トラック運送事業の経営実態 全日本トラック協会は全国のトラック運送事業者 2,188 社 ( 有効数 ) の平成 25 年度事業報告書に基づき集計 分析した 経営分析報告書 ( 平成 25 年度決算版 ) をまとめた 全日本トラック協会が平成 4 年度から発行しているこの報告書は 会員事業者が自社の

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第2部

第2部

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( 億円 ) ( 億円 ) 営業利益 経常利益 当期純利益 金 25, 2, 15, 12, 営業利益率 経常利益率 額 15, 9, 当期純利益率 6. 1, 6, 4. 5, 3, 2.. 2IFRS 適用企業 8 社 214 年度 215 年度前年度差 ( 単位 : 億円 ) 前年

経営分析報告書について 1. 実施概要公益社団法人全日本トラック協会では 経営戦略化型構造改善事業 ( 昭和 62 年度 ~ 平成 4 年度 ) の一環として 中小トラック運送事業者の経営活動の実態を計数的に把握し 経営管理の改善等に役立てていただくために 平成 4 年度から 経営分析報告書 を毎年

PowerPoint プレゼンテーション

( 億円 ) ( 億円 ) 営業利益 経常利益 当期純利益 2, 15, 1. 金 16, 額 12, 12, 9, 営業利益率 経常利益率 当期純利益率 , 6, 4. 4, 3, 2.. 2IFRS 適用企業 1 社 ( 単位 : 億円 ) 215 年度 216 年度前年度差前年度

平成 23 年 3 月期 決算説明資料 平成 23 年 6 月 27 日 Copyright(C)2011SHOWA SYSTEM ENGINEERING Corporation, All Rights Reserved

2009年3月期 第2四半期決算説明会

2019 年 3 月期決算説明会 2019 年 3 月期連結業績概要 2019 年 5 月 13 日 太陽誘電株式会社経営企画本部長増山津二 TAIYO YUDEN 2017

( 億円 ) 売上高 ( 億円 ) 15, 1, 金 12, 8, 額 9, 6, 営業利益 売上高営業利益率 経常利益 売上高経常利益率 当期利益 売上高当期利益 1.% 8.% 6.% 6, 4, 4.% 3, 2, 2.% '13- 上 '13- 上 '13- 上 '13- 上.% 売上高につ

2019 年 3 月期第 3 四半期決算 ご参考資料 2019 年 1 月 31 日日本通運株式会社経営企画部

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Ⅱ 用語等の説明 今期の状況 来期の状況 前年同期 ( 平成 29 年 4~6 月期 ) と比べた今期 ( 平成 30 年 4~6 月期 ) の状況 前年同期 ( 平成 29 年 7~9 月期 ) と比べた来期 ( 平成 30 年 7~9 月期 ) の状況 前期平成 30 年 1~3 月期 来期平成

Ⅱ 用語等の説明 今期の状況 来期の状況 前年同期 ( 平成 28 年 4~6 月期 ) と比べた今期 ( 平成 29 年 4~6 月期 ) の状況 前年同期 ( 平成 28 年 7~9 月期 ) と比べた来期 ( 平成 29 年 7~9 月期 ) の状況 前期平成 29 年 1~3 月期 来期平成

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( 図表 1) 平成 28 年度医療法人の事業収益の分布 ( 図表 2) 平成 28 年度医療法人の従事者数の分布 25.4% 27.3% 15.8% 11.2% 5.9% n=961 n=961 n= % 18.6% 18.5% 18.9% 14.4% 11.6% 8.1% 資料出所

第2章 食品卸売業の経営指標

平成 25 年 3 月 19 日 大阪商工会議所公益社団法人関西経済連合会 第 49 回経営 経済動向調査 結果について 大阪商工会議所と関西経済連合会は 会員企業の景気判断や企業経営の実態について把握するため 四半期ごとに標記調査を共同で実施している 今回は 2 月下旬から 3 月上旬に 1,7

1. 自社の業況判断 DI 6 四半期ぶりに大幅下落 1 全体の動向 ( 図 1-1) 現在 (14 年 4-6 月期 ) の業況判断 DI( かなり良い やや良い と回答した企業の割合から かなり悪い やや悪い と回答した企業の割合を引いた値 ) は前回 ( 月期 ) の +19 から 28 ポイ

