ら退去を迫られやむを得ず転居したのであるから本件転居費用について保護費が支給されるべきであると主張して 本件処分の取消しを求めている 2 処分庁の主張 (1) 生活保護問答集について ( 平成 21 年 3 月 31 日厚生労働省社会援護局保護課長事務連絡 以下 問答集 という ) の問 13の2の

Similar documents
がある 7 平成 28 年 3 月 28 日 処分庁は 同日付で審査請求人に対し 借入金収入 円の未申告により生じた保護費過払い分について 法第 78 条第 1 項の規定により費用徴収を行う決定を行い 同年 7 月 7 日 費用徴収決定通知書を審査請求人に手交した 8 審査請求人は 平成 28 年

7 平成 28 年 10 月 3 日 処分庁は 法第 73 条の2 第 1 項及び条例第 43 条第 1 項の規定により 本件不動産の取得について審査請求人に対し 本件処分を行った 8 平成 28 年 11 月 25 日 審査請求人は 審査庁に対し 本件処分の取消しを求める審査請求を行った 第 4

が成立するが 本件処分日は平成 29 年 3 月 3 日であるから 平成 24 年 3 月 3 日以降 審査請求人に支給した保護費について返還を求めることは可能であ る 第 3 審理員意見書の要旨 1 結論本件審査請求には理由がないので 棄却されるべきである 2 理由 (1) 本件処分に係る生活保護

取得に対しては 分割前の当該共有物に係る持分割合を超える部分の取得を除いて 不動産取得税を課することができないとするだけであって 分割の方法に制約を設けているものではないから 共有する土地が隣接している場合と隣接していない場合を区別し 隣接していない土地を一体として分割する場合に非課税が適用されない

11総法不審第120号

返還の必要性を十分説明しており 手続は適法である 第 3 審理員意見書の要旨 1 結論本件審査請求には理由がないので 棄却されるべきである 2 理由 (1) 本件の争点は 本件保険が法第 4 条第 1 項に規定する 利用し得る資産 に該当するかどうかであるが その判断に当たっては 処分庁が判断の要素

11総法不審第120号

処分済み

11総法不審第120号

11総法不審第120号

ウ商業地等である 町の土地の平成 28 年度分の固定資産税の課税標準額は 法附則第 18 条第 5 項及び第 25 条第 5 項の規定により 課税標準となるべき価格に0.7を乗じた額となる なお 岐阜市税条例 ( 昭和 25 年岐阜市条例第 14 号 以下 条例 という ) においては これと異なる

平成 30 年 9 月 25 日 諮問 平成 30 年 11 月 13 日審議 ( 第 27 回第 4 部会 ) 平成 30 年 12 月 11 日審議 ( 第 28 回第 4 部会 ) 第 6 審査会の判断の理由審査会は 請求人の主張 審理員意見書等を具体的に検討した結果 以下のように判断する 1

1 審査会の結論 平成 28 年度市民税 県民税の賦課決定処分 に係る審査請求は棄却する べきであるとの審査庁の判断は妥当である 2 事案概要南区長 ( 以下 処分庁 という ) は 地方税法 ( 昭和 25 年法律第 226 号 以下 法 という ) 第 24 条及び第 294 条並びに横浜市市税

第 4 審査関係人の主張の要旨 1 審査請求人の主張審査請求人は 次のとおり 本件処分は 違法又は不当である旨を主張している (1) 審査請求人が 複数の取引先から依頼を受けて行っている翻訳の業務は 法第 72 条の2 第 3 項の規定により個人事業税が課されるべきいずれの事業としても法に定められて

11総法不審第120号

11総法不審第120号

11総法不審第120号

11総法不審第120号

11総法不審第120号

11総法不審第120号

諮問庁 : 国立大学法人長岡技術科学大学諮問日 : 平成 30 年 10 月 29 日 ( 平成 30 年 ( 独情 ) 諮問第 62 号 ) 答申日 : 平成 31 年 1 月 28 日 ( 平成 30 年度 ( 独情 ) 答申第 61 号 ) 事件名 : 特定期間に開催された特定学部教授会の音声

