[ 著作権法の ] 目的 この法律は, 著作物並びに実演, レコード, 放送及び有線放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め, これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ, 著作者等の権利の保護を図り, もって文化の発展に寄与することを目的とする ( 著作権法 1 条 ) 4 著作権 著作

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き県が負担する負担金の額 ( 当該負担金の額が他の法令の規定により軽減される場合にあつては, その軽減されることとなる額を控除した額 以下 県負担額 という ) から当該事業に要する費用の額 ( 加算額がある場合にあつては, 加算額を控除して得た額 ) に100 分の25 以内で規則で定める割合を乗

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(2) 電子計算機処理の制限に係る規定ア電子計算機処理に係る個人情報の提供の制限の改正 ( 条例第 10 条第 2 項関係 ) 電子計算機処理に係る個人情報を国等に提供しようとする際の千葉市情報公開 個人情報保護審議会 ( 以下 審議会 といいます ) への諮問を不要とし 審議会には事後に報告するも

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京都府がん対策推進条例をここに公布する 平成 23 年 3 月 18 日 京都府知事山田啓二 京都府条例第 7 号 京都府がん対策推進条例 目次 第 1 章 総則 ( 第 1 条 - 第 6 条 ) 第 2 章 がん対策に関する施策 ( 第 7 条 - 第 15 条 ) 第 3 章 がん対策の推進

金 ) を規定しました ( 第 26 条の2 第 34 条第 4 項第 12 号関係 ) (2) インターネット上の有害情報等への対応の強化ア携帯電話事業者及びその代理店の説明及び説明書の交付義務携帯電話事業者及びその代理店に対し 契約の相手方又は携帯電話端末等の使用者が青少年であることが判明した場

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平成 22 年度大学図書館職員短期研修平成 22 年 10 月 6 日 ( 京都大学 ) 平成 22 年 11 月 10 日 ( 東京大学 ) 大学図書館における著作権 千葉大学情報部学術情報課森一郎 本日の内容 1 大学図書館活動と著作権 2 平成 21 年改正の要点 3 国公私立大学図書館協力委員会大学図書館著作権検討委員会の活動 2 大学図書館活動と著作権 3 1

[ 著作権法の ] 目的 この法律は, 著作物並びに実演, レコード, 放送及び有線放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め, これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ, 著作者等の権利の保護を図り, もって文化の発展に寄与することを目的とする ( 著作権法 1 条 ) 4 著作権 著作者人格権 著作権に含まれる権利の種類 公表権 (18 条 )/ 氏名表示権 (19 条 )/ 同一性保持権 (20 条 ) 複製権 (21 条 )/ 上演権, 演奏権 (22 条 )/ 上映権 (22 条の 2)/ 公衆送信権 (23 条 )/ 口述権 (24 条 )/ 展示権 (25 条 )/ 頒布権 (26 条 )/ 譲渡権 (26 条の 2)/ 貸与権 (26 条の 3)/ 翻訳権, 翻案権 (27 条 )/ 二次的著作物の利用に関する原著作者の権利 (28 条 ) 5 大学図書館の活動と著作権 大学図書館の活動 閲覧サービス ( 視聴覚資料等を含む ) 貸出サービス ( 相互利用を含む ) 複写サービス ( 相互利用を含む ) 機関リポジトリ ( 電子図書館を含む ) 関係する主な権利 上演権, 演奏権 (22 条 ) 上映権 (22 条の 2) 口述権 (24 条 ) 頒布権 (26 条 ) 貸与権 (26 条の 3) 複製権 (21 条 ) 譲渡権 (26 条の 2) 複製権 (21 条 ) 公衆送信権 (23 条 ) 関係する権利制限規定 営利を目的としない上演等 (38 条 1 項 ) 営利を目的としない上演等 (38 条 4 項, 同 5 項 ) 図書館等における複製 (31 条 1 項 ) 複製権の制限により作成された複製物の譲渡 (47 条の 9) 6 2