通期 連結の売上高 営業利益 経常利益としては 過去最高 のれん及び固定資産に係る減損損失を特別損失として 517 億円計上 当期純利益が 3 月 30 日付での予想数値より増加したのは 予想数値公表時の見込み額と比べ 最終決算数値により確定した減損損失額が 53 億円 減少したことによる 事業環境

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部品メーカーの状況 自動車部品メーカー 75 社の 2017 年度通期 (2017 年 年 3 月 ) の業績は 以下のとおりとなった 1. 決算状況 1 日本基準適用企業 63 社 ( ) 前年同期差 前年同期比 売上高 14,135,817 15,044, ,912 +

スライド 1

社団法人日本生産技能労務協会

生活衛生関係営業の景気動向等調査 平成17年7~9月期

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プレゼン

FY00 ソニー連結業績概要

スライド 1

Ⅰ. 経営状況 A.2019 年 3 月期第 1 四半期決算の概要 1) 概要 ( 連結 ) ( 単位 : 億円 %) 2019/3 期 1Q 実績 /3 期 1Q 実績 2 額 ( 前年比 ) 3=1-2 率 ( 前年比 ) 4=3 2 X100 上期予想 (4/27 発表 ) 5 進

2017年度 決算説明会資料

平成10年7月8日

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第 2 四半期累計として 連結の売上高 営業利益 経常利益 四半期純利益とも 過去最高 上期で初の売上高 1 兆円を達成 4 月 27 日に発表した連結業績予想数値との比較でも それぞれプラス 事業環境に関する認識と確認 ( 物流業界の状況 ) 国内外ともに 景気の回復基調は続き 荷動きは おおむね

6 月調査 (5 月実績 ) 結果概況 景気判断 DI は現状 見通し共に小幅に下降も 50 を上回る高水準を維持 5 月のスーパーマーケット中核店舗における景気判断 DI 現状判断は前月から-0.3 の 54.8 見通し判断前月から-0.9 の 51.0 となり 共に小幅な下降となったが 引き続き

消費税増税後の仕入・販売単価に関する東北6県企業の動向調査

Slide 1

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我が国中小企業の課題と対応策

2017 年度決算概要 Ⅰ 年度連結業績概要 Ⅱ 年度連結業績予想 Ⅲ. 補足資料 シャープ株式会社 2018 年 4 月 26 日 見通しに関する注意事項 本資料に記載されている内容には シャープ株式会社及び連結子会社 ( 以下 総称して シャープ という ) の計画 戦略

第 60 回法人企業景気予測調査 ( 平成 31 年 1-3 月期調査 ) 福島県の概要 平成 31 年 3 月 12 日財務省東北財務局福島財務事務所 調査要領 1. 調査の目的と根拠我が国経済活動の主要部分を占める企業活動を把握することにより 経済の現状及び今後の見通しに関する基礎資料を得ること

調査結果の概要 1. 自社チャンネルの加入者動向について 横ばい との見方が拡大自社チャンネルの全体的な加入者動向としては 現状 では 減少 (40.0%) が最も多く 続いて 横ばい (35.6%) 増加 (23.3%) の順となっている また 1 年後 については 横ばい (41.1%) が最も

2014年3月期決算説明会


( 億円 ) 売上高 ( 億円 ) 25, 25, 営業利益 経常利益 当期利益 1.% 金 額 2, 15, 2, 15, 売上高営業利益率 売上高経常利益率 売上高当期利益 8.% 6.% 1, 1, 4.% 5, 5, 2.% 24 度 25 度 24 度 25 度 24 度 25 度 24

決算サマリー 2019 年 3 月期第 1 四半期業績概要 売上高 596 億円 ( 前四半期比横ばい ) 営業利益 60 億円 ( 同 34% 増 ) 自動車向けの需要が コンデンサ中心に堅調 2019 年 3 月期業績予想 上期の業績予想を上方修正 自動車 産業機器の電子化やスマートフォンの高機

電通、平成24年3月期連結決算を発表

21世紀に向けての 東京ガス・経営ビジョン -中期経営計画を中心として-

熊本商工会議所 製本第四四半期(HP・報道機関用)

General Presentation

平成21年3月期 決算補足説明資料

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大分類小分類建設工事の種類 総合工事業 土木建築工事業土木工事業 ( 土木工事が完成工事高の8 割以上 ) 建築工事業 ( 土木工事が完成工事高の2 割未満 ) 設備工事業職別工事業 前記による土木一式工事 舗装工事 しゅんせつ工事 水道施設工事 造園工事建築一式工事電気工事 管工事 機械器具設置工

