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UAV 空撮画像における 3 次元モデリング (SfM/MVS) ソフトウェアの形状特性比較 阪南大学 北川悦司 北川悦司 博士 ( 情報学 ) 自己紹介 阪南大学経営情報学部教授 23 歳の時に IT ベンチャー企業を起業 約 12 年間で様々な業務をこなす 現在は個人事業主として企業と共同研究や受託開発などを行っている専門分野 :IT 全般 写真測量,3 次元点群処理, 画像処理,SLAM その他, 様々なシステムやアプリを開発 1

背景 地上分解能が小さい空中写真を容易に撮影できる手段として UAV (Unmanned Aerial Vehicle) が注目 UAV 画像を用いた 3 次元計測には SfM( Structure from Motion) と MVS(Multi-View Stereo) 技術を用いた 3 次元モデリングソフトウェアがよく利用される Pix4D,PhotoScan(2019 年 1 月以降は Metashape) など SfM とは Structure from Motion の略で, 複数枚の写真からカメラの撮影位置と撮影角度を求める技術 つまり, 写真測量のこと基本的な流れは, 画像処理などで対応点 ( 各写真の同じ場所 ) をもとめ, バンドル法などで写真測量する 2

SfM の画面キャプチャ (Pix4D) MVS とは Multi-View Stereo の略で,SfM の計算結果 ( カメラの撮影位置と撮影角度 ) を用いて, 点群を大量に生成する技術 基本的な流れは,SfM の結果を用いて画像処理などで対応点を生成し, 三角測量で点群を発生する Pix4D や PhotoScan は, SfM/MVS ソフトウェア や SfM ソフトウェア, 写真測量ソフトウェア などと呼ばれる 3

研究の目的 3 次元モデリングソフトウェア (SfM/MVS) はそれぞれに特徴があると言われているが, その特徴を明確にした報告は少ない どのソフトウェアの精度が良いの? の場合, どれを使えばいいの? など そこで 近年よく利用されている Pix4D と PhotoScan の 2 つのソフトウェアについて, 比較実験を行い, 特徴を明らかにすることを目的とする 既存研究では, 研究内容 検証点における定点の評価のみで,3 次元形状の比較はあまり行われていないレンズ補正式の比較方法が間違っている 本研究では, そこで SfM における検証点の評価 レンズ補正式の違いの明確化 MVS における 3 次元形状の比較 4

実験データ 場所 GCP 撮影 度地上分解能枚数標定点 検証点 データ1 宮城県気仙沼市 約 40m 約 1.0cm 144 5 点 7 点 岡 県児島湾 拓地データ2 海岸保全施設 約 40m 約 0.5cm 517 5 点 17 点 福岡県宗像市データ3 グローバルアリーナスタジアム 約 150m 約 2.5cm 64 5 点 なし データ 1 の画像 データ 2 の画像 データ 3 の画像 実験内容 (SfM/MVS ソフトウェア設定 ) 利用ソフトウェア Pix4DmapperDesktopVer.4.1.24 PhotoScan ProfessionalVer.1.4.1.5925 処理フロー SfM( カメラ位置算出 GCP 設定 カメラ位置再計算 ) MVS(3 次元点群生成 ) 画像サイズ カメラ位置算出時は 1/1, 点群生成時は 1/2 の設定 GNSS(Exif) 情報 PhotoScanの場合のみ精度が悪くなったため,GPS 情報は削除して利用しなかった 5

