病が原子爆弾の傷害作用に起因する旨の厚生労働大臣の認定を受けなければならない ( 被爆者援護法 11 条 1 項 ) ⑶ 都道府県知事は ⑵ 記載の厚生労働大臣の認定を受け かつ 当該認定に係る負傷又は疾病の状態にあるとの要件に該当することについて都道府県知事の認定を受けた者に対し 医療特別手当を支

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債務のうち所定の範囲内のものを当該事業主に代わって政府が弁済する旨規定する (2) 賃確法 7 条における上記 政令で定める事由 ( 立替払の事由 ) として 賃金の支払の確保等に関する法律施行令 ( 昭和 51 年政令第 169 号 以下 賃確令 という )2 条 1 項 4 号及び賃金の支払の確

して 当審査会に対し諮問をした 以上の事案の経緯は 諮問書 審査請求書及び懲戒処分書から認められる 2 関係する法令等の定め (1) 司法書士に対する懲戒及びその手続についてア法 47 条は 司法書士がこの法律又はこの法律に基づく命令に違反したときは その事務所の所在地を管轄する法務局又は地方法務局

ら退去を迫られやむを得ず転居したのであるから本件転居費用について保護費が支給されるべきであると主張して 本件処分の取消しを求めている 2 処分庁の主張 (1) 生活保護問答集について ( 平成 21 年 3 月 31 日厚生労働省社会援護局保護課長事務連絡 以下 問答集 という ) の問 13の2の

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1 審査会の結論 平成 28 年度市民税 県民税の賦課決定処分 に係る審査請求は棄却する べきであるとの審査庁の判断は妥当である 2 事案概要南区長 ( 以下 処分庁 という ) は 地方税法 ( 昭和 25 年法律第 226 号 以下 法 という ) 第 24 条及び第 294 条並びに横浜市市税

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7 平成 28 年 10 月 3 日 処分庁は 法第 73 条の2 第 1 項及び条例第 43 条第 1 項の規定により 本件不動産の取得について審査請求人に対し 本件処分を行った 8 平成 28 年 11 月 25 日 審査請求人は 審査庁に対し 本件処分の取消しを求める審査請求を行った 第 4

が成立するが 本件処分日は平成 29 年 3 月 3 日であるから 平成 24 年 3 月 3 日以降 審査請求人に支給した保護費について返還を求めることは可能であ る 第 3 審理員意見書の要旨 1 結論本件審査請求には理由がないので 棄却されるべきである 2 理由 (1) 本件処分に係る生活保護

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非常に長い期間, 苦痛に耐え続けた親族にとって, 納得のできる対応を日本政府にしてもらえるよう関係者には協力賜りたい ( その他は, 上記 (2) と同旨であるため省略する ) (4) 意見書 3 特定個人 Aの身元を明らかにすること及び親子関係の証明に当たっては財務省 総務省において, 生年月日の

処分済み

諮問庁 : 国立大学法人長岡技術科学大学諮問日 : 平成 30 年 10 月 29 日 ( 平成 30 年 ( 独情 ) 諮問第 62 号 ) 答申日 : 平成 31 年 1 月 28 日 ( 平成 30 年度 ( 独情 ) 答申第 61 号 ) 事件名 : 特定期間に開催された特定学部教授会の音声

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1 本件審査請求について (1) 本件審査請求に係る開示請求は, 法に基づき, 処分庁に対し, 本件対象文書の開示を求めたもの ( 以下 本件開示請求 という ) である (2) 本件開示請求を受けて, 処分庁は, 本件対象文書を作成しておらず不存在として, 不開示決定 ( 原処分 ) を行った (

がある 7 平成 28 年 3 月 28 日 処分庁は 同日付で審査請求人に対し 借入金収入 円の未申告により生じた保護費過払い分について 法第 78 条第 1 項の規定により費用徴収を行う決定を行い 同年 7 月 7 日 費用徴収決定通知書を審査請求人に手交した 8 審査請求人は 平成 28 年

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ウ 特定個人 a に訂正してほしいとは, 私は書いてない これも日本年金機構の単純ミスなのか? それとも他に理由があるのか? 事実に基づいて, 説明を求める 私の公共職業安定所における氏名は, カタカナの 特定個人 b のスペースなしで管理されている 私の資格画面も氏名欄はカタカナである 国民年金保

