~ すぐにできる共有計算環境の構築 ~ サイバネットシステム株式会社 このドキュメントでは Maple 計算エンジンをウェブ上で利用可能にする MapleNET の特徴的な利用方法であるワークシートによるアプリケーションの開発方法とその設置方法について述べています MapleNET を利用すると 自作のワークシートを Maple をインストールしていないパソコンのウェブブラウザ上で閲覧 計算が利用できるようになります 目次 1.MAPLENET とは?... 2 2.MAPLENET のインストール方法... 3 必要なツール...3 MAPLENET のサポート対象プラットフォーム...3 手順 1:JDK のインストール...3 手順 2:TOMCAT のインストール...5 手順 3:MAPLENET のインストール...9 3.MAPLENET の起動... 14 TOMCAT の実行...14 アプリケーションサーバ (TOMCAT) の起動を確認する...15 MAPLENET サーバの起動を確認する...15 MAPLENET で提供される 4 つのアプリケーション利用形態の動作確認...17 4. ワークシートの共有とウェブブラウザ上での閲覧... 18 自作のワークシートを用意して MAPLENET サーバへ設置する...18 クライアントのブラウザからアクセスする...19 5. パラメータを変更できるコンテンツの作り方... 21 対話型 GUI コンテンツの作成...21 6.MAPLENET サンプル... 27
1.MapleNET とは? MapleNET とは Maple の計算エンジンをインターネット上で利用可能にするためのフレームワーク製品です MapleNET を利用すると Maple を持っていないユーザでもブラウザや Java アプリケーションによりサーバ上の Maple 計算エンジンへアクセスすることが可能です MapleNET では 4 つの利用形態でサーバの Maple 計算エンジンへアクセスすることが可能です 1 Maple Worksheet での配信 2 Maplet による GUI アプリケーション配信 3 Java Applet でのクライアントアプリケーション 4 JSP(Java Server Pages) によるサーバアプリケーション 特に Maple Worksheet による利用は最も簡単なウェブアプリケーション開発方法です お使いの Maple Worksheet を MapleNET サーバの特定ディレクトリへ設置するだけで MapleNET が自動でウェブアプリケーションへ変換し クライアントのブラウザで利用可能とします また Maple Worksheet に GUI コンポーネントを配置すれば 即座に対話的に計算可能なウェブアプリケーションとなります - 2 -
2.MapleNET のインストール方法必要なツール MapleNET は アプリケーションサーバ上で利用するための製品です MapleNET をインストールする前に以下の 2 つのツールをインストールする必要があります JDK 1.5.x またはそれ以降の JDK 1 Tomcat 5.0 またはそれ以降の JSP をサポートするアプリケーションサーバ 2 本ドキュメントで用いられる JDK および Tomcat のバージョンは以下になります ; JDK 1.6.0 Update 7 Apache Tomcat 5.5.26 これらのツールはいずれもフリーのツールで それぞれ以下のウェブサイトからダウンロードすることができます JDK のダウンロード :http://java.sun.com Tomcat のダウンロード :http://tomcat.apache.org/ いずれのツールも MapleNET をインストールする前にセットアップします 以下では 上記のバージョンの JDK および Tomcat を前提としてインストール方法を説明しています なお これらのツールのインストールは 必ず管理者権限のあるアカウントで行ってください MapleNET のサポート対象プラットフォーム MapleNET サーバは Windows Linux または Sun Solaris 上で動作します 詳しい動作環境はウェブサイトを参照してください なお 本ドキュメントでは Windows 環境で MapleNET サーバを動作させることを前提として説明しています 手順 1:JDK のインストール MapleNET が動作するバージョンの JDK をインストールします このドキュメントでは C: Program Files Java jdk1.6.0_07 にインストールしているものとします なお JDK のインストールが終わると自動的に JRE のインストールも開始されます 本ドキュメントでは JRE は C: Program Files Java jre1.6.0_07 にインストールされるものとします JDK( および JRE) のインストールが終わったら 環境変数 JAVA_HOME にインストールした JDK へのパスを設定しておいてください 環境変数 JAVA_HOME を設定するには以下の手順に従います 1 マイコンピュータを右クリックし [ 管理 ] メニューを選択します 2[ 詳細設定 ] タブを選択し [ 環境変数 ] ボタンを押します 1 JDK とは Java Development Kit の略称で Java の開発キットを指しています これに対して 開発用ではなく Java プログラムを実行するためのものを JRE(Java Runtime Edition) と呼びます いずれも Sun Microsystems のウェブサイトよりダウンロードできます 2 ウェブページを表示するためのウェブサーバを拡張し Java 等のウェブアプリケーションを実行するためのサーバです Tomcat は Apache Software Foundation が開発するウェブコンテナ ( アプリケーションサーバ ) です - 3 -