営利を目的としない上演等 公表された著作物は, 営利を目的とせず, かつ, 聴衆又は観衆から料金 ( いずれの名義をもってするかを問わず, 著作物の提供又は提示につき受ける対価をいう 以下この条において同じ ) を受けない場合には, 公に上演し, 演奏し, 上映し, 又は口述することができる ただし, 当該上演, 演奏, 上映又は口述について実演家又は口述を行う者に対し報酬が支払われる場合は, この限りでない ( 著作権法 38 条 1 項 ) 7 営利を目的としない上演等 公表された著作物 ( 映画の著作物を除く ) は, 営利を目的とせず, かつ, その複製物の貸与を受ける者から料金を受けない場合には, その複製物 ( 映画の著作物において複製されている著作物にあっては, 当該映画の著作物の複製物を除く ) の貸与により公衆に提供することができる ( 著作権法 38 条 4 項 ) 8 営利を目的としない上演等 映画フィルムその他の視聴覚資料を公衆の利用に供することを目的とする視聴覚教育施設その他の施設 ( 営利を目的として設置されているものを除く ) で政令で定めるもの及び聴覚障害者等の福祉に関する事業を行う者で前条の政令で定めるもの ( 同条第 2 号に係るものに限り, 営利を目的として当該事業を行うものを除く ) は, 公表された映画の著作物を, その複製物の貸与を受ける者から料金を受けない場合には, その複製物の貸与により頒布することができる この場合において, 当該頒布を行う者は, 当該映画の著作物又は当該映画の著作物において複製されている著作物につき第 26 条に規定する権利を有する者 ( 第 28 条の規定により第 26 条に規定する権利と同一の権利を有する者を含む ) に相当な額の補償金を支払わなければならない ( 著作権法 38 条 5 項 ) 9 3

図書館等における複製 国立国会図書館及び図書, 記録その他の資料を公衆の利用に供することを目的とする図書館その他の施設で政令で定めるもの ( 以下この項において 図書館等 という ) においては, 次に掲げる場合には, その営利を目的としない事業として, 図書館等の図書, 記録その他の資料 ( 以下この条において 図書館資料 という ) を用いて著作物を複製することができる 1 図書館等の利用者の求めに応じ, その調査研究の用に供するために, 公表された著作物の一部分 ( 発行後相当期間を経過した定期刊行物に掲載された個々の著作物にあっては, その全部 ) の複製物を一人につき一部提供する場合 2 図書館資料の保存のため必要がある場合 3 [ 略 ] ( 著作権法 31 条 1 項 ) 10 複製権の制限により作成された複製物の譲渡 第 31 条第 1 項 ( 第 1 号に係る部分に限る 以下この条において同じ ) [ 略 ], 第 37 条 [ 略 ] の規定により複製することができる著作物は, これらの規定の適用を受けて作成された複製物 ( 第 31 条第 1 項 [ 略 ] の規定に係る場合にあっては, 映画の著作物の複製物 ( 映画の著作物において複製されている著作物にあっては, 当該映画の著作物の複製物を含む 以下この条において同じ ) を除く ) の譲渡により公衆に提供することができる ただし, 第 31 条第 1 項 [ 略 ], 第 37 条第 3 項 [ 略 ] の規定の適用を受けて作成された著作物の複製物 ( 第 31 条第 1 項 [ 略 ] の規定に係る場合にあっては, 映画の著作物の複製物を除く ) を, 第 31 条第 1 項 [ 略 ], 第 37 条第 3 項 [ 略 ] に定める目的以外の目的のために公衆に譲渡する場合は, この限りでない ( 著作権法 47 条の 9) 11 SHERPA/RoMEO * URL: http://www.sherpa.ac.uk/romeo/ * Securing a Hybrid Environment for Research Preservation and Access / Rights MEtadata for Open archiving * University of Nottingham を中心としたイギリスの高等教育機関で運営 * JISC (Joint Information Systems Committee) からの支援 RoMEO colour Archiving policy Publishers green can archive pre-print and post-print 219 blue can archive post-print (ie final draft post-refereeing) 194 yellow can archive pre-print (ie pre-refereeing) 75 white archiving not formally supported 295 Total 783 出典 : http://www.sherpa.ac.uk/romeo/statistics.php (2010 年 9 月 21 日現在 ) % 28 25 9 38 100 12 4

プレプリントとポストプリント 原稿形式 ( テキスト + 図表 ) 雑誌掲載レイアウト 出版社 (publisher) レイアウト調整, 誤字 脱字校正 英文校正レベルの改変がある場合もある 出版社版 B 学術雑誌 査読者 (referee) 1~3 回程度 accept 著作権譲渡 編集者 (editor) 著者 (author) A プレプリント 1 プレプリント n 著者最終稿 acceptされることとなった最終確定稿 校正 出典 : 機関リポジトリと著作権 杉田茂樹, 堀越邦恵 ( 平成 18 年度学術ポータル担当者研修資料スライド 4 論文投稿と著作権譲渡 ) 一部改変 13 SCPJ URL: http://scpj.tulips.tsukuba.ac.jp/ Society Copyright Policies in Japan ( 学協会著作権ポリシーデータベース ) CSI 委託事業として, 筑波大学を中心に千葉大学, 神戸大学, 東京工業大学が連携して運営 著作権ポリシー 学協会数 割合 Green 査読前 査読後のどちらでもよい 81 11 Blue 査読後の論文のみ認める 451 62 Yellow 査読前の論文のみ認める 8 1 White リポジトリへの保存を認めていない 184 26 小計 724 100 Gray 検討中 非公開 無回答 その他 1,443 出典 : http://scpj.tulips.tsukuba.ac.jp/info/stat (2010 年 9 月 21 日現在 ) 14 平成 21 年改正の要点 15 5