SfM 処理の比較 検証点における 3 次元座標の精度比較 高さ成分については, MVS の箇所で詳細説明 GCP 場所 撮影 度地上分解能枚数標定点 検証点 データ1 宮城県気仙沼市 約 40m 約 1.0cm 144 5 点 7 点 岡 県児島湾 拓地 データ2 海岸保全施設 約 40m 約 0.5cm 517 5 点 17 点 平成分 (XY) RMSE さ成分 (Z) RMSE 全成分 RMSE 標定点残差 PhotoScan 0.051 0.036 0.063 データ1 Pix4D 0.027 0.033 0.043 PhotoScan 0.027 0.010 0.029 データ2 Pix4D 0.006 0.008 0.010 検証点残差 PhotoScan 0.054 0.053 0.075 データ1 Pix4D 0.041 0.044 0.060 PhotoScan 0.025 0.024 0.034 データ2 Pix4D 0.006 0.033 0.033 今回のデータでは Pix4D の方が精度的には同等もしくは高精度 標定点 (GCP) Pix4D の方が高精度 水平成分 ( 検証点 ) Pix4D の方が高精度 高さ成分 ( 検証点 ) データ 1 では Pix4D データ 2 では PhotoScan が高精度となった 6

レンズディストーション補正式の比較 国土地理院の研究報告では, 日本測量協会のカメラ検定結果を固定値として比較 精度が著しく低下することを指摘 しかし 写真測量の理論上このように著しく低下することは考えられない 筆者らは測量協会と各ソフトウェアのレンズ補正モデルが異なると推測 マニュアルの調査や実験などでアルゴリズムを比較 レンズ補正モデルの比較結果 補正モデル 変換 向 座標の単位 主点位置の表現 法 測量協会 Australisモデル 補正前 補正後正規化なし 主点位置の座標 PhotoScan Australisモデル 補正後 補正前 fで正規化 中 からのオフセット Pix4D Australisモデル 補正前 補正後 -fで正規化 主点位置の座標 測量協会 Pix4D の変換式線形の変換のため数学的に作成可能測量協会 PhotoScan の変換式 非線形の変換のため数学的に不可能なので, 別途アルゴリズムの検討が必要 測量協会のレンズ補正パラメータを SfM ソフトに入力する場合, 変換式で変換してから入力する必要がある 7

MVS 処理の比較 PhotoScan のフィルタリング処理 精度比較する上で把握しておかなければならない重要な項目深度フィルタ (Depth filtering modes) PhotoScan にのみ存在する処理 3 次元点群生成時に行っている 強いフィルタリングを行うほど, 信頼性の高い点だけが残る代わりに細部の点群が失われる可能性がある デフォルトでは 強 が選択されているが, 細部の点群が必要であれば 弱 を選ぶことが推奨されている. 無効 も設定できるが, ユーザマニュアルで推奨されていない. 無効 は精度がかなり悪かったので, 強 と 弱 で Pix4D と比較 8

深度フィルタの特性 1 弱 の方が, 形状がおかしい点群が発生しやすい. 特に, 細かい凹凸がある場所がおかしくなりやすく, 見た目は 強 の方がかなり良い. 深度フィルタ弱 深度フィルタ強 深度フィルタの特性 2 深度フィルタ強 ( 照明が削除されている ) 深度フィルタ弱 ( 照明の点群が存在する ) 9

深度フィルタの特性 2 点群が少ない構造物 ( 特に平面になっていない電柱など ) は深度フィルタ 強 で処理した場合, 削除される可能性が高い. 深度フィルタの特性 3 ほぼ直線 データ 3( 分解能 :2.5cm) の観客席画像 ( 断面図作成部分 ) PhotoScan 強 強よりは段差あり 一番段差あり PhotoScan 弱 Pix4D 10

深度フィルタの特性 3 強 の方が, 点群がより平滑化されるので見た目はよくなるが凹凸を若干表現できなくなっている. 強, 弱, 無効 のどれを選択しても, 凹凸がかなり平滑化されてしまい変異抽出を行いにくい Pix4D と PhotoScan の比較と考察 11

高さの揺れについて 点群の高さの揺れ データ 2( 地上分解能 : 約 0.5cm) のコンクリート部分の点群の平面の揺れを調査 この部分の断面図を作成 12

Pix4D 点群の高さの揺れ ~Pix4D~ 約 1cm(2 ピクセル程度 ) の揺れが生じる PhotoScan 点群の高さの揺れ ~PhotoScan~ 凹凸が出やすい 弱 のフィルタでも揺れはない写真測量以外に平面形状の特性などを用いて点群を生成している可能性大 13

