などの民営企業が位置する 16 年は旅客需要が堅調で 特に国内線が収益の支えになった もっとも 国有大手 3 社の営業収益は価格競争と貨物事業が足を引っ張り 小幅増にとどまった また 原油高と人民安が重しになり 中国国際航空と中国東方航空は小幅減益に後退 対照的に 3 社を追う海南航空 民営最大手の

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216 年 9 月 28 日 中国航空科技工業 (2357) ヘリコプター生産の中航直昇機 (638) エンジン生産の中航動力 (6893) 電子システムの中航航空電子 (6372) など 複数の上場企業を傘下に置く さらに情報技術ソリューションサービス (AIT) では中国民航信息網路 (696)

218 年 8 月 15 日 春秋航空が競争力を一段と強め 大幅増収を達成した 香港では国泰航空 (293) が最大手だが 旅客 貨物需要の伸び悩みにより赤字が続いた 一方 空港会社の業績は業務量の拡大に伴い 17 年も拡大が続いた 北京首都国際機場 (694) 上海エアポート (69) 広州白雲エ

間 ) で堅調な業績となった 関連分野をみると 航空機設備では国務院直轄の中国航空工業集団が国内最大手 同社は航空機生産の中国航空科技工業 (02357) エンジン生産の中航動力 (600893) など 複数の上場企業を傘下に持つ さらに情報技術ソリューションサービス (AIT) では中国民航信息網

( 億円 ) ( 億円 ) 営業利益 経常利益 当期純利益 2, 15, 1. 金 16, 額 12, 12, 9, 営業利益率 経常利益率 当期純利益率 , 6, 4. 4, 3, 2.. 2IFRS 適用企業 1 社 ( 単位 : 億円 ) 215 年度 216 年度前年度差前年度

( 億円 ) ( 億円 ) 営業利益 経常利益 当期純利益 金 25, 2, 15, 12, 営業利益率 経常利益率 額 15, 9, 当期純利益率 6. 1, 6, 4. 5, 3, 2.. 2IFRS 適用企業 8 社 214 年度 215 年度前年度差 ( 単位 : 億円 ) 前年

2019 年 3 月期決算説明会 2019 年 3 月期連結業績概要 2019 年 5 月 13 日 太陽誘電株式会社経営企画本部長増山津二 TAIYO YUDEN 2017

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平成 23 年 3 月期 決算説明資料 平成 23 年 6 月 27 日 Copyright(C)2011SHOWA SYSTEM ENGINEERING Corporation, All Rights Reserved

目次 1. 経営成績営業利益分析 / 海外売上高 / 貸借対照表 2. 業績予想 ( 修正 : 有 ) 3. 研究開発費 / 減価償却費 / 設備投資 4. 株価の状況 5. トピックス P.2 P.10 P.14 P.16 P

決算概要

2018 Brother Industries, Ltd. All Rights Reserved 年度第 3 四半期連結業績概要 16Q3 増減 増減率 () は為替影響 除く増減率 売上収益 1,878 1, % (+6.4%) 事業セグメント利益 224

プレゼン

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トラック運送事業の経営実態 全日本トラック協会は全国のトラック運送事業者 2,188 社 ( 有効数 ) の平成 25 年度事業報告書に基づき集計 分析した 経営分析報告書 ( 平成 25 年度決算版 ) をまとめた 全日本トラック協会が平成 4 年度から発行しているこの報告書は 会員事業者が自社の

216 年 9 月 28 日 開している点が特徴だ 一方 インフラ運営企業をみると道路は地域独占型が大半で 地政府が支配 深セン高速道路 (548) 越秀交通基建 (152) 広東高速道路 (2429) の 3 社は国内最大の製造業の集積地である珠江デルタをカバー 長江デルタ地域は江蘇高速道路 (1

決算概要

第 1 四半期の売上収益は 1,677 億円となり 前年からプラス 6.5% 102 億円の増収となりました 売上収益における為替の影響は 前年 で約マイナス 9 億円でしたので ほぼ影響はありませんでした 事業セグメント利益は 175 億円となり 前年から 26 億円の減益となりました 在庫未実現

2007年度中間期 連結決算補足資料

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217 年 8 月 23 日 塗料を供給する中遠海運国際 (517) は収益構成が悪化し 減益に後退した 招商局集団をみると フォワーダー最大手の中国外運 (598) は事業の高付加価値化が増収益に寄与 もっとも 招商局港口 (144) は主力の港湾事業の収益が伸び悩み バルク輸送専門の中外運航運

