平成30年公認会計士試験

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085 貸借対照表の純資産の部の表示に関する会計基準 新株予約権 少数株主持分を株主資本に計上しない理由重要度 新株予約権を株主資本に計上しない理由 非支配株主持分を株主資本に計上しない理由 Keyword 株主とは異なる新株予約権者 返済義務 新株予約権は 返済義務のある負債ではない したがって

包括利益の表示に関する会計基準第 1 回 : 包括利益の定義 目的 ( 更新 ) 新日本有限責任監査法人公認会計士七海健太郎 1. はじめに企業会計基準第 25 号 包括利益の表示に関する会計基準 ( 以下 会計基準 ) が平成 22 年 6 月 30 日に

平成26年度 第138回 日商簿記検定 1級 会計学 解説

連結貸借対照表 ( 単位 : 百万円 ) 当連結会計年度 ( 平成 29 年 3 月 31 日 ) 資産の部 流動資産 現金及び預金 7,156 受取手形及び売掛金 11,478 商品及び製品 49,208 仕掛品 590 原材料及び貯蔵品 1,329 繰延税金資産 4,270 その他 8,476

Microsoft Word - 247_資本連結実務指針等の改正

リリース

企業結合ステップ2に関連するJICPA実務指針等の改正について⑦・連結税効果実務指針(その2)

(2) サマリー情報 1 ページ 1. 平成 29 年 3 月期の連結業績 ( 平成 28 年 4 月 1 日 ~ 平成 29 年 3 月 31 日 ) (2) 連結財政状態 訂正前 総資産 純資産 自己資本比率 1 株当たり純資産 百万円 百万円 % 円銭 29 年 3 月期 2,699 1,23

参考 企業会計基準第 25 号 ( 平成 22 年 6 月 ) からの改正点 平成 24 年 6 月 29 日 企業会計基準第 25 号 包括利益の表示に関する会計基準 の設例 企業会計基準第 25 号 包括利益の表示に関する会計基準 ( 平成 22 年 6 月 30 日 ) の設例を次のように改正

1FG短信表紙.XLS

『学校法人会計の目的と企業会計との違い』

CC2: 連結貸借対照表の科目と自己資本の構成に関する開示項目の対応関係 株式会社三井住友フィナンシャルグループ ( 連結 ) 項目 資産の部 イロハ 公表連結貸借対照表 (2019 年 3 月末 ) 現金預け金 57,411,276 コールローン及び買入手形 2,465,744 買現先勘定 6,4

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(訂正・数値データ修正)「平成29年5月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」の一部訂正について

公開草案 (2) その他利益剰余金 積立金繰越利益剰余金利益剰余金合計 5 自己株式 5 自己株式 6 自己株式申込証拠金 6 自己株式申込証拠金株主資本合計株主資本合計 Ⅱ 評価 換算差額等 Ⅱその他の包括利益累計額 1 その他有価証券評価差額金 1 その他有価証券評価差額金 2 繰延ヘッジ損益

野村アセットマネジメント株式会社 平成30年3月期 個別財務諸表の概要 (PDF)

営業活動によるキャッシュ フロー の区分には 税引前当期純利益 減価償却費などの非資金損益項目 有価証券売却損益などの投資活動や財務活動の区分に含まれる損益項目 営業活動に係る資産 負債の増減 利息および配当金の受取額等が表示されます この中で 小計欄 ( 1) の上と下で性質が異なる取引が表示され

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2019年年3月期 第2四半期(中間期)決算短信〔日本基準〕(連結)

連結会計入門 ( 第 6 版 ) 練習問題解答 解説 練習問題 1 解答 解説 (129 頁 ) ( 解説 ) S 社株式の取得に係るP 社の個別上の処理は次のとおりである 第 1 回取得 ( 平成 1 年 3 月 31 日 ) ( 借 )S 社株式 48,000 ( 貸 ) 現預金 48,000

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平成28年度 第143回 日商簿記検定 1級 会計学 解説