平成14年7月3日

11総法不審第120号

1 審査会の結論 平成 29 年度市民税 県民税税額変更処分 に係る審査請求は棄却するべ きであるとの審査庁の判断は妥当である 2 事案概要緑区長 ( 以下 処分庁 という ) は 平成 29 年 6 月 1 日 審査請求人に対して 平成 29 年度市民税 県民税賦課決定処分 ( 以下 先行処分 と

債務のうち所定の範囲内のものを当該事業主に代わって政府が弁済する旨規定する (2) 賃確法 7 条における上記 政令で定める事由 ( 立替払の事由 ) として 賃金の支払の確保等に関する法律施行令 ( 昭和 51 年政令第 169 号 以下 賃確令 という )2 条 1 項 4 号及び賃金の支払の確

処分済み

保険業務に係る情報提供料は 請求人の事業に基づいた収入であるとは いえない 第 4 審理員意見書の結論 本件各審査請求は理由がないから 行政不服審査法 4 5 条 2 項によ り 棄却すべきである 第 5 調査審議の経過 審査会は 本件諮問について 以下のように審議した 年月日 審議経過 平成 30

の補正書 において, 審査請求の趣旨を この開示請求は本人の給与のみずましにかかわる書面である為 としているが, 原処分を取り消し, 本件対象保有個人情報の開示を求めている審査請求として, 以下, 原処分の妥当性について検討する 2 原処分の妥当性について (1) 給与所得の源泉徴収票について給与所

処分済み

11総法不審第120号

11総法不審第120号

11総法不審第120号

非常に長い期間, 苦痛に耐え続けた親族にとって, 納得のできる対応を日本政府にしてもらえるよう関係者には協力賜りたい ( その他は, 上記 (2) と同旨であるため省略する ) (4) 意見書 3 特定個人 Aの身元を明らかにすること及び親子関係の証明に当たっては財務省 総務省において, 生年月日の

して 当審査会に対し諮問をした 以上の事案の経緯は 諮問書 審査請求書及び懲戒処分書から認められる 2 関係する法令等の定め (1) 司法書士に対する懲戒及びその手続についてア法 47 条は 司法書士がこの法律又はこの法律に基づく命令に違反したときは その事務所の所在地を管轄する法務局又は地方法務局

<4D F736F F D2095BD90AC E D738CC2816A939A905C91E D862E646F63>

病が原子爆弾の傷害作用に起因する旨の厚生労働大臣の認定を受けなければならない ( 被爆者援護法 11 条 1 項 ) ⑶ 都道府県知事は ⑵ 記載の厚生労働大臣の認定を受け かつ 当該認定に係る負傷又は疾病の状態にあるとの要件に該当することについて都道府県知事の認定を受けた者に対し 医療特別手当を支

11総法不審第120号

査請求人 ) が 平成 5 年分所得税確定申告書 ( 以下 本件請求保有個人情報 1 という ) の開示を求めるものである 処分庁は, 本件開示請求に対し, 本件請求保有個人情報 1は文書保存期間 (7 年 ) が満了し, 既に廃棄しているとして, 平成 27 年 12 月 2 2 日付け特定記号第

11総法不審第120号

04 件数表280205(東京)

11総法不審第120号

Microsoft Word 答申件数表

11総法不審第120号

横浜市情報公開・個人情報保護審査会答申

270826答申について

標準例6

厚生局受付番号 : 東北 ( 受 ) 第 号 厚生局事案番号 : 東北 ( 厚 ) 第 号 第 1 結論請求期間 1について 当該期間のうち請求者のA 社における平成 21 年 9 月 1 日から平成 22 年 12 月 1 日までの期間の標準報酬月額を訂正することが

1 本件審査請求について (1) 本件審査請求に係る開示請求は, 法に基づき, 処分庁に対し, 本件対象文書の開示を求めたもの ( 以下 本件開示請求 という ) である (2) 本件開示請求を受けて, 処分庁は, 本件対象文書を作成しておらず不存在として, 不開示決定 ( 原処分 ) を行った (

11総法不審第120号

達したときに消滅する旨を定めている ( 附則 10 条 ) (3) ア法 43 条 1 項は, 老齢厚生年金の額は, 被保険者であった全期間の平均標準報酬額の所定の割合に相当する額に被保険者期間の月数を乗じて算出された額とする旨を定めているところ, 男子であって昭和 16 年 4 月 2 日から同

