田 んぼの 鳥 サギ 類 チュウサギ( 中 鷺 学 名 : Egretta intermedia)
サギってどんな 鳥? みなさんはサギという 鳥 にどんな 印 象 を 持 っていますか? 純 白 でスリムな 体 を 持 ったとても 美 しい 鳥! 日 本 の 田 んぼんに 暮 らす 代 表 的 な 野 鳥! 集 団 で 繁 殖 し 糞 で 洗 濯 物 や 車 を 汚 す 迷 惑 者! 止 まっていると 置 物 みたい! など など! 感 じることは 人 それぞれだと 思 いますが スズメやツバメ ヒヨドリなどと 同 じように 日 本 各 地 で 見 ることが 出 来 る 最 も 身 近 な 野 鳥 の 一 つです サギの 仲 間 の 多 くは 魚 やカエル ザリガニなどをエサとしています そし て それらの 生 きものが 暮 らす 水 辺 が 彼 らの 住 みかです 日 本 には 幸 い 広 大 な 水 辺 があります それは 田 んぼです そして そこで は 多 くのサギたちが 暮 らしているはずです 人 間 が 作 り 出 した 環 境 である 田 んぼとともに 生 きているサギたちについて 少 しその 暮 らしぶりを 知 ってみませんか? 飾 り 羽 を 広 げるチュウサギ
サギの 特 徴 コウノトリ 目 サギ 科 に 属 する 鳥 を 総 称 してサギ( 鷺 )と 呼 んでいます サギ 科 の 鳥 は 世 界 では65 種 が 知 られ そのうち 日 本 では19 種 が 記 録 されて いますが( 表 1) 小 笠 原 諸 島 に 生 息 していたハシブトゴイは 既 に 絶 滅 して しまいました 水 辺 を 主 な 住 みかとする 水 鳥 で 長 いくちばしと 長 い 脚 を 持 っています また ダイサギやコサギなど 首 の 長 い 種 類 もいます 飛 ぶときに 首 をS 字 に 折 り 曲 げるのが 他 の 鳥 にはない 特 徴 です ( 図 1) 多 く 種 類 は 雌 雄 同 色 です 繁 殖 期 になると 頭 や 胸 背 中 に 美 しい 飾 り 羽 を 持 つものもいます サギ 類 の 中 には 竹 林 雑 木 林 マツ 林 等 に 数 種 類 のサギが 集 まって 集 団 繁 殖 地 (コロニー サギ 山 )をつくるものもいます 魚 やカエル 甲 殻 類 などを 主 なエサとしていますが アマサギのように 昆 虫 も 主 なエサしている 種 類 もいます 首 がS 字 に 曲 がる 首 はまっすぐ 図 1 サギとハクチョウの 飛 ぶ 姿
日 本 産 サギ 類 日 本 で 記 録 されているコウノトリ 目 サギ 科 の 鳥 (サギ 類 )は19 種 です 表 1 日 本 産 サギ 科 鳥 類 種 和 名 学 名 英 名 環 境 省 レッドリスト アオサギ Ardea cinerea Grey Heron ムラサキサギ Ardea purpurea Purple Heron アカガシラサギ Ardeola bacchus Chinese Pond Heron サンカノゴイ Botaurus stellaris Eurasian Bittern 絶 滅 危 惧 ⅠB アマサギ Bubulcus ibis Cattle Egret ササゴイ Butorides striatus Striated (Green) Heron ダイサギ Egretta alba Great Egret カラシラサギ Egretta eulophotes Swinhoe's Egret 情 報 不 足 コサギ Egretta garzetta Little Egret チュウサギ Egretta intermedia Intermediate Egret 準 絶 滅 危 惧 クロサギ Egretta sacra Eastern Reef Heron ミゾゴイ Gorsachius goisagi Japanese Night Heron 