第 4 審理員意見書の結論 本件各審査請求は理由がないから 行政不服審査法 4 5 条 2 項に より いずれも棄却すべきである 第 5 調査審議の経過審査会は 本件諮問について 以下のように審議した 年月日審議経過 平成 30 年 3 月 6 日 諮問 平成 30 年 4 月 26 日審議 ( 第

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処分済み

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保険業務に係る情報提供料は 請求人の事業に基づいた収入であるとは いえない 第 4 審理員意見書の結論 本件各審査請求は理由がないから 行政不服審査法 4 5 条 2 項によ り 棄却すべきである 第 5 調査審議の経過 審査会は 本件諮問について 以下のように審議した 年月日 審議経過 平成 30

遺者であったが 事情があって遺贈の放棄をした 民法 986 条の規定によれば 受遺者は 遺言者の死亡後 いつでも 遺贈の放棄をすることができ 遺贈の放棄は 遺言者死亡のときに遡ってその効力を生じるとされているから 前所有者から請求人に対する本件各不動産の所有権移転の事実は無かったものであり 請求人は

処分済み

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7 平成 28 年 10 月 3 日 処分庁は 法第 73 条の2 第 1 項及び条例第 43 条第 1 項の規定により 本件不動産の取得について審査請求人に対し 本件処分を行った 8 平成 28 年 11 月 25 日 審査請求人は 審査庁に対し 本件処分の取消しを求める審査請求を行った 第 4

11総法不審第120号

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平成  年(オ)第  号

取得に対しては 分割前の当該共有物に係る持分割合を超える部分の取得を除いて 不動産取得税を課することができないとするだけであって 分割の方法に制約を設けているものではないから 共有する土地が隣接している場合と隣接していない場合を区別し 隣接していない土地を一体として分割する場合に非課税が適用されない

11総法不審第120号

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の補正書 において, 審査請求の趣旨を この開示請求は本人の給与のみずましにかかわる書面である為 としているが, 原処分を取り消し, 本件対象保有個人情報の開示を求めている審査請求として, 以下, 原処分の妥当性について検討する 2 原処分の妥当性について (1) 給与所得の源泉徴収票について給与所

11総法不審第120号

処分済み

ウ商業地等である 町の土地の平成 28 年度分の固定資産税の課税標準額は 法附則第 18 条第 5 項及び第 25 条第 5 項の規定により 課税標準となるべき価格に0.7を乗じた額となる なお 岐阜市税条例 ( 昭和 25 年岐阜市条例第 14 号 以下 条例 という ) においては これと異なる

平成 30 年 9 月 25 日 諮問 平成 30 年 11 月 13 日審議 ( 第 27 回第 4 部会 ) 平成 30 年 12 月 11 日審議 ( 第 28 回第 4 部会 ) 第 6 審査会の判断の理由審査会は 請求人の主張 審理員意見書等を具体的に検討した結果 以下のように判断する 1

総務省が所管する地方税法ではなく 財務省が所管する国有財産法の適用を受けるとのことであり 実施機関の本件決定は失当である (2) 本件は 国税庁からの教示による公文書公開請求であり これを実施機関が非公開決定するとは言語道断である (3) 尖閣諸島の国有化は 日本と中国の外交問題に発展していることも

1 審査会の結論 平成 28 年度市民税 県民税の賦課決定処分 に係る審査請求は棄却する べきであるとの審査庁の判断は妥当である 2 事案概要南区長 ( 以下 処分庁 という ) は 地方税法 ( 昭和 25 年法律第 226 号 以下 法 という ) 第 24 条及び第 294 条並びに横浜市市税

11総法不審第120号

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11総法不審第120号

返還の必要性を十分説明しており 手続は適法である 第 3 審理員意見書の要旨 1 結論本件審査請求には理由がないので 棄却されるべきである 2 理由 (1) 本件の争点は 本件保険が法第 4 条第 1 項に規定する 利用し得る資産 に該当するかどうかであるが その判断に当たっては 処分庁が判断の要素

11総法不審第120号

<4D F736F F D2095BD90AC E D738CC2816A939A905C91E D862E646F63>

11総法不審第120号

高島市職員措置請求に係る監査の結果について 第 1 請求の受付 1 請求書の提出平成 29 年 9 月 28 日 2 請求人 3 請求の要旨 ( 高島市職員措置請求書 の原文のまま記載) 1 請求の要旨高島市長による平成 29 年度の固定資産税の賦課において 別紙の固定資産について 家屋の未評価によ

