AN1019 そのような配慮として 下記の基本的ガイドラインに沿って 可能な限り 環境条件または動作条件を制限する必要があります アプリケーションの温度を可能な限り下げる アプリケーションの電圧 ( または EEPROM の VCC 電圧 ) を可能な限り下げる 書き込みバイト数を可能な限り少なくす

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注意 : この日本語版文書は参考資料としてご利用ください 最新情報は必ずオリジナルの英語版をご参照願います EEPROM 書き込み耐性の基礎 AN1019 Author: 基礎 David Wilkie Microchip Technology Inc. EEPROM の 書き込み耐性 を一言で明確に定義して理解する事はできません 以下で説明するように メーカーごとに定義が異なります 全てのメーカー ( および一部のユーザ ) は 製品で障害が発生するまでに実行可能な 書き込みサイクル の回数を定義するために 書き込み耐性サイクル 試験を実施しています マイクロチップ社は 製品で障害が発生するまでに最低限実行可能な書き込みサイクルの回数を 書き込み耐性 と定義しています 障害 とは曖昧な定義です なぜならば ユーザのシステムで使われているデバイスがユーザの期待通りに動作しなくってはじめて実際の 障害 となるからです このため 障害 は 最も楽観的なものから最も厳しいもの ( この場合データシート内の全ての仕様を満たさない限り障害とみなす ) まで どのようにも定義できます 例えば デバイスがある特定のアドレスにだけデータを正しく保存できない場合 メーカーの機能試験では障害が発生しても ユーザが実際にそのアドレスを使わない限りデバイスは正常に動作します 同様に 経時劣化によってデバイスの引き込み電流がデータシートの仕様値を超えたとしても ユーザアプリケーションが必要な電流を供給できる限り デバイスはそのアプリケーションで動作し続けます しかしこの場合も そのデバイスはメーカーが定めたパラメータ試験に合格しません マイクロチップ社は 下記のように最も厳しい定義を採用しています データシートに記載した 仕様 動作レンジ ( 温度と電圧 ) の全域で デバイスがデータシートの仕様条件を 1 つでも満たさない状態を 障害 とする 特定の 書き込み耐性 基準よりも前に障害が発生する可能性のあるデバイスの比率も メーカーによって定義が異なります どのように品質に厳しいメーカーの製品でも そのようなデバイスを完全に排除する事はできないため 故障率水準が定義されます さまざまな信頼性試験に対して 各種の業界標準条件が存在します 例えば IEEE-Std-1005-1998 は 最大累積故障率を 1% と定義しています JEDEC ( 電子素子技術連合評議会 ) が定める JESD47 では 77 ユニットを 1 ロットとし 目標とする耐久条件で 3 ロットを試験した時に障害が発生しなければ 目標を達成しているとみなします ( これは 1% の LPTD ( ロット許容不良率 ) と等価です ) マイクロチップ社は さらに厳しい下記の耐久性基準を採用しています 製品あたり 256 ユニット 同一技術を使う製品群あたり 256 ユニット x 3 ロットをサンプリングし それらが全て障害なく一定の目標耐久条件を満たす事 ( これは 0/768 (LTPD で 0.3% 未満 ) と等価です ) 書き込みサイクル もまた曖昧な定義です なぜならば ユーザごとにデバイスに書き込む方法が異なるからです 例えば ユーザアプリケーションが変数データの保存用にアレイの先頭から 3 バイトだけを使い そのアレイの残りをルックアップテーブル用に使う場合 3 個のデータバイトを書き換えるたびに 1 回の書き込みサイクルを実行します ほとんど全ての EEPROM 方式は データをアレイに書き込む前に 自動消去 を実行するため しばしば 書き込みサイクル の事を 消去 / 書き込みサイクル と呼ぶ事があります マイクロチップ社も 消去 / 書き込みサイクル という用語を使いますが 自動消去はユーザにとって不可視であり ユーザはこの動作を抑制できないため 本書では 書き込みサイクル と呼ぶ事にします 書き込みサイクル または 消去 / 書き込みサイクル のかわりに