11総法不審第120号

厚生局受付番号 : 九州 ( 受 ) 第 号 厚生局事案番号 : 九州 ( 厚 ) 第 号 請求者のA 社 B 支店における厚生年金保険被保険者資格の喪失年月日を昭和 44 年 4 月 21 日から同年 5 月 1 日に訂正し 昭和 44 年 4 月の標準報酬月額を2

11総法不審第120号

19 条の4 第 2 項の規定により, 特別職の公務員であるから, 本件不開示情報は, 公務員としての職務遂行情報であり, 精神保健指定医が, 客観的な生体検査もなく, ただその主観に基づいて, 対象者を強制入院させることができるという性質の資格であること, 本件開示請求に係る精神保健指定医らが対象

厚生局受付番号 : 近畿 ( 受 ) 第 号 厚生局事案番号 : 近畿 ( 厚 ) 第 号 第 1 結論請求者のA 社 ( 現在は B 社に合併 ) における厚生年金保険被保険者資格の喪失年月日を昭和 55 年 10 月 21 日から同年 11 月 21 日に訂正し

11総法不審第120号

件数表(神奈川)

ている しかしながら 本件処分は条例の理念と条文の解釈運用を誤った違法なものであり 取り消されなければならない ⑶ 条例第 7 条第 1 項本文は 個人情報の外部提供の原則禁止を規定している また 同条同項ただし書の趣旨は 単に外部提供の原則禁止規定を解除したにとどまる すなわち 当該法令等が存在す

く, 未支給年金受給権者の個人情報の開示を求めているとして, 法 12 条 自己を本人とする開示を請求することができる に当たらないため, 開示することはできないことを伝え, 取り下げの意思を確認した しかしながら, 異議申立人は, 不開示である旨の正式な回答がほしいとして, 開示請求を続けたもので

の対象として 人事院事務総長引継書 を特定し, 同年 9 月 29 日付け行政文書開示決定通知書を審査請求人に送付した 2 審査請求人が主張する本件審査請求の趣旨及び理由審査請求人は, 事務引継書が1 名分しか存在しないという決定は不自然である, 他の職員についても事務引継書がなければ, 前任者から

<4D F736F F D B A815B836782CC8A C98C5782E9834B C4>

厚生局受付番号 : 四国 ( 受 ) 第 号 厚生局事案番号 : 四国 ( 厚 ) 第 号 請求者の社会福祉法人 A 会 B 保育所における平成 20 年 6 月 21 日の標準賞与額を 127 万 1,000 円に訂正することが必要である 平成 20 年 6 月 2

301121答申件数表

控訴人は, 控訴人にも上記の退職改定をした上で平成 22 年 3 月分の特別老齢厚生年金を支給すべきであったと主張したが, 被控訴人は, 退職改定の要件として, 被保険者資格を喪失した日から起算して1か月を経過した時点で受給権者であることが必要であるところ, 控訴人は, 同年 月 日に65 歳に達し

<4D F736F F D A6D92E894C581458E7B8D7393FA A956C8FBC8E738FE18A518ED293FC89408E9E E A B E E968BC68EC08E7B97768D6A2E646F63>

答申件数表(1月15日答申分)

Microsoft Word 答申件数表.docx

11総法不審第120号

0 月 22 日現在, 通帳紛失の総合口座記号番号 特定番号 A-B~C 担保定額貯金 4 件 ( 特定金額 A): 平成 15 年 1 月 ~ 平成 16 年 3 月 : 特定郵便局 A 預入が証明されている 調査結果の回答書 の原本の写しの請求と, 特定年月日 Aの 改姓届 ( 開示請求者本人

厚生局受付番号 : 東海北陸 ( 受 ) 第 号 厚生局事案番号 : 東海北陸 ( 厚 ) 第 号 第 1 結論請求者のA 社 ( 現在は B 社 ) における昭和 39 年 7 月 1 日から同年 10 月 1 日までの期間の標準報酬月額を訂正することが必要である