11総法不審第120号

11総法不審第120号

特例適用住宅 という ) が新築された場合 ( 当該取得をした者が当該土地を当該特例適用住宅の新築の時まで引き続き所有している場合又は当該特例適用住宅の新築が当該取得をした者から当該土地を取得した者により行われる場合に限る ) においては, 当該土地の取得に対して課する不動産取得税は, 当該税額から

11総法不審第120号

11総法不審第120号

諮問庁 : 国立大学法人長岡技術科学大学諮問日 : 平成 30 年 10 月 29 日 ( 平成 30 年 ( 独情 ) 諮問第 62 号 ) 答申日 : 平成 31 年 1 月 28 日 ( 平成 30 年度 ( 独情 ) 答申第 61 号 ) 事件名 : 特定期間に開催された特定学部教授会の音声

が成立するが 本件処分日は平成 29 年 3 月 3 日であるから 平成 24 年 3 月 3 日以降 審査請求人に支給した保護費について返還を求めることは可能であ る 第 3 審理員意見書の要旨 1 結論本件審査請求には理由がないので 棄却されるべきである 2 理由 (1) 本件処分に係る生活保護

査請求人 ) が 平成 5 年分所得税確定申告書 ( 以下 本件請求保有個人情報 1 という ) の開示を求めるものである 処分庁は, 本件開示請求に対し, 本件請求保有個人情報 1は文書保存期間 (7 年 ) が満了し, 既に廃棄しているとして, 平成 27 年 12 月 2 2 日付け特定記号第

がある 7 平成 28 年 3 月 28 日 処分庁は 同日付で審査請求人に対し 借入金収入 円の未申告により生じた保護費過払い分について 法第 78 条第 1 項の規定により費用徴収を行う決定を行い 同年 7 月 7 日 費用徴収決定通知書を審査請求人に手交した 8 審査請求人は 平成 28 年

録された保有個人情報 ( 本件対象保有個人情報 ) の開示を求めるものである 処分庁は, 平成 28 年 12 月 6 日付け特定記号 431により, 本件対象保有個人情報のうち,1 死亡した者の納める税金又は還付される税金 欄,2 相続人等の代表者の指定 欄並びに3 開示請求者以外の 相続人等に関

11総法不審第120号

19 条の4 第 2 項の規定により, 特別職の公務員であるから, 本件不開示情報は, 公務員としての職務遂行情報であり, 精神保健指定医が, 客観的な生体検査もなく, ただその主観に基づいて, 対象者を強制入院させることができるという性質の資格であること, 本件開示請求に係る精神保健指定医らが対象

固定資産評価審査申出とは

11総法不審第120号

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非常に長い期間, 苦痛に耐え続けた親族にとって, 納得のできる対応を日本政府にしてもらえるよう関係者には協力賜りたい ( その他は, 上記 (2) と同旨であるため省略する ) (4) 意見書 3 特定個人 Aの身元を明らかにすること及び親子関係の証明に当たっては財務省 総務省において, 生年月日の

1 本件審査請求について (1) 本件審査請求に係る開示請求は, 法に基づき, 処分庁に対し, 本件対象文書の開示を求めたもの ( 以下 本件開示請求 という ) である (2) 本件開示請求を受けて, 処分庁は, 本件対象文書を作成しておらず不存在として, 不開示決定 ( 原処分 ) を行った (

0 月 22 日現在, 通帳紛失の総合口座記号番号 特定番号 A-B~C 担保定額貯金 4 件 ( 特定金額 A): 平成 15 年 1 月 ~ 平成 16 年 3 月 : 特定郵便局 A 預入が証明されている 調査結果の回答書 の原本の写しの請求と, 特定年月日 Aの 改姓届 ( 開示請求者本人

11総法不審第120号

仕事の依頼に諾否の自由はなく 業務の内容及び遂行方法について本件会社の指揮命令を受け アシスタント雇用等に関する規程等により 業務を他人に代替させえない 所得税の源泉徴収 雇用保険 厚生年金 健康保険の保険料徴収がある 営業所 机 パソコン 文具等は本件会社の提供に係るものであり 経費は立替精算であ