データ書き換え という用語を使う場合もあります データ書き換えは 自動消去サイクルの開始時に 1 回発生し 書き込みサイクルでもう 1 回発生します 従って 1 回の 消去 / 書き込みサイクル あたり 2 回の データ書き換え が発生します データ書き換え という用語は 消去 / 書き込みサイクル とは異なるタイプのサイクルを意味する場合もあります これについても後述します 書き込みサイクル という用語は 特に明記のない限り サイクルを実行した時の条件も実行方法も規定しません 書き込み耐性サイクルは ユーザアプリケーションの実際の条件に関係なく 任意数の電圧および温度条件 ( 例 : 85 /5.5 V 25 /5.0 V) で実施されます 書き込み耐性サイクルでどの書き込みモードを使うかによっても 製品の書き込み耐性が異なる可能性があります これらの影響についても後述します マイクロチップ社は 書き込み耐性サイクルの評価に妥当と考えられる最も厳しい条件として 85 /5.5 V でバイトモードまたはページモードのサイクルを採用しています 本書に記載するデータには 特に明記のない限り 全てこの条件を適用します システム設計での配慮 書き込み耐性によってアプリケーションが制約を受ける場合 EEPROM デバイスの書き込み耐性を最大限に高めるために システムを設計する際に各種の配慮が可能です 2012 Microchip Technology Inc. DS01019A_JP - p. 1

AN1019 そのような配慮として 下記の基本的ガイドラインに沿って 可能な限り 環境条件または動作条件を制限する必要があります アプリケーションの温度を可能な限り下げる アプリケーションの電圧 ( または EEPROM の VCC 電圧 ) を可能な限り下げる 書き込みバイト数を可能な限り少なくする 可能な限りページ書き込み機能を使う データの書き込み頻度を可能な限り下げるこれらの基本的ガイドラインに可能な限り従う事により EEPROM 型デバイスの書き込み耐性を仕様値 ( 最低限の耐性 ) よりも延ばす事ができます マイクロチップ社製シリアル EEPROM は 特定条件では 1 億サイクル以上の書き込み耐性を示し 1000 万サイクルレベルのアプリケーションであれば問題なく使えます EEPROM の書き込みモード EEPROM 型デバイスのアレイ全体のデータの書き換えには 3 種類の方法 ( バイトモード ページモード ブロック ( バルク ) モード ) が存在します 3 種類のモードの全てを使えるデバイスもあれば 一部のモードだけを使えるデバイスもあります 書き込みモードは EEPROM 型デバイスの長期的な耐久性に影響します バイトモード書き込みは アレイの内容を 1 度に 1 バイトずつ書き換えます この書き込みモードしか使えないデバイスもあります この方法で 512K シリアル EEPROM の全体の内容を書き換えるには 約 6 分 ( バイトあたり 5 ms) を要します ページモード書き込み機能は EEPROM メモリ製品の多くが採用しています この機能を使うと 1 バイトの書き込みに通常要するのと同じ時間で 128 byte のデータを書き込む事ができます このモードを使った場合 512K シリアル EEPROM のアレイ全体への書き込み時間は バイトモードの 6 分から 3 秒に短縮できます ブロックサイクルは EEPROM 製品の検査を容易にするためのものであり 一般的にメーカーのための機能です この書き込みモードをユーザオプションとして選択できる EEPROM 型製品もあります ( 例 : 93LXXX 製品の ERAL および WRAL モード ) が 一般的にユーザはこのモードを選択できません 1 回のブロック書き込みは 1 ms 程度で実行でき 数 100 万サイクルの書き込みを数時間で完了できます これらの書き込みモードは 1 命令で書き込めるバイト数が多いほどデバイスの書き込み耐性は延びる という一般的規則に従います 例えば 特定の条件下でバイトモードを使った時に 300,000 サイクルでデバイスに障害が発生し始めたとします 同じ条件でページモードを使った場合 これを 600,000 サイクルまで延ばす事ができるはずです さらに ブロックモードを使えば 1,000,000 サイクルに達すると考えられます