11総法不審第120号

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処分済み

もあり 安全で問題のない生活を送るためには家庭の中で請求人一人の力だけでは難しく 周りの大人の支援を必要としている状況である 現在も上記のような状況から 仕事ができずにいる また 本件処分は本件診断書に基づいて行われているが その後本件児童の状態が変わっているので 平成 30 年 3 月 26 日付

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保険業務に係る情報提供料は 請求人の事業に基づいた収入であるとは いえない 第 4 審理員意見書の結論 本件各審査請求は理由がないから 行政不服審査法 4 5 条 2 項によ り 棄却すべきである 第 5 調査審議の経過 審査会は 本件諮問について 以下のように審議した 年月日 審議経過 平成 30

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処分済み

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kisaihouhou

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平成 30 年 9 月 25 日 諮問 平成 30 年 11 月 13 日審議 ( 第 27 回第 4 部会 ) 平成 30 年 12 月 11 日審議 ( 第 28 回第 4 部会 ) 第 6 審査会の判断の理由審査会は 請求人の主張 審理員意見書等を具体的に検討した結果 以下のように判断する 1

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第 4 審理員意見書の結論 本件各審査請求は理由がないから 行政不服審査法 4 5 条 2 項に より いずれも棄却すべきである 第 5 調査審議の経過審査会は 本件諮問について 以下のように審議した 年月日審議経過 平成 30 年 3 月 6 日 諮問 平成 30 年 4 月 26 日審議 ( 第

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が成立するが 本件処分日は平成 29 年 3 月 3 日であるから 平成 24 年 3 月 3 日以降 審査請求人に支給した保護費について返還を求めることは可能であ る 第 3 審理員意見書の要旨 1 結論本件審査請求には理由がないので 棄却されるべきである 2 理由 (1) 本件処分に係る生活保護

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処分済み

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01 表紙

ら退去を迫られやむを得ず転居したのであるから本件転居費用について保護費が支給されるべきであると主張して 本件処分の取消しを求めている 2 処分庁の主張 (1) 生活保護問答集について ( 平成 21 年 3 月 31 日厚生労働省社会援護局保護課長事務連絡 以下 問答集 という ) の問 13の2の

がある 7 平成 28 年 3 月 28 日 処分庁は 同日付で審査請求人に対し 借入金収入 円の未申告により生じた保護費過払い分について 法第 78 条第 1 項の規定により費用徴収を行う決定を行い 同年 7 月 7 日 費用徴収決定通知書を審査請求人に手交した 8 審査請求人は 平成 28 年

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19 条の4 第 2 項の規定により, 特別職の公務員であるから, 本件不開示情報は, 公務員としての職務遂行情報であり, 精神保健指定医が, 客観的な生体検査もなく, ただその主観に基づいて, 対象者を強制入院させることができるという性質の資格であること, 本件開示請求に係る精神保健指定医らが対象

病が原子爆弾の傷害作用に起因する旨の厚生労働大臣の認定を受けなければならない ( 被爆者援護法 11 条 1 項 ) ⑶ 都道府県知事は ⑵ 記載の厚生労働大臣の認定を受け かつ 当該認定に係る負傷又は疾病の状態にあるとの要件に該当することについて都道府県知事の認定を受けた者に対し 医療特別手当を支

Microsoft Word - (課×県・指定)【頭紙】「精神障害者保健福祉手帳の診断書の記入に当たって留意すべき事項について」等の一部改正について.rtf

の補正書 において, 審査請求の趣旨を この開示請求は本人の給与のみずましにかかわる書面である為 としているが, 原処分を取り消し, 本件対象保有個人情報の開示を求めている審査請求として, 以下, 原処分の妥当性について検討する 2 原処分の妥当性について (1) 給与所得の源泉徴収票について給与所

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非常に長い期間, 苦痛に耐え続けた親族にとって, 納得のできる対応を日本政府にしてもらえるよう関係者には協力賜りたい ( その他は, 上記 (2) と同旨であるため省略する ) (4) 意見書 3 特定個人 Aの身元を明らかにすること及び親子関係の証明に当たっては財務省 総務省において, 生年月日の

債務のうち所定の範囲内のものを当該事業主に代わって政府が弁済する旨規定する (2) 賃確法 7 条における上記 政令で定める事由 ( 立替払の事由 ) として 賃金の支払の確保等に関する法律施行令 ( 昭和 51 年政令第 169 号 以下 賃確令 という )2 条 1 項 4 号及び賃金の支払の確