著作権法の一部を改正する法律 [ 平成 21 年法律第 53 号 ] の概要 1. インターネット等を活用した著作物利用の円滑化を図るための措置様々な社会的要請を踏まえ, 権利者の許諾なく次の行為を行えるようにする インターネットで情報検索サービスを実施するための複製等 過去の放送番組等をインターネットで二次利用する際に権利者が所在不明等である場合の利用 国立国会図書館における所蔵資料の電子化 その他 ( インターネット販売等での美術品等の画像掲載, 情報解析研究のための複製, 送信の効率化等のための複製, 電子機器利用時に必要な複製 ) 2. 違法な著作物の流通抑止権利者が安心して著作物を提供でき, 利益を確保できる環境を確保するため, 次の措置を講じる インターネット販売等で海賊版と承知の上で行う販売の申出は権利侵害とする ( 罰則あり ) 違法なインターネット配信による音楽 映像を違法と知りながら複製することを私的使用目的でも権利侵害とする ( 罰則なし ) 3. 障害者の情報利用の機会の確保障害者のために, 権利者で無許諾で行える範囲を拡大する 視覚障害者向け録音図書作成が可能な施設を公共図書館等にも拡大 聴覚障害者のための映画や放送番組への字幕や手話の付与を可能に 発達障害等で利用困難な者に応じた方式での複製も可能に 4. その他 登録原簿の電子化 (http://www.bunka.go.jp/chosakuken/pdf/21_houkaisei_horitsu_gaiyou.pdf) 16 図書館等における複製 前項各号に掲げる場合のほか, 国立国会図書館においては, 図書館資料の原本を公衆の利用に供することによるその滅失, 損傷又は汚損を避けるため, 当該原本に代えて公衆の利用に供するための電磁的記録 ( 電子的方式, 磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって, 電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう 第 33 条の 2 第 4 項において同じ ) を作成する場合には, 必要と認められる限度において, 当該図書館資料に係る著作物を記録媒体に記録することができる ( 著作権法 31 条 2 項 ) 17 文化審議会著作権分科会報告書 ( 平成 21 年 ) から 国立国会図書館以外の図書館等の行うアーカイブ活動については, 前述のとおり現行第 31 条第 2 号の規定に該当するのであれば, その所蔵する資料を複製することができる 例えば, 損傷, 紛失の防止等のためにデジタル化することも不可能でなく, また, 記録のための技術 媒体の旧式化により媒体の内容を再生するために必要な機器が市場で入手困難となり, 事実上閲覧が不可能となる場合において, 新しい媒体への移替えのためにデジタル化をすることについても, 同規定の解釈として不可能ではないと考えられる このように, 国立国会図書館以外の図書館等においても, 蔵書をデジタル化する場面は考えられるが, デジタル化された資料を館外に提供したり提示したりすることについては, 国立国会図書館でデジタル化された資料と同様に, 関係者間の協議によって議論を続けることが必要である (http://www.bunka.go.jp/chosakuken/pdf/21_houkaisei_houkokusho.pdf p.192) 18 6

国立国会図書館による学位論文電子化に関する著作権処理 学位論文 ( 博士 ) のデジタル化実施に係る著作権処理について (1) 国立国会図書館における全文複写提供および公衆送信 ( インターネット公開 ) を行うこと (2) 国立国会図書館がデジタル化した学位論文を複製して学位授与大学へ譲渡すること (3) 学位授与大学において 国立国会図書館から譲渡を受けた学位論文のデジタル化複製物を利用 ( 全文複写提供 公衆送信 ) に供すること ( 平成 22 年 9 月 17 日付け, 記者発表資料 ) 19 点字による複製等 点字図書館その他の視覚障害者の福祉の増進を目的とする施設で政令で定めるものにおいては, 公表された著作物について, 専ら視覚障害者向けの貸出しの用若しくは自動公衆送信 ( 送信可能化を含む 以下この項において同じ ) の用に供するために録音し, 又は専ら視覚障害者の用に供するために, その録音物を用いて自動公衆送信を行うことができる ( 旧著作権法 37 条 3 項 ) 20 視覚障害者等のための複製等 視覚障害者その他視覚による表現の認識に障害のある者 ( [ 略 ] ) の福祉に関する事業を行う者で政令で定めるものは, 公表された著作物であって, 視覚によりその表現が認識される方式 ( [ 略 ] ) により公衆に提供され, 又は提示されているもの ( [ 略 ] ) について, 専ら視覚障害者等で当該方式によっては当該視覚著作物を利用することが困難な者の用に供するために必要と認められる限度において, 当該視覚著作物に係る文字を音声にすることその他当該視覚障害者等が利用するために必要な方式により, 複製し, 又は自動公衆送信 ( [ 略 ] ) を行うことができる ただし, 当該視覚著作物について, 著作権者又はその許諾を得た者若しくは第 79 条の出版権の設定を受けた者により, 当該方式による公衆への提供又は提示が行われている場合は, この限りでない ( 著作権法 37 条 3 項 ) 21 7

