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特許無効性の証明には 裁判所において明白かつ確信を抱くに足る証拠を必要することを確認した最高裁判所による全員一致の判決 6 月 9 日 米国最高裁判所は Microsoft Corp. v. i4i Limited Partnership 事件において全員一致の判決を出しました 本判決において 特許無効性の証明には 裁判所において明白かつ確信を抱くに足る証拠を必要とすることを確認しました 最高裁判所は 連邦巡回の判決を確認しました この判決では 無効性を証明するためのこの明白かつ確信を抱くに足る厳しい基準は (1) コモンローからきている (2) Radio Corp. of America v. Radio Engineering Labs., Inc. 事件 293 U.S. 1 (1934) ( RCA ) において最高裁判所により確認された および (3) 35 U.S.C. 282 において米国議会により成文化されてから変更はされていないとしました 最高裁判所は 282 では有効性の推定のみについて明確に記載されているが その推定は 立証責任は誰にあるかということのみならず 厳しい証明基準の義務も網羅するものである と記しました 最高裁判所は 明白かつ確信を抱くに足る基準に比べて低い 優越 の基準は USPTO が検討しなかった無効性の証拠に適用されるべきであるという Microsoft の主張を拒絶し 米国議会にこのような証拠についての証明基準を変更する意図があったならば そのように明確に述べたであろう と記しました 同裁判所は 先行技術が USPTO により検討されたかどうかは 証明基準を変更するものではなく 証拠の説得力を左右するものであると示しました Breyer 裁判官は 証拠証明基準は 事実に関する質問に適用し 法律に関する質問に適用しない ということを強調し 賛成意見を執筆しました Thomas 裁判官は 282 が証明基準を成文化したとは思えないが コモンローの規則に基づき 例えば RCA 事件で勧められたように 明白かつ確信を抱くに足る厳しい基準が適用するという賛成意見を執筆しました I. 背景 i4i Limited Partnership および Infrastructures for Information Inc. ( 総称 i4i ) は Microsoft Corporation ( Microsoft ) によるソフトウエア製品の製造および販売が i4i の特許を侵害するとして Microsoft を米国テキサス州東部地区地方裁判所において提訴しました Microsoft は 侵害を否定し 逆に i4i の特許が無効であり 権利行使不能であると裁判所が認めるように主張しました

Microsoft は 35 U.S.C. 102(b) の販売による不特許事由 (on-sale bar) が i4i の特許出願の提出日から 1 年より前に米国で明らかに販売されていた別のソフトウエアプログラムの i4i の販売に基づき特許を無効にするとの主張をしました 当事者同士は 過去のソフトウエアプログラムが i4i の特許で請求された発明を含んでいるかどうかについて争いましたが USPTO が過去のソフトウエアプログラムを i4i の特許出願の審査中に検討しなかったことは明らかでした 裁判において Microsoft は 同社には明白かつ確信を抱くに足る証拠により無効性についての立証責任はあるが 審査官が対象特許の審査中に検討しなかった先行技術に関する 責任は 証拠の優越という基準に基づくものである というような陪審員への指示を提案しました ( イタリック体を強調のため使用 ) 地方裁判所は Microsoft のいわゆる ハイブリッド 証明基準を拒絶し 単に陪審員に Microsoft には明白かつ確信を抱くに足る証拠により無効性についての立証責任がある と指示を出しました 陪審員は Microsoft が故意に i4i の特許を侵害し 無効性を証明しなかったとしました 地方裁判所は 同裁判所が証明基準について陪審員に不適切に指示をしたとする Microsoft の主張を拒絶し Microsoft の裁判後の申し立てを拒絶しました 上訴では 連邦巡回は 長年に亙り使用されてきた 282 の解釈に依拠し 地方裁判所の判決を確認しました 連邦巡回は 明白かつ確信を抱くに足る証拠により Microsoft に無効性を証明するようにとした陪審員への指示においては誤りがないとしました II. 