して 当審査会に対し諮問をした 以上の事案の経緯は 諮問書 審査請求書及び懲戒処分書から認められる 2 関係する法令等の定め (1) 司法書士に対する懲戒及びその手続についてア法 47 条は 司法書士がこの法律又はこの法律に基づく命令に違反したときは その事務所の所在地を管轄する法務局又は地方法務局

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債務のうち所定の範囲内のものを当該事業主に代わって政府が弁済する旨規定する (2) 賃確法 7 条における上記 政令で定める事由 ( 立替払の事由 ) として 賃金の支払の確保等に関する法律施行令 ( 昭和 51 年政令第 169 号 以下 賃確令 という )2 条 1 項 4 号及び賃金の支払の確

ら退去を迫られやむを得ず転居したのであるから本件転居費用について保護費が支給されるべきであると主張して 本件処分の取消しを求めている 2 処分庁の主張 (1) 生活保護問答集について ( 平成 21 年 3 月 31 日厚生労働省社会援護局保護課長事務連絡 以下 問答集 という ) の問 13の2の

7 平成 28 年 10 月 3 日 処分庁は 法第 73 条の2 第 1 項及び条例第 43 条第 1 項の規定により 本件不動産の取得について審査請求人に対し 本件処分を行った 8 平成 28 年 11 月 25 日 審査請求人は 審査庁に対し 本件処分の取消しを求める審査請求を行った 第 4

がある 7 平成 28 年 3 月 28 日 処分庁は 同日付で審査請求人に対し 借入金収入 円の未申告により生じた保護費過払い分について 法第 78 条第 1 項の規定により費用徴収を行う決定を行い 同年 7 月 7 日 費用徴収決定通知書を審査請求人に手交した 8 審査請求人は 平成 28 年

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1 審査会の結論 平成 28 年度市民税 県民税の賦課決定処分 に係る審査請求は棄却する べきであるとの審査庁の判断は妥当である 2 事案概要南区長 ( 以下 処分庁 という ) は 地方税法 ( 昭和 25 年法律第 226 号 以下 法 という ) 第 24 条及び第 294 条並びに横浜市市税

諮問庁 : 国立大学法人長岡技術科学大学諮問日 : 平成 30 年 10 月 29 日 ( 平成 30 年 ( 独情 ) 諮問第 62 号 ) 答申日 : 平成 31 年 1 月 28 日 ( 平成 30 年度 ( 独情 ) 答申第 61 号 ) 事件名 : 特定期間に開催された特定学部教授会の音声

病が原子爆弾の傷害作用に起因する旨の厚生労働大臣の認定を受けなければならない ( 被爆者援護法 11 条 1 項 ) ⑶ 都道府県知事は ⑵ 記載の厚生労働大臣の認定を受け かつ 当該認定に係る負傷又は疾病の状態にあるとの要件に該当することについて都道府県知事の認定を受けた者に対し 医療特別手当を支

が成立するが 本件処分日は平成 29 年 3 月 3 日であるから 平成 24 年 3 月 3 日以降 審査請求人に支給した保護費について返還を求めることは可能であ る 第 3 審理員意見書の要旨 1 結論本件審査請求には理由がないので 棄却されるべきである 2 理由 (1) 本件処分に係る生活保護

非常に長い期間, 苦痛に耐え続けた親族にとって, 納得のできる対応を日本政府にしてもらえるよう関係者には協力賜りたい ( その他は, 上記 (2) と同旨であるため省略する ) (4) 意見書 3 特定個人 Aの身元を明らかにすること及び親子関係の証明に当たっては財務省 総務省において, 生年月日の

処分済み

の補正書 において, 審査請求の趣旨を この開示請求は本人の給与のみずましにかかわる書面である為 としているが, 原処分を取り消し, 本件対象保有個人情報の開示を求めている審査請求として, 以下, 原処分の妥当性について検討する 2 原処分の妥当性について (1) 給与所得の源泉徴収票について給与所

1 本件審査請求について (1) 本件審査請求に係る開示請求は, 法に基づき, 処分庁に対し, 本件対象文書の開示を求めたもの ( 以下 本件開示請求 という ) である (2) 本件開示請求を受けて, 処分庁は, 本件対象文書を作成しておらず不存在として, 不開示決定 ( 原処分 ) を行った (

取得に対しては 分割前の当該共有物に係る持分割合を超える部分の取得を除いて 不動産取得税を課することができないとするだけであって 分割の方法に制約を設けているものではないから 共有する土地が隣接している場合と隣接していない場合を区別し 隣接していない土地を一体として分割する場合に非課税が適用されない