細かい凹凸の変異について PhotoScan( 深度フィルタ弱 ) PhotoScan( 深度フィルタ強 ) Pix4D 14

変異が平滑化される例 ほぼ直線 データ 3( 分解能 :2.5cm) の観客席画像 ( 断面図作成部分 ) PhotoScan 強 強よりは段差あり 一番段差あり PhotoScan 弱 Pix4D 実寸との比較 (PhotoScan 弱 ) 88.5 PhotoScan 88 87.5 87 86.5 86 0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 4.5 5 PhotoScan 実寸 15

実寸との比較 (Pix4D) Pix4D 変異抽出 ~ 細かい凹凸 ~ 点群の高さ精度の揺れ ( 地上分解能 2 ピクセル程度 ) 以上の変異は抽出可能 揺れより小さい変異を抽出したい場合は,Ransac 法などで, 揺れを取り除く必要がある PhotoScan 上手く形状を表現できない場合がある見栄えは良くても平滑化されてしまうため, 変異が抽出できない場合がある 16

その他の変異の抽出について 小さい変異抽出 ~ 天端の段差 ~ データ 2( 地上分解能 : 約 0.5cm) の堤防の段差 2cm の部分について, 検証した. 堤防の天端の段差 (2cm) 板が見にくいため画像上に線を描画 17

小さい変異抽出 ~ 天端の段差 PhotoScan~ 段差が出やすい深度フィルタ弱でも段差が1cmになっている上下とも地上分解能 (0.5cm) 分丸まっている地上分解能に近い数値の場合は, 変異が消える可能性がある 小さい変異抽出 ~ 天端の段差 Pix4D~ 2cmの段差を表現できている点もあるが, 上下 1cmの揺れがあるため段差 1cm~2cmと判断せざる負えない高精度に取得するには,Ransacなどで点群が多い箇所などを抽出して揺れを削除するなどの点群処理を適用する必要がある 18

大きい変異抽出 ~ 地面の窪み ~ データ 2( 地上分解能 : 約 0.5cm) の地面の段差 15cm の部分, 幅 70cm について, 検証した. 地面の窪み ( 深さ 15cm, 幅 70cm) 大きい変異抽出 ~ 地面の窪み PhotoScan~ 段差は約 14cm であり, 小さい変異と同様に, 地上分解能 (0.5cm) 2 の 1cm 丸まっている. 地上分解能より, かなり大きい変異であれば抽出可能 約 14cm 19

変異抽出 ~ 地面の窪み Pix4D~ 15cm± 揺れ 1cm となっているため, 小さい変異と同様に, より高精度を求めるのであれば, 別途点群処理が必要になってくる. 約 15cm 点群の発生箇所について 20

点群の発生箇所 ~ 点群のごみデータ ~ PhotoScan 対応点マッチング以外に平面形状などを利用していると想定されるため, 写真に写っていない箇所にもゴミの点が多く発生する. Pix4D 1 点 1 点対応点マッチングして写真測量をしていると想定されるため, 画像に写っていない部分に点が発生しにくい. 点群の発生箇所 ( 堤防 ) 影について 21

Pix4D 影について 一般的な写真測量と同様に, 撮影位置や角度によって形状が異なる影に若干弱いことがわかった PhotoScan 平面の形状特性などを利用していると思われるため, 影の影響は受けにくい. Pix4D PhotoScan 強 まとめ (Pix4D) 1 点,1 点対応点取得し, 写真測量で行っている 高さ精度に揺れがあるため見栄えは若干よくないが, 変異を抽出できる. 点群精度が安定している. 平面精度は安定している 揺れはあるものの, ほぼすべての形状で安定的に 3 次元点群を生成でき, 間違った点が影や水, ガラス以外に発生しにくい 影の点群精度が悪くなる. 22