目 次 第 1 趣旨 目的 1 第 2 ガイドラインの適用 1 1. 対象給付 1 2. 対象傷病 1 3. ガイドラインの運用 1 第 3 障害等級の判定 2 1. 障害等級の目安 2 2. 総合評価の際に考慮すべき要素の例 2 3. 等級判定にあたっての留意事項 2 (1) 障害等級の目安 2

返還の必要性を十分説明しており 手続は適法である 第 3 審理員意見書の要旨 1 結論本件審査請求には理由がないので 棄却されるべきである 2 理由 (1) 本件の争点は 本件保険が法第 4 条第 1 項に規定する 利用し得る資産 に該当するかどうかであるが その判断に当たっては 処分庁が判断の要素

第1 総 括 的 事 項

1 審査会の結論 平成 28 年度市民税 県民税の賦課決定処分 に係る審査請求は棄却する べきであるとの審査庁の判断は妥当である 2 事案概要南区長 ( 以下 処分庁 という ) は 地方税法 ( 昭和 25 年法律第 226 号 以下 法 という ) 第 24 条及び第 294 条並びに横浜市市税

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7 平成 28 年 10 月 3 日 処分庁は 法第 73 条の2 第 1 項及び条例第 43 条第 1 項の規定により 本件不動産の取得について審査請求人に対し 本件処分を行った 8 平成 28 年 11 月 25 日 審査請求人は 審査庁に対し 本件処分の取消しを求める審査請求を行った 第 4

取得に対しては 分割前の当該共有物に係る持分割合を超える部分の取得を除いて 不動産取得税を課することができないとするだけであって 分割の方法に制約を設けているものではないから 共有する土地が隣接している場合と隣接していない場合を区別し 隣接していない土地を一体として分割する場合に非課税が適用されない

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横情審答申第 1534 号 平成 3 0 年 11 月 15 日 横浜市長林文子様 横浜市情報公開 個人情報保護審査会 会長 藤原靜雄 横浜市個人情報の保護に関する条例第 53 条第 1 項の規定に基づく諮問 について ( 答申 ) 平成 29 年 5 月 1 日総職健第 86 号による次の諮問につ

ている しかしながら 本件処分は条例の理念と条文の解釈運用を誤った違法なものであり 取り消されなければならない ⑶ 条例第 7 条第 1 項本文は 個人情報の外部提供の原則禁止を規定している また 同条同項ただし書の趣旨は 単に外部提供の原則禁止規定を解除したにとどまる すなわち 当該法令等が存在す

録された保有個人情報 ( 本件対象保有個人情報 ) の開示を求めるものである 処分庁は, 平成 28 年 12 月 6 日付け特定記号 431により, 本件対象保有個人情報のうち,1 死亡した者の納める税金又は還付される税金 欄,2 相続人等の代表者の指定 欄並びに3 開示請求者以外の 相続人等に関

諮問庁 : 国立大学法人長岡技術科学大学諮問日 : 平成 30 年 10 月 29 日 ( 平成 30 年 ( 独情 ) 諮問第 62 号 ) 答申日 : 平成 31 年 1 月 28 日 ( 平成 30 年度 ( 独情 ) 答申第 61 号 ) 事件名 : 特定期間に開催された特定学部教授会の音声

異議申立てしていますが, 協会 ( 原文ママ ) として黙認しています 本件に関しても, 諮問庁は国のトップなのだから, もっともっと労働問題に積極的に取り組み, 労基法厳守で, 場合により, 行政処分すべきである 警察なら, スピード違反すれば即行政処分されますが, 労基法では, 基本強い行政処分

と見なされ 第 1 級 9 号後段の 労働能力が 以下が 終身常時介護を要するもの と読み替えられるとしても 被共済者の症状は 読み替え後の第 1 級 9 号に該当する 被共済者は 国民年金障害基礎年金障害等級 1 級 10 号の認定を受けているが 国民年金 障害認定基準 によれば 精神の障害のうち

ウ 特定個人 a に訂正してほしいとは, 私は書いてない これも日本年金機構の単純ミスなのか? それとも他に理由があるのか? 事実に基づいて, 説明を求める 私の公共職業安定所における氏名は, カタカナの 特定個人 b のスペースなしで管理されている 私の資格画面も氏名欄はカタカナである 国民年金保