19 条の4 第 2 項の規定により, 特別職の公務員であるから, 本件不開示情報は, 公務員としての職務遂行情報であり, 精神保健指定医が, 客観的な生体検査もなく, ただその主観に基づいて, 対象者を強制入院させることができるという性質の資格であること, 本件開示請求に係る精神保健指定医らが対象

処分済み

平成14年7月3日

返還の必要性を十分説明しており 手続は適法である 第 3 審理員意見書の要旨 1 結論本件審査請求には理由がないので 棄却されるべきである 2 理由 (1) 本件の争点は 本件保険が法第 4 条第 1 項に規定する 利用し得る資産 に該当するかどうかであるが その判断に当たっては 処分庁が判断の要素

異議申立てしていますが, 協会 ( 原文ママ ) として黙認しています 本件に関しても, 諮問庁は国のトップなのだから, もっともっと労働問題に積極的に取り組み, 労基法厳守で, 場合により, 行政処分すべきである 警察なら, スピード違反すれば即行政処分されますが, 労基法では, 基本強い行政処分

保険業務に係る情報提供料は 請求人の事業に基づいた収入であるとは いえない 第 4 審理員意見書の結論 本件各審査請求は理由がないから 行政不服審査法 4 5 条 2 項によ り 棄却すべきである 第 5 調査審議の経過 審査会は 本件諮問について 以下のように審議した 年月日 審議経過 平成 30

査請求人 ) が 平成 5 年分所得税確定申告書 ( 以下 本件請求保有個人情報 1 という ) の開示を求めるものである 処分庁は, 本件開示請求に対し, 本件請求保有個人情報 1は文書保存期間 (7 年 ) が満了し, 既に廃棄しているとして, 平成 27 年 12 月 2 2 日付け特定記号第

ウ商業地等である 町の土地の平成 28 年度分の固定資産税の課税標準額は 法附則第 18 条第 5 項及び第 25 条第 5 項の規定により 課税標準となるべき価格に0.7を乗じた額となる なお 岐阜市税条例 ( 昭和 25 年岐阜市条例第 14 号 以下 条例 という ) においては これと異なる

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録された保有個人情報 ( 本件対象保有個人情報 ) の開示を求めるものである 処分庁は, 平成 28 年 12 月 6 日付け特定記号 431により, 本件対象保有個人情報のうち,1 死亡した者の納める税金又は還付される税金 欄,2 相続人等の代表者の指定 欄並びに3 開示請求者以外の 相続人等に関

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っている以上, 被面接者においてそもそも特別な対応策を採る必要はないといえる ウよって, 本件対象文書の不開示部分は法 5 条 6 号に該当しないといえる (2) 意見書 ( 添付資料省略 ) ア裁判官の場合, 新任判事補志望者カードの全部が開示されている ( 資料 1) ことからすれば, 検事に関

1 審査会の結論 平成 29 年度市民税 県民税税額変更処分 に係る審査請求は棄却するべ きであるとの審査庁の判断は妥当である 2 事案概要緑区長 ( 以下 処分庁 という ) は 平成 29 年 6 月 1 日 審査請求人に対して 平成 29 年度市民税 県民税賦課決定処分 ( 以下 先行処分 と

控訴人は, 控訴人にも上記の退職改定をした上で平成 22 年 3 月分の特別老齢厚生年金を支給すべきであったと主張したが, 被控訴人は, 退職改定の要件として, 被保険者資格を喪失した日から起算して1か月を経過した時点で受給権者であることが必要であるところ, 控訴人は, 同年 月 日に65 歳に達し

ウ 特定個人 a に訂正してほしいとは, 私は書いてない これも日本年金機構の単純ミスなのか? それとも他に理由があるのか? 事実に基づいて, 説明を求める 私の公共職業安定所における氏名は, カタカナの 特定個人 b のスペースなしで管理されている 私の資格画面も氏名欄はカタカナである 国民年金保

答申第203号(公表用)

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の対象として 人事院事務総長引継書 を特定し, 同年 9 月 29 日付け行政文書開示決定通知書を審査請求人に送付した 2 審査請求人が主張する本件審査請求の趣旨及び理由審査請求人は, 事務引継書が1 名分しか存在しないという決定は不自然である, 他の職員についても事務引継書がなければ, 前任者から

