小型プロペラ風車から発生する周期性騒音の空力音源に関する研究

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NAOSITE: Nagasaki University's Ac Title 小型プロペラ風車から発生する周期性騒音の空力音源に関する研究 Author(s) 佐々木, 壮一 ; 坂田, 涼 Citation 長崎大学大学院工学研究科研究報告, (8), pp.-6; Issue Date 0-07 URL http://hdl.handle.net/0069/6 Right This document is downloaded http://naosite.lb.nagasaki-u.ac.jp

長崎大学大学院工学研究科研究報告第 巻第 8 号平成 6 年 7 月 小型プロペラ風車から発生する周期性騒音の空力音源に関する研究 佐々木壮一 * ** 坂田涼 Study of Aerodynamic Noise Source of Periodical Noise Generated from a Micro Wind Turbine by Soichi SASAKI* and Ryo SAKADA** In this study, the relationship between the periodic noise and the aerodynamic noise source of a wind turbine is discussed. The aerodynamic characteristics and the noise of the actual wind turbine were measured by wind tunnel; the flow around the impeller immersed in the uniform flow was solved by numerical simulation. In the observed wind turbine, when the mainstream velocity was 7. m/s or more, the power coefficient became the maximum at the tip speed ratio 8. When the mainstream velocity became fast in the driving condition of the maximum power point, the aerodynamic noise became large due to the periodical noise in the vicinity of the 000 Hz and the broadband noise in the high frequency domain. The noise sources were concentrated at the leading edge and the trailing edge on the suction surface side. We indicated that the pressure fluctuation of the leading edge was the noise source of the periodical noise. Key words : Aerodynamic Noise, Wind Turbine, Renewable Energy. はじめに小型のプロペラ風車には, 災害時の非常用電源, 公共の場所における補助電源, 離島や山岳地帯における電源など, その風車固有の役割がある. また, 平成 年 7 月から実施されている再生可能エネルギー固定買い取り制度の対象にもなるため, スマートグリッドの電源としても期待されている. しかし, 一般的な構成で定格運転されるこの風車の空力騒音は 80dB 以上にも上り, その普及には騒音の問題を克服することが一つの課題となる. 大型の風車から発生する騒音の課題では低周波音が採り上げられるが (), この種の騒音は小型のプロペラ風車から発生する空力騒音の主因とは異なる. 長崎大 学の研究グループは, 小型のプロペラ風車から発生する空力騒音と羽根車周りの流れの関係を実験的に調査している (-). 同研究グループは, その風車から 000Hz 以上の高周波数の帯域に分布する広帯域騒音と 000 Hz 近傍における周期性騒音が発生することを実証実験で確認している. 前者の広帯域騒音は後縁騒音の性質に近く, この騒音に関する初期の解析モデルは R. K. Amiet や M. S. Howe によって 970 年代に研究されている (-6).M. Roger と S. Moreau は Amiet の後縁騒音モデルを有限な翼弦長のモデルに拡張し (7), 高周波数帯域の広帯域騒音が後縁騒音と密接に関係することを示した (8). さらに, 飯田らは小型風車から発生する広帯域騒音を翼の表面加工によって 0dB 低減させた事例 平成 年 月 日受理 * ** システム科学部門 (System Science Division) 総合工学専攻 (Department of Advanced Engineering)