⑴ ⑵ ⑶


軽自動車税 ( 種別割 ) 減免に関する取扱基準 ( 趣旨 ) 第 1 条この基準は 船橋市市税条例第 89 条及び第 90 条の規定に基づき 軽自動車税 ( 種別割 ) の減免の取り扱いに関し 必要な事項を定める ( 公益のために直接専用するものの範囲 ) 第 2 条条例第 89 条第 1 項第

(2) 電子計算機処理の制限に係る規定ア電子計算機処理に係る個人情報の提供の制限の改正 ( 条例第 10 条第 2 項関係 ) 電子計算機処理に係る個人情報を国等に提供しようとする際の千葉市情報公開 個人情報保護審議会 ( 以下 審議会 といいます ) への諮問を不要とし 審議会には事後に報告するも

ウ商業地等である 町の土地の平成 28 年度分の固定資産税の課税標準額は 法附則第 18 条第 5 項及び第 25 条第 5 項の規定により 課税標準となるべき価格に0.7を乗じた額となる なお 岐阜市税条例 ( 昭和 25 年岐阜市条例第 14 号 以下 条例 という ) においては これと異なる

公的医療保険が対象とならない治療 投薬などの費用 ( 例 : 病院や診療所以外でのカウンセリング ) 精神疾患 精神障害と関係のない疾患の医療費 医療費の自己負担ア ) 世帯 ( 1) における家計の負担能力 障害の状態その他の事情をしん酌した額 ( しん酌した額が自立支援医療にかかった費用の 10

( 誓約事項 ) 児童福祉法第 19 条の9 第 2 項に該当しないことを誓約すること 1 第 1 号関係申請者が 禁錮以上の刑に処せられ その執行を終わり 又は執行を受けることがなくなった日を経過していない 2 第 2 号関係申請者が 児童福祉法その他国民の保健医療若しくは福祉に関する法律 ( 医

の対象として 人事院事務総長引継書 を特定し, 同年 9 月 29 日付け行政文書開示決定通知書を審査請求人に送付した 2 審査請求人が主張する本件審査請求の趣旨及び理由審査請求人は, 事務引継書が1 名分しか存在しないという決定は不自然である, 他の職員についても事務引継書がなければ, 前任者から

遺者であったが 事情があって遺贈の放棄をした 民法 986 条の規定によれば 受遺者は 遺言者の死亡後 いつでも 遺贈の放棄をすることができ 遺贈の放棄は 遺言者死亡のときに遡ってその効力を生じるとされているから 前所有者から請求人に対する本件各不動産の所有権移転の事実は無かったものであり 請求人は

平成 28 年度第 3 回弘前市ケアマネジャー研修会 1. ケアプランの軽微な変更の内容について ( ケアプランの作成 ) 最新情報 vol.155 p.3 参照 指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準について( 平成 11 年 7 月 29 日老企 22 号厚生省老人保健福祉局企画課長

* 1.請求の要旨

年管管発 0928 第 6 号平成 27 年 9 月 28 日 日本年金機構年金給付業務部門担当理事殿 厚生労働省年金局事業管理課長 ( 公印省略 ) 障害年金の初診日を明らかにすることができる書類を添えることができない場合の取扱いについて 厚生年金保険法施行規則等の一部を改正する省令 ( 平成 2

⑴ ⑵ ⑶

⑴ ⑵ ⑶

⑴ ⑵ ⑶

⑴ ⑵ ⑶

⑴ ⑵ ⑶



⑴ ⑵ ⑶ ⑷ 1

諮問庁 : 株式会社日本政策金融公庫諮問日 : 平成 28 年 2 月 8 日 ( 平成 28 年 ( 独個 ) 諮問第 3 号 ) 答申日 : 平成 28 年 4 月 27 日 ( 平成 28 年度 ( 独個 ) 答申第 1 号 ) 事件名 : 本人に関する融資審査の検討資料の不訂正決定に関する件

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無い (3) 特定市が振興協会会長 Aと市教育委員会とで一体に推進した当該文化事業は事業の実施前と実施後のまちの変化における事業の効果について国への報告義務があり, 公正に適法に事業を行う責務の存在は当該文化事業の目標の1は中心市街地の賑わいの促進にあって中心市街地活性化ソフト事業であって公開されて