11総法不審第120号

第 4 審理員意見書の結論 本件各審査請求は理由がないから 行政不服審査法 4 5 条 2 項に より いずれも棄却すべきである 第 5 調査審議の経過審査会は 本件諮問について 以下のように審議した 年月日審議経過 平成 30 年 3 月 6 日 諮問 平成 30 年 4 月 26 日審議 ( 第


厚生局受付番号 : 近畿 ( 受 ) 第 号 厚生局事案番号 : 近畿 ( 厚 ) 第 号 第 1 結論請求者のA 社における平成 26 年 8 月 25 日及び同年 12 月 25 日の標準賞与額を 150 万円に訂正することが必要である 平成 26 年 8 月 2

の両方を提出する必要がある 問 3 還付額は 領収証に記載されている金額を還付するのか それともレセプト情報から自己負担分を計算するのか 領収証により保険診療に係る一部負担金の額を確認して還付する 問 4 領収証の紛失 または医療機関等の全壊等により 対象の被保険者が負担した一部負担金の額の確認が取

<4D F736F F D2095BD90AC E D738FEE816A939A905C91E D862E646F63>

世帯に付き10,000 円以内とする 2 助成金の交付の対象となる空気調和機器の稼働期間 ( 以下 交付対象期間 という ) は 7 月から10 月までとする 3 助成金の交付の申請をした者 ( 以下 申請者 という ) が 交付対象期間の一部について第 6 条に規定する資格に適合しない場合は 助成

異議申立てしていますが, 協会 ( 原文ママ ) として黙認しています 本件に関しても, 諮問庁は国のトップなのだから, もっともっと労働問題に積極的に取り組み, 労基法厳守で, 場合により, 行政処分すべきである 警察なら, スピード違反すれば即行政処分されますが, 労基法では, 基本強い行政処分

2 当事者の主張 (1) 申立人の主張の要旨 申立人は 請求を基礎づける理由として 以下のとおり主張した 1 処分の根拠等申立人は次のとおりお願い書ないし提案書を提出し 又は口頭での告発を行った ア.2018 年 3 月 23 日に被申立人資格審査担当副会長及び資格審査委員長あてに 会長の経歴詐称等

件数表(神奈川)

ウ 特定個人 a に訂正してほしいとは, 私は書いてない これも日本年金機構の単純ミスなのか? それとも他に理由があるのか? 事実に基づいて, 説明を求める 私の公共職業安定所における氏名は, カタカナの 特定個人 b のスペースなしで管理されている 私の資格画面も氏名欄はカタカナである 国民年金保

厚生局受付番号 : 東北 ( 受 ) 第 号 厚生局事案番号 : 東北 ( 国 ) 第 号 第 1 結論昭和 52 年 4 月から同年 8 月までの請求期間及び昭和 52 年 9 月から昭和 56 年 12 月までの請求期間については 国民年金保険料を納付した期間に訂

11総法不審第120号

11総法不審第120号

11総法不審第120号

被上告人に対し, 上記各賦課決定の取消しを求めている事案である 2 原審の適法に確定した事実関係等の概要は, 次のとおりである (1) 上告人は, 東京都渋谷区内に所在する面積が200m2以下である本件土地及びこれを敷地とする第 1 審判決別紙物件目録記載の建物 ( 以下 旧家屋 という ) を所有

第1 審査会の結論

厚生局受付番号 : 九州 ( 受 ) 第 号 厚生局事案番号 : 九州 ( 厚 ) 第 号 第 1 結論 請求期間について 請求者の A 社における厚生年金保険の標準報酬月額の訂正を認めることはできない 第 2 請求の要旨等 1 請求者の氏名等氏名 : 男基礎年金番号

48

処分済み

横浜市情報公開・個人情報保護審査会答申

Microsoft Word - 別添2180704答申件数表

高島市職員措置請求に係る監査の結果について 第 1 請求の受付 1 請求書の提出平成 29 年 9 月 28 日 2 請求人 3 請求の要旨 ( 高島市職員措置請求書 の原文のまま記載) 1 請求の要旨高島市長による平成 29 年度の固定資産税の賦課において 別紙の固定資産について 家屋の未評価によ

 