2 当事者の主張 (1) 申立人の主張の要旨 申立人は 請求を基礎づける理由として 以下のとおり主張した 1 処分の根拠等申立人は次のとおりお願い書ないし提案書を提出し 又は口頭での告発を行った ア.2018 年 3 月 23 日に被申立人資格審査担当副会長及び資格審査委員長あてに 会長の経歴詐称等

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第 4 審理員意見書の結論 本件各審査請求は理由がないから 行政不服審査法 4 5 条 2 項に より いずれも棄却すべきである 第 5 調査審議の経過審査会は 本件諮問について 以下のように審議した 年月日審議経過 平成 30 年 3 月 6 日 諮問 平成 30 年 4 月 26 日審議 ( 第

第一審査会の結論 豊中市教育委員会が行った 内部公益通報に係る調査の実施について ( 報告 ) を不 開示とした決定は妥当ではなく 別紙に記載した部分を除き開示すべきである 第二審査請求の経過 1 開示請求審査請求人は 平成 25 年 7 月 17 日 豊中市情報公開条例 ( 以下 条例 という )

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0 月 22 日現在, 通帳紛失の総合口座記号番号 特定番号 A-B~C 担保定額貯金 4 件 ( 特定金額 A): 平成 15 年 1 月 ~ 平成 16 年 3 月 : 特定郵便局 A 預入が証明されている 調査結果の回答書 の原本の写しの請求と, 特定年月日 Aの 改姓届 ( 開示請求者本人

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平成 27 年度 特定行政書士法定研修 考査問題 解答と解説 本解答と解説は 正式に公表されたものではなく 作成者が独自に作成したものであり 内容の信頼性については保証しない 以下の事項に全て該当 遵守する場合にのみ 利用を許可する 東京都行政書士会葛飾支部会員であること 営利目的でないこと 内容を

達したときに消滅する旨を定めている ( 附則 10 条 ) (3) ア法 43 条 1 項は, 老齢厚生年金の額は, 被保険者であった全期間の平均標準報酬額の所定の割合に相当する額に被保険者期間の月数を乗じて算出された額とする旨を定めているところ, 男子であって昭和 16 年 4 月 2 日から同

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処分済み

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会員に対する処分等に係る手続に関する規則 (2018 年 7 月 30 日制定 ) 第 1 章総則 ( 目的 ) 第 1 条本規則は 定款第 15 条に規定する会員に対する処分及び不服の申立てに係る手続の施行に関し 必要な事項を定めることを目的とする ( 定義 ) 第 2 条本規則において 次の各号

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高島市職員措置請求に係る監査の結果について 第 1 請求の受付 1 請求書の提出平成 29 年 9 月 28 日 2 請求人 3 請求の要旨 ( 高島市職員措置請求書 の原文のまま記載) 1 請求の要旨高島市長による平成 29 年度の固定資産税の賦課において 別紙の固定資産について 家屋の未評価によ

司法書士法及び土地家屋調査士法の一部を改正する法律新旧対照条文目次一司法書士法(昭和二十五年法律第百九十七号)(第一条関係) 1 二土地家屋調査士法(昭和二十五年法律第二百二十八号)(第二条関係) 10

諮問庁 : 株式会社日本政策金融公庫諮問日 : 平成 28 年 2 月 8 日 ( 平成 28 年 ( 独個 ) 諮問第 3 号 ) 答申日 : 平成 28 年 4 月 27 日 ( 平成 28 年度 ( 独個 ) 答申第 1 号 ) 事件名 : 本人に関する融資審査の検討資料の不訂正決定に関する件

ものであった また, 本件規則には, 貸付けの要件として, 当該資金の借入れにつき漁業協同組合の理事会において議決されていることが定められていた (3) 東洋町公告式条例 ( 昭和 34 年東洋町条例第 1 号 )3 条,2 条 2 項には, 規則の公布は, 同条例の定める7か所の掲示場に掲示して行

社会保険労務士法.xlsx

1 審査会の結論平成 30 年 1 月 12 日付けで審査請求人が行政文書公開請求した 深沢地域整備事業に関し J R 東日本の要望 条件 要請 意向等の文書 ( 復命書含む ) 及び前記の記載がある文書 に対して実施機関鎌倉市長が平成 30 年 3 月 12 日付けで行った行政文書一部公開決定処分

業務 とあるが, 当該支払の一時差止めに係る決定を除く と, されている すなわち, 決定に係る業務は, 事業管理課長である ウその決定に係る文書及びデータは存在する 事業管理課長の決定により, 年金機構は, 障害者の年金給付を一時差し止めるための電算処理をしている事実がある そして, その事実から