本日の説明内容 総括 2019 年 3 月期第 1 四半期実績 2019 年 3 月期通期見通し 主要施策の進捗 1

[ 調査の実施要領 ] 調査時点 製 造 業 鉱 業 建 設 業 運送業 ( 除水運 ) 水 運 業 倉 庫 業 情 報 通 信 業 ガ ス 供 給 業 不 動 産 業 宿泊 飲食サービス業 卸 売 業 小 売 業 サ ー ビ ス 業 2015 年 3 月中旬 調査対象当公庫 ( 中小企業事業 )

2017年度 決算説明会資料

2018年3月期 決算説明会

2018年3月期 第1四半期決算概要

部品メーカーの状況 自動車部品メーカー 75 社の 2017 年度通期 (2017 年 年 3 月 ) の業績は 以下のとおりとなった 1. 決算状況 1 日本基準適用企業 63 社 ( ) 前年同期差 前年同期比 売上高 14,135,817 15,044, ,912 +

Jetstar-JapanとPeachの経営比較

通期 連結の売上高 営業利益 経常利益としては 過去最高 のれん及び固定資産に係る減損損失を特別損失として 517 億円計上 当期純利益が 3 月 30 日付での予想数値より増加したのは 予想数値公表時の見込み額と比べ 最終決算数値により確定した減損損失額が 53 億円 減少したことによる 事業環境

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平成21年3月期 決算補足説明資料

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1. 30 第 1 運用環境 各市場の動き ( 4 月 ~ 6 月 ) 国内債券 :10 年国債利回りは狭いレンジでの取引が続きました 海外金利の上昇により 国内金利が若干上昇する場面もありましたが 日銀による緩和的な金融政策の継続により 上昇幅は限定的となりました : 東証株価指数 (TOPIX)

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第 Ⅲ 章 需要予測 Ⅲ-1

1

平成16年度 事業報告書

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PowerPoint プレゼンテーション

第 2 四半期累計として 連結の売上高 営業利益 経常利益 四半期純利益とも 過去最高 上期で初の売上高 1 兆円を達成 4 月 27 日に発表した連結業績予想数値との比較でも それぞれプラス 事業環境に関する認識と確認 ( 物流業界の状況 ) 国内外ともに 景気の回復基調は続き 荷動きは おおむね

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中国から日本の地方都市への航空直行便開設

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2018年度第1四半期 決算説明資料

決算サマリー 2019 年 3 月期第 1 四半期業績概要 売上高 596 億円 ( 前四半期比横ばい ) 営業利益 60 億円 ( 同 34% 増 ) 自動車向けの需要が コンデンサ中心に堅調 2019 年 3 月期業績予想 上期の業績予想を上方修正 自動車 産業機器の電子化やスマートフォンの高機

2017 年 10 月 5 日 電力 電力設備 新エネルギー業界 ~ 電力改革 エネルギーシフトが進む ~ 市場動向 ~ 世界一の電力大国 需要回復も石炭高 過剰設備が重しに ~ 16 年の業界規模 ( 前年値修正済み ): 消費電力量 :5.97 兆 kwh( 前年比 5% 増 ) 設備投資額 :

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2018 年 10 月号 中国の金融経済動向について 中国の AI 動向について 千葉銀行上海駐在員事務所

2018年度 第3四半期累計 1-9月 実績 2017年 19月期 2018年 19月期 増減 () 9,302 9, % +4.1% 営業利益 % 0.0% % +9.7% 親会社の所有者に 帰属する四半期利

2018年度第2四半期 決算概要

218 年 7 月 25 日 は物流パーク建設 運営の専門企業 民営では怡亜通 (2183) と飛馬供応鏈 (221) の両企業がサプライチェーン全体のマネジメントを手がけ それぞれ IT 通信機器 石炭 金属の分野に強い 華南城 (1668) は物流センターの運営を担う 外資系は嘉里物流 (636


2017 年度第 1 四半期業績の概要 年 8 月 9 日 日本生命保険相互会社

目次 要旨 1 Ⅰ. 通信 放送業界 3 1. 放送業界の歩み (1) 年表 3 (2) これまでの主なケーブルテレビの制度に関する改正状況 4 2. 通信 放送業界における環境変化とケーブルテレビの位置づけ (1) コンテンツ視聴環境の多様化 5 (2) 通信 放送業界の業績動向 6 (3) 国民

2017 年度決算概要 Ⅰ 年度連結業績概要 Ⅱ 年度連結業績予想 Ⅲ. 補足資料 シャープ株式会社 2018 年 4 月 26 日 見通しに関する注意事項 本資料に記載されている内容には シャープ株式会社及び連結子会社 ( 以下 総称して シャープ という ) の計画 戦略