高島市職員措置請求に係る監査の結果について 第 1 請求の受付 1 請求書の提出平成 29 年 9 月 28 日 2 請求人 3 請求の要旨 ( 高島市職員措置請求書 の原文のまま記載) 1 請求の要旨高島市長による平成 29 年度の固定資産税の賦課において 別紙の固定資産について 家屋の未評価によ

1 経 緯

( 参考 ) 国民年金法施行令別表 厚生年金保険法施行令別表第 及び第

附則 この規則は 平成 29 年 3 月 1 日から施行する

第 3 諮問庁の説明の要旨 1 本件事案の概要本件は, 審査請求人が平成 29 年 8 月 29 日付けで法人文書の開示請求を行ったことに対し, 同年 9 月 29 日付け千大総第 307 号により, 法人文書の一部を不開示とする開示決定等処分 ( 処分 1) を行ったところ, 審査請求が提起された

査請求人 ) が 平成 5 年分所得税確定申告書 ( 以下 本件請求保有個人情報 1 という ) の開示を求めるものである 処分庁は, 本件開示請求に対し, 本件請求保有個人情報 1は文書保存期間 (7 年 ) が満了し, 既に廃棄しているとして, 平成 27 年 12 月 2 2 日付け特定記号第

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して 当審査会に対し諮問をした 以上の事案の経緯は 諮問書 審査請求書及び懲戒処分書から認められる 2 関係する法令等の定め (1) 司法書士に対する懲戒及びその手続についてア法 47 条は 司法書士がこの法律又はこの法律に基づく命令に違反したときは その事務所の所在地を管轄する法務局又は地方法務局


⑵ ⑶ ⑷ ⑸ ⑴ ⑵

仕事の依頼に諾否の自由はなく 業務の内容及び遂行方法について本件会社の指揮命令を受け アシスタント雇用等に関する規程等により 業務を他人に代替させえない 所得税の源泉徴収 雇用保険 厚生年金 健康保険の保険料徴収がある 営業所 机 パソコン 文具等は本件会社の提供に係るものであり 経費は立替精算であ

1 審査会の結論平成 30 年 1 月 12 日付けで審査請求人が行政文書公開請求した 深沢地域整備事業に関し J R 東日本の要望 条件 要請 意向等の文書 ( 復命書含む ) 及び前記の記載がある文書 に対して実施機関鎌倉市長が平成 30 年 3 月 12 日付けで行った行政文書一部公開決定処分

一について第一に 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成十年法律第百十四号 以下 感染症法 という )第十二条の規定に基づき 後天性免疫不全症候群(以下 エイズという )の患者及びその病原体を保有している者であって無症状のもの(以下 HIV感染者 という )(以下 エイズの患者等

Transcription:

答 申 審査請求人 ( 以下 請求人 という ) が提起した精神障害者保健 福祉手帳の障害等級認定に係る審査請求について 審査庁から諮問が あったので 次のとおり答申する 第 1 審査会の結論 本件審査請求は 棄却すべきである 第 2 審査請求の趣旨本件審査請求の趣旨は 東京都知事 ( 以下 処分庁 という ) が請求人に対し 発行年月日を平成 2 8 年 8 月 5 日として行った精神障害者保健福祉手帳 ( 以下 福祉手帳 という ) の更新決定処分のうち 障害等級を 3 級と認定した部分 ( 以下 本件処分 という ) について 2 級への変更を求めるものである 第 3 請求人の主張の要旨診断書の内容が同じなのに 手帳が2 級から3 級になった そうすると 生活保護のお金が 1 4 万円から 1 2 万円になり 生活が大変なので 手帳を 2 級にしてほしい 第 4 審理員意見書の結論 本件審査請求は理由がないから 行政不服審査法 4 5 条 2 項に より 棄却すべきである 第 5 調査審議の経過 審査会は 本件諮問について 以下のように審議した 1