野村アセットマネジメント株式会社 2019年3月期 個別財務諸表の概要 (PDF)

2. 基準差調整表 当行は 日本基準に準拠した財務諸表に加えて IFRS 財務諸表を参考情報として開示しております 日本基準と IFRS では重要な会計方針が異なることから 以下のとおり当行の資産 負債及び資本に対する調整表並びに当期利益の調整表を記載しております (1) 資産 負債及び資本に対する

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平成 29 年度連結計算書類 計算書類 ( 平成 29 年 4 月 1 日から平成 30 年 3 月 31 日まで ) 連結計算書類 連結財政状態計算書 53 連結損益計算書 54 連結包括利益計算書 ( ご参考 ) 55 連結持分変動計算書 56 計算書類 貸借対照表 57 損益計算書 58 株主

平成28年度 第144回 日商簿記検定 1級 会計学 解説

科目 期別 損益計算書 平成 29 年 3 月期自平成 28 年 4 月 1 日至平成 29 年 3 月 31 日 平成 30 年 3 月期自平成 29 年 4 月 1 日至平成 30 年 3 月 31 日 ( 単位 : 百万円 ) 営業収益 35,918 39,599 収入保証料 35,765 3

2019年3月期 中間期決算短信〔日本基準〕(連結):東京スター銀行

財剎諸表 (1).xlsx

第 16 回ビジネス会計検定試験より抜粋 ( 平成 27 年 3 月 8 日施行 ) 次の< 資料 1>から< 資料 5>により 問 1 から 問 11 の設問に答えなさい 分析にあたって 連結貸借対照表数値 従業員数 発行済株式数および株価は期末の数値を用いることとし 純資産を自己資本とみなす は

計算書類等

連結貸借対照表の科目が 自己資本の構成に関する開示項目 のいずれに相当するかについての説明 ( 付表 ) 1. 株主資本 資本金 33,076 1a 資本剰余金 24,536 1b 利益剰余金 204,730 1c 自己株式 3,450 1d 株主資本合計 258,893 普通株式等 Tier1 資

時系列表 ( 単位 : 円 ) 検算 : 当期純利益 +30,000=40,000-10,000=60,000-30,000(p.5 も同様 ) X1.12/31 連結第 1 年度 X2.12/31 連結第 2 年度 X3.12/31 資本金 300, , ,

無断複写 転用 転記を禁じます 国際財務報告基準 (IFRS) 連結財務諸表シリーズ シリーズ <5>IAS 第 31 号 ジョイント ベンチャーに対する持分 ( 平成 22 年 7 月 31 日現在 ) 1. ジョイント ベンチャーの対する持分 ( 総論 ) 本シリーズでは ジョイント ベンチャー

山口フィナンシャルグループ:IR資料室>平成30年3月期(平成29年度)>平成30年3月期決算短信

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IFRSへの移行に関する開示

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IFRS第3号「企業結合」修正案及びIAS第27号「連結及び個別財務諸表」修正案に対する

平成 29 年 6 月 26 日株式会社八十二銀行 連結貸借対照表の科目が 自己資本の構成に関する開示項目 のいずれに相当するかについての説明 ( 29 年 3 月期自己資本比率 ) 科 ( 単位 : 百万円 ) 公表連結貸借対照表金額 ( 資 産 の 部 ) 現 金 預 け 金 885,456 コ

業結合ステップ2に関連するJICPA実務指針等の改正について⑧・連結税効果実務指針(その3)

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平成 30 年 4 月 24 日 各 位 会社名楽天株式会社 代表者名代表取締役会長兼社長三木谷浩史 ( コード :4755 東証第一部 ) 連結子会社 ( 楽天証券株式会社 ) の決算について 当社連結子会社の楽天証券株式会社 ( 代表取締役社長 : 楠雄治 本社 : 東京都世田谷区 以下 楽天証

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(訂正・数値データ訂正)「平成30年4月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」の一部訂正について