IFRS基礎講座 IAS第21号 外貨換算

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2009年3月期 第2四半期決算説明会

キヤノン株式会社 2015 年 12 月期決算説明会 2016 年 1 月 27 日 代表取締役副社長 CFO 田中稔三 本資料で記述されている業績見通し並びに将来予測は 現時点で入手可能な情報に基づき当社が判断した見通しで あり 潜在的なリスクや不確実性が含まれています そのため 様々な要因の変化

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ヘッジ付き米国債利回りが一時マイナスに-為替変動リスクのヘッジコスト上昇とその理由

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第03-XXX号

(2) 業界構造 ( 競争状況 ) 航空事業者は 数百機の機材を運航する事業規模の大きい航空会社から数機を繰り回している新興の LCC まで幅広い 航空運送事業は公共性が高いことから行政との関係が密接である 国内線の競争環境はその国ごとに違いがある 日本の場合 定期便事業を営むには 路線ごとに国土交

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日本基準基礎講座 資本会計

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タイトルを入力

2. 利益剰余金 ( 内部留保 ) 中部の 1 企業当たりの利益剰余金を見ると 製造業 非製造業ともに平成 24 年度以降増加傾向となっており 平成 27 年度は 過去 10 年間で最高額となっている 全国と比較すると 全産業及び製造業は 過去 10 年間全国を上回った状況が続いているものの 非製造

資料6

(2345) など 多くの上場企業を傘下に置く これら総合機械大手の傘下上場企業は 期で業績がまちまちだった 専門メーカーも多く 建設機械では江蘇省徐州市政府傘下の徐工機械 (425) 湖南省政府系の中聯重科 (1157) そして民営の三一重工 (631) の大手 3 社が激しい競争を展

現代資本主義論

IR 活動の実施状況 IR 活動を実施している企業は 96.6% 全回答企業 1,029 社のうち IR 活動を 実施している と回答した企業は 994 社 ( 全体の 96.6%) であり 4 年連続で実施比率は 95% を超えた IR 活動の体制 IR 専任者がいる企業は約 76% 専任者数は平

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目次 212 年の実績 P3~5 213 年の見通し P6~9 事業別詳細 (212 年 4Q 年間実績 /213 年最新見通し ) 財務状況参考資料 P1~15 P16~18 P19~24 2

(Taro-\222\262\215\270\225[.A4\207B.jtd)

第2部

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光学部品の生産技術の強化に向けた国内拠点の再編について

3 新関西国際空港 ( 株 ) の連結財務諸表の概要 損益計算書の概要 ( 単位 : 百万円 ) 年度 年度 対前年比 営業収益 78, ,827 47, % 営業費用 57,914 94,213 36, % 営業利益 20,933 32,614 11,680 1

2019 夏期スケジュール国際線定期便の概要 2019 夏期スケジュール (2019 年 3 月 31 日 ~2019 年 10 月 26 日 ) 期間の事業計画について 航空会社 124 社 ( 本邦 10 社 / 外航 114 社 ) から申請があり 3 月 29 日付で認可 コードシェアのみの

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企業活動のグローバル化に伴う外貨調達手段の多様化に係る課題

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【16】ゼロからわかる「世界経済の動き」_1704.indd

1.ASEAN 概要 (1) 現在の ASEAN(217 年 ) 加盟国 (1カ国: ブルネイ カンボジア インドネシア ラオス マレーシア ミャンマー フィリピン シンガポール タイ ベトナム ) 面積 449 万 km2 日本 (37.8 万 km2 ) の11.9 倍 世界 (1 億 3,43

1. 30 第 2 運用環境 各市場の動き ( 7 月 ~ 9 月 ) 国内債券 :10 年国債利回りは上昇しました 7 月末の日銀金融政策決定会合のなかで 長期金利の変動幅を経済 物価情勢などに応じて上下にある程度変動するものとしたことが 金利の上昇要因となりました 一方で 当分の間 極めて低い長

2017(平成29)年3月期第2四半期決算プレゼンテーション資料

2019年3月期第2四半期決算補足説明資料

( 本資料は ロンドンにて 2017 年 2 月 24 日付で発表された資料の日本語参考訳 ( 抜粋 ) で すべてにおいて英語版が優先します ) 2017 年 2 月 24 日 スタンダードチャータード PLC 2016 年度業績ハイライト ハイライトスタンダードチャータード PLC ( 以下 当