年月日 平成 28 年 1 2 月 5 日 諮問 審議経過 平成 2 9 年 1 月 2 4 日 審議 ( 第 5 回第 4 部会 ) 平成 2 9 年 2 月 2 1 日 審議 ( 第 6 回第 4 部会 ) 平成 2 9 年 3 月 2 1 日 審議 ( 第 7 回第 4 部会 ) 平成 2 9 年 4 月 1 7 日 審議 ( 第 8 回第 4 部会 ) 第 6 審査会の判断の理由審査会は 請求人の主張 審理員意見書等を具体的に検討した結果 以下のように判断する 1 法令等の定め ⑴ 法 4 5 条 2 項は 都道府県知事は 福祉手帳の交付申請に基づいて審査し 申請者が 政令で定める精神障害の状態 にあると認めたときは 申請者に福祉手帳を交付しなければならない旨定めている これを受けて 法施行令は 障害等級 及び 精神障害の状態 について別紙 2 のように規定する また 別紙 2 ( 法施行令 6 条 3 項 ) の表が定める障害等級の認定に係る精神障害の状態の判定に当たっては 精神疾患 ( 機能障害 ) 及び能力障害 ( 活動制限 ) の状態が重要な判断資料となることから 精神疾患 ( 機能障害 ) の状態 ( 以下 機能障害 という ) と 能力障害 ( 活動制限 ) の状態 ( 以下 活動制限 という ) の二つの要素を勘案して 総合判定 すべきものとされている ( 精神障害者保健福祉手帳の障害等級の判定基準の運用に当たって留意すべき事項について ( 平成 7 年 9 月 12 日健医精発第 46 号厚生省保健医療局精神保健課長通知 以下 留意事項 といい 精神障害者保健福祉手帳の障害等級の判定基準について ( 平成 7 年 9 月 1 2 日健医 2

発第 1 1 3 3 号厚生省保健医療局長通知 以下 判定基準 という ) と併せて 判定基準等 という ) ) そして 処分庁が上記判断を行うに当たっては 複数名の精神保健指定医による審査部会を設置し その判定を踏まえることとされている ⑵ さらに 法 4 5 条 1 項によれば 福祉手帳の交付申請は 医師の診断書等を添えて行うこととされており ( 法施行規則 23 条 1 号及び 2 号 ) 障害等級の更新の申請の場合も同様であるとされていることから ( 同規則 2 8 条 1 項 ) 本件においても 上記 ⑴ の 総合判定 は 提出された本件診断書により その記載内容全般を基に 客観的になされるべきものと解される このため 本件診断書の記載内容を基にした判断に違法又は不当な点がなければ 本件処分に取消理由があるとすることはできない 2 次に 本件診断書の記載内容を前提に 本件処分に違法又は不当な点がないかどうか 以下 検討する ⑴ 機能障害について 本件診断書において 請求人の主たる精神障害として記載されている 統合失調症 ICDコード (F2 0 ) ( 別紙 1 1) は 判定基準によれば 高度の残遺状態又は高度の病状があるため 高度の人格変化 思考障害 その他妄想 幻覚等の異常体験があるもの が 1 級 残遺状態又は病状があるため 人格変化 思考障害 その他の妄想幻覚等の異常体験があるもの が 2 級 残遺状態又は病状があり 人格変化の程度は著しくはないが 思考障害 その他の妄想 幻覚等の異常体験があるもの が 3 級とされている また 留意事項 ( 2 ⑵ ) においては 機能障害の判定について 機能障害を判断するに当たっては 現時点の状態のみ 3

でなく おおむね過去の 2 年間の状態 あるいは おおむね今後 2 年間に予想される状態も考慮する こととされている これを請求人についてみると 本件診断書によると 発病から現在までの病歴及び治療内容等 欄には 別紙 ( 1 3 ) のとおり記載されている そして 現在の病状 状態像等 欄 ( 別紙 1 4 ) では 抑うつ状態( 思考 運動抑制 憂うつ気分 ) 幻覚妄想状態 ( 妄想 ) 及び 統合失調症等残遺状態 ( 自閉 感情平板化 意欲の減退 ) に該当し 病状 状態像等の具体的程度 症状 検査所見等 欄 ( 別紙 1 5 ) には 軽度の異常体験が残存した状態で慢性固定化した病像にある 単身生活のうえ 変形性関節症を患い 日常生活上の制限や苦痛が多い 糖尿病の管理は比較的良好となっている と記載されている これらの記載によれば 請求人は精神疾患を有し 統合失調症の思考内容の障害に相当する妄想 ( 異常体験 ) が認められるものの 異常体験は軽度であり 幻覚等の知覚障害 統合失調症に特有な思考様式の障害 興奮や昏迷等の精神運動性の障害等は認められないこと また 以前は 幻覚妄想状態を主症状として入退院を繰り返していたことが認められるものの 現在は外来通院を継続しており おおむね過去 2 年間の状態について 再発等による病状の著しい増悪は認められないことからすれば 病状は安定しているものと思料される また 請求人は 慢性欠陥状態で推移し 統合失調症等残遺状態とされる自閉 感情平板化 意欲の減退が認められるものの 持続的な思考過程の障害や言語コミュニケーションの障害についての具体的な記述は認められず 人格変化の程度が著しいとまでは言えないこと 変形性関節症のために日常生活上の制限や苦痛が多いことは認められるものの 残遺状態に伴う日 4

