4 地方公営企業会計基準の見直しの影響 ( 概要 ) 地方公営企業会計基準の見直しのため 平成 23 年度に地方公営企業法施行令等を改正し その改正内容が平成 26 年度予算 決算から全面的に適用となっている (1) 見直しの趣旨 昭和 41 年以来大きな改正がなされていない地方公営企業会計制度と国際基準を踏まえて見直されている民間の企業会計基準制度との間に生じた違いの整合性を図り 相互の比較分析を容易にする 地方独立行政法人について いち早く平成 16 年に民間企業会計原則に準じた会計制度が導入されており 同種事業の団体間比較のために できる限り企業会計基準との整合を図ることが必要 (2) 主な見直し内容 従来は減価償却を行わないことができた補助金等を充当した部分の固定資産について すべて減価償却の対象とし 補助金等は 負債 に計上 時価が帳簿価格より下落しているたな卸資産 ( 造成した土地等 ) に時価評価を義務付け 帳簿価格が収益性に比べて過大になっている固定資産を減額する仕組 ( 減損会計 ) を導入 従来は 資本 に計上されていた企業債等を 負債 に計上 従来は任意とされていた引当金 ( 退職給付引当金 貸倒引当金等 ) の計上を義務化 (3) 会計基準見直しの主な効果 資産状況や損益構造がより明らかになる 償却資産はすべて毎年度減価償却するなど 現在の資産価値を適切に表示 本来認識するのが適当な収益 費用を発生時点ですべて計上 49
( 参考 1) 平成 26 年度決算における地方公営企業会計基準の見直しによる 財務諸表への主な影響 ( 対象となるのは法適用企業のみ ) 1 貸借対照表 平成 25 年度末の BS 平成 26 年度末の BS 負債 4,291 億円 3,958 億円 負債 3 兆 917 億円 資産 5 兆 466 億円 資本 4 兆 6,175 億円 借入資本金 資本剰余金 資産 4 兆 6,508 億円 企業債等 退職給付引当金等 長期前受金 資本 1 兆 5,591 億円 利益剰余金 5 兆 466 億円 4 兆 6,508 億円 (1) 平成 26 年度決算においては 会計基準の見直し等の影響を受け 1 これまで減価償却を行っていなかった固定資産 ( 補助金等充当部分 ) について すでに償却した部分を減額することにより固定資産が減少 2 収益性が低下した固定資産を減額 3 12などにより固定資産が減少 ( 1,909 億 66 百万円 ) 時価評価によるたな卸資産の減額等により 資産 (= 土地造成 ) が減少 ( 52 億 23 百万円 ) これまで減価償却を行っていなかった固定資産 ( 補助金等充当部分 ) に充当された補助金等 ( 資本剰余金に計上 ) について すでに償却した部分を減額 ( 資本剰余金の減 ) するとともに 未償却分を資本 (= 資本剰余金 ) から負債 (= 長期前受金 ) に計上 (2,366 億 92 百万円 ) 企業債等を資本 (= 借入資本金 ) から負債 ( 固定負債又は流動負債 ) に計上 (1 兆 5,788 億 33 百万円 ) 退職給付引当金等の計上により負債に計上する引当金が増加 (+310 億 73 百万円 ) 50
(2) 前頁見直しの影響により 総資産が 3,957 億 99 百万円減少 資本 : 負債の比率が (H25)9:1 (H26)3:7 に大きく変化 ただし 返済義務のない負債である長期前受金が含まれていることに留意が必要 長期前受金を資本に含めた場合の資本: 負債の比率は 6:4 補助金等の計上方法の変更に伴い 資本剰余金の一部を利益剰余金へ振り替えたことにより資本剰余金が減少する一方 利益剰余金は増加 (+3,803 億 23 百万円 ) し 公営企業全体の累積欠損額が減少 ( 919 億 73 百万円 ) する等 公営企業全体の健全性は維持 これまで減価償却を行っていた固定資産に充当された補助金等について資本剰余金 から利益剰余金へ振り替えて計上する等により 利益剰余金が増加 (+3,803 億 23 百万円 ) 個別の公営企業を見た場合 法適用企業 (146 事業 ) のうち 125 事業 (85.6%) が資産超過で 資本減少等により 21 事業 (14.4%) が資本不足となっている ( 返済義務のない負債である長期前受金を控除した場合 136 事業 (93.2%) が資産超過で 資本不足は 10 事業 (6.8%) ) 県内市町の資本不足額の状況 H26 年度 ( 実績 ) 事業 交通 ( バス ) 団体 資産合計 1 負債合計 2 資本不足額 3 = 1-2 繰延収益 4 資本不足額 ( 長期前受金 ( 繰延収益 ) 控除後 ) 5 = 1 - (2-4) 伊丹市 1,401 1,577 176 68 109 西宮市 5,215 6,363 1,147 108 1,040 芦屋市 7,622 11,674 4,052 31 4,021 病院 川西市 3,219 7,255 4,036 1,006 3,030 加西市 4,700 5,730 1,030 62 968 たつの市 2,578 2,839 261 1,381 0 新温泉町 1,759 2,696 937 13 924 宅地造成 明石市 4,318 8,550 4,232 0 4,232 ( 公共事業 ) 香美町 7,955 9,220 1,265 3,879 0 川西市 570 598 28 240 0 ( 特定環境保全 加西市 13,048 13,231 183 4,265 0 公共事業 ) 香美町 12,385 13,539 1,154 6,427 0 加西市 9,371 10,828 1,457 3,409 0 ( 農業集落排水事業 ) ( 漁業集落排水事業 ) ( 小規模集合排水処理事業 ) ( 個別排水処理事業 ) 南あわじ市 4,845 4,908 62 502 0 加東市 5,215 5,216 2 1,646 0 市川町 2,074 2,497 423 1,053 0 香美町 3,040 3,621 582 1,091 0 香美町 260 287 26 117 0 加東市 112 143 32 14 18 香美町 180 217 37 2 35 豊岡市 124 131 7 6 1 51
2 損益計算書 平成 25 年度末の PL 平成 26 年度末の PL 4,311 億 98 百万円 4,451 億 94 百万円 5,251 億 4,861 億 76 百万円 21 百万円 平成 26 年度決算においては 会計基準の見直し等の影響を受け 1 これまで減価償却を行っていなかった補助金等により取得した固定資産について 減価償却を行うことにより 費用 ( 減価償却費 ) が増加 (+216 億 16 百万円 ) 2 補助金等の減価償却等見合い分について 収益 ( 長期前受金戻入 ) に計上 (498 億 83 百万円 ) 3 退職給付引当金の一括計上等により費用 ( 特別損失 ) が増加 (+400 億 86 百万円 ) 上記により 総収支 ( 純損益 ) は平成 25 年度の黒字 (+139 億 96 百万円 ) から平成 26 年度は赤字 ( 389 億 45 百万円 ) へ 退職給付引当金の一括計上等により費用 ( 特別損失 ) が増加したことが大きな要因であり H27 年度以降 一括計上は行われないため 特別損失は減少する見込み 退職給付引当金は全企業職員が将来退職した場合に支給すべき退職手当の支払いに備えて設けられるものであり 直ちに現金化されるものではない ( 退職給付引当金の一括計上等 (400 億 86 百万円 ) を控除した場合には 11 億 41 百万円の黒字 ) 52