平成 30 年 9 月 25 日 諮問 平成 30 年 11 月 13 日審議 ( 第 27 回第 4 部会 ) 平成 30 年 12 月 11 日審議 ( 第 28 回第 4 部会 ) 第 6 審査会の判断の理由審査会は 請求人の主張 審理員意見書等を具体的に検討した結果 以下のように判断する 1

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丙は 平成 12 年 7 月 27 日に死亡し 同人の相続が開始した ( 以下 この相続を 本件相続 という ) 本件相続に係る共同相続人は 原告ら及び丁の3 名である (3) 相続税の申告原告らは 法定の申告期限内に 武蔵府中税務署長に対し 相続税法 ( 平成 15 年法律第 8 号による改正前の

7 という ) が定める場合に該当しないとして却下処分 ( 以下 本件処分 という ) を受けたため, 被控訴人に対し, 厚年法施行令 3 条の12の7が上記改定請求の期間を第 1 号改定者及び第 2 号改定者の一方が死亡した日から起算して1 月以内に限定しているのは, 厚年法 78 条の12による

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政令で定める障害の程度に該当するものであるときは, その者の請求に基づき, 公害健康被害認定審査会の意見を聴いて, その障害の程度に応じた支給をする旨を定めている (2) 公健法 13 条 1 項は, 補償給付を受けることができる者に対し, 同一の事由について, 損害の塡補がされた場合 ( 同法 1

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ありどのような証言がなされたのか ( 請求人にとって虚偽と思われる証言が無いか等 ), また産業医が本人の意見を聞かずにどう判断し診療録に記載したのかを知る権利が請求人にはあると考える 3 請求人については, 特定理由等から特定機関等が千葉大学に対して診療録の開示を求める可能性もあり得るが, 千葉大

第 4 審査関係人の主張の要旨 1 審査請求人の主張審査請求人は 次のとおり 本件処分は 違法又は不当である旨を主張している (1) 審査請求人が 複数の取引先から依頼を受けて行っている翻訳の業務は 法第 72 条の2 第 3 項の規定により個人事業税が課されるべきいずれの事業としても法に定められて

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事案である 3 仲裁合意本件では 申立人の申立書において仲裁合意の内容の記載があり 被申立人は答弁書においてこれを争わなかったので 本件についての書面による仲裁合意が存在する なお 被申立人は審問期日においても本仲裁に応じる旨の答弁をした 4 当事者の主張 (1) 申立人の主張申立人は 請求を基礎づ

無い (3) 特定市が振興協会会長 Aと市教育委員会とで一体に推進した当該文化事業は事業の実施前と実施後のまちの変化における事業の効果について国への報告義務があり, 公正に適法に事業を行う責務の存在は当該文化事業の目標の1は中心市街地の賑わいの促進にあって中心市街地活性化ソフト事業であって公開されて

答 申 第 1 審議会の結論名古屋市長 ( 以下 実施機関 という ) が 本件異議申立ての対象となる保有個人情報を一部開示とした決定は 妥当である 第 2 異議申立てに至る経過 1 平成 23 年 12 月 21 日 異議申立人は 名古屋市個人情報保護条例 ( 平成 17 年名古屋市条例第 26

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26労271棄却(業務上外)

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上陸不許可処分取消し請求事件 平成21年7月24日 事件番号:平成21(行ウ)123 東京地方裁判所 民事第38部

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なお, 基本事件被告に対し, 訴状や上記移送決定の送達はされていない 2 関係法令の定め (1) 道路法ア道路管理者は, 他の工事又は他の行為により必要を生じた道路に関する工事又は道路の維持の費用については, その必要を生じた限度において, 他の工事又は他の行為につき費用を負担する者にその全部又は一

固定資産評価審査申出とは

弘前市告示第   号

第 3 諮問庁の説明の要旨 1 本件事案の概要本件は, 審査請求人が平成 29 年 8 月 29 日付けで法人文書の開示請求を行ったことに対し, 同年 9 月 29 日付け千大総第 307 号により, 法人文書の一部を不開示とする開示決定等処分 ( 処分 1) を行ったところ, 審査請求が提起された

問にさらされることはむしろあるべき姿であり, それによって一層公益の増進に資するともいえる 特に, 本件のような面接試験の場合には, 試験結果の開示が, 面接試験以外の事由で受験者を選抜したのではないことを示すといった効果もあり, 面接試験が適正に行われることを確保するに大きく資すると言える したが