このような挙動は 全ての EEPROM 型製品が採用している内部構造に起因します これらのデバイスが内蔵する チャージポンプ は 供給された VCC 電圧 ( 一般的に 1.8 ~ 5.5 V) を 15 ~ 20 V に昇圧します この電圧は EEPROM 型デバイスが書き込み / 消去に利用する ファウラー - ノルドハイムトンネリング 効果を誘起するために必要です チャージポンプの電圧は 書き込み先の複数の EEPROM セルに印加されます 例えばバイトモードの場合 1 バイト内の全てのセル (8 または 16 個のセル ) をチャージポンプ電圧でバイアスします ブロックモードの場合 アレイ内の全てのセル ( 最大 1M デバイスによって異なる ) をチャージポンプ電圧でバイアスします チャージポンプは高負荷条件下の電流源のように働き 書き込みバイト数が増えるにつれてチャージポンプの出力電圧は少しずつ低下します アレイ全体に書き込む場合 チャージポンプの電圧は大幅に低下します 一般的に チャージポンプの電圧が下がるほど書き込み耐性は向上するため ブロックモードの書き込みサイクルを使った時に最も高い書き込み耐性が得られます ( ただし セルに書き込むにはある程度以上の電圧が必要であるため 電圧の低減には限界があります ) ページモードの書き込み耐性はブロックモードよりも劣りますが バイトモードよりは優れます ブロックモードはアレイ全体のデータを全て同じ値 ( 一般的に 00 または FF) に書き換えてしまうため 一般的なエンドユーザにとって便利なモードではありません マイクロチップ社は EEPROM 型製品を試験する際に ページモードを備えていない製品にのみバイトモード書き込みサイクルを使い ページモードを備えた製品にはページモード書き込みサイクルを使います 書き込み耐性を最大限に高めるために ページモードを備える全ての製品では ページモード書き込みの使用を推奨します 書き込み耐性試験の方法 メーカーごとに EEPROM 型製品の評価に使うサイクルと試験方法が異なります 書き込み耐性試験に使うサイクルまたはサイクル実施後のデバイスの試験方法に関して 一定の基準は定められていません マイクロチップ社は 全ての製品で 2 種類の試験セット ( 認定試験と量産出荷試験 ) を実施しています 認定試験は 全ての新型製品に対して実施するとともに 既存製品の設計または生産プロセスに大きな変更があった場合にも実施しています 生産試験は お客様に出荷する全てのデバイスで実施しています マイクロチップ社では 認定試験によって デバイスの信頼性を確認しています 認定試験では多数の試験を実施しますが 全ての EEPROM 型製品の認定試験には書き込み耐性試験が含まれます 書き込み耐性サイクルは 一般的に 85 で実施し 一定回数のサイクルを実行した後に サンプルを抜き取って完全な生産試験プログラムを実施します さらに最大回数のサイクルを完了したユニットでは 要件とするデータ保持性 (200 年 ) の達成を確認します DS01019A_JP - p. 2 2012 Microchip Technology Inc.

AN1019 つまり 書き込み耐性サイクルを上記の条件で実施した後に データ保持性試験を実施するという事です 6 週間を要するデータ保持ストレス試験を終えた後に デバイスを再度試験し その動作がデータシートの仕様を全て満たしている事を確認します マイクロチップ社は 書き込み耐性試験またはデータ保持ストレス試験 (55 で 200 年以上に相当するストレス ) を経たデバイスに対して 一切の障害を許容しません 生産試験は お客様に出荷する全てのデバイスで実施しています 生産試験はウェハーロット工程の直後から始まり デバイスの出荷までに 各種の製造工程で実施します マイクロチップ社では EEPROM 型製品で実施する最初の生産試験を ウェハーソート (wafer sort) と呼んでいます この試験は アセンブリ工程に向けてウェハーをダイスに分割する前に実施します ここでは 脆弱なデバイスを以降の工程から取り除くために ブロックモードサイクル ( 最大 5,000 サイクル ) を含む一連の試験を実施します アセンブリ工程の後に 再度完全な試験を実施して 極度の温度条件でデバイスの動作を確認します