I. 調査結果概況 景気判断 DI( 現状判断 ) は小幅に上昇し最高値を更新 仕入原価高止まりも客単価が上昇 10 月スーパーマーケット中核店舗における景気判断 49.1 と小幅に上昇し 2010 年 4 月の調査開始以降最高値を記録した 経営動向調査によると売上高 DI が 1.1 とはじめてプ

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2018 年度第 3 四半期業績の概要 年 2 月 1 4 日 日本生命保険相互会社 Nippon Life Insurance Company

2016 年 10 月 31 日 各位 社名 代表者名 問合せ先 株式会社村田製作所代表取締役社長村田恒夫 ( コード :6981 東証第 1 部 ) 広報室長生嶌匠 (TEL ) ソニー株式会社からの電池事業の取得に関するお知らせ 株式会社村田製作所 ( 以下 当社 といい

Transcription:

空運関連業界 ~ 旅客需要が堅調 世界最大の航空大国へ ~ 市場動向 ~ 世界 2 位の市場 航空 空港 航空機各社は成長戦略を推進 ~ 16 年の業界規模 ( 前年値修正済み ): 航空旅客輸送量 :4 億 8776 万人 ( 前年比 12% 増 ) 貨物輸送量 :667 万トン ( 同 6% 増 ) 空港旅客利用者数 :1 億 1636 万人 ( 同 11% 増 ) 業界全体の営業収益 :6393 億 ( 同 6% 増 ) 世界最大の人口と広大な国土を持つ中国の航空市場は米国に次ぐ世界 2 位の規模を誇る 16 年の航空需要は旅客が引き続き 2 桁台の伸びを保ち 貨物も堅調 各航空会社の増便 新型機導入 新空港建設などが進んだ 高成長を続けるアジア市場の最大手として 中国のプレゼンスは一段と上昇 業界全体での税前利益は前年比で 17% も増加した うち主力の航空会社は運賃下落 原油高 人民安の圧力に曝されたが 堅調な旅客需要を支えに増収益を確保 利用者数の増加で空港会社は好調だった 投資も活発で 業界全体の固定資産投資は初めて 2 億を突破 航空機産業はこの恩恵を享受できた 17 年は中国経済の回復を追い風に 1-5 月の旅客 貨物需要の伸びは加速 また 人民安の一服感と原油安でコスト圧力も和らいだ この中で航空大手は特に堅調な国内線の強化に努め ハブ空港も設備投資を拡大 また 航空機メーカーは国家プロジェクトとして国産ジェット機 ( ARJ21 C919 ) の開発を加速しており いずれも成長戦略に余念はない 業界の特徴 ~ 官業が主役 為替 原油などの影響を受けやすい ~ 主力事業面 : 業界は実際の輸送を担う航空会社 空港運営を担う空港会社 さらに巨大な装置産業である航空機産業や 燃料 サービスの提供会社などに分けられる いずれも国有系が中心で 業界の寡占度は高い 旅客需要は繁閑の差が大きく 大型連休前後にピークを迎えるほか 天候状況 社会 治安情勢などの影響を受けやすい また 貨物需要は景気動向に左右されやすい 航空機 燃料を海外から調達するため外貨建て負債の比率が大きく 人民高に傾くと有利 巨額の設備投資を必要とすることから リースの活用が進んでいる 航空会社のコストの多くは燃料が占め 原油相場の影響を受けやすい また 中国には 16 年末時点で計 218 の空港があり 利用者数が年間 1 万人を超える空港は 28 を数える 主要ハブ空港は北京 上海 広州の 3 空港で 国内旅客需要の 26% を占める 国際面 : 中国には世界の主要航空会社の大半が乗り入れ 38 近い就航路線のうち 国際線 ( 香港 マカオ路線を含む ) は全体の 2 割強に過ぎないが 海外旅行者数や新興国との路線数の増加トレンドを踏まえると 成長余地は大きい また 航空機や中核部品の多くを海外の有力メーカーが納入 このため 官民挙げて ARJ21 C919 という旅客機の国産化プロジェクトを展開している 政策面 : 空域制限を含む政府の規制が厳しく 参入障壁は高い 航空料金に含まれる燃油サーチャージは 徴収価格 徴収するかどうかを含め国が一的に決定 燃料油も統制価格に属し 収益 費用の両面で国が価格決定に大きな役割を果たす 一方で航空券の料金は段階的に市場化が進む 主要企業 主な取扱銘柄 ~ 航空大手 3 社や AVIC など 国有系が強い ~ 航空会社は中国国際航空 (753) 中国南方航空 (155) 中国東方航空 (67) という国有大手 3 社が中心 これを地方政府系列の海南航空 (9945) が追い 上位 4 社で旅客 貨物取扱量の約 85% を占める さらに格安航空 (LCC) の春秋航空 (6121) 上海 南京の両市を本拠に置く吉祥航空 (63885)