老発第    第 号

遺者であったが 事情があって遺贈の放棄をした 民法 986 条の規定によれば 受遺者は 遺言者の死亡後 いつでも 遺贈の放棄をすることができ 遺贈の放棄は 遺言者死亡のときに遡ってその効力を生じるとされているから 前所有者から請求人に対する本件各不動産の所有権移転の事実は無かったものであり 請求人は

藤沢市障がい者グループホーム等家賃助成金支給事業実施規程 ( 趣旨 ) 第 1 条この規程は, 障がい者の日常生活及び社会生活を総合的に支援する法律 ( 平成 17 年法律第 123 号 以下 法 という ) 第 5 条第 12 項に規定する自立訓練のうち宿泊を伴うものを提供する施設 ( 以下 自立

会員に対する処分等に係る手続に関する規則 (2018 年 7 月 30 日制定 ) 第 1 章総則 ( 目的 ) 第 1 条本規則は 定款第 15 条に規定する会員に対する処分及び不服の申立てに係る手続の施行に関し 必要な事項を定めることを目的とする ( 定義 ) 第 2 条本規則において 次の各号

特例適用住宅 という ) が新築された場合 ( 当該取得をした者が当該土地を当該特例適用住宅の新築の時まで引き続き所有している場合又は当該特例適用住宅の新築が当該取得をした者から当該土地を取得した者により行われる場合に限る ) においては, 当該土地の取得に対して課する不動産取得税は, 当該税額から

質疑 意見なし 特になければ原案のとおり決定とする (7) 部会長選任第 3 部会については神奈川県行政不服審査会条例第 8 条第 1 項により会長が部会長を兼ねるため 常岡会長が部会長となる 第 1 部会及び第 2 部会については 各部会の委員の互選により 第 1 部会については小圷委員を 第 2

Transcription:

諮問番号 : 平成 30 年諮問第 13 号 答申番号 : 平成 30 年答申第 15 号 答申書 第 1 京都府行政不服審査会 ( 以下 審査会 という ) の結論本件諮問に係る審査請求 ( 以下 本件審査請求 という ) は 棄却されるべきであるとする審査庁の判断は 妥当である 第 2 事案の概要本件は 福祉事務所長 ( 以下 処分庁 という ) が審査請求人に対して行った生活保護法 ( 昭和 25 年法律第 144 号 以下 法 という ) に基づく保護変更申請却下処分に関して 審査請求人が 転居に要した敷金等が支給されるべきである等と主張して 当該処分の取消しを求める事案である 第 3 審査請求に至る経過審査請求に至る経過については 次のとおりである 1 審査請求人は 処分庁に対し 法に基づく保護を申請し 平成 21 年 12 月 10 日付けで審査請求人の保護を開始した 2 平成 26 年 10 月 3 日及び同年 11 月 27 日 審査請求人は 現住居への転居に要する保証金 火災保険料及び仲介手数料 ( 以下 本件転居費用 という ) を自力で支払い 同年 10 月 10 日を始期とする住宅賃貸借契約を締結し 現住居に転居した 3 審査請求人は 平成 29 年 8 月 28 日付けで 処分庁に対し 本件転居費用に係る保護変更申請書並びに平成 27 年 11 月 26 日及び平成 28 年 12 月 26 日に支払った火災保険料 ( 以下 更新火災保険料 という ) に係る保護変更申請書を提出した 4 処分庁は 平成 29 年 9 月 7 日付けで 本件転居費用に係る保護変更申請却下処分 ( 以下 本件処分 という ) 及び更新火災保険料に係る保護変更申請却下処分を行った 5 平成 29 年 9 月 11 日 審査請求人は 審査庁に対し 本件処分に対する審査請求を行った 6 処分庁は 平成 29 年 11 月 28 日付けで 更新火災保険料に係る保護変更申請却下処分を取り消した 第 4 審査関係人の主張の要旨 1 審査請求人の主張審査請求人は 更新火災保険料については遡及して支給するとしながら本件転居費用については遡及して支給しないというのは間違っている 転居前の住居の管理人か - 1 -