次のように補正するほかは, 原判決の事実及び理由中の第 2に記載のとおりであるから, これを引用する 1 原判決 3 頁 20 行目の次に行を改めて次のように加える 原審は, 控訴人の請求をいずれも理由がないとして棄却した これに対し, 控訴人が控訴をした 2 原判決 11 頁 5 行目から6 行目

ものであるから 法定相続における遺産分割とパラレルに考えるべき事案であって 相続による不動産の取得 として 法 7 3 条の 7 第 1 号を適用して非課税とされるべきものである 処分庁は 私的取引社会における事実の流れを勝手に分断し その一部だけに税法を適用しており 裁量権の逸脱であって許されない

異議申立てしていますが, 協会 ( 原文ママ ) として黙認しています 本件に関しても, 諮問庁は国のトップなのだから, もっともっと労働問題に積極的に取り組み, 労基法厳守で, 場合により, 行政処分すべきである 警察なら, スピード違反すれば即行政処分されますが, 労基法では, 基本強い行政処分

ら退去を迫られやむを得ず転居したのであるから本件転居費用について保護費が支給されるべきであると主張して 本件処分の取消しを求めている 2 処分庁の主張 (1) 生活保護問答集について ( 平成 21 年 3 月 31 日厚生労働省社会援護局保護課長事務連絡 以下 問答集 という ) の問 13の2の

の対象として 人事院事務総長引継書 を特定し, 同年 9 月 29 日付け行政文書開示決定通知書を審査請求人に送付した 2 審査請求人が主張する本件審査請求の趣旨及び理由審査請求人は, 事務引継書が1 名分しか存在しないという決定は不自然である, 他の職員についても事務引継書がなければ, 前任者から

ウ 特定個人 a に訂正してほしいとは, 私は書いてない これも日本年金機構の単純ミスなのか? それとも他に理由があるのか? 事実に基づいて, 説明を求める 私の公共職業安定所における氏名は, カタカナの 特定個人 b のスペースなしで管理されている 私の資格画面も氏名欄はカタカナである 国民年金保

11総法不審第120号

1 審査会の結論 平成 29 年度市民税 県民税税額変更処分 に係る審査請求は棄却するべ きであるとの審査庁の判断は妥当である 2 事案概要緑区長 ( 以下 処分庁 という ) は 平成 29 年 6 月 1 日 審査請求人に対して 平成 29 年度市民税 県民税賦課決定処分 ( 以下 先行処分 と

市町村合併の推進状況について

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1 天神 5 丁目本件土地及び状況類似地域 天神 5 丁目 本件土地 1 状況類似地域 標準宅地

無い (3) 特定市が振興協会会長 Aと市教育委員会とで一体に推進した当該文化事業は事業の実施前と実施後のまちの変化における事業の効果について国への報告義務があり, 公正に適法に事業を行う責務の存在は当該文化事業の目標の1は中心市街地の賑わいの促進にあって中心市街地活性化ソフト事業であって公開されて

11総法不審第120号

11総法不審第120号

Microsoft Word - 答申書(一)5号本体(公表用・伏せ字有り)

達したときに消滅する旨を定めている ( 附則 10 条 ) (3) ア法 43 条 1 項は, 老齢厚生年金の額は, 被保険者であった全期間の平均標準報酬額の所定の割合に相当する額に被保険者期間の月数を乗じて算出された額とする旨を定めているところ, 男子であって昭和 16 年 4 月 2 日から同

1. 固定資産税 都市計画税について 固定資産税は 毎年 1 月 1 日 ( 賦課期日 といいます ) 現在に土地 家屋 償却資産 ( こ れらを総称して 固定資産 といいます ) を所有している人が その固定資産の所在する 市町村に納める税金です 都市計画税は 下水道 街路 公園などの都市計画事業

( 賦課期日 ) 第 4 条都市計画税の賦課期日は 当該年度の初日の属する年の1 月 1 日とする ( 納期 ) 第 5 条都市計画税の納期は 次のとおりとする 第 1 期 4 月 1 日から同月 30 日まで第 2 期 7 月 1 日から同月 31 日まで第 3 期 12 月 1 日から同月 25

1 項で, 道府県知事は, 固定資産課税台帳に固定資産の価格が登録されている不動産については, 当該価格により当該不動産に係る不動産取得税の課税標準となるべき価格を決定するものとする旨を定め, 同条 2 項で, 道府県知事は, 固定資産課税台帳に固定資産の価格が登録されていない不動産又は当該固定資産