3 システム環境変数 3 欄で [ 新規 ] をクリックし 変数名に JAVA_HOME 値に JDK のインストールディレクトリを指定します 4[OK] ボタンを押していきます 以上で JDK のインストールは完了です 3 管理者権限のないユーザアカウントではシステムの環境変数を変更することはできません かならず管理者権限のあるユーザアカウントで実行してください - 4 -
手順 2:Tomcat のインストールここでは Windows 用の Tomcat 5.5.26(apache-tomcat-5.5.26.exe) を元に インストール方法を説明しています 1 インストーラを起動し [Start] をクリックします 2 License Agreement が表示されます 問題がなければ [I Agree] ボタンを押します 3 インストールタイプを指定します 特に問題がなければデフォルトのままで構いません - 5 -
4 Tomcat のインストール場所を選択します このドキュメントでは C: Program Files Apache Software Foundation Tomcat 5.5 というフォルダにインストールするようにしています 5 HTTP サーバのポート番号および管理者用のログイン名 パスワードを指定します ポート番号は必ず他のアプリケーションが利用していない番号を選択してください ポート番号は後ほど MapleNET のインストールの際に必要な情報となります かならずメモを残しておきましょう Password を設定 ( たとえば admin) - 6 -
6 JDK のインストールされている場所を指定します ここでは C: Java jdk1.6.0_07 を指定しています jre1.6.0_07 から jdk1.6.0_07 に変更 7 [Install] を押すと Tomcat のインストールが開始されます - 7 -
8 [Finish] を押すとインストールが完了します ここでは Run Apache Tomcat と Show Readme のチェックをはずしてあります - 8 -
手順 3:MapleNET のインストール本ドキュメントでは MapleNET 12 のインストール方法について述べています 以前のバージョンの MapleNET とは若干異なる部分がありますのでご注意ください MapleNET サーバをセットアップするには 次の 2 つの手順が必要です 1. Maple 12 のインストール 2. MapleNET のインストール ここでは すでに Maple 12 はあらかじめインストールされ アクティベーションが完了しているものとします Maple 12 のインストール方法の詳細については サイバネットシステム ( 株 ) のウェブサイトを参照してください 1 MapleNET のインストール CD-ROM をドライブにセットします インストーラが自動で起動します インストールダイアログが表示されたら [Next] をクリックします Next をクリック - 9 -
2 MapleNET のインストール場所はかならず Tomcat のインストールされたディレクトリに基づかなければなりませんので注意してください ここでは Tomcat は C: Program Files Apache Software Foundation Tomcat 5.5 へインストールされているとしているので このディレクトリをダイアログのテキストフィールドに記入します Tomcat のインストールディレクトリを指定 3 Tomcat でのウェブアプリケーションの保存場所を指定します 通常 Tomcat のインストール先を $Tomcat とすると ウェブアプリケーションは $Tomcat/webapps へ保存されることとなります - 10 -
4 アプリケーションサーバのサーバ名と HTTP ポート番号を指定します サーバ名はマシン名でも構いません なお ポート番号は必ず Tomcat のインストールの際に指定した番号でなければなりません (Tomcat をデフォルトでインストールした場合 80 番となります ) ここでは 8080 を入力します HTTP port: に 8080 を入力 5 MapleNET が どの Java VM( 仮想マシン ) を使用するかを指定します かならず JDK の JavaVM を指定するようにしてください (JRE の JavaVM ではありません ) このドキュメントでインストールした JDK のディレクトリに基づくと C: Java jdk1.6.0_07 bin java.exe となります Choose Another をクリックし 該当ファイルを選択 - 11 -
Next をクリック - 12 -
