選択し 整理し 既にもっている知識や体験と結び付けながら 構造化され 身に付けていくものである そして こうした過程を経て獲得された知識は 実社会 実生活における様々な課題の解決に活用可能な生きて働く知識 すなわち概念として形成されて

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第4章 道徳

7 本時の指導構想 (1) 本時のねらい本時は, 前時までの活動を受けて, 単元テーマ なぜ働くのだろう について, さらに考えを深めるための自己課題を設定させる () 論理の意識化を図る学習活動 に関わって 考えがいのある課題設定 学習課題を 職業調べの自己課題を設定する と設定する ( 学習課題

考え 主体的な学び 対話的な学び 問題意識を持つ 多面的 多角的思考 自分自身との関わりで考える 協働 対話 自らを振り返る 学級経営の充実 議論する 主体的に自分との関わりで考え 自分の感じ方 考え方を 明確にする 多様な感じ方 考え方と出会い 交流し 自分の感じ方 考え方を より明確にする 教師

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小中学校表紙(新)

エコポリスセンターとの打合せ内容 2007

Ⅰ 評価の基本的な考え方 1 学力のとらえ方 学力については 知識や技能だけでなく 自ら学ぶ意欲や思考力 判断力 表現力などの資質や能力などを含めて基礎 基本ととらえ その基礎 基本の確実な定着を前提に 自ら学び 自ら考える力などの 生きる力 がはぐくまれているかどうかを含めて学力ととらえる必要があ

2、協同的探究学習について

PowerPoint プレゼンテーション

し, 定期的に評価することで 自己の考え を自覚する場面を意図的に設定している 本教材の学習においては, 様々な情報の中から必要な情報を取り出し, 整理 分析し, それに基づいた自分の考えを表現する活動を通して, 自己の考えの深まりや広がり を実感させることによって, 課題改善につなげたいと考えてい


人間関係を深めるとともに, 児童が自己の生き方についての考えを深め, 家庭や地域社会との連携を図りながら, 集団宿泊活動やボランティア活動, 自然体験活動などの豊かな体験を通して児童の内面に根ざした道徳性の育成が図られるよう配慮しなければならない その際, 特に児童が基本的な生活習慣, 社会生活上の

2 単元の目標 廿日市市 についての魅力を目的意識や相手意識を明確にして地域内外に発信することができる 自分たちの住む 廿日市市 に愛着をもつことができる 3 単元の評価規準 学習方法 自分自身 他者や社会 課題発見力 思考力 判断力 表現力 主体性 自らへの自信 対象と積極的にかかわる中で, 課題

工業教育資料347号

Microsoft Word - 学習指導案(公民的分野 ②).doc

2 研究の歩みから 本校では平成 4 年度より道徳教育の研究を学校経営の基盤にすえ, 継続的に研究を進めてきた しかし, 児童を取り巻く社会状況の変化や, 規範意識の低下, 生命を尊重する心情を育てる必要 性などから, 自己の生き方を見つめ, 他者との関わりを深めながらたくましく生きる児童を育てる


自己決定の場を設定する 自己存在感を持たせる 共感的な人間関係を育成する準備活動のどの場面で どの子どもを生かすのか 見通しを持って授業に臨む 導入の場面する 深める場面り返りの場面2 確かな学力の育成 複雑で変化の激しい現代社会に子どもたちが主体的に関わり よりよい社会を創造していくためには 一人

第 5 学年 社会科学習指導案 1 単元名自動車をつくる工業 2 目標 我が国の自動車工業の様子に関心を持って意欲的に調べ, 働く人々の工夫や努力によって国民生活を支える我が国の工業生産の役割や発展について考えようとしている ( 社会的事象への関心 意欲 態度 ) 我が国の自動車工業について調べた事

座標軸の入ったワークシートで整理して, 次の単元 もっとすばらしい自分へ~ 自分向上プロジェクト~ につなげていく 整理 分析 協同的な学習について児童がスクラップした新聞記事の人物や, 身近な地域の人を定期的に紹介し合う場を設けることで, 自分が知らなかった様々な かがやいている人 がいることを知