最高裁判所の判決 最高裁判所は Microsoft には明白かつ確信を抱くに足る証拠により無効性を証明することが義務付けられていたとする連邦巡回の判決を確認しました A. 35 U.S.C. 282 による基準の設定 制定法の文言そのものを考慮し 最高裁判所は 立証責任を明確に指摘する [ が ] 証明基準を明確に説明していない と記しました ( イタリック体を強調のため使用 ) しかし 最高裁判所によると 米国議会は 特許が 有効であると推定される と記すことにより コモンロー上の定着した意味 の用語を使用しました 最高裁判所は この点について過去の RCA 事件の判決を権利あるものとして引用しました 同裁判所は RCA 事件における最高裁判所は 明白であり 説得力がある証拠によらない限り覆すことができない [ 特許 ] 有効性の推定がある また特許の有効性について反対意見を唱える被疑侵害者には 説得をするという重大な責任があり 証拠が不明な優越以上でない限り ( 疑問と思われやすい証拠より説得力があるものでなければ ) その責任を果たしていない と全員一致で判決を出したと記しました ( イタリック体を強調のため使用 ) これを考慮し Microsoft 事件における最高裁判所は 米国議会が 282 を成立し 特許が 有効であると推定される と宣言した際には 特許が有効であるという推定は 既にコモンローでは長く定着していた ため 同議会は 厳 2

しい証明基準を制定法に取り入れる意思がおそらくあったであろうと記しました B. 異なる基準は USPTO が検討しなかった先行技術に適用されない Microsoft は 比較的に低い証明基準は 少なくとも審査中に USPTO が検討せず 裁判所に提示された証拠に適用されるべきであると主張しました この主張を裏付けるため Microsoft は KSR Int l Co. v. Teleflex Inc. 事件 550 U.S. 398 (2007) における最高裁判所の判決の傍論に焦点を当てました KSR 事件では 最高裁判所に対してそのような質問はされなかったが 先行技術が審査中に特許庁により検討されない場合 推定に基づく理論根拠が すなわち PTO が専門的知識の観点から請求項を許可したという理論根拠が かなり弱まっているように思われる と記しました 同上 426 ページ Microsoft が KSR 事件に依拠していることについて 最高裁判所は PTO に全ての重要な事実がなかった場合の方が 明白かつ確信を抱くに足る証拠により無効性の主張について陪審員を説得させるという被疑侵害者の責任は果たしやすいかもしれない としました ( イタリック体を強調のため使用 ) また 同裁判所は 裁判所は 新しい証拠の影響について陪審員への指示を与えることができる 当事者から希望があった場合 通常 そのような指示を出すべきである としました 最高裁判所は 次のように記しました : 裁判所は PTO には特許付与以前に評価する機会がなかったという証拠が陪審員に対して提示された ということを検討するように陪審員に指示することができる 陪審員に示された証拠が PTO が評価した証拠と異なるかどうかについての争いの折には 裁判所は 陪審員にこの質問を検討するように指示することができる いずれの場合でも 裁判所は 陪審員に対して証拠が重要性の上で新しいものであるかどうかを評価するように指示することができる 証拠が重要性の上で新しいものである場合 陪審員が 明白かつ確信を抱くに足る証拠は無効性の主張を証明したかどうかを判断する際 裁判所は 陪審員にその事実を検討するように指示することができる 最高裁判所によると 検討されなかった 先行技術に異なる基準を適用するのは非実用的であると考える理由の一つとして PTO の審査官が特殊な文献を検討したかどうかわからないことが多い ことが挙げられます 最高裁判所は 米国議会が変更可能な証明基準を施行しなかったため 明白かつ確信を抱くに足る証拠の基準が USPTO が検討しなかった証拠にも等しく適用されるとしました C. 方針設定は 米国最高裁判所ではなく 米国議会の権限にある 最高裁判所は 当事者同士が 米国議会が採用した明白かつ確信を抱くに足る証拠の基準の賢明さについて互いに異なる主張を示した と記しました Microsoft には PTO 3

