特集 2 日本のCMのぜんぶ 1953-2012 歴史を通して未来が見える テレビ コマーシャルからの証言 アーカイブが開く地平 テレビ コマーシャルは 社会変動や時代の感性をどう捉え 自らをどう変容 進化させてきたのか 社会学者として幅広い研究分野をもつ著者に アカデミズムの立場からCM研究の理論パラダイムの動向と CMイメージの歴史的な変転を具体的な作品を通して概説していただくとともに グローバルなアーカイブの構築によって開かれる新しいCM研究の可能性についてご提示いただいた 吉見 俊哉 社会学者 東京大学教授 東京都生まれ 1976年に東京教育大学附属高等学校 現 筑波大学附属高等学 校 を卒業後 東京大学教養学部に進学 相関社会科学分科を卒業後 同大学大 学院社会学研究科で学ぶ 東京大学新聞研究所助手 助教授 東京大学社会情 報研究所教授等を経て 2006年より大学院情報学環長に就任 2012年より東京 大学副学長 CMへの視座とアーカイブの未来 心理学的な分析手法をそのまま日本の広告コミュニケーシ ョンに適用していく人々がいたし 他方で思想の科学研究 私がまだ若手社会学者の一人であった1980年代 広告 会の系譜に連なり 日本の大衆文化史の一領域として広告 CMは 多くの先鋭的な社会学者が好んで取り組むテーマ やCMを語ろうとする人々もいた 南博は明白に後者の代 であった 何人かの先輩 とりわけ内田隆三は構造主義的 表選手で 南らを中心に広告コミュニケーションの文化史 な広告分析を展開していたし 私が大学院で教えるようにな 的研究が成立していた ってすぐの頃に指導した何人かの俊英 たとえば難波功士 広告コミュニケーションの大衆文化史は 戦後日本の広 や北田暁大の初期の仕事は広告についてであった やが 告やCMを取り上げながら そこに日本文化的特質を読み てもう少し若手には 高野光平のような初期CMに焦点を当 込もうとする傾向も帯びていた たとえば南は 研究のパラダ てる学者も登場してくる イム上の変化が生じる直前の1980年に刊行された CM文 1980年代以降の広告研究は 大筋でいうならば 70年代 化論 南博 江藤文夫監修 創拓社 のなかで 日本人 までの地平を転換させることの上に発展したものだった こ はCMを鑑賞する能力が高いというのが ぼくの説です C の転換は 構造主義的転換と言ってもいいタイプの出来事 Mは時間的なものだから 俳句的なんですよね 日本人は であった これにより 70年代までのたとえば南博らによって 瞬間的に自然の一部を切りとってきて それを永遠のイメー 先導されていた社会心理学的な広告研究とは明らかに異 ジに固定しようとする志向があるでしょう お母さーん なる地平が開かれていった なんていうのも 実に俳句的だな だから 日本でCMを作っ 今 一括りに社会心理学的な広告研究と書いたが そこ ている人たちには そういう意味で伝統的な日本人の美意 にも大きなヴァリエーションがある 一方では アメリカ流の 識のようなものが受け継がれているんじゃないか と語って AD STUDIES Vol.41 2012 15
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