丙は 平成 12 年 7 月 27 日に死亡し 同人の相続が開始した ( 以下 この相続を 本件相続 という ) 本件相続に係る共同相続人は 原告ら及び丁の3 名である (3) 相続税の申告原告らは 法定の申告期限内に 武蔵府中税務署長に対し 相続税法 ( 平成 15 年法律第 8 号による改正前の

11総法不審第120号

11総法不審第120号

附則 この規則は 平成 29 年 3 月 1 日から施行する

む ), 倉庫その他の建物をいう ( 同条 3 号 ) 固定資産課税台帳 とは, 土地課税台帳, 土地補充課税台帳, 家屋課税台帳, 家屋補充課税台帳及び償却資産課税台帳を総称するものである ( 同条 9 号 ) 家屋課税台帳 とは, 登記簿に登記されている家屋 ( 建物の区分所有等に関する法律 (

である なお 国の通達でも 生命保険外交員は 代理業でない限り個人事業税の課税は不可とされている 仕事の依頼に諾否の自由はなく 業務の内容及び遂行方法について本件会社の指揮命令を受け アシスタント雇用等に関する規定等により 業務を他人に代替させえない 所得税の源泉徴収 雇用保険 厚生年金 健康保険の

第 4 審査関係人の主張の要旨 1 審査請求人の主張審査請求人は 次のとおり 本件処分は 違法又は不当である旨を主張している (1) 審査請求人が 複数の取引先から依頼を受けて行っている翻訳の業務は 法第 72 条の2 第 3 項の規定により個人事業税が課されるべきいずれの事業としても法に定められて

審 査 請 求 事 務 取 扱 要 領

平成14年7月3日

7 固定資産税に関する事務 基礎項目評価書

11総法不審第120号

旨の申告 ( 以下 本件申告 という ) をしたところ, 処分行政庁から, 本件不動産取得税を還付しない旨の処分 ( 以下 本件処分 という ) を受けたため, 処分行政庁が所属する東京都を被告として, 本件処分の取消しを求める事案である 原判決は, 控訴人の請求を棄却したので, これを不服とする控

11総法不審第120号

政令で定める障害の程度に該当するものであるときは, その者の請求に基づき, 公害健康被害認定審査会の意見を聴いて, その障害の程度に応じた支給をする旨を定めている (2) 公健法 13 条 1 項は, 補償給付を受けることができる者に対し, 同一の事由について, 損害の塡補がされた場合 ( 同法 1

(イ係)

(2) B 社に係る破産事件等東京地方裁判所は, 平成 21 年 2 月 24 日,B 社を再生債務者として, 再生手続開始の決定をした しかし, 東京地方裁判所は, 同年 3 月 24 日,B 社の事業継続を不可能とする事実が明らかになったとして, 再生手続廃止の決定をするとともに, 再生手続廃止

なお, 基本事件被告に対し, 訴状や上記移送決定の送達はされていない 2 関係法令の定め (1) 道路法ア道路管理者は, 他の工事又は他の行為により必要を生じた道路に関する工事又は道路の維持の費用については, その必要を生じた限度において, 他の工事又は他の行為につき費用を負担する者にその全部又は一

諮問庁 : 株式会社日本政策金融公庫諮問日 : 平成 28 年 2 月 8 日 ( 平成 28 年 ( 独個 ) 諮問第 3 号 ) 答申日 : 平成 28 年 4 月 27 日 ( 平成 28 年度 ( 独個 ) 答申第 1 号 ) 事件名 : 本人に関する融資審査の検討資料の不訂正決定に関する件

控訴人は, 控訴人にも上記の退職改定をした上で平成 22 年 3 月分の特別老齢厚生年金を支給すべきであったと主張したが, 被控訴人は, 退職改定の要件として, 被保険者資格を喪失した日から起算して1か月を経過した時点で受給権者であることが必要であるところ, 控訴人は, 同年 月 日に65 歳に達し

○不動産を贈与した場合の申請書の様式・記載例(オンライン庁)

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被上告人に対し, 上記各賦課決定の取消しを求めている事案である 2 原審の適法に確定した事実関係等の概要は, 次のとおりである (1) 上告人は, 東京都渋谷区内に所在する面積が200m2以下である本件土地及びこれを敷地とする第 1 審判決別紙物件目録記載の建物 ( 以下 旧家屋 という ) を所有