乳児期からの幼児教育について 大阪総合保育大学 大方美香

彩の国埼玉県 埼玉県のマスコット コバトン 科学的な見方や考え方を養う理科の授業 小学校理科の観察 実験で大切なことは? 県立総合教育センターでの 学校間の接続に関する調査研究 の意識調査では 埼玉県内の児童生徒の多くは 理科が好きな理由として 観察 実験などの活動があること を一番にあげています

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第 2 学年 理科学習指導案 平成 29 年 1 月 1 7 日 ( 火 ) 場所理科室 1 単元名電流とその利用 イ電流と磁界 ( イ ) 磁界中の電流が受ける力 2 単元について ( 1 ) 生徒観略 ( 2 ) 単元観生徒は 小学校第 3 学年で 磁石の性質 第 4 学年で 電気の働き 第 5

平成29年度 中学校英語科教育 理論研究

平成 30 年 1 月平成 29 年度全国学力 学習状況調査の結果と改善の方向 青森市立大野小学校 1 調査実施日平成 29 年 4 月 18 日 ( 火 ) 2 実施児童数第 6 学年 92 人 3 平均正答率 (%) 調 査 教 科 本 校 本 県 全 国 全国との差 国語 A( 主として知識

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幼児の実態を捉えると共に 幼児が自分たちで生活をつくり出す保育の在り方を探り 主体的 に生活する子どもを育むための教育課程及び指導計画を作成する 3 研究の計画 <1 年次 > 主体的に生活する幼児の姿を捉える 教育課程 指導計画を見直す <2 年次 > 主体的に生活する幼児の姿を捉え その要因につ

(2) 各学年の目標 ア 知識 に関する目標 社会生活についての総合的な理解 第 3 学年 身近な地域や市区町村の地理的環境 地域の安全を守るための諸活動や地域 の産業と消費生活の様子 地域の様子の移り変わりについて 人々の生活と の関連を踏まえて理解する 第 4 学年 県の地理的環境の特色 地域の

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<ICTの活用 > 第 3 時でデジタルカメラを使い子ども達の制作途中の作品を撮影し, 大型テレビを活用して提示する 道具の使い方の工夫を分かりやすく示したり, 作品の面白さを紹介したりすることで 自分の作品にも取り入れてみたい という活動への意欲付けになると考える 2 題材の目標 粘土を切ったりけ

学習指導要領の趣旨を実現する授業づくりのポイント

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上に食に関する指導の充実が求められている 食環境の乱れが社会的課題とっている今日 中学生が食生活の自立を目指した学習をすることは大切なことであるので 本時は 自分や家族の食生活の中で見付けた問題点の改善に自主的に取り組むことができるように 指導を進めることにした 指導に当たっては これまでの学習を踏

41 仲間との学び合い を通した クラス全員が学習に参加できる 授業づくり自分の考えを伝え 友達の考えを聞くことができる子どもの育成 42 ~ペア グループ学習を通して~ 体育における 主体的 対話的で深い学び を実現する授業づくり 43 ~ 子どもたちが意欲をもって取り組める場の設定の工夫 ~ 4

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4 本単元と情報リテラシーの関わり 課題設定担任による 説明会におけるデモンストレーションを見ることを通して 本単元を貫く言語活動としての これぞ和の文化! おすすめの 和の文化 を調べて説明会を開こう を知り 見通しを持たせ学校司書による関連図書紹介を通して 和の文化への関心を高め 進んで調べよう

学習指導要領の領域等の平均正答率をみると 各教科のすべての領域でほぼ同じ値か わずかに低い値を示しています 国語では A 問題のすべての領域で 全国の平均正答率をわずかながら低い値を示しています このことから 基礎知識をしっかりと定着させるための日常的な学習活動が必要です 家庭学習が形式的になってい

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必要性 学習指導要領の改訂により総則において情報モラルを身に付けるよう指導することを明示 背 景 ひぼう インターネット上での誹謗中傷やいじめ, 犯罪や違法 有害情報などの問題が発生している現状 情報社会に積極的に参画する態度を育てることは今後ますます重要 目 情報モラル教育とは 標 情報手段をいか

とで児童に活動の見通しを持たせ, 自分で課題を立て情報を集め整理し, 発表する等に取り組めるようにしていきたい 調査計画の場面では, 目的に照らしてどのような調査をしていくことがよいのか児童にしっかりと考えさせたい 例えば, データはどう集めたらよいのか, アンケートを実施する場合には, 誰にアンケ