録された保有個人情報 ( 本件対象保有個人情報 ) の開示を求めるものである 処分庁は, 平成 28 年 12 月 6 日付け特定記号 431により, 本件対象保有個人情報のうち,1 死亡した者の納める税金又は還付される税金 欄,2 相続人等の代表者の指定 欄並びに3 開示請求者以外の 相続人等に関

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処分済み

の対象として 人事院事務総長引継書 を特定し, 同年 9 月 29 日付け行政文書開示決定通知書を審査請求人に送付した 2 審査請求人が主張する本件審査請求の趣旨及び理由審査請求人は, 事務引継書が1 名分しか存在しないという決定は不自然である, 他の職員についても事務引継書がなければ, 前任者から

達したときに消滅する旨を定めている ( 附則 10 条 ) (3) ア法 43 条 1 項は, 老齢厚生年金の額は, 被保険者であった全期間の平均標準報酬額の所定の割合に相当する額に被保険者期間の月数を乗じて算出された額とする旨を定めているところ, 男子であって昭和 16 年 4 月 2 日から同

平成14年7月3日

の補正書 において, 審査請求の趣旨を この開示請求は本人の給与のみずましにかかわる書面である為 としているが, 原処分を取り消し, 本件対象保有個人情報の開示を求めている審査請求として, 以下, 原処分の妥当性について検討する 2 原処分の妥当性について (1) 給与所得の源泉徴収票について給与所

19 条の4 第 2 項の規定により, 特別職の公務員であるから, 本件不開示情報は, 公務員としての職務遂行情報であり, 精神保健指定医が, 客観的な生体検査もなく, ただその主観に基づいて, 対象者を強制入院させることができるという性質の資格であること, 本件開示請求に係る精神保健指定医らが対象

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取得に対しては 分割前の当該共有物に係る持分割合を超える部分の取得を除いて 不動産取得税を課することができないとするだけであって 分割の方法に制約を設けているものではないから 共有する土地が隣接している場合と隣接していない場合を区別し 隣接していない土地を一体として分割する場合に非課税が適用されない

0 月 22 日現在, 通帳紛失の総合口座記号番号 特定番号 A-B~C 担保定額貯金 4 件 ( 特定金額 A): 平成 15 年 1 月 ~ 平成 16 年 3 月 : 特定郵便局 A 預入が証明されている 調査結果の回答書 の原本の写しの請求と, 特定年月日 Aの 改姓届 ( 開示請求者本人

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処分済み

査請求人 ) が 平成 5 年分所得税確定申告書 ( 以下 本件請求保有個人情報 1 という ) の開示を求めるものである 処分庁は, 本件開示請求に対し, 本件請求保有個人情報 1は文書保存期間 (7 年 ) が満了し, 既に廃棄しているとして, 平成 27 年 12 月 2 2 日付け特定記号第

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返還の必要性を十分説明しており 手続は適法である 第 3 審理員意見書の要旨 1 結論本件審査請求には理由がないので 棄却されるべきである 2 理由 (1) 本件の争点は 本件保険が法第 4 条第 1 項に規定する 利用し得る資産 に該当するかどうかであるが その判断に当たっては 処分庁が判断の要素

1 審査会の結論平成 30 年 1 月 12 日付けで審査請求人が行政文書公開請求した 深沢地域整備事業に関し J R 東日本の要望 条件 要請 意向等の文書 ( 復命書含む ) 及び前記の記載がある文書 に対して実施機関鎌倉市長が平成 30 年 3 月 12 日付けで行った行政文書一部公開決定処分

第 3 条市長は 前条に規定する申請に基づいて医療費の給付を受けることができる者であることを確認したときは 申請者に重度心身障がい者医療費受給者証 ( 第 2 号様式 以下 受給者証 という ) を交付するものとする 2 前項の受給者証の資格取得日は 市長が交付決定をした日の属する月の翌月の初日 (

