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●農地法の一部を改正する法律案

前提条件 1つ目の前提として 農業生産法人を設立するにあたって 農事組合法人なのか 株式会社なのかを決定する必要があります このレポートでは 株式会社を前提に設立の手順を解説していきます ( 農事組合法人の設立をご希望される方は 弊社まで 直接 ご連絡ください ) 2つ目の前提として 覚えておいて欲

て 次に掲げる要件が定められているものに限る 以下この条において 特定新株予約権等 という ) を当該契約に従つて行使することにより当該特定新株予約権等に係る株式の取得をした場合には 当該株式の取得に係る経済的利益については 所得税を課さない ただし 当該取締役等又は権利承継相続人 ( 以下この項及

Ver.3.0 受付番号票貼付欄 合同会社設立登記申請書 フリガナ 1. 商号 1. 本店 1. 登記の事由設立の手続終了 1. 登記すべき事項 1. 課税標準金額金円 1. 登録免許税金円 1. 添付書類 定款代表社員, 本店所在地及び資本金を決定したことを証する書面代表社員の就任承諾書払込みがあ

( 除名 ) 第 9 条社員が次のいずれかに該当するに至ったときは 社員総会の決議によって当該社員を除名することができる (1) この定款その他の規則に違反したとき (2) この法人の名誉を傷つけ または目的に反する行為をしたとき (3) その他除名すべき正当な事由があるとき ( 社員資格の喪失 )

調査規則の改正 別紙案1・2

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き県が負担する負担金の額 ( 当該負担金の額が他の法令の規定により軽減される場合にあつては, その軽減されることとなる額を控除した額 以下 県負担額 という ) から当該事業に要する費用の額 ( 加算額がある場合にあつては, 加算額を控除して得た額 ) に100 分の25 以内で規則で定める割合を乗

b c.( 略 ) 2 不動産取得税の軽減に係るの発行信託会社等の地方税法附則第 11 条第 12 項に基づく不動産取得税の軽減のための同法施行令附則第 7 条第 12 項に規定するの発行等については 以下のとおり取り扱うものとする イ ロ.( 略 ) 載があること c d.( 略 ) 2 不動産取

新株予約権発行に関する取締役会決議公告

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2. 改正の趣旨 背景 (1) 問題となっていたケース < 親族図 > 前提条件 1. 父 母 ( 死亡 ) 父の財産 :50 億円 ( すべて現金 ) 財産は 父 子 孫の順に相続する ( 各相続時の法定相続人は 1 名 ) 2. 子 子の妻 ( 死亡 ) 父及び子の相続における相次相続控除は考慮

2 前項の申請書には 次に掲げる書類を添付しなければならない ただし 当該申請者が 当該書類に記載された事項をインターネットの利用その他適切な方法により公表している場合であって 当該事項を確認するために必要な事項を記載した書類を同項の申請書と併せて提出するときは 当該事項を記載した書類の添付を省略す

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贈与税の納税猶予に関する適格者証明書

改正後第 2 章通関業 第 1 節許可 新旧対照表 別紙 3 通関業法基本通達( 昭和 47 年 3 月 1 日蔵関第 105 号 ) ( 注 ) 下線を付した箇所が改正部分である 改正前第 2 章通関業第 1 節許可 3-8 削除 ( 譲渡 相続 合併又は分割の場合における通関業の許可の効果 )

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旧なお 当該投資法人が租税特別措置法第 83 条の2 第 3 項の規定の適なお 当該投資法人が租税特別措置法第 83 条の2 第 3 項の規定の適用を受けることができる日は 当該特定資産取得後 1 年以内であるこ用を受けることができる日は 当該特定資産取得後 1 年以内であることに留意するものとする

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株式取扱規則

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2. 適用を受けるにあたっての 1 相続発生日を起算点とした適用期間の要件 相続日から起算して 3 年を経過する日の属する年の 12 月 31 日まで かつ 特例の適用期間である平成 28 年 4 月 1 日から平成 31 年 12 月 31 日までに譲渡することが必要 例 平成 25 年 1 月

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小川 鶴間地区 住居表示 住居表示の実施による 会社 法人などの変更登記の手引 町田市土地利用調整課