指導に当たっては, 作品に対する解釈は開かれていることから, 子供たちがそこから何を感じどのように考えたか, 子供の思いを大切にしたい そのために, 子供が自分の感じたことを進んで話したり, 友達の思いに興味を持って聞いたりできるような雰囲気づくりに努めることが大切である 自分と異なった捉え方や感じ

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中学校第 3 学年社会科 ( 公民的分野 ) 単元名 よりよい社会をめざして 1 本単元で人権教育を進めるにあたって 本単元は 持続可能な社会を形成するという観点から 私たちがよりよい社会を築いていくために解決すべき課題を設けて探究し 自分の考えをまとめさせ これらの課題を考え続けていく態度を育てる

各教科 道徳科 外国語活動 総合的な学習の時間並びに特別活動によって編成するものとする 各教科 道徳科 総合的な学習の時間並びに特別活動によって編成するものとする

(2) 授業者が学びの見通しを持つ ( 学習目標の明確化 ) 問題解決的な学習に取り組む際, どのような場面で, どのようにして, どのような力を子どもたちに付けるのか, 単元や授業における目標を明確にして学びを見通しておくことが大切です 目標が不明確であると, 作業や体験などの活動そのものに, 子

能を習得したり活用したりすることの必要性について確認する グラフをかく力やグラフを読み取る力を身に付けさせるとともに, 一次関数を学ぶことに対する意欲を高めたい 小単元全体を通して主体的に学ぶ意欲を高め, 自分の考えを説明したいという気持ちにさせた上で, 目的や方法等を明確にした意図のあるペアやグル

佐賀県教育センター 平成 24 年 2 月 1 日 新学習指導要領で評価が変わる! 新学習指導要領における学習評価の進め方 ( 中学校特別活動 ) 平成 24 年度から, 中学校では新学習指導要領が全面実施となります 新学習指導要領の趣旨を反映した学習評価の考え方については, 平成 23 年 7 月

第 2 学年 * 組保健体育科 ( 保健分野 ) 学習指導案 1 単元名生涯の各段階における健康 ( イ ) 結婚生活と健康 指導者間中大介 2 単元の目標 生涯の各段階における健康について, 課題の解決に向けての話し合いや模擬授業, ディベート形式のディスカッションなどの学習活動に意欲的に取り組む

未来教育 1 プロジェクト学習とポートフォリオ 文部科学省採択事業 確かな学力の育成に係る実践的調査研究 課題解決能力の獲得を可能とするプロジェクト学習とポートフォリオ教員研修プログラムの開発 コーチング指導による コンピテンシー育成 を目指して 報告書 (H22) より シンクタンク未来教育ビジョ

資料1 児童生徒の学習評価に関するワーキンググループ(第1~第3回)における主な意見等

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平成 28 年度全国学力 学習状況調査の結果伊達市教育委員会〇平成 28 年 4 月 19 日 ( 火 ) に実施した平成 28 年度全国学力 学習状況調査の北海道における参加状況は 下記のとおりである 北海道 伊達市 ( 星の丘小 中学校を除く ) 学校数 児童生徒数 学校数 児童生徒数 小学校

理科学習指導案指導者海田町立海田西中学校教諭石川幸宏 1 日時平成 30 年 2 月 21 日 ( 水 ) 第 4 校時 2 学年第 1 学年 2 組 ( 男子 19 名女子 18 名 37 名 ) 3 場所海田西中学校第 2 理科室 4 単元名身のまわりの現象 ~ 力の世界 ~ 5 単元について

・構成の異なる集団での活動を通して、生徒が学校生活を送る上での基盤となる力や社会で生きて働く力を育む活動として機能してき

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第 6 学年 1 組理科学習指導案単元名 : 瀬野川の生き物のつながり 生き物のくらしと環境 男子 18 名女子 21 名計 39 名 単元について 指導者澄川和生 単元観本単元は, 小学校学習指導要領解説理科編第 6 学年 内容 B(3) の 動物や植物の生活を観察したり, 資料を活用したりして調

JICA 事業評価ガイドライン ( 第 2 版 ) 独立行政法人国際協力機構 評価部 2014 年 5 月 1

資料4-4 新しい時代の教育や地方創生の実現に向けた学校と地域の連携・協働の在り方と今後の推進方策について 審議のまとめ(参考資料)