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政令で定める障害の程度に該当するものであるときは, その者の請求に基づき, 公害健康被害認定審査会の意見を聴いて, その障害の程度に応じた支給をする旨を定めている (2) 公健法 13 条 1 項は, 補償給付を受けることができる者に対し, 同一の事由について, 損害の塡補がされた場合 ( 同法 1

諮問庁 : 株式会社日本政策金融公庫諮問日 : 平成 28 年 2 月 8 日 ( 平成 28 年 ( 独個 ) 諮問第 3 号 ) 答申日 : 平成 28 年 4 月 27 日 ( 平成 28 年度 ( 独個 ) 答申第 1 号 ) 事件名 : 本人に関する融資審査の検討資料の不訂正決定に関する件

ている しかしながら 本件処分は条例の理念と条文の解釈運用を誤った違法なものであり 取り消されなければならない ⑶ 条例第 7 条第 1 項本文は 個人情報の外部提供の原則禁止を規定している また 同条同項ただし書の趣旨は 単に外部提供の原則禁止規定を解除したにとどまる すなわち 当該法令等が存在す

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異議申立てしていますが, 協会 ( 原文ママ ) として黙認しています 本件に関しても, 諮問庁は国のトップなのだから, もっともっと労働問題に積極的に取り組み, 労基法厳守で, 場合により, 行政処分すべきである 警察なら, スピード違反すれば即行政処分されますが, 労基法では, 基本強い行政処分

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1 審査会の結論 平成 29 年度市民税 県民税税額変更処分 に係る審査請求は棄却するべ きであるとの審査庁の判断は妥当である 2 事案概要緑区長 ( 以下 処分庁 という ) は 平成 29 年 6 月 1 日 審査請求人に対して 平成 29 年度市民税 県民税賦課決定処分 ( 以下 先行処分 と

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11総法不審第120号

保険業務に係る情報提供料は 請求人の事業に基づいた収入であるとは いえない 第 4 審理員意見書の結論 本件各審査請求は理由がないから 行政不服審査法 4 5 条 2 項によ り 棄却すべきである 第 5 調査審議の経過 審査会は 本件諮問について 以下のように審議した 年月日 審議経過 平成 30

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無い (3) 特定市が振興協会会長 Aと市教育委員会とで一体に推進した当該文化事業は事業の実施前と実施後のまちの変化における事業の効果について国への報告義務があり, 公正に適法に事業を行う責務の存在は当該文化事業の目標の1は中心市街地の賑わいの促進にあって中心市街地活性化ソフト事業であって公開されて

控訴人は, 控訴人にも上記の退職改定をした上で平成 22 年 3 月分の特別老齢厚生年金を支給すべきであったと主張したが, 被控訴人は, 退職改定の要件として, 被保険者資格を喪失した日から起算して1か月を経過した時点で受給権者であることが必要であるところ, 控訴人は, 同年 月 日に65 歳に達し

取手市ぬくもり医療支援事業に関する条例施行規則 取手市ぬくもり医療支援事業に関する条例施行規則 平成 17 年 10 月 24 日規則第 230 号改正平成 20 年 3 月 21 日規則第 4 号平成 21 年 6 月 17 日規則第 34 号平成 22 年 9 月 15 日規則第 43 号平成

香川県後期高齢者医療広域連合職員の勤務時間、休暇等に関する


⑴ ⑵ ⑶

⑴ ⑵ ⑶

⑴ ⑵ ⑶

⑴ ⑵ ⑶

⑴ ⑵ ⑶


⑴ ⑵ ⑶ ⑷ 1

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っている以上, 被面接者においてそもそも特別な対応策を採る必要はないといえる ウよって, 本件対象文書の不開示部分は法 5 条 6 号に該当しないといえる (2) 意見書 ( 添付資料省略 ) ア裁判官の場合, 新任判事補志望者カードの全部が開示されている ( 資料 1) ことからすれば, 検事に関

11総法不審第120号

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第 4 審査関係人の主張の要旨 1 審査請求人の主張審査請求人は 次のとおり 本件処分は 違法又は不当である旨を主張している (1) 審査請求人が 複数の取引先から依頼を受けて行っている翻訳の業務は 法第 72 条の2 第 3 項の規定により個人事業税が課されるべきいずれの事業としても法に定められて