などの民営企業が位置する 16 年は旅客需要が堅調で 特に国内線が収益の支えになった もっとも 国有大手 3 社の営業収益は価格競争と貨物事業が足を引っ張り 小幅増にとどまった また 原油高と人民安が重しになり 中国国際航空と中国東方航空は小幅減益に後退 対照的に 3 社を追う海南航空 民営最大手の吉祥航空は業績拡大が続いた 香港ではフラッグキャリアの国泰航空 (293) が最大手だが 旅客 貨物需要ともに落ち込んで赤字に転落した 一方 空港会社の業績は業務量の拡大に伴い 拡大傾向が続いた 北京首都国際機場 (694) 上海エアポート (69) 広州白雲エアポート (64) の国内 3 大空港 そして深セン機場 (89) などが有名 関連分野をみると 航空機産業では国務院直轄の中国航空工業集団 (AVIC) が圧倒的な国内最大手 上場旗艦企業として 航空機 部品製造を担う中国航空科技工業 (2357) と中航飛機 (768) 基幹部品 制御設備最大手の中航機電系統 (213) などを支配下に置く また AVIC とは別に国策の航空機エンジンメーカーが新設され 航発動力 (6893) がその中核を担う さらに関連サービスの大手も国有系が独占 情報技術ソリューションサービス (AIT) は中国民航信息網路 (696) が強く 空運需要の増加を支えに 16 年は好業績を記録した 航空機リース市場も拡大を続けており 中銀航空租賃 (2588) がアジア最大級の航空機リース会社に成長 中国有数のコングロマリット傘下にある渤海金控 (415) は海外買収により事業規模が大幅に拡大した 主な取扱銘柄 : コード社名分類通貨 売上高増収率 293 国泰航空ハンセン香港ドル 92,751 9.4 純利益増益率 575 赤字 時価総額 47,993 コメント 香港のフラッグキャリア 太古 A(19) の傘下にあり 航空会社コードは CX で 航空連合 ワンワールド に加盟 中国国際航空と相互に資本 業務提携を結ぶ 旅客 貨物輸送ともに低迷が続き 16 年に赤字に転落 17 年に入り リストラを含むコスト削減策を推進 67 中国東方航空 98,94 +5.3 4,498.9 98,384 上海の浦東国際空港を拠点とする航空大手 航空会社コードは MU で航空需要の大きい華東地区が地盤 同じ航空連合 スカイチーム に所属する米デルタ航空が戦略出資 LCC の ジェットスター香港 を傘下に置く ネット旅行大手 携程 との提携や国有企業改革に期待 694 北京首都国際機場 8,729 +2.6 1,781 +8.5 55,176 利用者数で国内首位 世界でも 2 位に入る北京首都国際空港を運営する国有系企業 貨物取扱量でも国内 2 位 京津冀地区 ( 北京 天津 河北省 ) の一体的発展という国家戦略のテーマ株 テンセント (7) と共同で空港 IT 化を進める 北京で進む新空港の建設計画の行方に注目 696 中国民航信息網絡 6,223 +13.7 2,421 +26.5 59,695 航空 IT システムの開発 運営 (AIT) で国内最大手 予約 資金決済 貨物管理 旅行関連システムなどを航空会社に提供 3 大航空会社の親会社が大株主に名を連ね 関係が深い 近く新たなデータセンターが完成すれば 処理能力は大幅に強化され IDC サービスに参入する見通し 753 中国国際航空 113,964 +4. 6,89 3.6 134,623 中国のフラッグ キャリアで航空最大手 航空会社コードは CA で ハブ空港は北京首都国際空港 国際線に強みを持ち 香港の国泰航空と資本 業務提携を結ぶ 航空連合 スターアライアンス に加盟 山東航空 (2152) など複数の地方航空会社を傘下に置く 155 中国南方航空 114,981 +3. 5,44 +35. 82,939 広州白雲国際空港を拠点とする航空大手 航空会社コードは CZ で 航空連合 スカイチーム に加盟する 事業規模は国内トップクラス アメリカン航空を戦略投資家に迎え 国際線の強化を進める また増資で最大 127 億を調達し 航空機の購入資金に充てる方針 2357 中国航空科技工業 36,628 +6.4 1,119 2.1 28,399 航空宇宙分野の大型国策会社 中国航空工業集団 (AVIC) の中核企業 仏エアバス社も出資する 航空機製造は主にヘリコプターや小型航空機を生産し 中航直昇機 (638) などが担当 航空機部品 電子部品は主に中航光電 (2179) 中航航空電子 (6372) が担う 2588 中銀航空租賃 レッドチップ 米ドル 1,193 +9.4 418 +21.8 28,281 アジア有数の航空機リース会社 航空需要の拡大が続くアジアを中心に 世界各地で事業展開している 17 年 6 月末でエアバス A32 やボーイング 737 などの中型を中心に 297 機の航空機を保有 財務 資金面で親会社である中国銀行 (3988) のサポートが得られる点が強みに 89 深セン機場 深セン A 株 3,36 +2.8 562 +7.8 18,211 深セン宝安国際空港を経営する地政府系の航空会社 同空港は珠江デルタ地域の 3 大空港の一角を占め 国内で唯一 海運 陸運 空運 鉄道との連絡輸送を行う 国内線の離発着が圧倒的に多い 同空港は近く国際ハブ空港に昇格見通し 収容能力に余裕があり 新規航路の増加に期待