ている しかしながら 本件処分は条例の理念と条文の解釈運用を誤った違法なものであり 取り消されなければならない ⑶ 条例第 7 条第 1 項本文は 個人情報の外部提供の原則禁止を規定している また 同条同項ただし書の趣旨は 単に外部提供の原則禁止規定を解除したにとどまる すなわち 当該法令等が存在す

平成11年6月8日

消費者庁にも苦情相談を行い, 今にも消費者庁が動くであろうこと等を話し, 異議申立人に謝罪及びデータ削除を求めているとのことであった 当初監察部は, 異議申立人に謝罪に応じるよう促したが, 異議申立人が使用しているデータは, 登記事項証明書記載のデータと同一であり 法 を犯していないので謝罪には応じ

た損害賠償金 2 0 万円及びこれに対する遅延損害金 6 3 万 9 円の合計 3 3 万 9 6 円 ( 以下 本件損害賠償金 J という ) を支払 った エなお, 明和地所は, 平成 2 0 年 5 月 1 6 日, 国立市に対し, 本件損害賠償 金と同額の 3 3 万 9 6 円の寄附 (

11総法不審第120号

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Microsoft Word - 答申書(一)5号本体(公表用・伏せ字有り)

諮問庁 : 防衛大臣諮問日 : 平成 28 年 2 月 25 日 ( 平成 28 年 ( 行情 ) 諮問第 192 号 ) 答申日 : 平成 29 年 1 月 27 日 ( 平成 28 年度 ( 行情 ) 答申第 694 号 ) 事件名 : 洋上で不慮の遭遇をした場合の行動基準 運用上の留意事項等に

答申

遺者であったが 事情があって遺贈の放棄をした 民法 986 条の規定によれば 受遺者は 遺言者の死亡後 いつでも 遺贈の放棄をすることができ 遺贈の放棄は 遺言者死亡のときに遡ってその効力を生じるとされているから 前所有者から請求人に対する本件各不動産の所有権移転の事実は無かったものであり 請求人は

個人情報保護規程

平成 27 年 2 月までに, 第 1 審原告に対し, 労働者災害補償保険法 ( 以下 労災保険法 という ) に基づく給付 ( 以下 労災保険給付 という ) として, 療養補償給付, 休業補償給付及び障害補償給付を行った このことから, 本件事故に係る第 1 審原告の第 1 審被告に対する自賠法

附則 この規則は 平成 29 年 3 月 1 日から施行する

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Transcription:

平成 30 年度答申第 1 号 平成 30 年 4 月 6 日 諮問番号平成 29 年度諮問第 50 号 ( 平成 30 年 1 月 30 日諮問 ) 審査庁法務大臣 事件名司法書士に対する懲戒処分に関する件 答申書 審査請求人 X からの審査請求に関する上記審査庁の諮問に対し 次のとおり答申 する 結 論 本件審査請求は棄却すべきである旨の諮問に係る判断は妥当である 理 由 第 1 事案の概要 1 事案の経緯 (1) 千葉地方法務局長 ( 以下 処分庁 という ) は 平成 29 年 6 月 30 日付けで 審査請求人 X( 以下 審査請求人 という ) に対し 審査請求人が平成 21 年 6 月 28 日に委任された信販会社等の債務整理業務について 同年 10 月以降 特別な理由がないのに 各信販会社等と何ら具体的な交渉をしなかったこと等の行為 ( 以下 本件違反行為 という ) を行い それらが司法書士法 ( 昭和 25 年法律第 197 号 以下 法 という )2 条及び23 条並びに千葉司法書士会会則 ( 以下 本件会則 という )79 条 87 条及び98 条の規定に違反するものであるとして 法 47 条 2 号の規定に基づき 平成 29 年 6 月 30 日から6か月の業務停止処分 ( 以下 本件処分 という ) をした (2) 審査請求人は 平成 29 年 6 月 30 日付けで 審査庁に対し 本件処分の取消しを求めて審査請求をした (3) 審査庁は 平成 30 年 1 月 30 日 本件審査請求は棄却すべきであると 1