業務 とあるが, 当該支払の一時差止めに係る決定を除く と, されている すなわち, 決定に係る業務は, 事業管理課長である ウその決定に係る文書及びデータは存在する 事業管理課長の決定により, 年金機構は, 障害者の年金給付を一時差し止めるための電算処理をしている事実がある そして, その事実から

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- 2 - ⑷ 保育所又は学童クラブにおいて 保育又は学童クラブの目的を達成するために 児童又はその保護者に対してされる行政指導 ⑸ 市の職員 ( 地方公務員法 ( 昭和 25 年法律第 261 号 ) 第 2 条に規定する地方公務員に該当する職員をいう 以下同じ ) 又は市の職員であった者に対して

Microsoft Word - (課×県・指定)【頭紙】「精神障害者保健福祉手帳の診断書の記入に当たって留意すべき事項について」等の一部改正について.rtf

⑵ ⑶ ⑷ ⑸ ⑴ ⑵

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寝屋川市母子家庭等自立支援教育訓練給付金事業実施要綱 ( 目的 ) 第 1 条この要綱は 雇用の安定及び就職の促進を図るために必要な教育訓練に係る講座 ( 以下 講座 という ) を受講する母子家庭の母 又は父子家庭の父に対し 母子及び父子並びに寡婦福祉法 ( 昭和 39 年法律第 129 号 以下

伊丹市市民福祉金条例の一部を改正する条例(平成12年  伊丹市条例第  号)

2 当事者の主張 (1) 申立人の主張の要旨 申立人は 請求を基礎づける理由として 以下のとおり主張した 1 処分の根拠等申立人は次のとおりお願い書ないし提案書を提出し 又は口頭での告発を行った ア.2018 年 3 月 23 日に被申立人資格審査担当副会長及び資格審査委員長あてに 会長の経歴詐称等

非常に長い期間, 苦痛に耐え続けた親族にとって, 納得のできる対応を日本政府にしてもらえるよう関係者には協力賜りたい ( その他は, 上記 (2) と同旨であるため省略する ) (4) 意見書 3 特定個人 Aの身元を明らかにすること及び親子関係の証明に当たっては財務省 総務省において, 生年月日の

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( 救済給付の要件 ) 第 3 条この要綱による救済給付の要件とする県単独補助事業は 次の各号に掲げる要綱に基づく事業とする 一山梨県子宮頸がん予防ワクチン接種促進事業費補助金交付要綱 ( 平成 22 年 6 月 16 日から平成 23 年 3 月 31 日まで ) 二平成 23 年度山梨県子宮頸が


実務上の取扱い(改正)


-2 -


く, 未支給年金受給権者の個人情報の開示を求めているとして, 法 12 条 自己を本人とする開示を請求することができる に当たらないため, 開示することはできないことを伝え, 取り下げの意思を確認した しかしながら, 異議申立人は, 不開示である旨の正式な回答がほしいとして, 開示請求を続けたもので

入院おむつ代支給事業実施要綱


保険給付に関する決定についての審査請求に係る労働者災害補償保険審査官の決定に対して不服のある者は 再審査請求をした日から 3 か月を経過しても裁決がないときであっても 再審査請求に対する労働保険審査会の裁決を経ずに 処分の取消しの訴えを提起することはできない (H23-4B)

もあり 安全で問題のない生活を送るためには家庭の中で請求人一人の力だけでは難しく 周りの大人の支援を必要としている状況である 現在も上記のような状況から 仕事ができずにいる また 本件処分は本件診断書に基づいて行われているが その後本件児童の状態が変わっているので 平成 30 年 3 月 26 日付

平成 30 年 9 月 25 日 諮問 平成 30 年 11 月 13 日審議 ( 第 27 回第 4 部会 ) 平成 30 年 12 月 11 日審議 ( 第 28 回第 4 部会 ) 第 6 審査会の判断の理由審査会は 請求人の主張 審理員意見書等を具体的に検討した結果 以下のように判断する 1