ニュースリリース 農業景況調査 : 景況 平成 3 1 年 3 月 1 8 日 株式会社日本政策金融公庫 平成 30 年農業景況 DI 天候不順響き大幅大幅低下 < 農業景況調査 ( 平成 31 年 1 月調査 )> 日本政策金融公庫 ( 略称 : 日本公庫 ) 農林水産事業は 融資先の担い手農業者

第 70 回経営 経済動向調査 公益社団法人関西経済連合会 大阪商工会議所 < 目次 > 1. 国内景気 2 2. 自社業況総合判断 3 3. 自社業況個別判断 4 4. 現在の製 商品およびサービスの販売価格について 8 参考 (BSI 値の推移 ) 11 参考 ( 国内景気判断と自社業況判断の推

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「中小企業の景況感に関する調査」集計結果

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決算概況

四半期事業セグメント 事業セグメント ( 四半期累計 ) ( 百万円 ) 1Q 1-2Q 1-3Q 1-4Q 1Q 1-2Q 1-3Q 1-4Q 売上高 2,866 5,897 8,705 11,352 3,019 6,323 9,245 12,311 前期比 -72.9% 6.8% 8.0% 7.

ニュースリリース 食品産業動向調査 : 景況 平成 3 1 年 3 月 2 6 日 株式会社日本政策金融公庫 食品産業景況 DI 4 半期連続でマイナス値 経常利益の悪化続く ~ 31 年上半期見通しはマイナス幅縮小 持ち直しの動き ~ < 食品産業動向調査 ( 平成 31 年 1 月調査 )> 日

Microsoft Word 年3月期第2四半期決算 主要建設会社決算分析_ 【最終版】

目次 調査結果の概要 1 小企業編 中小企業編 概況 3 概況 15 調査の実施要領 4 調査の実施要領 16 業況判断 5 業況判断 17 売上 1 売上 2 採算 11 利益 21 資金繰り 借入 12 価格 金融関連 22 経営上の問題点 13 雇用 設備 23 設備投資 価格動向 14 経営

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2011年3月期決算説明会

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Microsoft Word 報告書品目円グラフ 文書

中小企業の動向

Results Presentation

景気見通し調査 ( 平成 24 年 12 月期 ) 調査結果 福井商工会議所 中小企業総合支援センター 調査の概要 当調査は 福井商工会議所管内の小規模事業所の短期的な景気動向を把握するため 毎年 3 月 6 月 9 月 12 月の年 4 回実施している 調査時期 平成 24 年 11 月 30 日

I. 調査結果概況 景気判断 DI( 現状判断 ) は小幅に上昇し最高値を更新 仕入原価高止まりも客単価が上昇 10 月スーパーマーケット中核店舗における景気判断 49.1 と小幅に上昇し 2010 年 4 月の調査開始以降最高値を記録した 経営動向調査によると売上高 DI が 1.1 とはじめてプ

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PowerPoint プレゼンテーション

景気見通し調査 ( 平成 25 年 3 月期 ) 調査結果 福井商工会議所 中小企業総合支援センター 調査の概要 当調査は 福井商工会議所管内の小規模事業所の短期的な景気動向を把握するため 毎年 3 月 6 月 9 月 12 月の年 4 回実施している 調査時期 平成 25 年 3 月 13 日 (


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一企業当たりの事業所数は 14. 事業所 ( 前年度差.6 事業所減 ) 常時従業者数 499 人 ( 前年度比.8% 減 ) 売上高は 23.4 億円 ( 同 2.9% 減 ) 製造企業の一企業当たりの売上高は 億円 ( 前年度比 3.9% 減 ) 営業利益は 1 億円 ( 同.6%

2016年1月期 第1四半期 決算概要

第 1 四半期の売上収益は 1,677 億円となり 前年からプラス 6.5% 102 億円の増収となりました 売上収益における為替の影響は 前年 で約マイナス 9 億円でしたので ほぼ影響はありませんでした 事業セグメント利益は 175 億円となり 前年から 26 億円の減益となりました 在庫未実現

スライド 1

目次 平成 25 年 3 月期決算概要 1 業績概要 4 2 平成 25 年 3 月期の課題と取組み 5 3 経営成績 6 4 業績推移 7 5 売上高四半期推移 8 6 事業別業績推移 ( ソフトウェア開発事業 ) 9 7 事業別業績推移 ( 入力データ作成事業 ) 10 8 業種別売上比率 (