して 当審査会に対し諮問をした 以上の事案の経緯は 諮問書 審査請求書及び懲戒処分書から認められる 2 関係する法令等の定め (1) 司法書士に対する懲戒及びその手続についてア法 47 条は 司法書士がこの法律又はこの法律に基づく命令に違反したときは その事務所の所在地を管轄する法務局又は地方法務局の長 ( 以下 法務局長等 という ) は 当該司法書士に対し 次に掲げる処分をすることができる と規定し 同条 2 号において 2 年以内の業務の停止 を掲げている イ法務大臣は 法 47 条の規定に基づく司法書士に対する懲戒処分に関する訓令として 司法書士等に対する懲戒処分に関する訓令 ( 以下 本件訓令 という ) を定めており 本件訓令 3 条は 司法書士等が行った行為が別表の違反行為の欄に掲げるものに該当するときは 同表の懲戒処分の量定の欄に掲げる処分を標準として 懲戒処分を行うものとする と規定し 本件訓令別表において 違反行為 として 受託事件の放置 を行った場合 懲戒処分の量定 として 戒告又は2 年以内の業務の停止 を掲げている ウ法 49 条 3 項は 地方法務局の長は 法 47 条 2 号の処分をしようとするときは 行政手続法 ( 平成 5 年法律第 88 号 )13 条 1 項の規定による意見陳述のための手続の区分にかかわらず 聴聞を行わなければならない旨規定する (2) 違反行為についてア法 ( ア ) 法 2 条は 司法書士は 常に品位を保持し 業務に関する法令及び実務に精通して 公正かつ誠実にその業務を行わなければならない と規定する ( イ ) 法 23 条は 司法書士は その所属する司法書士会及び日本司法書士会連合会の会則を守らなければならない と規定する イ本件会則 ( ア ) 本件会則 79 条 1 項は 司法書士会員は 法律学その他必要な学術の研究及び実務の研鑽に努めるとともに たえず人格の向上を図り 司法書士としての品位を保持しなければならない と規定し 同条 2 項は 会員は 公正かつ誠実にその業務を行わなければならない 2

と規定する ( イ ) 本件会則 87 条は 会員は 特別の理由がない限り 依頼の順序に従い 速やかに業務を取り扱わなければならない と規定する ( ウ ) 本件会則 98 条は 会員は 連合会並びに本会の会則 規則 支部規則及び総会の決議を守らなければならない と規定する 3 審査請求人の主張 (1) 本件処分の理由として 懲戒処分書において 審査請求人は 特別な理由がないのに 債務整理の関係会社数社と 何ら具体的な交渉をせず と記載されているが 審査請求人は 比較的少額の債権者に対しては返済の原資がなかったため交渉しなかったものであり また 審査請求人の事務は停滞し 具体的な進展もなかったかもしれないが 本件事件について事務手続を行っており 放置していたわけではないため 本件処分は 誤認された事実に基づくものである (2) 本件処分の量定に関し 審査請求人は 回収できなかった過払金について 依頼者と和解が成立し 和解金の支払も終了しているため 量定の酌量事由として考慮すべきである また 本件処分の量定は 他の類似事案とも著しく均衡を欠いており 裁量権を逸脱している (3) 本件処分は 平成 27 年 3 月に処分庁の調査が終了してから相当期間経過後に行われており 本件処分に係る手続は違法又は不当である (4) 審査請求人は 処分庁の調査終了後の平成 27 年 3 月 8 日に 担当者から不処分である旨聞いており 本件処分は その後の取扱いの変更によってなされたものであるから 事後法の禁止に反し 憲法 39 条の趣旨に違反し 手続的に違法又は不当である 第 2 審査庁の諮問に係る判断審査庁の諮問に係る判断は審理員の意見と同旨であり 審理員の判断の要旨は以下のとおりである 1 本件処分の実体的な適法性及び妥当性について (1) 事実認定資料 ( 訴状副本 報告書 釈明書及び第 9 回弁論準備手続調書 ) によれば 審査請求人は 本件処分における処分の事実の概要についておおむね認めた上で 依頼者から受けた債務整理の処理に問題があったことを認めており また P 社に対する過払金返還請求を放置したことにより 過払 3