課題研究の進め方 これは,10 年経験者研修講座の各教科の課題研究の研修で使っている資料をまとめたものです 課題研究の進め方 と 課題研究報告書の書き方 について, 教科を限定せずに一般的に紹介してありますので, 校内研修などにご活用ください

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第14章 キャリア教育

2年生学級活動(性に関する指導)指導案

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第○学年○組 学習指導案

イ ディベート ディスカッション Ⅱ 時事英語 エッセイライティング Ⅰ エッセイライティング Ⅱ 必履修科目は 総合英語 Ⅰ 及び ディベート ディスカッション Ⅰ 話すこと 書くこと における発信力の強化や 高校生の卒業後の進路の多 様化などに対応するため より高度で専門的な科目を新設し 計 7

平成23年度全国学力・学習状況調査問題を活用した結果の分析   資料

基礎を育てることを主なねらいとしている 現在 地方自治体を取り巻く状況は 少子高齢化 情報化 グローバル化 経済の変動などによ り急速に変化している また 地方分権を推進する法律がつくられ 各地方自治体は 財政の健全 化や組織の改編 市町村合併等の新しい枠組みづくりに取り組んでいる さらに 子育て支

授業の構成要素 学び合う授業で育つ 3 つの力 資料 2 基礎 基本の力知識 理解 技能 問題解決力思考力 判断力 表現力 想像力 学ぼうとする力学習意欲 自己有用感 身に付けた知識 技能を活用したり その成果を踏まえた探究活動を行う中で学び合う授業を展開する 教師の役割 < 問題提示の工夫 > 多

Transcription:

(3) 総合的な学習の時間 1 総合的な学習の時間のねらい (1) 第 1 目標 第 1 目標ア探究的な見方 考え方を働かせ イ横断的 総合的な学習を行うことを通して ウよりよく課題を解決し 自己の生き方を考えていくための資質 能力を次のとおり育成することを目指す エ (1) 探究的な学習の過程において 課題の解決に必要な知識及び技能を身に付け 課題に関わる概念を形成し 探究的な学習のよさを理解するようにする 知識及び技能 オ (2) 実社会や実生活の中から問いを見いだし 自分で課題を立て 情報を集め 整理 分析して まとめ 表現することができるようにする 思考力 判断力 表現力等 カ (3) 探究的な学習に主体的 協働的に取り組むとともに 互いのよさを生かしながら 積極的に社会に参画しようとする態度を養う 学びに向かう力 人間性等 第 1 の目標は 大きく分けて二つの要素で構成されている 一つは 総合的な学習の時間に固有な見方 考え方を働かせて 横断的 総合的な学習を行う ことを通して よりよく課題を解決し 自己の生き方を考えていくための資質 能力を育成する という 総合的な学習の時間の特質を踏まえた学習の在り方と もう一つは (1) (2) (3) と して示している 総合的な学習の時間を通して育成することを目指す資質 能力である ア 探究的な見方 考え方を働かせる とは探究的な見方 考え方とは 各教科等における見方 考え方を総合的に活用して 広範な事象を多様な角度から俯瞰して捉え 実社会 実生活の課題を探究し 自己の生き方を問い続けるという総合的な学習の時間の特質に応じた見方 考え方である イ 横断的 総合的な学習を行う とは横断的 総合的な学習とは 例えば 国際理解 情報 環境 福祉 健康の現代的な諸課題に対応する課題 地域や学校の特色に応じた課題 生徒の興味 関心に基づく課題 職業や自己の将来に関する課題 一つの教科等の枠に収まらない課題に取り組む学習活動である 具体的には 身近な自然環境とそこで起きている環境問題 地域の伝統や文化とその継承に力を注ぐ人々 ものづくりの面白さや工夫と生活の発展 職業の選択と社会への貢献 が考えられる ウ よりよく課題を解決し 自己の生き方を考えていく とはよりよく課題を解決するとは 解決の道筋がすぐには明らかにならない課題や 唯一の正解が存在しない課題についても 自らの知識や技能等を総合的に働かせて 目前の具体的な課題を粘り強く対処し解決しようとすることである また 自己の生き方を考えることは 以下の三つで考えることができる 人や社会 自然との関わりにおいて 自らの生活や行動について考えていくこと 社会や自然の一員として 何をすべきか どのようにすべきかを考えること 自分にとっての学ぶことの意味や価値を考えていくこと 自分の考えや意見を深めること 学習の有用感を味わうして学ぶことの意味を自覚すること 上記の二つを生かしながら 学んだことを現在および将来の自己の生き方につなげて考えること 学習の成果から達成感や自信をもち 自分のよさや可能性に気付き 自分の人生や将来 職業について考えていくことエ探究的な学習の過程において 課題の解決に必要な知識及び技能を身に付け 課題に関わる概念を形成し 探究的な学習のよさを理解するようにする総合的な学習の時間で得られる知識は 教科書や資料集に整然と整理されているものを取 - 158 -