佐々木壮一 坂田涼 Table Specifications of the wind turbine Motor Torque Meter Electrical Generator Diameter of Impeller 70 mm Number of Blades Specific Power 00 W Initial Velocity (for rotation). m/s Initial Velocity (for power generation).8 m/s Impeller Torque Meter Ono-Sokki SS-00 (.0 Nm) Fig. Experimental apparatus of a micro wind turbine 000 0 00 800 000 00 Partition φ00 φ000 800 800 600 Axial Fan Variation System Nozzle Measurement Part Collector Fig. Suction type wind tunnel を報告している (9). 一方, 後者の周期性騒音については不明な点が多く, その実験的性質に関する先行研究もほとんどない. 今後, 生活に密着した環境における風力エネルギーの積極的な利用を勘案すると,000Hz 近傍の可聴周波数帯域における周期性騒音の物理的なメカニズムの解明も一つの課題となる. 本研究では, 小型のプロペラ風車から発生する 000Hz 近傍の帯域における周期性騒音の空力音源と流れとの関係が議論される. 実機の空力特性と騒音が風洞試験によって測定され, 一様流速によって回転する羽根車の後流が熱線流速計によって測定されている. その数値シミュレーションによる翼面上の圧力変動量の解析に基づいて, 中間的な周波数帯域における周期性騒音の空力音源について考察する.. 実験装置および測定方法図 には, 性能試験の対象となるプロペラ風車の概要が示されている. その装置の仕様が表 にまとめられている. 羽根車の直径は 70mm, 羽根枚数は 枚, 発電機の定格出力は 00W である. 性能試験装置には 反動トルクを与えるための三相誘導電動機 ( 三菱電機, SF-JR, 00W) とトルク計 ( 小野測器, SS-00) が取り付けられており, 実機の出力係数を計測することができる. 羽根車の回転数は光電式回転計によって計測される. 図 は吸い込み型風洞の概略図を示したものである. 風洞は集合胴, 測定胴, 縮流胴, 異形胴, 軸流送風機およびディフューザで構成されている. 集合胴には mm mm のメッシュの防護金網, 整流格子, mm mm の整流金網が 段取り付けられており, 風車に流入する流れが整流されている. 測定胴の断面は一辺 800mm の正方形であり, その全長は 000mm である. 集合胴と測定胴の間には, 風車の羽根車を回転させるための十分な一様流速を得るために, 直径 00mm の絞り機構が設けられている. この絞り機構によるせん断流れが風車性能に与える影響は, 予備実験により小さいことがわかっている. 風洞内の主流風速は, 軸流送風機の回転数をインバータにより制御することで調整される. 風車の出力特性は式 () の周速比 λ と出力係数 C p によって定義される.

小型プロペラ風車から発生する後縁騒音の空力音源に関する研究 0 600 0 C p 0. 0. v =.9 [m/s] v = 6. [m/s] v = 7. [m/s] v = 8.6 [m/s] v = 9.80 [m/s] 0 80 80 Fig. Measurement method of the wake 0. λ = 8 0 6 8 0 λ Fig. Aerodynamic characteristics R, V inlet main flow T C P AV impeller () ここで,R は風車翼車の半径 (m),ω は角速度 (rad/s), V は風車の主流風速 (m/s),t はトルク (N m),ρ は空 気密度 (kg/m ),A は風車の受風面積 (m ) である. 空 力騒音は羽根車の回転中心から m 上流の位置で / インチマイクロホンが取り付けられた精密騒音計 ( 小野測器 ;LA0) によって計測される. 騒音計からの出力信号は FFT アナライザ ( 小野測器, CF0) へ入力され, その空力騒音が周波数分析される. 図 には, 後流の測定方法が示されている. 後流の測定には,X 型熱線プローブが用いられている. 熱線プローブは床面から 900mm の位置で, トラバース装置により移動させる. 羽根車の後方 0mm の位置から, スパン方向に 0mm, 主流方向に 600mm を 0mm 間隔で計測した. この装置の可動範囲では流れ場全体を一度に計測することができないため, その流れ場は計測範囲全体を のブロックに分割することで計測されている. rotate outlet wall Fig. model for the computational fluid dynamic L A, db(a) 90 80 v =.9 [m/s] v = 6. [m/s] v = 7. [m/s] v = 8.6 [m/s] λ = 8 λ = 70 6 8 0 λ Fig. 6 Noise characteristics 図 には, 流れの数値シミュレーションで用いられた風車のモデルが示されている. 数値シミュレーションには Cradle の SCRYU/Tetra が使用されている. 入り口境界の流量は風車の実測値の流入風速と等しくなるように設定されており, 出口境界には大気圧が与えられている. 風車全体の流れ場が約 70 万要素の格子で構成されている. 羽根車の回転はスライディングメッシュによって解析される. タイムステップは,. 0 - sec に設定されており, この時間間隔では 000Hz の周期的変動現象を 6 点で解析することができる.. 結果および考察図 は風車の周速比と出力係数の関係を主流風速毎に比較したものである. 主流風速が 7.m/s 以上になると, 出力係数は周速比 8 近傍で最大となる. 以下の考察では, 最大出力点である周速比 8 の特性と無拘束条件近傍の特性を比較しながら議論する. 図 6 は周速比と空力騒音の関係を示したものである. 周速比 8 近傍では, 主流風速が速いほど羽根車が高速回転するため