に該当する者については 同項の規定にかかわらず受給資格者とする 3 病院等に入院等したことにより 本市の区域内に住所を変更したと認められる第 1 項各号に該当する者については 同項の規定にかかわらず受給資格者としない 4 第 1 項及び第 2 項の規定にかかわらず 次の各号のいずれかに該当する者は

第1 審査会の結論

第 4 章中第 34 条の次に次の 1 条を加える ( 行政指導の中止等の求め ) 第 34 条の 2 法令又は条例等に違反する行為の是正を求める行政指導 ( その根拠 となる規定が法律又は条例 ( 地方自治法第 252 条の17の2 第 1 項又は地方教育行政の組織及び運営に関する法律第 55 条

1 審査請求人の主張 審査請求人は おおむね次のとおり主張し 本件処分が違法不当であ るとして 本件処分の取消しを求めている ⑴ 審査請求人が平成 28 年〇〇月に申し立てた婚姻費用の調停で 参加人から仕送りすべき額は毎月〇〇万円と決まったが 同月 銀行の通帳及びキャッシュカードの使用停止手続がなさ

平成 27 年度 特定行政書士法定研修 考査問題 解答と解説 本解答と解説は 正式に公表されたものではなく 作成者が独自に作成したものであり 内容の信頼性については保証しない 以下の事項に全て該当 遵守する場合にのみ 利用を許可する 東京都行政書士会葛飾支部会員であること 営利目的でないこと 内容を

ウ商業地等である 町の土地の平成 28 年度分の固定資産税の課税標準額は 法附則第 18 条第 5 項及び第 25 条第 5 項の規定により 課税標準となるべき価格に0.7を乗じた額となる なお 岐阜市税条例 ( 昭和 25 年岐阜市条例第 14 号 以下 条例 という ) においては これと異なる

11総法不審第120号

Transcription:

平成 30 年度答申第 21 号 平成 30 年 6 月 28 日 諮問番号平成 30 年度諮問第 9 号 ( 平成 30 年 5 月 16 日諮問 ) 審査庁厚生労働大臣事件名原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律に基づく医療特別手当の失権処分に関する件 答申書 審査請求人 X からの審査請求に関する上記審査庁の諮問に対し 次のとおり答申 する 結 論 本件審査請求は棄却すべきであるとの諮問に係る判断は妥当である 理 由 第 1 事案の概要 1 関係法令の定め原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律 ( 平成 6 年法律第 117 号 以下 被爆者援護法 という ) 及び原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律施行規則 ( 平成 7 年厚生省令第 33 号 以下 施行規則 という ) は 現に医療を要する状態にある被爆者に対する医療の給付について 次のように定めている ⑴ 厚生労働大臣は 原子爆弾の傷害作用に起因して負傷し 又は疾病にかかり 現に医療を要する状態 ( ただし 当該負傷又は疾病が原子爆弾の放射能に起因するものでないときは その者の治癒能力が原子爆弾の放射能の影響を受けているため現に医療を要する状態にある場合に限る ) にある被爆者に対し 必要な医療の給付を行う ( 被爆者援護法 10 条 1 項 ) ⑵ ⑴ 記載の医療の給付を受けようとする者は あらかじめ 当該負傷又は疾 1