り込んで獲得するものではなく 探究の過程を通して 自分自身で取捨 選択し 整理し 既にもっている知識や体験と結び付けながら 構造化され 身に付けていくものである そして こうした過程を経て獲得された知識は 実社会 実生活における様々な課題の解決に活用可能な生きて働く知識 すなわち概念として形成されていくのである また 探究的な学習のよさを理解するためには 総合的な学習の時間で行う探究的な学習が 学習全般や生活と深く関わっていることや学びという営みの本質であることへの気付きを大事にすることが欠かせない オ実社会や実生活の中から問いを見いだし 自分で課題を立て 情報を集め 整理 分析して まとめ 表現することができるようにする具体的には 身に付けた 知識及び技能 の中から 当面する課題の解決に必要なものを選択し 状況に応じて適用したり 複数の 知識及び技能 を組み合わせたりして 適切に活用できるようになっていくことと考えることができる また このような資質 能力については やり方を教えられて覚えるということだけでは育まれないものである 実社会や実生活の課題について探究のプロセス (1 課題の設定 2 情報の収集 3 整理 分析 4まとめ 表現 ) を通して 児童が実施に考え 判断し 表現することを通して身に付けていくことが大切になる カ探究的な学習に主体的 協働的に取り組むとともに 互いのよさを生かしながら 積極的に社会に参画しようとする態度を養う探究的な学習においては 自ら設定した課題の解決に向けて真剣に本気になって取り組む態度や 他者の異なる意見を生かして新たな知を創造しようとする態度が欠かせない また 探究的な学習に取り組む中で 互いの資質 能力を認め合い 相互に生かし合う関係が期待されている このような過程を通して 自ら社会に関わり参画しようとする意志 社会を創造する主体者としての自覚が 一人一人の生徒の中に徐々に育成されることが期待されているのである (2) 各学校において定める目標各学校においては 第 1の目標を踏まえ 各学校の総合的な学習の時間の目標を定める 各学校においては 第 1の目標の趣旨をしっかりと踏まえつつ 地域や学校 生徒の実態や特性を考慮した目標を 創意工夫を生かして独自に定めていくことが望まれている その際 これまで各学校が取り組んできた経験を生かして各目標の要素のいずれかを具体化したり 重点化したり 別の要素を付け加えたりして目標を設定することが考えられる 設定例 探究的な見方 考え方を働かせ 地域の人 もの ことに関わる総合的な学習の時間を通して 目的や根拠を明らかにしながら課題を解決し 自己の生き方を考えることができるようにするために 以下の資質 能力を育成する (1) 地域の人 もの ことに関わる探究的な学習の過程において 課題の解決に必要な知識及び技能を身に付けるとともに 地域の特徴やよさに気付き それらが人々の努力や工夫によって支えられていることに気付く (2) 地域の人 もの ことの中から問いを見いだし その解決に向けて仮説を立てたり 調査して得た情報を基に考えたりする力を身に付けるとともに 考えたことを根拠を明らかにしてまとめ 表現する力を身に付ける (3) 地域の人 もの ことについての探究的な学習に主体的 協働的に取り組むとともに 互いのよさを生かしながら 持続可能な社会を実現するための行動の仕方を考え 自ら社会に参画しようとする態度を育てる - 159 -