(1) 理由付記等

して 当審査会に対し諮問をした 以上の事案の経緯は 諮問書 審査請求書及び懲戒処分書から認められる 2 関係する法令等の定め (1) 司法書士に対する懲戒及びその手続についてア法 47 条は 司法書士がこの法律又はこの法律に基づく命令に違反したときは その事務所の所在地を管轄する法務局又は地方法務局

債務のうち所定の範囲内のものを当該事業主に代わって政府が弁済する旨規定する (2) 賃確法 7 条における上記 政令で定める事由 ( 立替払の事由 ) として 賃金の支払の確保等に関する法律施行令 ( 昭和 51 年政令第 169 号 以下 賃確令 という )2 条 1 項 4 号及び賃金の支払の確

Transcription:

答 申 審査請求人 ( 以下 請求人 という ) が提起した各不動産取得税賦 課処分に係る各審査請求について 審査庁から諮問があったので 次の とおり答申する 第 1 審査会の結論 本件各審査請求は いずれも棄却すべきである 第 2 審査請求の趣旨本件各審査請求の趣旨は 都税事務所長 ( 以下 処分庁 という ) が 請求人に対し 平成 2 9 年 7 月 7 日付けの納税通知書により行った別紙 1 物件目録 1 ないし 3 記載の各土地 ( 以下 本件各土地 という ) 及び同目録 4 記載の家屋 ( 以下 本件家屋 といい 本件各土地と併せて 以下 本件各不動産 という ) の取得に係る各不動産取得税賦課処分 ( 以下 本件各処分 という その内容は 別紙 2 処分目録 1 及び2 記載のとおり ) について いずれもその取消しを求めるというものである 第 3 請求人の主張の要旨請求人は 以下のように 本件各処分の違法性 不当性を主張している 税額に疑問があり専門家にチェックを依頼したところ 理解しかねる点がある故 調査の申出をしてはとの結論により 処分庁に調査を依頼したが 時間を要するとして 結論を出さない 納税者の立場にたっての配慮がない - 1 -

第 4 審理員意見書の結論 本件各審査請求は理由がないから 行政不服審査法 4 5 条 2 項に より いずれも棄却すべきである 第 5 調査審議の経過審査会は 本件諮問について 以下のように審議した 年月日審議経過 平成 30 年 3 月 6 日 諮問 平成 30 年 4 月 26 日審議 ( 第 20 回第 3 部会 ) 平成 30 年 5 月 25 日審議 ( 第 21 回第 3 部会 ) 第 6 審査会の判断の理由審査会は 請求人の主張 審理員意見書等を具体的に検討した結果 以下のように判断する 1 法令の定め及びこれに関する判例等 (1) 法 7 3 条の 2 第 1 項の規定によれば 不動産取得税は 不動産の取得に対し 当該不動産所在の道府県において 当該不動産の取得者に課することとされている そして 法は 1 条 2 項の規定において この法律中道府県に関する規定は都に準用し この場合においては 道府県 道府県知事 等とあるのは それぞれ 都 都知事 等と読み替えるとしている したがって 都の区域に所在する不動産の取得に対しては 都において 不動産取得税を課することとなる (2) 不動産取得税の課税標準は 不動産を取得した時における不動産の価格とし ( 法 73 条の13 第 1 項 ) 価格とは 適正な時価 をいうとされている ( 法 73 条 5 号 ) - 2 -

(3) 法 7 3 条の 2 1 第 1 項本文によれば 固定資産課税台帳に固定資産の価格が登録されている不動産については 当該登録価格により当該不動産に係る不動産取得税の課税標準となるべき価格を決定するものとされている なお その例外となるのは 当該不動産について増築 改築 損かい 地目の変換その他特別の事情がある場合において当該固定資産の価格により難いとき であると規定されている ( 同項ただし書 ) (4) 上記 (2) 及び (3) の規定の趣旨について 最高裁判所の判例によると 法は 道府県知事が不動産取得税の課税標準である不動産の価格を決定するについては 固定資産課税台帳に当該不動産の価格が登録されている場合には 法 73 条の21 第 1 項ただし書に該当しない限り みずから客観的に適正な時価を認定することなく 専ら登録価格によりこれを決定すべきものとしていると解するのが相当であり したがって 仮に登録価格が当該不動産の客観的に適正な時価と一致していなくても それが法 73 条の2 1 第 1 項ただし書所定の程度に達しない以上は 登録価格によってした不動産取得税の賦課処分は違法となるものではなく そのような場合には 不動産取得税の納税者は 賦課処分の取消訴訟において 登録価格が客観的に適正な時価でないと主張して課税標準たる価格を争うことができないと解されるのである ( 最高裁判所昭和 51 年 3 月 26 日判決 裁判所ウェブサイト裁判例情報登載 最高裁判所裁判集民事第 1 1 7 号 3 0 9 頁 判例時報 8 1 2 号 48 頁 ) とされている (5) そうとすると 不動産取得税の納税義務者は 不動産取得税の賦課処分の違法原因として 登録価格が客観的に適正な時価と一致しないことを主張することはできないが 法 7 3 条の 2 1 第 1 項ただし書所定の登録価格により難い特別の事情があることは主張できることとなるものである しかるに ここにいう 当該固定資産の価格により難いとき とは 最高裁判所の判例による - 3 -