病が原子爆弾の傷害作用に起因する旨の厚生労働大臣の認定を受けなければならない ( 被爆者援護法 11 条 1 項 ) ⑶ 都道府県知事は ⑵ 記載の厚生労働大臣の認定を受け かつ 当該認定に係る負傷又は疾病の状態にあるとの要件に該当することについて都道府県知事の認定を受けた者に対し 医療特別手当を支給する ( 被爆者援護法 24 条 1 項 2 項 ) 都道府県知事は 同条 2 項の認定の申請があった場合において 同条 1 項に規定する要件に該当する旨の認定をしたときは 当該認定を受けた者 ( 以下 医療特別手当受給権者 という ) に 文書でその旨を通知するとともに 医療特別手当証書を交付しなければならない ( 施行規則 30 条 ) 上記の医療特別手当の支給は 上記の都道府県知事の認定を受けた者が被爆者援護法 24 条 2 項の認定の申請をした日の属する月の翌月から始め 同条 1 項に規定する要件に該当しなくなった日の属する月で終わる ( 被爆者援護法 24 条 4 項 ) ⑷ 医療特別手当受給権者は ⑶ 記載の申請をした日から起算して3 年を経過するごとに 当該経過する日の属する年の5 月 1 日から同月 31 日までの間に 医療特別手当健康状況届に施行規則 29 条 1 項に規定する診断書を添えて 居住地の都道府県知事に提出しなければならない ( 施行規則 32 条 1 項 ) ⑸ 都道府県知事は ⑷ 記載の届書を受理した場合において 届出をした者が被爆者援護法 24 条 1 項に規定する要件に該当すると認めるときは 当該届書に添えて提出された医療特別手当証書に所要事項を記載し 又は新たに医療特別手当証書を作成し これを医療特別手当受給権者に返付し 又は交付しなければならない ( 施行規則 33 条 1 項 ) 他方 上記の要件に該当しないと認めるときは 医療特別手当受給権者に 文書でその旨を通知しなければならない ( 施行規則 33 条 2 項 ) 2 事案の経緯等各項末尾掲記の資料によれば 本件の事案の経緯等は以下のとおりである ⑴ 審査請求人は 平成 20 年 6 月 大腸癌について 被爆者援護法 11 条 1 2

項の規定に基づく厚生労働大臣による原子爆弾の傷害作用に起因する旨の認定を受け 及び同法 24 条 2 項の規定に基づく都道府県知事による医療特別手当の要件に該当する旨の認定を受けた ( 弁明書 ) ⑵ 審査請求人は 平成 28 年 5 月 18 日 施行規則 32 条 1 項の規定に基づき A 知事 ( 以下 処分庁 という ) に対し B 病院医師 P( 以下 P 医師 という ) 作成の同年 4 月 26 日付け診断書 ( 医療特別手当用 ) を添えて医療特別手当健康状況届 ( 同年 5 月 6 日付け ) を提出し ( 以下 本件届出 という ) あわせて 同条 3 項に基づいて認定疾病医療機関以外の診断書を提出する旨の申立書を提出した ( 診断書 ( 医療特別手当用 ) 医療特別手当健康状況届 申立書) ⑶ 処分庁は 大腸癌の発症時期や過去の治療 ( 手術時期等 ) 過去 5 年以内の手術等の根治的な治療の有無について確認するために 平成 28 年 7 月 1 9 日付けの照会書をもって P 医師に対し 大腸癌の発症時期や過去の治療 ( 手術時期等 ) 特に過去 5 年以内の手術等の根治的な治療の有無について 上記同年 4 月 26 日付け診断書に追記することを求めたところ 同年 8 月 1 8 日付けで 審査請求人から 上記の点についてP 医師の追記がある診断書 ( 以下 本件診断書 という ) のほか 審査請求人についての入院時所見 経過 治癒総括などを記載したC 病院医師 Q 作成の退院時要約と題する書面及び審査請求人の子であるR 作成の 関係者各位殿 との標題がある書面が提出された ( 診断書 ( 医療特別手当用 ) について ( 照会 )(A( 都道府県 )D 課作成 平成 28 年 7 月 19 日付け )) ( 診断書 ( 医療特別手当用 )) ( 退院時要約 (C 病院医師作成 2013 年 6 月 20 日付け )) ( 関係各位殿 という標題のある文書( 身元引受人 R 作成 )) ⑷ 処分庁は 平成 28 年 8 月頃 審査請求人に対し 同月 23 日付けの 被爆者援護法に基づく医療特別手当の支給に対する失権について ( 通知 ) と題する書面に 平成 28 年 5 月 6 日付けでご提出いただきました標記のことについては 次の理由により原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律 ( 平成 6 年法律第 117 号 ) 第 24 条第 1 項の規定に該当しないので失権とします ( 失権理由 ) 原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律施行規則の一部を改正する省令について ( 健発 0320 第 1 号平成 26 年 3 月 20 3