6 インストーラで指定した情報のサマリが表示されます これで問題がなければ [Install] のボタンを押します 7 MapleNET のインストールが開始されます 8 MapleNET が問題なくインストールできたことを説明するダイアログが表示されます 以上で MapleNET のインストールは完了です - 13 -
3.MapleNET の起動 JDK Tomcat( またはアプリケーションサーバ ) および MapleNET のインストールが完了したら さっそく MapleNET を使ってウェブアプリケーションの実行を確認してみましょう Tomcat の実行 Tomcat をインストールした最後で [Run Apache Tomcat] にチェックが付いていた場合はすでに Tomcat はお使いのコンピュータ上で起動しています [Run Apache Tomcat] にチェックを付けていなかった場合は 以下の手順に従って Tomcat を起動します 1 Windows の [ スタート ] メニューから [ プログラム ] [Apache Tomcat 5.5] プログラムグループをポイントし [Configure Tomcat] を選択します 2Apache Tomcat Properties ダイアログが表示されたら [General] タブを選択し [Start] ボタンを押します 3[Start] ボタンが押されて Tomcat の起動がはじまります 以上の操作で Tomcat がお使いのコンピュータで起動しました MapleNET をインストールする前に Tomcat が起動していた場合は Tomcat を一旦停止 (Stop ボタンを押す ) し 再度 Tomcat を起動してください - 14 -
アプリケーションサーバ (Tomcat) の起動を確認する Tomcat が起動していることを確認するためにブラウザ (Internet Explorer または Mozilla 等 ) を起動します ブラウザが起動したら アクセスバーのフィールドで以下の URL を記述します http://localhost:8080 または http://< サーバ名 >:< ポート番号 > サーバ名は Tomcat のインストールの際に指定した名前を入力してください ポート番号は Tomcat のインストールの際に指定した番号でなければなりません 下の図のようなページが表示されれば 問題なく Tomcat は起動しています Tomcat サーバのトップページへアクセスした場合 MapleNET サーバの起動を確認する次に MapleNET が正しくインストール 動作しているかを確認するために アクセスバーのフィールドで次の URL を入力します http://localhost:8080/maplenet/ または http://< サーバ名 >:< ポート番号 >/maplenet 次の図のようなページが表示されると MapleNET がインストールされていることを確認できます - 15 -
なお このページは $Tomcat webapps maplenet index.html に実体が保存されています 続けて MapleNET のアプリケーションが起動するかを確認します まず [Test MapleNet] のリンクをクリックしてサンプルのトップページへアクセスしてください [Test Server Connection] をクリックしサーバとの接続を確認 - 16 -
MapleNET で提供される 4 つのアプリケーション利用形態の動作確認 MapleNET では 次の 4 種類の形態でウェブアプリケーションの構築を行うことができます 1 Java Applet: Java 言語でクライアントから MapleNET サーバの Maple エンジンを利用する 2 JSP(Java Server Pages): サーバ側で処理を実行しクライアントへ結果だけを返す 3 Maplet( メイプレット ): Maple が用意する GUI 言語を用いてクライアントからサーバを利用する 4 Maple Worksheet: ワークシートを MapleNET サーバへ設置しクライアントからのアクセス時に自動変換を行う それぞれのサンプルは上記のサンプルページに用意されています 適宜利用して動作するかを確認してください 例えば 以下は [Test Worksheets] サンプルの中にある [Plot Example] を実行した例です 各サンプルの実体 ( ソースコードやページ等 ) は $Tomcat webapps maplenet samples 内に用意されています - 17 -
4. ワークシートの共有とウェブブラウザ上での閲覧 MapleNET の特徴のひとつは Java や Perl などのウェブアプリケーション開発言語を知らなくても手軽に計算用アプリケーションやドキュメントをウェブコンテンツとして開発することが出来ることにあります ここでは Maple Worksheet をどのようにウェブコンテンツに変換できるかについて説明します この節で行う手順は以下の 2 つです ; 1 自作のワークシートを用意して MapleNET サーバへ設置する 2 クライアントのブラウザからアクセスする たったこの 2 つの手順だけで 手軽に計算用ウェブアプリケーションが開発できます 自作のワークシートを用意して MapleNET サーバへ設置する 1Maple を起動します ここでは Maple 12 を利用しています なお ここではワークシートモードで新規ファイルを開き Maple Input 形式でコマンドを入力していきます 2 次の 2 つのコマンドを入力し 実行します > plot(sin(x), x=-3..3); > plot3d(x^2-y^2, x=-1..1, y=-1..1); 3 適当なフォルダおよびファイル名 ( ここでは test_plot.mw とします ) でワークシートを保存します 4 保存したワークシートを以下のフォルダへコピーします $Tomcat webapps maplenet samples worksheet ここで $Tomcat は Tomcat をインストールしたフォルダです - 18 -