その他資本剰余金の処分による配当を受けた株主の

連結貸借対照表のが 自己資本自己資本の構成構成に関するする開示項開示項 のいずれにのいずれに相当相当するかについてのするかについての説明 ( 付表 ) (2018 年 9 月期自己資本比率 ) ( 注記事項 ) の については 経過措置勘案前の数値を記載しているため 自己資本に算入されているに加え

2018 年 8 月 10 日 各 位 上場会社名 エムスリー株式会社 ( コード番号 :2413 東証第一部 ) ( ) 本社所在地 東京都港区赤坂一丁目 11 番 44 号 赤坂インターシティ 代表者 代表取締役 谷村格 問合せ先 取締役 辻高宏

3. その他 (1) 期中における重要な子会社の異動 ( 連結範囲の変更を伴う特定子会社の異動 ) 無 (2) 会計方針の変更 会計上の見積りの変更 修正再表示 1 会計基準等の改正に伴う会計方針の変更 無 2 1 以外の会計方針の変更 無 3 会計上の見積りの変更 無 4 修正再表示 無 (3)

IFRS基礎講座 IAS第12号 法人所得税

NO 連結精算表科目 & 連結開示 前連結会計 当連結会計 増減差額 科目 借 年度 年度 借方 方 連結借対照表 千円 千円 千円 千円 開 38 社債 20,000,000 5,000,000 開 39 長期借入金 16,500,000 16,071,500 開 40 リース債務 632,000

株式会社 2019 年 5 月 13 日山陰合同銀行 自己資本の構成に関する開示事項 (2019 年 3 月期自己資本比率 ) 1. 自己資本の構成 連結 ( 単位 : 百万円 %) 項目 当四半期末 経過措置による不算入額 前四半期末 経過措置による不算入額 コア資本に係る基礎項目 (1) 普通株

第 298 回企業会計基準委員会 資料番号 日付 審議事項 (2)-4 DT 年 10 月 23 日 プロジェクト 項目 税効果会計 今後の検討の進め方 本資料の目的 1. 本資料は 繰延税金資産の回収可能性に関わるグループ 2 の検討状況を踏まえ 今 後の検討の進め方につ

平成25年度 第134回 日商簿記検定 1級 商業簿記 解説

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添付資料の目次 1. 連結財務諸表 2 (1) 連結貸借対照表 2 (2) 連結損益計算書及び連結包括利益計算書 4 (3) 連結財務諸表に関する注記事項 6 ( セグメント情報等 ) 6 2. 個別財務諸表 7 (1) 個別貸借対照表 7 (2) 個別損益計算書

平成 29 年 6 月末 負債の時価評価により生じた時価評価差額であって自己資本に算入される額 退職給付に係る資産の額 6,274 4,182 5,815 3,877 自己保有普通株式等 ( 純資産の部に計上されるものを除く ) の額 意図的に保有している他の金融機関等の対象資本調達

ずほ証券連結財務諸業績と財務の状況 みずほ証券連結財務諸表み表繰延税金資産 15,653 14,554 当社は 平成 28 年度及び平成 29 年度の連結貸借対照表 連結損益計算書及び連結株主資本等変動計算書について会社法第 444 条第 4 項の規 定に基づき 新日本有限責任監査法人の監査証明を受

サンプル集

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第10期

会社法施行規則及び会社計算規則による株式会社の各種書類のひな型(計算書類及び連結計算書類)新旧対照表

第1章 財務諸表

1. 国際財務報告基準に準拠した財務諸表 ( 抜粋 翻訳 ) 国際財務報告基準に準拠した財務諸表の作成方法について当行の国際財務報告基準に準拠した財務諸表 ( 以下 IFRS 財務諸表 という ) は 平成 27 年 3 月末時点で国際会計基準審議会 (IAS B) が公表している基準及び解釈指針に

添付資料の目次 1. 連結財務諸表 2 (1) 連結貸借対照表 2 (2) 連結損益計算書及び連結包括利益計算書 4 (3) 連結財務諸表に関する注記事項 6 ( セグメント情報等 ) 6 2. 個別財務諸表 7 (1) 個別貸借対照表 7 (2) 個別損益計算書