日 ) により 悪性腫瘍が再発したとの所見が無く 手術等の根治的な治療から概ね5 年を経過した場合は更新されないとされているところ 再発所見の記載がなく 手術施行から5 年を経過していることから 認定は困難である と記載し 被爆者援護法 24 条 1 項の規定に該当しないので失権する旨の処分 ( 以下 本件処分 という ) をした ( 被爆者援護法に基づく医療特別手当の支給に対する失権について ( 通知 )) ⑸ 審査請求人は 平成 28 年 9 月 8 日 審査庁に対し 本件審査請求をした ( 審査請求書 ) ⑹ 審査庁は 平成 30 年 5 月 16 日 当審査会に対し 本件審査請求は棄却すべきであるとして諮問した ( 諮問説明書 ) 3 本件審査請求の要旨生活不可能になるので 本件処分の取消しを求める 第 2 諮問に係る審査庁の判断被爆者援護法が定める各種援護措置は 1 被爆者であるだけで医療費の支給を受けることができるものとした上で 2 疾病に罹患すると月 3 万 4430 円 ( 金額は 平成 30 年 4 月以降のもの 以下同じ ) の健康管理手当が 3 放射線に起因する疾病が 現に医療を要する状態 に至った場合には 原爆症として認定されるとともに月 14 万円の医療特別手当が 4その後 治療等により 現に医療を要する状態 が解消されると 医療特別手当に代えて月 5 万 1 700 円の特別手当が それぞれ支給されることになる 本件審査請求の対象である医療特別手当は 被爆者が 現に医療を要する状態にある ことに着目し 当該状態にある被爆者に対し 当該疾病にかかっているために余儀なくされている入通院雑費 栄養補給費等の特別の出費を補う必要性への配慮など 疾病に罹患していること自体への配慮 ( 健康管理手当 ) や医療を要する状態が解消された後の健康不安や再発防止のための配慮 ( 特別手当 ) を上回る配慮を及ぼす必要があるとして設けられている措置であるところ 本件においては 審査請求人は 現に医療を要する状態 にはないものと認められる したがって 審査請求人は医療特別手当の支給要件に該当しないから 本件審査請求は理由がなく 棄却すべきである なお 審理員も 審理員意見書において 診断書によっても 審査請求人には 認定疾病である大腸癌が再発したという所見は確認できず 現に医療を要 4

する状態にあるとはいえないから 被爆者援護法 24 条 1 項に規定する医療特別手当の支給要件に該当しないとして 審査庁と同旨の意見を述べている 第 3 当審査会の判断 1 本件諮問に至るまでの一連の手続について ⑴ 一件記録によれば 本件審査請求後の手続は次のとおりである ア審査庁は 本件審査請求の審理手続を担当する審理員として 平成 29 年 1 月 26 日 大臣官房総務課審理室長であるS( 以下 審理員 S という ) 同室総括審理専門官であるT 及び同室企画調整専門官であるU ( 以下 審理員 U という ) を指名した イ処分庁は 平成 29 年 2 月 28 日 審理員に対し 弁明書及び関係資料を提出した ウ審理員 Uは 平成 29 年 6 月 14 日 審理関係人に対し 審理手続を終結した旨並びに審理員意見書及び事件記録を審査庁に提出する予定時期が同月 28 日である旨を通知した エ審理員 Sは 平成 29 年 6 月 28 日 審査庁に対し 審理員 S 作成名義の審理員意見書を提出した また 審理員 Uは 同日 審査庁に対し 事件記録を提出した なお 本件届出から諮問書の提出までの各手続に要した期間は 以下のとおりである 本件届出 : 平成 28 年 5 月 18 日本件処分 : 同年 8 月頃 ( 審査請求人が処分通知を受領した確たる日付は明らかでない ) 本件審査請求受付 ( 処分庁 ): 同年 9 月 8 日 ( 審査庁 ): 同月 16 日審理員指名 : 平成 29 年 1 月 26 日 ( 審査庁受付から18 週間 ) 審理員意見書提出 : 同年 6 月 28 日諮問書提出 : 平成 30 年 5 月 16 日 ( 審理員意見書受付から43 週間 ) ⑵ 本件審査請求申立てから本件諮問に至るまでの一連の手続は 上記 ⑴ 記載のとおりであり 上記の審理員意見書には 作成名義人として 審理員 S と記載されている そして 同意見書の冒頭部分の末尾に なお 本意見書は 審理員 T 及び審理員 Uとの合議によって作成したものである との記 5