常生活上の制限は著しいとまでは言えないことからすると 自己管理や社会的役割遂行能力が著しく妨げられているとまでは判断し難い したがって 請求人の機能障害の程度は 判断基準等によると 残遺状態又は病状があり 人格変化の程度は著しくはないが 思考障害 その他の妄想 幻覚等の異常体験があるもの として 障害等級 3 級に該当すると判断するのが相当である ⑵ 活動制限について 次に 請求人の活動制限についてみると 本件診断書によれば 日常生活能力の程度 欄 ( 別紙 1 6 ⑶) の記載の中では 精神障害を認め 日常生活に著しい制限を受けており 時に応じて援助を必要とする が選択されており この記載のみからすると 留意事項 3 ⑹の表によれば 請求人の活動制限の程度は おおむね 2 級程度の区分に該当し得るともいえる しかし 日常生活能力の判定 欄 ( 別紙 1 6 ⑵) は 8 項目中 1 項目が できない とされているものの 4 項目が 自発的にできるが援助が必要 又は おおむねできるが援助が必要 と 3 項目が 援助があればできる とされ 現在の生活環境 欄 ( 別紙 1 6 ⑴ ) は 在宅 ( 単身 ) であり 生活能力の 具体的程度 状態像 ( 別紙 1 7 ) 欄は 日常生活の基本的管理は出来ている 現在の障害福祉等サービスの利用状況 欄 ( 別紙 1 8 ) は 生活保護 以外に記載がないことからすると 請求人は 生活保護以外には障害福祉等サービスを受けることなく 単身での在宅生活を維持しながら通院している状況にあると認められる また 精神障害者保健福祉手帳の診断書の記入に当たって留意すべき事項について ( 平成 7 年 9 月 12 日健医精発第 4 5

5 号厚生省保健医療局精神保健課長通知 ) Ⅱ 6 によれば 診断書の 日常生活能力の判定 欄については 身体疾患がある場合に 例えば 食事の摂取ができない というような身体障害に起因する能力障害 ( 活動制限 ) を評価するものではないとされているところ 請求人は 身体疾患としての変形性関節症により日常生活に制限を受けているものと考えられ ( 別紙 1 5) ることから 主たる精神障害である統合失調症の症状による日常生活への影響の程度は著しいとまではいえない したがって 請求人の活動制限の程度は 判定基準等に照らして 障害等級のおおむね 3 級相当と判断するのが相当である ⑶ 総合判定 請求人の障害等級について ⑴ 及び ⑵ で検討した機能障害と 活動制限とを総合して判定すると 請求人の精神障害の程度について 障害等級 2 級の 日常生活が著しい制限を受けるか 又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの に至っているとまでは認めることはできない よって 請求人の精神障害は 日常生活若しくは社会生活が制限を受けるか 又は日常生活若しくは社会生活に制限を加えることを必要とする程度のもの として障害等級 3 級に該当すると判定するのが相当であり これと同旨の結論を採る本件処分に違法又は不当な点は認められず 請求人の主張は理由がない なお 請求人は 上記 ( 第 3 ) のとおり主張するが 留意事項 ( 2 ⑵ 及び 3 ⑵ ) において 精神疾患 ( 機能障害 ) 及び能力障害 ( 活動制限 ) の状態の判定に当たっては 今後 2 年間に予想される状態も考慮する とされており 診断書記入時点が異なることで 診断書の記載内容が同じであったとしても 異なる障害等級と認定されることもあり得ることを付言し 6

ておく 3 請求人の主張以外の違法性又は不当性についての検討 その他 本件処分に違法又は不当な点は認められない 以上のとおり 審査会として 審理員が行った審理手続の適正性や法令解釈の妥当性を審議した結果 審理手続 法令解釈のいずれも適正に行われているものと判断する よって 第 1 審査会の結論 のとおり判断する ( 答申を行った委員の氏名 ) 松井多美雄 宗宮英俊 大橋真由美 別紙 1 ( 略 ) 別紙 2 ( 略 ) 7