コード社名分類通貨 415 渤海金控深セン A 株 売上高増収率 24,258 +146.9 純利益増益率 2,277 +74.5 時価総額 49,11 コメント コングロマリット 海航集団 の傘下にあるリース会社 主力の航空機リースでは大手のアボロン社を 16 年に買収し 企業規模を大幅に拡大 米 CIT グループの同事業資産の買収を経て 世界上位 3 社の一角を占める見通し 営業収益の多くを中国国外から上げる 768 中航飛機深セン A 株 26,122 +8.3 413 +3.3 54,638 中国航空工業集団に属する航空機大手 輸送機 爆撃機などの軍用機 プロペラ機など民用機に加え 航空機部品を生産 国産ジェット機 ARJ21 C919 の開発では中核部品を供給 新型輸送機 運 2 の納入により今後 1~15 年間にわたり巨額の受注が見込める 213 中航機電系統 深セン A 株 8,512 +7.2 583 +12.3 29,289 中国航空工業集団の傘下で 主に航空機の各種基幹部品 制御設備 システムを担当 同分野の国内最大手に位置し C919 のサプライヤーでもある 自動車を中心にドローン 発電設備 冷蔵設備など 非航空機分野の事業も拡大 親会社からの資産注入 再編も観測も浮上している 64 広州白雲エアポート 上海 A 株 6,167 +9.5 1,394 +11.2 31,265 旅客 貨物の取扱量で国内 3 位の広州白雲国際空港を運営する地政府系企業 旺盛な輸送需要を満たすため 設備投資を加速 すでに第 3 滑走路が供用に移され 第 2 ターミナルビルは 18 年 2 月に開業予定 空港機能の強化に加え 非航空収入の拡大が期待される 69 上海エアポート 上海 A 株 6,951 +1.6 2,86 +1.8 79,443 上海市の浦東国際空港の運営を中核とする地政府系企業 16 年の利用者数は第 2 位に位置し 貨物取扱量は首位 第 1 ターミナルの拡張工事を経て 商業面積が増加し テナント収入が重要な収益源に 第 5 滑走路や新コンコースが完成すれば 年間利用者数は 8 万人に達する見込み 627 中外運空運 上海 A 株 4,95 +13.7 995 1.5 19,269 航空フォワーダーの最大手 国務院直轄の中国外運 (598) の傘下にある DHL 社と合弁で展開する国際宅配事業は約 4 割のシェアを有し クロスボーダーの電子商取引 (EC) の拡大を追い風に好業績をけん引 中国の 2 大 EC 企業であるアリババ 京東と提携している 6372 中航航空電子 上海 A 株 6,959 +2.2 46 3.5 3,86 中国航空工業集団の傘下で 主に航空 防衛分野の各種電子製品 部品を担当 航空機の制御 計測装置や誘導 自動操縦 照明システムの構築などを幅広く手がける 国産ジェット機 C919 の開発プロジェクトに参画しており その動向に注目 6893 航発動力上海 A 株 22,217 5.4 891 13.8 61,199 国内最大級の航空機エンジンメーカー 再編に伴い事業規模が大きく拡大 国有企業改革の一環で新設の中国航空発動機集団の中核子会社となった 軍需産業改革の恩恵が見込めるほか 中国政府が重視する航空機エンジン国産化で重要な役割を担う 6121 春秋航空上海 A 株 8,429 +4.1 951 28.4 28,352 中国の格安航空会社 (LCC) のパイオニアで 数少ない民営航空大手 上海市を本拠に国内 国際線を就航し 航空会社コードは 9C 17 年 5 月末の機体数は 7 機を数え すべて A32 型機 価格競争力とネット戦略の強化により 平均搭乗率は 9 割を超える 最近は国内線を強化 63885 吉祥航空上海 A 株 9,928 +21.7 1,249 +19.3 28,399 民営航空の国内最大手 航空会社コードは HO で 上海市と南京市の双方を本拠とし 広州市の格安航空会社 九航空 を傘下に置く 17 年 6 月末の機体数は 74 機を数え 平均使用年数は 3.84 年と国有大手 3 社を大幅に下回る コスト競争力に強く 利益率は高い 9945 海南航空上海 B 株 4,678 +15.5 3,138 +4.5 64,226 国内有数の複合企業 海航集団 に属する航空会社 航空会社コードは HU 海南省の地方航空会社から 全国規模で国内 国際線を運航する 3 大航空会社に次ぐ規模に成長 17 年 5 月末の機体数は 355 機 最新の世界航空会社ランキングで中国勢として初めてトップ 1 入りした 売上高 純利益などはすべてブルームバーグ提供の数値であり 当社 HPと異なる場合がある すべて16 年 12 月本決算 単位は百万 時価総額は17 年 8 月 2 日の終値に基づきブルームバーグから算出 単位は百万 HKドル 換算レートは1 =1.12HKドル 1 米ドル=7.78HKドル 注目されるトピックス ~ 北京新空港 国産機開発などが投資テーマに ~ 中国は世界最大の航空市場に 北京新空港などの大型プロジェクトも : 専門機関によると 2 年後の世界の航空需要は旅客 貨物のいずれも 15 年比で 2 倍以上に拡大する見通し 最も高成長なのがで その頃には中国は世界最大の航空大国という地位を不動のものにしていよう 特に航空機リースやゼネラルアビエーション (GA 軍事用と定期路線を除いた航空分野 ) といった新興分野の成長性は高い また 首都北京で 2 番目となるハブ空港の建設工事が進行中 開港は 19 年を予定し 北京は世界最大のハブ空港拠点となる見通しだ 国有大手 3 社を中心とする業界構造が大きく変化する可能性も