と 当該不動産につき 固定資産税の賦課期日後に増築 改築 損かい 地目の変換その他特別の事情が生じ その結果 登録価格が当該不動産の適正な時価を示しているものということができないため 登録価格を不動産取得税の課税標準としての不動産の価格とすることが適当でなくなった場合をいうものと解すべきであり したがって 不動産取得税の納税者は 登録価格を課税標準としてされた賦課処分の取消訴訟においては 当該不動産の時価と登録価格とに隔差があることを主張するだけでは足りず それが賦課期日後に生じた特別の事情によるものであることをも主張する必要があるものというべきである ( 最高裁判所平成 6 年 4 月 21 日判決 ( 裁判所ウェブサイト裁判例情報登載 最高裁判所裁判集民事第 1 7 2 号 3 9 1 頁 判例時報 1499 号 59 頁 )) とされている (6) 上記 (4) 及び (5) に各引用した最高裁判所判決の判旨は いずれも取消訴訟におけるものであるが この理は 不動産取得税の賦課処分の取消しを求める審査請求手続においても 基本的に同様に考えるべきものであると解せられる (7) 法 380 条 1 項によれば 市町村は 固定資産の状況及び固定資産税の課税標準である固定資産の価格を明らかにするため 固定資産課税台帳を備えなければならない なお 固定資産課税台帳 とは 土地課税台帳 土地補充課税台帳 家屋課税台帳 家屋補充課税台帳及び償却資産課税台帳を総称するものである ( 法 341 条 9 号 ) (8) 法は 固定資産税を市町村税と定めているが (5 条 2 項 2 号 ) 都は 特別区の存する区域において 固定資産税を課するものとし この場合においては 都を市とみなして 固定資産税について該当する法の規定 ( 3 4 1 条ないし441 条 ) を準用するものとしている (734 条 1 項 ) したがって 特別区の存する区域においては 都が 上記 (7) - 4 -

の固定資産課税台帳を備えているものである (9) 法 7 3 条の 1 7 第 1 項の規定によれば 不動産取得税の徴収については 普通徴収 ( 徴税吏員が納税通知書を当該納税者に交付することによって地方税を徴収すること 法 1 条 1 項 7 号 ) の方法によるものとされている (10) 法 1 0 条の 2 第 1 項は 共同行為に対する地方団体の徴収金は 納税者が連帯して納付する義務を負うと規定している したがって 2 人以上共同して不動産を取得した者は 当該不動産の取得に係る不動産取得税について 各自が連帯して納付する義務を負う ただし 連帯して納付する義務を負う者各人に対する関係で その税額を有効に確定させるためには 各人それぞれに対して納税通知書を交付しなければならない なお 地方団体の徴収金の連帯納付義務については 連帯債務に関する民法 432 条から434 条まで 437 条及び439 条から 4 4 4 条までの規定が準用される ( 法 1 0 条 ) したがって 連帯納付義務者の一人に対し 又は同時に若しくは順次に全ての連帯納付義務者に対し 徴収金の全部又は一部の納税告知をすることができる ( 民法 4 3 2 条の準用 ) 2 以上を前提に 本件について検討する (1) 本件各不動産は 請求人が本件各不動産を取得した平成 2 8 年 9 月 2 9 日現在 いずれも平成 28 年度の固定資産課税台帳に固定資産の価格 ( 本件各登録価格 ) が登録されている不動産である 一方 請求人が 専門家にチェックを依頼したところ 理解しかねる点があると主張する点については 請求人と処分庁とのやり取りからすると 主に地積測量図を巡ってのものと考えられるが その主張するところが 本件各不動産の価格ないし不動産取得税の税額に具体的にどのように影響する内容であるのかは必ずしも定かではない しかし いずれにしても 本件各不動産の課 - 5 -