準 絶 滅 危 惧 ズグロミゾゴイ Gorsachius melanolophus Tiger Bittern 準 絶 滅 危 惧 リュウキュウヨシゴイ Ixobrychus cinnamomeus Cinnamon Bittern オオヨシゴイ Ixobrychus eurhythmus Schrenk's Little Bittern 絶 滅 危 惧 ⅠB タカサゴクロサギ Ixobrychus flavicollis Black Bittern ヨシゴイ Ixobrychus sinensis Chinese Little Bittern ハシブトゴイ Nycticorax caledonicus Rufous Night Heron 絶 滅 ゴイサギ Nycticorax nycticorax Black-crowned Night Heron
シラサギ? 日 本 で 記 録 されたサギ 類 は19 種 類 ですが そのうち 体 全 体 の 羽 が 白 いダイ サギ チュウサギ コサギ アマサギの4 種 を 通 称 シラサギ と 呼 んでいま す これは 白 いサギ の 総 称 です ですから 正 確 にはシラサギという 名 前 のサギはいません シラサギと 呼 ばれているサギ4 種 は 何 れも 田 んぼを 主 な 生 活 の 場 としていま す そのため 同 時 にいることも 少 なくありません 一 見 どれも 白 く 同 じ ように 見 えますが どのようにしたら 見 分 けることが 出 来 るでしょうか 識 別 ポイントを 見 てみましょう!( 表 2) 表 2 シラサギ 類 4 種 の 見 分 け 方 ポイント ダイサギ チュウサギ コサギ アマサギ 体 の 大 きさ ( 全 長 ) 大 (90cm) ダイサギよりかなり 小 (68cm) チュウサギよりやや 小 (61)cm コサギより 小 (50cm) 見 られる 時 期 主 に 夏 冬 に 見 られる こともある 本 州 中 部 以 南 で 夏 ま れに 冬 も 残 る 東 北 北 海 道 は 夏 本 州 中 部 以 南 は 一 年 中 本 州 中 部 以 南 で 夏 冬 に 残 る 地 域 もある 夏 黒 色 緑 色 黒 色 黄 色 黒 色 飾 り 羽 黄 色 橙 色 頭 やくちばし の 色 やかたち 冬 黄 色 黒 色 黄 色 黒 色 黄 色 チュウサギやアマサギ に 比 べくちばしが 相 対 的 に 長 い ダイサギやコサギに 比 べくちばしが 相 対 的 に 短 く 太 い 冬 羽 でもく ちばしの 先 端 に 黒 が 残 る くちばしの 色 が 夏 冬 ともに 黒 い チュウ サギに 比 べくちばし の 長 さは 相 対 的 に 細 長 い 夏 羽 では 頭 や 背 胸 が 橙 色 になる くち ばしは 太 く 短 い 足 の 色 黒 黒 黒 黒 指 の 色 黒 黒 黄 色 黒 飛 ぶ 姿
サギの 暮 らす 場 所 魚 やカエル 甲 殻 類 をエサとしているサギ 類 にとって エサとなる 生 きもの が 暮 らす 水 辺 は 無 くてはならないものです では どれくらい 水 辺 に 依 存 し ているのでしょうか? 図 2はサギ 類 がどんな 場 所 にいたのかを 調 べた 結 果 です これを 見 ると ほ とんどのサギ 類 が 水 田 やその 周 りの 水 路 そして 池 や 沼 で 暮 らしていること が 分 かります 水 田 と 水 路 池 沼 にいたサギ 類 を 合 計 すると 全 体 の96%に も 達 します このことからもサギ 類 が 水 辺 それも 人 間 が 作 り 出 した 田 んぼに 強 く 頼 って 生 きていることが 分 かります 次 に サギの 種 類 によっている 場 所 は 違 いのでしょうか? 