ネットワークシステム B- 6-164 DNS ラウンドロビンと OpenFlow スイッチを用いた省電力法 Electric Power Reduc8on by DNS round- robin with OpenFlow switches 池田賢斗, 後藤滋樹 早稲田大学基幹理工学研究科情報理工学専攻 1
研究の背景 n インターネットトラフィックが増大 世界の IP トラフィックは 2012 年から 2017 年までの 5 年間で約 3 倍に [1] 限られたリソースの有効活用が重要 [1] Cisco VNI: 予測と方法論 2012 ~ 2017 年 n 消費電力の削減は引き続き重要 柔軟なネットワーク制御が実現可能な OpenFlow スイッチング技術に着目 2
OpenFlow とは n スイッチの機能をスイッチ部とコントローラ部に分割 n フロー単位で通信を制御可能 レイヤ 4 までの情報の組み合わせでフローを識別 TCP コネクションごとに 1 つのフローとみなすことも可能 n 各種ヘッダ情報の書き換え ポート番号 IP アドレス MAC アドレスなどレイヤ 4 以下のヘッダ情報は書き換えが可能 柔軟なネットワーク制御が実現可能 OpenFlow スイッチ OpenFlow Controller レイヤ 1: 物理ポート等レイヤ 2:MAC アドレスレイヤ 3:IP アドレスレイヤ 4: ポート番号 3
DNS ラウンドロビンとは www.example.com 権威 DNS サーバ www.example.com = IP1, IP2, IP3, IP4 IP1 IP2 IP3 IP4 Internet キャッシュサーバ www.example.com = IP1, IP2, IP3, IP4 ユーザ群 一つのドメインに複数のサーバの IP アドレスが登録され 要求を分散 DNS の情報はキャッシュされ 設定された時間保持 4
DNS ラウンドロビンの問題点 500 アクセス数の偏り ( 早稲田大学ゲートウェイにて観測 : 10 分毎に集計 ) 450 400 TCP Connec6on Count 350 300 250 200 150 IP1 IP2 IP3 100 50 0 16:00 16:10 16:20 16:30 16:40 16:50 17:00 17:10 17:20 17:30 17:40 17:50 Time [JST] 5
既存手法 1:DNS ラウンドロビンにおける負荷分散の改善 DNS ラウンドロビンの動的レコード更新によるサーバ負荷分散法岸本和之, 後藤滋樹, 全国大会講演論文集第 71 回 DNS ラウンドロビンを利用して 低コストで精度の高い負荷分散を実現するための手法を提案 < 手法 > DNS レコードを動的に更新 DNS レコードのキャッシュ時間 (TTL) を短く設定する必要有 既存手法 1 の課題 TTL を短く設定する必要有 DNS サーバの負荷上昇セキュリティ上の問題 本研究では TTL の値に関わらずトラヒックを均等に分散する 6
既存手法 2:DNS ラウンドロビンにおける省電力の改善 サーバ負荷分散における OpenFlow を用いた省電力法石井翔, 下田晃弘, 後藤滋樹,IPSJ 第 74 回全国大会 DNS ラウンドロビンを OpenFlow により改善し 従来と比べて消費電力を削減できる手法を提案 < 手法 > サーバ資源が余剰なときには 余剰なサーバを待機状態にして消費電力を削減 DNS キャッシュにより待機中のサーバへの接続要求が発生した場合 その要求を OpenFlow の機能で別のサーバに転送 既存手法 2 の課題 サーバ復帰時の動作に関しては未検討 均等にトラヒックを分散させる手法がないため サーバ復帰を DNS キャッシュ時間分早く行う必要有 本研究で検討 7
研究目的と提案手法 研究目的 DNS ラウンドロビンにおいて TTL の値に関わらずトラヒックを均等に分散する トラヒックを均等に分散する手法を省電力の分野に適用出来ることを示す 提案手法 OpenFlow の機能を用いることで 特定の通信のみを別サーバに転送し トラヒックを均等に分散させる 8
DNS ラウンドロビン + 提案手法上での負荷分散 権威 DNS サーバ www.example.com = IP1, IP2, IP3, IP4 Openflow www.example.com 負荷 : 大 IP1 IP2 IP3 IP4 負荷 : 小 各スイッチのパケット転送量を監視 Controller Internet 転送 キャッシュサーバ www.example.com = IP1, IP2, IP3, IP4 ユーザ群 OpenFlow を用いて 各スイッチのパケット転送量を監視 ( 統計情報を取得 ) 負荷が少ないスイッチへ通信を転送 DNS ラウンドロビンに生じる負荷の偏りを改善 9
DNS ラウンドロビン + 提案手法上での省電力 IP1 のサーバ復帰決定 権威 DNS サーバ www.example.com = IP1, IP2, IP3, IP4 IP1 www.example.com IP2 IP3 IP4 IP1 を除き IP1も含め負荷を均等化 転送 Openflow Internet キャッシュサーバ www.example.com = IP1, IP2, IP3, IP4 すぐには接続要求がこない DNS キャッシュ時間分早く復帰する必要有 ユーザ群 DNS キャッシュ時間分早く復帰する必要無 さらなる省電力の削減が可能 10
実証実験 n 実験の方針 実験 1: 提案手法の負荷分散における優位性評価 実機を用いた実験により提案手法の評価を行う 実験 2: 提案手法の省電力における優位性評価 実ネットワークでの観測結果をもとに シミュレーションにより優位性を示す 11
実験 1: 提案手法の負荷分散における優位性評価 DNS ラウンドロビンに関する実トラヒックを収集し解析 Server 1 Server 2 Server 3 解析結果を元に擬似的に DNS ラウンドロビンを再現 Controller 提案手法を実装 提案手法により DNS ラウンドロビンに生じる負荷の偏りが改善することを示す 擬似的な DNS ラウンドロビンを行う 12
実験結果 1.1 DNS ラウンドロビンのみの場合の測定結果 13
実験結果 1.2 DNS ラウンドロビン + 提案手法上の測定結果 14
測定結果の比較 実トラヒックを元に DNS ラウンドロビンのトラヒックを擬似的に再現 提案手法によって負荷の偏りが改善することを確認 15
実験 2: 提案手法の省電力における優位性評価 n 実トラヒックを測定し 理想的な稼働サーバ数を設定 本研究における理想的な稼働サーバ数は QoS (Quality of Service) を保持できる最低数のサーバ稼働数 1 サーバあたり 40,000req/5min まで QoS を保持できるものとする 16
実験結果 2.1 実ネットワークでの測定結果 実トラヒック測定結果 n 大学のゲートウェイで 2013/10/28~29 のポート 80 (HTTP) の TCP コネクション数を 5 分ごとに集計 17
実験結果 2.2 サーバ稼働数設定 実トラヒック測定結果及びサーバ稼働数設定 n 本実験の条件では 最大 7 台のサーバが必要 18
実験結果 2.3 提案手法の適用結果の一例 これらの部分の電力を既存手法よりさらに削減 DNS キャッシュ時間 = 3600 [s] 既存手法よりさらに 3.60% 電力量を削減 DNSラウンドロビンのみの場合と比べて7.12% 電力量を削減 19
まとめ 今後の課題 まとめ DNS ラウンドロビンに生じる負荷の偏りを OpenFlow を用いて改善する手法を提案した 提案手法を省電力の分野に適用した場合の優位性を示した 今後の課題 実環境での動作確認 転送先の検討 Ø 帯域使用量だけではなく 地理情報も考慮する 上位のバージョンでの動作確認 Ø 現在の最新は OpenFlow 1.4 20
ご清聴ありがとうございました 21