Microsoft Word - # VIX短期先物指数 1305半期_決算短信.doc

IFRS基礎講座 IAS第21号 外貨換算

平成 30 年 3 月末 負債の時価評価により生じた時価評価差額であって自己資本に算入される額 退職給付に係る資産の額 15,162 3,790 5,815 3,877 自己保有普通株式等 ( 純資産の部に計上されるものを除く ) の額 意図的に保有している他の金融機関等の対象資本

平成 30 年 11 月 22 日株式会社中国銀行 連結貸借対照表の科目が 自己資本の構成に関する開示事項 に記載する項目のいずれに相当するかについての説明 連結 : 平成 30 年 9 月末 ( 資 産 の 部 ) 現 金 預 け 金 コ ー ル ロ ー ン 買 入 金 銭 債 権 商 品 有 価

第 14 期 ( 平成 30 年 3 月期 ) 決算公告 平成 30 年 6 月 21 日 東京都港区白金一丁目 17 番 3 号 NBF プラチナタワー サクサ株式会社 代表取締役社長 磯野文久

ご説明用資料 2018 年度決算概要 2019 年度業績予想 2019 年 5 月 15 日 Copyright (C) 2019 Toyo Business Engineering Corporation. All rights Reserved. 事業セグメント ソリューション事業 SAPを始め

【H 改正】株主資本等変動計算書.docx

負債の時価評価により生じた時価評価差額であって自己資本に算入される額 退職給付に係る資産の額 5,815 3,877 自己保有普通株式等 ( 純資産の部に計上されるものを除く ) の額 9 6 意図的に保有している他の金融機関等の対象資本調達手段の額 少数出資金融機関等の対象普通株式等の額 特定に係


注記事項 (1) 期中における重要な子会社の異動 ( 連結範囲の変更を伴う特定子会社の異動 ) : 無 新規 社 ( 社名 ) 除外 社 ( 社名 ) (2) 会計方針の変更 会計上の見積りの変更 修正再表示 1 会計基準等の改正に伴う会計方針の変更 : 有 2 1 以外の会計方針の変更 : 無 3

第1章 簿記の一巡

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第1章 簿記の一巡

営業報告書

(訂正・数値データ訂正)「平成25年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」の一部訂正について

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前連結会計年度 ( 平成 29 年 12 月 31 日 ) 当第 2 四半期連結会計期間 ( 平成 30 年 6 月 30 日 ) 負債の部流動負債支払手形及び買掛金 8,279 8,716 電子記録債務 9,221 8,128 短期借入金 未払金 24,446 19,443 リース

第 151 回日商簿記 2 級解答解説 第 1 問 実教出版株式会社 解答 仕 訳 借方科目金額貸方科目金額 現 金 8,500,000 車両減価償却累計額 760,000 1 商 品 6,100,000 本 店 17,640,000 車 両 3,800,000 2 その他有価証券 2,000,00

⑭【設例】適用指針案

注記事項 (1) 期中における重要な子会社の異動 ( 連結範囲の変更を伴う特定子会社の異動 ) : 無 新規 社 ( 社名 ) 除外 社 ( 社名 ) (2) 会計方針の変更 会計上の見積りの変更 修正再表示 1 会計基準等の改正に伴う会計方針の変更 : 無 2 1 以外の会計方針の変更 : 無 3

貸借対照表の純資産の部の表示に関する会計基準等の適用指針(案)

「中小企業の会計に関する指針《新旧対照表


(1) 連結貸借対照表 ( 添付資料 16 ページ ) (3) 連結株主資本等変動計算書 ( 添付資料 28 ページ ) 6. 個別財務諸表 (1) 貸借対照表 ( 添付資料 31 ページ ) (3) 株主資本等変動計算書 以上 2


サマリー

令和元年 6 月 14 日 各位 会社名日本空港ビルデング株式会社代表者名代表取締役社長執行役員兼 COO 横田信秋 ( コード番号 9706 東証第 1 部 ) 問合せ先常務取締役執行役員企画管理本部長田中一仁 (TEL ) ( 訂正 数値データ訂正 )