金の一部が回収不能となったこと 及び Q 社に対する過払金についても 債務整理を放置したことにより回収不能となったことが認められるため 事実を誤認しているとは認められない (2) 量定について司法書士に対する懲戒処分は 本件訓令に基づき 公正かつ適正に行われなければならないとされ 違反行為が本件訓令の別表の 違反行為 欄に掲げるものであるときは 同別表の 懲戒処分の量定 欄に掲げる処分を標準として行うものとされている 本件についてみると 本件違反行為は 同別表の 受託事件の放置 に該当し 戒告又は2 年以内の業務の停止 が標準的な量定とされているところ 本件違反行為の非違の程度及び依頼者に対し100 万円を支払う旨の和解が成立していることを考慮するとともに 他の事例の量定と比較し 判断すると 業務停止 6か月とした本件処分が 処分庁の裁量を逸脱したものとは認められない 2 本件処分の手続的な適法性及び妥当性について (1) 本件違反行為の内容が 複数の債務整理について放置等をしたものであること 及び審査請求人が 依頼者に対し 実際に被害回復したか否かについて考慮する必要があるところ 和解金の最終支払期日が平成 28 年 3 月であり その後に和解金の支払状況を確認する必要があるといえる そして これらの事情を踏まえ 追加の聴取及び聴聞の機会を設けた上で行われた本件処分の一連の手続に 本件処分を取り消すような違法ないし不当な点は認められない (2) 平成 27 年 3 月に処分庁において調査が終了したとは認められないのは明らかであり 調査が終了し その上で処分をしないとの方針が定まっていたことを前提にする審査請求人の主張に理由はない 第 3 調査審議の経緯及び調査審議における審査関係人の補充主張 1 調査審議の経緯当審査会は 平成 30 年 1 月 30 日 審査庁から諮問を受けた その後 当審査会は 同年 2 月 6 日 同年 3 月 13 日 同月 20 日及び同月 27 日の計 4 回の調査審議を行った また 審査庁から同年 2 月 22 日付けで 審査請求人からは同月 19 日付け及び同年 3 月 31 日付けで それぞれ主張書面又は資料の提出を受けた 2 審査請求人の補充主張 4

本件違反行為が仮に 受託事件の放置 に当たるのであれば 本件処分の量定は本件訓令の別表の範囲に収まるものであるが 処分の幅が広すぎるため 処分庁の自由裁量であるとすれば 著しく法的安定性を害する 本人確認義務違反 の場合 本件訓令の別表において 戒告又は2 年以内の業務停止 と規定されている ( 主張書面原文ママ ) が 実際には重大な事実がある場合を除いてはその多くが戒告にとどまっていることと比較し 処分庁は審査請求人の責任が重大であるとしながらも 適切な先例を提示できておらず 不当である 第 4 当審査会の判断 1 審理員の審理手続について当審査会に提出された主張書面及び資料によれば 本件審査請求に関する審理員の審理の経過は以下のとおりである (1) 審理員の指名審査庁は 平成 29 年 7 月 27 日付けで 本件審査請求を担当する審理員として 民事局民事第一課民事局付のRを指名し 同日付けで その旨を審査請求人及び処分庁に通知した (2) 審理手続ア処分庁は 平成 29 年 8 月 15 日付けで 審理員に対し 弁明書及び資料を提出した イ審査請求人は 平成 29 年 9 月 5 日付けで 審理員に対し 反論書を提出した ウ処分庁は 平成 29 年 10 月 13 日付けで 審理員に対し 再弁明書及び資料を提出した エ審査請求人は 平成 29 年 10 月 30 日付けで 審理員に対し 再反論書及び資料を提出した オ審理員は 平成 29 年 11 月 1 日付けで 審理関係人に対し 審理を終結した旨並びに審理員意見書及び事件記録を同月 15 日までに審査庁に提出する予定である旨を通知した (3) 審理員意見書及び事件記録の送付審理員は 平成 29 年 11 月 15 日付けで 審査庁に対し審理員意見書及び事件記録を送付した 以上の審理員の審理手続については 特段違法又は不当と認められる点はうかがわれない 5

2 本件処分の実体的な適法性及び妥当性について (1) 本件処分の事実認定について審理員は 上記第 2の1(1) のとおり 審査請求人が 本件処分における処分の事実の概要についておおむね認めた上で 依頼者から受けた債務整理に問題があったことを認めており その結果 一部の過払金の回収が不能となったことが認められるから 本件処分の前提となった事実認定に誤りはない旨判断しているところ 資料 ( 報告書 釈明書及び第 9 回弁論準備手続調書 ) によれば 審査請求人は 平成 21 年 9 月頃から依頼が増加し 事務処理に支障を来す事態となったことを認め 同年 6 月 28 日に委任された依頼者に関する債務整理を放置し また 適切なアドバイスを怠ったことを認めていることを確認することができるから 審理員の上記判断に特段不当な点は見当たらない (2) 本件処分の量定についてア審理員は 上記第 2の1(2) のとおり 本件違反行為は 受託事件の放置 に該当し 標準的な量定は 戒告又は2 年以内の業務の停止 であるとした上で 本件違反行為の非違の程度及び依頼者に対し100 万円を支払う旨の和解が成立していることを考慮するとともに 他の事例に照らせば 6か月の業務停止処分とした本件処分が処分庁の裁量を逸脱したものとは認められない旨判断している そこで検討するに 法 47 条は 司法書士が同法又は同法に基づく命令に違反したときは 法務局長等は 当該司法書士に対し 同条 1 号から3 号までの処分をすることができる旨規定し 司法書士に対する懲戒処分に関する訓令である本件訓令 3 条は 司法書士等が行った行為が本件訓令の別表の違反行為の欄に掲げるものに該当するときは 同別表の懲戒処分の量定の欄に記載された量定を標準とする旨規定しているところ 本件違反行為は同別表にいう 受託事件の放置 に該当し 標準的な量定としては 戒告又は2 年以内の業務の停止 に相当するといえる そして 資料 ( 懲戒処分事例 ( 平成 28 年 12 月 15 日 A 法務局長 )) によれば 審理員が本件処分の量定の妥当性を判断するに当たって比較した事例のうちの一つである A 法務局長による平成 28 年 12 月の懲戒処分の事例は 長期間にわたり複数の債務整理業務について処理を放置した点において本件処分の事案と共通していることが認められ 比較対象として適切なものということができる 加えて 当該事例は 業務停止 4か月 6