佐々木壮一 坂田涼 L A, db(a) L A, db(a) 80 70 60 0 0 0 0 80 70 60 0 0 0 0 λ = 8 V = 8.7 m/s ( 8.9 db ) V = 7. m/s ( 8 db ) V = 8.7 m/s, BGN ( 77.9 db ) 0 0 0 f,hz (a) Mainstream velocity V = 8.7 m/s λ = 0.9 ( 88.6 db ) λ = 8. ( 8.9 db ) BGN ( 77.9 db ) 0 0 0 f, Hz (b) Tip speed ratio Fig.7 Comparison on the noise spectra generated from the wind turbine Y 680 80 80 80 6 6 80 0 00 00 00 00 00 600 680 6 7 (a) λ=8 80 80 80 6 7 8 80 0 00 00 00 00 00 600 (b) λ= Fig.8 Distribution of the velocity in the wake に, 風車の騒音レベルが大きくなる. 一方, 周速比 近傍では, 羽根周りの流れが強く乱れるために, その騒音レベルに大きな違いが生じなかった. 図 7 では, 騒音のスペクトル分布が比較されている. 図 (a) が主流風速による比較であり, 図 (b) が周速比による比較である. 図中の破線は, 主流風速 8.7m/s の場合における風洞の暗騒音である. 図 (a) のスペクトルでは, いずれの主流風速においても 000Hz 近傍に周期性騒音が発生している. 主流風速が大きくなると, その周期性騒音の周波数は高くなり, その騒音レベルも大きくなることがわかる. 図 (b) の比較では, その主流風速が 8.7m/s に設定されている. 周速比 の騒音レベルは周速比 8 のものより広帯域騒音の影響で.7dB 大きくなる. 周速比 の風車の 000Hz 近傍における周期 性騒音は小さい. 一方, 周速比 8 の風車における 000Hz 近傍の周期性騒音の騒音レベルは, 周速比 のものよりも大きくなる. 図 8 は後流の速度分布を示したものである. 図 (a) が周速比 8 の分布であり, 図 (b) が周速比 のものである. ハブ側では羽根の周速度が遅いために, 主流がいずれの周速度でも後流へ通過する. 図 (a) の周速比 8 の場合, 翼スパンの広い範囲に渡って m/s の後流が分布する. 一方, 図 (b) の周速比 の場合, 翼スパン中央近傍の速度はなく, 主流が後流へ通過しないことがわかる. このため, 主流は翼先端側から後流へ通過すると考えられる. これに応じて, 主流が翼先端に偏流するために, 周速比 における翼先端の速度は周速比 8 のものよりも高速になると考えられる.