「平成20年夏季ボーナス支給予定に関するアンケート調査」集計結果

調査結果の概要 1. 自社チャンネルの加入者動向については消極的な見通しが大勢を占めた自社チャンネルの全体的な加入者動向としては 現状 では 減少 (50.6%) が最も多く 続いて 横ばい (33.7%) 増加 (13.5%) の順となっている 1 年後 についても 減少 (53.9%) 横ばい

PowerPoint プレゼンテーション

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プレゼン

製造業3. 東北の産業構造 ( 製造業 ) (1) 製造業 1 概況 製造品出荷額等は 16 兆 7,600 億円で前年比 6.2% の増加 平成 26 年の東北地域の製造品出荷額等は 16 兆 7,600 億円で前年比 6.2% と3 年連続の増加となった また 全国に占める割合は5.5% と前年

平成22年7月30日

2017(平成29)年度第1四半期 決算説明資料

[ 調査の実施要領 ] 調査時点 製 造 業 鉱 業 建 設 業 運送業 ( 除水運 ) 水 運 業 倉 庫 業 情 報 通 信 業 ガ ス 供 給 業 不 動 産 業 宿泊 飲食サービス業 卸 売 業 小 売 業 サ ー ビ ス 業 2015 年 3 月中旬 調査対象当公庫 ( 中小企業事業 )

Transcription:

平成 27 年 3 月 23 日 全ト協の経営分析平成 25 年度決算版 ( 対象期間 : 平成 24 年 1 月 ~ 平成 26 年 8 月 ) 業界の大半を占める 5 台以下の 64% が営業赤字 ~ 貨物流動の活発化で売上高増加も赤字拡大 ~ 貨物運送事業の営業収益 営業利益率の推移 (1 社平均 ) 区分 営業収益 ( 千円 ) 営業利益率 (%) 23 年度 24 年度 25 年度 23 年度 24 年度 25 年度 全体 ( 2.) ( 4.3) (12.3) 188,259 18,161 22,342 1. 2.1 2.3 ( 2.9) (.1) (13.7) ~1 台 48,22 48,163 54,751 3.1 4.4 4.6 ( 1.4) (.1) (13.3) 11~2 車 129,774 129,643 146,939 両 ( 1.4) (.) (13.7) 規 21~5 模 281,556 281,429 319,868 1.9 2.9 2.6 1. 1.6 2.2 別 ( 6.5) ( 1.3) (12.4) 51~1 554,623 547,653 615,41.7 1.2 1.3 ( 6.1) ( 3.3) (14.4) 11 以上 1,43,384 1,9,41 1,155,12.1.6.6 注 : 営業収益のカッコ内は前年度比伸び率 単位 % はマイナス (%) 2 1-1 -2-3 -4 車両規模別の経常利益率の推移 H2 年度 H21 年度 H22 年度 H23 年度 H24 年度 H25 年度 ~1 台 -3.6-1.3-1.4-1.1-2.6-2.8 11~2-2.1 -.2 -.2 -.8-1.7-1.5 21~5 -.5 1.4.1 -.9-1.1 51~1.2 1.8 1.2 1.3 -.5 -.4 11 台以上.8.3 1.6.7 -.3 -.2 全体 -.8.7.4.1-1.1-1.2 多い 車両台数 少ない 全日本トラック協会は 平成 25 年度決算版経営分析報告書をまとめた この報告書は平成 4 年度から発行しているもので 今回で23 回目となる 全国の事業者 2,188 社 ( 有効数 ) から提出された平成 25 年度決算 ( 平成 24 年 1 月から平成 26 年 8 月 ) の 一般貨物自動車運送事業報告書 について 平成 26 年 1 月から平成 27 年 2 月にかけて決算内容を分析した トラック運送事業においては 営業赤字企業の割合が過半数を占める状況が続いており 平成 25 年度は63% (1,384 社 ) となった 特に車両 1 台以下 (692 社 ) では約 66%(469 社 ) が営業赤字を計上している また トラック運送事業の売上げに当たる平成 25 年度の営業収益 ( 貨物運送事業収入 ) は1 社平均 22,342 千円で 前年度に比べ +12.3% と7 年連続減少に歯止めがかかり 上昇に転じた しかし 燃料価格上昇により 営業利益率は 2.3% とさらに赤字幅を拡大させ 7 年連続の赤字となった 平成 25 年度経営分析報告書の集計対象となる平成 26 年 8 月までのトラック運送業界では 輸送量は増加し 運賃単価の改善もみられたものの 燃料価格の一段の上昇圧力によるコストアップ分を吸収することができず 営業赤字幅を拡大する結果となった このような厳しい事業環境に置かれ 多くの中小運送事業者は燃料上昇分を運賃 料金に転嫁できておらず 仕事が増加しても さらに赤字幅を拡大する結果となった ( 平成 25 度決算版全ト協調査 ) 1