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農業生産法人について 1 農業生産法人制度について昭和 32 年徳島県勝浦町のみかん農家が節税対策のため有限会社を設立したことを契機に 農業経営の法人化について全国的な議論が起こり 昭和 37 年に農地法の改正により 農業経営を行うために農地を取得できる法人の仕組みとして 農業生産法人制度が発足しました 農業生産法人の要件等は農地法で定義されています 農業経営を目的として 農地の権利 ( 所有権 賃借権等 ) を取得 ( 買ったり 借りたりすること ) するためには 農地のある市町村農業委員会において 農地法に基づく許可を受けなければなりません 農地法の許可を受けるためには 農地法第 2 条第 3 項に規定されている農業生産法人要件である以下の 4 つの全てを満たさなければなりません これらの要件は農業生産法人の設立時だけではなく 農地を使って農業経営を行っている間は常に満たしている必要があります 2 農業生産法人の要件 1 形態要件農業生産法人になることができるのは 次の5つの組織形態に限られます 事業内容や組織の運営方法等を考えて選択することになります 株式会社( 株式譲渡制限がある会社に限る ) 合同会社 合名会社 農事組合法人 ( 株式会社 合同会社 合名会社は会社法に基づく法人 農事組合法人は農業協同組合法に基づく法人 ) 株式会社種類合同会社合名会社合資会社農事組合法人 ( 非公開会社 ) 根拠法会社法農業協同組合法 1 名以上 1 名以上 1 名以上 2 名以上構成員農業者 3 名以上 ( 制限なし ) ( 制限なし ) ( 制限なし ) ( 制限なし ) 資本金の制限なし制限なし規定なし規定なし規定なし 最低額出資者の責任範囲 有限責任有限責任無限責任 ( 出資金額内 ) ( 出資金額内 ) ( 債務金額 ) 無限責任あり 原則 有限責任 定款に別段の定 議 決 権 1 株 1 票 めが無い場合 原則 1 人 1 票 1 人 1 票 1 人 1 票 1 人 1 票 出 資 者 株 主 社 員 社 員 社 員 組合員 役 員 取締役 1 名以上代表社員または全社員が業務無限責任社員が理事 1 名以上監監査役は任意業務執行社員執行社員業務執行社員事は任意 役員の任期 原則 2 年 ( 最長 10 年 ) 無期限 無期限 無期限 3 年 定款認証 電子 : 約 52,000 円通常 : 約 92,000 円 不要 不要 不要 不要 登録免許税 150,000 円 ~ 60,000 円 ~ 60,000 円 ~ 60,000 円 ~ 非課税 法人事業税 課税 課税 課税 課税 畜産以外非課税 法 人 税 課税 課税 課税 課税 課税 決算公告 必要 不要 不要 不要 不要 備 考 株式の全部につき譲渡制限がある 1 人 1 票制で 会社の決定事項は全社員の同意が必要 無限責任なので注意が必要 無限責任なので注意が必要 農業者 3 名必要 1 人 1 票制 事業内容に制限あり 員外従事者は 2/3 を超えてはならない