平成 26 年度決算における財務諸表の推移 ( 法適用企業のみ ) 1 貸借対照表 平成 25 年度末 5 兆 465 億 69 百万円 固定負債 3,434 億 28 百万円 引当金 1,001 億 19 百万円 資産負債資本 平成 26 年度末 4 兆 6,507 億 70 百万円 3,957 億円 99 百万円 借入資本金を負債計上 (+1 兆 5,163 億 42 百万円 ) 引当金の計上 (+242 億 9 百万円 ) 固定資産 4 兆 1,632 億 55 百万円 減価償却累計額 1 兆 7,394 億 19 百万円 流動負債 856 億 89 百万円資本金 2 兆 4,121 億 60 百万円 借入資本金 1 兆 5,788 億 33 百万円 企業債等を計上 減価償却を行っていなかった固定資産 ( 補助金充当部分 ) の未償却分を減額 減損会計導入等 ( 1,909 億 66 百万円 ) 固定資産 3 兆 9,722 億 89 百万円 ( 1,909 億 66 百万円 ) 減価償却累計額 2 兆 2,215 億 95 百万円 固定負債 1 兆 6,809 億 43 百万円 (+1 兆 3,375 億 15 百万円 ) 建設改良に充てるための企業債等 1 兆 5,163 億 42 百万円 引当金 1,347 億 74 百万円 借入資本金を負債計上 (+1,560 億 22 百万円 ) 引当金の計上 (+68 億 64 百万円 ) 流動負債 2,514 億 26 百万円 (+1,657 億 37 百万円 ) 建設改良に充てるための企業債等 1,560 億 22 百万円 引当金 68 億 64 百万円 長期前受金を計上 (+1 兆 1,593 億 37 百万円 ) 繰延収益 1 兆 1,593 億 37 百万円 ( 皆増 ) 借入資本金を負債計上 (1 兆 5,788 億 33 百万円 ) 土地造成 4,967 億 37 百万円流動資産 3,812 億 66 百万円繰延勘定 53 億 11 百万円 資本剰余金 2 兆 3,552 億 58 百万円 補助金等を計上利益剰余金 1,499 億 66 百万円 たな卸資産の時価評価による減等 ( 2,408 億 14 百万円 ) 宅地造成 2,559 億 23 百万円 ( 2,408 億 14 百万円 ) 流動資産 資本金 8,045 億 46 百万円 ( 1 兆 6,076 億 14 百万円 ) 資本剰余金 5,240 億 46 百万円 ( 1 兆 8,312 億 12 百万円 ) 補助金等の計上方法の変更に伴い資本剰余金を一部振替等 (+3,803 億 23 百万円 ) 4,208 億 41 百万円 (+395 億 75 百万円 ) 利益剰余金 2,303 億 57 百万円 (+3,803 億 23 百万円 ) 繰延資産 17 億 17 百万円その他有価証券評価差額 ( 35 億 94 百万円 ) 1 億 15 百万円 ( 皆増 ) 増減の数値は 会計基準の見直しによる影響以外も含むものである 53
2 損益計算書 費用 収益 4,311 億円 98 百万円 平成 25 年度 4,451 億円 94 百万円 5,251 億円 21 百万円 平成 26 年度 4,861 億円 76 百万円 営業費用 3,853 億 16 百万円 減価償却費 1,031 億 60 百万円 営業収益 3,853 億 18 百万円 料金収入 3,507 億 05 百万円 営業費用 4,150 億 74 百万円 (+297 億 58 百万円 ) 減価償却費 1,377 億 39 百万円 営業収益 3,790 億円 (+63 億 18 百万円 ) 料金収入 3,424 億 78 百万円 減価償却費の増 (+345 億 79 百万円 ) 各種引当金繰入額 101 億 35 百万円 営業外費用 403 億 27 百万円 特別損失 55 億 55 百万円 営業外収益 533 億 10 百万円 営業外費用 400 億 20 百万円 ( 3 億 7 百万円 ) 営業外収益 975 億 21 百万円 (+442 億 11 百万円 ) 長期前受金戻入 498 億 83 百万円 ( 皆増 ) 特別利益 65 億 66 百万円 減価償却等見合い分を計上 退職給付引当金の一括計上等 たな卸資産の評価損 減損損失額等 特別損失 700 億 27 百万円 (+644 億 72 百万円 ) 特別利益 96 億 55 百万円 (+30 億 89 百万円 ) 退職給付引当金一括計 上等 (+400 億 86 百万 円 ) 増減の数値は 会計基準の見直しによる影響以外も含むものである 54