JST News Vol.3/No.3 2006/June 6 03 C O N T E N T S People Japan Science and Technology Agency 04 08 10 12 14 Special Report Information R&D Venture Trend 15 16 Column Entertainment
JST News vol.3/no.3 3 V-D-J V-D-J People
4 Special Report
5 JST News vol.3/no.3
6 1 3 T T 2 IRAK-4 2 NF-KB IRAK-4 NF-KB Th1 Th2 3 B B
BCG-CWS4 10 7 JST News vol.3/no.3
8 Information
Science 9 JST News vol.3/no.3
10 R&D
JST News vol.3/no.3 11
12 Venture
ある 牛などの血清を使わない細胞 の人たちに分かってもらわなくては 培養法である 脱血清培養法 は 牛 意味がない そのために必要なのが BDNF 脳由来神経栄養因子 海綿状脳症 BSE による汚染の危険 戦略 だという があるBDNF は歯周病治療法として 期待されている 右図 血管新生促進 作用なし のない安全な方法として また 歯 槽骨や歯周靭帯の細胞を増やす効果 促進 迷わずやってみよ! 小規模な試みを! 血管内皮細胞 なかでも重要なのが フィージビ BDNF は 2 0 0 5 年 5 月 米国の大 リティ つまり試しにやってみるこ 手歯科用品会社のデンツプライへの とだ 売れるか売れないかなんて本 ライセンス供与が決まり ツーセル 当のところは分からない ならば考 はデンツプライから5 年間にわたって えてばかりいないで売ってみればい 数千万円の研究資金提供を受けるこ い 試しに売ってみることで 世の と さらに事業化後は売り上げの 5% 中がその製品を本当に必要としてい のロイヤルティーを受け取ることに るかどうかが分かる そして 市場 なった これにより ツーセルの事 があることが分かったら 販売規模 13 上皮細胞の増殖 セメント芽細胞 骨芽細胞 分化 増殖 歯周靱帯細胞 BDNF による歯周組織 歯槽骨 セメント質 歯周靭 帯 の再生 業は世界を舞台に展開し始めている を拡大するという戦法だ それに 自 分が良いと思うものは売れる という Death Valley を 乗り切るために 自信もある ていく上でも Feel 感じること が フィージビリティ の意義はもう 大事だと考えている 医療をやる限 世界の海に漕ぎ出したツーセルだ 一つある それは 製品の旬を逃さ り患者さんの痛み 辛さを感じなけ が その航海は順風満帆だったわけ ないこと 製品はどれも 研究を始 れば研究をしている意味がない と ではない JST のプレベンチャー事 めたときがいちばん旬で 時間が経 社員たちも教育してきた この 感じ 業として資金援助を受けていた頃の てばそれだけ時代遅れになるという る は 皆が必要としているものは何 ことを 辻さんはこう振り返る 研 のが辻さんの考えだ だから ツー か? というニーズを見極めるツーセ 究開発に専念できたが 同時に支援 セルの製品はどれも特許を提出した ルの目にもなっている 期間を終えた後 どうしたら Death 後 できるだけ早く売り出してきた さらに 辻さんはこう話す 僕た Valley 死の谷 に陥らずに乗り越 ベンチャー企業の成功の鍵は 時代 ちがテーマにしているのは再生する えられるかを考えていた Death の流れを読み解く鋭い目と素早い行 広島なんです 広島は 6 1年前に原爆 Valleyとは 起業してから 3 4 年間 動だということだろう によって完全に破壊されました そ のことで 多くのベンチャー企業が この時期に 販売に結びつく製品開 発や資金繰りにつまずいて失敗する とされる この Death Valley に陥ら こから再生してきたんです 人間の 被爆地 広島 のエネルギー 体にも 破壊されると再生しようと 休日に愛するものの絵を描くのが する力がありますが 破壊は再生に 趣味だという辻さんは 事業を行っ とって重要です 広島発の再生医療 