載があるが 同意見書の作成自体も審理手続終結時の審理員全員の共同によるものであるとするならば その点を明確にしておくことが望ましく 作成名義人として全員の氏名を記載することが適切であると思料する また 上記 ⑴ 記載のとおり 審査庁が 審査請求を受け付けてから審理員を指名するまでに18 週間 さらに 審理員意見書を受け取ってから当審査会に諮問するまでに43 週間を費やしている 行政不服審査法 ( 平成 26 年法律第 68 号 ) は その目的を定めた1 条 1 項において 国民が簡易迅速かつ公正な手続の下で広く行政庁に対する不服申立てをすることができるための制度 と規定し 審理の迅速性を実現するため 例えば16 条において 審査請求が審査庁の事務所に到達してから当該審査請求に対する裁決をするまでの期間を審理期間とした上 審査庁に対し 標準審理期間を定める努力義務を課して 審査請求手続が迅速に行われることも国民の権利保護のための重要な要素と位置付けている趣旨に照らせば 審査請求を受け付けてから審理員を指名するまで 及び審理員意見書が提出されてから当審査会に諮問するまでの各所要期間について改善を図るべき必要があるものと考える その他の点については 本件諮問に至るまでの一連の手続に違法又は不当と認めるべき点はうかがわれない 2 本件処分の違法性又は不当性の有無について ⑴ 上記第 1の1 記載のとおり 医療特別手当の支給は 医療特別手当受給権者が被爆者援護法 24 条 2 項の認定の申請をした日の属する月の翌月から始め 同条 1 項に規定する要件に該当しなくなった日の属する月で終わる ( 同条 4 項 ) そして 都道府県知事は 医療特別手当受給権者から 施行規則 32 条 1 項の規定に基づき 診断書を添えて医療特別手当健康状況届が提出された場合において 被爆者援護法 24 条 1 項の要件に該当しないと認めるときは 医療特別手当受給権者に 文書でその旨を通知しなければならないものとされている ( 施行規則 33 条 2 項 ) ⑵ア審査請求人が提出した本件診断書には 認定疾病に関する現症及び検査所見 として H28.8.16 追記当施設入所はH26.3.22 でありその紹介状に68 才時大腸癌の手術施行との記載あり 過去 5 年以内には手術等の治療はないと思われます との記載があり また 認定疾病以外に関する特記事項 として H28.7.5 追記現在特 6

養 E 施設入所 ADLはほぼ自立歩行はシルバーカーを押している状況 との記載がある イそこで 処分庁は 本件診断書及びその他の審査請求人から提出された上記の各書類について A 原子爆弾被爆者健康管理手当等認定委員会の医師による審査を経て検討した結果 審査請求人については 悪性腫瘍 ( 大腸癌 ) が再発したとの所見がなく 大腸癌の手術施行から5 年以上を経過しており 現在特に治療していないと判断したことから 審査請求人は被爆者援護法 24 条 1 項に規定する要件に該当しないと認め 施行規則 33 条 2 項に基づいて審査請求人に文書でその旨を通知したものである ( 被爆者援護法に基づく医療特別手当の支給に対する失権について ( 通知 )) ウ本件届出に関して提出された各資料を検討しても 上記イ記載の判断を覆して 審査請求人が当該認定に係る疾病 ( 大腸癌 ) の状態にあると認めるに足りるものは存在しない ⑶ 以上によれば 処分庁が本件診断書等に基づいて行った⑵イの判断及びその過程については違法又は不当な点は認められない なお 本件では 審査請求人は医療特別手当が給付されなければ生活が不能になると主張して本件処分の取消しを求めているが 医療特別手当は被爆者が 現に医療を要する状態 にある場合に支給されるものであり 被爆者援護法 24 条 1 項所定の要件を欠くに至ったにもかかわらず 生活上の必要性があるという理由によって医療特別手当の支給の継続を求める法律上の根拠は存在しないから 審査請求人の上記主張は理由がない 3 よって 結論記載のとおり答申する 行政不服審査会第 1 部会 委 員 市 村 陽 典 委 員 小 幡 純 子 委 員 中 山 ひとみ 7