2 各学校において定める内容 (1) 目標を実現するにふさわしい探究課題 目標を実現するにふさわしい探究課題とは 横断的 総合的な学習としての性格をもち 探 究的な見方 考え方を働かせて学習することがふさわしく それらの解決を通して育成される 資質 能力が よりよく課題を解決し 自己の生き方を考えていくことに結び付いていくよう な 教育的に価値のある諸課題である 従来 学習対象 と説明してきたものに相当するが その課題について探究することを通して学ぶという学習過程も重要であることを含めて明確に するために 今回の改訂では 探究課題 として示した 四つの課題 探究課題の例 地域に暮らす外国人とその人たちが大切にしている文化や価値観 ( 国際理解 ) 横断的 総合的な課題 情報化の進展とそれに伴う日常生活や社会の変化 ( 情報 ) ( 現代的な諸課題 ) 身近な自然環境とそこに起きている環境問題 ( 環境 ) 町づくりや地域活性化のために取り組んでいる人々や組織 ( 町づくり ) 地域や学校の特色に 地域の伝統や文化とその継承に力を注ぐ人々 ( 伝統文化 ) 応じた課題 商店街の再生に向けて努力する人々と地域社会 ( 地域経済 ) 生徒の興味 関心に ものづくりの面白さや工夫と生活の発展 ( ものづくり ) 基づく課題 生命現象の神秘や不思議さと そのすばらしさ ( 生命 ) 職業や自己の将来に 職業の選択と社会への貢献 ( 職業 ) 関する課題 働くことの意味や働く人の夢や願い ( 勤労 ) (2) 探究課題の解決を通して育成を目指す具体的な資質 能力 ア イ ウ 知識及び理解 探究的な学習の過程において それぞれの課題についての事実的認識や技能が獲得される また 事実的認識は探究の過程が繰り返され 連続していく中で 何度も活用され発揮され ていくことで 構造化され生きて働く概念的な知識へと高まっていく 思考力 判断力 表現力等 この資質 能力については これまで各学校で設定する 育てようとする資質や能力及び 態度 の視点として 学習方法に関すること としていたことに対応している また 探究 の過程の各段階で整理すると以下のようになる 探究の過程おける思考力 判断力 表現力等の深まり ( 例 ) 1 課題の設定 2 情報の収集 3 情報の整理 分析 4 まとめ 表現 より複雑な問題状況より効率的 効果的な手段より深い分析 より論理的で効果的な表現 確かな見通し 仮説多様な方法からの選択確かな根拠付け内省の深まり 学びに向かう力 人間性等 今回の改訂では 学びに向かう力 人間性等については 自分自身に関すること及び他 者や社会との関わりに関することの両方の視点を踏まえること と示された 自分自身に関 することとしては 主体性や自己理解 社会参画に関わる心情や態度 他者や社会との 関わりに関することとしては 協働性 他者理解 社会貢献に関わる心情や態度が考え られる また これら二つの視点のバランスをとり 関係を意識することが重要である 自分自身に 関すること 他者や社会との 学びに向かう力 人間性等 例 ) 自己理解 他者理解例 ) 主体性 協働性例 ) 将来展望 社会参画 探究的な活動を通して 自分の自分の意思で 目標をもって課探究的な活動を通して 自己の 生活を見直し 自分の特徴やよ題の解決に向けた探究に取り組生き方を考え 夢や希望を さを理解しようとするもうとするもとうとする 探究的な活動を通して 異なる自他のよさを生かしながら協力探究的な活動を通して 進んで 意見や他者の意見を受け入れてして問題の解決に向けた探究に実社会 実生活の問題の解決に 関わりに関すること尊重しようとする取り組もうとする取り組もうとする - 160 -