過大はボトルネックの解消と国産化 : 業界の重要課題は空港処理能力の不足 航空サービスの質的向上 低空空域管理の緩和 航空機産業の国産化など 多岐にわたる 特に空港不足は深刻であり 政府は空港数を 2 年末までに 24 に増やす計画 また 国家プロジェクトである国産ジェット機 ARJ21 C919 の開発は引き続き航空機産業の大きな投資テーマに ライバルの日本に先行し すでに ARJ21 は初期生産機の商業運用から 1 年が経過し 量産化は近い C919 も 17 年 5 月に初飛行を成功させた 原油価格 人民相場の動向に注意 : 航空会社の最大のリスク要因は原油価格の動向だ 原油価格が急騰した 8 年は航空会社が軒並み巨額の赤字を計上 デリバティブでヘッジしているものの 相場が読みと逆方向に向かった場合は多額の評価損を計上するリスクもあり 原油相場には常に注意が必要だ また 外貨建て負債が多く 人民安のトレンドは主要な減益要因に 各社は外貨負債の圧縮に努めているが 為替リスクは依然として大きい ( 中国部畦田 ) 16 年の空運関連業界の収益 利益 営業収益 ( 億 ) 伸び率 税前利益 ( 億 ) 伸び率 全体 6,393 6 568 17 ( 航空 ) 4,695 8 365 12 ( 空港 ) 833 7 118 17 ( 関連サービス ) 866-4 86 45 16 年の航空各社のシェア 社名 飛行時間 旅客輸送量 ( 億人 ) 貨物輸送量 ( 万トン ) 中国国際航空 237.4 1.15 191.6 中国東方航空 197.3 1.2 139.5 中国南方航空 237.5 1.15 161.3 海南航空 139.5.83 78.4 その他 137.7.73 97.3 合計 949.4 4.88 668.1 上位 4 社の比率 85% 85% 85%