2 事業要件農業生産法人が取り組むことができる事業は 主たる事業が農業 ( 関連事業を含む ) と定められています 会社法人 ( 株式会社 合同会社 合資会社 合名会社 ) においては 農業とその農業に関連する事業の売上高が法人の事業全体の売上高の過半を占めなければなりません 1 農業 会社法人 2 その農業に関連する事業 ( 自社の農業生産に関連する事業全般 農畜産 物の製造 加工 貯蔵 運搬 販売 農業生 産資材の製造 農作業の受託など ) 3 農業と併せて行う林業 4 その他事業 ( 農業以外の事業でも可 ) 農業 ( 関連事業を含む ) の売上 (1+2+3) が 法人の事業全体の売上 (1+2+3+4) の過半を占めること 1 農業 農事組合法人 2 その農業に関連する事業 ( 自社の農業生産に関連する事業全般 農畜産 物の製造 加工 貯蔵 運搬 販売 農業生 産資材の製造 農作業の受託など ) 3 農業と併せて行う林業 4 共同利用施設設置等 農作業共同化に関連する 事業 5 1~4 に附帯する事業 ( 附帯事業とは 施設 機械の有効利用により行 う事業 ( 民宿 農業土木 造園 除雪など )) 3 構成員要件 ( 出資者要件 ) 法人の構成員となれるのは 次のいずれかに該当する者となります 1 農地の提供者 ( 法人に農地を売る 貸す 現物出資をする個人 ) 2 常時従事者 ( 原則年間 150 日以上従事 ) 法人の農作業に限定せず 農業と関連事業に係る事業への従事 企画管理労働も含む 3 地方公共団体 農地保有合理化法人 農業協同組合 農業協同組合連合会 4 当該法人に作業の委託を行っている個人 5 継続的取引関係を持つ個人 法人 ( ) 法人から物資の供給等を受ける者 又は法人の事業の円滑化に寄与する者 ( 農業生産法人 食会品加工業者 生協 スーパー 産直契約する個人 農産物運送業者など ) 農商工連携業者等 3 年以上の取引契約を書面により締結することが必要 5の合計は 総議決権の1/4 以下であること 社 農業生産法人と連携して事業を実施する一定の関連事業者 ( 農商工連携事業者等 ) が構成員である時は総議決権の1/2 未満までに緩和 農業生産法人が認定農業者の場合には 特例規定があり 農業関係者以外の者の議決権は 1/2 未満までに緩和 農業関係者 ( 農業生産法人等 ) は制限はないが 100% 出資は不可 法 人 農商工連携事業者等 とは 以下の事業者です 1 食品流通構造改善促進法の認定を受けた計画に従って食品生産製造等連携計画事業を実施する食品製造業者等又食品製造事業協同組合等 2 中小企業者と農林漁業者との連携による事業活動の促進に関する法律の認定を受けた計画に従って農商工等連携事業を実施する中小企業者 3 農林漁業有機物資源のバイオ燃料の原材料としての利用の促進に関する法律の認定を受けた計画に従って生産製造連携事業を実施するバイオ燃料製造業者又は事業協同組合等 4 米国の新用途への利用の促進に関する法律の認定を受けた計画に従って生産製造連携事業を実施する製造事業者又は促進事業者 組合法人 1 農地の提供者 2 常時従事者 ( 原則年間 150 日以上従事 ) 3 農地保有合理化法人 農業協同組合 農業協同組合連合会 4 役務の提供 物資の享受者 ( 産直の消費者 近年取得した特許 実用新案権等の提供者 ) みなし農民 及び 役務の提供 物資の享受者 は 総組合員の 1/3 を超えてはならない

常時従事者とは 以下の基準に該当する者をいいます 1 その法人の行う農業に年間 150 日以上従事すること 2 年間 150 日に満たない者にあっては次により算出された日数以上 構成員 1 人当たりの平均労働日数の 3 分の 2 以上 最低でも 60 日以上であること 法人の年間総労働日数 2 60 日法人の構成員数 3 3 年間 60 日以上に満たない者にあては次により算出された日数以上 その法人に農地等を提供しており かつ 2 の算式により算出された日数又は次の算式で算出される日数のいずれか大である日数以上であること 当該構成員の農地等提供面積その法人の農業に必要な年間総労働日数 その法人の耕作又は養畜の事業の用に供している農地等面積 構成員の議決権制限について 構成員に農商工連携事業者等がいる場合 農業の常時従事者 農地の権利提供者 ( 継続的取引関係者 ) 農地保有合理化法人 地方公共団体 農商工連携事業者等 農業協同組合 農業協同組合連合会 作業委託農家 ( 継続的取引関係者 ) 農商工連携事業者等以外の者 総議決権の 1/2 以上 総議決権の 1/4 以下 総議決権の 1/2 未満 構成員に農商工連携事業者等がいない場合 農業の常時従事者 農地の権利提供者 農地保有合理化法人 地方公共団体 農業協同組合 農業協同組合連合会 作業委託農家 ( 継続的取引関係者 ) 他の農業生産法人 スーパー 食品産業 産直契約する個人 農産物運送業者 など 総議決権の 3/4 以上 議決権の 1/4 以下 農業生産法人が認定農業者の場合の特例合計で 1/4 以下までとされている継続的取引関係者の出資制限が 1/2 未満までに緩和されます ( 農業関係者 ) 農業生産法人 農業者 継続的取引関係者 ( 農業関係者以外 ) 左記以外の者 継続的取引関係の議決権の合計は 総議 決権の 1/4 以下 農業経営改善 計画を作り 市町村の認定 を受ける 4 業務執行役員要件取締役 業務執行社員 理事になる者の要件 会社法人 1 取締役又は業務執行社員の過半の者が法人の農業 ( 関連事業を含む ) に常時従事する構成員であり かつ 2 1 に該当する役員の過半が 原則年間 60 日以上農作業に従事すること ( 農業関係者 ) 農業生産法人の構成員として必須となる常時従事者の保有する議決権を除き その割合について制限を受けずに出資することが可能 継続的取引関係者 農事組合法人 ( 農業関係者以外 ) 議決権は総議決権の 1/2 未満まで可能 1 理事の過半が労働を提供する構成員であり かつ 2 1 に該当する理事の過半が原則年間 60 日以上農作業に従事すること 3 理事は農民である組合員のみ