小型プロペラ風車から発生する後縁騒音の空力音源に関する研究 680.6.8.. 0.8 0.8 80 80 0.. 0.8 0. 80.6 0. 0. 0. 0.8 0. 80.. 0 00 00 00 00 00 600 (a) λ=8 680. 0. 80 80 0. 80.. 80 0 00 00 00 00 00 600 (b) λ= Fig.9 Distribution of the velocity fluctuation in the wake 図 9 には, 後流の速度変動の分布が示されている. 周速比 8 の翼端近傍の速度変動は, 周速比 のものよ りも大きくなる. 周速比 8 の場合, 主流が後流へ通過 するために翼端側で軸方向の速度せん断層が形成され やすく, これに応じて構造的な翼端渦が形成されると 考えられる. 翼端側の速度変動量の関係は,000Hz 近傍における空力騒音のスペクトルの傾向と一致する. 図 0 には, 翼負圧面側の圧力変動の分布を羽根のス パン位置毎に解析したものである. 翼先端側の圧力変 動は前縁と後縁に集中した分布となっている. 主流風 速が大きくなると, これらの圧力変動は大きくなるこ とが確認されている ( 図省略 ). 文献 (7) を参考にすれ Σp' (f i ), Pa a (Tip Side) b c (Mid Span) V = 7. m/s λ = 7.9 T.E. L.E. 0 0 0. ξ/c,( - ) Fig. 0 Pressure fluctuation distribution on the blade chord p' (f i ), Pa 0.8 0. 0. 0 λ = 8 V = 7. m/s 0 f, Hz ば, この後縁の圧力変動が高周波数帯域における広帯域騒音を形成する因子であると考えられる. 図 は前縁側の圧力変動をフーリエ解析したものである. 主流風速が大きくなると, その周期的変動現象は高周波の強い変動になり, これは空力騒音のスペクトル分布の傾向と一致する. 一方, 後縁近傍での圧力変動には, 周期的な変動現象がないことを確認している ( 図省略 ). 以上のことから, 前縁側の圧力変動が 000Hz 近傍の周期性騒音を形成する因子であると考えられる.. 結言 V = 7. m/s V = 8.7 m/s V = 8.7 m/s Fig. Spectral distribution of the pressure at the leading edge 本実験の対象となる小型のプロペラ風車では, 主流風速が 7.m/s 以上になると, その出力係数は周速比 8 近傍で最大となった. 最大出力点における風車の空力騒音は, 主流風速が大きくなると 000Hz 近傍の周期性騒音と高周波数の領域における広帯域騒音の影響で大きくなった. 翼端側の圧力変動は翼の前縁と後縁に

6 佐々木壮一 坂田涼 集中して形成された. 前縁側の圧力変動が 000Hz 近傍の周期性騒音の空力音源であることを明らかにした. 文献 () 二井義則, 他 7 名, アップウィンド型風車の低周波音, 日本音響学会誌, Vol., No. (996), pp. -7. () 鈴木康太, 他 名, マイクロプロペラ風車の広帯域騒音に関する研究, 日本機械学会 0 年度年次大会講演論文集,(0),DVD. () 佐々木壮一, 他 名, プロペラ型風車から発生する後縁騒音に関する一考察, 日本機械学会流体工学部門講演会講演論文集,(0),USB. () 坂田涼, 他 名, 小型プロペラ風車から発生する広帯域騒音の空力音源に関する研究, 日本機械学会九州支部第 67 期総会講 演会講演論文集, (0),CD-ROM. () R. K. Amiet, Noise due to Turbulent Flow Past a Trailing Edge, Journal of Sound and Vibration, Vol. 7, No. (976), pp. 87 9. (6) M.S. Howe, A Review of the Theory of Trailing-edge Noise, Journal of Sound and Vibration, Vol. 6, No. (978), pp. 7 6. (7) M. Roger, S. Moreau, Back-scattering Correction and Further Extensions of Amiet s Trailing Edge Noise Model. Part I: Theory, Journal of Sound and Vibration, Vol. 86 (00), pp. 77 06. (8) S. Moreau, M. Roger, Back-scattering Correction and Further Extensions of Amiet s Trailing Edge Noise Model. Part II: Application, Journal of Sound and Vibration, Vol. (009), pp. 97-. (9) 飯田誠, 他 名, 小型風力発電機における騒音低減について : サイレントディスラブターブレード小型風車 Z-0(OWL), 日本ガスタービン学会誌, Vol., No. 6 (00), pp. -8.