著作物等の録音が認められる施設 法第 37 条第 3 項 ( [ 略 ] ) の政令で定める施設は, 次に掲げるものとする 1 児童福祉法 ( [ 略 ] ) 第 7 条第 1 項の知的障害児施設 ( [ 略 ] ) 及び盲ろうあ児施設 ( [ 略 ] ) で国, 地方公共団体又は一般社団法人等が設置するもの 2 身体障害者福祉法 ( [ 略 ] ) 第 5 条第 1 項の視聴覚障害者情報提供施設 ( [ 略 ] ) で国, 地方公共団体又は一般社団法人等が設置するもの 3 学校図書館法 ( [ 略 ] ) 第 2 条の学校図書館で学校教育法第 1 条の特別支援学校 ( 視覚障害者である児童又は生徒に対する教育を行うものに限る ) に設置されたもの 4 老人福祉法 ( [ 略 ] ) 第 5 条の 3 の養護老人ホーム及び特別養護老人ホーム ( [ 略 ] ) 5 障害者自立支援法 ( [ 略 ] ) 第 5 条第 12 項に規定する障害者支援施設 ( [ 略 ] ) 及び同条第 1 項に規定する障害福祉サービス事業 ( [ 略 ] ) を行う施設 ( [ 略 ] ) で国, 地方公共団体又は一般社団法人等が設置するもの 6 学校教育法第 1 条の大学 ( 専ら視覚障害者を入学させる学部又は学科を置くものに限る ) に設置された図書館及びこれに類する施設の全部又は一部で, 録音物を専ら当該学部又は学科の学生の利用に供するものとして文化庁長官が指定するもの ( 旧著作権法施行令 2 条 1 項 ) 22 視覚障害者等のための複製等が認められる者 法第 37 条第 3 項 ( [ 略 ] ) の政令で定める者は, 次に掲げる者とする 1 次に掲げる施設を設置して視覚障害者等のために情報を提供する事業を行う者 ( [ 略 ] ) イ児童福祉法 ( [ 略 ] ) 第 7 条第 1 項の知的障害児施設及び盲ろうあ児施設ロ大学等の図書館及びこれに類する施設ハ国立国会図書館ニ身体障害者福祉法 ( [ 略 ] ) 第 5 条第 1 項の視聴覚障害者情報提供施設ホ図書館法第 2 条第 1 項の図書館 ( [ 略 ] ) ヘ学校図書館法 ( [ 略 ] ) 第 2 条の学校図書館 ト 老人福祉法 ( [ 略 ] ) 第 5 条の 3 の養護老人ホーム及び特別養護老人ホーム チ障害者自立支援法 ( [ 略 ] ) 第 5 条第 12 項に規定する障害者支援施設及び同条第 1 項に規定する障害福祉サービス事業 ( [ 略 ] ) を行う施設 2 前号に掲げるものほか, 視覚障害者等のために情報を提供する事業を行う法人 ( [ 略 ] ) のうち, 視覚障害者等のための複製又は自動公衆送信を的確かつ円滑に行うことができる技術的能力, 経理的基礎その他の体制を有するものとして文化庁長官が指定するもの ( 著作権法施行令 2 条 1 項 ) 23 聴覚障害者のための自動公衆送信 聴覚障害者の福祉の増進を目的とする事業を行う者で政令で定めるものは, 放送され, 又は有線放送される著作物 ( 放送される著作物が自動公衆送信される場合の当該著作物を含む 以下この条において同じ ) について, 専ら聴覚障害者の用に供するために, 当該放送され, 又は有線放送される著作物に係る音声を文字にしてする自動公衆送信 ( 送信可能化のうち, 公衆の用に供されている電気通信回線に接続している自動公衆送信装置に情報を入力することによるものを含む ) を行うことができる ( 旧著作権法 37 条の 2) 24 8