マイクロチップ社の試験プロセスは他に類を見ません マイクロチップ社は そのような試験プロセスが業界最高水準の品質と信頼性を保証するものと確信しています EEPROM の書き込み耐性に対する温度の影響 書き込み耐性サイクルを実行する時の温度条件は デバイスで障害が発生するまでに実行可能な書き込みサイクル数に影響します 温度が高いほど 書き込み耐性は低下します 大まかに言って 一般的に 25 の条件において 1,000 万サイクルで障害を発生するデバイスは 85 において約 200 万サイクル 125 において約 100 万サイクルで障害を発生します この原因については 各種の理論が提唱されていますが 最終的な結論には至っていません しかし EEPROM セルの障害の様相 ( シールドおよび絶縁破壊を引き起こすトンネル誘電体内の電子捕獲 ) が温度に強く影響される事は明らかです マイクロチップ社のデータによると 25 の温度条件において 1,000 万サイクル (typical) で障害を発生する EEPROM 型製品の場合 温度と平均的な障害発生サイクル数の関係は表 1 のようになります 表 1: 温度と平均的な障害発生サイクル数の関係 書き込みサイクルの温度条件 平均的な障害発生サイクル数 -40 3,710 万 0 1,670 万 25 1,000 万 40 740 万 55 540 万 70 400 万 85 290 万 100 220 万 125 130 万この表は マイクロチップ社の FLOTOX ( ファウラー - ノルドハイムトンネリング ) 型 EEPROM でのデータに基づきます このデータは Total Endurance モデルを作成する際にデータセットの一部として採用しています 他のタイプの EEPROM では 特性が異なる可能性があります 以上から アプリケーションが例えば 55 という厳しい温度条件で 1,000 万サイクルの書き込みを必要とする場合 25 における書き込み耐性をそのまま適用できない事は明らかです EEPROM の書き込み耐性に対する電圧の影響 デバイスに書き込む時の電圧も書き込み耐性に影響します これは 単純に 電圧が高いほど EEPROM セルの書き込みおよび消去に使うチャージポンプの電力供給能力が高くなるためです これによりチャージポンプの出力電圧が高くなり 既に述べたようにプログラミング電圧が高いほど EEPROM セルの書き込み耐性は低下します マイクロチップ社の比較的新しいEEPROM 製品では このような効果を最小限に抑える事により 書き込み耐性に対する VDD 電圧の影響を緩和しています マイクロチップ社のデータによると 5.5 V の電圧条件において 100 万サイクル (typical) で障害が発生する EEPROM 型製品の場合 電圧と平均的な障害発生サイクル数の関係は表 2 のようになります 2012 Microchip Technology Inc. DS01019A_JP - p. 3

AN1019 表 2: 電圧と平均的な障害発生サイクル数の関係 書き込みサイクルの電圧条件 平均的な障害発生サイクル数 5.5 V 100 万 5.0 V 120 万 4.5 V 140 万 4.0 V 170 万 3.5 V 200 万 3.0 V 240 万 2.5 V 280 万 2.0 V 330 万 この表は マイクロチップ社の FLOTOX ( ファウラー - ノルドハイムトンネリング ) 型 EEPROM でのデータに基づきます このデータは Total Endurance モデルを作成する際にデータセットの一部として採用しています 他のタイプの EEPROM では 特性が異なる可能性があります TOTAL ENDURANCE 予測ソフトウェア マイクロチップ社は Windows 上で動作するモデルとして Total Endurance ソフトウェアを提供しています このプログラムは ユーザが指定した耐久性パラメータに基づいて アプリケーションが寿命に達した時の故障率水準を予測します このツールは 書き込み耐性を重視するアプリケーションの最適化に非常に役立ちます このツールはマイクロチップ社のウェブサイト (www.microchip.com) でダウンロードできます DS01019A_JP - p. 4 2012 Microchip Technology Inc.