ら退去を迫られやむを得ず転居したのであるから本件転居費用について保護費が支給されるべきであると主張して 本件処分の取消しを求めている 2 処分庁の主張 (1) 生活保護問答集について ( 平成 21 年 3 月 31 日厚生労働省社会援護局保護課長事務連絡 以下 問答集 という ) の問 13の2の答 1において 最低生活費の遡及変更は3ヶ月程度 ( 発見月からその前々月分まで ) と考えるべきであろう とされている (2) 生活保護法による保護の実施要領の取扱いについて ( 昭和 38 年 4 月 1 日厚生省社会局保護課長通知 以下 課長通知 という ) の第 7の問 30の答 13において 敷金等の転居費用を支給することができる場合の一つとして 家主が相当の理由をもって立退きを要求し 又は借家契約の更新の拒絶若しくは解約の申入れを行ったことにより やむを得ず転居する場合 が定められているが 処分庁は 審査請求人が管理者が正当な家賃債権者であることの挙証をしておらず 家主が相当の理由をもって立退きを要求 している場合に該当するか判断することができなかった また 本件転居費用については 平成 26 年 10 月 3 日に審査請求人が自ら支払っており 既に住宅扶助の需要としては満たされている (3) 以上のとおり 本件処分は適法かつ適正に行われたものであるため 本件審査請求を棄却するとの裁決を求めている 第 5 法令の規定等について 1 法第 4 条第 1 項は 保護は 生活に困窮する者が その利用し得る資産 能力その他あらゆるものを その最低限度の生活の維持のために活用することを要件として行われる と規定し 法第 8 条第 1 項は 保護は 要保護者の需要のうち その者の金銭又は物品で満たすことのできない不足分を補う程度において行うものとする と規定している 2 最低生活費の遡及変更については 問答集の問 13の2の答 1において 最低生活費の遡及変更は3か月程度 ( 発見月からその前々月分まで ) と考えるべきであろう とされている 3 転居に係る費用については 生活保護法による保護の実施要領について ( 昭和 38 年 4 月 1 日厚生省社会局長通知 以下 局長通知 という ) の第 7の4の (1) のカにおいて 被保護者が転居に際し 敷金等を必要とする場合 は 一定の範囲で必要額を認定することができるとされており また 課長通知の第 7の問 30の答において 敷金等を必要とする場合 として17の事例が列挙され その一つとして 家主が相当の理由をもって立退きを要求し 又は借家契約の更新の拒絶若しくは解約の申入れを行ったことにより やむを得ず転居する場合 が定められている 第 6 審理員意見書及び諮問の要旨 1 審理員意見書の要旨 (1) 結論 - 2 -

本件審査請求には 理由がないから 棄却されるべきである (2) 理由ア法に基づく保護は 自らの力で最低限度の生活を維持することができない場合に行われるべきものであり ( 法第 4 条第 1 項 ) 不足分を補う程度において行う ( 法第 8 条第 1 項 ) ものであるから 最低限度の生活需要を満たすに十分であり かつ これを超えないものでなければならない 本件において 審査請求人は 現住居に転居してから約 2 年 10 箇月後の平成 29 年 8 月 28 日になって本件転居費用に関する保護変更申請書を提出しているところ 本件転居費用については 平成 26 年 10 月 3 日に 審査請求人自らが工面し支払っていることから 住宅扶助の需要としては満たされているといえる さらに 通常 最低生活費の遡及変更を行うべき限度は 3か月程度 ( 発見月からその前々月分まで ) ( 問答集の問 13の2の答 1) とされており 本件においてはこの期間を超えているため 処分庁は 最低生活費の遡及変更は認められないと判断したのであり この判断が不合理ということはできない なお 審査請求人は 更新火災保険料と本件転居費用との遡及変更の取扱い上の差異の不合理を主張するが 更新火災保険料の追給処分については 処分庁は 火災保険料が支給の対象となり得ることの説明が不十分であったため 審査請求人の申請の機会を喪失させたことを認め 3 箇月を超えて遡及し支給したものである 一方 本件転居費用については 審査請求人は 本件転居費用が支給対象となり得ることを当初から十分了知した上で 処分庁に対し 転居費用を支給してほしい旨申し立てているのであるから 処分庁において 審査請求人の本件転居費用を申請する機会を喪失させたということはできない それゆえ 更新火災保険料と本件転居費用との遡及変更の取扱いに差異が生じたとしても 不合理とはいえない イまた 本件では 審査請求人は 管理者と称する者から 転居前に居住していた住居からの立退きを要求され 契約更新の拒絶がなされているものの 管理者と称する者が真正な管理人資格を有するかを 請求人において挙証することができなかったことから 処分庁は 家主が相当の理由をもって立退きを要求し 又は借家契約の更新の拒絶若しくは解約の申入れを行ったことにより やむを得ず転居する場合 という要件に該当するか否かを判断することができないとしたのであり この処分庁の判断が合理性を欠くということはできない また 本件では 課長通知の第 7の問 30のその他の16の要件のいずれにも該当しない したがって 被保護者が転居に際し 敷金等を必要とする場合 ( 局長通知の第 7の4の (1) のカ ) に当たらない ウよって 本件転居費用については遡及して支払わないとした処分庁の判断に 不合理な点は認められない 2 審査庁による諮問の要旨 (1) 諮問の要旨 - 3 -