視覚障害者等のための複製等 聴覚障害者その他聴覚による表現の認識に障害のある者 ( [ 略 ] ) の福祉に関する事業を行う者で次の各号に掲げる利用の区分に応じて政令で定めるものは, 公表された著作物であって, 聴覚によりその表現が認識される方式 ( [ 略 ] ) により公衆に提供され, 又は提示されているもの ( [ 略 ] ) について, 専ら聴覚障害者等で当該方式によっては当該聴覚著作物を利用することが困難な者の用に供するために必要と認められる限度において, それぞれ当該各号に掲げる利用を行うことができる ただし, 当該聴覚著作物について, 著作権者又はその許諾を得た者若しくは第 79 条の出版権の設定を受けた者により, 当該聴覚障害者等が利用するために必要な方式による公衆への提供又は提示が行われている場合は, この限りでない 1 [ 略 ] 2 専ら当該聴覚障害者等向けの貸出しの用に供するため, 複製すること ( 当該聴覚著作物に係る音声を文字にすることその他当該聴覚障害者等が利用するために必要な方式による当該音声の複製と併せて行うものに限る ) ( 著作権法 37 条の2) 25 聴覚障害者のための自動公衆送信が認められる者 法第 37 条の 2 の政令で定める者は, 次に掲げる者とする 1 身体障害者福祉法第 5 条第 1 項の視聴覚障害者情報提供施設 ( [ 略 ] ) を設置する者 ( [ 略 ] ) 2 前号に掲げる者のほか, 聴覚障害者のために情報を提供する事業を行う一般社団法人等のうち, 聴覚障害者のための自動公衆送信に係る技術的能力及び経理的基礎その他の事情を勘案して聴覚障害者のための自動公衆送信を的確かつ円滑に行うことができるものとして文化庁長官が指定するもの ( 旧著作権法施行令 2 条の 2,1 項 ) 26 聴覚障害者等のための複製等が認められる者 法第 37 条の 2( [ 略 ] ) の政令で定める者は, 次の各号に掲げる利用の区分に応じて当該各号に定める者とする 1 法第 37 条の 2 第 1 号 ( [ 略 ] ) に掲げる利用次に掲げる者イ [ 略 ] ロ [ 略 ] 2 法第 37 条の 2 第 2 号 ( [ 略 ] ) に掲げる利用次に掲げる者 ( 同号の規定の適用を受けて作成された複製物の貸出しを文部科学省令で定める基準に従って行う者に限る ) イ次に掲げる施設を設置して聴覚障害者等のために情報を提供する事業を行う者 ( [ 略 ] ) (1) 大学等の図書館及びこれに類する施設 (2) 身体障害者福祉法第 5 条第 1 項の視聴覚障害者情報提供施設 (3) 図書館法第 2 条第 1 項の図書館 ( 司書等が置かれているものに限る ) (4) 学校図書館法第 2 条の学校図書館ロイに掲げる者のほか, 聴覚障害者等のために情報を提供する事業を行う法人のうち, 聴覚障害者等のための複製を的確かつ円滑に行うことができる技術的能力, 経理的基礎その他の体制を有するものとして文化庁長官が指定するもの ( 著作権法施行令 2 条の 2,1 項 ) 27 9