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営 業 報 告 書

2017 年度第 1 四半期業績の概要 年 8 月 9 日 日本生命保険相互会社


Transcription:

第 3 問答案用紙 <1> 問題 1 1 新株予約権 2 75,000 3 75,000 4 0 5 3,000 6 70,000 7 7,000 8 42,000 金額がマイナスの場合には, その金額の前に を付すこと 9 2,074,000 会計基準の新設及び改正並びに商法の改正により, 以前よりも純資産の部に直接計上される 項目や純資産の部の変動要因が増加している そこで, ディスクロージャーの透明性の確保 の観点から, 純資産の変動に関する開示制度の必要性が高まったために変更されている 1

第 3 問答案用紙 <2> 問題 2 1 法人税等の支払額 2 2,510 3 650 4 300 5 1,910 6 100 7 1,495 8 700 金額がマイナスの場合には, その金額の前に を付すこと 9 515 1 重要な非資金取引は当期にキャッシュ フローを伴わない取引であるため 2 重要な非資金取引は翌期以降長期にわたりキャッシュ フローに影響する取引であるため 3 財務諸表の他の箇所に開示し, さらに注記も行うと, 開示が重複し明瞭性を損なうため 2

第 4 問答案用紙 <1> 問題 1 (1) 売買目的有価証券とは, 時価の変動により利益を得ることを目的として保有する有価証券をいう 売買目的有価証券は, 時価をもって貸借対照表価額とし, 評価差額は当期の損益として処理する (2) 実現の2 要件とは,1 企業外部の第三者に対する財貨の引渡しまたは役務の提供と,2その対価としての現金または現金等価物の受領をいう 実現主義が収益の認識にこの2 要件を求めるのは, 損益計算に客観性及び確実性が付与されることと, 貨幣的な裏付けのある分配可能利益の算定に資することを理由としている ここで, 未売却の段階で計上される資産の評価差額は実現の2 要件を満たさないため, これを当期の損益として処理することは実現主義に反することになる しかし, 売買目的有価証券は, 売却することについて事業遂行上等の制約がなく, 時価の変動にあたる評価差額が企業にとっての財務活動の成果と考えられることから, 実現の2 要件をほぼ満たすものであるといえる このため, 売買目的有価証券の評価差額は, 実現損益に準ずる性格のものとして, 当期の損益に含めることとされている 売買目的有価証券とは異なり, その他有価証券は直ちに売却することを目的としているものではないことに鑑みると, その他有価証券に付すべき時価に市場における短期的な価格変動を反映させることは必ずしも求められないと考えられるため,(B) の規定が設けられた 問 3 運用目的の信託財産の構成物である有価証券は, 売買目的有価証券とみなしてその評価基準に従って処理するため, 時価により評価を行う このような評価を行うのは, 運用を目的とする金銭の信託では, 企業が信託財産の構成物である金融資産及び金融負債を運用目的で間接的に保有しているものと考えられるが, この信託財産については委託者の事業遂行上等の観点からの売買 換金の制約がないことから, 信託財産の構成物である有価証券が売買目的有価証券と同様の性格を有していると考えられるためである 3