マイクロチップ社製デバイスのコード保護機能に関して次の点にご注意ください マイクロチップ社製品は 該当するマイクロチップ社データシートに記載の仕様を満たしています マイクロチップ社では 通常の条件ならびに仕様に従って使用した場合 マイクロチップ社製品のセキュリティレベルは 現在市場に流通している同種製品の中でも最も高度であると考えています しかし コード保護機能を解除するための不正かつ違法な方法が存在する事もまた事実です 弊社の理解ではこうした手法は マイクロチップ社データシートにある動作仕様書以外の方法でマイクロチップ社製品を使用する事になります このような行為は知的所有権の侵害に該当する可能性が非常に高いと言えます マイクロチップ社は コードの保全性に懸念を抱くお客様と連携し 対応策に取り組んでいきます マイクロチップ社を含む全ての半導体メーカーで 自社のコードのセキュリティを完全に保証できる企業はありません コード保護機能とは マイクロチップ社が製品を 解読不能 として保証するものではありません コード保護機能は常に進歩しています マイクロチップ社では 常に製品のコード保護機能の改善に取り組んでいます マイクロチップ社のコード保護機能の侵害は デジタルミレニアム著作権法に違反します そのような行為によってソフトウェアまたはその他の著作物に不正なアクセスを受けた場合は デジタルミレニアム著作権法の定めるところにより損害賠償訴訟を起こす権利があります 本書に記載されているデバイスアプリケーション等に関する情報は ユーザの便宜のためにのみ提供されているものであり 更新によって無効とされる事があります お客様のアプリケーションが仕様を満たす事を保証する責任は お客様にあります マイクロチップ社は 明示的 暗黙的 書面 口頭 法定のいずれであるかを問わず 本書に記載されている情報に関して 状態 品質 性能 品性 特定目的への適合性をはじめとする いかなる類の表明も保証も行いません マイクロチップ社は 本書の情報およびその使用に起因する一切の責任を否認します マイクロチップ社の明示的な書面による承認なしに 生命維持装置あるいは生命安全用途にマイクロチップ社の製品を使用する事は全て購入者のリスクとし また購入者はこれによって発生したあらゆる損害 クレーム 訴訟 費用に関して マイクロチップ社は擁護され 免責され 損害うけない事に同意するものとします 暗黙的あるいは明示的を問わず マイクロチップ社が知的財産権を保有しているライセンスは一切譲渡されません 商標マイクロチップ社の名称と Microchip ロゴ dspic KEELOQ KEELOQ ロゴ MPLAB PIC PICmicro PICSTART rfpic UNI/O は 米国およびその他の国におけるマイクロチップ テクノロジー社の登録商標です FilterLab Hampshire HI-TECH C Linear Active Thermistor MXDEV MXLAB SEEVAL Embedded Control Solutions Company は 米国におけるマイクロチップ テクノロジー社の登録商標です Analog-for-the-Digital Age,Application Maestro chipkit chipkit logo CodeGuard dspicdem dspicdem.net dspicworks dsspeak ECAN ECONOMONITOR FanSense HI-TIDE In-Circuit Serial Programming ICSP Mindi MiWi MPASM MPLAB Certifiedr ロゴ MPLIB MPLINK mtouch Omniscient Code Generation PICC PICC-18 PICDEM PICDEM.net PICkit PICtail REAL ICE rflab Select Mode Total Endurance TSHARC UniWinDriver WiperLock ZENA は 米国およびその他の国におけるマイクロチップ テクノロジー社の登録商標です SQTP は 米国におけるマイクロチップ テクノロジー社のサービスマークです その他 本書に記載されている商標は各社に帰属します 2011, Microchip Technology Incorporated, All Rights Reserved. ISBN: 978-1-62076-024-6 マイクロチップ社では Chandler および Tempe ( アリゾナ州 ) Gresham ( オレゴン州 ) の本部 設計部およびウェハー製造工場そしてカリフォルニア州とイドのデザインセンターが ISO/TS-16949:2009 認証を取得しています マイクロチップ社の品質システムプロセスおよび手順は PIC MCU および dspic DSC KEELOQ コードホッピングデバイス シリアル EEPROM マイクロペリフェラル 不揮発性メモリ アナログ製品に採用されています さらに 開発システムの設計と製造に関するマイクロチップ社の品質システムは ISO 9001:2000 認証を取得しています 2012 Microchip Technology Inc. DS01019A_JP - p. 5