税標準額ひいてはその前提となっている本件各登録価格についての疑問があると主張しているものであると解せられる そうとしても 請求人が 本件各登録価格との関連で 理解しかねるという状況が 固定資産税の賦課期日 ( 平成 2 8 年 1 月 1 日 ) 以後に 本件各不動産について生じた特別の事情の存在によるものであることを認めるに足りる証拠は 請求人から提出されていないのみならず そのほかにも 本件各登録価格を本件各不動産の取得に係る不動産取得税の課税標準となるべき価格としての不動産の価格とすることが適当でなくなるような特別な事情 ( 法 73 条の21 第 1 項ただし書に該当する事実 ) の存在を示す的確な証拠は 処分庁から提出された資料も含めた範囲においても 存在しないというほかはない (2) したがって 処分庁が 法 7 3 条の 2 1 第 1 項本文に基づき 本件各登録価格により本件各処分に係る課税標準となるべき価格及び課税標準額を決定し 本件各処分を行ったことは 上記 1 記載の法令の定めに則ってなされた適正なものであり また 本件各処分においては 違算等も認められないことから そこに何ら違法又は不当な点を認めることはできない (3) 請求人は 地積測量図を基に 不動産取得税の課税標準を算出し直すべきである旨主張するようである しかしながら 上記 1 (4) 及び (5) にも述べたとおり そもそも法は 道府県知事 ( 法 1 条 2 項の規定により 都知事 に読み替える なお 都知事は 各都税事務所長に 不動産取得税の賦課徴収権限を委任している ) が不動産取得税の課税標準となるべき価格である不動産の価格を決定するについては 固定資産課税台帳に当該不動産の価格が登録されている場合には 法 73 条の21 第 1 項ただし書に該当しない限り 専ら登録価格によりこれを決定すべきものとしていると解するのが相当であり したがって 仮に登録価格が当該不動産の客観的に適正な時価と一致し - 6 -

ていなくても それが法 73 条の21 第 1 項ただし書所定の程度に達しない以上は 登録価格によってした不動産取得税の賦課処分は違法となるものではないと解すべきであって ( 前掲最高裁判所昭和 51 年 3 月 26 日判決参照 ) また 法 7 3 条の 2 1 第 1 項ただし書所定の事情は 固定資産税の賦課期日後に生じたものであることが必要であると解すべきである ( 前掲最高裁判所平成 6 年 4 月 21 日判決参照 ) したがって 固定資産課税台帳に当該不動産の価格が登録されている場合には 不動産取得税の納税者は 不動産取得税の賦課処分にかかる不服申立てにおいて 単に固定資産課税台帳の登録価格が客観的に適正な時価でないと主張するだけでは 課税標準たる価格を争うことはできないものであり 当該不動産の時価と登録価格との隔差が 賦課期日後に生じた特別の事情によるものであることをも主張しなければならないのであるところ 請求人の本件主張は 本件各登録価格が適正な時価でないことをいうにとどまり 賦課期日後の特別の事情については何ら触れるところがないものである また 主張の有無をさて措くとしても 本件各土地に係る地積測量図の存否如何等にかかわらず かかる特別の事情の存在を推測させるような証拠は 何ら見出せないものであるから 請求人の言う点は 本件各処分を違法 不当とする理由とはなり得ないものといわざるを得ない (4) 以上のとおりであるから 本件各処分を違法 不当とする請求人の主張には いずれも理由があるとすることはできない 3 請求人の主張以外の違法性又は不当性についての検討また 本件各処分において 上記 2 に述べた以外の点においても 違法又は不当があるとは認められるものではない 以上のとおり 審査会として 審理員が行った審理手続の適正性や法 令解釈の妥当性を審議した結果 審理手続 法令解釈のいずれも適正に - 7 -

行われているものと判断する よって 第 1 審査会の結論 のとおり判断する ( 答申を行った委員の氏名 ) 外山秀行 渡井理佳子 羽根一成 別紙 1 及び別紙 2( 略 ) - 8 -