審査庁は 審理員意見書の結論と同様に 本件審査請求には 理由がないから 棄却されるべきであると考えるので 行政不服審査法 ( 平成 26 年法律第 68 号 ) 第 43 条第 1 項の規定により 審査会に諮問する (2) (1) の判断をしようとする理由 1の (2) に同じ 第 7 調査審議の経過 1 本件審査請求を取り扱う審査会の部会第 2 部会 2 調査審議の経過調査審議の経過は 次のとおりである 年月日処理内容 平成 30 年 9 月 28 日 審査庁が審査会に諮問 10 月 9 日 第 1 回調査審議 ( 第 2 部会 ) 10 月 11 日 審査請求人から審査会に主張書面等の提出 11 月 6 日 第 2 回調査審議 ( 第 2 部会 ) 11 月 15 日 答申 第 8 審査会の判断の理由 1 課長通知の第 7の問 30の答において 敷金等を必要とする場合 として 17の事例が列挙され その一つとして 家主が相当の理由をもって立退きを要求し 又は借家契約の更新の拒絶若しくは解約の申入れを行ったことにより やむを得ず転居する場合 が定められている この点 本件転居費用は 審査請求人が賃借人として賃貸借の解約の申入れに応じて転居したことに由来するものであるところ 当該申入れそのものに正当な事由があるかどうか疑わしいところがあると言わざるを得ないことから 本件転居費用をもって審査請求人がやむを得ず転居したことにより支払ったものと認定することは困難である 2 また 問答集問 13の2の答 1においては 最低生活費の遡及変更を行うことができる限度は 3か月程度 ( 発見月からその前々月分まで ) とされており このような期間の制限は 生活困窮に直接的に対処する給付という生活保護の扶助費の性格に由来するものといえる この点 審査請求人は 本件転居費用を自ら支払って現住居に転居してから約 2 年 10 箇月後の平成 29 年 8 月 28 日になって本件転居費用に係る保護変更申請書を提出しているが 最低生活費の遡及変更が許容される目安とされている3 箇月を大きく超える期間が経過している上 このような長期間が経過した後の遡及変更を特別に許容すべき特段の事情は本件において認めることはできない - 4 -

3 なお 審査請求人は 更新火災保険料と本件転居費用との遡及変更の取扱い上の差異の不合理を主張するが 更新火災保険料については 処分庁において更新火災保険料が支給の対象となり得る旨の説明が不十分であったため 審査請求人の申請の機会を喪失させたという特段の事情を踏まえ遡及変更を行う判断をしたものであって そうした特段の事情が認められない本件転居費用について 更新火災保険料と異なる取扱いをしたことをもって違法又は不当であるとは認められない 4 以上により 本件処分に違法又は不当な点は認められず 適法かつ適正に行われたものと認められる 5 結論以上の理由から 第 1の審査会の結論のとおり判断するものである 京都府行政不服審査会第 2 部会 委 員 ( 部会長 ) 白 浜 徹 朗 委 員 姫 田 格 委 員 小 谷 真 理 - 5 -