各国の営業所とサービス 北米本社 2355 West Chandler Blvd. Chandler, AZ 85224-6199 Tel:480-792-7200 Fax:480-792-7277 技術サポート : http://www.microchip.com/ support URL: www.microchip.com アトランタ Duluth, GA Tel:678-957-9614 Fax:678-957-1455 ボストン Westborough, MA Tel:774-760-0087 Fax:774-760-0088 シカゴ Itasca, IL Tel:630-285-0071 Fax:630-285-0075 クリーブランド Independence, OH Tel:216-447-0464 Fax:216-447-0643 ダラス Addison, TX Tel:972-818-7423 Fax:972-818-2924 デトロイト Farmington Hills, MI Tel:248-538-2250 Fax:248-538-2260 インディアナポリス Noblesville, IN Tel:317-773-8323 Fax:317-773-5453 ロサンゼルス Mission Viejo, CA Tel:949-462-9523 Fax:949-462-9608 サンタクララ Santa Clara, CA Tel:408-961-6444 Fax:408-961-6445 トロント Mississauga, Ontario, Canada Tel:905-673-0699 Fax:905-673-6509 アジア / 太平洋アジア太平洋支社 Suites 3707-14, 37th Floor Tower 6, The Gateway Harbour City, Kowloon Hong Kong Tel:852-2401-1200 Fax:852-2401-3431 オーストラリア - シドニー Tel:61-2-9868-6733 Fax:61-2-9868-6755 中国 - 北京 Tel:86-10-8569-7000 Fax:86-10-8528-2104 中国 - 成都 Tel:86-28-8665-5511 Fax:86-28-8665-7889 中国 - 重慶 Tel:86-23-8980-9588 Fax:86-23-8980-9500 中国 - 杭州 Tel:86-571-2819-3187 Fax:86-571-2819-3189 中国 - 香港 SAR Tel:852-2401-1200 Fax:852-2401-3431 中国 - 南京 Tel:86-25-8473-2460 Fax:86-25-8473-2470 中国 - 青島 Tel:86-532-8502-7355 Fax:86-532-8502-7205 中国 - 上海 Tel:86-21-5407-5533 Fax:86-21-5407-5066 中国 - 瀋陽 Tel:86-24-2334-2829 Fax:86-24-2334-2393 中国 - 深圳 Tel:86-755-8203-2660 Fax:86-755-8203-1760 中国 - 武漢 Tel:86-27-5980-5300 Fax:86-27-5980-5118 中国 - 西安 Tel:86-29-8833-7252 Fax:86-29-8833-7256 中国 - 厦門 Tel:86-592-2388138 Fax:86-592-2388130 中国 - 珠海 Tel:86-756-3210040 Fax:86-756-3210049 アジア / 太平洋 インド - バンガロール Tel:91-80-3090-4444 Fax:91-80-3090-4123 インド - ニューデリー Tel:91-11-4160-8631 Fax:91-11-4160-8632 インド - プネ Tel:91-20-2566-1512 Fax:91-20-2566-1513 日本 - 大阪 Tel:81-66-152-7160 Fax:81-66-152-9310 日本 - 横浜 Tel:81-45-471-6166 Fax:81-45-471-6122 韓国 - 大邱 Tel:82-53-744-4301 Fax:82-53-744-4302 韓国 - ソウル Tel:82-2-554-7200 Fax:82-2-558-5932 または 82-2-558-5934 マレーシア - クアラルンプール Tel:60-3-6201-9857 Fax:60-3-6201-9859 マレーシア - ペナン Tel:60-4-227-8870 Fax:60-4-227-4068 フィリピン - マニラ Tel:63-2-634-9065 Fax:63-2-634-9069 シンガポール Tel:65-6334-8870 Fax:65-6334-8850 台湾 - 新竹 Tel:886-3-5778-366 Fax:886-3-5770-955 台湾 - 高雄 Tel:886-7-536-4818 Fax:886-7-330-9305 台湾 - 台北 Tel:886-2-2500-6610 Fax:886-2-2508-0102 タイ - バンコク Tel:66-2-694-1351 Fax:66-2-694-1350 ヨーロッパオーストリア - ヴェルス Tel:43-7242-2244-39 Fax:43-7242-2244-393 デンマーク - コペンハーゲン Tel:45-4450-2828 Fax:45-4485-2829 フランス - パリ Tel:33-1-69-53-63-20 Fax:33-1-69-30-90-79 ドイツ - ミュンヘン Tel:49-89-627-144-0 Fax:49-89-627-144-44 イタリア - ミラノ Tel:39-0331-742611 Fax:39-0331-466781 オランダ - ドリューネン Tel:31-416-690399 Fax:31-416-690340 スペイン - マドリッド Tel:34-91-708-08-90 Fax:34-91-708-08-91 イギリス - ウォーキンガム Tel:44-118-921-5869 Fax:44-118-921-5820 11/29/11 DS01019A_JP - p. 6 2012 Microchip Technology Inc.