トラック運送事業の経営実態 全日本トラック協会は全国のトラック運送事業者 2,188 社 ( 有効数 ) の平成 25 年度事業報告書に基づき集計 分析した 経営分析報告書 ( 平成 25 年度決算版 ) をまとめた 全日本トラック協会が平成 4 年度から発行しているこの報告書は 会員事業者が自社の現状を客観的に把握し 今後の経営改善に資する指標を提供するもので 希望者には全国や県内の同規模事業者と比較し 問題点とその改善策をまとめた 企業診断書 を作成している 売上高 ( 営業収益 ) の状況 平成 25 年度は アベノミクスによる円高修正の動きから 企業業績は一段と堅調に推移するなかで 26 年 4 月からの消費税増税 (5% 8%) による駆け込み需要の影響で 貨物量は一段と増加した 需給改善による影響は 運賃 料金についても値上げ交渉を展開する事業者が増加し 売上高の回復には 貨物量増加による売上増加 運賃単価の引上げ が功を奏した 平成 25 年度の売上高 ( 兼業分を含む全売上高 1 社平均 ) は23,75 千円と 前年度の185,4 千円に比べて 1.1% の増収となった うち貨物運送事業収入 (1 社平均 ) も22,342 千円と 前年度の18,161 千円に比べて12.3% 増加し 売上高 貨物運送事業収入ともに7 年連続減収に歯止めがかかり 上昇に転じた 貨物運送事業収入 (1 社平均 ) を車両規模別に見ると 規模に関わらず増加した 22 2 18 < 売上高 ( 貨物運送事業収入 ) の推移 > (1 社平均 : 百万円 ) 23.8 189.5 188.3 185. 18.2 22.3 16 14 12 1 売上高 貨物運送事業収入 2

平成 25 年度の輸送トン数 (1 社平均 ) は 66,79 トンで 前年度の 6,157 トンと 1% 強の増加となった < 輸送トン数 ) の推移 > (1 社平均 : 千トン ) 8 6 63.4 6.2 66.7 4 2 全日本トラック協会が四半期ごとに実施している トラック運送業界の景況感調査 により一般貨物の 営業収入 輸送数量 運賃料金水準 の判断指標の推移を見ると 2 年度後半までは世界経済の後退の影響から悪化していたが 21 年度 4-6 月期から徐々に水準が上昇し 23 年 3 月には東日本大震災の影響もあり再び悪化したものの その後平成 25 年中ごろまで横ばいの水準で推移した その後 平成 26 年 4 月の消費税増税の駆込み需要の増大により回復傾向にあったが その反動で下落に転じ始めた 6 4 2-2 -4 < トラック運送業界の景況感調査 > -6-8 -1-12 輸送数量営業収入運賃料金の水準 Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ H.17 年 H.18 年 H.19 年 H.2 年 H.21 年 H.22 年 H.23 年 H.24 年 H.25 年 H.26 年 ( 出所 : 全ト協平成 26 年 1-12 月期景況感調査 ) 3

採算 ( 利益 ) の状況 営業利益率平成 25 年度の売上高営業利益率は 1.9% と 7 年連続して営業赤字となり 貨物運送事業の営業収益営業利益率も 2.3% となり 前年度の 2.1% からさらに悪化した 営業利益は 平成 25 年度は燃料価格が一段と上昇したため 事業者における経費節減努力は既に限界にあり 全ての規模で赤字幅が拡大している トラック運送事業では 荷主 元請から燃料上昇分の転嫁が受けられないケースが多く 燃料費負担の増大は 事業経営に極めて深刻な影響を与えている 平成 25 年度も 引き続き燃料価格が上昇したため営業損失 ( 損益計算書 ) が拡大している 貨物運送事業の1 社平均の営業損失は4,61 千円で 前年度の営業損失 3,699 千円に比べ さらにマイナス幅が拡大し 経営は極めて厳しい状況にあると考察される 燃料価格の上昇時には 燃料価格の上昇分を運賃に転嫁しなければ 業界そのものが疲弊し今後も必要なドライバー人材が確保できないなど 将来の見通しは極めて深刻である. -.5 < 売上高 ( 営業収益 ) 営業利益率の推移 > (1 社平均 : %) -1. -1.5 -.9-1. -2. -2.5-1.9-1.9-2.1-2.3-3. 売上高営業利益率 営業収益営業利益率 貨物量の増加により 売上高及び営業収益は増加に転じたものの 運送原価における燃料油脂費の比率が 19.9% から 21.% に増加するなど 事業者の経営努力が及ばない燃料価格の上昇が営業利益率改善の大きな足 かせになっていることが考察される 4