の専門家の判断に遵守すべきかどうか について疑問があり 同社は 基本的に侵害訴訟中の無効性主張を検討する際に 厳しい証明基準では 陪審員が適切な検討をしないようにさせている と強調しました i4i の主張によると 厳しい基準は 陪審員が PTO の専門家の判断を覆す状況を適切に限定し その厳しい基準は 特許 契約 の不可欠の構成要素であり すなわち 発明者が特許保護を受ける代わりにイノベーションを一般に公開するための動機である としました このような当事者同士の対立した主張を考慮して 最高裁判所は 次のように記しました : 1952 年に米国議会がコモンローに基づく特許有効性に関する推定を成文化した際 同議会は 適用可能な証明基準を規定した それ以来 連邦巡回による 282 についての正しい解釈が使用されてきた 証明基準の再調整は [ 米国議会の ] 範疇にある D. Breyer 裁判官の賛成意見 (Scalia 裁判官 Alito 裁判官も加わり ) Breyer 裁判官は 証拠証明基準は 事実に関する質問に適用し 法律に関する質問に適用しない ということを強調するため別途賛成意見を執筆しました 同裁判官は 多数の無効性主張は 事実的係争に依拠せず どのように法律が事件の事実に適用されるかによると記しました 同裁判官は 法的基準が何を意味するか もしくは法的基準がどのように事実に適用されるかについての質問に関し て 明白かつ確信を抱くに足る 基準は適用しないと主張しました Breyer 裁判官は 裁判所が 明白かつ確信を抱くに足る 基準の適用を 無効性主張に関する事実的局面と法的局面を分離することにより 適切な法的境界内に あるようにすることができると議論しました ( イタリック体を強調のため使用 ) 同裁判官は 裁判所が 明白かつ確信を抱くに足る基準が適用可能である事実と 明白かつ確信を抱くに足る基準が適用可能でない正しい法的基準の適用を分離することにより 明白かつ確信を抱くに足る基準 が事実に関連した権利を超えないようにし 発見もしくは発明に対して当然与えられるべきでない法的保護を与えないようにする可能性を大にする と強調しました III. 分析 Microsoft 事件についての最高裁判所の判決では 被疑侵害者が明白かつ確信を抱くに足る基準により特許の無効性を立証しなければならないことを確認しています 本判決は 明白かつ確信を抱くに足る証拠の基準を確認するというわかりやすいものであり この基準を適用してきた何十年にも亙る判例法に触れないままとなっています 最高裁判所の判決は 発行された特許に対して反対意見を唱えることができないことを意味していません 裁判において特許の無効性に反対意見を唱える者は 明白かつ確信を抱くに足る証拠の厳しい基準を満たす無効性の主張を裏付ける事実的証拠を提示しなければなりません しかし 反対意見を唱える者 4

は 注意深く書き上げられた陪審員への指示に基づき USPTO が検討しなかった先行技術に依拠することにより利益を得るかもしれません 従って 特許所有者は 裁判所に対して 特許が有効であると推定され 特許に対して反対意見を唱える者が明白かつ確信を抱くに足る証拠により無効性を証明しなければならないという陪審員への明確な指示を出すように要求することができます 一方 特許に対して反対意見を唱える者は 裁判所に対して USPTO が検討しなかった新しい証拠の方が説得力があるという陪審員への明確な指示を出すように要求することができます 特許に対して反対意見を唱える者は Breyer 裁判官の賛成意見を覚えておいた方が賢明でしょう 同裁判官の賛成意見は 最高裁判所と連邦巡回の判例法に依拠しており 明白かつ確信を抱くに足る証拠の証明基準の影響の一部から逃れるための 特許に対して反対意見を唱える者にとって防衛手段となり得ます 無効性主張に関する事実的局面と法的局面を分離しておくには Breyer 裁判官が示唆したように 特許に対して反対意見を唱える者は 陪審員が区別できるように助けるための陪審員への指示を要求することができます