図 3が 種 類 ごとにいた 場 所 をまとめたものです これを 見 ると 種 類 によっ ている 場 所 が 少 し 違 うことが 分 かります アマサギやチュウサギはほとんど が 田 んぼにいますが ダイサギやコサギ アオサギは 水 路 にもかなりいるこ とが 分 かります この 様 な 違 いの 理 由 はまだよく 分 かっていません 池 沼 3.0% 道 1.1% 畑 0.3% 水 路 15.7% その 他 1.1% 畦 1.7% 水 田 77.1% 樹 上 0.1% アマサギ チュウサギ ダイサギ コサギ その 他 畦 樹 上 水 田 水 路 池 沼 道 畑 アオサギ ゴイサギ 0% 50% 100% 図 2 サギ 類 が 暮 らす 場 所 ( 埼 玉 県 ) 図 3 種 類 による 違 い( 埼 玉 県 ) 水 田 にいるチュウサギとコサギ 川 にいるアオサギ
サギ 山 ってなに? 日 本 に 生 息 するサギ 類 のうち シラサギと 呼 ばれているダイサギ チュウサ ギ コサギ アマサギの4 種 とゴイサギ アオサギの 計 6 種 がサギ 山 と 呼 ばれ る 集 団 繁 殖 地 (コロニー)を 形 成 します 環 境 省 が 以 前 行 ったサギ 類 コロニー 調 査 によると サギ 山 が 造 られた 林 は 竹 林 落 葉 広 葉 樹 林 スギ ヒノキ 林 マツ 林 など 様 々ですが 関 東 と 関 西 ではやや 傾 向 が 異 なりました 関 東 では 竹 林 が 多 く 関 西 では 落 葉 広 葉 樹 林 に 多 くのコロニーが 形 成 されていました この 様 なサギ 山 は 現 在 でも 日 本 各 地 にありますが 全 国 各 地 に 鷺 山 とい う 地 名 がたくさん 残 っていることから かつては 現 在 よりもさらに 多 くのサ ギ 山 があったと 考 えられています また 近 頃 はとかく 嫌 われるサギの 糞 ですが かつてはサギ 山 の 地 面 に 大 量 に 溜 まった 糞 は 掛 け 替 えのない 窒 素 肥 料 として 大 切 なものでした 埼 玉 県 さいたま 市 上 野 田 地 区 には 全 国 的 にも 有 名 な 野 田 の 鷺 山 と 呼 ばれ た 巨 大 なサギのコロニーがありました 国 の 天 然 記 念 物 にも 指 定 され 最 も 多 い 時 には 5,000 以 上 の 巣 が 作 られ 総 個 体 数 は20,000~40,000 羽 にも 達 したとされています しかし 水 田 転 作 による 畑 地 化 や 農 薬 や 化 学 物 質 によると 考 えられるへい 死 の 増 加 により1972 年 に 消 えてしまいました いまなお 各 地 でサギ 山 は 見 ることが 出 来 ますが その 数 は 減 少 傾 向 にある ようです 埼 玉 県 越 谷 市 のサギ 山 埼 玉 県 久 喜 市 のサギ 山
サギ 山 が 減 っている! 田 んぼを 主 な 住 みかとするサギ 類 は かつては 日 本 国 中 にたくさん 生 息 して いました しかし 水 田 転 作 で 田 んぼが 減 ってしまったり 田 んぼが 近 代 化 することで サギのエサとなる 魚 やカエルにとって 住 みにくい 場 所 に 変 わっ てしまったため サギ 類 の 数 は 以 前 よりは 少 なくなってしまったようです そして サギ 類 の 集 団 繁 殖 地 サギ 山 も 減 少 傾 向 にあります 埼 玉 県 では1992 年 と2003 年 にサギ 山 の 調 査 が 行 われましたが サギ 山 の 数 は14ヶ 所 から5ヶ 所 と 約 3 分 の1になってしまいました 埼 玉 県 のサギ 山 の 移 り 変 わり 1992 年 の 調 査 では 14ヶ 所 ゴイサギ ( 五 位 鷺 Nycticorax nycticorax) 2003 年 の 調 査 では 5ヶ 所