点群密度が多い まとめ (PhotoScan) 平面形状の特性を利用して点群を発生させている. フィルタリングも行っている. 見栄えは良くCGなどに向いているが, 変異が丸められ測量や変異抽出には形状によっては不向き点群精度が悪くなる場所がある平面の延長上などに間違った点が発生する場合がある. 細かい凹凸がある箇所が上手く計測できないことがある. など平面以外の構造物が捨てられることがある. 照明や電柱など PhotoScan まとめ 詳細な形状が必要ないCGなど見栄え重視の場合に向いている Pix4D 見栄えはPhotoScanに劣るが, 測量など詳細な形状が必要な場合に向いている点群処理が別途必要な場合あり 23

地上写真での実験 机 (PhotoScan) 24

机 (Pix4D) フィギュア (PhotoScan) 25

フィギュア (Pix4D) 屋外 (PhotoScan) 26

屋外 (Pix4D) パイプ 27

パイプ (PhotoScan) パイプ (Pix4D) 28

地物の分類 (Classification) Classification とは 今までの点群は, 座標と色情報のみであったが, そこに地物の分類 ( 建物, 道路など ) を付与すること 各点に分類番号が与えられる SfM/MVS ソフトウェアに実装されている Pix4D は昨年から,PhotoScan は Metashape に名前が変更された 2019 年 1 月から Pix4D: 地形, 高い植生, 建物, 道路, 車, 人工物 Metashape: 地形, 植生, 建物, 道路, 車 29

アルゴリズム (Pix4D) ~Metashape もほぼ同じと思われる ~ 機械学習で行っている ( ディープラーニングではない ) 学習方法は,GBT(Gradient Boosted Trees) 幾何情報 (X,Y,Z) と色情報 (R,G,B) を入力データとしている幾何情報は固有値, 固有ベクトルをベースに学習させるデータを作成している!! 色情報は,RGBではなく,HSVで学習させる マルチスケールで計算 ( 徐々にダウンサンプリングしていく ) したものを学習させていく. 学習パラメータ (Pix4D) ( 論文より抜粋 ) 各点において, 右の値を設定したマルチスケール単位で計算して, 機械学習している 右の値数 マルチスケール数 点群数の値を入力データとして, 機械学習している 30

SLAM について SLAM とは Simultaneous Localization And Mapping の略で, 自己位置推定 ( 撮影位置を求める ) と, 地図作成 (3 次元点群生成や平面抽出など ) を同時にリアルタイムで行う技術 近年, スマホなどのタブレット型端末で実現できるため, 非常に注目されている Apple 社の ARKit Google 社の ARCore など 31

SLAM の種類 SfM/MVS と SLAM の違い 基本的な概念は同じだが, リアルタイムかどうかが大きな違い!! SLAMはリアルタイムに行うために, 計算を工夫している. 9 軸センサが重要!! 精度は,SfM/MVS ソフトウェアの方が絶対に良い!! 理論的に. 32

ARKit について ~ARCore もほぼ同じ ~ ARKitは,Appleの製品のみで動作する ARCoreは, 多くの製品 (Appleも含む) で動作する 画像等の引用先 : https://developer.apple.com/videos/play/wwdc2018/610/ アルゴリズム (1) ~9 軸センサを用いた自己位置推定 ~ 9 軸センサ ( 加速度, ジャイロ, 地磁気 ) を用いた, 全フレームにおけるカメラの位置と角度を算出する. センサフュージョン (3つのセンサの結合) には, クォータニオン (4 元数 ) を用いたMadgwickフィルタを用いるのが今は主流 33

アルゴリズム (2) ~ 写真測量で自己位置を補正 ~ 理想は写真測量で自己位置を計算したいが, リアルタイムではできない. そのため, リアルタイムは 9 軸センサに任せ, 写真測量を補正に利用している. つまり,ARKit などの SLAM で発生させた点群は, 随時補正されるため, 移動する. 周回で撮影して, 初めの位置に戻ったときなども補正される 全体のフロー 34

35

ARKit を用いた SLAM の実行結果 発生させた点群の数 カメラ位置 カメラの角度 上記の値などを毎フレーム簡単に取得できる!! 補正されてそれぞれの値が移動する点に注意が必要 平面抽出もできる 36

物体検出もできる ご清聴ありがとうございました 37