また 特許に対して反対意見を唱える者は 裁判所に対して どの特定の事実認定が陪審員の結論を裏付けることになったかを明確にするように 質問状と特別評決用紙を使用するように要求することもできます 最高裁判所の判決は 裁判所に提示された無効性主張にのみ適用されます 裁判所では 発行された特許の有効性の制定法の推定は 35 U.S.C. 282 に基づき適用されます 5 本判決は USPTO における (1) 再発行 (35 U.S.C. 251) もしくは (2) 再審査 (35 U.S.C. 304) の手続きに関与する特許には適用されません 例えば Bruning v. Hirose 事件 161 F.3d 681, 685 (Fed. Cir. 1998) を参照のこと IV. 提案 1. 特許所有者に対しては下記のようにお勧めします : a. 訴訟中に (1) 特許に対して反対意見を唱える者が提示している先行技術は USPTO が検討した先行技術と重要性の面から異なるため 更に説得力があり [ 特許に対して反対意見を唱える者が ] 責任を更に果たすことができるようにする という主張 ; もしくは (2) 特許所有者が開示義務を満たさなかったという主張を制限するため 審査中に USPTO が検討できるように 周知であり関連のある全先行技術を開示する b. 通常 USPTO による有効性の再検討を避けるべきである しかし 訂正が必要な場合 可能であれば 再審査要求ではなく再発行出願を提出することを検討する 無効性に関する優越の証明の比較的に低い基準が 再審査および再発行の両方に適用可能である一方 再発行の方が 特許所有者に対して更に手続き上の保護を与える 2. 被疑侵害者に対しては下記のようにお勧めします : a. 法律に関する質問と事実に関する質問を別途に考慮するため 無効性主張を注意深く形成する 明白かつ確信を抱くに足る

厳しい基準は 事実に適用されるが 法律がこれらの事実にどのように適用されるかについては該当しないことに留意する b. 陪審員が無効性主張に関する事実的局面と法的局面の区別ができるような陪審員への指示を要求する c. 裁判所に対して どの特定の事実認定が無効性についての陪審員の結論を裏付けることになったかを明確にするように質問状と特別評決用紙を使用するように要求する d. 明白かつ確信を抱くに足る証拠が無効性主張を証明したかどうかを判断する際に USPTO が検討しなかった新しい重要証拠がある場合 被疑侵害者は USPTO がその証拠を検討しなかったという事実を陪審員により検討してもらうような陪審員への指示を要求する e. USPTO が適用する比較的に低い優越の基準を利用するため USPTO に対して再審査要求を提出することを検討する しかし 比較的に低い基準を利用しても 次のような欠点があることも考慮すべきである (i) 特許所有者は 被疑製品もしくは被疑方法を網羅し 先行技術を避けるように請求項を補正することができるかもしれない (ii) 再審査において特定の手続き上 特許所有者の方が有利である Oliff & Berridge, PLC は 米国バージニア州アレキサンドリア市を拠点とする知的財産法律事務所です 当事務所は 特許 著作権 商標 独占禁止法 訴訟を専門としており 世界で幅広く活躍する大企業から小規模の個人経営会社 大学 個人事業家を含む 多くの幅広い国内外のクライアントの代理人を務めています このスペシャル レポートは 今日重要性の高い法的論点に関する情報を提供することを意図とするものであり 法的アドバイスを提供するものでもなければ Oliff & Berridge, PLC の法的見解を構成するものでもありません このスペシャル レポートの読者が この中に含まれる情報に基づいて 行動を起こす場合には 専門弁護士にご相談ください 詳しくは Tel(703) 836-6400 Fax(703) 836-2787 email@oliff.com 又は 277 South Washington Street, Suite 500, Alexandria, Virginia 22314, USA までお問い合わせください 当事務所に関する情報は ウエブサイト www.oliff.com においてもご覧いただけます * * * * * 6