田 んぼで 暮 らす 主 なサギ 類 ダイサギ Egretta alba チュウサギ Egretta intermedia コサギ Egretta garzetta 体 長 :90cm 特 徴 : 全 身 が 白 色 で 日 本 のシラサギ 類 では 最 も 大 きい 繁 殖 期 には 背 に 長 い 飾 り 羽 を 生 じ 嘴 は 黒 眼 先 は 青 緑 色 となる 冬 羽 は 嘴 が 黄 色 くなり 眼 先 も 黄 緑 色 となる 水 の 中 をゆっくり 歩 き 獲 物 を 見 つ けると 長 い 首 をさっと 伸 ばして 捕 らえる あしが 長 いので 深 い 場 所 もえさ 場 として 利 用 することが できる 体 長 :68 cm 特 徴 : 全 身 が 白 色 のサギで 日 本 に は 主 に 夏 鳥 として 渡 来 する コサ ギより 一 回 り 大 きく ダイサギや コサギに 比 べ 相 対 的 に 嘴 がやや 短 くずんぐりして 見 える 嘴 と 脚 は 黒 く 眼 先 の 黄 色 が 特 徴 胸 や 背 に 飾 り 羽 がある 河 川 よりも 水 田 や 草 地 で 餌 を 採 ることが 多 い 環 境 省 レッドデータブックでは 準 絶 滅 危 惧 種 に 指 定 されているが 埼 玉 県 では 夏 場 最 も 普 通 に 水 田 で 見 ら れるサギ 類 体 長 :61cm 特 徴 : 最 も 普 通 に 見 られるシラサ ギ 全 身 白 色 で 一 年 を 通 じて 嘴 が 黒 い 夏 羽 は 後 頭 に2 本 の 長 い 冠 羽 があり 背 や 胸 に 細 長 い 飾 り 羽 が 出 る 足 は 黒 く 足 指 は 黄 色 い 埼 玉 県 内 でも 水 田 や 河 川 敷 で 普 通 に 見 られる アオサギ Ardea cinerea ゴイサギ Nycticorax nycticorax アマサギ Bubulcus ibis 体 長 :93cm 特 徴 : 日 本 のサギ 類 の 中 で 最 も 大 き く 翼 を 広 げると1 6mにも 達 す る 体 の 上 面 は 灰 色 で 下 面 白 く 黒 い 縦 すじがある 嘴 と 脚 は 黄 褐 色 で 眼 先 は 黄 緑 色 繁 殖 期 には 嘴 の 基 部 眼 先 脚 が 赤 い 婚 姻 色 にな る 歩 いたり 待 ちぶせしたりし て 魚 類 やカエルを 捕 らえる 埼 玉 県 内 では それほど 多 くはない が 河 川 や 水 田 などで 見 ることが 出 来 る 体 長 :57cm 特 徴 : 成 鳥 は 頭 頂 から 後 頸 背 にか けて 暗 い 紺 色 で 後 頸 には 数 本 の 白 い 冠 羽 がある 下 面 は 白 く 翼 は 灰 色 で 嘴 は 黒 く 脚 は 黄 色 普 段 は 夜 行 性 で 昼 間 水 辺 近 くの 茂 みで 集 団 で 休 んでいる 夕 方 になると 採 食 場 へ 向 かい 魚 類 やザリガニ を 捕 らえる 夕 方 に グァッ グァッ とカラスに 似 た 声 で 鳴 く ため ヨガラス の 俗 名 をもつ コロニ-をつくって 繁 殖 する 体 長 :50cm 特 徴 : 夏 鳥 として 日 本 に 渡 来 し 本 州 以 南 で 繁 殖 する 日 本 に 分 布 する 白 いサギ 類 の 中 では 最 も 小 さい 成 鳥 の 夏 羽 は 頭 から 胸 と 背 にオレ ンジ 色 の 飾 り 羽 があり 大 変 よく 目 立 つ 嘴 はオレンジで 脚 は 黒 コ サギに 比 べ 足 が 短 く 嘴 も 相 対 的 に 短 い 他 のサギ 類 より 乾 燥 した 場 所 を 好 み カエルや 昆 虫 などもよ く 餌 として 利 用 する
チュウサギ 田 んぼの 鳥 サギ 類 Ver.1.1 住 民 参 加 による 生 物 保 全 水 利 施 設 の 維 持 管 理 マニュアル ツール 名 : サギ 類 の 生 態 制 作 者 : 埼 玉 県 環 境 科 学 国 際 センター 嶋 田 知 英 発 行 年 月 日 : 2008 年 7 月 21 日