(3) 考えるための技法の活用 各学校において 総合的な学習の時間だけでなく 各教科において どのような 思考力 判断力 表現力等 を養いたいかということを踏まえつつ 生徒の実態に応じて活用を図るこ とが期待される 以下 中学校段階において活用できると考えられるものを例として示す 順序付ける 比較する 分類する 関連付ける 多面的に見る 多角的に見る 理由付ける ( 原因や根拠を見付ける ) 見通す ( 結果を予想する ) 具体化する ( 個別化する 分解する ) 抽象化する ( 一般化する 統合する ) 構造化する これらの 考えるための技法 を意識的に使えるようにするためには生徒の習熟の状況等を 踏まえながら 教師が声掛けをしたり 紙に書いて可視化したりするような活動を取り入 れることが有効である 可視化する方法については 例えば 中学校思考ツール として 共通のワークシート等を活用することが考えられる その際 こうしたツールを活用すること 自体が目的化しないようにするということも重要である 3 総合的な学習の時間の学習指導 (1) 学習指導の基本的な考え方 ア 生徒の主体性の重視 生徒がもつ本来の力を引き出し それを支え 伸ばすように指導していくことが大切であ り そうした肯定的な生徒観に立つことが欠かせない しかし生徒の主体性を重視するとい うことは 教師が生徒の学習に対して積極的に関わらないということを意味するものではな い 例えば 生徒の主体性が発揮される場面では 生徒自ら変容していく姿を見守ることが 大切である また 生徒の取組が停滞したり迷ったりしている場面では 適切な指導が必要 である そのようにして 生徒のもつ潜在的な力が発揮されるような学習指導を行うことが 大切である イ適切な指導の在り方 どのような体験活動を仕組み どのような話合いを行い どのように考えを整理し どの ようにして表現し発信していくかは まさに教師の指導性にかかる部分であり 生徒の 学習を活性化させ 発展させるためには欠かせない こうした教師の指導性と生徒の自発性 能動性とのランスを保ち それぞれ適切に位置付けることが豊かで質の高い総合的な学習 の時間を生み出すことにつながる ウ具体的で発展的な教材 総合的な学習の時間の教材 ( 学習材 ) には 以下の特徴があることが求められる 生徒の身近にあり 観察したり調査したりする 直接体験をしたり繰り返し働きかけたりすることができる 生徒の学習活動が豊かに広がり 発展していく 実社会や実生活について多面的 多角的に考えることができる (2) 探究的な学習の過程における 主体的 対話的で深い学び 主体的な学び 学習に積極的に取り組ませるだけでなく 学習後に自らの学びの成果や過程を振り返ることを通して 次 の学びに主体的に取り組む態度を育む学び 課題設定 と 振り返り が重要 対話的な学び 他者との協働や外界との相互作用を通じて 自らの考えを広げ深めるような学び 協働的な学習はグループとして結果を出すことが目的ではなく その過程を通じて 一人一人がどのよ うな資質 能力を身に付けるかということが重要 深い学び 知識及び技能 は関連付けられて概念化し 思考力 判断力 表現力等 は活用場面と結びついて汎用 的なものとなり 多様な文脈で使えるものとなる学び 探究的な学習の過程を一層重視し これまで以上に学習過程の質的向上をめざす - 161 -

(3) 探究的な学習の指導のポイント 探究的な学習とは 問題解決的な活動が発 展的に繰り返されていく一連の学習活動のこ とであり 物事の本質を探って見極めようとす る一連の知的営みのことである ア 学習過程を探究的にすること 探究的な学習とするためには 学習過程 が以下のようになることが重要である こ うした探究の過程は いつも 1~4 が順序 よく繰り返されるわけではなく 順番が前 後することもあるし 一つの活動の中に複 数のプロセスが一体化して同時に行われる 場合もある 1 課題の設定 体験活動を通して 課題を設定し課題意識をもつ 2 情報の収集 必要な情報を取り出したり収集したりする 3 整理 分析 収集した情報を 整理したり分析したりして思考する 4 まとめ 表現 気付きや発見 自分の考えをまとめ 判断し 表現する 1 課題の設定 総合的な学習の時間では 生徒が実社会や実生活に向き合う中で 自ら課題意識をもち その意識が連続発展することが欠かせない しかし そのために教師は何もしないでじっと 待つのではなく 意図的な働きかけを行い 学習対象との関わり方や出会わせ方を工夫 することが大切である その際 以下のことに配慮する 生徒の発達や興味 関心を適切に把握し これまでの自分の考えとの ずれ や 隔たり を感じさせたり 対象への 憧れ や 可能性 を感じさせたりする 人 社会 自然の対象に直接触れる体験活動を重視する 2 情報の収集 課題意識や設定した課題を基に 生徒は 観察 実験 見学 調査 探索 追体験を 行う こうした学習活動によって 生徒は解決に必要な情報を収集していく その際に 体 験活動を生かし 目的を明確にして 情報を収集することが重要である その際 以下のこ とに配慮する 収集する情報は多様であり それは学習活動によって変わるということ 数値化した情報 言語化した情報 感覚的な情報 課題解決のための情報収集を自覚的に行うこと どうのような情報を どのような方法で どのようにして蓄積するのか 収集した情報を適切な方法で蓄積すること ポートフォリオ ファイルボックス コンピュータのフォルダ 3 整理 分析 収集した情報は それ自体はつながりのない個別的なものだが それらを種類ごとに分け るして整理したり 細分化して因果関係を導き出したりして分析する それが思考する ことであり そうした学習活動を位置付けることが重要である その際 以下のことに配慮 する 探究的な学習における児童の学習の姿 まとめ 表現 課題の設定 整理 分析 日常生活や社会に目を向け 児童が自ら課題を設定する 情報の収集 まとめ 表現 探究の過程を経由する 1 課題の設定 2 情報の収集 3 整理 分析 4 まとめ 表現 課題の設定 整理 分析 生徒自身が情報を吟味する どのようにして入手した情報なのか どのような性格の情報なのか どのような方法で情報の整理や分析を行うのかを決定する 数値化された情報 折れ線グラフ 棒グラフ 円グラフ 言語化された情報 カード 座標軸 マップ 情報の収集 自らの考えや課題が新たに更新され 探究の過程が繰り返される - 162 -