14 年 1 月 14 年 3 月 14 年 5 月 14 年 7 月 14 年 9 月 14 年 11 月 15 年 1 月 15 年 3 月 15 年 5 月 15 年 7 月 15 年 9 月 15 年 11 月 16 年 1 月 16 年 3 月 16 年 5 月 16 年 7 月 16 年 9 月 16 年 11 月 17 年 1 月 17 年 3 月 17 年 5 月 14 年 1 月 14 年 3 月 14 年 5 月 14 年 7 月 14 年 9 月 14 年 11 月 15 年 1 月 15 年 3 月 15 年 5 月 15 年 7 月 15 年 9 月 15 年 11 月 16 年 1 月 16 年 3 月 16 年 5 月 16 年 7 月 16 年 9 月 16 年 11 月 17 年 1 月 17 年 3 月 17 年 5 月 14 年 1 月 14 年 3 月 14 年 5 月 14 年 7 月 14 年 9 月 14 年 11 月 15 年 1 月 15 年 3 月 15 年 5 月 15 年 7 月 15 年 9 月 15 年 11 月 16 年 1 月 16 年 3 月 16 年 5 月 16 年 7 月 16 年 9 月 16 年 11 月 17 年 1 月 17 年 3 月 217 年 8 月 2 日 14 12 中国の航空運賃の推移 4 年 1 月の運賃を 1 として指標化 国内線アジア路線 ( 香港 台湾 マカオ含む ) 国際線 ( アジア以外 ) 1 8 6 4 出所 :CEIC 万人 5, 4,5 4, 3,5 3, 2,5 2, 1,5 1, 5 国内航空会社の旅客輸送推移 毎年 1-2 月は旧正月の関係でブレが大きくなりやすい国際線旅客取扱量 ( 国内線 香港 マカオ線を含む ) 国内線伸び率国際線伸び率 % 12 1 8 6 4 2-2 -4 万トン 7 6 5 4 3 2 1 国内航空会社の貨物輸送推移 国際線 毎年 1-2 月は旧正月の関係でブレが大きくなりやすい貨物取扱量 ( 国内線 香港 マカオ線を含む ) 国内線伸び率国際線伸び率 % 4 3 2 1-1 -2

順位 利用者数 ( 万人 ) 前年比 対全体比 順位 取扱量 ( 万トン ) 前年比 合計 - 11,636 11.1 - - 1,51 7.2 - 北京首都国際機場 (694) 上海浦東 ( 上海エア ポート (69)) 広州白雲エアポート (64) 対全体比 1 9,439 5. 9.3 2 194 2.8 12.9 2 6,6 9.8 6.5 1 344 5. 22.8 3 5,973 8.2 5.9 3 165 7.4 1.9 成都双流 4 4,64 9. 4.5 5 61 9.9 4. 昆明長水 5 4,198 11.9 4.1 9 38 7.7 2.5 深セン宝安 ( 深セン 機場 (89)) 6 4,198 5.7 4.1 4 113 11.1 7.5 上海虹橋 7 4,46 3.5 4. 8 43-1.1 2.8 西安咸陽 8 3,699 12.2 3.6 14 23 1.5 1.5 重慶江北 9 3,589 1.8 3.5 1 36 13.3 2.4 杭州蕭山 1 3,159 11.4 3.1 6 49 14.8 3.2 空港 中国の上位 1 空港 ( 旅客利用者数ベース 16 年 ) 旅客貨物 億 2,5 航空関連業界の固定資産投資の推移 2, 1,5 1, 5 出所 :CEIC

航空貨物輸送量の地域別シェア (RTK ベース ) の実績 予測 中南米 3% 中東 ア 2% フリカ 14% 35% 15 年実績 (598 億トン km) アジア太平洋は 35% を占める 25% 21% 21% 中南米 2% 2% 21% 35 年予測 (1 兆 1863 億トン km) アジア太平洋は 41% を占める見通し 41% 13% 出所 : 日本航空機開発協会 ジェット旅客機運航機数の地域別シェアの実績 予測 1% 29% 中南米 7% 4% 15 年実績 (2814 機 ) アジア太平洋は 29% を占める 21% 29% 1% 中南米 8% 4% 4% 19% 35 年予測 (38313 機 ) アジア太平洋は 4% を占める見通し 19% 航空旅客輸送量の地域別シェア (RPK ベース ) の実績 予測 出所 : 日本航空機開発協会 11% ( 日中を除く ) 16% 日本 2% 中南米 5% 中国 13% 4% 15 年実績 (1 兆 63 億人 km) アジア太平洋は 31% を占める 25% 24% 15% ( 日中を除く ) 16% 中南米 6% 日本 2% 4% 中国 2% 17% 35 年予測 (3 兆 2992 億人 km) アジア太平洋は 39% を占める見通し 2% 出所 : 日本航空機開発協会

217/8/2 広告審査済