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University of Groningen Large-scale filaments and the intergalactic medium Kooistra, Robin Rinze IMPORTANT NOTE: You are advised to consult the publisher's version (publisher's PDF) if you wish to cite from it. Please check the document version below. Document Version Publisher's PDF, also known as Version of record Publication date: 2018 Link to publication in University of Groningen/UMCG research database Citation for published version (APA): Kooistra, R. R. (2018). Large-scale filaments and the intergalactic medium. [Groningen]: Rijksuniversiteit Groningen. Copyright Other than for strictly personal use, it is not permitted to download or to forward/distribute the text or part of it without the consent of the author(s) and/or copyright holder(s), unless the work is under an open content license (like Creative Commons). Take-down policy If you believe that this document breaches copyright please contact us providing details, and we will remove access to the work immediately and investigate your claim. Downloaded from the University of Groningen/UMCG research database (Pure): http://www.rug.nl/research/portal. For technical reasons the number of authors shown on this cover page is limited to 10 maximum. Download date: 06-07-2020

博士論文概要 観測可能な宇宙全体において そこにある銀河やガスなどの物質は様々な形状を取っていることが明らかになってきた それは塊 ( 銀河団など ) であったり 比較的薄くかつ広い面積を占める 壁 であったり それらを繋げる繊維 ( フィラメント ) のようなものであったりする そして それらの合間には ほぼ何も存在しない void と呼ばれる空間もまた存在する 銀河などを結ぶ コズミックウェブ は フィラメントの形成する広域な形が蜘蛛の巣に似ているため そう呼ばれている (Fig. 2) 銀河はこうしたフィラメント内に誕生することが多い 銀河外に放出されたガスは銀河間物質 (IGM) と呼ばれる 大きなフィラメン 60 10 1 y (h 1 Mpc) 50 40 30 20 10 0 0 10 20 30 40 50 60 x (h 1 Mpc) 10 0 10-1 δ Fig. 2: シミュレーション内のコズミックウェブ 濃色のピクセルにより IGM 内の高密度が示されている

166 博士論文概要 トが含む IGM はほとんどが水素とヘリウムで形成されており ガスの交換を通して銀河の進化に影響を与える さらに フィラメントから銀河に流入するガスは銀河内の星形成を引き起こすこともある 現在 宇宙全体は高度にイオン化されており イオン化されていないガスの貯蔵は銀河内 あるいは希薄な IGM 内にあるのみである イオン化されていない IGM は密度が低く 測定するのは容易ではない しかし 技術の進歩により望遠鏡の感度は上がりつつあり 新しい観測方法を用いることで中性ガスで構成された IGM からの微弱な輝線の観測も可能になりつつある この論文では現在行われているサーベイと近い将来行われる予定のサーベイが IGM の温度とイオン化状態をどこまで明らかにし 広域フィラメント内に存在する低質量銀河の含む水素量とそれらの紫外線放射率をどこまで測定できるかを推定する このような検出は IGM 内部の物理状態や それらの銀河の誕生と進化との関係を把握するのに非常に貴重な知識となる これらの観測では水素ガスの紫外線波長での Lymanalpha 線や 水素ガスの電波波長での 21cm の輝線を利用したフィラメントのマッピングが用いられる 微弱な放射をどうやって測定するかについて この章では 21cm の輝線を利用した方法を提示する 既存観測データを用い 明るい銀河が存在することが確認されている場所をたどってフィラメントの存在をまず把握し そこから微弱な光を放つ銀河や IGM からの微弱な放射を 推測されたフィラメントに沿って統合して測定する という方法である 第 2 章では intensity mapping と呼ばれる Lyman-alpha 線をマッピングするための観測セットアップを提案する このようなマップを使用することで 宇宙の含む水素ガスの広域な分布に関して 銀河サーベイを使用するより多くの情報を得ることができる ここでの目標は 銀河からの放射 IGM からの放射を共に検出するためにはどのような装置が必要なのかを把握し さらにこの二つの成分を区別するために必要な感度と分解能を計算することである 銀河からの放射と IGM からの放射を区別するためにはデータ中の明るい銀河を含むピクセルを全てマスクする必要があり そのため これらの明るい銀河を計測するための補足的なサーベイが必要となってくる この章では 次世代の紫外線望遠鏡が有すると期待される感度によりこのような測定が可能になることを示す 第 3 章ではこの論文の後半の基盤となる部分をまとめてある IGM が含む水素の 21cm のシグナル のモデルを紹介し シミュレーションを使って現実的な大規模フィラメントを探す方法を紹介する z = 0.1

博士論文概要 167 での検出を可能にするため 各フィラメント内の 21cm の放射を重ね合わせることを提案する フィラメントが視線方向を向いた場合に限られるが 近い将来建設される望遠鏡や既存望遠鏡のいくつかは フィラメント内の 21cm 放射強度が最も強い場合には妥当な時間内にそれが検出可能であるということを示した さらに 視野の広い望遠鏡や広域サーベイを用いれば多数のフィラメントをトレースできることから 先のフィラメントと視線方向が一致するという仮定を置かなくても 検出可能であることを明らかにした 第 4 章では第 3 章で取り上げた望遠鏡の中で一番感度の高い Square Kilometer Array (SKA) に焦点を当てた ショックやローカルな熱源 (AGN や銀河 ) による加熱など 現実的な天体物理的プロセスを含んだシミュレーションを利用し 宇宙紫外線背景放射の輝度の不確実性も考慮した これにより フィラメントからの平均シグナルが第 3 章で提示したものより十分の一から百分の一程度となった しかし 既存銀河赤方偏移観測から想定されるフィラメントのデータを利用することで SKA のような強力な望遠鏡なら付近に存在する少数のフィラメントでも観測が可能なことを明らかにした SKA の次段階が利用可能になればさらに多くのフィラメントをプローブできるようになり フィラメント内の IGM の環境を統計的に調査することも可能になる 第 5 章では第 2 章や第 3 章で IGM に使われた方法を用い 微弱な光を放つ銀河からの放射を フィラメントを追跡する形で観測できるかを評価した ここで比較したのは Apertif medium deep survey のように電波望遠鏡を使ったサーベイと Sloan Digital Sky Survey (SDSS) のように光学 / 赤外線望遠鏡を使ったサーベイが どのように どこまでコズミックウェブを追跡できるかである 結果 SDSS は大まかな形をトレースすることができるが Apertif はその倍ものフィラメントを見つけることができ 比較的若い銀河も多くトレースできることが分かった さらに 通常であればノイズが隠してしまう微量な水素ガスも 検出限界を少々下回る微弱な光を放つ銀河からの放射を重ね合わせることで Apertif では測定できることを示した 最終章では 全体のまとめと 将来の展望について述べた

168 博士論文概要