第 4 問答案用紙 <2> 問題 2 討議資料 財務会計の概念フレームワーク によれば, 財務報告の目的は, 投資家による企業成果の予測と企業価値の評価に役立つような企業の財務状況の開示にある ここで, 企業価値を評価する際の基礎となる将来キャッシュ フローの予測に広く用いられているのが, 投資の成果を表す利益の情報であり, これが財務報告における情報開示の中で特に重要と考えられている 当該情報の主要な利用者であり受益者であるのは, 報告主体の企業価値に関心を持つ当該報告主体の現在及び将来の株主であるため, 純利益とこれを生み出す投資の正味ストックである株主資本は重視されることとなり, その結果, 純資産の部において株主資本は区分して表示することとされている 評価 換算差額等は, 資産性または負債性を有しないため, 純資産の部に表示する また, 純利益を生み出す正味のストックである株主資本に評価 換算差額等を含めると, 当期純利益が資本取引を除く株主資本の変動をもたらすという関係が成り立たなくなるため, 評価 換算差額等は株主資本と区別して表示する 問題 3 300 (1) 繰延法 (2) 未実現損益の消去に係る一時差異については, 個別財務諸表において未実現損益が発生した連結会社と, 一時差異の対象となった資産を保有している連結会社が相違しており, この点で他の一時差異とは性質が異なる すなわち, 売却元の連結会社の個別財務諸表においては, 未実現損益の発生年度に当該未実現損益に対して課税されており, 将来において未実現損益の消去に係る税金を減額または増額させる効果は有さないため, 売却元の連結会社で発生した税金を繰延税金資産として計上する繰延法が採用されている 4

第 5 問答案用紙 <1> 問題 1 1 6,360 2 1,240 1 20,160 2 22,400 3 1,214 4 2,560 問 3 1 1,530 2 1,710 3 資本剰余金 4 180 問 4 1 2,304 2 728 3 5,930 4 4,680 5 9,820 6 42,160 7 3,392 8 17,250 問 5 (1) 増資後のP 社のB 社に対する持分比率は64% となるため, 支配関係は継続する そのため, 増資に伴うP 社のB 社に対する持分増減額を資本剰余金に計上する会計処理が必要となる また, 支配関係が継続することから, 為替換算調整勘定のうち親会社の持分比率の減少割合相当額を資本剰余金に含めて計上するため, 当該為替換算調整勘定につき, 非支配株主持分に振り替える会計処理が必要となる (2) 一部売却後のP 社のB 社に対する持分比率は40% となり, 支配関係が喪失するため,P 社はB 社を連結の範囲から除外し, 持分法を適用する そのため, 売却後のB 社株式帳簿価額を持分法による投資評価額に修正する会計処理が必要となる また, 売却前の投資の修正額と, このうち売却後の株式に対応する部分との差額から, 為替換算調整勘定のうち一部売却に係る部分を除いた額について, 株式売却損益を修正する会計処理が必要になる 5

第 5 問答案用紙 <2> 問題 2 1. 連結 : 支配獲得日において, 子会社の資産及び負債のすべてを, 支配獲得日の時価により評価する全面時価評価法が適用される 持分法 : 投資日ごとに, 被投資会社の資産及び負債のうち投資会社の持分に相当する部分を, 投資日の時価により評価する部分時価評価法が適用される 2. 連結 : 段階取得により支配を獲得する場合, 支配獲得日の時価と支配獲得に至った個々の取引ごとの原価の合計額との差額は, 段階取得に係る損益とする 持分法 : 投資が段階的に行われている場合, 投資日ごとの原価とこれに対応する被投資会社の資本との差額は, のれん又は負ののれんとして処理する 3. 連結 : 取得関連費用は発生した連結会計年度の費用として処理する 持分法 : 個別財務諸表上で株式の取得原価に含まれた付随費用は投資原価に含めて処理する 4. 連結 : 子会社における研究開発の途中段階の成果は, 識別可能性の要件を満たす限り, 支配獲得日の時価に基づいて子会社の資産に計上する 持分法 : 被投資会社における研究開発の途中段階の成果は, 被投資会社の資産には計上しない 問題 3 1. 将来の業績に依存する条件付取得対価については, 当該条件付取得対価の交付又は引渡しが確実となり, その時価が合理的に決定可能となった時点で, 支払対価を取得原価として追加的に認識するとともに, のれん又は負ののれんを追加的に認識する これにより, のれんの金額が大きく変動することがある 2. 企業結合日以後の決算において, 取得原価の配分が完了していなかった場合は, その時点で入手可能な合理的な情報等に基づき暫定的な会計処理を行い, その後追加的に入手した情報等に基づき配分額を確定させる これにより, 識別可能資産または識別可能負債が変動する結果, のれんの金額が大きく変動することがある 6