特集 日本のCMのぜんぶ 1953-2012 歴史を通して未来が見える テレビCMの文化力 テレビCMは日本人の生活様式や価値観にどんな影響を及ぼしてきたのか 広告 を原論的 構造的に捉える独自の理論を展開されている著者に 人間学 としてのテレビCMというパースペクティブのもと 歴史的な文脈を解き明かすとともに その視線の先に 東日本大震災を契機に生まれつつある日本人の新たな価値観を どのような 像 として構築していけるのか その方向性をも提示していただいた 青木 貞茂 同志社大学社会学部教授 1956年長野生まれ 1979年立教大学経済学部卒業 広告会社勤務のかたわら 法政大学非常勤講師 早稲田大学大学院商学研究科客員助教授 東京大学大学 院情報学環非常勤講師などを歴任 2005年4月より同志社大学社会学部教授 日 本広告学会理事 専門は 広告論 ブランド論 主要著書に 文脈創造のマーケティ ング 日本経済新聞社 1994年 文化の力 カルチュラル マーケティングの 方法 NTT出版 2008年 等がある や価値ある生活にこう変えていきたい こうありたいというマ 戦後における人間像 生活像を構築した テレビ CM クロ的な集合的欲望を生みだしていったのである その上 第2次世界大戦後 日本はアメリカの占領と新憲法 戦後 を形成する思考の枠組み 消費 の人生における価値の 民主主義によって明治維新以降の近代化とは異なった 第 枠組みを生み出した それは 生活者にとっての戦後の欲 2の近代化 を実現すべく新しい近代的人間像 生活像の 望の共通の言葉 記号 シンボルと消費の環境や土壌 文 1 実現にむかって前進しなければならなかった この時 戦 後民主主義における自由あるいは平等という理念 精神は 言葉だけでなく 人々の生きること 生活することに現実化 テレビCMは 生活者の選択の内容だけでなく選択の基準 脈を形成し 日本の高度経済成長とともにあった 私 の確立 ソース コードからの変換 されなければ ただのお題目にすぎなかった 具体的な生 特に戦後民主主義において力が入ったのは 日本の中 活様式としてロール モデルになったのが アメリカン ウェ の前近代的 封建的な要素の払拭である 端的にいえば イ オブ ライフであった このアメリカ型の生活様式につい 農村共同体的な 私たち という意識から 私 の自由を中 て日本文化に応じたアダプテーションがなされた テレビ 心に置いた価値観への転換である 自立的かつ自律的な CMをはじめとした広告は この日本の文化によって変換さ 主体である 私 の確立である マッカーサーに12歳の少 れた具体的な生活様式と人間像 その根底にある最も重要 年であると揶揄された日本の主体の未成熟を自己成長によ な価値 哲学的 超越論的価値を商品やブランドとともに る成熟へと導き 大人としての市民的な 私 を確立しなけ 表現し 戦後民主主義とは 生きることにおいて具体的には ればならなかった どんな 像 や 形 になるのか を示したということができよう アメリカ的な市民像の確立は 近代的人間 として生き そして テレビCMによって戦後の日本人の生活をアメリ ていく上で必要な生活知を習得し 運用できるということであ カ的な価値基準に基づいて 社会的に公正で美しく 意味 り これは デカルトと並んで近代哲学を創造したカントが 人 32 AD STUDIES Vol.41 2012
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