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はじめに コース概要と目的 Oracle を使用した開発 管理を行う上でのファースト ステップとして リレーショナル データベース管理ソフトウェアである Oracle の役割 基本機能 基本アーキテクチャを幅広く理解することを目的としています 受講対象者 これから Oracle を使用する方 データベース入門者の方 前提条件 コンピュータの基本操作 ( マウス操作やキーボード操作 ) と基本用語 ( メモリー ディスクなど ) を理解し ている方 テキスト内の記述について マーク指定バージョンからの新機能 ( 左記の場合 Oracle 12cR1 からの新機能 ) Enterprise Edition で使用できる機能 知っておいたほうが良いテクニック もしくは注意事項 参照ページ

第 3 章 Oracle の基本機能 この章では ユーザーのアクセス制御や 同時実行の制御 整合性制約など Oracle から提供されている主な基本機能について説明します 1. 基本機能概要 2. データベース ユーザーのアクセス制御 3. 同時実行制御 4. 整合性制約

1. 基本機能概要 Oracle には 主に次のような機能が備わっています データベース ユーザーのアクセス制御 利用者ごとにデータベース ユーザーを作成できます また それらのデータベース ユーザーは 利用者の 役割に応じて実行可能な操作やアクセス可能なデータ範囲などを制御できます 同時実行制御複数ユーザーから同じデータに対して同時アクセスがあった場合 データの不整合が発生しないように次の 2 つの機能で制御します - 行レベルロック - 読取り一貫性 整合性制約 列に定義したルールのことです 特定列に対して意図しないデータ操作が要求された場合はエラーを返すな ど 列データの管理を Oracle に任せることができます 障害からの復旧機能 ( 詳細 :5 章 ) 障害によってデータベースが破損した場合でも もとの状態に復旧するリカバリ機能が備わっています 株式会社アシスト Copyright(C) K.K. Ashisuto All Rights Reserved. 3-1

MEMO Copyright(C) K.K. Ashisuto All Rights Reserved. 株式会社アシスト 3-2

2. データベース ユーザーのアクセス制御 Oracle では セキュリティレベルを高めるために データベース ユーザーごとにアクセス制御が行えます (1) データベース ユーザーの種類と役割 アクセス制御の前に まず Oracle におけるユーザーの種類を解説します Oracle におけるデータベース ユーザーは データベース管理者用のユーザーと一般ユーザーに大別されます 1) データベース管理者用のユーザー SYS SYSTEM の 2 つのユーザーが存在します これらのユーザーはデータベース作成時に自動的に作成され データベースに対する管理的な作業が許されています データベース管理者は 基本的に SYS SYSTEM ユーザーでログインして管理作業を行います SYS ユーザーは SYSTEM ユーザーに比べ データベースの起動 停止などの影響度の大きい操作も可能なため 安全面を考慮して通常は SYSTEM ユーザーでログインして管理作業を行います 2) 一般ユーザー 一般ユーザーとは SYS SYSTEM 以外のユーザーのことです 一般的なデータベース利用 ( 表の作成やデータ参照 変更など ) で使用するユーザーです 通常 データベース管理者 (SYS または SYSTEM ユーザー ) が必要に応じてデータベース ユーザーを作成し アクセス権限の付与 取消しなどによってユーザーアクセスを制御します 1 つのデータベース ユーザーを複数の利用者で共有利用することも可能です 権限によるアクセス制御 ( 3-5 ) 株式会社アシスト Copyright(C) K.K. Ashisuto All Rights Reserved. 3-3

データベース ユーザーの種類と役割 SYSTEM ユーザー データベース管理者 RDBMS ログイン < 管理作業の実施 > ユーザー作成 データベースの監視 構成変更など 一般ユーザー ログイン 一般利用者 EMP 表 < 一般的な利用 > 表の作成 表データの参照 表データの変更など DEPT 表 例 )SYSTEM ユーザーでログイン後 一般ユーザー SAMPLE( パスワードも sample) を作成する SQL> CONNECT system/oracle 接続されました CONNECT コマンドにユーザー名 パスワードを指定してログイン SQL> SHOW USER ユーザーは "SYSTEM" です SQL*Plus の SHOW USER コマンドでログインユーザーを確認 SQL> CREATE USER sample CREATE USER コマンドにユーザー名を指定 2 IDENTIFIED BY sample; IDENTIFIED BY 句にパスワードを指定 ユーザーが作成されました Copyright(C) K.K. Ashisuto All Rights Reserved. 株式会社アシスト 3-4

(2) 権限によるアクセス制御 データベース ユーザーがデータベースに対して行える処理は 付与されている権限で決まります 作成直後の一般ユーザーは データベースに対して何も権限を持ちません そのため データベース管理者は 一般ユーザー作成後 必要最低限の権限だけを付与してデータベースのセキュリティを高く保つようにします 権限には システム権限とオブジェクト権限があります 1) システム権限 表の作成 削除 データベースへのログイン ユーザー作成など データベース システムに対する操作権限のことです 基本的にデータベース管理者 (SYS SYSTEM ユーザー ) が一般ユーザーに付与します システム権限の例 表作成権限 表削除権限 ログイン権限 :CREATE TABLE 権限 :DROP TABLE 権限 :CREATE SESSION 権限 株式会社アシスト Copyright(C) K.K. Ashisuto All Rights Reserved. 3-5

RDBMS ログイン 表作成 SAMPLE ユーザー 作成直後の一般ユーザーは何も権限が付与されていないため 表作成はおろか データベースにログインすることすらできない RDBMS TEST 表 SAMPLE ユーザー CREATE SESSION 権限 CREATE TABLE 権限 SYSTEM ユーザー ログイン 表作成 SYSTEM ユーザーから CREATE SESSION 権限と CREATE TABLE 権限を SAMPLE ユーザーに付与 これにより SAMPLE ユーザーがデータベースにログインして表を作成することが可能になった 例 )SYSTEM ユーザーでログインし SAMPLE ユーザーにシステム権限を付与する SQL> CONNECT sample/sample ERROR: ORA-01045: ユーザー SAMPLE には CREATE SESSION 権限がありません ログオンが拒否されました ログイン権限がないためエラー 警告 : Oracle にはもう接続されていません SQL> CONNECT system/oracle 接続されました SYSTEM ユーザーでログイン SQL> GRANT create session,create table TO sample; ログイン権限 表作成権限を付与 権限付与が成功しました SQL> CONNECT sample/sample 接続されました 権限付与によりログインが可能に SQL> CREATE TABLE test (no NUMBER(3)); 権限付与により表作成が可能に 表が作成されました Copyright(C) K.K. Ashisuto All Rights Reserved. 株式会社アシスト 3-6