以上でコンテンツの作成とサーバへの設置は完了です 続けて ブラウザでのアクセスを実施します クライアントのブラウザからアクセスする 1 ブラウザで以下の URL をアクセスフィールドに入力し Enter キーを押します http://localhost:8080/maplenet/samples/worksheet/test_plot.mw test_plot.mw の部分を自身のワークシートファイル名に変更してください 2 ブラウザ内でワークシートが同じように表示されることを確認してください - 19 -
なお グラフ上で右クリックすることで 軸の有無 設定や色の変更などが可能です 3 次元グラフについてはマウスドラッグにより回転することができます ブラウザで閲覧した場合 記載されているコマンドを編集することはできません ワークシートを MapleNET サーバで自動でウェブ化した場合 ワークシート上部に自動的にツールバーが配置されます 例えば [Save] メニューは閲覧中のコンテンツのワークシートをローカルマシンにダウンロードするためのメニューです - 20 -
5. パラメータを変更できるコンテンツの作り方 Maple ワークシートには ユーザが操作するための GUI コンポーネントを配置することができます GUI コンポーネントを含んだワークシートを MapleNET サーバに設置しても MapleNET は自動的にコンテンツを解釈してウェブ上で利用可能なコンテンツへ変換することが可能です この機能を利用することで ユーザからの入力や操作を受け付けられる対話型ウェブアプリケーションを手軽に開発することができます 対話型 GUI コンテンツの作成 1Maple を起動したらドキュメントモードで新規ファイルを開き パレットの [ コンポーネント ] を表示します - 21 -
3 プロットコンポーネントとスライダー 2 つを下図のように配置します コンポーネントを配置するにはマウスでドラッグします 3 左側のスライダーの上でマウスの右ボタンをクリックし [ コンポーネントプロパティ ] メニューを選択します - 22 -
4[ 値が変わったときの動作 ] の [ 編集 ] ボタンを押します - 23 -
5 コードを記述するダイアログが表示されたら コメントラインの後に次の赤枠部分のコマンドを記述します ここで上記は a, b は Slider0( 左側のスライダー値 ) Slider1( 右側のスライダー値 ) を割り当て それらの値から Plot0 へ plot コマンドによりグラフを描画する処理を記述しています コードを記述したら [OK] ボタンを押します 5 Slider Properties のダイアログに戻ったら [ ドラッグ時に値を自動更新 ] にチェックを入れます - 24 -
7 右側のスライダーについても 3~6 までの手順と同じ処理を記述します 8 両方のスライダーの設定が終わったら 実際にスライダーを動かしてみます 下図のようにグラフがリアルタイムに変化すれば問題なく完成しています 9 完成したワークシートを適当な名前で保存します ( ここでは test_plot_with_sliders.mw とします ) 10 先程の場合と同様に MapleNET のワークシートフォルダへコピーします - 25 -
以上で 対話型のコンテンツの作成と MapleNET への設置が完了しました ブラウザを起動して以下の URL へアクセスすることで同様のウェブアプリケーションをブラウザ上で実行することができます http://localhost:8080/maplenet/samples/worksheet/test_plot_with_sliders.mw test2.mw をブラウザで利用 ( スライダー値を変更 ) このように GUI コンポーネントを操作することで対話的にパラメータを変更することが可能なウェブアプリケーションを手軽に開発することが可能です - 26 -
6.MapleNET サンプル 開発元 Maplesoft 社のウェブサイトには様々な MapleNET サンプルが掲載されています ワークシートをダウンロードすれば自身の MapleNET サーバでも実験 カスタマイズすることが可能です ぜひお試しください MapleNET Interactive Demonstrations http://www.maplesoft.com/demo/maplenet.aspx MapleNET または Maplesoft 製品についての技術的なご質問は以下のサポート担当までお問い合わせください Maple テクニカルサポートリクエストフォーム http://www.cybernet.co.jp/maple/support/tech_support.shtml - 27 -
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