聴覚障害者等用複製物の貸出しの基準 令第 2 条の 2 第 1 項第 2 号の文部科学省令で定める基準は, 次のとおりとする 1 専ら法第 37 条の 2 第 2 号の規定の適用を受けて作成された複製物 ( [ 略 ] ) の貸出しを受けようとする聴覚障害者等を登録する制度を整備すること 2 聴覚障害者等用複製物の貸出しに関し, 次に掲げる事項を含む規則を定めること イ聴覚障害者等用複製物の貸出しを受ける者が当該聴覚障害者等用複製物を法第 37 条の 2 第 2 号に定める目的以外の目的のために, 頒布せず, かつ, 当該聴覚障害者等用複製物によって当該聴覚障害者等用複製物に係る著作物を公衆に提示しないこと ロ複製防止手段 ( [ 略 ] ) が用いられていない聴覚障害者等用複製物の貸出しを受ける場合に, 当該貸出しを受ける者が当該聴覚障害者等用複製物を用いて当該聴覚障害者等用複製物に係る著作物を複製しないこと 3 複製防止手段を用いていない聴覚障害者等用複製物の貸出しをする場合は, 当該聴覚障害者等用複製物に係る著作物とともに, 法第 37 条の 2 第 2 号の規定により複製を行った者の名称及び当該聴覚障害者等用複製物を識別するための文字, 番号, 記号その他の符号の記録 ( [ 略 ] ) 又は記載をして, 当該貸出しを行うこと 4 聴覚障害者等用複製物の貸出しに係る業務を適正に行うための管理者を置くこと ( 著作権法施行規則 2 条の 2,1 項 ) 28 営利を目的としない上演等 映画フィルムその他の視聴覚資料を公衆の利用に供することを目的とする視聴覚教育施設その他の施設 ( 営利を目的として設置されているものを除く ) で政令で定めるもの及び聴覚障害者等の福祉に関する事業を行う者で前条の政令で定めるもの ( 同条第 2 号に係るものに限り, 営利を目的として当該事業を行うものを除く ) は, 公表された映画の著作物を, その複製物の貸与を受ける者から料金を受けない場合には, その複製物の貸与により頒布することができる この場合において, 当該頒布を行う者は, 当該映画の著作物又は当該映画の著作物において複製されている著作物につき第 26 条に規定する権利を有する者 ( 第 28 条の規定により第 26 条に規定する権利と同一の権利を有する者を含む ) に相当な額の補償金を支払わなければならない ( 著作権法 38 条 5 項 ) 29 美術の著作物等の譲渡等の申出に伴う複製等 美術の著作物又は写真の著作物の原作品又は複製物の所有者その他のこれらの譲渡又は貸与の権原を有する者が, 第 26 条の 2 第 1 項又は第 26 条の 3 に規定する権利を害することなく, その原作品又は複製物を譲渡し, 又は貸与しようとする場合には, 当該権原を有する者又はその委託を受けた者は, その申出の用に供するため, これらの著作物について, 複製又は公衆送信 ( 自動公衆送信の場合にあっては, 送信可能化を含む )( 当該複製により作成される複製物を用いて行うこれらの著作物の複製又は当該公衆送信を受信して行うこれらの著作物の複製を防止し, 又は抑止するための措置その他の著作権者の利益を不当に害しないための措置として政令で定める措置を講じて行うものに限る ) を行うことができる ( 著作権法 47 条の 2) 30 10

美術の著作物等の譲渡等の申出に伴う複製等について講ずべき措置 法第 47 条の 2 の政令で定める措置は, 次の各号に掲げる区分に応じ, 当該各号に定める措置とする 1 法第 47 条の 2 に規定する複製当該複製により作成される複製物に係る著作物の表示の大きさ又は精度が文部科学省令で定める基準に適合するものとなるようにすること 2 法第 47 条の 2 に規定する公衆送信次のいずれかの措置イ当該公衆送信を受信して行われる著作物の表示の精度が文部科学省令で定める基準に適合するものとなるようにすること ロ当該公衆送信を受信して行う著作物の複製 ( [ 略 ] ) を電磁的方法 ( [ 略 ] ) により防止する手段であって, 著作物の複製に際しこれに用いられる機器が特定の反応をする信号を著作物とともに送信する方式によるものを用い, かつ, 当該公衆送信を受信して行われる著作物の表示の精度が文部科学省令で定めるイに規定する基準より緩やかな基準に適合するものとなるようにすること ( 著作権法施行令 7 条の 2,1 項 ) 31 著作物の表示の大きさ又は精度に係る基準 (1) 令第 7 条の 2 第 1 項第 1 号の文部科学省令で定める基準は, 次に掲げるもののいずれかとする 1 図画として法第 47 条の 2 に規定する複製を行う場合において, 当該複製により作成される複製物に係る著作物の表示の大きさが 50 平方センチメートル以下であること 2 デジタル方式により法第 47 条の 2 に規定する複製を行う場合において, 当該複製により複製される著作物に係る影像を構成する画素数が 32,400 以下であること 3 前二号に掲げる基準のほか, 法第 47 条の 2 に規定する複製により作成される複製物に係る著作物の表示の大きさ又は精度が, 同条に規定する譲渡若しくは貸与に係る著作物の原作品若しくは複製物の大きさ又はこれらに係る取引の態様その他の事情に照らし, これらの譲渡又は貸与の申出のために必要な最小限度のものであり, かつ, 公正な慣行に合致するものであると認められること ( 著作権法施行規則 4 条の 2,1 項 ) 32 著作物の表示の大きさ又は精度に係る基準 (2) 令第 7 条の 2 第 1 項第 2 号イの文部科学省令で定める基準は, 次に掲げるもののいずれかとする 1 デジタル方式により法第 47 条の 2 に規定する公衆送信を行う場合において, 当該公衆送信により送信される著作物に係る影像を構成する画素数が 32,400 以下であること 2 前号に掲げる基準のほか, 法第 47 条の 2 に規定する公衆送信を受信して行われる著作物の表示の精度が, 同条に規定する譲渡若しくは貸与に係る著作物の原作品若しくは複製物の大きさ又はこれらに係る取引の態様その他の事情に照らし, これらの譲渡又は貸与の申出のために必要な最小限度のものであり, かつ, 公正な慣行に合致するものであると認められること ( 著作権法施行規則 4 条の 2,2 項 ) 33 11