業務執行役員 1 役員の過半が農業の常時従事者 ( 原則年間 150 日以上 ) である構成員であること 2 1のうち過半の者が農作業に従事 ( 原則年間 60 日以上 ) すること 過半の過半 役員全体の過半 農作業 とは 耕起 整地 播種 基肥 追肥 除草 防除 収穫など耕作や養畜に直接必要な作業をいいます 帳簿の記帳 集金等は農作業に含まれません 例えば 業務執行役員が 8 人の場合 1 に該当する人数は 8 人の過半なので 5 人 2 に該当する人数は 1 の過半なので 3 人となる 3 農業生産法人の報告義務 ( 要件適合性の確保のための措置 ) 農業生産法人の要件は 農地の権利取得した後も満たされていることが必要です 農地の権利を取得した後も要件に適合していることを確認するため 毎事業年度の終 了後 3 カ月以内に事業の状況等を農地等の所在地を管轄する農業委員会に対して報告す ることが定められています ( 根拠は以下のとおり ) ( 農地法 ) 第 6 条農業生産法人であって 農地若しくは採草放牧地 ( その法人が第 3 条第 1 項本文に掲げる権利を取得した時に農地及び採草放牧地以外の土地であったものその他政令で定めるものを除く 以下この項において同じ ) を所有し 又はその法人以外の者が所有する農地若しくは採草放牧地をその法人の耕作若しくは養畜の事業に供しているものは 農林水産省令で定めるところにより 毎年 事業の状況その他農林水産省令で定める事項を農業委員会に報告しなければならない 農業生産法人が農業生産法人でなくなった場合 ( 農業生産法人が合併によって解散し 又は分割をした場合において 当該合併によって設立し 若しくは当該合併後存続する法人又は当該分割によって農地若しくは採草放牧地について同条第 1 項本文に掲げる権利を継承した法人が農業生産法人でない場合を含む 次条第 1 項において同じ ) におけるその法人及びその一般継承人についても 同様とする 2 農業委員会は 前項前段の規定による報告に基づき 農業生産法人が第 2 条第 3 項各号に掲げる要件を満たさなくなるおそれがあると認めるときは その法人に対し 必要な措置を講ずべきことを勧告することができる 3 農業委員会は 前項の規定による勧告をした場合において その勧告を受けた法人からその所有する農地又は採草放牧地について所有権の譲渡しをする旨の申出があったときは これらの土地の所有権の譲渡しについてのあっせんに努めなければならない ( 農地法施行規則 ) 第 58 条法第 6 条第 1 項の規定による報告は 毎事業年度の終了後 3 月以内に 次条に掲げる事項を記載した報告書を当該農業生産法人が現に所有し 又は所有権以外の使用及び収益を目的とする権利を有している農地又は採草放牧地の所在地を管轄する農業委員会に提出しなければならない 2 前項の報告書には 次に掲げる書類を添付しなければならない 一定款の写し二農事組合法人又は株式会社にあってはその組合員名簿又は株主名簿の写し三承認会社が構成員となっている場合には その構成員が承認会社であることを証する書面及びその構成員の株主名簿の写し四法第 2 条第 3 項第 2 号チに掲げる者が構成員となっている場合には その構成員とその農業生産法人との間で締結された契約書の写しその他その構成員が同号チに掲げる者であることを証する書面 ( その構成員が法第 2 条第 3 項第 2 号の政令で定める者である場合には 当該書面及び令第 1 条第 1 号から第 4 号までに掲げる者のいずれかであることを証する書面 ) 五その他参考となるべき書類

4 設立の手順 設立のおおまかな手順は 次のとおりです 設立の事前打 ち合わせ 発起人会の開催 類似商号の調査 ( 会社法人 ) 調査は義務ではありません 定款の 作成 公証人 定款の認証 金融機 役場 ( 株式会社以外は不要 ) 関 設立登記 の完了 設立登記の申請 出資金の払込 設立総会 法務局 登記簿謄 本交付 諸官庁への 届出 ( 農事組合法人は知事に届出が必要 ) 事業開始 これらの内容は 平成 22 年 3 月 5 日旭川市で実施された北海道担い手育成総合支援 協議会 ( 事務局 : 北海道農業会議 ) 主催の農業法人設立研修会で配布された資料を基に 作成しました