4 まとめ 表現 イ 既存の経験や知識と 学習活動により整理 分析された情報とがつながり 一人一人の生 徒の考えが明らかになったり 課題がより一層鮮明になったり 新たな課題が生まれたりす る活動にすることが重要である その際 以下のことに配慮する 相手意識や目的意識を明確にしてまとめたり 表現したりすること まとめたり表現したりすることが 情報を再構成し 自分自身の考えや新たな課題を自覚することにつながるということ 伝えるための具体的な方法を身に付けるとともに それを目的に応じて選択して使えるようにすること 他者と協働して主体的に取り組む学習活動にすること 協働的に取り組む学習活動を行うことは 生徒の学習の質を高め 探究的な学習を実現す ることにつながる 具体的には 以下のような場面が想定できる 多様な情報を活用して協働的に学ぶ 体験活動では それぞれの生徒が様々な体験を行い多様な情報を手に入れる それらを出し合い 情報交換しながら学級全体で考えたり話し合ったりして 課題が明確になっていく場面 異なる視点から考え協働的に学ぶ 物事の決断を迫られるような話合いや情報交換を行う際に 収集した情報を比較したり 分類したり 関連付けたりして考えるような場面 力を合わせたり交流したりして協働的に学ぶ 友達や専門家からの助言 地域の大人からの激励を受け 製作や交流を行う場面 主体的かつ協働的に学ぶ 協働して学習に取り組むことで 生徒の探究的な学習を持続させ発展させるとともに 一人一人の生徒の考えを深め 自らの学習に対する自信と自らの考えに対する確信をもたせるような場面 4 評価 総合的な学習の時間の評価については 知識及び技能 思考力 判断力 表現力等 学び に向かう力 人間性等 の観点で この時間の趣旨 ねらい等の特質が生かされるよう 教科の ように数値的に評価することはせず 活動や学習の過程 報告書や作品 発表や討論に見ら れる学習の状況や成果について 生徒のよい点 学習に対する意欲や態度 進歩の状況 を踏まえて適切に評価することとする また 総合的な学習の時間における生徒の学習状況の評価を適切に実施するには その在り方 として 信頼される評価とするために 多様な評価になっているか 過程での評価が適切に行え ているかを重視することとしている 信頼される評価 教師の適切な判断に基づいた評価が必要であり 著しく異なったり偏ったりすることなく およそどの教師も同じように判断できる評価 教師間で評価の観点や評価規準を確認 一定程度の時間数の中において評価 多様な評価 過程の評価 多様な評価方法( 観察 評価カード 振り返り 学習活動前の実態把握 制作物 聞き取り等 ) 学習活動中の学習状況の把握と改善 多様な評価対象( 行動 発言 レポート ワーク 学習活動終末の学習状況の把握と改善 シート ノート 作文 絵の制作物等 ) を通して 特に進歩したこと 意欲的に取り組んだ 異なる評価者( 教師 自分 友達 地域の方等 ) こと 努力や工夫が見られたこと ものの見方や考 によって 生徒の学習状況を把握する え方が変わったこと 自己の生き方につなげて考え ようとしたことを見取る - 163 -