ないために必要なものは お金でも時 の技術には 破壊された土地だけが 間でもない 戦略だ と辻さんは自ら 持つことのできる ある種のエネル の経験を語る ギーがこめられている だからこ 例えば 最近問い合わせが 増え そ 広島の再生医療を世界に発信し ている製品に Aml がある Aml は ていくことにこだわりたい 帰り際 口中の細菌層にいる 2 種類の虫歯菌 には ぜひ 原爆ドームに行ってみな だけを溶かす安全な薬で 歯に塗る さい 何か得られるはずですから と虫歯を防ぐことができる 辻さん と付け加えた は この薬を お母さんと子供が一 社名の ツーセル は 2 つの細胞の 緒に塗れば虫歯にならない として売 意味 マークはその 2 つの細胞を並 り出すことにした 少子化が社会問 べて無限大の数学記号を模しており 題となり子供の健康が重要視される 無限の可能性 という願いが込めら 時代 親子ともに歯のケアが大事に れている 前ページの図 その可能 なると考えたからだ 自分で良いと 性の源は広島という土地に秘められ 思うものしか扱わないという辻さん だが 良いものであることを世の中 小さくなった 2 代目 ゆりかご これで市場の拡大 を狙う ている と感じられる取材だった サイエンスライター 池田亜希子 JST News vol.3/no.3
14 Trend
15 Column
大発明や大発見は 偶然という幸運に巡り会ったときに成し遂げられることが多いようである 今回紹介する発明王エジソンも この幸運に巡り会える才能を持った人だった 1877 年 蓄音機の発明で時の人となったエジソンが 次に手がけたのが白熱電球だった 6 週間もあれば作れます 当時の新聞記者への発言からもエジソンの絶好調ぶりが窺える ところが実際はそうはいかなかった 抵抗値の高い金属に電気を流せばできるはずと予測していたのだが フィラメントは一瞬輝いて燃え尽きてしまう 太さ 長さを変え 加熱もしたがうまくいかない 真空内でもだめだ 焼け焦げた無数のフィラメントを前にしてエジソンは閃いた 最初から炭にしたものを使ったらどうなのだろう ありとあらゆる物での実験が始まった 木の皮 草の根 自分の無精ヒゲ その数は1000を超えた 6 週間どころか1 年が過ぎ スポンサーがいらだってきたころ ついに木綿糸の炭が45 時間光った まだだめだ エジソンはさらに実験を続けた そしてとうとう日本のうちわに使われている竹で 200 時間光る白熱電灯を完成させた 天才とは1% の閃き ( インスピレーション ) と99% の汗 ( パースピレーション ) である 蓋しエジソン以外には語れないであろう名言であトーマス A エジソン (1847 1931) る ビニール傘 (100 円ショップなどで入手可 ) の柄を釜にして炭を作り フィラメント実験ができる方法を紹介します アルミ箔をしっかりつめこみ ふたをする 竹串など 傘の柄の色が高温で黄色く輝くまでガスバーナーで熱する 全体が一通り黄色くなるようにガスバーナーを動かす 煙が出なくなるのを確認する ( 所要時間約 3 分 ) 用意するもの不要になったビニール傘の柄 ペンチ ガスバーナー 竹串などフィラメントの材料 アルミ箔 ガラス瓶 ペットボトル 針金 セロハンテープ クリップ 単一乾電池 8 本 カレンダーなど要らなくなった大きめの紙 リード線 針金 20cm くらいの長さにする 不要になった傘の柄を切る ガスバーナー ペンチなどでしっかりつぶす 抵抗値が 100Ω 以下になっていれば使える 単一乾電池 8 本を カレンダーなどでしっかりくるむ リード線 クリップ セロハンテープ 炭のフィラメント 右の写真は これにガラスびんをかぶせたもの クリップのかわりに 3 色ボールペンなどに使われているスプリングを用いると フィラメントをはさみやすい ペットボトルなど うまくいかない場合は できた炭をガスバーナーの火で直接素早くあぶり 高温にすると良い Photo by 斉藤秀明 * Illustration by 西山直樹 この記事は 学研科学創造研究所が作っています 関連の詳しい記事は ホームページでご覧ください http://www.gakken.co.jp/kagakusouken/ JST News Vol.3/No.3 2006/June