経常利益率平成 25 年度の売上高経常利益率は.8% となり 前年度の 1.1% から.3ポイント改善した うち貨物運送事業の営業収益経常利益率は 1.2% と前年度の 1.1% から.1ポイント低下した 貨物運送事業の1 社平均の経常損益額は 2,357 千円の赤字で 前年度の 2,59 千円からさらに悪化した 17 年度以降 2 年度まで経常減益が続き 21 年度にようやく増益となったものの 22 年度以降は燃料価格の上昇等の原因により 減益傾向が継続している 本年度は 上半期における一段の燃料価格上昇が大きく影響したところである < 売上高 ( 営業収益 ) 経常利益率の推移 > (1 社平均 : %).5.3.1 -.1 -.3 -.5 -.7 -.9-1.1-1.3-1.5.1.1 -.8-1.1-1.1-1.2 売上高経常利益率 営業収益経常利益率 営業収益経常利益率を規模別に見ると 1 台以下 は 2.8%( 前年度比.2 ポイント ) で前年より低下した 経 常利益率は営業利益率と同様に 1 年以上もの長期間連続して赤字の状況にある 11~2 台 も 1.5%( 前年度 比 +.2 ポイント ) と 17 年度以降 9 年連続の赤字となっている 5

営業段階 経常段階の各利益水準が黒字となる企業割合平成 25 年度は 企業業績の堅調な推移 消費税増税による駆け込み需要等により貨物量は増加し その結果 営業収益 ( 貨物運送事業収入 ) は減少傾向から一転 増加のトレンドに変化した しかし 燃料価格の一段の上昇により燃料費の負担がさらに増大し 営業段階 経常段階の各利益水準は極めて厳しい状況となった このような厳しい環境において 個別企業は経営努力を徹底し 輸送効率化にも取組むなど 日々懸命の経営努力を展開しているが 全ての地域で営業赤字 東北 中部 近畿 九州の各ブロックを除く地域で経常赤字の企業が5% 超を占めている 燃料費は走行距離に比例して発生するため 営業収益が増加しても 走れば走るほど赤字 という状況は変わっていない 平成 25 年度の貨物運送事業における営業段階の黒字企業割合を見ると 37%( 集計対象事業者 2,188 社中 84 社 ) と 前年度 38% から1ポイント悪化した 経常段階の黒字企業割合は47%(2,188 社中 1,29 社 ) と 前年度 49% から2ポイント悪化した 7 < 黒字企業割合の推移 > ( 貨物運送事業 : %) 6 5 4 43 54 49 47 38 37 3 2 1 営業利益 経常利益 規模別に見ると 51~1 両 以外のカテゴリー ( 規模 ) において経常利益が黒字の企業割合が低下した 保有 車両台数の規模が小さい事業者ほど 経常損失となる企業が多くなる傾向がある トラック運送業界の景況感調査 により 経常損益 に関する判断指標の推移を見ると 2 年度後半までは悪化が続いていたが 21 年 4-6 月期には下げ止まり 22 年 1-3 月期には悪化前の水準に戻り 23 年から25 年半ばまでは横ばいの推移となった 平成 26 年度の景況感の水準は依然として を下回り 悪化 の水準にあった なお 燃料価格の下落によりH26 年 11-12 月期より景況感は上昇傾向に転じており 先行きの見通しは明るい 平成 25 年度経営分析報告書は 燃料価格の下落が反映する前段階のデータが中心となっているため 燃料価格の下落による業績回復が見られない分析結果となっている 6

< トラック運送業の景況感調査 > 4 2-2 -4-6 -8-1 -12-14 経常損益業界の景況感 Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ H.17 年 H.18 年 H.19 年 H.2 年 H.21 年 H.22 年 H.23 年 H.24 年 H.25 年 H.26 年 ( 出所 : 全ト協平成 26 年 1-12 月期景況感調査 ) 7