の懲戒処分の事例ではあるものの 本件処分の事案と異なり 依頼者から嘆願書が提出されていること 本件処分においては 当該事例と異なり 依頼者から業務を怠ったため多額の損害が発生したとして損害賠償請求訴訟を提起され 和解金を支払うに至った事情もあることなどを考慮すれば 業務停止 6か月とした本件処分が処分庁の裁量を逸脱したものとは認められないというべきであり 審理員の上記判断も妥当なものといえる イこの点に関して 審査請求人は 依頼者と和解が成立し 和解金の支払が終了していることが量定の酌量事由として考慮されていない旨主張するとともに 本件と類似する別の複数の事例を挙げ 本件処分の量定は それらの事例と著しく均衡を欠いたものである旨主張する しかしながら 懲戒処分書には 依頼者に生じた損害に対し 裁判上の和解をして100 万円を支払ったなどの事情を考慮し と記載され 依頼者と和解が成立し 和解金の支払が終了していることは 本件処分の酌量事由として考慮されていることが認められる また 審査請求人が挙げた各事例は 資料 ( 懲戒処分事例 ( 平成 29 年 4 月 10 日 B 地方法務局長 平成 29 年 3 月 14 日 C 地方法務局長 平成 29 年 3 月 15 日 D 法務局長及び平成 29 年 2 月 6 日 E 法務局長 )) によれば 違反行為の類型が 受託事件の放置 に該当する点は本件と共通する一方 放置した事件の件数や回収不能となった債権の有無等が異なっており 本件処分の量定を判断するに当たって比較する類似事例としてはいずれも適切な事例とは認められない したがって 審査請求人の主張は採用することができない 3 本件処分の手続的な適法性又は妥当性について (1) 審査請求人は 上記第 1の3(3) 及び (4) のとおり 本件処分について 処分庁による調査が平成 27 年 3 月に終了したにもかかわらず それから相当期間経過後に行われており また 調査終了後の同月 8 日に担当者から不処分である旨を知らされた後に取扱いの変更によりなされたものであって 事後法の禁止に反し 憲法 39 条の趣旨に違反し 手続的に違法又は不当であるなどと主張する (2) この点 審査関係人から提出された全ての資料をみても 本件処分は 平成 29 年 6 月 30 日付けで行われたところ 本件処分以前に本件に関して不処分とする旨の決定が行われたとか 不処分とする旨の通知が審査請求人に対してされたなどの事実は認められず 審査請求人の主張はその前 7

提を欠くものというべきである なお 資料 ( 第 9 回弁論準備手続調書 ) によれば 処分庁は 本件訓令に基づき 審査請求人の情状等の有無を検討するため 審査請求人による依頼者に対する和解金の支払状況を確認する必要があり その最終支払期日が平成 28 年 3 月であったことから 審査請求人の情状等の事実を確認し それらを踏まえ 追加の聴取及び聴聞の機会を設けた上で本件処分を行っていることが認められる 本件処分の一連の手続が そのような事情もあってある程度長期にわたっているとしても それが違法又は不当であるとまではいえない (3) したがって 審査請求人の主張は採用することができない 4 まとめ以上によれば 本件審査請求を棄却すべきである旨の諮問に係る判断は妥当である よって 結論記載のとおり答申する 行政不服審査会第 3 部会委員戸塚誠委員小早川光郎委員山田博 8