著作物の表示の大きさ又は精度に係る基準 (3) 第 7 条の 2 第 1 項第 2 号ロの文部科学省令で定める基準は, 次に掲げるもののいずれかとする 1 デジタル方式により法第 47 条の 2 に規定する公衆送信を行う場合において, 当該公衆送信により送信される著作物に係る影像を構成する画素数が 90,000 以下であること 2 前号に掲げる基準のほか, 法第 47 条の 2 に規定する公衆送信を受信して行われる著作物の表示の精度が, 同条に規定する譲渡若しくは貸与に係る著作物の原作品若しくは複製物の大きさ又はこれらに係る取引の態様その他の事情に照らし, これらの譲渡又は貸与の申出のために必要と認められる限度のものであり, かつ, 公正な慣行に合致すると認められるものであること ( 著作権法施行規則 4 条の 2,3 項 ) 34 国公私立大学図書館協力委員会大学図書館著作権検討委員会の活動 35 国公私立大学図書館協力委員会大学図書館著作権検討委員会 年 月 主な活動等 平成 13 年 3 月 著作権問題拡大ワーキンググループ を設置 平成 13 年 12 月 大学図書館著作権問題ワークショップ を開催 平成 14 年 2 月 大学図書館における著作権問題 Q&A [ 第 1 版 ] を公開 シンポジウム 学術コンテンツ流通と著作権 開催 平成 14 年 10 月 大学図書館著作権検討委員会, 同ワーキンググループを設置 平成 20 年 3 月ポスター ご存知ですか? 著作権 を作成 http://wwwsoc.nii.ac.jp/anul/j/documents/coop/poster_080327.pdf 平成 21 年 3 月 大学図書館における著作権問題 Q&A ( 第 7 版 ) を公開 http://wwwsoc.nii.ac.jp/anul/j/documents/coop/copyrightqa_v7.pdf 図書館における著作物の利用に関する当事者協議会 へ出席 36 12

図書館における著作物の利用に関する当事者協議会 年 平成 12 年 平成 14 年平成 14 年平成 16 年 権利者側団体 図書館側団体 月 10 月 2 月 11 月 5 月 組織等名称文化庁著作権審議会マルチメディア小委員会 図書館における著作物等の利用に関するワーキンググループ 図書館等における著作物等の利用に関する検討図書館等における著作物等の利用に関する当事者協議図書館における著作物の利用に関する当事者協議会 学術著作権協会, 出版者著作権管理機構, 日本映像ソフト協会, 日本書籍出版協会, 日本文藝家協会 ( オブザーバ ) 日本新聞協会, 日本複写権センター国公私立大学図書館協力委員会, 全国学校図書館協議会, 全国公共図書館協議会, 専門図書館協議会, 日本図書館協会 ( オブザーバ ) 国立国会図書館, 日本看護図書館協会 (50 音順, 平成 22 年 9 月 21 日現在 ) 37 作成年平成 10 年平成 13 年 平成 15 年 平成 16 年 平成 18 年 平成 22 年 著作物利用に関するガイドライン等 ガイドライン等名称 [ 上映会に関する ] 了解事項 ( 図書館雑誌 92(8) (1998) p.601) [ ビデオ上映に関する ] 合意事項 ( 図書館雑誌 96(1) (2002) p.70) 大学図書館における文献複写に関する実務要項 http://wwwsoc.nii.ac.jp/anul/j/documents/coop/yoko.pdf 公立図書館貸出実態調査 2003 報告書 http://www.jla.or.jp/kasidasi.pdf 障害者用音訳資料利用ガイドライン http://www.jla.or.jp/onyaku/index.html#gaideline 大学図書館間協力における資料複製に関するガイドライン http://wwwsoc.nii.ac.jp/anul/j/documents/coop/ill_fax_guideline_050715.pdf 複製物の写り込みに関するガイドライン http://wwwsoc.nii.ac.jp/anul/j/documents/coop/utsurikomi_guideline.pdf 図書館間協力における現物貸借で借り受けた図書の複製に関するガイドライン http://wwwsoc.nii.ac.jp/anul/j/documents/coop/ill_copy_guideline.pdf 図書館の障害者サービスにおける著作権法第 37 条第 3 項に基づく著作物の複製等に関するガイドライン http://www.jla.or.jp/20100218.pdf 38 著作権法 31 条の争点とガイドライン 争点 おいては 図書館資料 複製することができる 著作物の一部分 発行後相当期間 ガイドライン大学図書館における文献複写に関する実務要項 大学図書館における文献複写に関する実務要項 解説 http://wwwsoc.nii.ac.jp/anul/j/documents/coop/kaisetsu.pdf 図書館間協力における現物貸借で借り受けた図書の複製に関するガイドライン 図書館間協力における現物貸借で借り受けた図書の複製に関するガイドライン に関するQ&A http://wwwsoc.nii.ac.jp/anul/j/documents/coop/ill_copy_guidelineqa.pdf 大学図書館間協力における資料複製に関するガイドライン 複製物の写り込みに関するガイドライン 複製物の写り込みに関するガイドライン に関するQ&A http://wwwsoc.nii.ac.jp/anul/j/documents/coop/utsurikomi_guidelineqa.pdf 複写に関するガイドライン ( 案 ) 平成 5 年に日本複写権センターから国公私立大学図書館協力委員会に提案 ( 不合意 ) 大学図書館における著作権問題 Q&A 附録参照 39 13

文化庁長官宛依頼文書 [ 本文略 ] 改正後の著作権法第 37 条第 3 項, 第 37 条の 2, 第 38 条第 5 項に基づき政令で指定される施設について ( 依頼 ) 1. 改正後の著作権法第 37 条第 3 項に基づき 視覚障害者等のための複製等 が行える者として, 学校教育法 ( 昭和 22 年法律第 26 号 ) 第 1 条の大学又は高等専門学校に設置された図書館及びこれに類する施設を政令で指定すること 2. 改正後の著作権法第 37 条の 2 第 1 号並びに第 2 号に基づき 聴覚障害者のための複製等 が行える者として, 学校教育法 ( 昭和 22 年法律第 26 号 ) 第 1 条の大学又は高等専門学校に設置された図書館及びこれに類する施設を政令で指定すること 3. 改正後の著作権法第 38 条第 5 項に基づき 営利を目的としない上演等 が行える施設として, 学校教育法 ( 昭和 22 年法律第 26 号 ) 第 1 条の大学又は高等専門学校に設置された図書館及びこれに類する施設を政令で指定すること ( 平成 21 年 6 月 16 日付け, 国公私第 20-70 号 ) 40 発行後相当期間 に関する権利者側要望の骨子 1. 発行後相当期間経過後 について, 従来図書館は 次号発行後または 3 ヵ月後 として解釈して定期刊行物掲載の著作物を複製してきたが, 今後, 権利者は, 権利者が定めた方式によって著作物または出版物ごとに 発行後相当期間 表示するので, 図書館は, その表示がある著作物についてはその期間内は 31 条による無許諾の複製を行わないようにしてほしい 2. ただし, 表示がない著作物については, 従来通りの解釈で複製を行なってかまわない 3. 権利者は, 表示の方式を定める際, 図書館, 利用者がその意味を明確に理解できるように, 十分に詳細な趣旨, 期間の表示を行うようにする ( この点は, 権利者側からの要望を変更しています ) 4. 権利者は, 表示をするか否かを判断する際に, 市場で容易に入手可能であるか否か, 単行本など別形態で再刊行する予定があるか否か, 文芸作品であるか否か, 地図あるいは写真であるか否かという点について考慮する 5. デジタル版の存在を考慮する必要がある 41 著作権法 31 条に基づく複製以外に図書館が行う複製について 1. 図書館は, 権利者の許諾を得て図書館資料を複製することがある 2. 図書館は, 図書館の利用者が私的利用のために自動複製機器によって図書館資料をその館内において複製することがないように努める 3. 図書館は, 図書館の利用者が私的利用のために持参の携帯用機器などを使用して図書館資料を複製することについて, 管理上の観点から制限することがある 4. 図書館は, 法 35 条にいう 学校その他の教育機関 ( 営利を目的として設置されているものを除く ) において教育を担任する者及び授業を受ける者 ではない 5. 図書館は, 法 35 条における 教育を担任する者及び授業を受ける者 がその所蔵資料を無許諾で複製することについて, 管理上の観点から制限することがあり, また, そのような複製については, 法 31 条に基づく無許諾の複製とは区別して取り扱うこととする 6. 図書館は, 訴訟の当事者になるなどの場合, 法 42 条によって, みずから無許諾で複製することがある 7. 図書館は, 法 42 条によって複製を行う者がその所蔵資料を複製することについて, 管理上の観点から制限することがあり, また, そのような複製については, 法 31 条に基づく無許諾の複製とは区別して取り扱うこととする 42 14